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文化庁月報
平成24年4月号(No.523)
連載 「鑑 文化芸術へのいざない」
新国立劇場開場15周年 2012/2013シーズンの演目が発表されました
目次
新国立劇場
は1997年に開場した,オペラ,バレエ,ダンス,演劇という現代舞台芸術のための日本で唯一の国立劇場です。常に高い水準の公演を自ら企画,制作しており,国内外から高く評価されています。毎年9月に始まり翌年7月に終わるシーズン制を取り入れており,毎年1月に発表されるその年の9月からのシーズンのラインアップ(上演演目)は広く注目を集めています。このシーズンごとのラインアップを決定するのは,オペラ,舞踊,演劇の3人の芸術監督です。
今年は1月23日に,2012/2013シーズンのラインアップ説明会が行われました。まず福地茂雄理事長が,新国立劇場開場15周年の節目となる2012/2013シーズンに,就任3年目を迎える3名の芸術監督が,ますますの充実ぶりを示すラインアップをお届けいたしますのでご期待くださいと挨拶を述べました。
続いて尾高忠明オペラ芸術監督
,デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督
,宮田慶子演劇芸術監督
が,ラインアップについて熱く語りました。90名もの報道関係者や評論家の方々がご参加くださり,来シーズンへの関心の高さがうかがわれました。
(ラインアップ一覧はこちらから
)
尾高忠明オペラ芸術監督

尾高忠明オペラ芸術監督
昨年は,大震災そして原発事故の影響により,大変な困難に見舞われ,その影響はまだ続いています。こうした状況の中,私たちのすべきことは,文化の役割とは何か,劇場は何をしていくべきかを真剣に考えていくことだと信じています。
さて,2012/2013シーズンでは,2013年がワーグナー,ヴェルディ生誕200年,ブリテンが100周年の記念年,また2012年は新国立劇場開場15周年ということもあり,周年を迎えた作曲家の傑作と,心からお楽しみいただけるスタンダードな名作や人気演目を揃えました。日本人にもなるべく多くスポットライトをあてたいと思うと同時に,今まで以上にインターナショナルに,世界からより広く人をお呼びしたいと思い,演目,キャスト,スタッフを決めました。
シーズン開幕を飾る英国人作曲家ブリテンの傑作「ピーター・グライムズ
」は私が大好きな作品。英国と日本は同じ島国なので,この作品のストーリーは日本人の感覚からも共感するところが多いと思います。また圧倒的に素晴らしい演出も楽しんでいただきたい。ワーグナー作品は今シーズンの「さまよえるオランダ人
」(3月)と「ローエングリン
」(6月)に続いて「タンホイザー
」を,ヴェルディ作品は,劇場が節目を迎えるごとに上演してきた大人気演目「アイーダ
」と,新制作「ナブッコ
」を選びました。そしてイタリア・オペラの名作「トスカ
」「セビリアの理髪師」「愛の妙薬
」,モーツァルト作品は,全員日本人キャストでおくる「魔笛
」と「コジ・ファン・トゥッテ
」を,そして新国立劇場3年ぶりとなる,邦人作曲家による創作委嘱作品,泉鏡花原作「夜叉ヶ池
」の世界初演でシーズンの幕を下します。どうぞご期待ください。
デヴィッド・ビントレー舞踊監督

デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督
バレエは,私が振り付けた「シルヴィア
」 の日本初演で幕を開けます。本作は何かと日本に縁がある作品です。というのも著名な日本人バレリーナ吉田都と英国ロイヤル・バレエの次期芸術監督で,当時ダンサーであったケヴィン・オヘアのために振り付けられ,さらに2009年に改訂を施した時も,日本人ダンサーの佐久間奈緒と,映画「小さな村の小さなダンサー」に主演した中国人ダンサーのツァオ・チーが踊っているからです。今回の上演では,この2名のダンサーをゲストとして迎えます。
そして,来年1月に,震災および津波の影響で公演中止になった,バランシン,トワイラ・サープ,そして私の作品を含む「ダイナミック ダンス!
」が中劇場に戻ってくることを大変嬉しく思っております。必ずや皆様の心を刺激するものになると確信しております。
また,来年4月のトリプル・ビルの作品の一つとして,アインシュタインの相対性理論からインスピレーションを受けた,私の振り付け作品「E=mc2
」 の日本初演を入れました。
私は常々,日本のみなさまにミックスプログラムの楽しさを味わっていただきたいと言い続けています。バラエティ豊かな踊りを,さまざまな形で観ていただけ,音楽的にも多種多様なものを聴いていただける絶好の機会だからです。2012/2013ラインアップに,この2本のトリプル・ビルを組み入れることができたのをとても嬉しく思っています。
そして,だれからも親しまれている人気レパートリー作品は,「シンデレラ
」「ジゼル
」「ドン・キホーテ
」をお届けします。
ダンス公演は,現在日本でトップクラスの振付家による作品から,振付家としてはまったくの新人と言っていい新国立劇場バレエ団ダンサーが同団のために振り付けた作品まで,多様な演目が並びます。
宮田慶子演劇芸術監督

宮田慶子演劇芸術監督
2012/2013シーズンに演劇は意欲的な冒険をします。ラインアップ8本のうち,半分の4本が新作です。シーズン開幕作品は待望のシェイクスピア作「リチャード三世
」です。2009年に上演され演劇界の大きな話題となった「ヘンリー六世」三部作
に続き,ほぼ同じキャスト,演出の鵜山氏はじめ同じスタッフで上演します。壮大なシェイクスピアの世界を堪能していただけると思っています。
11月は,就任以来3年目となる「JAPAN MEETS…」シリーズの7作目「るつぼ
」を新翻訳でおとどけします。アーサー・ミラーの作品は,新国立劇場に初登場です。冬休み期間には,演劇部門念願の子ども向けの作品が登場します。長塚圭史作・演出「音のいない世界で
」 。魅力的な顔合わせによるユニークで斬新な舞台を,親子づれをはじめ幅広い層にお楽しみいただきたいと思います。3月には,福田善之氏の「長い墓標の列
」です。新国立劇場演劇研修所出身の若き俳優たちとベテラン俳優による公演にご注目ください。
4-6月は,シリーズ企画「With ―つながる演劇―」をおおくりします。ウェールズ,韓国,ドイツの作家,演出家たちと組ん
だ,新作書き下ろしの3作品連続上演です。国を越えて我々が直面している現代の課題と向き合いながら,一緒に生きていく未来を共に探ろうという思いで「With」というタイトルをつけました。「つながる演劇」には,歩んで行く未来につながる,またお互いが共につながるという意味も込めました。シーズン締めくくりは,2010年に好評をいただいた「象
」の再演です。広島の被爆者を題材としたこの舞台は,「3・11以後」に生きる現在,強く訴えかけてくる作品になると思います。ぜひ劇場に足をお運びください。
左から,ビントレー舞踊芸術監督,尾高オペラ芸術監督,宮田演劇芸術監督
新国立劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- チケットのお申し込み
- 新国立劇場ボックスオフィス
03-5352-9999 (10時〜18時) - 交通
- 京王新線 初台駅直結(新宿駅より1駅)
- ホームページ
- http://www.nntt.jac.go.jp


