過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第7回)議事録

(1)開会

【野村主査】
 それでは定刻が参りまして,まだ若干,お見えでない委員方もおられますけれども,ただ今から過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第7回)を開催いたします。
 本日はご多忙の中ご出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照しますと,特段非公開とする必要はないと思いますので,既に傍聴の方には入場していただいているところでございます。
 特にご異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

(2)中間整理に対する意見募集の結果について

【野村主査】
 それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことにいたします。
 さて,議事に入りますが,まず10月9日から11月10日にかけて実施しました中間整理に対する意見募集の結果について議論をしたいと思います。
 まず,事務局に人事異動があったようですので,その紹介と併せて配布資料の確認,意見募集の結果の報告をお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
 それでは,まず人事異動の報告の方からさせていただきます。
1月1日付けで,今まで弁護士として勤務しておりました池村聡が新たに著作権調査官として着任しております。
【池村著作権調査官】
 池村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
 引き続きまして,配布資料の確認でございますけれども,お手元の議事次第の下半分に配布資料一覧を記載してございますが,本日,資料として資料1から資料1-3,それから資料2,合計4点を配布してございます。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは引き続きまして,資料1の方でご説明をさせていただきたいと思います。
 資料1-1は,昨年10月1日の分科会でのご意見でございます。それから資料1-2が,意見募集の結果の概要をまとめたものでございます。資料1-3は,団体からの意見をそのまま掲載したものでございまして,主に資料1-1それから資料1-2に基づきましてご説明をさせていただこうかと思います。
 それでは,まず資料1-2の方で全体の意見募集の概略をご説明させていただきますと,10月9日から11月10日まで1カ月間意見募集を行いまして,意見総数は176でございました。例年どおり個人の意見が多く寄せられておりますけれども,ここ何年かに比べると比較的少ない数でございました。
 それで中身でございますけれども,資料1-2は年末,各委員に暫定版としてお送りしたものと内容をほとんど変えてございませんけれども,記載場所を移したり,重複があったものを削ったり等はしておりますので,多少変わってございます。
 なお,大量のものになりますので,意見のポイントだけざっとご紹介させていただきます。まず1ページからでございます。
 第2章の過去の著作物等の利用の円滑化の総論について寄せられた意見でございます。
 まず(1)のところでは,検討の視点,あるいは検討範囲についての意見が何点か寄せられております。主なものとしましては,放送番組の二次利用を前提とした検討では,範囲が限定され過ぎているのではないかというようなご意見,それから保護期間延長との関係では,利用円滑化については独立して議論を進めるべきというご意見がございました。また,利用円滑化は専ら制度ではなくビジネススキームの問題であって,他省庁とも協力して検討すべきだというような意見が寄せられました。
 それから(2)のところは,積極的に何らかの円滑化方策を行うべきだということで,中間整理にとどまらないご提案が何点か寄せられてございます。具体的には省略いたしますが4点ほどございまして,1点目は,「ネット法」構想を含めて検討すべきだという意見。2点目は,権利者不明にとどまらない裁定制度を作るべきだというようなご意見。3点目は,登録制度。あるいは4点目は,フェアユース。こういったものについてご意見が寄せられております。
 それから(3)は,逆に慎重に検討すべきだというようなご意見でございまして,1点目は,ビジネスモデルが生まれれば自然とコンテンツは流通するので,インターネット上の安全確保以外の部分については法制に頼る必要はないというようなご意見でございます。また2点目は,次の3ページにわたる部分ですけれども,民間での議論を待った上で検討をすべきだというようなご意見でございます。
 4ページ以降は,それの各論になりますけれども,多数権利者が関わる場合の利用円滑化について何点かご意見が来ております。
 1点目は,海外との比較で流通阻害が起こらないようにという観点で意見が来てございます。それから,その一番下のところでは,具体的な制度設計等に関する意見としまして,多数権利者が関わる著作物について,主たる著作権者を決めておくということを法制化すべきというようなご意見がございました。
 その次は,5ページ以降でございますけれども,権利者不明の部分に関しての意見が来ております。なお,権利者不明の場合につきましては,10月1日の著作権分科会でも意見が寄せられておりまして,まず資料1-1の方をご覧いただければと思います。
