文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第1回)

日時 平成29年6月30日(金)

13:00~15:00

場所 文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

議事次第

1 開会

2 議事

  1. (1)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会主査の選任等について
  2. (2)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会審議事項について
  3. (3)クリエーターへの適切な対価還元について
  4. (4)その他

3 閉会

配布資料一覧

資料1
文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員名簿(90.9KB)
資料2
小委員会の設置について(平成29年4月12日文化審議会著作権分科会決定)(56.9KB)
資料3
第17期文化審議会著作権分科会における検討課題について(平成29年4月12日文化審議会著作権分科会決定)(73KB)
資料4
私的録音に関する実態調査 調査項目(案)(52KB)
資料5
対価還元の手段に関する検討(228KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(131KB)
参考資料2
第17期文化審議会著作権分科会委員名簿(111KB)
参考資料3
第17期文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会検討課題に関する「知的財産推進計画2017」について(63.1KB)
参考資料4
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(69.4KB)
出席者名簿(53.9KB)

議事内容

○今期の文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員を事務局より紹介した。

○本小委員会の主査の選任が行われ,土肥委員が主査に決定した。

○主査代理について,土肥主査より末吉委員が主査代理に指名された。

○会議の公開については運営規則等の確認が行われた。

※以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十四年三月二十九日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。

【土肥主査】

本日は,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の今期第1回になります。恒例でございますけれども,文化庁次長の中岡様から一言御挨拶を頂戴したいと存じます。

なお,カメラをお撮りになる方につきましては,中岡次長の御挨拶までとさせていただきますので,よろしく御了解を頂ければと存じます。

それでは,次長,よろしくお願いします。

【中岡文化庁次長】御紹介にあずかりました中岡でございます。一言御挨拶を申し上げます。

文化審議会著作権分科会著作物の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の開催に当たりまして,皆様におかれましては,御多用の中,本小委員会の委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。

著作権制度は,我が国が掲げます「文化芸術立国」,「知財立国」,あるいは「クールジャパン戦略」を実現するために重要な役割を担ってございます。

政府におきましては,本年5月に「知的財産推進計画2017」が策定されまして,第四次産業革命の基盤となる著作権システムの構築など,様々な課題が提起されております。

こうした政府計画等の動向につきましては,日進月歩で発達いたします技術と著作物の創作・流通・利用環境の急速な変化を踏まえた対応への社会からの強い要請を背景とするものでございまして,文化審議会におきましては,これに的確かつ迅速に応えていくことが期待されているところと考えております。

本小委員会におきましては,前期におきまして,私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状を把握した上で議論を深めていただきました。私的録音につきましては,補償すべき範囲まで議論が進んだと承知しております。今期は対価還元の手段につきまして御検討いただくこととなりますが,様々な立場からの御意見があることを踏まえまして,社会的理解の得られる仕組みの構築に努める必要があると考えております。

政府の知財計画等におきましても,クリエーターへの適切な対価が還元され,コンテンツの再生産につながりますよう,審議会で検討を進め,結論を得て,必要な措置を講じることが求められております。

先ほど主査の方からも進捗につきまして触れられておりましたが,関係者にとりましてウィン・ウィンとなる結論が得られますように,この非常に重要かつ難しい課題の検討には皆様方のお力添えが不可欠であると考えております。

最後でございますけれども,委員の皆様方におかれましては,お忙しい中,大変恐縮でございますけれども,一層の御協力を賜りますことをお願いいたしまして,私の御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いします。

【土肥主査】中岡次長,どうもありがとうございました。

では,今期の本小委員会の審議事項について最初に確認できればと思いますので,本小委員会における審議事項につき,事務局より説明をお願いします。

【俵著作物流通推進室長】資料の2と3を御用意いただけますでしょうか。これらの資料は今年の4月に著作権分科会で決定いただいたものでして,資料2は小委員会の設置について,資料3は検討課題について決定いただいております。

資料2を御覧いただきますと,今年度は,法制・基本問題小委員会,そして本委員会と国際小委員会の三つを設置することになりました。各小委員会の審議事項については2番のところに書いてありますが,本小委員会について申し上げると,クリエーターへの適切な対価還元等に関することとされています。

資料3は検討課題について整理したものですが,審議事項を三つに整理し,以下の課題が考えられると整理をしています。審議事項のマル2番のところに,クリエーターへの適切な対価還元等に関することと示していただき,その検討課題の例として,クリエーターへの適切な対価還元等のための私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入などとされています。

先ほど主査からも御指摘を頂きましたが,今期もよろしくお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,事務局よりただいま御説明いただきました本小委員会における審議事項,資料3でございますけれども,何か御発言がございましたらお願いいたします。

この審議事項2にある,クリエーターへの適切な対価還元等に関することというのは,前の期から引き続き議論をするということにほかならないわけでございますけれども,よろしゅうございますか。

それでは,今期の検討課題について,資料3の記載に基づいて今後議論するということで参りたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは,具体の,三つ目の議事でございます,クリエーターへの適切な対価還元について,正にこれに入りたいと思います。本件につきましては,昨年度,本小委員会において行われた議論を引き続き進めていくわけでございますけれども,前の期においてもそういう御要望が出たわけですが,私的録音に関する実態調査,こういったことについて事務局から何かお考えがあるようでございますので,その説明をお願いいたします。

【俵著作物流通推進室長】資料4を御覧いただけますでしょうか。私的録音に関する実態調査調査項目(案)とさせていただいています。昨期,私的録音についての調査をきちんと改めて行うべきではないかという御意見がありました。それを踏まえて,事務局として調査を行いたいと考えています。

その調査項目として,デジタル録音の状況,家庭における録音機器・媒体等の保有・使用状況,音楽データの利用状況,それと音楽関連の支出額といったような活動の状況,といった大きな4点を基本として,それぞれ少し細かめに調査項目の案として示させていただいています。この調査自体はアンケート形式で,ウェブアンケートのような形で調査会社に委託をして行う形がいいのかと考えていますが,その際には,実際の質問項目や,選択肢については,改めて,より細かい形で整理をするということを考えています。

このような考え方などについて御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】ただいま御説明がございましたけれども,私的録音に関する実態調査での調査項目として事務局において考えていただいたものが資料4でございます。クリエーターへの適切な対価還元,それは30条の私的複製によって権利者にどういう損害が生じているのかという,そこの部分につながる重要な調査になろうと思います。従いまして,これを今期においてやっていくというのは非常に重要な,必要なことだと思うのですけれども,調査項目として挙げていただいておりますところでよろしいのかどうか,お気付きの点がありましたら御意見を頂きたいと存じます。いかがでしょうか。今子委員,どうぞ。

【今子委員】録音と書いてあるのですけれども,我々が録音という単語からイメージするものとは,昔のレコードからカセットテープに録音するというようなイメージです。しかし,スマホ時代,複製の在り方は全く変わってきていると思っておりまして,そのあたりの複製の形態といいますか,そういうところにも着目して,全部が一緒くたに録音ということでカウントされないように配慮を頂ければと思っております。

