文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)

日時
平成29年7月28日 (金)
10:00~12:00
場所
文部科学省旧庁舎6階第2講堂

議事次第

1開会

2議事

  1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
  2. (2)その他

3閉会

配布資料一覧

資料1
対価還元の手段に関する検討(183KB)
参考資料1
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(69.4KB)
出席者名簿(54.5KB)

議事内容

【土肥主査】おはようございます。委員の皆様,全員おそろいでございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第2回を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。

まず,第1回は御欠席でございましたけれども,今回より杉本誠司委員に御出席を頂いております。御紹介させていただきます。杉本委員。

【杉本委員】杉本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【土肥主査】また,小寺委員が本日欠席されておりますけれども,小寺委員の申出によりまして,一般社団法人インターネットユーザー協会事務局長の香月啓佑様がオブザーバーということで御出席を頂いております。香月様,よろしくお願いいたします。

【インターネットユーザー協会(香月)】よろしくお願いいたします。香月でございます。

【土肥主査】次に,事務局に人事異動があったようでございますので,報告をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】事務局の人事異動につきまして御報告いたします。7月20日付けで著作物流通推進室長に白鳥綱重が着任しております。

【白鳥著作物流通推進室長】よろしくお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。白鳥様から,もうちょっとお話があるのかなと思っておりましたけれども。

議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますが,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方には,そのまま傍聴いただくことといたします。

本日,もしカメラ撮りがありました場合には,冒頭5分程度ということにさせていただきますので,御了承ください。

それでは早速,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】本日は配付資料としまして2点御用意ございます。

一つ目が資料1といたしまして,対価還元の手段に関する検討。3枚物でございます。もう一点が参考資料1といたしまして,クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点というものでございます。

この参考資料1につきましては,平成27年度第3回の会議の際にお配りいたしました資料でございます。

不備等ございましたら,おっしゃっていただければと存じます。

以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは初めに,議事の進め方につきまして確認をしておきたいと存じます。本日の議事は1,クリエーターへの適切な対価還元について,2,その他,このようになっております。

早速でございますが,議事に入りたいと存じます。

クリエーターへの適切な対価還元につきましては,前回に引き続き,対価還元の手段について検討を行いたいと思います。

前回は,対価還元の手段が「補償金制度」,「契約と技術による対価還元」,そして「クリエーターへの育成基金」の三つに整理されておることを御確認いただいたと存じます。

今回からは,三つの手段全部について具体的な議論を行っていきたいと思いますけれども,初めに事務局から資料の御説明を頂き,その後で意見交換に移りたいと思います。

それでは,事務局より説明をお願いいたします。

【白鳥著作物流通推進室長】資料1をお手元に御準備いただければと思います。対価還元の手段に関する検討というペーパーでございます。こちらは今,主査から御説明いただきました,対価還元の手段に関する検討という三つ目の論点につきまして深掘りをしていただくため,前回の会議でお示しした資料――前回は資料5というものでしたけれども,そちらを肉付けしたものでございます。

なお,基本的考え方につきましては,前回の資料から変更ございませんけれども,前回の御議論を踏まえ,また昨年度まとめていただきました審議の経過等についての内容に沿って,両論併記に関する意見について脚注に追記をしております。

今回のメインテーマは,対価還元の手段についてということで,このペーパーの2.以降のところになります。前回も御確認いただきました,三つの手段のそれぞれにつきまして議論をより深めていただくために,その次のページ以降になりますけれども,主な論点というものを追記させていただいております。

資料1の2ページを御覧いただきたいと思います。こちらが一つ目の手段の補償金制度に関わる主な論点として考え得るところを書いてあります。

一つは対象にする汎用機器等についてということ,そして補償金の支払義務者,それから補償金の徴収・分配等についてといったことについて,お示しをさせていただいております。

次の3ページにつきましては,(2)にございます二つ目の手段である契約と技術による対価還元ということでございます。こちらはコンテンツの提供価格に私的録音の対価(補償)をあらかじめ上乗せする方式ということで,こちらに係る主な論点として,コンテンツの提供価格への上乗せ等として,対価金額の決定や,そのような上乗せが困難なものはあるか等々の論点を記載させていただいております。

また4ページ目の上の方には続きとしまして,対価の徴収・分配等に関し,考えられる論点についてお示しをしております。

また最後の三つ目の手段であります(3)クリエーター育成基金というものにつきまして,主な論点としまして,財源の確保方法,基金の分配等について記載をさせていただいております。

その他,これまでに寄せられた意見という部分については,前回資料としてお示しした部分から変更はございません。各手段について,この資料の一番上にありますとおり,各手段のメリット,デメリット,留意事項について議論を進めていただくための資料として,今回準備させていただいた次第でございます。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。ただいま御説明にあったとおりでございますけれども。

資料1について,これから質疑応答と意見交換に入っていきたいと思っておりますけれども,1ページの2のところにある対価還元の手段としての選択肢として,(1)補償金制度,それから(2)契約と技術による対価還元,それから(3)クリエーター育成基金というこの三つ,大きく選択肢が示されております。これは前回も出たところでございますが,これらそれぞれのメリット,デメリットというのは当然あろうかと存じます。そして,そのメリットを発揮させる場合の注意点,留意点,あるいはデメリットを解消する場合の留意点,そういうことも併せて必要になってくるだろうと思いますので,以下,十分時間ございますから,(1),(2),(3),それぞれ分けて,まず(1)補償金制度についてのメリット,デメリットや留意すべき点についての御意見を頂戴したいと存じます。どうぞ御自由にお願いいたします。では榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】事務局に対してですけれども,この資料1,修正を加えていただいてありがとうございました。

2以下のところに入る前に,1で付け加えてお願いがあるんですけれども。括弧内の星の三つ目で,「総体として大量に私的複製が生じている側面と」と断定されているんですけれども,以前の小委で,ここについては,私を含めて3名か4名の委員が,総体として私的複製は減少しているのではないかという意見を申し上げたので,そこも脚注で結構ですので付け加えていただけないかと思いました。

2以下も続けて申し上げさせていただきますと,2ページ,一番上の対象にする汎用機器等についてというタイトルなんですけれども,対象にすると。汎用機器ありきではないのではないかというのは,汎用機器を対象にするかという疑問形で書かれているので,分かるといえば分かるんですけれども,現在存在する制度は専用機器ですので,専用機器への限定を維持すべきかというような書き方にしていただくと,ちょっとありきには見えないかなと思いました。

それから,その下の二つ目の丸,支払義務者等についてでございますが。製造業者等についての3.で,以前,2005年の法制小委だったと思うんですけれども,メーカーに直接課金をすることについて。現在はメーカーだけじゃなくて,もう少し広い範囲の事業者を論点としては想定されているのかもしれませんけれども,以前はメーカーに直接課金をすることについて憲法論に頼る十分な理論武装ができるのかという意見が,中山先生から提出をされていましたので,論点としては取り上げていただきたいと思います。

それから最後の三つ目の徴収・分配についてでございますけれども,現在の分配の仕方とか分配率,それから団体が控除している率とか,そういったものを具体的に確認していただいた方がいいのではないかと思います。

3ページ目の契約と技術による対価還元についてですけれども,この中の主な論点に,契約の対価の関係がクリエーターに適切に行われているのかということについて,仮にそうではないのであれば,どの部分に問題があるのか,またそれが是正する方法は何なのかということについて御議論いただきたいと思います。

以上6点,6個申し上げました。

【土肥主査】はい。対価還元の手段としての選択肢の枠囲みのところは,これは主な論点ということで出ていますので,表記というよりも,論点としてこういうものがある。だから,例えば対象にする汎用機器等についてということ以外に,ほかに何か論点として,こうやる機器があるのかどうか。そういう観点でおっしゃっていただければと思います。以下,点線の中は主な論点ですので,別にこの表記というよりも,論点そのものが重要なのではないかということで出させていただいております。

それから1枚目の枠囲みの中。これは,ほかの委員の方々にも伺ってみないといけないんですけれども。何名かの方が御異論を出されたということでありましたけれども。前期の最後のときに,ここを含めた前期の取りまとめのときは,こういうものを含め最終的には主査一任を頂いたと承知をしておりまして,その結果として注記,併記をするという,私の判断で注記をさせていただくような形でまとめさせていただいておりますので。基本的には,ここを前提にしていただかないと話は進まないわけでありますので,そこは御理解いただきたいと思います。

今,委員が出されたことに関連して,他の委員におかれまして何か御意見等ございましたら。はい。

【インターネットユーザー協会(香月)】インターネットユーザー協会の香月です。先ほど榊原委員がおっしゃいましたけれども,2ページ目の「対価還元の手段としての選択肢」の補償金制度での検討事項で主な論点として挙げられている「対象にする汎用機器等について」という題目について,やはり汎用機器と専用機器の区別は非常に重要な論点だろうと思います。ついては,ここは「汎用機器等について」とするのではなくて,汎用機器も専用機器も論点に含む形にしてみたらどうかなと考えました。

以上です。

土肥主査】今,対象機器についてということで,更に御意見があったんですけれども,ほかに,他の委員におかれましては御意見ございますか。はい,どうぞ。

【河村委員】榊原委員のおっしゃったことと重なりますけれども,やはりここのところ,「ありき」の書き方になっていると思います。丸の下のところも,どのような汎用機器を対象にするかではなくて,そもそも今まで対象になっていなかった汎用機器を対象とするかどうかというところの論点が必要なので,香月オブザーバーがおっしゃった丸の大きなところを変えるのとあいまって,汎用機器をそもそも対象にするかどうかということを議論するべきなので,こう決めつける書き方は良くないと思います。

【土肥主査】ほかに御意見ございませんか。はい,お願いします。

【椎名委員】書き方自体はどうでもいいとは思うんですが。ここで押さえておかなければならない点は,現行の制度が専用機器を対象にしていて,実質上機能しなくなっているという前提を踏まえた上で,これから議論をしていく中では,当然ながら汎用機をどう考えるのかということがテーマになっていくわけでありますので,書き方自体どうでもいいですが,そこにフォーカスがあるということだけは確認しておく必要があると思います。