 大きく5点ほど意見が寄せられておりまして,1点目は,議論が膠着状態になっているという印象があることから,利用促進のための新たなシステムを作ることが急務なので,権利者・利用者お互いに自分の意見にこだわって話が進まないような状況になると,双方にとって大きな損失であるというご指摘がございました。それから2点目は,まとめて言うと許諾権を悪者扱いすべきではないというようなご指摘。それから3点目は,集中管理の促進,権利情報の整備・集約,それから契約締結促進と,こういった意欲が否定されないような方向で検討すべきというご指摘でございます。4点目は,具体的な制度の中身についてのご指摘でございましたが,裁定制度の創設については条約に抵触しないようにと。それから,権利制限型の設計については,制度が濫用されることのないように一定の機関に申告して利用情報を開示すること,あるいは事前の使用料の預託などを考えるべきと。それから,写り込みについては別問題だというようなご指摘がございました。などなどのご指摘をいただいております。
 それから資料1-2の5ページに戻っていただきまして,意見募集に寄せられたご意見でございますけれども,総論としましては,権利者不明の場合の制度の整備を進めるべきというご意見が,それぞれ最初の4点ほど来ております。それぞれ条件が示されておりまして,最初のご意見は,保護期間延長の問題と切り離すことなく検討すべきだというご指摘。それから3番目は,民間レベルの自助努力が損なわれないように留意して検討を進めるべきというご指摘。4点目は,利用者の利便性を考慮した簡便な仕組み,実運用における利便性を念頭において検討すべきというような条件をつけた上での賛成のご意見でございます。それから,下から2つ目の意見は,民間の議論の推移を見てから検討を進めるべきというご指摘でございます。
 それから,5ページの一番下から6ページにかけては,その他の制度についてのご提案のご意見でございます。まず,5ページの一番下は,権利の存続・消滅が不明の場合のケースについても検討を行ってほしいというご意見。それから,6ページの一番上は,写り込みの場合について,より具体的な検討を深めるべきというご意見。それから,その2番目の意見は,障害の有無に関わらず全国民が著作物にアクセスする環境を保障するような規定を早急に整備すべきというご指摘でございました。
 「イ」のところは,運用その他現行制度の改善に関係するご意見でございます。
 (1)のところは,権利者情報の管理に関する意見としまして,幾つか寄せられておりますが,概ね権利者情報の管理をもっとしっかりすべき,あるいは義務化をすべきという意見でございます。そのような意見が4点ほど来てございます。
 それから次の7ページでございますが,(2)は,権利者不明の場合の裁定手続について,これを円滑化すべきという意見でございます。1番目の意見は,現行制度の権利者探査のための「相当な努力」という文言が抽象的で,これが負担を大きくしているというご指摘でございまして,「権利制限」あるいは「第三者機関による免責」のいずれの案を採用するにしても,「相当な努力」の内容を明確化すべきというご指摘でございます。それから,2番目の意見は,A案,B案いずれかではなく,裁定制度の円滑化について再検討すべきというようなご指摘でございました。そういったご意見が何点か来ております。
 それから,8ページの方は,今回中間整理で書かれました新たな制度的な対応についての意見でございまして,(1)はA案,権利制限型を中心として検討すべきというご指摘。これが何点か来てございます。主たる理由としては,(1)の2番目の意見でございまして,B案は第三者機関についてこれを懸念する意見でございます。
 (2)はB案,第三者機関で事前支払いを必要とするという制度設計,こちらを中心とすべきという関係の意見でございます。それの1番目は,A案では事前に捜索したことの証明,使用料の支払いが不要であって,ハードルが低く濫用の懸念があるというご指摘でございます。2番目は,予め利用に関する対価をプールしておくことが最も現実的というご指摘でございます。
 (3)は,折衷的な案を考えるべきというご意見でございまして,次のページの9ページの上の方でございますが,一定機関への事前申告は使用料相当額の事前支払いを義務付けるということが必要だというご指摘でございます。そのページの一番下のご意見も,第三者機関には反対ではあるけれども,データをとっておくこと,それから供託金の請求について考えていくような制度設計がいいというご指摘でございます。
 引き続きまして,次はアーカイブの関係でございますけれども,こちらも10月1日の分科会でもご意見寄せられておりますので,まず資料1-1の方をご覧いただければと思います。
 資料1-1の下の方でございますけれども,アーカイブの円滑化につきまして分科会で寄せられたご意見として,2点ほどございまして,1点目は国立国会図書館における複製の関係につきまして,保存ということと並んでその後利用させるということも念頭に置かれていて,実は保存というものではないのではないかという観点から,慎重に取り扱っていくべきというご指摘がございます。それから2点目のご意見は,国会図書館では所蔵資料の酸性化が進んでいて,これの対応が急務であるということから,慎重に審議といっても,この部分については早急に対応しなければならないというご指摘でございます。
 それから,資料1-2の10ページの方へ戻っていただきまして,意見募集で寄せられたご意見でございますけれども,まず「ア」のところは,アーカイブという概念をもっと広く捉えるべきだという観点からのご指摘でございます。1番目のご意見が代表的でございますけれども,検討されているアーカイブの作成主体が狭いということから,民間あるいは個人が主体となって非営利で行われるようなアーカイブについても検討すべきだということ。2番目も同様に,公私問わず様々な場所でコンテンツを共有することを,アーカイブと捉えてシステムを作っていくべきだというご指摘でございます。以下,同様の意見が何点か寄せられております。
 11ページに参りまして,国会図書館でのデジタル化についてのご意見でございます。