具体的には,録音といっても,例えば借りてきたCDからの複製もあれば,自分がダウンロードしたコンテンツが他媒体に単に同期されるだけというようなこともあります。現在,スマホとかタブレットとか一人が何機器も有する時代になっており,音楽を聴くか聞かないかに限らず,ダウンロードした音楽だけでなく様々なものがいろんな機器に同期されるという設計になっているので,必然的に複製の数は多くなります。ただ,複製されたら必ず視聴されるのかというと,そういうわけでもなく,そのような複製をカウントしても意味がないので,そのあたりのところを細かく見られるような調査にしていただければ有り難いと思っております。

【土肥主査】重要であり,かつ,かなり難しいことになるわけでございますけれども,そのあたり,依頼をされるときにはどのようにお考えになっておられますか。

【俵著作物流通推進室長】実際に質問項目の立て方によってどれだけ細かい形での分析ができるかということになるかと思います。今,御指摘のあったような,どういったものからどういったものへの録音なのかといったことがうまく反映できるようなことができるかどうかだと思うのですけれども,その点については工夫をしてみたいと思います。具体的な質問項目についてもし御指摘があれば,この場でなくてもいいので,事務局に提供いただければ,それを反映するような形で調査会社と相談をしながら決めていくことになるのかと思います。適宜,質問項目についても具体的な意見を頂けると有り難いと思います。

【土肥主査】今子委員のお尋ねの部分というのは,2のところの,保有機器・媒体,使用頻度といいますか,スマートフォンというような機器で私的録音をどのくらいするのかというところを客観的にある程度分かるようにしてほしいということだと思うのですけれども,2のところで恐らくそういう調査をされるのだと思うのですが,何か項目立てとして御提案はございますか。

【今子委員】すみません,具体的な検討まで及んでいないのですけれども,例えば1番の録音頻度というのは一体何を言っているのかとか,3番のところで音楽データの利用とありますが,「利用」に視聴は特に入っていないという理解でよいのか。視聴についても,どのデータをどのように視聴されているかとかといったところも着目をしてはいかがかと思いました。

【土肥主査】よろしいですか。

【俵著作物流通推進室長】今の御指摘を踏まえて,具体的な質問項目を検討するときに考えたいと思います。

【土肥主査】ほかに。椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】調査項目の具体的な中身については,拝見したばかりで,今,急にどうこうということはなかなか難しいと思いますので,追って意見を述べさせていただきたいと思いますけれども,実際,この小委員会の中でも平成27年2月13日のときに,その前に行われた私的録音及び私的録画に関する実態調査の結果を踏まえて私どもが意見を申し上げたということがございまして,その際に引用しました実態調査,そこと時系列の変化が明らかになるような,ある種の質問項目の共通性といいますか,そういった部分に御留意いただけると有り難いと思います。

それから,今子委員の御意見ともちょっと関連するのですけれども,今,録音という言葉を使った場合,ユーザーがその行為を果たして録音と意識しているかどうかという問題が多分あると思うのです。録音していますかと聞いて,録音はしていないと思うかもしれない。だから,複製が起きるシチュエーションについて,もちろん今子委員のおっしゃるとおり様々なケースがあると思うので,そこら辺は余すところなく収集できるような何らかの工夫をしていただくとよろしいのではないかと思います。

それに加えて,2番のデジタル録音機器・媒体等の保有・使用状況というところに関連するのですが,これもかねてより僕らが発言していたと思うのですが,そういった機器や媒体,あるいはサービス等の市場規模,そういったあたりもですね。この調査自体は,ユーザーに対してする調査ですので,直接には関係してこないと思いますけれども,そういった市場規模がどのような推移になっているのかというところも数字として押さえておきたいなと思いますので,よろしくお願いします。

以上です。

【土肥主査】飽くまで私的複製,30条の枠の中のお話でございますので,いわゆるスマートフォンの成長性とかそういう話ではないので,その辺は限界があると思うのですけど。

大渕委員,お願いします。

【大渕委員】今まで言われた点に関連して少し気になるのが,著作権法というのは視聴それ自体は捕捉せずにその直前の複製のところや送信で押さえるので,参考資料として視聴をとっていただくのはいいのですが,飽くまで欲しいのは,録音ないし複製だと思います。音源などを固定しているかというところ,視聴自体とは別に,その直前の複製というか,固定というか,そのようなものを分かるようにしていただくことが必要であります。そこの思想が分からないと,せっかく統計をとってもどこをとっているのか分からなくなってしまいます。具体的に作ってみないと出ないと思いますが,我々が欲しいデータは,複製がどう行われているかということなので,そこにターゲットが当たるような形で作っていただければと思います。

【土肥主査】今,大渕委員が言われたとおりのことで,要するに30条の中の私的複製ということが行われ,それによって権利者にどういうような損害が生じているのか,それに対して適切な対価還元をどうするのか,そういう文脈で調査をやらせていただくだろうと思うのですよね。ですので,先ほど椎名委員がおっしゃったような市場規模とかですね。要するに,家庭で私的複製が行われている,そこが重要なのではないかなと思います。

【椎名委員】僕が産業規模と申し上げたのは,この私的録音録画補償金制度の支払義務等々に関連して,機材等の産業の果たす役割等々はやはり歴史的に見て勘案されてきているという経緯がございますので,複製の実態ということに加えて,そういった産業はどういうふうな推移を示しているのかというのを押さえておく必要がある。ただ単に産業規模を見せてくださいという意味だったら関係ないと思うのですが,この制度自体の歴史的な経緯から言って,そこはある程度数字としては押さえておいてもよろしいのではないかなという趣旨でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかにございますか。河村委員,どうぞ。

【河村委員】今子委員のおっしゃったことの一部と多分同じことかとは思うのですけれども,重ねてお願いしたいのは,例えば,複製にしても,録音という言葉を使うにしても,保有している曲の数みたいなものだけを聞くと,マルチデバイスで使うことを最初から許されている,契約の中に入っている,これは補償金対象にはならないことはここで確認されていますけれども,そういうものが数の中に入ってきてしまうと,不正確な資料になり,それが誤った根拠になってしまう可能性があります。今回の議論の対象である私的複製をなるべく正確に捉えられるように是非とも,質問の仕方を工夫していただきたいと思います。

【土肥主査】私,何も分からないのですけど,音楽でもやっぱりマルチデバイスというかそういう,映像とは違って,あるわけですね。音楽でも,普通のCDとかそういう。

【河村委員】CDじゃなく,ダウンロードのことだと理解しておりますけれども。

【土肥主査】その場面でね。

【河村委員】配信で。そもそも,ここでもヒアリングに来た方もおっしゃっていましたけれども,複製という行為もできるのですけれども,普通の人には技術的に割と難しいということでした。だから,最初から契約の中でマルチデバイスにデータを入れられるようになっている。それは契約範囲内なので補償金の対象じゃないということは図示してここで確認されています。アンケートではそこをちゃんと押さえないとおかしくなると。今,そういう消費者の利用が多いと思いますので,申し上げました。

