文化審議会著作権分科会(第30回)議事録・配布資料

1 日時

平成22年2月15日(月) 14:00~15:00

2 場所

旧文部省庁舎 6階 第2講堂

3 出席者

(委員)
大寺,大林,大渕,金原,河村,佐々木,里中,瀬尾,大楽,道垣内,土肥,中山,野村,福王寺,三田,宮川,山浦の各委員
(文化庁)
合田次長,戸渡長官官房審議官 ほか関係者

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 委員及び文化庁関係者紹介
  3. 3 議事
    1. (1)文化審議会著作権分科会長の選出について
    2. (2)文化審議会著作権分科会運営規則等について
    3. (3)小委員会の設置等について
    4. (4)その他
  4. 4 閉会

5 配布資料

資料1
文化審議会著作権分科会委員名簿(84KB)
資料2-1
文化審議会著作権分科会運営規則(案)(116KB)
資料2-2
文化審議会著作権分科会の議事の公開について(案)(96KB)
資料3
第9期文化審議会著作権分科会の審議状況について(244KB)
資料4
小委員会の設置について(案)(86KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(116KB)
参考資料2
文化審議会著作権分科会(第29回)議事録(284KB)

6 議事内容

  • ○ 今期の文化審議会著作権分科会委員を事務局より紹介した。
  • ○ 本分科会の分科会長の選任が行われ,野村委員が分科会長に決定した。
  • ○ 副分科会長について,野村分科会長より中山委員が副分科会長に指名された。
  • ○ 会議の公開について運営規則等の確認が行われた。

※ 以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成十八年三月一日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。