それと,この3項目に関して,前回もちょっと申し上げたんですが,著作権法の30条1項において,私的複製に関しては権利制限をされていると。その30条1項については,これは現状を維持しましょうという大きな合意があった上で,すなわちユーザーの利便性をいじることはないということを前提に,この話が進んできているということを考えますと,まず逆に言って,2番の契約と技術による対価還元が本当に可能なのか。権利制限されている部分に契約をオーバーライドして,どのような金額で,どういうふうにとっていくのかというところの議論は,そもそもあると思っていて,その点から2番はないのではないかということ。

それから3番のクリエーター育成基金ということに関しては,やはり私権を制限されているのは権利者自身であって,新たな制度に育成とか文化振興の側面を含めるか,含めないかということについては,やはり,権利者自身がどう考えるのかということであると思っています。もちろん趣旨としてないわけではないと思いますが,むしろ分配の方法論に近づいた議論ではないかと思います。

そうやって消去法的にいきますと,やはり30条1項によって私権を制限されている部分の補償金として,(1)番の補償金制度というものに行き着かざるを得ないのではないかなと思います。

以上です。

【土肥主査】(2)のところについては,また別途時間をとりますので,そこで,椎名委員におかれましては御意見等を頂ければと思いますが。ほかに。例えば先ほど榊原委員とか,あるいは香月オブザーバーがおっしゃるところ。対象にする対象機器等についてというのは,ちょっと対象がダブるので,その辺の問題はあるんだろうと思うんですけれども。椎名委員も言われましたように,専用機器の場合は現在そういうふうになっているわけでありますので,議論の論点となるのは,この(1)補償金制度の場合,論点になるのは当然汎用機器であるということは目に見えているわけであります。そこを意識して汎用機器というものがメーンに出ているんだろうと思いますけれども。それ以外の専用機器については「等」で含めていると思うんですが。ただ,いろいろ御意見があれば,また考えさせていただきますので。高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】今,汎用機器の議論が出ていますけれども,現行制度は,御存じのとおり,記録媒体と機器が分離されている専用機器だけが対象になっておりますね。したがって,専用機器が全て今対象になっているというのは実態には合っていないわけでございます。

あと,この汎用機器かどうかというよりも,むしろ私的録音に通常供されているかどうかという尺度で本来考えるべきことだと思いますので,その辺については,また後ほど意見を言いたいと思っております。

以上です。

【土肥主査】ほかに,この点いかがでございましょうか。

【河村委員】もう一回いいですか。

【土肥主査】ほかの委員の方にお聞きしたいと思っているんですが。松田委員,お願いします。

【松田委員】前年度までの取りまとめがどういう記載になっているかということも今記録で確認したいと思ったんですが。むしろ,それは事務局にはっきり言ってもらった方がいいと思いますが。もう,汎用機器に移って議論されていたと思います。私はそういう記憶です。だから,どういうふうに前年度で取りまとめたか。これは主査の記憶でも結構ですが,そのとおりに,もし,この2ページが書かれているなら,変更なく,このまま進めた方がいいと思っております。

【土肥主査】事務局で取りまとめとの関係で表記,説明いただけますか。

【白鳥著作物流通推進室長】昨年度は,特に論点の一つ目,二つ目に関わっての御議論でありまして,具体的には対価還元についての現状と,それから補償すべき範囲ということについて整理を頂きました。特に今御議論いただいている私的録音につきましては,パッケージ販売,ダウンロード型音楽配信,ストリーミング,パッケージレンタルのそれぞれの流通形態に関わりまして,現状において,私的複製ということに関わっての対価が,どの部分について盛り込まれているのかということの客観的な現状について確認したということが,昨年度お取りまとめいただいた状況になっております。

こうしたことを踏まえて,対価が含まれていない,盛り込まれていないということに関わって,それでは,どういうふうに対価還元の手段を講じるべきかということで今,この三つ目の論点に入っていただいているものということで,昨年度の取りまとめに限って申し上げれば,直接的に汎用機器うんぬんの方向性までは必ずしも言及されていないのではないかと思われます。

【土肥主査】ということのようでございますけれども,よろしいでしょうか。

ほかに,この点いかがでしょうか。入り口のこの辺で余り時間を掛けると問題があるんですけど。大渕委員,お願いいたします。

【大渕委員】以前に申し上げましたとおり,できるだけ着実に議論を進めていく必要があると考えております。今どなたかおっしゃいましたとおり,もともとこの議論が始まっているのは,現行法では機能していないということ,すなわち,対価還元が制度上はあるが,事情の変化により結局実際上実現できなくなっているということが前提になっております。そうなってくると,専用機器をどうするのかは,また別の論点かもしれませんし,書き方はいろいろあるかと思うのですが,汎用機器をどうしていくのかというところにできるだけ集中した上で,個別に,汎用機の中でも私的複製に供されるかどうかという各論を進めていった方がよいのではないか,そのためには早いうちに,議論の対象を,できるだけ集中していった方がよいのではないかと思います。

【土肥主査】では河村委員,どうぞ。

【河村委員】やはり前期のところで汎用機器をどうするかという言葉が出てきていたら,もっと私たちはいろんな意見を言えましたけれども,そういうことは俎上(そじょう)に上がっていなくて,対価の還元が必要かとか,どうするかとか,たしか三つの段階でやってきて,この点線の中のものというのは,今期になってから出てきた言葉のように私は記憶しております。今の事務局の御説明も,そのようなことだと思います。

ですから,そもそも10年間,10年前から議論が決着しないままなのは,大きなところは汎用機器についての反対意見が大変大きかったからというのも一つありまして,機能していなかったからこの論点に行くということよりも,どうして補償金制度が,そのように反対が大きくて機能しない制度なのかというところをきちんと議論をする必要があったはずです。汎用機器を対象にすべきかどうかという具体的論点については今回の議論では,これまで一度もそれにフォーカスして意見を言う機会はなかった。前期は,そういう細かいところに行かなかったのです。ですから,仮に補償金制度について考えるときに,まずは汎用機器を対象にすべきものなのか。そういうことから始まって意見を述べる機会があり,きちんと議論をした上で,その次に,じゃあそうすべきとなった暁にはどれにするべきなのかというところに行かないと,意見を言う機会がないまま次のステップに進んでしまうというアンフェアなことになると思います。

【土肥主査】河村委員のお考えのところ,私も異論はないんですけれども。要するに,ここは,こういう主な論点に関して,本日のところでは,なぜ,かつて汎用機器というものが補償金の対象になっていなかったのか,それから10年たって,今の状況の中で,どう考えるべきなのかという,飽くまでも補償金制度を対価還元の手段としての選択肢の一つと考えた場合に,その論点の一つとして汎用機器はあるんだけれども,その汎用機器を対象にした場合,こういうメリットがあり,あるいはこういうデメリットがあるという面から挙げていただければいいと思います。

だから,河村委員の場合,恐らく,そのデメリットなんかを意識されておっしゃっておられるんだろうと思うんですけれども,そのあたりを出していただければ,本日のこの委員会が意味あるものになると思います。

ですので,飽くまでも選択肢としての補償金制度の場合のいろんな論点があると思いますけど。これに限られませんが,例えば,この今問題になっている汎用機器というものを対象機器にした場合,どういうデメリットがあるのか。あるいは,これを入れないと,例えば汎用機器を考えないと補償金制度として機能しないのではないかとか,あるいは汎用機器の場合ですと,当然ながら,いろんな問題が出てまいりますけれども,それを克服するための,例えば汎用機器を補償金の対象として取り上げる場合に,その問題点を克服するための注意点,こういったものを挙げてもらうといいかなと,そこを期待しておるところでございますので,汎用機器にするかどうか,対象機器にするかどうか,次の話にさせてください。

要するに,この後。後というのは,きょう頂いたところから,もう一回まとめますので,そのときの項目として,御意見は御意見として預からせていただきます。

それでは,どうぞ,デメリット,メリット。この最初は(1)ですね。(2)と(3)は待っていただきたいんですけれども,補償金にする場合のメリット,デメリット,それらを克服するための注意点,留意点,ここをお願いします。松田委員,お願いします。

【松田委員】私は前年度のこの汎用機器の問題について,全く議論がなかったということはないと思っております。それで今の土肥主査の整理でいいと思っています。

問題点は,これまでの規定の仕方は,機器と媒体を政令で指定する形になっています。それぞれについて実態調査をしようと思えば,ある程度できて,そしてその補償金額がどれぐらいにすべきかということの調整はつくのでありますけれども,果たしてクラウドまで拡張して,そしてそのクラウドの利用が私的録音,私的録画の利用として,どの程度の利用がなされているかというのは,そのクラウドの中のデータの分析によるわけでありまして,これ,なかなか調査としては難しい。この点をどうするかというのが最大の問題だろうと思います。

それから汎用機器の中の典型的なものはスタンドアローンのパソコンだと思いますが,これにおいても,もちろん私的録音録画の対象の機器で,なおかつ機器と媒体を区別しないで一体となっているものです。これについても,クラウドほどではないけれども,私的録音録画の利用として,どれだけ利用されているかという調査は難しい。しかし,調査の難しさがあるから,それを除外していいかというようなことは,これはまた別の問題であろうと思うのです。

それはどうしてかというと,圧倒的に,この機器と媒体の結合した汎用型の複製,私的録音録画の複製が,大きくなっていて,これからも大きくなっていくわけですから,制度を維持する以上は,もう汎用機とクラウドに入り込まざるを得ないと考えております。

【土肥主査】ありがとうございました。大渕委員。

【大渕委員】細かい点も重要だと思うのですが,現在は議論の出発点なものですから,枠組みに関して少し発言させていただきます。前に申し上げたところの繰り返しになりますが,どなたかおっしゃったとおり,今議論しているのは補償金の問題なのですが,私的複製の問題は,実際は必ず30条全体,さらには著作権全体に及ばざるを得ない。現行法の30条1項というのは比較法的に見ても,私的複製が非常に幅広い。私的使用の目的というのは必ず,当然プライベートユースであるはずなので,それ以外何が要件とされているかというと,量等も制限されておりません。原本の違法性も,どなたかおっしゃっていたとおり,3号を除いては制限しないで,要するに使用する者が複製できる範囲ならば,スパコンを使おうが何だろうができるというように,非常に緩やかであります。これは大変良い制度だと思っているのですが,昭和45年以降,だんだん維持できなくなって,1号,2号,3号という形で例外が加えられ,対象は狭くなってきているが,骨格は維持されているという状態であります。

