資料9

世界文化遺産特別委員会の今後の審議の進め方について

1.ワーキンググループの設置について

(1)趣旨

地方公共団体からの提案案件について,我が国の世界遺産暫定一覧表への資産の記載等に関し,専門的な観点から十分な審議を行うため,世界文化遺産特別委員会の下に,専門分野ごとにワーキンググループ(以下「WG」という。)を設置することとする。
WGは,当面,第1から第4までの4分類とし,時代ごとに,「旧石器・縄文・弥生・古墳時代の文化遺産」「古代・中世・近世期の文化遺産」「近代の文化遺産」をそれぞれ第1から第3WGの担当とするともに,「時代を超えて,人と自然との関わりを中心とする遺産」を第4WGの担当とする
(各WGの担当事項と担当案件(案)については,別紙参照)。

(2)審議事項

各WGは,担当事項に関して,それぞれ次の事項を審議する。

  1. (1)地方公共団体からの提案案件に関する専門的な評価
  2. (2)提案案件に盛り込まれている主題に関し,「顕著な普遍的価値」の観点から,主題が共通する複数の資産相互の比較又は統合に関する検討の実施
  3. (3)その他これらに関連する課題の検討

【審議の進め方】

(1)提案案件の評価

  • 新規案件は年内より審査を開始。継続案件は1月以降審査。
  • 各WGが担当する提案案件を事務局から説明した後,各都道府県等のヒヤリングを実施。
  • 担当する提案案件についての検討ののち,WGとしての評価をまとめ,特別委員会に提出
  • 特別委員会では4つのWGからの提言を受け,暫定一覧表に記載すべき案件を決定する

(2)比較・統合に関する検討

  • 「顕著な普遍的な価値」の観点から主題が類似する案件(既登録案件及び暫定一覧表既記載案件を含む)の比較検討を行うとともに,複数案件等を組み合わせることにより,我が国文化の価値がより高く評価されうるようなケースについては,案件統合や既登録資産の拡大などを検討する。

(3)WGの構成

  • 当該分野に係る専門家5~8名程度で構成。
  • WGの座長は,特別委員会の委員のうちから,特別委員会の委員長が指名。

2.今後の特別委員会の主な検討事項について

地方公共団体からの提案案件に関する審議のため,4つのWGを設置することに伴い,特別委員会における今後の主な審議事項については,以下のとおりとする。

(1)都道府県からの提案の審査等に関すること

  1. (1)提案案件の審査
    それぞれの提案案件に関する各WGの評価を受け,提案案件に対する最終的な評価や,暫定一覧表に記載すべきかについて審議し,報告にまとめる。
  2. (2)比較・統合に関する検討
    各WGが行う,「顕著な普遍的価値」の観点からの主題が共通する複数の資産相互の比較又は統合に関する検討について,WGからの報告を受け,具体的な結論を提示する。
  3. (3)記載に至らなかった案件に関する評価と今後の審査に関する検討

(2)暫定一覧表記載案件に関すること

暫定一覧表記載案件の準備状況について報告を受け,準備上の課題等について,助言等を行う

(3)上記のほか,世界遺産の推薦・暫定一覧表記載等に関すること

(4)我が国の既に登録されている世界文化遺産の保存管理等に関すること

(5)その他世界文化遺産に関し,必要な事項

各WGの担当事項と担当案件

○第1WG: 旧石器・縄文・弥生・古墳時代の文化遺産(その他考古学的遺跡が主となる案件を含む)
→ 特に,「縄文文化の諸相を表す考古学的遺跡」に関する比較調査を行う
【新規案件】 「北海道東部の窪みで残る大規模竪穴住居跡群」
「埼玉古墳群-古代東アジア古墳文化の終着点-」
「松島―貝塚群に見える縄文の原風景」
「百舌鳥・古市古墳群-仁徳陵古墳をはじめとする巨大古墳群-」
【継続案件】 「青森県の縄文遺跡群」 「ストーンサークル」
 
○第2WG: 古代(古墳時代を除く)・中世・近世期の文化遺産
→ 特に,「近世文化を背景に発展した城郭・城下町・街道・宿場町などの都市及び集落関連の資産」に関する比較調査を行う
【新規案件】 「水戸藩の学問・教育遺産群」
「足利学校と足利氏の遺産」
「近世岡山の文化・土木遺産群―岡山藩郡代津田永忠の事績」
「山口に花開いた大内文化の遺産-京都文化と大陸文化の受容と融合による国際性
豊かな独自の文化-」
【継続案件】 「近世高岡の文化遺産群」 「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」 「善光寺」 「松本城」 「妻籠宿と中山道」 「飛騨高山の町並みと屋台」 「萩城・城下町及び明治維新関連遺跡群」 「錦帯橋と岩国の町割」
 
○第3WG: 近代の文化遺産(中世・近世期の産業遺産を含む)
→ 特に,「近代の重鉱工業に関する資産」に関する比較調査を行う
【新規案件】 「足尾銅山-日本の近代化・産業化と公害対策の起点-」
「日本製糸業近代化遺産~日本の近代化をリードし,世界に羽ばたいた糸都岡谷の製糸遺産~」
「立山・黒部~防災大国日本のモデル-信仰・砂防・発電-~」
【継続案件】 「金と銀の島,佐渡」 「九州・山口の近代化産業遺産群」
 
○第4WG: 時代を超えて、人と自然との関わりを中心とする遺産
→ 特に,「宗教・信仰・習俗に関係する山岳・島嶼及び巡礼道・参詣道等の資産」に関する比較調査を行う
【新規案件】 「天橋立-日本の文化景観の原点」
「阿蘇-火山との共生とその文化的景観」
【継続案件】 「出羽三山と最上川が織りなす文化的景観」 「霊峰白山と山麓の文化的景観」 「若狭の社寺建造物群と文化的景観」 「三徳山」 「四国八十八箇所霊場と遍路道」 「沖ノ島と関連遺産群」 「宇佐・国東八幡文化遺産」 「黒潮に育まれた亜熱帯海域の小島「竹富島・波照間島」の文化的景観」
  1. 継続案件の担当については,平成18年11月に受け付けた提案に基づき割り振りしたものであり,提案書再提出の結果に応じて再調整するものである。
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