【野村分科会長】
 それでは,最初に合田次長よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【合田文化庁次長】
 文化庁次長の合田でございます。今期の著作権分科会の開催にあたりまして,一言,ご挨拶を申し上げさせていただきます。
 皆様方におかれましては,大変ご多用の中,著作権分科会委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。
 ご案内のように,前期の分科会では著作権関連施策に関わる基本的問題に関すること,「権利制限の一般規定」,「間接侵害」といったような著作権法制度の在り方に関すること,さらには,国際的ルール作りへの参画の在り方に関することといったような,非常に多岐にわたる重要課題につきましてご審議をいただきました。そして,今後の施策の方向性につきまして,大変重要なご示唆を多々いただいたわけでございます。
 分科会の委員の先生方の任期は,各分科会でも文化審議会関係は1年ということになっておりまして,手続き的にいろいろ煩わしい部分もご迷惑をかけておりますけれども,議論としては,これらは大変大きな問題でございますが,蓄積をし,継続的に審議をしていただく必要があろうと考えております。そういった意味で,今期も前期に引き続きまして,これらにつきまして,精力的なご検討をお願いできれば大変ありがたいと思っております。私どもといたしましても,これまで以上に力を注いで頑張ってまいりたいと考えておりますので,いろいろと示唆を賜れれば大変ありがたいと思っております。
 大変お忙しい中恐縮でございますけれども,これまで以上のご協力,またご理解をお願いいたしまして,ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
【野村分科会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,次に,文化審議会著作権分科会運営規則第3条第1項,これは資料2-1の2ページですが,その規定に基づきまして,小委員会の設置について決定したいと思います。
 第9期著作権分科会の審議状況及び今期の小委員会の設置案について,事務局よりご説明をお願いいたします。
【永山著作権課長】
 それでは,お手元の資料3をご覧ください。資料3は,第9期著作権分科会における審議状況について整理したペーパーでございます。
 第9期著作権分科会につきましては,そこの最初にございますように,3つの小委員会を設置し,検討を行っていただきました。基本問題小委員会,法制問題小委員会,国際小委員会,この3つの小委員会を設置し,検討をしていただきました。
 それぞれの小委員会の検討状況につきましては,先月,1月27日に開催されました著作権分科会におきまして,各小委員会の小委員長よりご報告をいただいたところでございます。簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず,1.基本問題小委員会についてでございます。基本問題小委員会の検討テーマは,そこにございますように,著作権関連施策に係る基本的問題に関すること,これが審議事項ということになっております。
 具体的には,著作権制度が担っている意義,役割というものを,社会の大きな変化の中でどうとらえていくのか。また,デジタル化,ネットワーク化が進展する中で,著作権制度の果たすべき役割というものをどう整理していくのかということについて,現在ご検討いただいているところでございます。検討のやり方としましては,現在,有識者などからのヒアリングを通じて検討をし,今後引き続き検討していく旨のご報告が1月27日,基本問題の小委員長よりあったところでございます。
 続きまして,2番,法制問題小委員会でございます。法制問題小委員会におきましては,大きく3つの課題について現在ご検討をしていただいているところでございます。
 まず,権利制限の一般規定につきましては,先の分科会の中でご報告をさせていただきましたが,本年1月,法制問題小委員会の下に設置されましたワーキングチームにおける報告書というものがとりまとめられました。それに基づきまして,現在,小委員会の方で議論を,そのワーキングチームの報告書をたたき台として検討を進めるということで,今後引き続き検討をしていただく予定になってございます。
 次に,2つ目の大きな課題,ネット上の複数者による創作に係る課題ということでございます。これはあまりこれまで法的な観点からの整理,議論がなされてこなかった問題,課題でございまして,今後も法的な整理をどうしていくのか,また,海外の状況はどうなのかということの把握を通じまして,そこにございますように,契約による対応可能性等を中心に引き続き検討をいただく予定ということでございます。
 裏の方になりますが,3つの大きな課題,「間接侵害に係る課題」ということでございます。これにつきましては,最近,裁判の動きがございます。今後の裁判の動向を踏まえつつ,考えられる制度設計,また,その制度設計と関係裁判例との対応関係,また,現行の法体系への影響などについても引き続き検討をいただく予定ということでございます。
 また,法制問題小委員会においては,今申し上げました3つの課題以外に,そこにありますように,薬事関係,図書館関係,学校教育関係の権利制限の規定の問題,また,プログラムの著作物に関わる私的使用目的の複製の見直しの問題,また,通信・放送の在り方の変化への対応という問題についても,引き続きご検討いただく予定というご報告が先日あったところでございます。