【土肥主査】配信音源についてはそういうことだと承知しておりますけれども。

ほかに。じゃ,分科会長,お願いします。

【道垣内分科会長】資料2で,随時発言してよいということが書いてありましたので申し上げます。

この項目立てですけれども,何か少し重複しているみたいな感じがしますので,答えやすいようにできるだけ絞った方がいいと思います。それとともに,もちろん対象は私的複製のことで,そこに絞った数字,あるいはデータがとれることが望ましいのは明らかですけれども,そこだけ教えてくれと言われても,使っている人は,違法なこともしているかもしれないわけで,その人の音楽ライフといいますか,生活全体を知った上で,その中で私的複製がどれぐらい行われているのかというのをこちらで抽出した方が実態は分かるのではないかと思うのです。

それと,さっきネットを使ってとおっしゃったのは,ネットでアンケートに答えてくれる人はちゃんとした人だと思うので,もっと何か,どこかの高校の一クラス全員を調べてみるとか,あるいは中学校でもいいですけど,その年齢層もいろいろ分けて,実態が分かった方がいいのではないかなと思うのです。その中で私的録音録画がどれくらいなのかみたいなふうに抽出した方が本当のことが分かるのではないかなと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。

この調査項目に関して外部の機関と御相談があるのだろうと思うのですけれども,その御相談の結果,こういうことに決まったというのが,この小委員会の場にもう一回出てくるのですか。それは来ないのですか。

【俵著作物流通推進室長】皆様にもう一回確認させてもらった方がよければ確認をさせてもらいますが,ある程度できた段階で主査に相談させていただいて,その扱いについて,その時点で確認をさせていただければと思いますが,いかがでしょうか。

【土肥主査】今回の調査項目の案というのは,重複の部分もあろうし,我々が目的にしている,30条における私的複製が家庭でどのぐらい行われていて,どういう状態になっているのかという,そこが知りたいわけですけれども,その知りたい部分を的確に捉えた項目なのか,あるいはそういうリストなのかというと,まだよく見えないところがあるので,これから具体的に詰めていただいて,大体こういう形でやろうと思うということが分かったところでもう一回見せてもらうと,私どもも正に30条の私的複製はこういう状態なのだということを委員みんなで共有できると思いますので,よろしくお願いします。

【椎名委員】調査項目も去ることなのですが,どういう対象にどの程度の規模をどういう手法で調査をするかというようなことについても,前回の調査との連続性という意味では重要になってくるかと思いますので,そのあたりもお示しいただけたらと思います。

【土肥主査】前回の調査というのはすごく大規模なものですよね。例えば30条の私的複製に限定しておやりになったというわけでもなさそうに思ったのですけど,違うのですか。

【椎名委員】詳しくはちょっと記憶しておりませんが,録音と録画に分けて,その30条周りの私的複製に特化した調査をしていると思います。規模がどうだったのかというのは,僕も調査一般の相場観を知っているわけじゃないので。調べてみますけれども,何段階かに分けて調査をしていると思うので,それで,この部分で共通する部分をやっていきましょうみたいな選択はできると思うのです。そんなに大々的な規模であったという記憶はないので,そこら辺はちょっと調べて,意見として申し上げることはできると思います。

【土肥主査】高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】違う観点ですけれども,調査項目(案),1)デジタル録音の状況の中で,録音楽曲の入手元は結構重要ではないかと思っていまして,特に借りたCDからの録音には,有料のレンタル店から借りたものもあるし,友達から借りたものもあるし,図書館から借りたものもある。いずれも30条の範囲内だと思います。そういう意味で,設問の仕方に十分注意して,その辺が明確に分かるようにアンケートを行っていただきたいと思います。

以上です。

【土肥主査】ほかにございませんか。丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】この小委員会でずっと議論されたり指摘されたりしてきたことですけれども,音楽の利用実態が変わってきているのではないかと思います。サブスクリプションモデルしかり,ストリーミングで聞き流す人も多いと思いますし,あと,CDはおまけ目的で買うだけで,1枚を残し全部捨てているとか,そういうところも浮き彫りになるような質問項目を立てていただければと思います。

【土肥主査】だんだんハードルが上がっていくような話になっているのですけれども,そこは誠実に,正確に,この実態調査ですか。これは本来,前の期において委員から御要望があったところを事務局で受けて実施するものでございますので。もちろん,昨今の録音というもの,録音という言葉が古いというか,録音以外の言い方とかあるのだろうとは思いますけれども,しかし,録音テープという言い方があるのであれば,僕もまだ付いていけるのではないかなと思ったのですが。とにかく,ひとつ委員の皆様の御要望に沿うような形で実態調査を進めていただければと思います。

ほかによろしいですか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】質問項目を具体化されて見せていただけるということですので,その段階で申し上げてもいいのかなと思うのですけれども,今書かれていることというのは多分,現時点のコピーの量なのだろうと,利用者が行うコピーを把握されようとしておられると思うのです。コピーがなされていると30条の補償が必要だというお立場の人からするとそれだけの情報でいいのかなと思うのですけれども,利用者側の委員というのは,去年から再三申し上げているのが,コピーの総量も減ってきたと。利用環境が変わってきたとか,そういうことをかなり主張しておりまして,そうすると,制度導入時のコピーの量と今のコピーの量と,量的にどうかというだけではないのですけれども,もちろん先ほどのマルチデバイスだとかクラウドとかあちこちにコピーがあるから全部補償が必要だという立場では全然ないのですけれども,コピーの質というか,個数が増えたから量が増えたということではないという主張とともに,全体的な量の変化についても,アンケートで聞くことではないのかもしれませんけれども,それがないと……。量が増えている,増えているという御主張をされている委員の方がおられて,数値とかで見るとそうではないので,そこをどこかの段階で検討しなければいけないのではないかなと思っていまして,アンケートでは現時点のものしか捉えないということであれば,それと比較するようなものを何か,例えば私の団体からプレゼンテーションさせていただくとか,そういったことも検討いただきたいなと思っています。

それから,アンケートというのは結局聞き方で随分答えが変わると思いますので,そういう意味では,今は項目だけが挙がっているのですけれども,やはり聞き方まである程度見せていただきたいということをお願いしたいと思います。

【土肥主査】どうぞ。

【俵著作物流通推進室長】この調査の中では,過去のことは難しいと思うので,今のところがどうかという調査になるのかと思います。質問項目については,先ほど主査からも御指摘があったとおりかと思いますので,そのような対応ができるように取り組みたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかにございますか。

実際にはいつぐらいからこの実態調査というのは始まるわけですか。

【俵著作物流通推進室長】委託をする形になると,競争入札というプロセスが必要になるので,それで少なくとも1か月半ぐらいかかってしまうのですが,そういう意味で今回の調査自体は対価還元の手段を検討するために必要なデータを集めるということなので,できるだけ早く対応することが必要だとは思っているのですが,少し手続関係で必要な期間があるので,それを踏まえて,できるだけ早い段階で細かい質問項目を考えるようにしたいと思います。

【土肥主査】いずれにしても,競争入札が1か月半,選定までにかかるということになると,今,6月の末ですので,秋,9月の初めぐらいには決まっているわけですよね。決まっていて,その業者との間で調査項目についての詰めがあって,大体こういう形が出たというところで見せていただけると。そういうことで,年内には結果が出るという。