昭和45年当初から見ると,補償金で補っているということなので,トータルとして見ると,要するに最後は権利者と利用者との利益バランスを図っていくというのを,2項も組み込んだ形で1項ができているのであって,私は私人の一人として,自由に,一々自分が複製しているもののプライバシーを明らかにせずに課金をするというのは,良い面があると思います。逆に,一々課金をし出すというのは,何を複製したかというのを全部洗いざらい出さざるを得ないことになる。そのようなことはしないという,良い意味でざっくりとした,コレクティブな制度であります。

一々何を使ったかというところに踏み込まれないという意味でのプライバシーも維持した形で,余り侵害を気にせずに著作物を使用できる,そのような自由のための代償のような意味が2項にはあると思います。この関係で,前から申し上げているとおり,補償金が付いているか付いていないかというのは,35条でも同じ話をしましたが,補償金が付けば幅広く利用ができるようになるし,そうでなければ従前のとおり非常に狭い範囲しかできないというようになってくるので,これは補償金自体だけの問題ではありません。補償金をなしにしてしまうと,その分だけ我々私人の行動の自由が制限されざるを得なくなるということになってまいりますので,補償金だけ考えるというわけにはいかないわけであります。この際,補償金はこのままにしてプライベートユースの範囲を狭めてしまうというのであれば,恐らく,それは誰も欲していない話であります。そこを考えていくと,少し思いましたのは,私的財産権というのは物権類似の排他権の付与が眼目だとされています。出発点は排他権であります。

今までこのような形で不思議と議論されてこなかったのですが,補償金付きの権利制限というのは,よく考えると,権利がいわば報酬請求権化しているわけでありまして,排他権としては,権利の観点から見ると切下げになっているわけです。補償金がない権利制限というと,更にもう一段切り下げられていることになるので。このような考え方で我々の目からドイツの法律を見ると,補償金がたくさんあると思うのですが,それは恐らく補償金を付ける代わりに権利制限の幅が日本より広くなっている可能性があります。

何を申し上げたいかというと,補償金も組み込んだ形で,現行のバランスで,皆が納得しているところが維持できているものですから,そこのところは,やはり補償金だけを見るのではなくて,現行の制度を維持するためには,2項の後ろ支えがあって1項が現在できていますので,2項が機能しなくなったら1項が維持できなくなるという面があり得ます。補償金というものは誰も積極的に払いたいとは思わない面もありますが,やはり,社会福祉でも何でもそうですが,一定のサービス等が必要であれば税金で取らなくてはいけないというように,ある程度の対価のようなものは必要になってきますので,そこのあたりはきちんと考えていく必要があるのではないかと思います。

その関係で,これだけ時間が掛かっており,前に進まなくてはいけませんので,クラウドに入り込むことは避けて,なるべくすっきりと,可能な範囲で着実に進めていくことが必要だと思います。先ほどのように議論も集中した方がいいし,できるだけ現実的な範囲に絞った形で迅速に進めていくのがよいではないかと思っております。

【土肥主査】ありがとうございます。(1)の制度,それから(2)に関わるようなお話もございました。

ほかに,恐らく多々御意見があろうと思いますし,メリット,デメリット,留意点,この点について頂戴できればと思いますが,いかがでしょうか。どうぞ,河村委員。

【河村委員】大渕委員のような専門家の方がそういうふうに意見をおっしゃると,何か考え方が,その方向に行ってしまいそうで気になります。つまり,自分が買ったものを私的に複製するということは,補償金を払わない限り,それは狭められるべきものなのだとおっしゃっているように聞こえるのですが,私はそういうものではないと考えておりますし,そもそも補償金が最初から入っていたわけではないですし。つまり,それが,補償が必要なほどの不利益が生じているかどうかということのために,これからアンケートもやり直そうとしているところでございますので。補償金制度のようなもの,汎用も含めたものが受け入れられないのならば自由はないですねというような論理から始まるのは,非常に不本意でございます。私は,ルールとしても,そうではないと信じております。

それで,10年来やっているわけですけれども,汎用機器には全く私的複製に使われないものもたくさんありますし,配信で音楽を買った場合に,パソコンに1個目に入るものは私的複製ではありません。マルチデバイスのサービスであるなら,同じファイルがスマートフォンやポータブル音楽端末に保存されても,私的複製ではなく補償金の対象ではありません。そういうことを考えますと,増え続けているとるるおっしゃることも,正しいかどうかということは疑問があるところでございます。

あともう一つ,機器の方にも不確かさがありますし,何度も繰り返して申し訳ないんですけれども,消費者が,この音楽が聴きたいと,お金を出して買った音楽のクリエーターに補償金が分配されるということも確かではございません。どういうふうに分配されているか,もし,ここをきちんと深く掘り下げていくのであれば,もう一度,どのように分配しているのか,その分配を担っている団体が,どのような経費を取っているのかということを明らかにしていただきたいです。何度も申し上げますが,クリエーターへの対価の還元というのにもかかわらず,自分が複製しているクリエーターに分配が行くという保証がないということで,機器の不確かさ,分配の不確かさにおいて,補償金というのは無理があるのではないかと何度も申し上げてきました。

だから,(1),(2),(3)で言うならば,(3)かなというぐらいに私は。きょうは議題じゃないと言われていますけれども。ですが,私的複製の自由があるからには,(1)の補償金制度であるというところから話が始まるのは大変残念でございます。

【土肥主査】ありがとうございます。どこかから議論をしないといかんものなんですけれども。後段の方は,補助金制度のデメリットをるるおっしゃったんだろうと思います。委員のお考えのデメリットとして挙げられたと思いますが,団体の方からすると,いや,そんなことはないとおっしゃるかもしれません。

それから,大渕委員は別に,自分で買ったものを自分で複製することについておっしゃっているわけじゃないんですね。そこを全然おっしゃっているわけではないわけで。要するに,30条というのは非常に他人のものでもいい,違法なものでもいい,そういう立て付けになっているので。そうすると,本来そのCDならCDを買う必要がある人が,他人のものとか違法なものからコピーをして,それで果たして権利者に損害がないと言えるのかと,そういうことをおっしゃっているわけです。だから,自分のものを媒体変換をするというようなことは全くおっしゃっていないと,私は今伺っておりました。

ですから,そこはデジタルデータのメリットを生かして,せっかく,そういう新しい技術が出たわけでありますので,そういう技術のメリットというものは複製ができる。それも,自分で買ったものであるわけですから,本来一つ売れているわけですよね。その売れている場合と売れていない場合は大きく違うんじゃないかというのが,大渕委員の御意見だと思います。どうぞ。

【大渕委員】私の言い方が分かりにくかったかもしれないのですが,今,主査に言っていただいたところにも関連して,30条というのは,対象を,自分が買ったものだけに限定して借りてきたものは外せという立法論もあるかもしれませんが,現行法はそうでもないという意味では,プライベートユーザーにとって,後で違法として責任を問われるということを心配しなくてもいいようにできているので非常に良い制度となっています。

先ほど申し上げたのは,個別でというよりは,そのような制度全体を維持するために,何が必要かということであります。この制度は全部一々やれば,1件1件課金するしかないという,先ほどのプライバシーに踏み込まれるような形にしかならないので,このような制度で行うというのは,もっとコレクティブ,集合的な発想に入らざるを得ません。要するに,我々も1個1個で生きているわけではなくて,全て周りのものの複製をトータルとして見て,そのような発想でもって,権利者と利用者なり,国民全体において,バランスが取れるようにしなければならないと思います。

最終的には著作権の目的というのは,クリエーターにリターンが行って,良い著作物をどんどんクリエートしていただくことにあります。そのリターンが行かないと結局,利用はできるかもしれないが,肝腎の出発点たるクリエーション自体が枯渇してしまう,何も著作物が生まれてこない状態になってしまいます。そうならないようにするというのが著作権法でありますから,そこのところは,そちらの方向にうまく行くように,どう制度を組んでいくのがいいのかという話であります。

一つあるのは,先ほど述べたように,プライベートユーザーの一人としては,現行制度の30条は,広過ぎるという方もいらっしゃるとは思うのですが,それなりの合理性があって,このような広い形で来ているので,これを維持する形で制度を組むとすれば,機能しなくなっている部分のところは考えなくてはいけないのではないかと考える次第であります。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかに。世古委員,お願いします。

【世古委員】河村委員の後段の部分につきまして,音楽著作権の管理団体としては,一言申し上げておかなくてはならないと思います。著作権制度ですとか,あるいは徴収の正当性とかを否定するときに,権利者への分配の不透明さだというようなことを,よく言われます。そういったことは一切ないということは申し上げたいと思います。

ただ,このような私的領域での録音につきましては,個別の利用の実態といったものは分かることではありませんから,それをいかに合理的に推定して,システムとして作っていくかというようなことが大事なことでありまして,正確ではないからそれが駄目だということではないかと思います。どうやって推定していくかということの合理性といったものが明らかになればいいかと思いますが,その点が分からないというのであれば,どういった形で私的録音,補償金について分配しているのかということの全体像といったことは,お示ししたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかに。では榊原委員。

【榊原委員】メリット,デメリットということで,デメリットになるのかなと思うんですが。この補償金制度は,先ほどから10年とか20年とか,ずっと審議会で議論になって,もめていると。機能しないから問題になって,ここで議論しているというような表現や,じゃあ,なぜ機能しないのかという,その原因のところが,やっぱり根本的な問題なんじゃないかとか,そういう議論があったかと思うんですけれども,結局,納得感がないとか,一般人の常識に合わないから合意形成ができないということなんだろうと思います。

ここの場では,IT業界とか,消費者とか,法律の学者さんとか,弁護士の方とかがおられるわけですけれども,私は法律というのは,一般の常識,一般の世論の感覚と余りかけ離れたものは作れないと思っていまして,そういう意味では,納得感がないものを作ろうとしても,やっぱり無理なんだろうと思います。

この汎用機器とかの論点になると,当然コピーしていない人とか,違う目的で使っているとか,そういう人がどんどん増えてくるという,その感覚というか,一般常識と離れていくということもありますし,もちろん著作権者側の人からすると,一部でもされていると,そこを,じゃあ,どうするのかという論点が出てきてしまうのは分かるんですけれども,やっぱり前期のときにも,かなり感覚が違うなと私が思ったのは,IT業界の方――きょう,お二人のうちのお一人しかいらっしゃいませんけど――の方や,私もITに近い業界で,環境変化というのについて,非常に,コピーをしていても。

