文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第6回)

日時
平成30年2月2日(金)
16:00~18:00
場所
文部科学省東館3F1特別会議室

議事次第

1開会

2議事

  1. (1)平成29年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について
  2. (2)その他

3閉会

配布資料一覧

資料1
平成29年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(案)(5.4MB)
出席者名簿(53.1KB)

議事内容

【土肥主査】それでは,定刻でもございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第6回を開催いたします。本日はお忙しい中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますが,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと,このように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますが,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方には,どうぞそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】配付資料につきまして御説明をいたします。本日の配付資料,御用意は1点のみとなっておりまして,資料1といたしまして,「平成29年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(案)」と題する資料でございます。その他,机上配付資料としまして3点ほど御用意させていただいておりますので,適宜御参照いただければと存じます。

以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは議事の進め方でございますが,本日の議事は,(1)平成29年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について,(2)その他,このようになっております。

議事に早速入りたいと思いますけれども,今期の本小委員会の審議の経過等については,委員の皆様に対し,既に審議計画報告の案を御確認いただき,多くの御意見を頂戴しておるところでございます。また,それを踏まえまして修正をしたものが,本日,机の上に資料としてお配りしておるものでございます。

本日は,この審議経過報告について御了承いただきたいと思っております。本日御了承いただきましたならば,今期最後の著作権分科会において私から報告をしたいと思っております。

それでは,事務局より説明をお願いいたします。

【白鳥著作物流通推進室長】資料1をごらんいただきたいと思います。審議経過等についての案について,かいつまんで要点を御説明したいと思います。

これまでの資料,そしてまたこれまでの審議の状況を踏まえて,今年度の審議の経過等についてということでまとめさせていただいているものであります。

1ページにつきましては,これまでの資料にもずっと出てきたものを,そのまま入れております。なお,基本的考え方につきましては,これまでの会議におきましても,昨年度の検討との一体性といいますか,昨年度の検討経過ということを,より忠実に表すようにといった御意見もありました。今回は,それを参考資料として付けておりますので,併せてごらんいただく形となります。

内容につきましては2ページからになりますけれども,前回の会議におきまして私的録音の実態調査結果の報告がございました。そちらの主なポイントを,こちらに書かせていただいております。

2ページの一番頭のところですけれども,まず1次調査結果の(1),こちらは聴き放題の音楽配信サービスの利用者についての状況を紹介しております。なお,脚注におきまして,この調査対象にはYouTubeによる利用が含まれていないのではないかという指摘を頂きまして,それについても付記をしております。

3ページですけれども,(2),こちらは過去1年間に録音等を行ったことがある方は4割であったということと,その年代別の状況について紹介しております。

その下の(3)です。こちらは録音等に過去1年間に使用した機器としてはパソコン,スマートフォン,ポータブルオーディオプレーヤーといったものが多かったということを紹介しております。

また使用割合についての全体,特に録音経験者だけではないものも含めた使用率についても,脚注において紹介しております。

また5ページになります。これは2次調査結果ということで,録音経験者である4割を母集団とした調査になっておりますけれども,(4)にございます,録音等を行った音源につきましては市販CD,レンタルCDが多かったという状況であります。3年前と対比して1位,2位の順番が逆転しているといったことについての補足も脚注6で行っております。

また録音等を行った対象曲数,コピー元の音源の曲数に着目したデータですけれども,こちらに着目しますと,3年前と比べると全体的に減少しているといった状況の御紹介。その中で有料の音楽配信サービスからの録音等の対象曲数は増加しているといった状況の紹介をしております。

6ページの(5)になりますけれども,過去1年間に実際に行った録音等の曲数の総量の変化についてのデータであります。新規に入手した音楽音源を録音したものと,既に自分で入手していた音楽音源についての録音等の状況につきまして,それぞれ前回の会議においても報告がありましたので,そちらを紹介しております。

新規入手音源につきましては,各機器等において増減が様々である一方で,過去,既に自分で入手していた音源については全般的に録音曲数は増加しているといった状況についての紹介でございます。