 (1)は,デジタル化すること自体についての意見でございまして,1番目は,国会図書館が納本された資料について直ちにデジタル化複製できることを明確化すべきというご指摘で,中間整理と大体同じ方向のご意見でございます。それから2番目は,既にデジタル化された資料の複製は必要ないということを考慮すべきというご指摘でございます。
 それから(2)は,デジタル化された後の資料の利用についての意見でございまして,それを抑制的に考えるべきだという観点の意見でございます。それが何点か来ておりまして,11ページの一番下のご意見は,下3行ぐらいですけれども,国会図書館でデジタル化された資料の地方図書館での閲覧利用は,著作者・出版社が存続できる制度を用意してからやるべきだというご指摘でございます。
 それから,12ページのご意見は,1番目の2段落目辺りでございますけれども,館内の閲覧利用については同時アクセスの人数を制限すべきということ。それから館外利用については,それを可とするにしても,商業出版と競合することは一切行わないこととすべきというご指摘でございます。その下のご意見は,国会図書館の各館の間でのデータ送信につきまして,映像資料は含まないということを明記してほしいというようなご指摘でございます。
 その13ページに参りまして,今度は逆に,デジタル化された資料の利用を促進していくべきという方向でのご意見が何点か来てございます。
 まず1番目のご意見は,まずメタデータについてはインターネットから閲覧できるようにすべきという意見,それから,将来的にはデジタルデータそのものを図書館利用者に提供することについても検討されるべきというご指摘でございます。といった観点でのご意見が複数参っております。
 それから下から2つ目,それから一番下のご意見は,障害者関係の配慮をすべきだということで,関係者間協議でも障害者の参加を求めるような声も寄せられております。
 それから,14ページの「ウ」のところにまいりまして,こちら国会図書館以外での資料のデジタル化などについてのご意見でございます。まず,媒体変換に関する意見が2点ほどございまして,それから3点目は,国会図書館以外の図書館でもデジタル化を認めるようにすることを検討すべきというようなご指摘でございます。
 こちらについては以上でございます。
 それから15ページに参りまして,その他の課題としまして,意思表示システムについて検討を進めるべき,あるいは民間に任せるべきというようなご意見が来ております。それから,その他としまして,障害者の関係の対応を急ぐべきだというご指摘も来ております。
 利用円滑化方策については,以上でございます。
 引き続きまして,保護期間についてのご意見でございます。
 まず,また分科会の方からご紹介いたしますと,資料1-1の2ページでございますが,保護期間の在り方について4点ほどご指摘が寄せられてございます。
 1点目は,議論していくうちに保護期間が切れてしまう作家について考えておくべきだというご指摘でございます。2番目は,再掲で省略いたします。3番目,4番目,これは実演家あるいはレコード関係についての保護期間についても積極的に検討すべきというご指摘でございます。
 資料1-2 16ページに戻っていただきまして,意見募集の結果のご紹介をいたします。
 ここから先,30ページぐらいまで,15ページにわたって意見が寄せられておりますけれども,非常に多くの意見ではございますが,内容としましては,正直,中間整理で触れられているような多様なご意見が,こちらでもやはり多様に寄せられているという状況でございまして,全部紹介していると切りがないということもございまして,個別の紹介は省かせていただく部分が多くなるかと思いますけれども,ご容赦いただければと思います。
 ざっとご紹介いたしますと,16ページの「ア」は,検討の視点に関する意見ということで,1点目は,経済面の議論に終始すべきでないというご意見。それから3点目は,ビジネスの実際をよく調査して,具体的な事例などに立脚した議論を進めるべきというご指摘でございます。
 それから,次の「イ」のところは,保護期間延長に賛成する意見ということで,諸外国との調和などを中心に何点か賛成の意見が寄せられてございます。
 それから,17ページの「ウ」は,逆の方向で慎重な検討をという,あるいは反対というような意見でございます。こちらも多様なご意見が寄せられておりますが,個別の論点に関わる分については,また後ほどご紹介します。こちらでは2番目のご意見で,例えば両論併記となっているけれども,それに至る根拠は示していないのではないかというご意見が寄せられてございます。その他のご意見は,後で法律論点のところでご紹介をいたします。
 20ページに参りまして,各論点ごとの意見でございます。
 「ア」のところは,国際的な制度調和の観点からのご意見でございまして,国際的調和に積極的なご意見ということで,特に文化・産業の両面で密接な関係にある欧米諸国の70年に合わせるべき,というような1番目のご意見を初めとしまして,そのような観点からのご意見が次のページからざっと続いてございます。
 逆に,22ページからの(2)からは消極的なご意見でございまして,例えば2番目のご意見のような,欧米でも著作権制度に疑問の声が寄せられているというご指摘もありまして,国際的な調和について否定的なご意見が幾つか寄せられてございます。
 それから,23ページでございますけれども,こちらは文化創造サイクルに関係するご意見でございます。
 (1)は,延長効果に肯定的な意見ということでございまして,専らコンテンツ事業者,あるいは関係事業者が絡んだ文化創造サイクルに関係して,肯定的なご意見が幾つか寄せられております。内容については,中間整理と概ね同様のご指摘でございます。