そもそもコピーをしない使い方が,10年前と比べると非常に増えていて,コピーが増えていて総体が増えているというのは,ちょっと私は昭和な感じが,申し訳ないんですけれども,するわけです。やっぱり,これだけ,スマホとか,いろんな機器が出てきて,あちこちにコピーをしていたとしても,それは場所を変えて読みたいとか,場所を変えて音楽を聴きたいとか,それだけのことなので。そのあたりも汎用機器とかに,いろんなデジタルの端末の機器が出てきている現状で,調査を今後するので,そういった使い方については,表に出てきて,それを前提に議論する場が今後,秋以降あるのではないかとは期待していますけれども,やっぱり納得感がないというのがデメリットだろうと思います。

その問題を,じゃあ,どうやって解決するのかということが議論もされていないので。そうすると,そのままそれが制度の反対という意味で,デメリットに。もしそういう制度が導入されたら,ずっと批判を浴びるでしょうし,そもそも制度を作ろうということへも,同じ反対の意見が出続ける。この10年,私が委員になる前から同じ議論をしているなと思うんですけれども,同じ議論を,またここしばらくするのかなということで,若干,生産性がないなと思います。

【土肥主査】では椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】今の榊原委員がおっしゃったことで言うと,ユーザーが複製する機会は減っているのではないかというようなことをおっしゃったんですが,むしろユーザーが複製を意識せずに複製が行われているということも言えるんじゃないか。例えば今回行うユーザーの実態調査にも言えることなんですが,あなたはきょうは何曲録音しましたかと聞いたときに,「いや,俺は録音なんかしていないな」と思うのが実態だと思うんですね。音楽のコピーというのは様々に,バックグラウンドや,自分がボタンを押すことによりされているという実態があったとしても,ユーザーがそれを録音と意識しなくなっている音楽のコピーが増え続けているということは確かなことなんじゃないかと思います。

実際,前回行われた実態調査でも,2000年前後当時にやったものから比べて,総体として3倍ぐらいになっていると。絶対値として,ユーザーの手元に583億ユニークファイル蔵置されていると。それから毎年,CDからのリッピングで58億ユニークファイル乗っかっていくんですよというような相場観は出ているわけですね。

納得感がないということ。榊原委員が納得されていないというのはよく分かるんですけれど,本当にそういう実態を広く知っていただいた上で,皆さんが納得する制度を作っていくということは可能なのではないかと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。松田委員,お願いします。

【松田委員】私も国民の納得感の問題は無視できないと思います。もし社会全般に,この私的録音録画補償金制度が拒否されているのであるならば,それは現行法制を廃止して,他の制度,例えば30条の廃止を考えなきゃいけないでしょう。しかし,他の国を見たら,日本よりも先に導入して,なおかつ日本が最大の私的録音録画補償金制度が,せいぜい30億か40億のときに,既に300億,400億の補償金を収受して配分している国があり,なおかつ,日本より経済が小さい国でも,日本以上の補償金を収受している国があった。こういう点を見ますと日本だけ納得感がないというのは考えられません。主にヨーロッパですけど,納得感はあるのじゃありませんでしょうか。

それに,日本の機器はヨーロッパでたくさん売られているけれども,日本で行われたような,この私的録音補償金制度の拒否の運動というのは起こっていないんですよね。制度を否定する裁判も起こってもいないんですよね。

【丸橋委員】そこは起こっています。

【松田委員】はい。それで,日本の裁判が,たまたま最高裁まで行って,そういう形で制度が機能しなくなったというのはあるわけですけど。機能しなくなっている国が本当にあるのであれば,それは納得感の問題だろうと思います。そういうのがあるのでしょうか。もしあれば御紹介願いたいと思います。

【土肥主査】香月様,どうぞ。

【インターネットユーザー協会(香月)】香月でございます。先ほど椎名委員が,ユーザーが意識しない複製であるのではないかというお話をされておりまして,今その中で,じゃあユーザーが意識しない複製って何があるんだろうというのを考えました。まず浮かんだのはキャッシュの問題です。ただ,このキャッシュは,情報処理のための権利制限が掛かっているものだと思いますので,今回は対象外であろうと。引き続いてユーザーが今意識しない複製は何かと更に考えてみると,やはりクラウド,PC,それからスマートフォンということになるだろうと。

ただ,先ほどから議論の中にあるのは,クラウドとかPC。そしてそのPCの中にスマートフォンも含まれてくると考えております。そしてこれらは社会的な影響が大きいので,今回は補償金の対象から,汎用機器から外してもいいのではないかという議論となると,これは議論がぐるぐる回ってしまうなと。これまでのお話を伺っていて感じたところをお伝えしたいと思っております。

【土肥主査】大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】どなたかおっしゃったところによると,ヨーロッパの国々では,もっとうまくいっているということで,恐らく,それらの国では,このような制度ですから,全員が全く賛成して誰も反対しないということは考えにくいのですが,それこそ総体として見れば,国民的な納得を得ているということだと思います。

先ほど申し上げた「コレクト」は,Rのcorrectではなくて,Lのcollect,集合的という意味の方です。発音が悪くてすみませんが。

そのような点で,恐らく納得感が日本の制度に乏しいのは,むしろ今後,分配の在り方も含めて,制度をもう少し納得感のあるようなものにしていく必要があるからであって,それこそまさしく各論なのであります。前と同じことをやれば,協力義務という脆弱(ぜいじゃく)なものに頼って,結局,法的制度としてはうまくいかないということになるので,そこも含めてきちんと,脆弱(ぜいじゃく)でなくて,実効性があって,納得できるような制度をこれから考えていくべきと思われます。納得できるような内容であり,納得できるような法律構成を今後組んでいくことが必要だと思います。

前と同じことをやる必要はないわけであります。現に,先ほど出ていましたとおり,法律の議論としては,協力義務だったこともあって,うまくいかなかったわけですから。その点も,うまくいっている,ワークしている国も参考にしながら,どのように一番納得できるような制度を構築していくべきかという,具体論の話になっていくのではないかと思っております。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【杉本委員】誰の弁護をするわけでもないんですけれども。先ほどのコピーの話に関しては,一つは多分,香月さんがおっしゃるようにキャッシュの問題とかもあるとは思うんですけど,椎名委員がおっしゃりたい部分って,多分最近のデバイスキーになってきたときに,OSレベルで,ドラッグ・アンド・ドロップとか,そういうオペレーションレベルの話でコピーが行われちゃっているので,本人が意識しないでというのは,割とそういったところの話も含んでいるかなという気はしております。

そういったところも含めて,前年度のときにもちょっとお話をして,なかなか難しいとは思うんですけれども。こちらの資料の方に入っている実態調査も3年前のものなので,やっぱり状況としては,かなり変わっていると思いますので,是非更新をしませんかという話は,前年度もちょっとお話をさせていただいたとおりなんですけれども。そのあたりの,単純なインタビューというよりは,実態というよりは,どちらかというとユーザーの動向ですよね。エンドユーザーの動向として,どういった行為を,どういったオペレーションを伴って,音楽を聴いたりとか,あるいは音楽,音楽コンテンツ,あるいは著作物ですね。こういったコンテンツデータを扱っているのかみたいな部分の調査をもう少し,していった方がいいと思うんです。

そうなってくると,実際,それが私的複製としてやられているのか否かといったところは,そこは多分アンケートで私的に録音していますか,あるいは何か違う目的でやっていますかと聞いたときに,大体,私的でやっていますみたいな話になっちゃうと思うので,もう少し動向そのものを調査,インタビューしていって,その結果,それは私的と思われる,あるいはそれは私的ではないと思われるというような,そこが例えばコンサルティング会社が入るんですから,そこでコンサルティングとしてのレポートを上げていただいて,実態調査に結び付けていくというような調査方式をとった方がいいのかなと思いますし。

この調査も3,000サンプルぐらいあるんですけれども,実際1,500もあれば,世論調査並みに結果はとれるので,統計的にとれるはずなので,ここまでやらなくてもいいと思うんです。ですから,この半分ぐらいの規模でも十分,調査としては効果的な数字になると思うので,そういうことをやられればいいのかなということもありますし。

そういうアンケートをとるのであれば,エンドユーザーの意識調査みたいなものも,せっかくだからやっちゃって,例えば私的録音録画補償金制度みたいなものに対する,ちゃんと説明を行った上で,文化育成として,そういうものに対してイエスですか,あるいはノーですかみたいな話というのも,何か聞いてみてもいいんじゃないですか。そういった,エンドユーザー一人一人が実際どう考えているのねみたいなこと。

例えば,もしかしたら私的録音録画補償金制度という形で,ある種いろんなプライスに含まれた形で文化貢献ができているのであれば,それでいいんじゃないのという人もいるかもしれないし,あるいは逆に,いやいや,そういったところが何か含みで取られるのはちょっと嫌ですみたいな人がどれぐらいいるのかといったところは,むしろ,ここには全くその見識がないですから。それぞれの主観として,いろいろな話がされているだけなので,客観情報をもっと持って,もう少し話をしたいなというのが僕の意見でございます。

【土肥主査】白鳥室長,今のところで感想とか,今後,何かアンケートの際に留意するようなこと。留意というか,今考えておられるようなことで,この時点で何かおっしゃれること,ありますか。

【白鳥著作物流通推進室長】基本的に,ウェブ調査を前提に考えておりまして,予算の限りもある中で,その中で,いかに効果的,効率的な調査ができるかということで,今正に,調査項目の洗い出しなど,前回の3年前の調査を踏まえつつ検討しているところでございます。ただ,その中で,やはり,どうしても限界があるところも当然出てくるとは思われまして,その中で今御指摘いただいたような観点も含めて,もし既存の調査で活用できるような,あるいはこれから調査を各団体等でされるといったような部分も含めてですけれども,そういうものがあれば,そうした状況も併せて教えていただきつつ,我々の調査の中では,可能な範囲内における効果的な調査項目,そしてまた調査手法の工夫に努めたいと考えております。

【土肥主査】ありがとうございました。それからユーザーの納得感の問題,結構出ているんですけれども,これは(2)とか(3),こういうようなところも一応踏まえながらおっしゃっているところもあるんじゃないかと思いますし,時間も,今ちょうど1時間たちましたので,(2)と(3)についての配分……。

