文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第5回)

日時:平成28年2月22日(月)
10:00~12:00
場所:文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

議事

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
    2. (2)クラウドサービス等に係る円滑なライセンシング体制の構築について
    3. (3)平成27年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について
    4. (4)その他
  3. 3 閉会

配布資料一覧

資料1-1
華頂委員提出資料(269KB)
資料1-2
笹尾委員提出資料(66.9KB)
資料1-3
河崎氏提出資料(188KB)
資料1-4
吉村氏提出資料(207KB)
資料2
平成27年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(案)(224KB)
参考資料1
ヒアリング出席者一覧(24.2KB)
参考資料2
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(69KB)
参考資料3
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な意見(150KB)
 
出席者名簿(52.4KB)

議事内容

【土肥主査】それでは定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第5回を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますが,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 それでは,事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

【秋山著作権課課長補佐】お手元の議事次第,真ん中から下半分のところを御覧ください。配布資料といたしまして資料1としまして,華頂委員,笹尾委員,河崎様,吉村様の御提出資料を用意しております。資料2としまして本小委員会の審議の経過等について(案)と題する資料。それから参考資料3点,それぞれ記載のとおり御用意しております。不備等ございましたら,お近くの事務局員までお知らせください。

【土肥主査】では,初めに議事の進め方について確認しておきたいと存じます。本日の議事は,1,「クリエーターへの適切な対価還元について」,2,「クラウドサービス等に係る円滑なライセンシング体制の構築について」,3,「平成27年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議経過等について」,4,「その他」となっております。早速ですけれども,1の議事に入りたいと思います。
 クリエーターへの適切な対価還元につきましては,前回の本小委員会において私的録音に係るクリエーターへの対価還元の現状を把握するためのヒアリングを行ったところでございます。今回は私的録画に係るクリエーターへの対価還元の現状について,委員及び有識者の方々に御発表を頂き質疑応答を行いたいと,このように思っております。
 そのため,本日は3名の有識者の方々にお越しいただいておるところでございます。紹介させていただきます。スカパーJSAT株式会社,放送技術主幹,河崎様。

【スカパーJSAT(河崎氏)】スカパーJSATの河崎でございます。本日はよろしくお願いいたします。

【土肥主査】よろしくお願いいたします。
 HJホールディングス合同会社,職務執行者社長,船越様。

【HJホールディングス(船越氏)】船越です。よろしくお願いします。

【土肥主査】よろしくお願いいたします。
 東映株式会社,コンテンツ事業部長代理,吉村様でございます。

【東映(吉村氏)】東映株式会社,吉村と申します。よろしくお願い申し上げます。

【土肥主査】お願いいたします。
 それでは,映画業界全体の現状につきまして,華頂委員より説明を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【華頂委員】映連の華頂でございます。
 資料1-1,お手元の資料に沿いまして,ワンソース・マルチユースを基本といたします,商業映画のビジネスの概要を御説明させていただきます。映画ビジネスの最初のウインドーは皆さんも御案内のとおり,映画館で行う興行でございます。せっかくですから1月末に毎年当連盟の方から記者会見を開催いたしまして発表しております,昨年2015年の映画マーケットの統計数字を簡単に御説明させていただきます。
 この資料の下段の方にございます表ですが,そこを御覧いただきたいと思います。まず入場人員,1億6,000万人強,それから興行収入が2,171億1,900万ということで,震災の前の年に2,200億を超えまして,2000年から興行収入という形で発表数字を出しておりますけれども,その年が15年間でナンバー1でございました。去年はそれに次ぐ数字,2,170億ということで,震災の年にがくんと興行収入は落ちたんですけれども,そこから徐々に回復をしてまいりまして,ようやく震災前の新記録の数字に近付いてきたというような状況でございます。
 それから数年来,もともとどこの国もそうですけどもハリウッドメジャーを中心とした洋画がその国内のマーケットでは強いんですけれども,日本は数年前から邦画の方が逆転をしまして邦画のシェアが多くなっております。去年は洋画も非常に頑張りまして,55対45というようなことになっております。
 それから平均の入場料金なんですけれども,御存じのように大人1,800円,学生1,500円,高校生1,000円,いろいろ割引もありましたりして平均入場料金は去年は1,303円と,これも初めて1,300円台の大台に乗ったということでございます。大体ここ数年1,200円台でうろちょろしていたんですけれども,ようやくというか何というか,1,300円台に乗ったと。
 これは理由がありまして,4DX,4D,遊園地感覚の体感するような椅子に座っていろいろな,水しぶきが飛んできたり椅子が動いたりする。あれが入場料金が高額で,高額というか少し普通より高く設定してありまして,それが非常に高稼働をしたということで,それがこの平均入場料金を押し上げたのではないかと考えられます。
 それから公開本数なんですけれども,一番下にスクリーン数書いていますが,昨年の年末で全国に3,437スクリーンございます。これもここ数年来ずっと増加をしておりまして,今年もまた増加傾向にあるというようなスクリーン数ですが,1年間52週間で3,437スクリーン,そこに公開本数,洋画,邦画含めまして1,136本と,本当にこれだけ公開しているのかなと思うんですが,デジタルになってからこの公開本数も急激に伸びまして去年の1,184本が一番多い年ですが,それに次ぐ,今年も1,100本を超えているというような状況でございます。
 以上,御説明申し上げましたが,映画興行のマーケット,ここ15年ほど国内の一般的な景気のよしあしに余り左右されずに2,000億円を一つの基準にして上振れしたり,下振れしたりしている状況でございます。
 ページをおめくりいただきまして,引き続きまして商業用映画の流通とそれに伴う私的複製の範囲でございますけれども,まずもってこの委員会の前身,通称録録小委の頃から都度縷々(るる)申し上げてまいりました映画ビジネスの原理原則を,改めまして御説明させていただきながら説明したいと思います。
 商業用映画作品が完成をいたしますと,その時点では映画製作者が投下した資本が投入されているだけの製品にすぎないと。映画ビジネスの製品といいますのは,映画作品の完成後,原版,マスターデータからの複製頒布によりまして商業上映を行い,引き続き二次的な商業利用,DVDなどのパッケージ販売,テレビ放送,配信等を促進することで投下資本をリクープいたしましてどこまで収益の最大化を図れるか,これに掛かっております。
 ビジネスが順調に推移して利益を得ることができた場合でも,その利益は次の映画作品の生産につなげる大切な原資となります。これが百有余年連綿と続いてまいりました映画ビジネスの原理原則でございます。
 このような映画ビジネスを大過なく遂行するために映画製作者はビジネス上のあらゆる局面で,第三者による複製を禁止しております。つまり商業用映画のビジネスは映画制作者が完成原版を主体的にコピーコントロールしながらマルチユースすることで成り立っておりまして,複製行為により海賊版が作成される場合はもちろん家庭内で複製物が保存視聴される場合であっても資本回収のために計画したマルチユースの各局面と衝突することになるからであります。
 この状況を回避するために,ここにも一番右側の方に書いてありますけれども,例えば映画館等における映画の盗撮,これは映画の盗撮の防止に関する法律,平成19年に立法されましたけれども,これにより私的複製禁止,それからDVD等のパッケージ商品につきましてはDRMにより私的複製はできないと。それから映画配信も同様にDRMによりまして私的複製はできないという措置を講じております。これらの複製禁止措置につきましては社会的にもコンセンサスが得られているため,不都合が生じたことは今までございません。
 そのような中で唯一映画製作者がコントロールできない複製は,昔も今も変わることなくテレビ放送から大量に行われる複製でございます。それでお示ししております資料でございますが,ただいま申し上げたワンソース・マルチユースの映画ビジネスを図解したものでございます。まず第1次利用として興行会社と上映契約をいたしまして映画興行を行います。それ以下は2次的な利用になりますけれども,例えばパッケージビジネスにおきましては製造・販売事業者,これと頒布・複製許諾契約を結びまして,その販社がパッケージ小売店と販売契約を取り交わしてセルの販売を行いまして,一方ではレンタルショップ,ここは貸与許諾契約に基づきましてレンタルを行っていると。放送事業者は無料放送と有料放送に分かれておりますけれども,それぞれと放送許諾契約を結んでテレビ放送をしています。
 それから急激なデジタル技術の発達とインターネット環境の整備によりまして,映画の動画配信事業も今後有力なビジネスとして期待されているところでございます。放送と配信ビジネスにつきましては,この後,さらに詳細な御説明があると思いますので,私からはこれぐらいにさせていただきます。
 最後に,資料の右側をもう一度御覧いただきたいと思います。繰り返しになりますが,コピーネバーを基本とする映画ビジネスにおきまして,唯一私的複製が行われる領域は放送からの録画でございます。そしてその複製物はデジタル技術の向上に伴いましてマスターデータと同様のクオリティーに進化している状況でございます。
 私からの御説明は以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。ただいまの御報告への質問を含め,質疑応答は全ての御発表の後に一括して行いたいと思っております。
 それでは,業務形態ごとの現状についての御説明をお願いしたいと思っております。まず放送について笹尾委員にお願いし,続いて有料放送について河崎様より説明を頂戴したいと思います。まず,笹尾委員にお願いいたします。