【俵著作物流通推進室長】それを目標にやります。

【土肥主査】分かりました。

そういうことですので,どうぞよろしくお願いをいたします。

それでは,事務局におきましては,この実態調査の手続をよろしくお進めいただければというふうに思います。

では,具体的な議論に入っていきたいと思いますけれども,前期の本小委員会では,クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点,これは参考資料4に挙げられておりますけれども,その2点目,音楽コンテンツの私的録音に係る補償すべき範囲について,一定の方向性というものが出せたのではないかと思っております。今期は,3点目の論点である,対価還元の手段について議論を行っていきたいと思います。そこで,対価還元の手段に関する検討につき,事務局より説明をお願いいたします。

【俵著作物流通推進室長】資料5と参考資料4を併せて御確認いただけますでしょうか。

最初に,参考資料4,これは委員会の開催ごとに配布させていただいているものですが,対価還元に関する主な論点ということで,平成27年11月に,整理いただいております。既に主査からも御指摘がありましたが,私的録音について言うと,1と2については方向性をまとめていただきましたので,今回,私的録音を優先に検討することとし,具体的には3番の対価還元の手段,この議論に入っていくことになるかと思っています。

資料5を確認いただけますでしょうか。対価還元の手段に関する検討ということで,これまで出された対価還元の手段に関する御意見を選択肢という形で三つに整理をしています。

その前に,資料5で言う1番,検討に当たっての基本的な考え方ということで,3点ほど整理をしました。これは昨期,本小委員会の審議経過報告の中でまとめていただいたものから抜粋をしているものです。1点目は,私的複製による不利益が権利者に生じていると評価できる以上は,原則として,権利者への補償が必要であるということが一つあるかと思います。ただ,「もっとも」以下になりますが,私的複製によって不利益が生じていることをもって,全ての私的複製について補償が必要だと言うことはできないので,私的複製の趣旨や性質を考慮しながら,どのような私的複製について補償の必要があるのかを検討する,これが重要だということを言っております。もう一つは,総体として大量に私的複製が生じているという側面がある一方で,個々の利用者のレベルで言うと,必ずしも大量の私的複製が行われているわけではないという側面もあるということを踏まえて,制度を構築する上で社会的な理解が必要だということについても,確認的ではありますが,抜き出して書かせていただいています。

対価還元の手段としての選択肢ということで,案という形で書かせていただきましたが,これはこれまでの議論で示された対価還元の手段を整理しております。一応,(1)(2)(3)という形で書いています。これは完全に三つきれいに分けられるかというと,そうではないかもしれませんが,大きく三つに分けて整理をさせていただきました。

1点目は,補償金制度ということで,現在,私的録音に供されている機器・媒体が補償金制度の対象となっていないことから,これらを対象とする。より具体的に言うと,今,専用機器・媒体にしか対象になっていないものを汎用の機器媒体にも広げていくということかと思います。それについては権利者団体の方を中心にここでも御意見を頂いていたかと思いますし,それが一つの案なのかと思います。

三角印のような形で,これまで寄せられた意見を書き並べてみました。これも同じく平成27年11月に,対価還元に関する主な意見という形で一度整理いただいていますが,そこから抜き出して整理をしたものです。

これを踏まえて,論点となり得る事項ということで,これは事務局の方で例示として書き出してみたものです。対象となる機器・媒体・サービスの範囲であったり,機器・媒体・サービスの決定方法であったり,「製造業者等」の位置付けであったり,こういったことが論点となり得るかと思いますが,これらの論点については,これからの意見を踏まえて整理をして,改めて意見を頂くという形になるのかなと思いますが,取りあえず例示として書かせていただきました。これが1点目になります。

2点目は,契約と技術による対価還元ということで,これもこの委員会の中で頂いた意見を整理したものですが,簡単に言うと,コンテンツの提供価格に私的録音の対価を上乗せして,それを徴収して分配するという形になります。ここに書いてあるように,補償金制度,(1)番との違いとしては,指定団体を経由した徴収・分配を行うのではなくて,コンテンツ提供のために行われる権利処理と同様に,提供されるコンテンツの権利者に直接ひも付いた形で対価が還元されるというところが大きな違いなのかと思います。

これも同じように,ここに三角印のような形で,これまで出された意見を書いています。

論点となり得る事項。これも例示にはなりますが,一応事務局として,私的録音に係る対価をどのように設定するかといったことや契約に与える影響,こういったことが論点になってくるのかということで整理をさせていただきました。

3番目は,クリエーター育成基金ということで,これも本小委員会で意見を出していただきました。

これは育成基金としてまとめて書いていますが,提案いただいた意見のそれぞれに異なる箇所があったかと思いますので,説明をさせていただきます。三角印の最初の「現行の補償金制度のように」と始まる文ですけれども,これは基本は,財源としては補償金だと。その補償金がいいのかどうかというのは置いておいて,少なくとも財源としては補償金としつつも,その分配先としては,個々の権利者に分配するのではなくて,徴収した補償金を基金化して,その基金についてはクリエーターの育成という目的のために活用するのだというのが1点目に出された意見かと思います。そういう意味では,(1)番に関して,分配先についての考え方ということが言えるのかもしれません。2番目の御意見は,財源自体も,補償金というよりもむしろ権利者,事業者,消費者などから一定の基金を集めて,それを基金として活用するという案だったかと思います。そういう意味で,同じ基金でも少し趣旨の違った御意見になるのかと思います。3番目に書いてある,これもこの中で取り上げて書き出すのがいいのかどうかはありますが,例えば税制の優遇という方法もあるのではないかといった意見もありましたので,書き添えさせていただいています。

論点となり得る事項としては,クリエーターの育成目的に支出することと,私的録音との関係をどうやって説明するのか,財源をどのように確保するのか,支出する事業をどのように決定するのかということが論点となり得るのかということで整理をさせていただきました。

御議論,よろしくお願いします。

【土肥主査】どうもありがとうございました。

これまでの議論を踏まえて,対価還元の手段について,(1)(2)(3)と。その(1)(2)(3)のタイトルはこういう形ですけれども,中で言っているところは,今,事務局から説明があったとおりでございます。本日,この対価還元の手段として,一応今,御説明のあったような意味での三つ出ているわけですが,これ以外にあるのかどうかですね。つまり,本日の議論としては,ここで手段の外枠といいますか,外縁を画しておければというふうに思っております。ですから,お気付きの点があれば,こういう論点もあるのではないかということを出していただきたいと思います。この手段に関する論点としてお気付きの点があれば,本日お話しいただければと思っております。

いかがでしょうか。お気付きの点はございますでしょうか。ないということは,大体こういうことであったなと,こういうことでしょうか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】対価還元の手段の選択肢に追記をしていただきたいという趣旨ではないのですけれども,資料5については昨年の資料から転記をされているというふうに理解をしているのですけれども,2は対価手段の選択肢ということでいいのですけれども,1のところを前提として昨年の資料からの転記があるわけですけれども,これは先ほど事務局から御説明があった参考資料4で3点,昨年論点をやってきて,1と2を終えたので3に移るということと御説明をされて,1,2のところの部分が今回の資料5の1に一まとめになっているのかなと思うのです。それについて,昨年の最後に示された1年間の検討結果について,利用者側の委員,私もそうですし,ほかの委員の方もたしかおっしゃっていたと思いますけれども,意見が分かれているので両論併記にしてほしいとかですね。例えば三つ,星のようなものがありますけれども,これらについても必ずしも賛同していない。違う意見を脚注とかで結局載せていただくことになっていて,前回は本文にも載っていなくて脚注にされてしまって,今度は載っていないので,利用者側の意見はなかったことになっているのではないかということが非常に心配で,仮にということで議論を先に進めているのだろうと思ってはいるのですけれども,やはりそこは記載をしていただきたいということがお願いです。