【奥邨委員】(1)について1個だけ。

【土肥主査】では,お願いします。

【奥邨委員】すみません。1点だけ申し上げますと,ずっと30条2項で話をされていますので,若干違和感があるかなという気がいたしております。というのは,補償金ということで裸で考えますと,専用機,汎用機の区別というのは本来は出てこない話であろうと思います。ほかの補償金に係る条文を見ても,どういう機械でやったからとかいうような限定は本来入っていないのであって,複製を行ったであるとか,放送を行ったであるという,いわゆる支分権との関係で見るということになるんだろうと思います。支分権の対象行為の権利制限。先ほど大渕委員からありましたように,権利制限されている支分権の対象行為をしている人が補償金を支払うという仕組みになっていると。

ところが,この制度の場合,30条2項で,わざわざ機器の限定を掛けているのはなぜかというと,104条の4,支払の特例との関係があるからと考えないと説明がつかないわけであります。すなわち,支払を機器の購入時に支払えば,複製とは関係なく,複製をしているか,していないかに関係なく,機器の購入によって,媒体の購入によって支払う仕組みになっているということが,結果的に30条2項で機器の範囲を絞らないと正当化ができないということにつながってくるんだろうと。全く正当化ができないとは申しませんけれども,ここの30条2項で問題にする録音録画の可能性がより高いものに絞らないと,この特例ということの説明が,説得性が弱くなる,正当化が弱くなるということが,ここの大きな問題であろうと思います。

さらに,その背景には,それで払ってしまえば全て,その30条2項で問題とする行為全てについて,そこでカバーしてしまうという,かなり……。もともと議論がありますように,補償金自体,ある程度のラフ・ジャスティスなところがあるわけですが,さらに,この支払の特則で,もう一段ラフ・ジャスティスを掛ける形になってしまうわけです。

したがって,ここの議論ですね。汎用機器を対象にするかどうか,若しくは専用機器だけに限るかということは,これはこれであるんですが,その場合,複製の実態うんぬんだけでなく,その支払の実態とか,どういう方法をとるかということとセットで考えないと,仮に複製をしている人があったとしても,こういう取り方をするんだとすると,なかなか説得性がないということなので。極端に言えば,個人個人から直接取るのであれば,これ,もう専用機,汎用機,全く関係なく,どうぞお支払いください,お取りくださいという話になるのかもしれないんですけれども,それはそれで回らないでしょうという中でやっていくわけですから。そうすると,汎用機を入れるか,入れないかということ,メリット,デメリットという言い方,若干なんですけれども,どこまで正当化できる範囲かということを考えないと。取り方との関係で,どう正当化できるかということを抜きに,ここの専用機,汎用機の議論は若干難しいのかなという気がいたしております。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。今,重要な貴重な御指摘を頂きましたので,今後に生かしたいと思いますが。先ほど言いましたように,(2),(3)についても,ある程度の時間を掛けないといけないなと思っておりますので,もしそこで余ったら,元に戻りたいと思います。

(2)契約と技術による対価還元,ここについての論点について,お話しいただきたいと思います。つまり,この方法をとった場合のメリット,それからデメリット。これ,恐らく御意見あるのではないかと思いますが,いかがでしょう。高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】コンテンツの提供価格に上乗せするということなんですけれども,結局,私的録音のための機器を持っておらず,私的録音の可能性のないユーザーにも負担を課すということになりますよね。そういう意味では明らかに公平性を欠くものだと思います。私的録音の機器等の購入に際して補償金を求める現行の制度に比べても,ユーザーの納得感は得られないんじゃないかと考えます。

【土肥主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。河村委員。

【河村委員】私は別に(2)が良いという意見を述べるつもりは全くないんですが,今の御意見に対して,全く同じことは(1)にも言えます。録音録画をしない人が,する機器にも掛けるということは良くて,録画しない人がコンテンツ買うときには不公平だと。結局そのデメリットというのは(1),(2)の共通のことではないかと思います。

【高杉委員】すみません,一言だけ。補償金の場合には私的録音に供する機器を買っているわけですよね。私的録音に供する記録媒体を購入して,その購入に着目して補償金を掛けていると。そういう機器を買って私的録音しない方がどれだけいるのかということと,今回の2の場合,コンテンツの提供価格に上乗せする方法は,私的録音とは全く別の問題の話で,私的録音の蓋然性という意味では全く違うと考えます。

【土肥主査】どうぞ。

【河村委員】一言だけ。今のお話ですと,専用機器ですと納得感が高いけれども,汎用機器の場合は同じデメリットがあるということになると思います。そういう意見だけです。2がいいと言っているわけではないですけれども。

【土肥主査】世古委員,どうぞ。

【世古委員】前回までの議論で,コンテンツの提供,流通に関して,現状ではレコード会社あるいは配信事業者がコンテンツの提供価格に私的録音の対価等がプライスインされていないという前提で,この次の議論に今回入っているわけですけれども。今後議論する上ではプライスインをすることができるとして,どうできるかという話になるのかと思います。

そういう面で考えますと,例えばレコード会社や配信事業者は,著作物あるいは実演を複製なり配信する行為について,権利者に対価を払ってコンテンツを消費者に提供しているわけです。ここで既に適正な対価の還元がされているわけだと。コンテンツの提供を受けた消費者は,先ほどの河村委員のお話になりますけれども,本来であれば,それを鑑賞する目的で購入すると。そこから先で,消費者がどういうふうに複製するかということが問題なわけです。私的録音するから提供価格に私的複製の対価が入っていることについても消費者が納得するのであればいいでしょうけれども,そういったことでなく,全てのコンテンツの提供価格に私的複製の対価を上乗せすること自体は無理な話であろうかと思います。一旦消費者に提供されて,そこから先が私的複製の問題ですので,機器の製造事業者や消費者,どちらが私的複製についての対価を支払う義務があるのかという問題になるのであって,コンテンツの提供価格に上乗せをするというのは,話は違うのではないかと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。世古委員の今の御発言に関連して,4ページの下から三つ目の印ありますよね。インターネット配信が成長することにより,契約と技術で対応できる範囲は拡大していく。インターネット配信が増える中で対価を還元すると,対価の二重取りという問題が拡大するという御意見もあるところなんですけれども。JASRACなんかの場合ですと,こういうネット配信のときに,それぞれ,そういう対価の中に複製という部分についての織り込みをしながらされるような現状とか御計画はあるんですか。

【世古委員】誰の複製行為かということだろうかと思います。著作物の利用行為に対しての対価が発生するわけですから,例えば配信をして,その先の複製も配信事業者の複製と捉えられるのか,飽くまでもそれは複製者である消費者自身なのかということで区分しています。現在のJASRACの考え方としましては,配信をして,消費者のデバイス等に音楽のデータが一旦複製されます。そこまでは配信事業者の利用行為として捉え,配信プラス,デバイス等への複製というライセンスを出していると。そこから先は,事業者の責任ではなく私的複製になるのか,個別に複製者がライセンスを取るのか,そういう問題であると認識しております。

【土肥主査】つまり,仮にネット配信でそういうことが行われたとしても,その配信先は,個人のところに配信される場合もあるし,様々な業者のところに配信されることもあるわけで,飽くまでも私的録音録画30条の複製が行われた部分としての対価をそこに盛り込めないかと,こういうことですよね。

【世古委員】はい。

【土肥主査】はい,分かりました。ほかにいかがでしょうか。香月様,どうぞ。

【インターネットユーザー協会(香月)】香月です。先ほど高杉委員がおっしゃっていましたけれども,配信音源を複製しない消費者に対して,補償金というか,複製の対価還元が入るのは,それは不公平じゃないかという御意見がありました。ただ,しかし,現状の音楽聴取の実態を考えてみると,ここでは音楽に限った話をしますけれども,では複製を伴わない音楽聴取はどれぐらいあるのかというところは非常に気になるところです。現在CDプレーヤーを持っている一般消費者がどれぐらいいるかを考えると,実際はCDをリッピングして自分のスマートフォンに入れて聴くというのが普通の音楽聴取形態であろうと思うんですけれども。しかもスマートフォンとか,ポータブルプレーヤーというのは,どんどん買換えをしていくわけですね。

そのようなことを考えた場合,毎回バックアップをするときに,その機器に対してお金が掛かっていくというよりは,買ったときに,これをずっと,それはあなたが買ったデータだから,それについてはずっと持っていていいですよと。なので,最初のコンテンツを買ったときに,それから先ずっと,あなたが買ったデータ,あなたが買ったCDについては対価還元は終わっていますよというような立て付けにする方がいいのではないかなと考えています。

私も河村委員と一緒で,(2)番,賛成するというわけではないんですけれども,そういう論点もあろうかと思います。

【土肥主査】どうぞ。

【高杉委員】私は必ずしも配信音源に特化した話をしていたわけではなくて,例えばCDの購入価格に乗せるというのが,(2)の選択肢であり得ると思うんですが。じゃあ,私もCDを購入して,そうした場合に,私が私的録音をするかどうか,CDを購入するだけでは分からないですよね。したがって,私的録音機器とか記録媒体の購入にひも付けて補償金を取る現行制度の方が合理性があるということを申し上げております。

例えば私が買ったCDを私が録音する。それから今度,そのCDを世古委員に貸して,世古委員が録音する。世古委員の録音の部分はカバーしようがないですよね。本来,いわゆる上乗せしても。それから例えば,図書館のCDの貸出しがありますけれども,これも権利制限されていますけれども,図書館から借りたCDの録音,この場合をどうやって対価を取るのか。それらを考えると,やはり2の方がかなり,補償金制度に比べても公平性を欠くと考えております。

それから先ほど議論が進んじゃったので,あえて言いませんでしたけど,私,専用機器だけが補償金の対象だとは思っておりません。それは別の機会に,またちょっとお話ししますけれど。専用か,汎用かということではなく,私的録音に通常供されるのかどうか。どの程度供されれば補償金対象にすべきかどうかという議論を,やはりすべきじゃないかと考えています。