【笹尾委員】民放連の笹尾でございます。お世話になります。よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございます。
 私からは資料1-2でございますが,「放送コンテンツ(局製作番組)の流通と対価の支払いについて」という資料を基に御説明を差し上げます。これは民間放送のものでございますので,当然ながらNHKさんはまた別のスキームがあるということを申し上げます。非常に小さい図になってしまって申し訳ないのですが,下の図1枚で御説明を申し上げます。
 真ん中の辺に放送事業者というのがありまして,上に著作者,実演家,レコード製作者,いわゆる権利者の方々,それから下に消費者とありまして,このレイアウトに関しましては,すみません,私のこのエクセルの技術のゆえでございまして,放送事業者はこの消費者という方々のことは一般的には視聴者,番組の制作に関わる者はお客様というふうに呼ばせていただいておりますので,今日は私,お客様という言い方でやらせていただきます。あんまり受けませんね。
 それでこの図の見方でございますが,ブルーのラインというのがそれぞれ提供されるもの,赤のラインというのがそれに対する対価であったり支払いであったり,ある面,収入であったりという流れになっております。
 まず,放送一般のことについて御説明申し上げますと,こういう放送をしよう.こういう番組を作ろうというときに,権利者の方々から使用許諾であるとか,実演を提供していただいたりですとか,こういう形でこのブルーのラインが成り立つわけでございます。放送事業者は様々な方々と一緒に放送というものを作りまして,これは一番左側の列を見ていただくとお分かりかと思いますが,このブルーのラインで放送番組を作り,それをお客様に無料で提供するという形になっております。
 ここで見ていただきたいのは,民間放送,広告放送でございますので,いわゆるコマーシャルというものを提供し,これに対して広告主様から広告料という形でお金を頂戴すると。これがいわゆる民間放送の基本的なスキームとなっているわけでございます。
 右の欄の一番上にもちょっと記述してございますが,通常その放送事業者が番組を作るために権利者の皆様から許諾を頂いたりするのは,それで使用料等を支払ったりするという,その範囲は,この一番左の放送に関するものでございます。もちろんその他いろいろな利用まで含めた契約等も存在いたしますが,原則的には一番左の放送のみです。この当初の範囲を超える,つまりこの図でいきますと真ん中の列の楕円形の右側のいろいろな利用,ここまでの利用に当たっては別途許諾を得ていくということをしております。
 その別途の方をちょっと見ていただきます。例えばDVDの販売ですと,放送事業者はその番組に関する使用許諾等を出し,それがDVD化されてお客様の手に渡る。お客様が購入代金として対価が入り,そのままその一部が放送局にも入ってきて,それが許諾を出してくださった権利者の方々まで赤線をたどって流れていくという形になっております。
 これが右の方に行きます。有料配信ですとか無料配信というものが出ております。有料配信の場合はお客様から頂くのが配信料,利用料的なものになり,ということですね。それから一番右の無料配信なんですが,これは見逃し配信というような形で昨今キー局を中心に非常に増えてきております。これに関しましては,基本的には放送事業者が自ら行うもので,CM,コマーシャルが付いたものでございますので一番左の放送と同様の流れになると。これに対する対価的なものというのは,広告主様から頂戴するものということになるわけでございます。
 一番下の欄に本小委員会でも課題となっております,私的利用,いわゆる録画の部分が書かれているわけでございますが,この点関しましては当初の許諾範囲というのは放送を行うまでであることに加えて,権利制限も働くということでこの様々な利用料等の対象には含まれておりません。
 「ビジネス面から見ると」というのを加えさせていただきました。広告で生きている民間放送でございますので,録画をしていただいていろいろとたくさん番組に触れていただく,見ていただくというのはとてもありがたいことなんでございますが,反面,コマーシャルを飛ばされるというリスクも高いんですね。これは純粋に営業面から考えますとマイナス要素にもなるということを書かせていただいております。
 それから一番下は,今ちょっと御説明をしました在京の5社を中心に見逃し配信がかなり頻繁に行われるようになりました。ようやくということもあるかもしれません。これは無料のもの,それから有料のもの,両方ございます。放送された後,ごく一部放送前というのもありますが,放送された後に番組を正規に配信を通じて視聴していただくという環境を改善していこうということで,これが今,進んでいるところでございます。
 配信に関しましては,有料,無料を含め権利者への支払いというのはさせていただいておりますが,当然ながら録画視聴,いわゆる私的な録画視聴に関しましての支払いはないということになります。
 この表自体が非常に無機質なものであって何とも言えないところなのでございますが,放送というのは権利者の方々を始め,様々な方々と,放送事業者との共同作業ということになります。そういう意味では何とかして血の通ったものをお客様にお届けするということをやっているよというのが,この図でございます。
 最後にちょっと余計なことかもしれませんけれども,本委員会でもいろいろな議論をしていただいておりまして,放送に関しましてはどうしても公共性であるとかサービスという側面で語られていることも多いんですけれども,その側面というのは全く間違っておりませんで,放送にとっても非常に大切なものです。公共性の塊でありますし,恐らく民間放送連盟に加盟している社の1人1人が,私たちは報道機関だという,その矜持を持って制作をしていると思うんです。その中に流れているものというのは,今申し上げましたようにいろいろな,様々なパートナーの方々とそれこそ身を削るような思いをして作り出してきたもの。それが流れているのです。公共性という中でそういうものが流れているんだということに関しまして,もう一度思い起こしていただければと思います。
 以上で私の報告は終わります。

【土肥主査】ありがとうございました。それでは,続きまして河崎様より御説明をお願いいたします。

【スカパーJSAT(河崎氏)】スカパーJSATの河崎と申します。技術を担当しております。お手元の資料の1-3で,本日は有料の衛星放送のコピー制御の運用規定,運用ルールと実際の運用の状況を御説明いたします。資料のスライド番号が右下にありますけれども,表紙の下側,スライドの2で簡単にスカパーJSATについて御説明します。今日,有料衛星放送の説明をする前提が,この部分でございます。
 スカパーJSATという会社は,衛星の通信事業と有料の多チャンネルの事業をやっておりまして,本日はこの有料の多チャンネル事業の方が関係します。有料の多チャンネル事業の中で二つの事業者として運用していまして,一つはプラットフォーム事業者,これは何かといいますと,視聴者と放送事業者の間に入って顧客管理,番組情報の提供,加入促進などの業務を行って,多チャンネルの有料放送サービスを提供するといういわゆるプラットフォームですね。一般の方から見ると,スカパー!というのはこのプラットフォームの部分を見られていることが多いところになります。
 一方,プラットフォームの中の一部のチャンネルについては,放送事業者として例えばBSスカパー!というチャンネルを持っていまして,自社のチャンネルを提供したりしております。
 その下半分に,スカパーJSATで現在やっている有料放送サービスは大きく三つあるんですが,そのうち最初はBSと110度CSデジタル放送,こちらがスカパー!と言っているものですね。それからもう一つは,別の軌道にあるCSがありまして,124度/128度CSデジタル放送というのがありまして,こちらはスカパー!プレミアムサービスというのでやっております。こちらはハイビジョンがほとんどですけど,昨年4Kのチャンネルも始めてございます。あと最後,これは衛星ではないんですけど,光ファイバーを使った放送,地上の回線放送というのもやってございます。
 これを前提にめくっていただいて,スライドの3番でまず技術的にどういうルールでコピー制御を運用しているかということで,運用規定というのがございますので,そちらを御説明いたします。
 スライドの3番の上側で,現行の有料衛星放送の運用規定は幾つかあるんですけど,現行の2K以下,2K以下というのはハイビジョンと標準画質の放送ですが,2K以下の放送には,コピー制御に関して次の運用規定があります。一つはBS/110度CSデジタル放送というのがARIBと書いてありますけど,これはアライブと読みますけど,このTR-B15,BS/広帯域CSデジタル放送運用規定というのがあります。
 一方,先ほどのもう一つの衛星,124度と128度のCSデジタル放送のスカパー!プレミアムと言っている方は,これは弊社の内規を使って運用規定が決めてあります。注がありますけど,このプレミアムサービスでは4Kのチャンネルを既にやっているんですけど,これは弊社の内規と次世代放送推進フォーラムで既に決められている運用規定を併用して行ってございます。
 以上のようなものがあるんですが,こういう複数の規定はあるものの,現在やられている2Kが主体の放送ですけど,現行の有料衛星放送のコピー制御は,このARIBのTR-B15というのが基本になっています。同じ内容でルールが決められているということですね。なので,これを下半分で御説明しますと,このARIBのTR-B15,BS/広帯域CSデジタル放送運用規定のコピー制御の部分ですけれども,まずこの運用規定はデジタル放送推進協会,Dpa,ディーピィーエーとかディーパとか呼ばれている団体が策定して,電波産業会,ARIBですね,ARIBの技術資料として発行,公開されているものです。
 このB15と呼ばれているものの第8編にコンテンツ保護に関する運用規定というのがありまして,無料放送と有料放送の区別とか,コンテンツ保護をするか,しないか。あるいは有料番組の販売形態によってコピー制御の運用条件が決められています。
 この中でとり得るコピー制御の選択肢としては全部で四つありまして,コピーフリー,制約条件なしにコピーできる。あるいはダビング10,個数制限コピー可。それからコピーワンス,1世代のみコピー可。コピーネバー,コピー禁止というものが,4通り選択できるようになっています。ダビング10とかコピーワンスは御存じの方がほとんどだと思うんですけども,ダビング10は例でいうとハードディスクに録画した番組からブルーレイなどのメディアに最大10枚までコピーが作れる。ただ,10枚コピーを作っちゃうと,ハードディスクには残りませんという仕組みですね。コピーワンスの方はハードディスクに録画したら,メディアなんかには1回だけ移動して,移動してしまうとハードディスクにはもう残らないというルールですね。
 実際,ARIBのTR-B15がどう書かれているかというと,その下半分,スライドの4番ですけど,これは該当の部分のコピーというか,その該当部分を引用して,そこにそのままですと分かりにくいので,通称の片仮名を書き込んでございます。大きく黒で囲ってあるところが,有料放送。これは横の行が「ペーパービュー」という行と,「月決めなど有料放送」という行が2段ありますけど,ペーパービューというのは一つの番組とか特定の番組群に対して視聴料を支払う,そういう有料放送の売り方でございます。それから月決めなどの有料放送,これが一番普通の毎月視聴料幾らという形で支払っていただいているものでございます。
 一方,縦の列が4列。全部で5列ありますけど出力保護というところは,今回は直接関係ありませんので,コピー制御に関しては4列ありまして,制約条件なしにコピー可というのがいわゆる通称「コピーフリー」,それから1世代のみコピー可というのが通称「コピーワンス」,コピー禁止が「コピーネバー」,それから右端の個数制限コピー可というのが「ダビング10」になります。
 この表は有料の規定としては黒い枠の中なんですけど,その下がコンテンツ保護を伴う無料番組,これが一般にはRMPとか言われています,無料放送,あるいはNHKさんの公共放送も含めたものでございます。それから一番下の上記以外というのは,こういった保護を伴わない,ノースクランブルでも構わないという放送の場合ですね。
 ということでこの表を見ていただくと,有料の場合,ほとんど運用可というのが付いているんですが,月決めなどの有料放送の場合はコピー禁止はできないとルールが決まってございます。
 次のページに行きまして,スライドの5番にこの表を単純にまとめただけですけど,有料放送で番組単位で購入する番組,ペーパービューについては,コピーフリー,ダビング10,コピーワンス,コピーネバーの四つが,どれを選んでもいいというルールになってございます。有料の月決め契約のチャンネルについては,コピーフリー,ダビング10,コピーワンスまで,コピーネバーはできないというルールになってございます。これは単に前のページの表をそのまままとめたものでございます。
 ここから先が現行の運用の御説明になるんですが,実際の運用状況はどうなっているかといいますと,コピー制御は,もちろんチャンネルや番組によって違う可能性があるんですけれども,一般の視聴者の方,加入者の方が録画するときに分かりやすいように電子番組表,EPGですね,EPGとか番組ガイド誌などで周知されている情報になります。
 最初に御説明したスカパーJSATがプラットフォームをやっているチャンネルについて大まかにまとめると,有料の衛星放送の月決め契約のチャンネルは,ほとんどがコピーワンスで運用されています。
 ただ,有料の中には番組単位で購入する番組,ペーパービューで販売されている分もありますので,それについてはコピーネバーもありますし,コピーワンスの運用も両方ございます。
 あとは有料ではないんですけど,一部の無料放送,プラットフォームの中にもプロモーション用のチャンネルとか,あるいはショッピングの専門チャンネルもございまして,これはもともと有料とは違ってスクランブルを掛けずにコピーフリーでやられているものも少数ですがございます。これは有料放送とは違う事業形態にはなります。
 最後のスライド,6番が「権利処理の関係」ということで題は付いておるんですけれども,最初のところに書かせてもらいましたけれども実際の権利処理については個別の契約になりますので,皆様御存じのとおりで一般論しか御説明できない内容なので,それを前提に書かせていただきました。
 これも非常に詳しい方々がそろわれていると思うんですけれども,有料放送事業者がその番組コンテンツを調達して放送する場合は,コンテンツの調達自体は放送事業者と権利者の個別の契約になります。あと自社で制作する場合も,当然同じように幾つかの契約に基づいていると思われます。
 これはもう完全に一般論ですけど,コンテンツの調達契約にはいろいろな条件が関係していると思われます。これは,契約する範囲は放送メディアがBSなのか,CSなのか,あるいはネット配信なのか。あるいはそれらが複数まとまっているのか。それから当然これらに独占か,他社でも放送できるのか,できないのかとかも絡んできますし,それから放送形態としてはいつから,これは特に映画などではいわゆるウインドーという考え方で,映画の封切り,パッケージメディアの発売に対して放送の開始日時というのが当然絡んできますし,それから1回切りなのか,再放送を何回できるのか,いつまで再放送できるのかとか,いろいろあると思います。その中にコピー制御も含まれるわけでして,それでもって最後に当然全体として経済条件があると思われます。
 この具体的な契約内容については説明のしようがないので,外から分かる内容で御説明すると,最後の御説明になりましてこれは当たり前といえば当たり前ですけど,コピー制御の運用状況から多くの場合,有料衛星放送では月決め契約のチャンネルはコピーワンス,それからペーパービューの場合はコピーネバー又はコピーワンスの放送を前提に権利処理,調達契約がされていると思われます。
 私からの説明は以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。それでは,次に動画の配信事業に関しまして,ストリーミング型配信について,船越様,その後,ダウンロード型の配信について,吉村様より御説明をお願いしたいと存じます。まず,吉村様からお願いいたします。