 3番目,これは国際小委員会についてでございます。国際小委員会での検討は,国際的ルール作りへの参画の在り方に関することということでございます。国際小委員会におきましては,(1)の国際裁判管轄及び準拠法に関する国際ルールの形成の在り方につきまして,ワーキングチームとしての報告書をとりまとめたという段階でございます。その点も含め,また,(2)から(4)の事項も含め,今後さらに検討する必要があるという小委員長からのご報告が先日あったというふうなご報告がございました。
 したがいまして,資料4が今第10期における小委員会の設置についての案でございますが,先日の1月27日の分科会におきまして,各小委員長よりそれぞれの検討課題について,引き続き検討をする必要があるという形のご報告をいただいたことを踏まえまして,今回,第10期におきまして,そこの設置の趣旨にございますように,第9期と同様に基本問題小委員会,法制問題小委員会,国際小委員会という3つの小委員会を設置いただきまして,それぞれの小委員会において引き続き重要な課題についてのご検討,整理をいただきたいというのが,今回提案させていただきます案でございます。
 以上,どうぞよろしくお願いいたします。
【野村分科会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ただ今のご説明につきまして,ご意見ございましたら,お願いいたします。
 特にご発言,よろしいでしょうか。
 それでは,小委員会の設置につきましては,資料4のとおり,昨年と同一ですけれども,分科会の決定とさせていただきたいと思います。
 使用料部会と各小委員会に分属をお願いする委員につきましては,文化審議会令第6条第2項,これは参考資料1の3ページですが,及び文化審議会著作権分科会運営規則第3条第2項,こちらは資料2-1の2ページですが,その規定によりまして,分科会長が指名することとされております。したがいまして,私から指名させていただくことになりますが,各小委員会の委員の分属につきましては,後日,皆様にお知らせをさせていただきます。
 本日第1回目ということで,議題は以上ですけれども,その他ということで,著作権分科会全般の事項について何かご意見等ございましたら,自由にご発言いただければと思います。ご発言いかがでございましょうか。
【中山副分科会長】
 一ついいですか。
【野村分科会長】
 はい,どうぞ。
【中山副分科会長】
 副分科会長ですけれども,ちょっと過激なことを言ってもよろしいですか(笑)。どうもこの著作権分科会の議論は全体的に後ろ向きというか,あるいは,非生産的なような感じがしてならないのですね。今一番大事なことは何かというと,一つは,著作権から上がる利益をどうやって権利者に分配するか,しかも,末端の権利者あるいはクリエーターにいかに分配するかという問題,そのためにはどうしたらいいのかという問題と,もう一つは,著作権プロパーのスコープではないのですけれども,将来の著作物を担う若い人をどうやって育成していくか。この2つが大事だと思います。そのためにはどうしたらいいかということを積極的,現実的に議論をしなければいけない。
 第一に,ネット時代において余りにも多すぎる違法な複製物というものをどうしたらいいのかという問題があります。法的,あるいは技術的,あるいはビジネスモデル等の切り口がありますけれども,これをまず検討しなければいけない。そして,第二に,ネットに正規に流す著作物をいかにうまく流通させるか。つまり,権利の処理の方法の合理化ということを考えていかなければいけない。うまく流通しなければ権利者に還元する原資というものが出でこない。出てこなければ先ほど言ったような施策はできないということになるわけです。そこのところを積極的に議論していかなければいけないのですが,何か後ろ向きのような感じがする。
 私は補償金問題の主査をしていましたので,言う資格はないかもしれませんが,もう終わってしまったので激しいことを言わせていただきますと,たかだか30億かそこらの金なんですね,いってみれば総理の小遣いの2~3倍程度のちゃちな金で,大の大人が何年間も議論している。実際にあの程度の小銭で末端のクリエーターにどのぐらい金が回っているか,子どもの小遣い程度しか回っていないんです。あれをもしやるとしたら○が1個2個違う,300億とか1,000億集めなければ,クリエーターのためには実際は何の役にもたっていない。30億程度のために大の大人が何年間も議論をしている。その結果何の結論も出ない。挙げ句の果ては訴訟まで起きている状態になっているわけです。何かちょっとおかしいのではないか。
 やるなら大いにやる,補償金額の○を1個2個増やしてやる。やらないならやめてしまう。何か積極的に打って出るような方法というものはないか。それを議論すべきではないか。すべて閉塞状況に陥っている。例えばグーグルブックサーチなんかも,あれはたまたま日本は除外されましたから,「ああ,よかった」と言っている人が多いようですけれども,本当にそうでよいのか。除外されてもいいけれども,それでは日本は一体どうしたらいいのかということを積極的に検討していかなければいけないはずだと思うのです。そうでなければ,使い勝手のいいグーグルブックサーチを世界中の人間が使って,事実上の世界標準となってしまい,そのうち日本人もぜひ入れてくれと懇願するというような状態だってあり得るわけです。日本としては積極的にどう打って出るか,かということを審議会でも積極的に議論をしていかなければいけない。どうもその点が手薄であって,細かい点ばかり議論して,なかなか結論が出ない。そういう審議会であってはならないような気がいたします。