【土肥主査】具体的に両論併記の部分について榊原委員がおっしゃりたいのは,補償すべき範囲としての部分でおっしゃりたいのだろうと思うのですけれども,対価還元の手段をどうするかということの中で議論ができるというふうにそのときは私は整理したと思うのですが。その整理に基づいて,今,3に入っているのですが,そういう進め方については御了解いただいているわけですよね。つまり,榊原委員が両論併記で書いてほしいというふうにおっしゃった部分については,それはもちろん記録がございますので,大丈夫なのですけれども,それを踏まえた上で対価還元の手段を検討すると,こういう話です。

【榊原委員】昨期の段階では両論併記いただいているわけですけれども,今期はそれが消えているので,通常,こういう議論を追いかけている方は昨期の資料まで戻らないと思います。昨期も利用者側の委員は,議事録には意見が残っていたわけですけれども,最後のまとめに載せてくれと言ったのは,議事録はやっぱり見ないから,ちゃんとまとめに載せてほしいというふうなお願いでしたので,こうやって少しずつ次々出てくる資料から落ちていくと,なかったことになると。実際にはなかったことにはならないのでしょうけれども,発見されにくくなりますので,きちんと転記をされるときには,両論ある,少数意見という書き方でも結構ですから,利用者側の委員からこういう意見が出ていたということは書いていただいた上で3の選択肢の方の議論に移っていただきたいというお願いです。ぱっと見て分からないということが趣旨です。

【土肥主査】一応,過去の議事録や資料は机上にちゃんとありますので,何かあれば出していただけると思いますけど。

【榊原委員】これを見ないですよね,普通の方は。例えば傍聴に来る人も一部ですし,議事録とか昨期の資料に載っていても,ここにいる人は分かっていると思うのですけど,多くの国民の方は分からないので,そこで気が付かないと,やはり利用者の委員は,なかったことになると。繰り返しになるのですけれども,そういうフェアな転記の仕方をしていただきたいということです。

【土肥主査】いずれにしても,御懸念のような点について……。じゃ,俵室長。

【俵著作物流通推進室長】これは以下の3点を前提に検討を行うということで,これ自体は,全会一致ではなかったかもしれませんが,まとめていただいたので,この3点を前提に検討を行うということは本小委員会としてこういう形で進めていただければと思います。転記ということで言うと,星印のところの「私的複製による不利益が権利者に生じていると評価できる以上は,原則として,権利者への補償が必要である」といった部分については,昨年度の審議経過報告の中で注記として,補償についての基本的な考え方として権利者への補償が必要であると結論付けるのではなく,両論併記にとどめるべきである等の意見も示されたということは書いているので,それを書くということは一つあるかと思います。ただ,前提として,議論いただく内容としては,1番については昨年度の中でまとめていただいたもので,そういった形で進めていただければと事務局としては考えます。

【土肥主査】ありがとうございます。1の最初の星印にある「原則として」という部分を委員の中におかれては若干幅があるのかなと思いますけれども,原則の幅というのを仮に置いておくとしても,私的複製によって不利益が生じているという指摘があって,それは十分な合理性がある,そういう御意見だと思うのですね。それで,従来30条2項においては,デジタル録音につきましては補償金という制度があって,それによって不利益を補っているといいますか,権利者における不利益に対する補償を行っている,こういうことであるわけです。

従いまして,適切な対価還元の手段として,基本的な考え方としては,30条があって,私的複製が行われ,そこで権利者において損害が生じているのだから,補償金若しくは他の方法によって何らかの形で適切に対価還元をしていきましょうという,そういう進め方をさせていただいているということです。だから,いろんな手法によって,結果として,対価還元の範囲とか,対価還元を考慮すべき範囲とか,対価の額とか,そういったものが変わってくるということは当然あり得るのだと思うのですけれども,原則としては,1の考え方ということは皆さん御了解いただいているのではないかなと思うのですけれども。

榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】この1個目の星については,例えば「不利益」という単語についても,法的な不利益を言うのか,経済的不利益を言うのかということで,経済的と捉えると不利益と言えないのではないかという意見を申し上げたのが昨年申し上げた意見ですので,そこは意見が割れているままであると理解をしています。それを,意見が割れたままを前提にするのか,一方の意見だけを前提に検討を行うとおっしゃっているのか,よくお聞きをしていると分かりませんけれども,範囲であるとか手段のところの話というのは,先に進むと前提のところが,多数意見が是(ぜ)とされているのであればちょっとどうなのかなと思いますので,それは審議会の進行上,問題があれば,少数意見だとか両論の意見があったという追記なりをしていただければいいと思うのですけれども,書いていないので,書いていないのが全部ないかのように見えるということで。書いていないと,これが前提で,原則としてはそうでしょうというのは,そのように思っていないという意見を申し上げていたということです。

【土肥主査】そういう御指摘があったということですね。

ほかにございますか。龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】若干突拍子もない意見で恐縮ですけれども,4ページ目の上から2行目に,税制優遇という方法があるという指摘が出ていますが,税制の優遇という角度ではなくて,本来,税そのものというアプローチも特定目的税といいますか,そういうものもあるかとは思うのです。ただ,文化庁のこの審議会で税制について議論するということが果たしてあり得るのかどうか分かりませんけれども,この中であえて漏れているとすれば,補償金制度がコンセンサスに達しないというのであれば,ほぼ同じ意味で,特定目的税という切り口もあり得ないではないかとは思うのです。そのあたりは果たしてここで議論されるべきなのかどうか分かりませんけれども,問題点の指摘として申し上げます。

【土肥主査】そうですよね。クリエーター育成基金,クリエーターの育成をもって代えるという考え方が(3)になるわけでありますけれども,一つの例示として,そういう意見があったので出しているということなのですが,確かにここで本来,案として出したい点は,早い話が,直接権利者に対価還元をしないで次期の権利者に対価還元をするという,そういうことですよね。新しいクリエーターの育成資金ということですので。そういう考え方になっています。例えば税制の優遇という方法は一つの意見としてここでは受け止めていただければと思います。

ほかにございますか。(2)なんかの場合は,これも正に当事者間のライセンスで対応してしまうという考え方になるわけでありまして,要するに補償金とかそういう考え方ではないという,そもそもコンテンツの提供価格に還元されるべき対価を上乗せする,こういうことであって,更に一部の委員の方からは,DRMが付いているような場合についてはもうそれで還元されるべき対価はそこで上乗せされているのではないかというような趣旨の御発言もあったのを反映したものでございます。どうぞ。