【東映(吉村氏)】それではお手元に「映画コンテンツのESTサービスについて」という資料がございますので,こちらに沿って御説明を申し上げたいと思います。まず,映像配信のビジネスモデルということで,巷間四つのパターンがあると現在では分類されておりまして,これから御説明するESTはElectronic Sell-Throughという視聴権を販売する形,いわゆるユーザーの方がお金を支払ってデータを自分のものとして所有をする。その視聴権を自らのものにするというモデルになっています。
 それからその下にあるのはティーボッドとTVODというものですが,これはTransactional VODという形で,都度課金のVOD,これはイメージとしてはレンタルのDVDのようなもの,ディスクを伴わないレンタルと御理解いただければよろしいかと思います。
 それから,昨今非常にサービスが急成長しておりますサブスクリプション型のVODですね。一定額,月額幾らというような形で複数のコンテンツが見放題で見られるというモデルで運営をされているもの。
 それから先ほども御説明ありましたように,AVODといういわゆる無料で広告主がついて視聴者の方は無料でコンテンツを視聴できるというモデルです。今現在大まかにビデオオンデマンドと言われているサービスは,この四つの形態で運用されているということになります。
 この中でとりわけ映画の収入が大きなものといたしまして,ESTのサービスがございます。これは先ほど申し上げましたけれども,どちらかというとパッケージの従来のセルと,それに置き換わるようなサービスとイメージいただければいいかと思います。お手元に具体的なディスクが残るわけではないんですが,同じ映画をお金を払うことで見続けることができるということにおいては,ほぼ代替のサービスになろうかと思っております。
 大体の概要ですが,現在新作はかなりちょっと価格にばらつきがあり,ほぼ2,500円から4,000円ぐらいの価格帯の中で設定されております。その下のカタログというのは過去の名作や,新作から一定期間を置いて改めて値を少し下げて提供するというもので,こちらも事業者さん,コンテンツホルダーの販売戦略もあり,大体1,000円前後のお手軽な価格から2,500円ぐらいの価格までというような中で動いております。
 視聴方法につきましては,大きく分けて2通りございます。一つはダウンロードのみで展開する方式。これはユーザーが個人で持っているデバイスにデータを落として,それを再生する,ローカルで再生するという視聴の仕方を推奨するものです。これに関しては,先ほど申し上げたように視聴権を購入したという前提で,例えばデバイスにも保存容量の制限とかありますので,一旦入れておいて,後々見てから消して,改めて見たいというときに再ダウンロードという形でデータを落とすということが可能になっています。
 使用デバイスについても,これも各サービス事業者さんである程度幅があるのですが,大体複数の手持ちのデバイスを登録して,複数の端末で視聴することが可能になっています。例えばスマートフォンに落として,それとは別にもう少し大画面のタブレットの方にもデータを落として視聴するというようなことが可能になっています。いずれのサービスでも,基本的にファイルコピーができないということになっています。外部メディアでの書き出し,それからデバイス間でのコピーというものも基本的には不可となっています。
 ここに「一部のサービスにおいて」とありますが,これはソニー様が提供されているプレイステーションのサービスにおいて,特定のメディアにのみムーブという形で持ち出しができますが,純粋な意味でのコピーはできません。
 それから二つ目の方式として,先ほどのダウンロードとストリーミングを併用するものもございます。これは,あえてデバイスにダウンロードしなくても,Wi-Fi環境の整ったところ,通信環境のいいところで直接事業者さんのサーバーにアクセスをしてその作品を見るということができます。併せて,そのデータを端末に取り込むことも可能ですので,視聴環境に応じてストリーミングで見る,若しくは通信環境の悪いところではローカルで再生するというようなことを併用して使うことができるというものです。
 この場合の制限ですが,一つは複数デバイスで同時再生をするということに制限が設定されている事例が多いです。これは考え方として複数の人間が同じIDを使い回すことを防ぐためということで設定されているものです。それから基本的にストリーミングで送信をされている際のデータは横からコピーをとるというようなことはできないような形で送信時のコンテンツ保護が行われております。
 視聴端末については,ほぼ全ての事業者様がマルチデバイス対応となっており,スマートフォン,タブレット,テレビに差し込んでデータを転送するという形のドングル端末でのテレビ視聴というようなもの。それから最近増えてまいりましたスマートTVですね。そもそもインターネットに対応しているテレビにおいては,当初から各事業者さんのアプリがインストールされておりまして,テレビでも視聴ができるというようになっております。
 その下の簡単な図解ですが,ここで大事なのはユーザーの方と事業者さんの間に認証という機能があります。これが先ほど放送権を販売するという御説明を申し上げましたが,ローカルにしろストリーミングにしろ,作品を視聴しようというときには必ずその視聴者本人のIDと事業者さんの登録情報を裏で付き合わせるという仕組みが走るようになっています。ですので,ユーザーの方については購入されても,基本的にはそのサービスに登録をし続けていただくということが前提となります。今のところ,会員登録をしている,若しくはその事業者さんが指定する視聴プレーヤーなりアプリをインストールしているという前提があれば,この視聴認証に関しては新たに費用が発生しないモデルが標準となっております。
 一番下に書きましたが,主要サービスは,ダウンロード方式の代表がアップル様が展開されているiTunes Store,それからグーグルさんのGoogle Play。ストリーミング併用方式の方はアマゾンさんのサービス,それからソニーさんのPlaystaion Video,それからツタヤさんが提供されているTSUTAYA TVなどというものがストリーミングもダウンロードも併用できるという形になっております。
 基本的にはユーザー様が支払う視聴価格から,コンテンツホルダーは事業者様からレベニューシェアなり,それから固定の幾らの価格帯のものは幾らの卸価格というような契約に基づいて配分を頂くというようなモデルが標準となっているということでございます。
 すみません,ちょっと駆け足になりましたが,以上で終わらせていただきます。