 それから,次のページの(2)は,否定的なご意見ということでございまして,例えば2番目のように,インセンティブが高まるということであれば具体的な数値が必要だというご指摘などから,反対のご意見が何点か来てございます。その他のご指摘も,大体中間整理に書いてあるような反対意見と同じような意見でございます。
 それから25ページ,「ウ」の部分でございます。
 こちらは,パブリックドメインにすることによって文化創造が起こるのだという観点からのご指摘でございます。
 ここはちょっと賛成・反対の区分を設けるのを忘れてしまったのですが,最初の2点が,公有によって効果があるということに否定的なご意見でございます。保護期間内の作品であっても再創造が行われることがあるという観点から2点,これは公有による効果の否定的なものでございます。3番目からは,パブリックドメインにすることによって効果があるのだというご指摘でございまして,例えばその3番目のご意見では,コンテンツの中身で判断すべきであって,プロかアマかということを区別すべきではないという観点のご指摘でございます。あと,インターネット流通との関係でも幾つかご指摘が寄せられております。
 それから,27ページでございますけれども,こちらは人格的利益の関係,あるいは平均寿命との関係についての意見でございます。
 最初の1点目は,人格権との絡みでございますけれども,改変の実態との関係で延長賛成のご意見。そこから下,2番目からは反対のご意見ございまして,孫世代あるいは遺族への不労所得との関係から反対するようなご意見が何点か寄せられてございます。
 それから,27ページの一番下から次のページにかけては,死後の利益ではなくて,現に今生きている創作者への支援というものを中心に考えていくべきだというご指摘が何点か寄せられております。
 それから,28ページの「オ」は,折衷的な方策を探るべきという意見でございまして,一律延長には反対で,個別の著作物ごとに考えるべきだというようなご指摘でございます。
 ポイントだけの紹介でございましたが,保護期間本体についての意見はそのような形になってございます。
 それから,29ページは関連する課題でございますけれども,まず「ア」の映画の著作物の保護期間関連でございます。
 1番目は,死後起算とすることについての反対のご意見でございまして,著作者全ての生死を確認することになって管理が事実上不可能になると,ということから反対のご意見でございます。それから2番目は,公表後70年に延長された効果を検証すべきというご指摘でございます。
 それから,その次の「イ」は,著作隣接権の保護期間についての意見でございまして,1番目は,3行目付近ですが,楽曲創作・実演・原盤製作,この3者の保護期間を同一水準とすべきというご指摘でございます。その次も延長賛成のご意見でございます。それから,その次のページが,反対のご意見も何点か寄せられてございます。
 それから「ウ」の戦時加算については,1番目で保護期間延長のタイミングが戦時加算解消の実現をする数少ない好機であるというご意見。それから一番下は,戦時加算は逆に時間がたてばなくなるので,急いで取り組む必要はないというご指摘でございます。
 31ページからは,今後の議論の方向性についてのご指摘でございます。
 「ア」は,利用円滑化方策と保護期間の関係についてのご意見でございます。
 1番目は,利用円滑化方策と保護期間延長は別個のものとして議論されるべきだというご指摘でございます。それから3番目からは,70年に延長することは海外制度との調和にあるのであれば,利用に関する制度も海外並みに整えるべきだというご指摘でございまして,同様な意見が幾つか来ておりますが,どこを見直すべきかということで,上から4番目の意見は,障害者に対する情報保障の環境整備は諸外国並みにすべきだという点。その次は,刑事罰の関係,その次は,カラオケ法理などの関係など,見直すべき点が個別に指摘をされてございます。
 それから32ページの最後は,それと逆の方向でございまして,権利を弱める方向の改正が妥当なものかどうかは,その制度が対象とする権利との強さの関係で評価されるべきという観点から,外国の事例に倣って権利を弱めるのであれば,権利の強さについても同様にすべきだというような,逆の方向からのご指摘も来てございます。
 それから33ページは,今後の議論の進め方についてのご意見でございます。
 1番目は,中間整理の最後の方向性に賛成のご意見でございまして,二者択一の形ではなく,それぞれのメリットを両方とも受けられるような方法を含めつつ検討すべき,という方向に賛成のご意見でございます。それから2番目は,保護期間延長のメリットがある少数の著作物,それ以外の多数の著作物があるという点について,これはこのような著作物の価値分けを行うのは著作権法の考え方に合わないのではないかというご指摘でございました。それから3番目は,延長すべきという意見と慎重に議論すべきという意見と,お互い結論ありきで議論がかみ合っていないように感じるということから,引き続き議論を重ねることが適当というご意見でございます。逆に,そのページの下から2番目付近からは,これ以上議論しても仕方がないというご指摘でございまして,例えば34ページのご意見では,今後も検討を続けるのであれば,新たな理由と根拠が提示されるべきだというご指摘でございました。
 それから35ページは,保護期間そのものというよりはその他の関係する課題についてのご指摘が,これを機会として寄せられておりまして,最初の3点,これは障害者福祉関係の課題について,一日も早い法改正の実現を要請するというご意見でございます。それから4点目は,美術著作物について「追及権」の導入を検討すべきだというご意見でございます。関連してこのような意見も寄せられてございます。
 長くなりましたが,以上でございます。
【野村主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ただ今の意見募集の結果についてご意見,ご質問がありましたら,お願いいたします。