【土肥主査】それは(1)のときに頂いても良かったんですけれども。すみません, (2)のところでお願いできますか。

【大渕委員】すみません。これは前から気になっているのですが,細かい話に入る前に,(1)の方はいいかどうかは別として,補償金という法制度ができるので分かります。 (2)の方は,細かい話は別として,契約自由の原則で,その部分をやろうと思えば,今でも自由に,クリエーターに徴収したものをやるというのは契約自由だからやればいいのですが,この(2)というのは何を意味しているのでしょうか。そうやれば自主的に,先ほどの分が上乗せできるのかどうかは別として,上乗せすればいいのだからという話なのか,契約を義務付けるのかとかいうあたりを明確にしていただければと思います。今後法制度として組んでいくときに,どういうものを義務付けるのか,また,補償金とは別の発想でコンテンツの提供価格にまた何か課すという話なのかというあたりが分からないと議論のしようがないので,本当はもっと早くにお聞きしたかったのですが,余りに前から進んでいるので,聞きそびれていました。

推奨者がどなたか分かれば,その方に御説明いただけるのですが,これはどういうことがそもそも想定されているのか分からない。契約なら契約で各自が好きにやればいいので,それとこの制度との関係がどうなっているのかというのは御説明いただかないと先に進まないのではないかと思います。

【土肥主査】大渕委員は初めから,スタートのときからの委員でございますので,その御質問を20日に着任された室長にお尋ねするのは何なんですけれども。今,大渕委員が言われたような,そもそもこれをという,(2)ですよね。この契約と技術による対価還元,私は私なりに理解しているんですけれども,事務局においては,どういう理解をなさっておられますか。これが一つの選択肢である理由。

【水田著作権課長】失礼します。このこれまでに寄せられた意見というところに列挙してありますのが,平成27年度の途中の段階で頂いていたもので,当時の資料にまとめてある御意見をほぼ,そのまま写しているものでございます。その中には,1個目のように,適切な対価還元,ビジネスモデルによって担保されるべきというような意見もあったと思います。

ですから事務局としても,これがどういう法制度に基づいてする可能性があるのかというのは,正にこれから今後,議論していただきたいと思っておりまして,今この(1),(2),(3)は,正にこれまで出た意見を整理すると,こういうパターンが考えられるというだけでございますので,いわゆる補償金制度としてやる場合があり得るのかどうか,それ以外での形での,正に契約の中でやっていけばよい話とするものなのかどうかとか,そういったことも含めて御議論いただければと思っております。

【土肥主査】当然,これは補償金の中ではできないですよね。つまり,契約でやろうというわけですから。つまり,ライセンスでやっていってと,そういう話だと思うんですけど。つまり,ペーパービューとか,ああいうデジタルネットワーク技術なんかを使えば,誰が視聴しているか,誰が複製しているかというのが,恐らく分かるんじゃないかというところから来ているんじゃないかと思ったんですけど。だから,それは30条そのものをオーバーライドしていると思うんですけど。

先ほど大渕委員が言われたことがあるんですけど。要するに,30条2項というのは,そういうことをしなくても,自分が何を視聴しようとしているか,あるいは何を視聴して複製をしたか,外に出さなくても,それを補償金の下で,ある種プライバシーが守れるというかですね。つまり,情報の自己決定権という権利があろうかと思いますけれども,個人の人格的自律を確保するために必要な情報というものについては自分でコントロールできる,その周辺に関する情報として,個人がどういう映像とか音楽を聴いているのかという情報もこれに関連する情報であるので,そういう情報については,30条2項の私的録音録画補償金を使って,いわゆる一つ一つ外に出さないで自分で管理することができるんだというポジティブな趣旨でおっしゃったわけでありますけれども。

ですから,30条2項というのはユーザーの方に不利な規定だ,不都合な規定だとお考えかもしれませんけど,実は役に立っている規定であるという御理解であろうと思います。

華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】ちょっと横道にそれるかもしれませんが。契約と技術による対価還元なんですけれども。今はコンテンツの価格に上乗せするというようなことが,ここに記載されているんですけれども,逆転の発想で,機器に着目してみたらどうかなと。汎用機器がいろいろ議論の俎上(そじょう)に今上がっているわけですけれども,その汎用機器を購入した方が,30条2項に基づく私的録音録画をする場合に,その機器にスイッチあるいはアプリケーションがあって,それを押すと,その30条2項に基づく補償金がチャリーンと徴収されて,その機器で,その行為ができるというようなことにすると,汎用機器の問題も。河村委員のように,汎用機器を買って,私は録音録画しないんだという方もきっといらっしゃいますし,それから二重取りですか。コンテンツの提供を受けた者が私的録音を行う場合に,どのように対応するか。そういうことも解決するんじゃないかなと。今の技術であれば,そういうことも,もしかしたらできるのかなというような発想です。

【土肥主査】できるかなというのは,ちょっと私も分からないんですけれども。できるのかどうかは少しまた勉強してもらおうと思いますが。

ほかにいかがでしょうか。まだ御意見いただいていない方,この(2)について,契約と技術によって対価還元を行うことについてのメリット,デメリット,あるいはそれを克服する論点,注意点,こういったものをお出しいただければ。どうぞ,岩本委員。

【岩本委員】私の立場からお話しさせていただきますと,無償で提供されているテレビやラジオ等の放送コンテンツに関しては,プライスインがもともとできないということがございますので,その辺はあらかじめ御留意を頂きたいと思っております。

以上です。

【土肥主査】どうぞ,榊原委員。

【榊原委員】対価についてプライスインをしている,していないという有無の話については,権利者の方たちは,していないという御発言が以前からされているわけです。それに対して,前期のヒアリングのときには,プライスインは可能ですかと,可否の話をお聞きすると,可能ですということを,恐らく全員が回答されたかなと思っているんですけれども。そうすると,可能なんだけどプライスインをしていないと。できないものがあるというのはちょっと除いて,できるものについてですね。

そのときに,先ほども配信事業者が複製をしているんだと。例えばパソコンまでのことをおっしゃっているのかなと思ったんですけれども。ただ,その後の,その時点の複製量では条件を変えていたりというような規定があるのを見ると,可能だし,そこまではできるんだなと。

ユーザーの方から見ると,自分のパソコンにコピーをしているので,自分がダウンロードしていると。ストリーミングのサービスとダウンロードのサービスがあるときに,明らかにダウンロードできるサービスを選んで,選択してやっているわけですね。そうすると,配信事業者の方は,自分たちが複製しているという立論なんですけど,ユーザーからすると,自分がダウンロードをしていると。ストリーミングのサービスを選ばずに複製のサービスを選んで,そのお金を払っているわけですから,そういうことになるんじゃないかなと感じました。

それから,プライスインができるんだけど,していないということについて,これ上乗せと書いてあると,分かりやすく言えば,例えば1,000円のものが1,100円になるとかですね。これ,契約なので制度とは言わないと思うんですけれども,上乗せすると,1,000円が1,100円になる。それができるか,できないかという話のように聞こえて。そうすると,価格を決める側(がわ)からすると,1,100円になると売れなくなるだろうなと思えば,ちゅうちょするから1,000円にしているんじゃないかなと。可能なのにしていないという理由を聞きたいなと思うんですけれども,そこについて余り理由の説明は,どなたからもないんですね。

仮に世の中で1,100円にして売れないんだったら,経済学的に,適正価格って1,000円なんじゃないかという気がするんですね。これ,必ずしも損失があるから対価を還元しなきゃいけないというんですけれども,必ず上乗せするという発想なのは,よく分からなくて。結局1,000円にしかできない,でしか売れないものというのは,やっぱり1,000円なわけで,その中に何が入っていると考えるべきなんじゃないかなと思います。

【土肥主査】先に声が聞こえたのは椎名委員だったので,椎名委員,お願いします。

【椎名委員】(2)の契約と技術による対価還元ということなんですが,先ほども松田委員に御紹介いただいたとおり,ヨーロッパを中心ですけれど,複製手段の提供者という意味で,機器や媒体の製造事業者に,支払義務者としてある程度の義務を課すというような形での補償金制度は,一般的に国際的に理解されている。日本においても,大渕委員が脆弱(ぜいじゃく)とおっしゃいましたけれど,協力義務という形で,複製手段の提供者にフォーカスして,ステークホルダーとして考えているということから見ますと,この(2)では,そこが消えちゃうんですね。そこが消えちゃって,ユーザーと権利者が直接向き合う制度ということになるんですが。果たしてそれが一般的な理解として成立するのかどうかというところでも,やはり(2)は非常にとっぴな提案なのではないかなという印象を持ちます。

以上です。

土肥主査】では華頂委員,お願いします。

【華頂委員】先ほどの榊原委員からの,コンテンツの価格にプライスインできるのにやっていないんじゃないかということなんですけれども。これ,去年もお話ししたと思うんですけれども,映画の。今,音楽を先行してやっているのであれなんですが,一言,映画制作者として言わせていただきたいんですけれども。

映画は流通についてはコピー禁止ということを原則にしていますので,そもそもコピーに関するプライスインという発想は根本的にないと申し上げておきます。

【土肥主査】いずれにしても,この問題に関して,特に契約でやるということになると,結局は著作権法が個人の居室に入ってくると,そういうことになりますので,十分そのあたりも考えてですね。今の制度というものを割合批判的に御覧になっていると思いますが,実は結構いいところいっているなとも思うところ。そんなことを僕が言っちゃいかんのですけれども,思うところがあるわけでございます。

時間があと30分ですので,(3)クリエーター育成基金,これについてメリット,デメリット,お願いいたします。椎名委員。

【椎名委員】これ,主な論点で財源の確保方法というところに補償金,権利者・事業者・消費者等から一定の基金を集めると書いてあるんですけど,この「補償金,」となっていることの意味って,どういう意味なんでしょうか。

【土肥主査】この記述に関して,余り細かい記述をですね……。

【椎名委員】いや,意味合いが……。

【土肥主査】おっしゃるところはよく分かるんですけれども。そういうことを,ここで指摘された方は,お考えになっているということであろうと思います。

その意味合いはどうなのかということに関しては,椎名委員が,これを踏まえて,これだとどういうデメリットがあるとか,どういうメリットがあるとかというところで御発言いただければと思います。

【椎名委員】いや,そうじゃなくて,権利者から一定の基金を集めるとなっていて,権利者が負担するんだという考え方が今まで出ていたのかなと思って質問したんです。

【土肥主査】出ていたかとおっしゃると,これも,やっぱり事務局に御確認いただきたいんですけど。私は出ていたように思うんですが,どうでしょうか。

【白鳥著作物流通推進室長】ここで書かせていただいた記述は,これまでに寄せられた意見を踏まえて整理をしたということでございまして,権利者ということに関わりましては,下から二つ目の記述を踏まえて整理をしたものでございます。