【土肥主査】ありがとうございました。
 それでは,最後になりましたけれども,船越様,よろしくお願いいたします。

【HJホールディングス(船越氏)】月額定額サービス,Huluを運営しておりますHJホールディングスの船越といいます。お手元に今日は資料をお配りしませんでした。
 Huluの説明をさせていただきますと,今,吉村さんから説明がありましたように我々はサブスクリプショナル・ビデオ・オンデマンド,月額定額制,Huluにおいては933円払っておよそ3万本のコンテンツを見ていただくというサービスになっております。2011年9月1日にサービスが始まりまして2014年4月1日に日本テレビが事業を承継いたしました。現状は四半期ごとに会員数を発表させていただいておりまして,直近12月末がおよそ120万人ということでほぼアクティブに動いておりまして,これだけで掛ける1,000をすると月額12億円の売り上げがありまして,その全部とは言いませんけれどもかなりの部分を権利者様にお返ししているというところで,それなりの一定の規模にはなってきたかなと思っております。
 これから御説明することでありますけれども,我々のサービスは先ほど御説明ありましたようにストリーミングサービスでありまして,コピーネバーです。一切,コピーもダウンロードもできないということになっております。
 日本のサブスクリプショナル・ビデオ・オンデマンドですけれども,スタートはHuluがスタートしたんですが,その後,ドコモさん,エイベックスさんがやっているdTVであるとか,あるいはUULAであるとか,大阪有線さんがやっているU-NEXTであるとかという出自があったんですけれども,HuluあるいはNetflixというところが入ってきて,これもかなり進むのはマルチデバイス化だと思います。Huluにおいてはこれらの端末で見ることができます。上がスマートテレビです。今日はあえて企業名は伏せましたけれども,ソニーのブラビアであるとか,パナソニックのビエラであるとか,LGであるとか,下に行きますとキャスト機能ですね。グーグルのCastであるとかNexus Player,あとはビデオコンソール,PlaystationであるとかWii経由で見ることができます。いろいろなものがありますけれども,Apple TVであるとかいうもの,それからもちろんそうですけれども,アンドロイド,iOS,iPad,そしてパソコンというところで,いろいろなデバイスでいろいろ見られるということになります。
 DRMに関してなんですけれども,基本はサードパーティーといっております一般のDRMを使います。DRM技術に関して言いますとこれはハリウッド基準になっておりますので,世界でも最高峰のものです。テクニカルレビューというものをハリウッドの作品を入れるときには必ず本国,アメリカ本国のテクニカルなレビューを受けなければいけませんで,DRM的にはかなり高いレベルだと思います。
 ただ,これ一つ大きな問題としてはデバイスごとに対応しているDRMが違いますので,先ほどいろいろなマルチデバイスが出てきましたけれども,ほとんど全てが多少違うというDRM技術を投入しなければならないとなります。ここは一つ大きな開発の壁にもなるんですけれども,それを一つ一つクリアしていくことが現状必要というところです。Third-PartyのDRMを使っておりますが,個々に最適化されながらDRMを使っていくということになります。
 古い機種,特に2011年,始めた頃は特にそうだったんですけれども,古い機種におきましてはThird-PartyのDRMが使えないという機種もありましたので,その場合にはHulu独自のDRMというもの,通信の暗号化とデバイスのキャッシュ不可などの技術を組み合わせたものを使っておりました。現状はThird-PartyのDRMを使っているものがほぼ全てです。一番Huluが見られているのはスマートテレビ経由,あるいはゲームコンソール,Apple TVを経て,いわゆるテレビデバイスを経由して見られる方が多いんですけれども,そこのDRMというのが破られたということは現状まだ報告が上がってきておりません。
 Huluからは以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。
 それでは,質疑応答と意見交換に移りたいと存じます。華頂委員から最後の船越様までの御発表について,御質問等ございましたらお願いをいたします。
 すみません,榊原委員。

【榊原委員】御説明ありがとうございました。大丈夫ですか。
 質問させていただきたいんですけれども,まずスカパー様にお伺いしたいと思います。資料でいいますと5ページと6ページ,特に6ページでしょうか。調達契約で様々な条件が関係するということでコピーフリー,ダビング10,コピーワンス,コピーネバーというコピー制御が関係するというようなことを御説明いただいたんですけれども,こういうその他の条件も当然契約条件で影響すると思うので,コピー制御だけでどうなのかということはおっしゃられないのかもしれませんが,やはり価格にこういう条件を置かれることで影響が出ているのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 それからほかの方にも質問をさせていただきたいんですけれども,一緒にした方がよろしいでしょうか。

【土肥主査】どうぞ,はい。

【榊原委員】民放連の笹尾委員に,このスライドの前提として局制作の番組前提だということなんですけれども,調達番組では何か異なる点があるのかということをお伺いしたいと思います。
 3点目が,映連の華頂委員に。コピーワンスとダビング10で調達条件に差が出るのかどうかと。スカパーの方にお伺いする質問と類似なんですけれども,についてお伺いしたいと思います。

【スカパーJSAT(河崎氏)】スカパーJSAT河崎です。御質問はスライドでいうと主に6ページですね。コピーワンスとかコピーネバーとかによって実際の調達契約にどうというか,具体的にはお金が絡んでくるんですかという御質問だと思うんですけれども,これはまさに個別の契約なので私どもはよく分からないんですね。有料放送ですので加入者の方から放送事業者は当然視聴料を頂いておりますので,それを基に最終的には権利者との経済条件が決まっていっていますので,お金の流れがあるのは分かるんですけれども,個別のこの番組がこうだから幾らがコピーワンスの分というのはよく分からないところです。
 ただ,一言だけ言えるのは,先ほど御説明した運用規定の中でコピーネバーにしようと思うと,コピーネバーで放送するというのはペーパービュー,若しくはペーパービューをペーパーデイという売り方もあるんですけれども,1日単位で売るとかいう,要は番組を特定して売るという販売方法にしないとコピーネバーができないので,そういった形で放送の運用をコピーワンスにするのか,コピーネバーにするのかによって売り方が変わってくるというのは明らかですね。その中で本当に繰り返しになりますけど,コピーできるかできないのか。あるいはコピーワンスなのか,場合によってはダビング10なのかによってどこまでそれが最終的な調達契約に反映されているかというのは,私の方からはお答えできないところでございます。よろしいでしょうか。

【榊原委員】ありがとうございます。コピーワンスやダビング10で一般的にダビング10の方が高くなるとか,そういう傾向というのは全くないものなのでしょうか。

【スカパーJSAT(河崎氏)】ここで何か具体的なお話ができればいいんですけれども,まずひとつ,すみません,プラットフォーム事業者としてはそれは放送事業者さんと権利者さんの契約の問題なのでお話できないのと,あと自社で調達契約,制作もやっておりますので自社チャンネルでは当然そういうことはあるんですが,これはもう完全に当事者の機密ですので,そこまでは何とも言えませんね。これは一般論でお話できればいいんでしょうけど,私からはお話しかねるところでございます。

【土肥主査】では,次は笹尾委員でしたか。

【笹尾委員】局制作と局制作番組の御説明を差し上げたわけですが,調達番組の場合はどうかという御質問だったかと思います。
 調達番組の場合は,放送事業者が,例えば映画等が一番分かりやすいかと思いますが,そういうものの放送権を許諾してもらって放送するということになります。ですので,この資料の図でいきますと,放送事業者の上に調達先というのがあるということになるのかな。その調達先の上にその調達元の方々がそれぞれの権利者から許諾を得ているということになるかと思います。
 すみません,ちょっとこれは私から申し上げるのもあれなんですけれども,今のスカパーさんのところの御質問に関しまして,コピーネバー,コピーワンス,ダビング10のところなんですけれども,いわゆる有料放送事業者様は私たち民間放送では全く考えられないぐらいの,心臓が飛び出すぐらいの非常に高額な契約,例えば世界的なタイトルマッチとかですね,分かりやすく言うと。こういうものもやっていらっしゃいますので,そういうときにペーパービューとかお使いになるということであって,有料放送事業者さんは先ほどの御説明にもありましたが基本はコピーワンスということだと認識しております。
 以上です。

【土肥主査】ありがとうございます。それから。

【華頂委員】私ですか。

【土肥主査】では,再度お願いします。

【華頂委員】榊原委員の質問は冒頭に出ましたスカパーさんの6ページの契約の状況だと思うんですけれども,我々は,私も今日もまた重ねてお話ししましたけれども,映画製作者という立場で言えば,もう第三者のコピーというのは先ほども申し上げましたように禁止をしています。それが原理原則になっております。ですけれども,地上波放送のダビング10,それから有料放送の基本的にはコピーネバーあるいはコピーワンス,これはその後行われているわけです。仮に有料放送さんと番組の契約,放送契約をするときにこのコピー制御のところは経済条件というよりも何ていうんでしょうか,ダビング10だったらこの番組は出せないという許諾権に関わってくる問題だと思います。たしか私が仄聞するところによりますと,ハリウッドメジャースタジオの映画はコピーネバーでなければ有料放送さんにきっと売っていないと思います。ですから,ダビング10だから番組料が高くなるとか,そんなことよりも何よりも,邦画の場合もコピーネバーあるいはコピーワンス,これでやっていただかないと困るということで,ダビング10の提示があった場合はその番組は供給しないということにつながっていくと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。榊原委員,まだありますか。

【榊原委員】はい。あと,すみません,もう1点。お答えいただきました方,ありがとうございます。
 あと1点,聞き忘れたんですけれども,東映の吉村様の3ページ目で,基本的にはファイルコピーは不可だけれども,一部はファイル移動を許諾しているケースもあるという御説明を頂いたんですけれども,ファイル移動をなさっている部分については今までの質問と同じなんですけれども,そこが価格等に勘案されるということはあるのでしょうか。

【東映(吉村氏)】すみません,今の御質問なんですけれども,先ほど華頂様からのお答えにもありましたとおり,この部分というのはやっぱり契約において対価云々ということではなくて,逆にそういう仕様のサービスの事業者さんに対して作品を提供するかどうかというところの判断に当たる部分なので,同じように許諾権に関わるものだと思います。先ほど私が御説明した各種の事業者様,多少それぞれ,例えばデバイスの使用数に上限がある。2台で縛っている事業者様もあれば10台まで可能にされているところもありますけれども,こちらがそれぞれにおいて2台だからこういう条件,10台になったので単純に言うと5倍下さいみたいなお話を差し上げるかというと,そうではないです。基本的には全体的にその事業者さんがどういう形でユーザーさんに対してそのファイルを提供するか。そこに対してどういう保護を施しているかというところを相対的に見て視聴権の許諾を行うものであって,それに対して全体の経済条件という形のお取り決めをさせていただくということが多いですので,ここだけを捉まえて対価に,対価というか私どもからすると受け取る額になるんですけれども,そこに反映されるということは特にはないと認識しています。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかに御質問。
 はい,今子委員,どうぞ。