 いかがでしょうか。
 津田委員,どうぞ。
【津田委員】
 これ多分,間違いだと思うのですけれども,24ページの(2)の最初のところの意見というのは,多分入れる場所が間違って,(1)ではないかと思われるのですが。
【黒沼著作権課長補佐】
 そうですね。誤りのようです。申しわけありません。
【野村主査】
 ほかに何かご意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。

(3)著作権分科会への報告案について

【野村主査】
 それでは,意見募集の結果については以上にしまして,次の議事に移りたいと思いますが,例年のことですけれども,任期末の分科会への報告の時期が近づいておりまして,そこで本小委員会としての報告について審議をお願いしたいと思います。
 まず,事務局から報告案の説明をお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
 それでは,資料2をご覧いただければと思います。
 まず,「はじめに」のところをお開きいただきまして,そちらを基に,この報告書をどのような考え方に基づいて作っていくのかというところについて,考え方をご紹介させていただこうかと思います。
 毎年,年度末の分科会に,例年それまでの検討の成果なりを報告するわけでございますけれども,今年度は中間整理の後,意見募集をやっていたということもございまして,10月に報告したところからあまり委員会も開催しておりませんので,10月の分科会で報告した分と重なる部分が非常に多くなってございます。一方で,意見募集はございましたけれども,それと併せて行いました意識調査の結果もまだまとまっておりませんので,どのような報告にすべきなのかということで考えたのですけれども,1ページの一番下の3行,これにこの報告書のコンセプトを,このような形でどうかということで記載をしてございます。
 読み上げさせていただきますと,「本報告書は,これまで2期にわたる本小委員会における検討について,結論が得られた課題と今後も検討が必要な課題を整理するとともに,今後も検討が必要な課題については検討の経過と論点を示し,今後の更なる検討の一助とする」と。このようなコンセプトで,今までの2年間の到達点を整理して分科会にご報告するというような形にしてはどうかと考えてございます。
 ご意見をいただければと思います。
 それで,具体的な構成としましては,次の左のページの目次をご覧いただければと思いますけれども,3章立てにしてございまして,構成としましては中間整理をそのまま引き継ぐような形でございまして,大きく第1章を3つのセクション,それから第2章と,合計4つに分けまして,それぞれ中間整理の内容を要約しつつ,その後に「まとめ」という部分を置くということで状況を総括するという形の構成としてございます。最後に,第3章で今後の方向性を書いてという形でございます。全体で十数ページございますけれども,ほとんどの部分は中間整理の要約で構成されているという形でございます。
 それでは2ページから,具体の記述についてご紹介をさせていただこうかと思います。
 2ページでございますけれども,これは円滑化方策についての部分でございまして,最初の十数行は全体の状況をざっと総括したものでございます。利用円滑化方策につきまして,こちらの中ほどの(1)から(4)の4つの課題を検討したわけでございますけれども,そのうち(2)と(3),権利者不明の場合と,アーカイブの円滑化について一定の方向性を打ち出したということを記載してございます。それらにつきましては,何らかの措置を講ずべきということにつきまして異論は少なかったということで状況の整理を書いてございます。
 その次の第1節,各論に入りまして,権利者不明の場合の円滑化でございますけれども,1「検討の経過とその概要」の部分は,これは中間整理の要約をしているところでございます。そして,次のページから並べておりまして4ページまで続いております。
 復習がてらざっと結論部分をさらっておきますと,4ページの部分でございますが,上の方に書いてございましたが,民間の取組が引き続き充実強化されることを前提としつつ,その取組を補完して,最終手段としてのセーフティネットとしての制度的措置を用意するというのが基本的な考え方であるということと,中ほどから下の部分は具体的にどのようなものを検討したかということで,(1)は,権利者捜索の相当の努力をして一定の機関に申告した上で,事前支払いを不要として使えるというような制度,それから(2)は,第三者機関に使用料相当額を支払って使うというような制度。それについてご指摘が,その次の「○」のところでございまして,折衷的な形態を考えるべきというような指摘ですとか,あるいは著作隣接権の裁定制度を設けることによって対応するという選択肢も考えるべきというご指摘もございまして,中間整理の結論としては,4ページの一番下ですが,いろいろな指摘も踏まえて制度の詳細を検討しつつ必要な制度的措置が行えることが必要という結論でございました。
 5ページが「まとめ」の部分でございますけれども,これに対する意見募集では,早期に対策を講じるということについて異論が少なかったということを記載しまして,そのほかいろいろと寄せられた意見,先ほどご紹介したようなもののエッセンスを記載してございます。最後の5行がまとめでございまして,本小委員会としてはこれらの指摘を含め,あるいは法制問題小委員会で早期に実現すべきと指摘されたことも踏まえて,権利者不明の場合の制度について,必要に応じ検討を行うとともに,現行裁定制度の手続の明確化も含めて,可能なものから早急に制度的措置が実施されることが適当という形でまとめてございます。
 その次の第2節は,アーカイブの部分でございます。