【榊原委員】(2)番のライセンスのところですけれども,3ページ目にたくさん転記がされているのですけれども,プライスインについては昨年ヒアリングがなされていたと記憶をしていまして,そのときに権利者の方々に対して,価格設定のところでプライスインできるのではないかとか,やっておられるのではないかという質問を何度かさせていただいて,それに対して,価格設定の見直しはシステム的にはできますとか,可能であるとか,そういう回答が,議事録を見れば残っていると思うのですけれども,そういったものは全く転記がされていないので,していただいた方が資料としてはいいのではないかと思います。

【土肥主査】どうぞ。

【椎名委員】この対価還元の手段としての選択肢として,まず補償金制度,それから契約と技術による対価還元,それからクリエーター育成基金と,例示として三つを挙げていただいたと思うのですが,ここで,契約と技術による対価還元というのは,今,榊原委員もおっしゃったとおり,まず対価還元の現状の中でプライスインされているのか,されていないのかという分析を行ったと思うのですね。それで,されていないということを前提に今後の話として選択肢に挙がってきたという理解でよろしいでしょうか。

【土肥主査】椎名委員のおっしゃっているのは質問になるのでしょうね。

【椎名委員】はい。

【土肥主査】どなたに。

【椎名委員】事務局に。

【土肥主査】じゃ,事務局,お願いします。

【俵著作物流通推進室長】昨年度の議論では,契約上はプライスインはしていないということで,それを踏まえて整理をしたつもりです。

【椎名委員】そこで,その前提に立ってちょっと申し上げたいのですが,30条1項というのがございます。無許諾でコピーができるという30条1項については,基本的にこれをいじらないで考えていきましょうということも確認されていると思います。だから,将来にわたってプライスインが可能であるかどうかということで言うと,契約と許諾でやるのだったらそことの関係をどうするのか,無許諾で複製ができるとなっているのに対価を取っていくということは,事実上,可能なのかどうかという議論があるかと思います。

そのことと,あと,クリエーター育成の選択肢についてちょっと意見を申し上げたいのですが,基本的に不利益が生じているから補償の必要があるということで言うと,補償金の使途についてはすぐれて権利者の意思ということがすごく重要になってくると思います。例えば,現行走っている補償金制度というのは,共通目的基金なんていう考え方があって,権利者全体のために使っていく,その育成であるとか助成であるとかそういった部分に振り向けましょうという考え方も一緒に走っていたものですが,基本的には権利者がどういうふうに考えるのかというところでの選択肢として出てくる。だから,さっき室長もおっしゃったとおり,分配のバリエーションに関する選択肢として考えていくべきなのではないかなというふうに思いました。

【土肥主査】いずれにしても,(2)にせよ,(3)にせよ,実際に契約モデル,ライセンスモデルでそういう還元されるべき対価を上乗せしていく,そういう仕組みが現実にどうやってやるのかという問題が出たりするのですね。クリエーターの育成資金ということが出てきたのは,補償金という仕組みがこう着状態になってしまうと,もっと視点を変えて,こういう考え方もあるのではないかということで出たものをここに反映しているわけです。現に既に補償金という制度がありますので,議論の進め方としては,今ある補償金という制度の見直しができるのか,できないのかという,そういう形で進めていくのが適切だろうと思っておりまして,一気に(2),あるいは(3)だというふうにはなかなか進め方としてはならぬだろうというふうには思っています。

いかがでしょうか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】先ほどのプライスインで,事務局の俵室長の御回答で,されていないということが前提だというふうな御発言があったのですけれども,そこは意見も割れていましたし,法的に見てどうなのかということと,経済学的に見ても分からないという指摘もたしかありましたので,そこがピン留めにできるようなことではないのではないかと。もちろん,プライスインできるかどうかという話はあると思うのですけれども,されていると……。たしか全体として契約しているので分からないというような御回答をされた方も1名か2名おられましたし,実際に自分はしていませんと主観的におっしゃった方についても私はよく分からないなと思っていて,それで法的な話と経済学的に見てもどうなのかということを調べた方がいいのではないかという御意見も他の委員からも出ていたと記憶しています。

【土肥主査】現状で対価が含まれているということに関しては,含まれているというふうにおっしゃっている方はどなたもいないわけです。榊原委員はそうじゃないかというふうに推測されてはおりますけれども,そのことが我々委員全体において,確かにそうだなという認識は持っていないのですね,全く。したがって,認識されていない,共有されていない,そういうことに基づいてこの議論をやるとすれば,今後,対価を上乗せして,対価還元をしていくやり方というのがどういう技術的なやり方をもってすれば可能かということになるのだろうと思うのです。つまり,この先の話として,そういうことが可能なのかどうか,そこの中で議論せざるを得ないのだろうと思っております。つまり,(2)の議論というのは,今後の議論の中でそういうライセンスによって適切な対価還元を行う手法がどういう形でやればエンドユーザーの方においても納得いただけるような形で可能なのか,そういうことです。今現在,市場において販売されている価格の中にその部分が含まれているという,そういう合意はないという認識でおります。

どうぞ。

【俵著作物流通推進室長】これも去年の審議経過報告の中で,元々,私的複製が行われることを見込んで対価設定が行われているのではないかという意見があって,一方で権利者の方からは,私的複製の対価はコンテンツの提供価格に上乗せすることはないという反論があったということも記されていて,まとめ方としては,私的録音に係る対価は補償金制度によって権利者に還元されるという制度的前提が存在しており,これを踏まえれば提供価格に私的複製の対価を盛り込んでいくとの評価は妥当しないものと考えられるとまとめられています。私が申し上げたのは,これを踏まえて整理をしたということです。

【土肥主査】ありがとうございました。

世古委員,どうぞ。

【世古委員】JASRACの世古でございます。コンテンツへの私的複製補償金のプライスインということに関連しまして,今,榊原委員の方から,プライスインされているのではないかとかというようなお話がございましたので,改めて音楽著作物の権利者としましてお答えいたします。

今回議論されてきた,対価還元の現状,それと補償すべき範囲の中で,パッケージの販売,それとパッケージのレンタルと音楽配信のダウンロードを範囲としましょうというふうに決めたわけですが,いずれの流通形態におきましても,音楽著作物のパッケージ等への複製,あるいは配信,レンタルの権利処理に係る使用料については,著作物のそれぞれの支分権における利用についての対価であって,消費者の私的複製に関わる補償の意味といったものは含まれていないのは明らかであります。

マルチデバイス・ダウンロードについては,複数のデバイスへの配信について契約で権利処理を行っている事業者があるということは事実ですけれども,それは私的複製の補償という意味でのプライスインということではございません。この点,改めて申し上げたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。特にもうこれ以上御意見がないようであれば,資料5の手段に関する検討を今後進めていくことになりますけれども,順番としては,これは(1),(2),(3)でやっていくということですか。それとも,何か手法として。本日の御意見,特に新たに追加すべき議論もそう多くはないと思いますけれども,検討として挙げていただいている資料5の具体的な選択肢の案を(1)(2)(3)という形で議論するのか,それは今後どういう進め方になりますか。