財源としては,いろんな考え方があり得るということで,この財源の確保方法の記述がございますけれども,特にここは広く一般に文化芸術の発展に資する,ある種,将来のクリエーターに対する対価還元といった観点も含めた手段の案の一つと理解しておりますので,そうした観点から,この記述があるものと理解しております。

【土肥主査】ありがとうございます。私が出たように思うという意味は,この補償金として権利者又は事業者又は消費者等から一定の基金を集めるので,この挙がっている三者が全部出すのか,あるいは一部出すのか,それはまた話は別なんだろうと思いますので。はい。

【椎名委員】今御説明があったことで,ある種,分かったんですけど,これまでに寄せられた意見の二つ目に,それがあるということですよね。権利者・事業者・消費者によって日本のコンテンツの国際競争力を向上させる検討をすべきということを上に引いたという趣旨で今おっしゃったんですよね。ここは権利者・事業者・消費者が,そういうシステムを作る。その三者が合意の下に,そういうシステムを作るという意味の意味合いだと思っていて,一定の基金を集める,ソースがこれだということではなかったんじゃないかと思ったので,それを言いたかったんです。

【土肥主査】大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】この(3)だけ拝見していると,著作権法の外で,税金なのか何なのか別として,クリエーター育成基金を設置するのは,文化政策として著作権法の外でやっていただくのは大変結構なことなのですが,その話をここでやっているのには違和感があります。そのような意味では,先ほどの(2)の方も違和感があるのですが。これは最終的には,もともと著作権自体がクリエーターへの対価還元なのだけれども,30条1項である種それを切っているところがあるわけです。許諾を得なくても自由に使えるので。そこの部分を2項で補うというのは,飽くまで著作権法の中の話なのですが,(3)はそういう話ではない。著作権と離れたクリエーター育成なら,文化政策としてはあり得るのですが,その話と,ここでやっている,飽くまで著作権の枠内でやっている話は別だと思われます。

そのために私は,先ほどの契約の話も分かりませんでした。30条1項というのは,むしろ契約を結ばなくても,ライセンスを受けなくても自由に使えるということが前提になっているので,そこで契約うんぬんと言い出すと,30条1項ではなく,権利制限のない著作権のライセンスを受けるという話になってきます。この(2)も(3)も私の頭に入ってきにくいのは,(3)に至っては著作権の外に出てしまっているし,(2)の方は権利制限ではなくなっている感じがするからだと思います。そのあたりは,もしかしたら,もっと深い意味があるのかもしれませんが,一見するだけでは,その意味が分かりにくいと思いました。生の形でクリエーターに何かやるのだったら,契約も基金もあり得るのですが,著作権法の中で考えると,それとは違うのではないかと感じます。

【土肥主査】要するに,クリエーターに対する適切な対価還元という,そういうテーマの中で,これは出てきているものでございまして,将来のクリエーターに対して対価を還元するという考え方だと思います。著作権というのは大体,先人の成果を踏まえて,次の作品ができてという,いわゆる今大家と言われる人も,かつては若いときには,元大家からの画風とか,書風とか,いろんなものを学習して今の地位に来たんだから,そういうような人は,やっぱり次の世代を育てなくちゃならんというような,育ててもいいんじゃないかというような考え方は,私も常日頃から思ってはいるんですけれども。

要するに,ここで言うクリエーター育成基金というのは,30条2項の補償金方式が頓挫した場合,つまり,そこがまとまらないんだったら,もっと全く別の視点をもって,これを考えてみてはどうかと,そういうお考えだと思います。つまり,30条2項がうまくいかないということになってしまったときに,ゼロベースに戻すのか,いやいやクリエーター育成基金のような形で,もっと別の方向に踏み出してみたらどうかと。別の方向ですよね。そういうことではないかなと私は思っておったんですけれども。

高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】今,皆さんからお話があるとおり,一応,複製権の制限の代償というのが補償金だとすると,権利者に全く還元がないというのは,ちょっと難しいと思います。ただ,現行の補償金制度でも,104条の8に,いわゆる共通目的基金がありまして,徴収した補償金の中で2割ですけれども,20%の範囲内で,著作権及び著作隣接権の保護に関する事業,それから著作物の創作の振興及び普及に資する事業に使えることになっております。

したがって,この範囲を見直すなり,あるいは割合を見直すことによって一定程度,このクリエーター育成基金的な目的を達成することは可能ではないかなと考えます。

【土肥主査】ありがとうございます。それは非常に良い御指摘だったと思いますけれども,ほかに何かございますか。香月様,どうぞ。

【インターネットユーザー協会(香月)】香月でございます。先ほど会議の冒頭で河村委員がおっしゃったかと思うんですけれども。このクリエーター育成基金というものは,先日私どもが提出しました意見の中にも入っています。それはなぜかというと,自分が支払った,そういうお金が本当に自分の好きなアーティストに行っているかどうかというところについて疑問があって,そこがなかなか見えづらい状況があるからです。自分が好きなアーティストのところに本当に対価還元されているところを明確にしたい,それが難しいということであれば,次世代のアーティストの育成に資する,このようなクリエーター育成基金というものにつなげるのがよいのではというのが,私どものスタンスです。その点,先ほどJASRACの世古様より補償金の分配状況についてお示しを頂けるというお話を頂いておりますので,そちらのデータを見てからお話をするというのでもありではないかと考えております。

【土肥主査】ありがとうございます。そのデータはどうなんですかね。事務局に求められるんでしょうか。高杉委員に求められる。どちらです?

【世古委員】分配の仕組みについては資料として事務局の方に提出します。

【土肥主査】いや,恐らく世古委員が何かお話になるんじゃないかと。そうじゃないんですか。

【世古委員】いえ。

【土肥主査】いいですか。では椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】当然ながら,補償金制度の中身を議論する中では当然,徴収のことも議論しなきゃならないし,分配のことも議論しなきゃならない。それで,これまで分配をどうやっているんですか,どういうデータで誰に分配しているんですかということは,もちろん我々の義務として,JASRACさんのみならず,権利者団体が出していくというプロセスがあると思いますが,次回かどうか,それはちょっと早いのかなという気がいたします。

【土肥主査】ありがとうございます。20%の中が新しいクリエーターの育成のためにだけ使われているとは生じていませんので。いろんな多目的な文化事業とか,途上国の著作権支援とか,様々のお使いになっているんだろうと思いますので。もし分かれば,クリエーターには大体こういうことが,かつて配分されているということをおっしゃっていただければ有り難いかなと思います。

榊原委員。

【榊原委員】分配について権利者団体の方が今後お示しいただけるということなんですけれども,随分前の小委員会でも,そういった資料が提出をされたことがありまして。ちょっと記憶は定かじゃないんですけれども,結構団体から,また団体に分配されていてとか,非常に複雑で,最後60%か50%か忘れたんですが,その先が分からなかったので,結局個々のクリエーターの人にはどのぐらい分配されているのかなというのが分からなかったと記憶をしております。

それ以上の先が開示いただけなかった理由として,たしかプライバシー。ちょっとこれもはっきり記憶,間違っていると失礼になるんですが,プライバシーのようなことを言われていたかなと思うんですけれども,クリエーターの個人名が出てこなければいいのではないかなと思うので。やっぱり個々のクリエーターに大体どのぐらい分配がされていて,団体がどのぐらい手数料とかを取られているのかとか,そういうことが分かるようなもの。それから20%のところについて,共通目的基金についても,いろいろな目的で使われているかなと思いますので,やっぱりクリエーターへの還元と評価できるものと,全然違うものというのが分かるような項目なりが,教えていただけると有り難いなと思います。

【土肥主査】個々のクリエーターにという。要するに当該,そのクリエーターが属する領域の方々の全体のポジションを高めるために,クリエーターに対する対価還元が使われていてもいいわけでしょう。つまり,一人一人に幾ら幾らというよりも,音楽なら音楽の領域,あるいは文筆家なら文筆家の領域,そういう。文筆家は関係ないか。映像なら映像の領域とか,そういう領域について,個々に渡ってももちろんいいし,全体の地位が上がっていくということのために使われてもいいんだろうと思うんですけど,いかがですか。だから,必ずしも個人に幾ら渡ったということが分からなくても,補償金制度というものを,そこだけで否定するわけにもいかんように思うんですけど,どうですかね。

【榊原委員】個々の方に配られているものというのはすごく分かりやすくて,それ以外のものは,じゃあ,どういうふうに使われているのかというのが分からないので。例えば,見せていただかないと分からないんですが,企業でしたら,どういうふうにお金が使われているとかって全部見える化されているので分かるんですけれども,団体の方というのは,私はウェブサイトで見たことがあるんですが,余りよく分からなかったので。集めたお金の残りの部分ですね。クリエーターに還元した残りの部分がどうなっているのか。全体のために使われていると。例えば何かイベントをされているとか,若手の方の振興のために使われているのか,それとも全部家賃だけなのかとか,物によるのかなと。家賃も,それで団体が存続するためだからいいという理由にもなるのかもしれませんけれども,見てみないと,よく分からないなというのが現時点の意見です。

【椎名委員】それを見てから言ってくれます?