 こちらも同様の構成にしておりまして,1 「検討の経過とその概要」というところで,中間整理の内容の要約をしてございます。
 結論部分をさらっておきますと,8ページの「まとめ」の冒頭のところに,更に要約のようなものが書いてございますけれども,中間整理の中では,国会図書館において納本された後にデジタル化できるよう法的な措置を講ずることが必要という一方で,そのほかの資料の利用方法,あるいは国会図書館以外でのデジタル化については関係者間協議を進めて,法的な措置が必要であれば可能な部分から立法の措置を講じていくことが適当ということにしてございました。その後の意見募集におきましては,いろいろとアーカイブ像そのものなどに関するご指摘などもございましたけれども,国立国会図書館において納本された後にデジタル化できるように法的措置を講じること自体についての異論は多くないということで総括をしてございます。
 そして,最後のまとめ4行でございますけれども,指摘を含めて引き続き協議をすべきとした課題については引き続き検討が行われることが適当であることともに,国会図書館においての法的措置については早期に実現されることが適当という形でここを締めてございます。
 第3節は「その他の課題」でございますけれども,1番目「○」は,多数権利者の関係の課題。それから2番目の「○」は,意思表示システムに関係する課題。3番目の「○」は,権利制限についてのもの。それぞれ中間整理の要約をしてございまして,まとめとしては最後の4行でございますけれども,これらの課題については,中間整理において直ちに法的措置に結びつくような結論の方向性が得られているわけではないということで,検討状況の整理をしておりまして,その後の意見募集においても引き続き検討を求める意見も寄せられており,今後とも民間の取組,その他の状況の変化を踏まえて必要に応じて検討を行っていくことが適当という形で締めてございます。
 それから,第2章の保護期間の部分でございますけれども,こちらも構成としましては概ね一緒でございまして,1 「検討の経過と主な論点」というところで,これまでの検討の経過と,それから中間整理の概要について要約をしてございます。要約の仕方としましては,中間整理の第3章の保護期間の部分は,対立する意見も全て列挙する形にしてございましたけれども,その列挙部分を削りまして,どういう争点が残っているのかという部分を残すというような形で,分かりやすく今後の論点を記載したという形で要約をしております。
 詳細は省略いたしますけれども,まとめの部分に参りますと14ページでございます。
 14ページの3のまとめの部分でございますけれども,こちらは概ね中間整理の結び方と同様のものにしております。具体的には,1番目の「○」は,論点ごとにメリット・デメリット等の意見を整理したけれども,それぞれ意見の一致が見られていない状況にあるという状況の整理をしてございます。また,その後に行った意見募集においても賛否双方の意見が寄せられており,概ね同様の構図となっているということでご紹介をしております。
 その次の「○」は,メリットを受けられる少数であるが価値の高い著作物と,それ以外の多数の著作物双方があるという認識については,委員会の大勢であるということ。それから,著作物の全体をとらえた場合のメリットをどう評価するかについては合意が得られた状況ではないという状況の総括。
 それから最後は,今後の検討の視点でございますけれども,各論点で主張された双方のメリットに対して,それぞれ別の方策によって対応すべきではないか,あるいは折衷的な対応が考えられるのではないかという観点も含めて検討を深めるべきだということでまとめております。
 第3章は,今後の方向性についてのまとめでございますけれども,それぞれを総括するような文章にしてございまして,2段落目ですが,保護期間の在り方については小委員会としての意見集約に至っていないということ。それから,利用円滑化方策については,権利者不明の場合の利用円滑化,それからアーカイブ活動の円滑化について一定の方向性が得られた部分があるということをご紹介しまして,これらに関しては所要の措置を早期に実施に移すべきということにまとめてございます。
 その次は,今後の検討の視点でございますけれども,「保護期間の在り方については」という一文については,左のページと同じことをもう一度繰り返してございまして,最後の「また」のところから,更に記述を付け加えてございます。
 また,そのような観点から利用円滑化方策や今後の文化支援施策の在り方についての議論の動向,意見募集に併せて行われた意識調査の結果の分析も踏まえて,著作権法制全体として保護と利用のバランスの調和のとれた結論が得られるよう検討を続けることが適当ということで,こちらは中間整理をまとめるときに,今後のクリエーター支援の在り方などにも議論していくべきだというようなご指摘があったことと,それから意見募集で併せて意識調査を行っておりまして,今後,その分析は取りまとめられる予定になっておりますので,そういうことも踏まえて更に検討を続けることが適当ということで記述を付け加えてございます。
 以上でございます。
【野村主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,事務局のただ今の説明につきましてご質問,ご意見ございましたら,お願いしたいと思いますが。
 いかがでしょうか。
 渋谷委員,どうぞ。
【渋谷委員】
 保護期間の延長に関連する課題についてということですが,14ページですが,14ページの一番下の段落に,「また,各論点で主張された双方のメリットに対して,それぞれ別の方策によって対応すべき」「折衷的な対応策が考えられるのではないか」とこういうことが書かれておりますが,欧米では70年に延長した国が多くあるわけですけれども,そのときにその期間を延長するのだけれども,その対応策として何かうまい仕組みを考え出すという,そういった折衷案的な考え方というのは,欧米の諸国であったのかどうか。今後の検討課題ですから,我々がその折衷的な対応策を考えていくのでしょうけれども,先例があったのかどうか,あるいはありそうだということでこのような記述になっているのか,その辺を教えていただきたいのですけれども。