【今子委員】Huluを御提供されているHJホールディングスの船越様と東映の吉村様に御質問させていただければと思います。
 まずHuluの船越様なんですけれども,動画配信サービスが非常に発展しているということで,特にここ一,二年でSVODすなわちとサブスクリプションモデルが非常に発展しているということで,利用者から見ればかなり乱立しているような状況でもあるわけなんですけれども,こういったサービスの今後についてどのように見ておられるか教えていただければと思います。さらに発展していくのか,あるいは収束していくのか,別なサービスが出てくるのか,そういったところをお伺いしたいと思います。
 それから東映の吉村様ですけれども,ESTサービスについて御説明を頂きましたが,このサービスにつきましても今後の見通しといいますか,どのように発展していくのかとか,それから現状どのように,どれぐらい活用されているのか。そういったあたりを教えていただければと思います。

【HJホールディングス(船越氏)】今後の見通しに関しては,現状,業界全体が今は120%から130%で毎年伸びています。本当はもっと来るんじゃないかという方もたくさん識者の中にはいらっしゃったんですが,今年度もやはり恐らく3末で130%まではいかないのかなという伸びになっていると思います。
 業者乱立に関してはおっしゃるとおりで,昨年9月にNetflix,アマゾンが入ってきて,今後もアップルが入るとか入らないとかという話がありますけれども,現状その乱立状況にあってでさえ,120から130%伸びているというところで各社が事業を伸ばしているというのが現状です。これに関しては恐らく2020年ぐらいまではそういった状況が続くだろうというところですが,今日,隣にスカパーの河崎さんがいらっしゃっていますけれども,スカパー,WOWOWが300万人限界説みたいなところがあるので,どこかで踊り場が来るんじゃないかと予想している向きもありますが,これに関しては分かりません。正直,想像の域を出ないとは思います。
 ここからは私個人の思いになりますけれども,私,日本テレビにいる間に日テレオンデマンドもやりましたし,アドボッドもやってまいりましたけれども,マーケティングであるとか事業の進捗とかでいうとS-VODというモデルは非常に分かりやすくてやりやすいというのはあると思います。なので,アメリカでもHuluというのはもともとはアドボッドで始まったサービスだったんですけれども,現状はS-VODの方に事業展開を変えております。これはもうもちろん皆さん御存じのようにNetflixとアマゾン,インスタントビデオのせいでもありますけれども,あちらの方が明らかにビジネスモデルがいいということを感じたアメリカがそっちに振っていて,日本でも今それが伸びているということを考えますと,今後はこの事業が伸びていくのではないかなと思います。これは2020年を超えたところでどこかで踊り場が来るのかどうかというところが一つあります。新たなサービスが出てくるのかどうかということに関しては,何か出てきそうだったら教えていただきたいぐらいですけれども。これは多分に技術革新と非常に表裏一体があります。
 ひとつ,ちょっと長くなりまして一つだけあると,この我々の事業が始まる前に,T-VODが始まる前に,実は携帯のガラケーと言われているところでのサービスというのが非常に大きく伸びましたが,そのガラケーがスマホに変わった瞬間にそれらの事業者がばたっと一遍に全部倒れていきました。正直申し上げますと,スマホだけに頼っているビジネスをやっているとそういったことが起こらないとも限らないということも含めて言うと,将来のそのデバイス環境であるとかデバイスの発明であるとか動画を楽しむものは,また新たなものが出てくるというところでの新しいビジネスの発展あるいは改革みたいなことは起こるのではないかなとは思っています。

【東映(吉村氏)】すみません,ESTサービスについてなんですけれども,正直申し上げて今,現状の日本においてはESTサービスの売り上げというのはまだまだ低いところがございます。価格帯が高いということもありますし,その作品をどうしても見たいということ,多分にDVDを買うという所有欲のところと関わってくるんですけれども,現状,特に一般の劇映画に関しては,DVDの販売枚数といいますかセルの枚数が急激に落ち込んでいるという全体的な状況がございます。パッケージメディア全体はさほど下がることなく推移しているということはあるんですけれども,内訳を見るとほとんどが音楽系のパッケージ,それからアニメものというように特殊なジャンルに支えられているというのが実情でございまして,いわゆる一般に映画館で公開される劇映画というもののパッケージ販売というのはずっと落ちてきている状況がひとつございます。
 アメリカにおいてはもともとESTサービスというのがある程度市民権を得ておりまして,一つは価格帯が先ほど申し上げた日本の価格帯よりもはるかに安い金額で提供されているということと,もともとアメリカにおいてはツタヤさんであるとかゲオさんであるようなレンタルのモデルがもうほぼなくなっていること。今,日本に入られているNetflixさんも本国では宅配レンタルも併用してサービスされていますけれども,基本的には早い段階でパッケージレンタルという事業が衰退していったことと,それからテレビのインターネットの接続率がやはり日本と比較してはるかに高いということで,もともとHuluさんも成功した事例もありますけれども基本的にインターネットにテレビをつないでテレビでいわゆる通信でコンテンツを見るという生活習慣というのは割と早くから出来上がっていたということがアメリカの事情だと思います。
 特に日本においては,そういう事情を反映して洋画メジャーさんが日本国内においてもESTの市場を広げるということを今,命題として掲げられて各社さんが一生懸命やられているという事情はありまして,私ども邦画メーカーとしてもやはりパッケージの落ち込み,それから販売価格のこと,売り上げのことを考えますとESTのサービスを伸ばしていきたいと考えているというところでございます。
 なかなかこれにユーザーの皆様がついてこられるかどうかというところが,これからのお話だと思います。現状,サービスをしていてもいろいろユーザー様からのお声というのは頂くんですけれども,やはり一番のお声は価格が高いということです。要はパッケージの価格とさして差がないというところを問題にされることが多いので,やはり価格がこれから先,伸びていくためのキーポイントになるのかなと思います。
 それからもう一つは,使っていらっしゃる方と全く使われていない方との間に大きな差がありまして,これはESTに限らずなんですけれども,いわゆるVODを端末で見るというところにまず一つの障壁というか,一つの壁があるということを実感しているところです。要は端末で映像を見るというスタイルを生活の中に取り込めるかどうかというのが一つ。若い方はユーチューブを含めていわゆる無料動画を見て育った世代が増えていて余り抵抗感はないんですが,特に年配の方はなかなかここのハードルを越えることが難しいというのが一つ。
 それから若い方は,基本的にユーチューブとかで育っていらっしゃるのでコンテンツに対して対価を払うという習慣が全くないというかほぼ意識がない方が多くて,なぜお金を払うのというような根源的な問い合わせ,問い合わせというかクレームみたいなものを頂くことも結構ございます。コンテンツに対して正当な対価を払っていただいて,それがクリエーター,制作者に回っていくというようなモデルがあるということを認識していただくということも,今後の課題なのかなと思っております。

【今子委員】ありがとうございます。

【東映(吉村氏)】以上で,お願いします。

【土肥主査】ほかにいかがでしょうか。
 はい,小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】放送関係の方にお伺いしたいんですけれども,まずスカパーさんの資料の4ページを参考にしますと,こちらは今,現行のハイビジョンの放送の規定でございます。NexTVフォーラムで去年の12月に新しい4Kに対する運用規定というのが公開されておりまして,その中で月決めの有料放送と,コンテンツ保護を伴う無料番組においてコピー禁止のフラグを検討しているとも読み取れる表が出てきております。これはなぜそれを検討しているんでしょうか。またその検討するに至った背景というのは,どのようなものがあるんでしょうか。

【スカパーJSAT(河崎氏)】今,御指摘ありましたようにスカパーJSATの資料の4ページ目は現行の放送ですね。既に始まっている4Kの放送も含めて既に実用放送になっている部分はこれで運用しておりますという表です。いろいろ報道されていますから御存じのとおりですけども,NexTVフォーラム,次世代放送推進フォーラムさんでまさにこの部分が議論されておりますので,そうですね,何とも言いかねる部分ではございますけれども,議論が続いていると聞いております。
 もし,見直しがされるのであればこの表でいうと,御質問は月決めなど有料放送のところについての御指摘だったんですけれども,もともとこの現行放送の規定でコンテンツ保護を伴う無料番組,これがいわゆる地上波さんの無料放送,民放さんの放送でございますので,それと月決めなど有料放送というのはこれまでも同等な扱いでしたので,それで一緒にここが議論されていると思うんですけれども,そもそものそういう議論がされている前提については,フォーラムさんの中の話なので私からはお話できないということでよろしいでしょうか。すみません。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。
 河村委員,どうぞ。

【河村委員】先ほどの榊原委員の質問に対する華頂委員からの回答の中で,教えていただきたいことがあるんですが。たしかコピーワンスとダビング10で,契約等に違いがあるかという質問に対して,それは許諾に関することであって,コピーネバーじゃないとだめというものがあるというようなお答えだったと思うのですが,現行,コピーネバーの放送というのはペイパービューにしかないと思うので,ペイパービューじゃないと流せないものがある,という意味にとらえてよろしいですか。

【華頂委員】すみません,私が仄聞しているのはハリウッドの作品なんですけれども,これがペーパービューで要するに放送するときにコピーネバーが条件になっていると聞いております。月決めの有料放送というのは作品的にも非常に古い作品が多いので,そこら辺は月決めに出す場合には,コピーワンスでもいいんじゃないかと言っているのではないかなと思います,ハリウッドも。

【河村委員】では確認ですが,先ほどダビング10という言葉が出たと思うんですが,ダビング10ではなくて,基幹放送ではないペイパービュー放送におけるコピーネバーかコピーワンスかということですよね。

【華頂委員】はい。邦画も含めてきっと有料放送がダビング10になっているとすると,許諾条件,経済条件ではなくて許諾条件として放送権を許諾することはないと思います。
 と言いますのは,有料放送というのはパッケージのウインドーよりも少し早いという場合も多々ありますので,そこで大量にコピーされると次のウインドーが死んでしまいますので,そういうことだと思います。