【野村分科会長】
 ほかの方,いかがでしょうか。
 はい,大寺委員,どうぞ。
【大寺委員】
 今,中山先生から小委員会,私も途中からそれに参加させていただきましたけれども,私の前任の玉川が前回申し上げましたが,私的録画補償金の問題について,残念ながら今訴訟が起きておりますが,実際にはこの文化審議会の場できちんとした新たな制度を作るべきではないか。しかも,玉川も申しましたけれども,スピード感を持ってということで。小委員会では,3つの小委員会だけでございましたけれども,しかるべききちんとした割と高いレベルでの議論,大所高所と言いますか,将来を見通したような議論ができる場ができればというふうに期待しております。
【野村分科会長】
 ほかにいかがでしょうか。
 はい,どうぞ,福王子委員。
【福王子委員】
 美術家連盟の福王子です。保護期間の問題なんですけれども,今,日本では50年ということで,これの延長について権利者の方からいろんな形で申し上げていると思いますけれども,これについても引き続き基本問題小委員会や法制問題小委員会の方で審議していただくということももっともなことなんですけれども,この分科会が中心になってやってもいいのではないかというふうに思いますし。確かに小委員会を設置して,それぞれの細かい審議をされていると思いますけれども,この著作権分科会の方で定期的に会合を開いて,その中で審議できるのではないかというふうにも思います。私もこの分科会に何年か出席させていただいておりますけれども,小委員会での対応についてそれぞれ報告がありますけれども,その中で実際にそれに立ち会っていないということもあって,内容について疑問な点もありますし,その中でこの分科会の方で詳しく審議していただきたいなということも感じております。
 あと一つは,保護期間の問題に含めてなんですけれども,戦時加算についての問題もそうですし,あと,美術家連盟の方で前から審議していただくということで提案させていただいておりますけれども,追求権の内容につきまして,基本問題小委員会や法制問題小委員会,海外で約55カ国の国で法制化されておりますので,そういった動向を見ながら審議していただきたいというふうに思います。美術の分野は,業界的に見るととても狭いとは思いますけれども,一応美術を代表してきておりますので,一言申し上げました。以上です。
【野村分科会長】
 ほかにいかがでしょう。
 三田委員,どうぞ。
【三田委員】
 今,保護期間の話が福王子さんから出ましたので,ついでに簡単にお話をさせていただきます。どこかのあるパーティーで総理大臣が著作権の保護期間は70年にしようと言ったということが,うわさとして広まっておりましたらば,インターネット上では,もともと保護期間の延長に反対される方々もたくさんいらっしゃいまして,そういうところでまた議論が沸騰しておりまして,著作権延長の話はもう文化審議会では終わっているんだから,今さら何を言っているんだというような話もネット上に出ております。これを見て,私は「えっ,終わっているのか」と疑問に思ったわけであります。
 私がこの小委員会に出て,著作権の保護期間延長の議論に加わっていく過程では,保護期間の延長というのは利用者にとって不便であるということから,例えば孤児作品ですね,継承者不明の作品等の利用に関して,裁定制度を改良することによって対応できるのではないかというような提案も出まして,それについて議論をしているところでストップしているというふうに私は受け止めております。今回の法改正で裁定制度も若干改良されております。ですから,改めて利用者側のご意見を伺って,この程度の改良でかなり便利になったのではないかということを聞いて見る必要があると思います。
 それから,国会図書館のデータの利用についても,保護期間が延長されると使いづらいというような話がありました。これも大きな問題だったんですけれども,それについては,全く新しい制度を作って対応するということが現在国会図書館の中でも進んでおりまして,これについても大幅に改善できるという状況が既に見えてきておりますので,改めて今まで反対されていた方にもう一度お伺いをして,こういうふうに改良するので保護期間の延長についても考え直していただけないかというようなことを聞いてみる時期にきているのではないかなというふうに考えます。今のところ今シーズンは全く何の議論も起こらないということなんですけれども,もうちょっと何か皆さんの意見を戦わすということが必要なのではないかなというふうに考えます。
 以上です。
 ごめんなさい,もう一つ,重要なことを忘れておりました。私もうっかりしておりまして。美術関係で,美術をオークションにかけるときに,サムネイル程度のものならばネット上に画像を出していいということになるんだという話は聞いておりまして,実際になったんだと思うんですけれども,うっかりしておりまして,オークションでは作家の手紙などもオークションにかけられております。そのサムネイルを見ておりましたら,手紙の内容が読めるものがあるんですね。作家の場合,全集などに手紙を公開しておりまして,そういうものを引用することはオーケーでありますけれども,全く未発表の手紙類は公表権の侵害になりますので,勝手に公表してはいけないということになっておりますけれども,サムネイルの状態で中身が読めてしまうということは公表権の侵害にもなりますし。