【黒沼著作権課長補佐】
 諸外国で延長の際にどのような措置が講じられたのかという部分につきましては,中間整理では詳細に記載をしてございまして,中間整理の6ページぐらいから具体的に記載をしておったんですけれども,例えば,新たに権利制限措置を講じるとか,権利者不明の場合の制度について何らかの措置を講ずる,検討が行われている等々の状況をご紹介してございます。
 諸外国については,そういった形でございましたけれども,今回,中間整理に向けてこの小委員会でご意見が出たものとしては,そのほかに,公的な支援で対応すべきではないかというようなご指摘ですとか,あるいは権利制限措置の拡充で対応すべきだというようなご意見はあったかと思います。詳細については,中間整理に委ねるような構成にしていますので,今回の報告書では詳細は省略したという形でございます。
【野村主査】
 それでは,ほかにご発言いかがでしょうか。
 瀬尾委員,どうぞ。
【瀬尾委員】
 今回の報告書の中で一つ,その権利者不明の場合のアプローチについてのことがございました。これに関しては,今までのように法律を改正するという観点だけではなくて,制度的な仕組みも含めてアプローチを考えたという点で,私は今回非常によい議論ができたのではないかなと思っております。ただ,非常に緊急性の高いテーマではないかなと思いますので,この点に関して,やはりその仕組みの在り方とか内容も含めまして,より緊急にかつ濃い議論をしていかなければいけないのではないかなというふうに思います。
 これと,実はアーカイブとの関連ですけれども,実はこの仕組みの中で不明であることをどういうふうに担保していくのかと,どうしたら不明だという部分というのが,実は今まで議論が足りていなかった部分ではないかと思います。ですので,これと実はアーカイブというのは,かなり密接なつながりを持っているのではないかなと思いますので,今回国会図書館ということがメインになっておりますけれども,国会図書館のアーカイブも含めて,アーカイブとこの権利者不明の場合の対応策というのは,関連付けての論点もあるのではないかと思っております。そういうふうな意味では,この報告書を前提にして,より緊急な検討を重ねていったらいいのではないかと思いました。
 これは意見でございますので,この報告書自体の変更に関するものではございません。
 以上です。
【野村主査】
 ほかにご発言いかがでしょうか。
 梶原委員,どうぞ。
【梶原委員】
 この5ページのまとめのところですけれども,権利者不明のところですが,最後の段落のところで,権利者不明の場合の制度については,「必要に応じ引き続き幅広く検討を行う」となっていますけれども,ここの権利者不明の場合はA案,B案,あるいはその裁定制度の見直しということで,かなり論点は絞られてきていると思うのですけれども,更にまた「幅広く検討」というその「幅広く」というのはどういったことをイメージされているのか,ちょっとお聞きしたいなと思います。
【黒沼著作権課長補佐】
 こちらにつきましては,「必要に応じ」ということも付けてはおりますけれども,「可能なものから早急に制度的対応」を実施する等のセットで記述をしているつもりでございまして,直近の法改正に向けて,今,作業をしているわけでございますけれども,そこにどのような制度を盛り込めるのかについては,関係省庁ともいろいろ調整をしている最中でございまして,今回提言されたもののうち,どこまで早急なものとして盛り込めていくのかというのがまだ見えていない状況でございますので,そういった状況を見ながら,それに応じてまた必要があれば幅広に検討が行われるべきだというような,そういったセットで読んでいただければと思っております。
【野村主査】
 よろしいでしょうか。
 ほかにご発言いかがでしょうか。
 渋谷委員,どうぞ。
【渋谷委員】
 先ほどの質問の続きですけれども,今のご指摘のあった権利者不明の場合の制度ですけれども,これは,保護期間延長の論議とやはり関連させた形で置いておくという姿勢なのでしょうか。章が分けてあるから,もう別々の問題として扱っているというような感じを受けるのですが,当初,この小委員会で検討を始めたときは両方関連付けて議論するということだったのですが,現在はどういう位置付けになるのでしょうか。
【黒沼著作権課長補佐】
 関連としましては,同じ小委員会で議論をされているということで,それぞれ関連が全くなくなるということでないとは思っております。そういう意味で,今回,権利者不明のものは早急に制度的対応を実施すべきということで,一方で保護期間の方は引き続き検討ということで,切り離されているようには形上はなってございますけれども,一方で保護期間のところで,今後の方向性については,どのような利用円滑化方策が講じられたかということも踏まえて検討を行うということになっておりますので,その意味では関係性は引き続き残っているのではないかというふうに思っております。
【渋谷委員】
 そうしますと,今回は権利者不明の場合のこの措置は,立法化されそうな情勢にあるわけですね。そうすると,そっちが先行して,後から保護期間の延長という問題が出てくるのですけれども,我々受け取る側からすると,それは別々の問題だというふうな印象が非常に強くなって,この間,権利者不明の場合のその措置をとったから,だから保護期間延長対応策になっているでしょうというような議論は非常に通りにくくなるのではないかという心配をするのですが,その点はどういうふうにお考えになるんですか。人間の心理として,そう動いていくだろうと思うのですが。
