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文化庁月報
平成23年5月号(No.512)

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連載「アニメーション分野の人材育成」

アニメーションの明日へ

芸術文化課芸術文化調査官 佐伯知紀
各作品のプロデューサー,監督たちと小松文化部長

各作品のプロデューサー,監督たちと小松文化部長


アニメーション作家,山村浩二氏を訪問した招へいアニメーター

アニメーション作家,山村浩二氏を訪問した招へいアニメーター


「たんすわらし」

「たんすわらし」

 昨年度から本格化した「メディア芸術の振興」,なかでも,アニメーション分野の人材育成について概略を紹介しておきたい。振興自体は「ソフト支援」と「ヒューマン支援」の二本柱で進められており,前者では,「文化庁メディア芸術祭」およびその関連展(「地方展」「巡回企画展」「海外展」)の実施や,「メディア芸術デジタルアーカイブ事業」「メディア芸術情拠点・コンソーシアム構築事業」など分野総体の基盤整備に関する議論の場を設定している。
 後者が文字通りの人材育成事業で,なかでもアニメーションに関しては,「若手アニメーター等人材育成事業」,「海外クリエイター招へい事業」のアニメーション分野がそれにあたる。以下,それぞれの特徴を述べることで,新事業の趣旨を明らかにしたい。

   「若手アニメーター等人材育成事業」は,オン・ザ・ジョブ・トレーニングを組み込んだアニメーション制作による人材の育成である。これは,製作費の縮減,制作の効率化,動画工程の海外発注等に由来する若手アニメーターの払底(ふってい)――それは同時に将来的に分野の疲弊を招くのだが――に対する,一つの「解」として構想された事業である。つまり,「動画」から「原画」,「作画監督」,「監督」へと連なるキャリアの階梯(かいてい)のうち,最も基底にある「動画」工程が廉価な海外にアウトソーシングされたために,国内での人的育成が困難となっている現状に対応したもので,実績豊かな4プロダクションが制作工程を引き受け,33人の若いアニメーターたちが,ベテランの作画監督,監督の指導を受けつつ制作に従事した。なお,すべてオリジナル・短編アニメーションであることも特長である。作品名は「キズナ一撃」(本郷みつる・アセンション)「おぢいさんのランプ」(滝口禎一・テレコムアニメーション)「万能野菜ニンニン」(吉原正行・ピーエーワークス)「たんすわらし」(黄瀬和哉・プロダクションI.G)。2月24日には新宿のシネコンで発表上映会を行い,TV放映もされるなど好評を得た。なお,本事業は「若手アニメーター育成プロジェクト」として,日本アニメーター・演出協会(JAnicA)に事業委託し実施されている。

 「海外メディア芸術クリエイター招へい事業(アニメーション分野)」では,アニメーション・アーティスト・イン・レジデンスを実施した。これは,海外の優れた若手アニメーション作家を招へいし,研修,ワークショップ,創作,上映などの機会を設け,わが国のアニメーターと交流することにより,広い意味でわが国のアニメーターの育成を図るとともに,帰国後の招へい者が日本文化の良き理解者となることも期待した事業である。

 新規事業でもあり,この分野では世界最大のアヌシー国際アニメーションフェスティバル(フランス)に参加し広報に務めるなど広く事業の発信を行ったこともあり,海外から86人の応募者があり,書類審査,スカイプ面接等を経て,チェン・シー(中国),クリストフ・ゴートリー(フランス),ジョゼフ・ピアス(イギリス)氏の3人が選ばれた。いずれも,著名なアニメーションフェスティバルでの入賞歴をもつ気鋭のアニメーション作家で,東京(新宿)に滞在しつつ,研修,創作を行った。なお,本事業はジャパン・イメージ・カウンシル(JAPIC)に事業委託し実施された。二つの事業は,いずれも,明日を,そのまた明日の実りを企図した事業である。

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