 それから,そこにプライベートなことが書かれておりますと,個人情報がそこで漏れてしまっているということもあります。昔の手紙でありますから,今生きている人に損害が及ぶということではないかもしれませんけれども,自分の親とかおじいさんが,例えばお金を貸してくれとか,そういう恥ずかしいことを言っているような手紙が公表されるというのはいかがなものかと。こういうことについて,サムネイルならいいですよという議論をやっているときに,もう少しシミュレーションをして頭を働かせる必要があったなと,自分自身の反省も込めて,審議というのはもう少しいろんなことに気をつかいながらやらなければいけないなということを皆様にもお伝えしたいと思います。
 以上です。
【野村分科会長】
 どうもありがとうございます。
 ほかにご発言ございますか。大林委員,どうぞ。
【大林委員】
 保護期間の問題が出ましたけれども,特に実演家の保護期間というのは著作者とは起点も違うわけで,映画に関しては,制作者の方には公開後70年の保護期間があるのですが,固定されている実演家については実演を行ったとき,固定されたときから50年という大きな違いが未だに残っているということを前から縷々申し上げております。なかなか一挙にはいかないとは思いますが,ぜひそこもご考慮をいただきたいと思います。
 それから,先ほど経済的な部分を権利者に大きく分配するという議論を,今まで何年もやってきたと中山先生からお話ございましたけれども,それはなぜかかってしまうのか。現状,ネットに流す場合の,例えばビジネスモデルにしても,どういう形で成り立つのかということがなかなかはっきりしていかない。その中で,ただ権利者の権利を弱めたり,なくしたりすれば流通するのだということは,議論の中ではもうないのではないかと私は思います。むしろ別なファクターを考えていかなければならないので,そこのところもぜひ新しい展開としてこの分科会の方で取り上げて考えていければと思います。
 それから,先ほど出ました私的録音・録画の補償金ですけれども,これに関しましても,現在起きている訴訟というのは,明らかに現行の法律,政令等に指定されたものにのっとればこうだという文化庁さんの方のご見解も出ているわけですから,そこの中でやっていただければ,別に問題はなかったのではないかと思うケースが訴訟に至っているのです。一種の信義則の違反になってきているということで,ルールを決めてそれをきちっと遵守し,それを守りながら次の展開をしていくと,そういうオーソドックスな考え方がどこかへいってしまっているという世の中の風潮もおかしいなと思いますし,むしろこの問題に関してはもっと大きな改正をしていくということだってあり得るわけでしょうから,そこのところもこれからの問題としてぜひお願いしたいというふうに思っております。
 以上でございます。
【野村分科会長】
 ほかにご発言,よろしいでしょうか。
 どうぞ,佐々木委員。
【佐々木委員】
 少し荒っぽいことを言いますけれども,現在の著作権制度というのは著作物の公正な利用というものに留意しながら著作権を保護するという形になっているわけで,そうすると,著作権の保護と著作物の積極的な活用・利用というものとを対置して考えた場合に,著作権保護というものがまず大事ですよという前提に立っているわけですね。現在,情報の流通がものすごく速くなって,積極的に著作物を活用していく手段,方法,そしてその利用の在り方というものについても,この著作権法が制定された当時とは大幅に変わってきているわけですね。
 そうなったときに,従来のように著作権の保護というものがまず優先的に行われ,それから著作物利用というものが考えられるという考え方をとるのか。それとも,両者,著作権の保護も,あるいは,著作物の利用・活用というものも,いわばイコール,同等な関係としてとらえるのか。あるいは,逆に著作物の利用というものを優先的に考えて,それにふさわしいような著作権の保護を考えるのか。もうそこのところを論議すべきときにきているというふうに思うので,もう少しその辺をきちんと議論をした上でないと,現在論じられている問題というのはなかなかけりがつかないというふうに思いますので,その点に少しご配慮いただければと思います。
【野村分科会長】
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは,大体ご発言いただいたということで,ほぼ予定の時刻もまいりましたので,特にほかにご発言がないということでしたら,本日はこのぐらいにしたいと思います。
 先に申し上げましたとおり,各小委員会への委員の分属につきましては,後日お知らせいたしますが,各小委員会では,本日の意見も小委員会に関わる意見もございますので,その意見も踏まえて検討を行っていただきたいと思います。
 最後に,事務局から連絡事項についてお願いいたします。
【永山著作権課長】
 本日はどうもありがとうございました。
 次回の本分科会の開催でございますけれども,各小委員会における検討状況,また,本日いただきましたご意見も踏まえつつ,また分科会長ともご相談の上,日程調整をさせていただきたいと思っております。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【野村分科会長】
 それでは,以上をもちまして,文化審議会著作権分科会第30回を終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
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