【俵著作物流通推進室長】正確に(1)(2)(3)というふうな制度で切り分けられているわけではないのかもしれませんが,一応(1)(2)(3)という案を大ぐくりとして分けられると思いまして。今,それ以外の点については,税制の処置が考えられるのではないかというのが1点あったのかなと思いますが,次回以降は個々の(1)(2)(3)について論点を事務局で整理して,(1)番の補償金について,(2)番の契約と技術による対価還元について,それと(3)番の基金と,それぞれ個々に意見交換を頂くのがいいのかと思います。その前提として,もし今後それぞれの項目についてこういった点が論点として挙げられるのではないかという点があれば,次回まで少し時間があると思いますので,御意見を頂ければ次回の論点整理の中で論点として書き出して,皆様に見ていただいて,それを踏まえて,(1)(2)(3)それぞれに意見を頂くのがいいのかと思っております。

【土肥主査】そのようでございますので,特に2ページの点線で枠囲いをしてある「論点となり得る事項」の部分,3ページの「論点となり得る事項」の二つ,それから4ページの「論点となり得る事項」の三つ,これは論点となり得るものとして挙げていただいておりますので,ここに具体に追加するものがありましたら,今お出しいただければ非常に後々の議論の進め方において有益だと思いますので,お願いします。香月様,どうぞ。

【インターネットユーザー協会(香月)】インターネットユーザー協会の香月です。

1点,先ほどの議論の進め方について確認をさせていただきたいのですが,補償金制度,契約と技術による対価還元,クリエーター育成基金について議論をされるという点だったのですけれども,この三つについては全て議論をするということで間違いないでしょうか。そちらを確認させていただければと思います。

【土肥主査】当然,全てについて議論をするということですね。

【インターネットユーザー協会(香月)】それが確認できれば大丈夫です。ありがとうございました。

【土肥主査】どうぞ,河村委員。

【河村委員】(1)(2)(3)が話し合われるというのは当然だということで,そうだと思うのですけれども,先ほど私,ちょっと気になりましたのが,主査のお話の中で,やはり(1)の補償金制度というのがメインな議論のところで,(2)と(3)は,というようなことがあったかと思います。ちょっとはっきり前後を思い出せないのですが,そのようなお話が主査からあったことは大変気になるところです。クリエーターへの対価の還元ということについて改めて,10年越しの議論をするわけですから,(1)(2)(3),これはきれいに切り分けられるわけではないと事務局もおっしゃっていて,いろいろな方法,手段があるわけですから,また,どのような複製について補償の必要があるのかを検討するということも基本的考え方のところに書かれているわけですから,10年ぐらい前になされていた補償金制度をめぐる議論の応酬のやり直しということではなくて,新しい時代に向けた,未来に向けた話合いをするべきだと思っていますので,(1)(2)(3)に優先順位を付けず,平たくやっていただくということをお願いします。

【土肥主査】私の発言でいろいろ御意見を頂いたのかもしれませんけれども,補償金自体が難しいのですよ。補償金の見直し自体がこうやって難しいわけでありますので,(2)と(3)についてもやはり同じように難しい。どこをどうやったとしても,難しいことはもちろん等しく難しいのだろうなということは承知しております。要するに,(2)が易しいとか,(3)が易しいとか,あるいは(1)が易しいとは決して思っていないということです。同じように難しいのだろうと。しかし,難しい問題であったとしても,これだけの委員の方々がお集まりいただいているわけでありますから,そこは知恵を出していただいて,一定の結論に達したいというのが私の希望でございます。

龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】細かいことで恐縮ですけれども,2ページの点線の中の三つ目で,104条の5ですか,製造業者等の協力義務の,「製造業者等」の位置付けという項目が挙がっております。確かにそれ自体が一つの大問題ですけれども,少なくとも時代の変遷で,この104条の5は記録媒体の製造又は輸入を業とする者しか視野に入っておりませんので,恐らくクラウド等を視野に入れればサービス事業者もこの条文のどこかに位置付けられなければならなくなる可能性があるのではないかという意味で,104条の5を改正することの是非の問題も避けて通れない問題ではないかと思います。

【土肥主査】どういうものを更に考えられるのかということはあるのだろうと思いますし,ですから「製造業者等」というふうに付けてございます。デジタルコピーをする,そういうところがあれば,それはこの製造業者等に対する協力義務ということをもっと考えることができるのかもしれませんし,ここの位置付けというものは協力義務なのかどうなのかという,そこの問題にもつながっていくところでありますので,余り軽々に言うことはできませんけれども。ドイツなんかでは,そういう製造業者が義務者なのですけれども,大規模なコピーを可能にするような公立の図書館の運営者なんかも,条文上,義務者の中に入っていたりしていますので,いろんな制度設計によって考えられるところはあるのだろうと思いますし,あるいはもっと別の形での義務を考えることができるのかもしれませんが,いずれにしても,龍村委員がおっしゃったようなところについては具体のところでなお考えていけるところがあろうかと思います。

ほかにお気付きの点。どうぞ。

【今子委員】例えば,補償金制度をどうしていくのかということを検討するときに,論点となり得る事項というのは,たくさん挙がってくるとは思いますし,突き詰めればどんどん出てくるのではないかと思うのですけれども,同時に,(1)番,(2)番,(3)番それぞれの選択肢におけるメリット,デメリット及び留意事項を横並びで比較した上で,検討するというアプローチをとってはいかがかと思います。

【土肥主査】その辺はちょっと勉強させていただいて,そういう視点も必要なのだろうと思います。

奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】今,龍村委員から出たところとちょっと関係するのですけれども,これもこの次元で言うのかどうかもよく分からないのですが,取りあえず論点出しということで申し上げさせていただきます。今,クラウドが挙がっているのですけれども,そうすると,従来は余り考えなくてよかったことが一つ出てくるように思います。というのも,クラウドのサービス提供者というのは,特に今現在,一般ユーザーが利用するものの提供者って,ほとんど海外事業者なのだろうなと思うわけです。そうしますと,その海外事業者に対してどのように制度を及ぼしているかということは,正直ベースで言うと,従来の議論からすれば未知の領域なのではないかな,難問なのではないかなと思うわけです。ハードウェアの機器について,補償金と言う場合は,海外製造事業者が製造した機器に関しましては,輸入者に輸入時点で払ってもらうという処理ができたわけで,そこで制度としてはうまく――うまく回っていたかどうかという御議論はあるのでしょうけれども――制度設計ができていたわけです。しかし,サービスを直接対象にするということになった場合には,海の向こうのサービスというのをどういうふうに捉えていくかということは,これはいろいろと工夫の要るところではないかなと思います。それで,ちょっと私,不勉強ですけれども,たしか通信販売なんかで海外から直接販売されるような場合に消費税をどうするのかというような議論なんかもあったと思いますので,似たような議論が,今回も制度を実際に回していく上ではあるのではと。ですから,いい,悪いということを申し上げているのではなくて,論点としては,海外,内外の問題というのは一つ出てくるのかなと思っています。