【榊原委員】見てから,はい。分かりました。

【土肥主査】そこの部分は私に預からせていただいて,事務局とちょっと相談してみたいと思いますけれども,私は先ほど言ったように考えているということでございます。

ほかにいかがでしょうか。クリエーター育成基金についてのメリット,デメリットに関して。はい,お願いします。

【大渕委員】私も今,主査が言われたとおりで,全てを集合的に考えない限りは,この制度は全て成り立たないと考えております。一人一人でやり出したら,制度は全て崩れてしまいます。国によって,分配している国もあれば,前もどこかで出ていましたが,個別の分配が末端まで難しい場合には,それをせずに,ある程度のところにとどめる,どのレベルまで個人に近くするのかというのは,いろいろな制度があり得るかと思います。必ずクリエーター個人に分配しない限り,この制度は成り立たないかというと,そこまでやると,かえってトランザクションコスト等が掛かりすぎて,余りに微小なものが来てもしようがないということであったら,もう少し上流のところでとどめるという考え方もあり得ると思います。最終的に利益がキャッシュで個人に行くのしか利益の還元がないという発想に立つと,また別の意味で,この制度が崩れてしまうので,そこはいろいろと組み合わせることが必要になってくると思われます。ある程度ラフに分配するけれども,もともと分配の仕方がラフなのだから,ある程度の部分は取って共通目的基金にするという,その辺はいろいろ知恵を絞ることが必要になってきます。完全に個別に,1円の単位まで個人に分配するとなると,トランザクションコスト的に動かないなど,いろいろな問題がありますので,最終的には利益が何らかの形で還元されるというところが重要だと思います。

とにかく,この制度は,個別の面だけの発想に限定してしまうとそもそも成り立たない制度ではないかと思っています。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【河村委員】榊原委員の意見と大渕委員の意見に関連してなんですけれども。一番細かいところにクリエーターに配られたかということよりも,私,何度も申し上げているんですが,録音している複製行為と分配先とがきちんとリンクされているかというところが,やっぱり大きく気になるところで,リンクしていないんじゃないか。例えばですけど,すごく多く出ているCDを,握手券が欲しくて何十枚も買っている売上げと,本当に音楽が好きで,お金を払って,配信なりCDで買った人が,複製行為をして,デバイスも持っていて,大事に音楽を聴いているという行為,そのクリエーターへの還元というのがきちんとなされているかどうか,その割合ですね。だから,そういうことって捕捉できないから,できないですよねということを何度も私は申し上げていますので。

見せていただきたいのは,どういうデータに基づいて,どういう分配を権利者の方にしているのかというところです。お聞きしたいのは,補償金の分配のことについてだけで,いわゆる補償金じゃない著作権料の分配のことで,きちんとなさっていますというお話ありましたが,それはまた別の話なので。補償金に限って分配の計算の方法と,どのように団体の方で経費が掛かっているのかとか,やっぱりそういうところは,消費者から取る制度で広げていくんだとおっしゃるからには,きちんと新たに見せていただきたいです。以前出されたかもしれませんが,それ多分,かなり何年も前のことだと思いますので。

【土肥主査】先ほどから申し上げているように,クリエーターの育成基金については,もう御意見はないということですね。

【河村委員】私はクリエーターの育成基金という言葉が出たときに,二通り,香月さんのおっしゃったことと,二つあると思うのです。そもそも補償金の制度に私たち賛成しておりませんけれども,この(3)というのは,前にも同じことを申し上げたんですが,(1)の論点の,じゃあ補償金をどういうふうに分配するかというところの論点に係っている部分も読み取れますし,そうではなくて別の制度も入れられるということで,何か少し入れ子構造になっていると思います。

もう少し付け加えますと,(3)の論点じゃないだろうと言われるかもしれませんけれども,例えば(2)とか(3)とかに書かれている中で,新しい未来志向のサービス。例えばですが,それを作れと言っているわけではないですけれども,例えばCDを買うとデバイスにコピーする,何か一々CDからパソコンに複製しなくても,何か簡単にできるものが付いているとか,URLが書いてあるとか,分からないですけど,何か小さなデバイスが付いているとか,そういうことによって,携帯機器で,あなたの買った音楽を楽しむことが簡単にできますよというサービスを付ける代わりに少し高くなりますとかということは考えられると思います。

そうなってくると,私が買ったその音楽,それをいろいろなデバイスで私が楽しむために払った著作権料がその方に行くという仕組みになりますよね。クリエーターへの対価の還元というのは,補償金がないとできないということではないと。そこを広く,きょう何か急いで三つやりましたけれども,議論していくことができたらいいなと。

補償金制度は10年掛かって,いろいろな限界があるということが言われてきて,機能していなくて,現状があるわけですから,そのことをもう一度未来志向で,クリエーターに対価の還元ができるということを考えていけたらと思います。

【土肥主査】そういうお考えであるとすると,補償金という制度が本当に機能しているのか,機能していないのか,機能させる方法が残っているのかどうかというところを踏まえないといけないということになりますよね。先ほどから,どうも,このクリエーターに対する育成基金の問題も,補償金の枠の中でのお話のように伺えますので。例えば20%の部分について,どういうふうなというようなことも出てきておりますので。

2ページの補償金の徴収・分配等について,これ結構議論が出ております。時間,あと10分あるので,この10分の時間で,特にこの(1)補償金制度に戻っていただいて,この論点で言うところの補償金の徴収・分配。例えば支払義務者なんかも入れていただいていいと思いますが,御意見を頂ければと思います。

では榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】支払義務者に関する論点なんですが,最初の頃に納得感がないという問題があってというお話をしたときに,何人かの先生方から,ドイツではとかいう話があったと思うんですけれども。よその国で,補償金のない国もありますし,ある国もあるわけですけど,ある国で,法制度がある。法制度が存在をすると。実際その法制度に基づいて,例えばドイツでしたら幾らぐらいでしょうか。300億か,400億か,非常に大きな額の補償金が徴収をされているわけです。法制度がある,それから徴収の実績があるということをもって,うまく機能しているとか,納得感があるのではないかということとは,ちょっと私は次元が違うと思っていまして。フランスやドイツは補償金大国と呼ばれている国なんですけれども,物すごい数の訴訟が,ずっと継続しています。電機業界も,IT業界も巻き込まれていますし,消費者団体も原告になっている。そのことが,ここでは一度も余り報告がされていないんですけれども。制度があるとか,徴収の実績があるということイコール納得感があるとか機能しているということではなくて,作った制度がうまく機能していないから,それだけずっと裁判が物すごい数で行われているんです。それをどういうコストと呼ぶのか分かりませんけれども,私なんかから見ると,政策が失敗しているようにしか見えないですし,フランスの消費者団体などは何度も何度も訴訟をして負けていて,全く納得しているとは思えないわけです。

だから,それを是(ぜ)とするのか。納得感という意味では,今後海外のことも見ていくのであれば,制度があるとか,お金がたくさん取れているということだけを報告されるのではなくて,その後,物すごい裁判になっていると。しかも消費者団体や機器メーカーが訴訟の当事者になっているということなので。納得感がないのはなぜかというと,やっぱり,そういうところも経験をしているし,知っているからなんですね。

だから,そこの表面的なところだけを見て,納得感があるねとか,よその国では機能しているねということではないはずなので,やはりきちんと,そういう事実を見ていただきたいなと思います。

【土肥主査】私もドイツの雑誌を見て,補償金というか,私的複製に関する補償金の問題について争いがあることは知っていますが,物すごいというのは私は知らなかったんですけど,その物すごい部分については,これは榊原委員に出していただかないと。これほどすごく事例があるという物すごさを紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【榊原委員】すみません,私はそんな。他の訴訟になっているというのは聞いていますけれども,よその当事者の訴訟についてまで把握はできないですし,やはり海外の事例を,たしか今後,海外自体について報告されるとお聞きをしたので。訴訟であれば,やはり事務局から報告いただくべきなのではないかなと思います。

【土肥主査】松田委員,お願いします。

【松田委員】補償金の徴収ですから,国民全部が納得するということは,まずあり得ないと思います。そのことによって訴訟が起こっているということも,ヨーロッパではそのとおりなんでありましょう。しかし問題は,国民の大多数が制度を維持することができないぐらいに納得感を持っていないことによって法制度が崩れているところがあるか,ないかということだと私は思います。それがあるならば是非御報告を願いたいということです。先ほどの発言は,そういう意味でございます。

もう一つ。そういう訴訟の中で,日本と同じように日本のメーカーが,例えばパナソニックが具体的に企業として納得感がなくて,それぞれの国で訴訟を起こしていることがあるのでしょうか。あるならば御紹介願いたい。

【土肥主査】今の点,私からもよろしくお願いいたします。

ほかにいかがでしょうか。全体を通じていかがでしょうか。香月様。

【インターネットユーザー協会(香月)】今の納得感という話につながるんですけれども,日本でそんなに大きく話題になっていないというのは,多分,この補償金制度というものが,そもそも知られていないのではないかというところがあって,要は。僕は,こういう会議に出たり,傍聴したりしている人間なので,もちろん知っていますけれども,じゃあ一般の消費者の人が,今はもうないですけれども,例えばDVDレコーダーとか,そういうものに補償金が乗っていることをどれだけ知っているかというと,それは知らない消費者が非常に多いなというところがあるので,これ徴収というところを考える上では。要は,クリエーターにきちんと,それは対価還元されているんですよということをアピールするというのは,これは権利者の人にとっても非常にいいことだと思うんですね。なので,そこら辺の,どう処理するかみたいなところについても,それは補償金を前提にしている話ではなくて,そういうことについても議論をすべきだろうと思います。

【土肥主査】そういう周知の問題は周知の問題として,著作権全体の理解を進めるという,そこにもつながるんだろうと思いますが。これはこの場でという問題よりも,事務局の方に十分。事務局といいますか,文化庁において十分,常日頃から意識していただいて,よろしく今の御意見を御理解いただいて,実施いただければと思います。

ほかになければ,もう時間が,あと,あそこで言うと3分か2分前になっていますので,4分ぐらいですかね。ほかに,最後にもう一点ぐらいありますか。奥邨委員,いかがですか。

【奥邨委員】いえ。

【土肥主査】なければ,もう,きょうはこのぐらいにしようかと思いますけれども,いかがでしょうか。

【末吉主査代理】いいですか,発言。すみません,一言。私は(3)のクリエーター育成基金は一つの妥協の制度を作ろうということだと思うのですが,何かお話を聞いていると,妥協することも嫌だというふうに非常に聞こえて,すごく残念でした。本来であれば(1)をやるべきであると私は思っているのですけれど,(1)がまとまらないのであれば,しかも(2)が難しいので,(3)しかない。これは,ネーミングはともかく,第3の道を選ぼうではないかということで出てきた案ではないかと思うのです。形式にとらわれることなく,各ステークホルダーが歩み寄って新しい制度で発展的に何か新しい制度を作ろうという方向がもしないのであれば,これだけやっても,何か先がないような感じがします。ですから,第3の道を含めて何かの制度を作って前向きに進まないかという御提案だと私は伺っておりますので,私も考えますので,皆様方も是非考えていただきたいと思う次第であります。ありがとうございました。

【土肥主査】力強い主査代理の宣言でございましたので,次回以降,必ず当てて御意見を伺いたいと思います。

それでは,本日はこのぐらいにしたいと思います。

最後に,事務局から連絡事項がございましたらお願いします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】次回の開催につきましては,改めて日程の調整をさせていただきまして,確定次第,御連絡をさせていただきます。

以上でございます。

【土肥主査】では,よろしいですかね。これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第2回を終わらせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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