【河村委員】確認です。有料放送というよりペイパービューのことだというふうにお聞きしました。
 それから,もう一つよろしいですか。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【河村委員】ESTサービスのところでマルチデバイスということで説明いただいたんですが,お聞きしたいのは,マルチデバイスの数分のダウンロードをするのに,どれぐらいの期間にわたってできるのでしょうか。何年かしてから2台目とか3台目のを入れるとか,先ほどお話にあった消去してしまったら再ダウンロードできるということに期間の限定というものがあるんでしょうか。
 と言いますのは,このデバイス,ここに絵が描いてありますけれども,そんなに長い寿命を持ってないといいますか,数年で買い換える方たちが多いものばかりで,4,000円で買ったコンテンツがこのデバイスの買い換えと同時に消えるのかなと,ファイルコピーができないとすれば。マルチデバイスを少し時間差で入れていくと何年か延びるかなと思ったのですが,その期間というのはどのように規定されているのでしょうか。

【東映(吉村氏)】すみません,今の御質問なんですけれども,これはどちらかというと事業者様の対応に負うところが多いことでございまして,よくあるんですけど例えばOSがアップデートされたときに,特にスマホとかそうなんですけど,古い端末では視聴できなくなるというようなことがありますけれども,基本的にはその環境といいますか,例えばプレーヤーのバージョンが上がる,それからOSのバージョンが上がるということに対しては,事業者様の方で対応されており,新たなバージョンに対応したファイルをユーザーさんが買い換えられた端末に再ダウンロードができるというような形の取り決めとなっています。
 先ほど申し上げたのは登録台数のお話ですので,どの端末に落としても登録の台数の制限内であれば,事業者さんでストリーミングなり再ダウンロードは許諾されるということになっていますし,新たに買い直しをしなければならないサービスは最近ではほとんどないという認識でおります。
 当初,ESTサービスがスタートした頃は非常に使いづらいサービスで,マルチデバイス等も考えられておりませんでしたので,1度消してしまうともう1回お金を払わなければならないシステムでしたが,現在では,割とユーザーライクな形の運用がなされていると認識しております。

【土肥主査】よろしいですか,大体,御質問。
 はい,杉本委員。

【杉本委員】プレゼンテーションありがとうございます。吉村様の一つ,今のコメントの一つ前の最後の部分をちょっと引用させていただいて質問に換えたいんですけれども,今の特に若い世代の方々というのがユーチューブ等に代表される無料のコンテンツを視聴するということが習慣的になっているので,なかなかコンテンツに対してお金を払っていただくというような環境がそろいづらいといった中で,そういった中で各事業者の皆様というのがコンテンツに対して対価が発生していて,それをそもそも払わなきゃだめよというようなことを指導・啓蒙するべきであるというようなことでコメントが出ていたと思うんですけれども,その部分について各事業者様,吉村様からのコメントで結構なんですけれども,例えばどういう,例えば指導であったりとか,視聴者に対しての啓蒙とかというのは何かされていたりはするのでしょうか。あるいはこんなことをやったらいいんじゃないかというような,もしお考えがあればお聞きしたいんですけれども。

【土肥主査】いかがでしょうか。

【HJホールディングス(船越氏)】吉村さんからバトンが船越に渡りましたので。
 まさにそれは,ニコニコ動画上で啓蒙していただければ最高なんですけれども,これは本当に杉本委員がおっしゃるように非常に難しい問題です。これが簡単であれば,私が日本テレビにいたときもそうでしたけど,2006年以降,あるいはもっと前の音楽事業者様がいろいろな違法流通に悩まされるということはなかったと思いますけれども,一朝一夕には全くいかないわけです。一朝一夕にいかないと言いながらも数年たっているわけですよね。一朝一夕でいけるならとっくにできているはずなんですけれど,そこの部分をどうしていくのかというのは非常に難しいと思っています。
 一方で,先ほど我々の事業は伸びていると申し上げましたけれども,これは多分に今DVDの事業者様にいたお客様が大分こちらの方に移り住んできているというところで,もともとはリアルなDVDで動画を楽しむといった人が今インターネットの世界にやってきています。この人たちはそもそもがお金を支払う。コンテンツにお金を支払うということにハードルがそれだけ高くない人たち,これがインターネットに来て,今お金を支払っていただいているというところがありますので,こういったことがだんだん,だんだん熟成していく,醸成していくことによって世の中少しずつ変わっていくのかなと思います。
 一方で,これ,まだ悩みが尽きませんで,では若い人,10代,20代の人がどれだけDVDレンタルをやっていたのかなということになりますと,そこもひとつ疑問には残るなと思います。ただ,そこは一つ一つクリアしていかなければいけないというところで,インターネットの動画にお金を払うというところは現状まだハードルが高いというところがありますけれども,そもそもコンテンツにお金を払っていた人を我々のサービスに向ける。あるいはESTのサービスに向けるというのは可能だと思います。
 それもあって我々の事業者はみんな今多くやっていますけれども,シネコンにCMを出すというのをたくさんやっています。多分ESTさんもやっていらっしゃると思うんですけれども,これは映画を見に来る人というのはコンテンツにお金を払う人たちが非常に多いというところで,そこでの親和性は高い。あとDVDレンタル。もしかするとCS事業者ということになるかもしれませんが,これらお金を払っている人たちに今インターネットの事業を楽しんでいただくということが,一つの先兵にはなるのかなとは思っています。

【杉本委員】ありがとうございました。

【土肥主査】ありがとうございました。時間の関係もございますので,このぐらいにしようかなと思っております。本日は河崎様,吉村様,船越様,貴重な御意見をお聞かせいただきまして,ありがとうございました。
 そもそも本小委員会で検討しておりますのは,クリエーターへの対価還元の問題でございます。特に補償が必要なスコープ範囲はどうあるか,あるいはその手段としてどうなのかということについて,非常に関心を持っておるところでございます。本日の御質問等々はそういうことをベースにしたものと私も思いますけれども,今後,この点について具体にいろいろ問題になってくるんだろうと思いますので,また機会を得て御意見を賜れればと思っております。ありがとうございました。
 前回は音,今回は映像ということで本小委員会においてヒアリングを頂きました。今後はこれらのヒアリングの内容をまとめ補償すべきスコープや手段の問題についての議論を行っていくことになりますのでよろしくお願いをいたします。
 それでは続きまして「クラウドサービス等に係る円滑なライセンシング体制の構築について」,状況を御報告いただける,こういうことでございますので,畑委員,よろしくお願いいたします。

【畑委員】クラウドサービス等に係る円滑なライセンス体制の構築について,今日は特に資料を御用意しておりませんけれども,現状の経過と今後の予定について少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず,ちょっと冒頭に昨年度のこの小委員会での取りまとめの内容を若干おさらいをさせていただきますと,昨年度のこの小委員会の検討におきましてタイプ2のクラウドロッカー,つまりプライベート型でユーザーアップロード型のクラウドロッカー,これについては基本的に利用行為主体は利用者であると。したがって私的複製の範囲内と解される利用については,特段権利者の許諾を得ることは不要であるという整理がなされました。
 しかしながら実際に展開されるサービスであったり,又は今後の技術発展に伴うサービスの発展,そういったことによっては私的複製の範囲を超える,つまりタイプ4との境界が不明確なものも存在し得るのではないかと。その場合においては事業者と権利者との間の契約を円滑に進めるためのライセンス体制の構築が有用ではないかという整理がされたところでございます。
 この点に関しまして,音楽分野につきましてはJASRAC様,芸団協CPRA様,それから我々日本レコード協会,音楽権利者3団体の方から権利処理のワンストップ窓口として「音楽集中管理センター」の設立ということの集中管理スキームを提案させていただいたところでございます。
 これにつきましては非常に有用ではないかという御意見を頂く一方,まだまだ多くの課題も解決していかないとなかなか具体化できないのではないかといった御意見も頂いたところでございますので,我々,権利者団体としてはそのスキームの具体化,それから課題解決,それを進めていこうと。その進捗についてはこの小委員会でも注視するということが,昨年度の取りまとめの中で述べられておったところでございます。
 それ以来,我々音楽関係3団体はこの「音楽集中管理センター」の具体化に向けた検討に着手したわけでございますけれども,結論から言うとまだ現段階で具体化ができているわけではないと。まだ検討の途上であるというのが今の進捗でございます。
 多少,経過を申しますと,まず我々3団体はどのような著作物等の利用形態を対象として新たな契約スキーム,集中管理スキームを検討していくのかと。つまり集中管理センターのニーズというのはどこにあるんだろうかということの検討,把握というところから着手をしようとしました。これにつきましては一部の関係事業者の方々ともお話をさせていただきながら,そういうニーズを把握しようとしたわけです。これにつきましては我々権利者側も多少想定はしておったところなんですが,大規模な商業サービスを展開される事業者様におきましては,既に契約で対応はできていると。あるいは契約で対応できる力量であったりチャンネルをお持ちであると認識をしています。
 音楽作品であればJASRAC様などの著作権管理事業者と契約の話がされており,あるいはそういったチャンネルをお持ちであり,またレコードやアーティストの実演の使用については日本レコード協会,あるいは芸団協CPRA様の集中管理の範囲の利用であればそこの窓口と話をされたり,あるいは御相談されたり,また個別のレコード会社さんとどういうふうに話を進めればいいか,どのような御相談をすればよいかといった形で,そういうお話合いができる土壌というのがある程度あります。
 そのような大規模な商業サービスを展開する事業者様においては,あまり不都合が生じてないとすれば,やはりニーズがあるのは比較的小規模なサービスであったりとか,零細な事業者様,そういった場合にはそもそもどこと話をすれば権利処理ができるのか分からないとか,あるいはその規模ゆえに個別に権利処理の話をして回るのが非常にハードルが高いといったような事情があるのかなと。そういったことを考えると,どうしてもビジネスの導入が萎縮してしまうといったことが課題なのかなとも思っておるわけでございますが,ただ,まだこのような小規模な事業者様と個々にお話をお伺いするというところまで我々もまだ検討が進められてないというのが現在の状況でございます。
 また他方では,最近,分科会の法制・基本問題小委員会のワーキングチームでは,「新たな時代のニーズに的確に対応した権利制限規定の在り方」,こういった検討が行われていたり,また知財戦略本部の次世代知財システム検討委員会では「新規ビジネスの創出を支援する柔軟な制限規定の在り方」,そういった検討が今,行われております。
 これらにつきましては,まだどのような結論になるか定かではございませんけれども,この新しい集中管理スキームと何らかの関係性も生じ得るのではないかと思っておりまして,そうであればこれらの検討がまだ途上にある段階では,我々としてもまだこの「音楽集中管理センター」のニーズをつかみきれないというのが現状であります。
 しかしながら我々としてもいたずらに時間が経過するというのも望むところではありませんので,最近我々3団体で話をしておりますのは,まずは利用者からの権利処理に関する相談,あるいは問合せ,こういったサービスをやりたいんだけども,どういうふうにすれば権利処理ができるんだろうかとか,そういった相談・問合せを3団体,一つの窓口でお受けするというところから,まずこの検討を着手してはどうかなと考えております。
 これは先ほども申しましたとおり,音楽を新しいサービスで利用したいんだけれども,まずどこに話をすればいいのか分からない。何となく団体というのがあることは分かっているけれども,具体的な窓口,その話の仕方が分からない。そういったような問合せを,まず一つの窓口を我々3団体が集約的に設置して,そこにお問合せを頂く。その窓口で頂いたお問合せは常時我々3団体で共有をし,その辞典で適切な権利処理のアドバイスをしながら,我々としてはその事例を蓄積する形で集中管理のニーズを図る材料としていく。そのような進め方をしたいと考えております。
 まだ今はこの窓口の先に新しい契約スキーム,集中管理スキームというものが用意できているわけではありませんけれども,そういうニーズの積み重ねによって新しい集中管理スキームを検討していきたいと考えております。
 今この集約的な3団体の窓口を設置する場所といたしましては,我々3団体,1999年から共同で運営している「ミュージック・ジェイシス協議会」,通称「MINC」といっておる組織でございますけれども,そこに設置をしてはどうかということで今,検討しております。この協議会は御存じの方も多いかもしれませんけれども,ウェブ上に「音楽の森 Music Forest」という音楽情報の検索サイトを運営しており,一般に公開をしております。このサイトの特徴はJASRAC様,芸団協CPRA様,それから日本レコード協会,この3団体が提供する音楽作品,実演家,録音物,これらの情報を有機的に統合して利用者から様々な方法の検索でその権利情報であったり収録作品情報であったり,収録物情報であったり,そういったものをウェブ上で検索提供しております。
 直近では,昨年度,2014年度では大体30万件ぐらいの検索要求があり,そういった情報を提供しているサイトでございます。そこの上に我々3団体の集約的な相談窓口を設置するのが現段階では一番親和性が高い,適当なのではないかなと考えております。
 課題として提起されていた,ではこの3団体以外のアウトサイダーの方はどうするのかということですが,まずはこういった窓口を設置し,この窓口の下に他の著作権等管理事業者,あるいはそれ以外の権利者の方々にも参加いただくように促す。そういった取組を進めていくことによって,この「音楽集中管理センター」の枠組みを1歩2歩進めていけるよう,早急にこの窓口を立ち上げたいと考えております。
 この窓口につきましては,また我々で準備が整いましたら一般に,あるいはまたこの小委員会の席で御案内をさせていただきたいと思っております。
 報告は以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。それではただ今の畑委員の御説明について何か御質問,御意見ございましたらお願いをいたします。
 小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】御説明ありがとうございました。前回,著作権等管理事業者さんとしてNexToneさんがいらっしゃったわけですけれども,3団体以外,NexToneさんのような事業者さんの加入のタイミングというのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