【黒沼著作権課長補佐】
 いずれにしても,著作権保護法制全体として保護と利用のバランスがとれたように議論を進めていくというのが,この小委員会での概ねの方向性だと思いますので,その時点でどういう措置が立法化されているか。この権利者不明に限らず,例えば法制問題小委員会でもいろいろな権利制限とか議論されておりますし,そういったものを含めて,その時点でのバランスをどう捉えていくかという観点で議論がされるのではないかと。そういう方向で議論すべきだというのが,この小委員会の議論の方向性だったのではないかと思っております。
【渋谷委員】
 では,その当初のスタンスを忘れないように,いつまでも維持されることを望みます。最終目標に向けて,そういうスタンスをとり続けるということを望みます。
【金委員】
 今の渋谷委員の著作権者不明と保護化延長の関係性については,渋谷委員自身はどういうふうに捉えていらっしゃるのか,ちょっと考えを聞かせていただければと思います。
【渋谷委員】
 私は成り行き任せみたいなところがあって,事務局の方でこういう案を出して,こういう案で行きたいということであれば,その案についてできるだけ建設的な意見を述べたいと,そういうことであります。基本的には,私,保護期間は延長すべきだと何度かこの委員会でも発言しておりますから,そういうような姿勢ではおりますけれども,自分の姿勢そうだからといって,小委員会の結論がそうならなくてはいけないというような,そういう固い姿勢はとっておりません。
【野村主査】
 ほかにご発言いかがでしょうか。
 里中委員,どうぞ。
【里中委員】
 一応,報告案として出されるわけですが,ちょっと危惧しておりますのは,前回でしたか前々回でしたか,保護期間を延長するのかしないのかということについて,保護期間延長は見送られたという結論のようなニュースが新聞,テレビなどで報じられました。ですから,表現って難しくて,まだ決定していないものを,もうこう決まったのだというふうにメディアに受け止められることも少し問題ですし,メディアの皆さんにその辺よくご理解いただくような発表の仕方に留意していただきたいということと,これまで,みんなそれぞれがそれぞれの立場でそれぞれの考えで一生懸命話し合ってきたと思うのですが,時間が長くかかったことが悪いことではなく,これだけ慎重な問題なのだということがアピールできれば,著作権問題についての国民全員の意識も高まるかと思いますので,発表の仕方よろしくお願いします。
 また,その場合,我が国は我が国独自の価値観から著作権問題を理解するという,そういう態度表明も必要かと思いますので,今後どうなっていくか分かりませんが,我が国独自の新しい,世界の著作権の処理に対してお手本となるような何かいい制度なり何かが考えつくようでありましたら,そういうことも含んだ上で,将来もっと,今後もっと真剣に取り組むのだという姿勢の表明みたいなものも含めて,報告案として外部に発表していただければうれしく思います。よろしくお願いします。
【野村主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ほかにご発言いかがでしょうか。
 まだ時間は十分ございますけれども,報告案は大体これでよろしいということでしょうか。
 それでは,いろいろご意見ございましたけれども,特に大きな修正意見はないということでございますので,報告書案につきましてはご了承いただいたということでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 その他,ご発言等ございますでしょうか。
 特にご発言ないようでしたら,まだ時間がかなりございますけれども,本日は予定した議題は,以上でございますので,このぐらいにしたいと思いますが,事務局からご連絡あればお願いします。

(4)閉会

【高塩文化庁次長】
 失礼いたします。本件,著作権分科会の過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会を終えるに当たりまして,一言お礼を申し上げたいと思っております。
 この小委員会におきましては,今日,報告書ということでまとめていただきましたけれども,主といたしまして過去の著作物の利用円滑化の問題,更にアーカイブの活動の円滑化の問題,更には保護期間の在り方の問題について,大変精力的にご議論していただきました。このことにつきまして厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 本日,先生の方からもご指摘ございましたように,事務局といたしましては,これら3つの課題についてまとめて結論を導きたいというふうに考えておったわけでございますけれども,この小委員会の目的の1つでございます保護期間の在り方につきましては,結論が得られなかったということについて大変残念に思っている次第でございます。しかしながら,各種のご指摘もございましたように,文化庁といたしましては,この問題につきましても今後とも全力で取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので,先生方におかれましても引き続きのご指導,ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第でございます。
 委員の皆様方におかれましては,大変お忙しい中,並々ならぬご尽力を賜りましたことを改めて感謝申し上げまして,御礼の言葉とさせていただきます。2期にわたりまして本当にお世話になりました。ありがとうございました。
【野村主査】
 それでは,これで第7回の過去の著作物の保護と利用に関する小委員会を終わらせていただきます。
 本日は,どうもありがとうございました。

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