更にその関係で申し上げますと,クラウドの事業者というのは,サービスの製造者であって,販売者でもあります。ということは,クラウドのサービス事業者ということを仮に対象に考えるのだとしますと,従来は権利者と機器の製造業者と機器の利用者という三角関係で議論してきたわけなのですが,クラウドのサービス事業者を前提に発想を進めていきますと,権利者,機器の製造業者,機器の利用者,機器の販売業者というように四角関係ということにもなり得るのかもしれないわけですね。その辺も,今回どこから議論するのかというのもありますのであれなのですが,いろんなことを一から議論する部分があるのだとすれば,状況もいろいろ変わっておりますので,そういうことも含めて,サービスと機器といろんなものの流れと食い違いのないようにするということも一つの論点なのかなと思って申し上げました。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございます。クラウドは今おっしゃるようにいろいろ問題があるので,政策的にもここでの議論からはというのが結構あったように私は記憶をしているのですけれども,残された時間の中でどのくらいクラウドを取り上げることができるのかどうか,非常に悩ましいところではあるのだろうと思いますけれどもね。かなり政策的にここはというのが多かったように思います。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】私も実は先ほどまでの議論をお聞きしていて主査と同じ印象を持ちました。これは前からも出ていましたけれども,専用機器から汎用機器にするという話であれば従前の議論の延長線上でできるのですが,クラウドを入れるとなると一気に議論が大きく変わってしまいますので,そこは最初から注意する必要があると思います。今までは一気にクラウドまで行くのは消極的な意見が強かったのに,本日は聞いていると当然のようにクラウドに入って,話が拡大してきたのですが,クラウドに拡大した瞬間に,頭を全部切り換えたような話になってしまいますので,そこは大きな意思決定が必要になってきます。まずはクラウドを入れるか,入れないかで大きく違いますので,余り最初から細かいところに入ってしまうのもいかがかなという感じがいたします。私の直感では主査も皆様も同じかと思いますが,タイムリーに何か成果を上げなくてはいけないので,余り最初から話を大きくすることには否定的に感じます。謙抑的な範囲で確実にやって,またそれを踏まえて次に進むという現実的な形の方がよいように思います。

きちんと問題を分けて,余り最初から盛りだくさんにしてしまわずに,議論のフローチャートを整理して,最初のところである程度歯止めを掛けることによって,大きな選択肢としてきちんと止めおいた方が,どちらに進むにせよよいだろうという気がいたします。

【土肥主査】ありがとうございます。いずれにしてもクラウドの問題については重要であるという認識は持っておりますけれども,これは今後進めていく上で,少し預からせていただければと思います。

論点項目として,本日全て出していただければ一番いいのですけれども,後日お気付きになるというところも当然あるのだろうと思います。先ほどの私的録音に関する実態調査項目に関しても御説明があったように少し時間的な余裕がございますので,後でこういうものもやった方がいいのではないかというのを事務局の方におっしゃっていただければいいのと同様,今後,本小委員会において手段の検討をやっていく場合に,論点としてこういうものも挙げた方がいいということがもしありましたら,これは割合近いうちに意見としては事務局は欲しいということですよね。どうぞ。

【俵著作物流通推進室長】もしあればこの場で出していただいて,もちろん,後ほどでもいいですし,それを踏まえて事務局としては全体を整理しますので,ここで出されていないからといって論点にならないというものではないと思いますが,もし案があれば出していただけると有り難いと思います。

【土肥主査】本日必ずというわけではないのですけど,何か月も先に出されても,それもまた困るところがございますので,そこのところは余り時宜に遅れない制度に論点をお出しいただいた方が事務局も助かると思います。ですから,残った時間,もう一度確認させていただきますけれども,対価還元の手段に関する検討項目ですね。論点となり得る事項について,クラウドについてはもう伺いましたし,104条の5に関するところも伺ったわけですけれども,それ以外に何かお気付きの点はありませんか。

まだはっきり分かっていないところなのですけれども,全部同時にやるのか,(1)(2)(3)の順番でやるのか,(3)(2)(1)でやるのか,何か順番を考えられておられますか。

【俵著作物流通推進室長】一遍にやってしまうと,ちょっと議論がややこしくなるので,個々に,それに賛成,反対というのとは別に,取りあえず1個目,2個目,3個目ということがいいのかなと。その順番には特にこだわりはありませんが,(1)番からでいいのかなと思います。

【土肥主査】どうぞ。

【椎名委員】議論の進め方としてちょっとよく分からないのですけど,三つの選択肢がありますよと,それで様々な論点を出すのですよということで言うと,全てを議論していくことになるのではないかと思いますが,その中で,いずれかの選択肢,あるいは複数なのかもしれないけど,絞り込んでいって,それについて更に詳細に議論するという理解でよろしいですよね。三つずっと議論していてもしようがないと思うので。

【俵著作物流通推進室長】最初にまずそれぞれ出されたものについて改めて論点として出した上で,それぞれについての,今出されたメリット,デメリット,留意事項ということがその中でも出てくるのかもしれませんが,それぞれ意見を頂いて,その後はどこに集約をさせるのか,一つになるのか分かりませんが,ということになっていくのだろうと思います。

【椎名委員】そういう意味で言うと,先ほど僕,ちょっとフライングで発言しましたが,(2)と(3)について意見を申し上げました。それは論点として拾っていただければいいと思います。

【高杉委員】平成27年の第1回の本小委員会で一度配られていますけれども,諸外国における私的録音,あるいは複製制度の概況データのアップデートを是非,事務局の方でお願いしたいと思っております。

【俵著作物流通推進室長】そのときには諸外国における私的複製制度の比較表をお配りしましたが,たしか最近出たWIPOの報告書では概要という形で主に最近変わった点が書かれていた箇所があったかと思いますので,その概要について紹介するという形をとらせてもらいたいと思います。

【土肥主査】それはいつぐらいになるのですか。

【俵著作物流通推進室長】次か,次の次です。

【土肥主査】それも論点ということになるわけですね。

ほかにはよろしいでしょうか。いかがですか。

いずれにしても,本日の皆様の御意見を拝聴しておりますと,やはり平成26年からの議論の経過がございますので,このあたりはもう一回十分振り返って,十分確認した上で次回を迎えることができればと思いますけれども,平成26年の議論から言えば4年目,4期目に入るわけでありますので,これだけ時間を掛けてきた以上,決めるべきときはもうぼちぼち来ているのだろうと思いますので,今期,皆様方にはいろいろ御協力をお願いしたいと思いますが,審議の進捗につきましては是非とも御支援と御理解を頂ければと思っております。

ほかに特になければ本日の議論はこれで終わりたいと思いますが,何かございますか。よろしいですか。

その他としても特にないでしょうか。特にないようであれば,本日の小委員会はこれで終わりたいと思いますけれども,いずれにいたしましても,特に本日の議論を拝聴しておりまして,事務局において準備していただいた論点について,明確に選択肢を修正するとかというような御提案はなかったように思います。ということであれば,具体的に三つの手段,補償金,それからライセンスで対応する,あるいはクリエーター基金というような見出しになっておりましたけれども,そういう選択肢というものを前提に今後議論を進めさせていただきたいと思います。

よろしいですか。特になければ,本日はこれぐらいにしたいと思いますが,事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】次回の開催につきましては,改めて日程を調整させていただきまして,確定し次第,御連絡をさせていただきます。

【土肥主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第1回を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動