【畑委員】NexToneさんも今,もともと二つの事業者さんの実務統合作業をこれからまさに進められるところでございますので,その進捗と併せてこの協議会にも参加していただけるよう働き掛けを進めていきたいとは思っております。
 ただ,まだNexToneさんも二つの事業の統合作業をやっていらっしゃるところでございますので,タイミング的にいつというのはまだ申し上げられませんけれども,そういう方向でのお話を進めていきたいとは思っております。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかに御質問,御意見ございましたら。
 はい,松田委員。

【松田委員】松田です。今,御説明の中に3団体が作っている管理の協議会以外にアウトサイダーといいますか,ほかの組織があると。団体,業者があると言った方がいいでしょうかね。その窓口についても検討しているという趣旨のことがあったけど,私はそれ以上に重要なのは,3団体協議会に対峙する利用者側の窓口になる協議会とか団体とかのまとまりが必要なのではないかと思っているのです。それについては何か3団体では動いている方向があるのか,ないしは3団体は無理でしょうけれども,利用者側の団体が組織されてほぼ対等な話し合いができるような状況を作ろうという,そういう動きはないのですか。

【畑委員】これにつきましては,今,JASRAC様も我々日本レコード協会,芸団協CPRA様も,放送分野でしたら利用者団体は分かりやすいんですけれども,ネット部分で利用者団体的な形で機能されている団体は今のところない。これは我々が音頭を取ってその利用者側の団体を組織するべきものなのかどうかということもありますので,我々サイドとしては今,そういったクラウド利用に関する利用者団体組織の話,あるいは動きがあるということは認識をしておらないという状況です。

【土肥主査】どうぞ。

【松田委員】では引き続き松田から質問をします。この3団体協議会ができてから3年ぐらいたっているんじゃないですかね。

【畑委員】1999年からです。

【松田委員】もうそんなにたつんですか。前回のそこの審議会の方にもこういう制度の御説明を頂いておりましたけれども,それに対して言ってみれば利用者業界団体側が何ら対応を取らないというのは何が原因なのでありましょうか。要するに3団体と対峙して協議しても役に立たない。場合によったら取引が不利になる。それ以前に法制度として改革をして何らかの武器を持たなきゃいけない。例えば柔軟な規定みたいなものというような動きがあって敬遠されているのではないのでしょうか。まずそれはレコード協会さん側からどういうふうに認識なさっていましょうか。

【畑委員】先ほどもちょっと触れたかと思いますけれども,この3団体の協議会,「ミュージック・ジェイシス協議会」というものは,もともと何らかの利用に対して権利処理の枠組みを提供するという協議会スキームではなくて,あくまでも利用者に正確で利便性の高い音楽関連の情報,権利情報であったり収録物情報だったり,そういったものを提供する検索プラットフォームとして機能してきました。問合せ窓口に権利処理の問合せが全くないわけではないんですけれども,必ずしもそこで3団体の集約的なビジネスの相談窓口として今まで機能してきたわけではないということであります。
 したがいまして,そういった3団体の窓口というものができたときに利用者側がそこに対してハードル低く相談してきてくれるのかどうかという,そういった御心配の話なのかもしれませんけれども,我々としてはまずはその窓口を設置することによりまして,当然そこの窓口に対して色々な御相談を頂きたいということを皆さんに周知した上で,まずはその窓口でお話を聞いて,そこからニーズを図っていきたいと今,考えておるところでございます。

【松田委員】すみません,引き続き。
 そうすると,音楽の需要者の側からこういう新しいビジネスモデルに対する利用料ないしは利用契約の形態などを協議しましょうというのは残念ながら1件も今はないというふうに理解してよろしいのでしょうか。

【畑委員】それは現状は個々にお話を頂いていると。JASRAC様,イーライセンス様,JRC様が音楽作品の御相談を受け,レコードであれば日本レコード協会が主体で集中管理している範囲であれば日本レコード協会に頂きますが,そうでなければ各レコード会社に,あるいは必要に応じて実演家団体の方に個々にお話を頂いているところでございます。まずはその1か所にお話を頂けば,少なくともその音楽に関する権利者,みんながそのワンアクションで全部お話を聞くことができるといった環境をまず作ろうということでございます。
 今,その先にぶら下がる集中管理スキームは何か新しいものがあるわけではございませんで,そのお話の内容によって現状ではこういう権利処理が最も適切であるというようなアドバイスが今の段階としてはできるのではないかと考えておるところです。

【松田委員】引き続き,松田です。
 それは大変残念なことだと思っておるんです。いずれにしましてもどんな著作権法制度を作ろうとしましても,具体的な新しいビジネスモデルに対してどう対応するかというのは,法律で決められる部分だけではなくて大半はソフトロー,協会と協会とが協議会みたいなところで調整をしていって具体的なビジネスの契約形態と使用料規定を決めていって新しいビジネスを育てていくということが必要になると思っているわけです。
 これに対して私自身が期待をしているわけではありますけれども,成果が現れないのは大変残念なんだけど,成果が現れない理由というのは法律的に何かバックアップをする必要性があるのでしょうか。とりあえず個々の業者というよりは団体間で話し合って,新しいビジネスモデルに対するソフトローを作っていくことについて著作権法上,何かバックアップをするとうまく動くというような方法がありますでしょうか。
 引き続き畑委員に聞きたいのと,利用者側の榊原委員などにも聞いてみたいと思います。いかがでしょうか。

【畑委員】まずは窓口をそういう形で設置したいと申し上げましたのは,まさに権利者側の団体がそろってお話を聞き,そこに向き合っていくという環境がまだできておらなかったわけですので,まずはそこの窓口を作り,どういった利用者のニーズがあるのかというところを拾い上げる。そこで何も協議をしないと言っているわけではなくて,そこでお話をすることによって,ではここの部分は新しい,まさにソフトローといいますか集中管理スキームが必要なんだということが見えてくれば,そこから集中管理スキームの立ち上げを検討していくということになってくるんだと思います。
 したがって現状,まずその窓口がないので,まず窓口を作ってそこで利用者のお話に向き合う体制を既存の協議会でありますが,そこにまず設置をしていこうということが今回の趣旨とお考えいただければよろしいかと思います。
 法的な何か手当が必要かどうかというのは,そこをやった先の話ではないかなと考えておるところでございます。

【榊原委員】御指名ですので,難しい御質問なんですけども利用者側が団体を作るというのがちょっと私自身は余りイメージができておりません。例えばどこかの企業が音楽を利用するビジネスをやりたいというときに,使う側はいろいろなところに今,畑委員の御説明されたとおりコンタクトをされていて,使われる側が複数あるので窓口が1か所であるとありがたいというお話はよく分かるんですけれども,使う側は使うときにこちらから連絡をするわけですけれども,使われる側から別に連絡をしてこられるということはないと思いますので,個別の契約,使う側はこういう条件だったらいいなとか,悪いなとかということで決断をされるんだと思うんですけれども,そのときに使う側もみんな何か固まって決めるというのがちょっとビジネスの今までのイメージとは違うと。それ自体を変えるべきだという御意見なのかもしれませんけれども,ほかの事業者さんの御意見,私の意見がちょっとあれであれば補足いただければなと思います。

【土肥主査】お願いできますか。今子委員。

【今子委員】ふだん,音楽を利用するサービスを提供させていただいておりまして,日本レコード協会さんですとかJASRACさんですとかいろいろな団体様に御相談をさせていただいて,非常に真摯に御対応いただき大変ありがたいと思っております。
 1点気になっている点といたしましては,時代の流れですとか技術の発展によってサービスの形態も様々に変わってきているにもかかわらず,使用料規定を変更することができていないという点があります。使用料規定を変えるための関係団体の折衝がうまくいかないなど非常にハードルが高くて,なかなか見直しに着手をしていけないというところがございます。これは法改正の話ですとか法制度の問題ではないですし,こちら側の努力の問題もあるとは思いますけれども,大きな課題であると考えております。

【松田委員】いいですか。私ばっかりで,ほかの方の意見,なければ。

【土肥主査】挙手された丸橋委員。

【丸橋委員】クラウドサービス事業者のうち,特にインフラに近いサービスについては,音楽利用は間接的にしかすぎません。クラウド事業の法人ユーザーがどのように音楽配信なりコンテンツ利用をしているかどうかについてはそもそも把握できませんし,そのような法人ユーザーの意見をまとめるというようなことにクラウド事業者は動かないですし動きにくいです。やはり直接音楽に触れる事業をやっている法人ユーザーがどのように意見を集約するか,できるかという問題だと思います。
 逆に畑委員に質問です。CDCという旧来のカラオケだとか携帯での音楽配信に関する枠組みがありますが,それとの関係はどういうふうに整理されようとしているのかということなんですが。

【畑委員】CDCさん,つまり著作権情報集中処理機構様につきましては,そこにも音楽情報が集約的に集まっているということは認識をしております。ただ,そのルーツはもともと配信における音楽著作権の処理ということを中心にしたスキームでありますので,レコード製作者,実演家,それらを含め,代表するというとちょっと語弊があるかもしれませんが,そういった形でCDCさんが動けるということではないと認識しております。
 ただ音楽情報という観点ではCDCさんも先ほどの「ミュージック・ジェイシス協議会」と同レベルの音楽情報を今は扱っていらっしゃいますので,今後何らかの形で連携協力をしていく必要があろうと考えておりますけれども,今,具体的に今日のこのクラウドサービスの円滑なライセンス体制という中で具体的にCDCさんと何らか連携するということを思い描いている段階ではないというのが現状でございます。
 お答えになっていますでしょうか。

【土肥主査】よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは畑委員におかれましては,さらに検討を継続していただければと思います。
 それでは,三つ目の議事でございますけれども,「平成27年度の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過について」でございます。本日は今期最後のこの著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会となっておりまして,本小委員会の審議の状況につき,審議経過報告という形でまとめるということになっております。その後,今期最後の著作権分科会で報告をするということになります。
 そこで資料にあります審議の経過等についての報告案というものを事務局から説明を頂ければと存じます。

【俵著作物流通推進室長】資料2を確認いただけますでしょうか。これは事務局で本年度審議いただいた内容を審議の経過ということで整理をしたものです。
 構成としては最初に「はじめに」がありまして,2として「各課題の審議の状況」,最後にこれは5ページになりますが「おわりに」ということで構成をしています。「はじめに」のところは,これまでの経緯を簡単に整理したものです。「各課題の審議の状況」ですが,一つ目として「クリエーターへの適切な対価還元に係る課題」,2番目として,畑委員から状況を報告いただきましたが,「クラウドサービス等に係る円滑なラインセンシング体制の構築に係る課題」ということで,大きく2点について課題を整理させていただいています。
 クリエーターへの適切な対価還元に係る課題については,「検討の経緯」,「検討の状況」ということで整理をさせていただいています。「検討の経緯」としては昨年度,私的録音録画に関する実態調査の分析の報告と,権利者団体の方々からの意見発表が行われました。今年度については利用者団体,事業者団体の方々からクリエーターへの適切な還元についての意見発表をしていただき,その後に意見交換を経て論点の整理を行っていただいたということを整理しています。「検討の状況」の中でこれらについての具体的な意見交換の内容について整理をさせていただいております。
 これまでに頂いた意見の内容については,前回の委員会の議論において整理をさせていただきました。その内容については,改めて,参考資料3(「クリエーターへの適切な対価還元に関する主な意見」)として配布をさせていただいています。今回の審議経過報告においては,参考資料3の内容をそのままその意見交換の内容として書かせていただいています。
 構成については,「対価還元に係る基本的考え方」がマル1,「対価還元を要する範囲」がマル2,「対価還元の手段」がマル3,「その他の意見」をマル4としています。具体的な内容については既に整理を頂いたものをそのまま記述しているので説明は省略させていただきます。
 5ページ目にこれらの意見を基に3点について論点整理をしていただいた内容を書かせていただいております。1点目が私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状ということで,これについてきちんと把握するということが必要だと整理を頂きました。2点目として,補償すべき範囲ということで,対価還元のための制度的担保や取組が求められる範囲があるのか否か,ある場合にはどのような範囲かについて検討することが必要だと整理を頂きました。3点目として対価還元の手段ということで,補償すべき範囲がある場合にはどういった手段で対価還元を行うことが適切か検討することが適当であると整理を頂きました。この論点整理についても過去の小委員会で整理を頂いた内容を反映させていただいています。過去に整理を頂いた内容は参考資料2として配布をさせていただいています。
 さらにこの論点整理で頂いた一つ目の論点である私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状の把握について,前回と今回で録音・録画それぞれについて関係の方々から発表を頂きました。この報告の中では概略として,録音については,音楽の流通形態として,パッケージ販売,音楽配信,CDレンタルそれぞれについて著作権者との契約であったりコピー制限の実態,そして対価還元についての現状について報告を受けたということを記述させていただいています。録画については,今回発表いただいた内容を踏まえて書き足すということになるかと思います。
 先ほど主査からもありましたが,今回ヒアリングをいただいた内容について,一度整理をした上で次の議論に進んでいくということになると思います。来年度はそこから始めるということになるかと思います。
 先ほど,畑委員から報告を受けたラインセンシング体制の構築に係る課題については,先ほどの状況の報告を踏まえてここに書き足すという形をとりたいと考えております。
 「おわりに」のところに,今後の論点,今後の意見の進め方ということで整理をさせていただいています。マル1のクリエーターへの適切な対価還元に係る課題については,本年度整理いただいた論点に沿って,クリエーターへの対価還元についての現状を踏まえて今後補償すべき範囲として対価還元の手段などについて更なる検討が求められると整理をしています。今回・前回でヒアリングいただいた内容を整理した上で,次の論点に進むという形で整理をさせていただいています。
 マル2としてクラウドサービスに係る円滑なライセンシング体制の構築については,今回の報告を踏まえて書き足すという形で整理をさせていただいています。
 審議のほどよろしくお願いします。

【土肥主査】ありがとうございました。ただいまございました説明について,何か御質問,御意見ございましたらお願いいたします。
 はい,榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】基本的な考え方の一番最後のところになるのか,それともその次の対価還元を要する範囲のところになるのかちょっと私には判断が付きかねますけども,この市場の失敗のことに関して複数の委員から,私も含めまして主観的に市場の失敗があるとかないとかという話ではなくて,客観的に経済学的にどうなのかという評価をするべきではないかというような意見であったかなと思いますので,そこのところをできれば修正いただくか追記をいただければありがたいです。

【土肥主査】それは基本的な考え方の中でということですか。つまり1ページの下から2ページの真ん中ぐらいまでにかけて基本的な考え方がございますけれども,そういうところに何がしかのそういう意見があったということを挙げると。分かりました。また少しその辺を検討させていただきます。
 ほかにございますか。
 いずれにいたしましてもこの問題はこの1年間,この問題をここでやってきておりますので,先ほど説明がございましたように重要なのはこれからでございまして,この課題,整理いただいた課題ですね,これに基づいて今後,補償すべき範囲とか具体的な手段についての議論を行っていくことになるんだろうと思いますので,是非ともよろしくお願いをしたいと思います。
 今の榊原委員の御意見も踏まえて,この著作権分科会における報告についての案は一任していただくと。私に一任していただくということでお願いしたいと思いますけれども,よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,そのように取り扱わせていただきたいと思います。
 本日は今期の最後の委員会ということになるわけでございますけれども,その他,何か御意見,委員の方におかれましては何か御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは,中岡文化庁次長から最後に一言御挨拶を頂ければと思います。

【中岡次長】次長の中岡でございます。今期の著作権分科会の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終えるに当たりまして,一言御礼を申し上げます。
 今期の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会におきましては,昨年の7月からクリエーターへの適切な対価還元に係る課題という,長きにわたり議論されてきました大変重要かつ難しい課題につきまして御審議を頂戴したわけでございます。
 本課題につきましては,各委員の皆様方から活発な御意見あるいは御議論を頂きまして,今後の検討の道筋となる主な論点を整理することができました。また,ヒアリングを通じまして,対価還元の現状についての認識も共有されてまいりました。今後は補償すべき範囲や対価還元の手段等につきまして,更なる検討が必要でございます。文化庁といたしましてもこれまで以上に力を注いでまいりたいと存じますので,引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。
 最後に,皆様方におかれましては,大変お忙しい中にもかかわらず,並々ならぬ御努力,御尽力を頂戴いたしましたことにつき,改めて感謝を申し上げまして,私からの御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【土肥主査】どうもありがとうございました。
 それでは,その他,事務局から連絡事項がありましたらお願いをいたします。

【秋山著作権課課長補佐】先ほど主査から言及がございました著作権分科会につきましては,日程が確定し次第,文化庁のウェブサイト等でお知らせしたいと思います。どうもありがとうございました。

【土肥主査】ありがとうございました。それでは,以上をもちまして今期の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終わらせていただきます。誠にありがとうございました

―― 了 ――

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