8ページに移ります。8ページの(6)ですけれども,いわゆるプレイスシフトのような形による利用状況についての紹介で,全体の約6割であるということでございます。

(7)です。これは録音等の目的について,複数回答の問いになっておりますけれども,「自分が聴くため」に録音等を行ったことがあると回答した者の割合が最も多く96%,そしてまた実際に共有をした方については2割であるということであります。これも録音等を行っていない方も含めた割合については脚注の方に併せて書いております。

次の9ページですけれども,(8)です。これは実際に今,録音をしている方が今から2~3年後の将来において,その録音曲数が増えるかどうかといった増減予測についての問いであります。変わらないとする回答が,3年前も多かったのですけれども,今年度,そこの部分が更に増えているといった状況が紹介されております。

10ページに移りまして,こちらが私的録音実態調査の最後のところですけれども,(9)です。これは意識調査に関わるものでありまして,補償金の支払についての肯定的な回答をされた方が65%であったということです。これは前回の会議におきまして,この問いの立て方について意見を頂きました。その辺りのことを脚注9に書いております。

また同様の問いで,18年の調査において行われた調査結果についても,併せて脚注に書いております。

以上の私的録音実態調査の後に,11ページからになりますけれども,対価還元手段として,この小委員会におきましては三つの手段について主に検討いただいておりました。その三つの手段,マル1,私的録音録画補償金制度,マル2,契約と技術による対価還元,マル3,クリエーター育成基金,について検討を行っていただいたということを,まず確認しております。

検討結果につきまして,12ページをごらんいただきたいと思います。まず冒頭にございます。本年度における検討結果を踏まえながら,引き続き私的録音に係る対価還元手段について具体的な制度設計に向けた検討を深めるとともに,私的録画に対する対価還元手段の在り方について検討を行い,対価還元手段の在り方について方向性を示していくことが必要と考えられるとした上で,まず1ポツのところですけれども,この対価還元手段に関する基本的考え方ということで,全体の関係性なども含めつつ,また先ほどの私的録音実態調査の結果などにも着目した議論の状況などを,記載をさせていただいております。

まず12ページ,(1)ですけれども,私的複製と私的録音録画補償金制度についてでございます。

最初のパラグラフの最後のところにありますけれども,これもこれまでの会議で指摘いただいておりました,対価還元手段については,どのようにしたら実効性のある公平で現実的な解決策となるのか,各手段の組合せも含め総合的に探っていくべきであるとした上で,このことにも関連をしますけれども,私的録音録画補償金制度と契約と技術による対価還元手段との関係性について,その次のパラグラフのところで触れられております。

特に契約と技術による還元手段が,有効な代替手段として有効に機能し得るということであれば,その範囲内では私的録音録画補償金制度は不要になると言えるとしています。

そこで契約と技術による対価還元手段との関係について,整理する必要があるわけですけれども,ここにつきましては昨年度の本小委員会における審議の経過等において整理・確認をされております。また本年度においても確認していただきましたけれども,特にマルチデバイス・ダウンロードと言われる,1課金につき複数台のデバイスでダウンロードが行えるサービスを特に念頭に置きながら,許諾の範囲に含まれる複製については私的複製の対象外であるけれども,このマルチデバイス・ダウンロードにおける許諾の範囲というのは,消費者が楽曲をダウンロードする際に生じる複製までであり,ダウンロード後に生じる消費者の私的録音は,30条1項の私的複製に該当するものということで,契約には含まれていないということで整理をされております。

それから(2)ですけれども,私的複製の実態ということであります。まず,私的複製という権利制限規定によって,私的複製による法的不利益が権利者に生じているとする一方で,その上で,実際にどの程度,その不利益について補償すべきかについては多様な意見があり得るところであるとしております。

そして,そのパラグラフの最後のところにありますけれども,現在の私的録音録画補償金制度が対象としているデジタル方式の私的複製について,その量はどのように変化しているのか,またその増減は今後どのようになっていくと考えられるのかといったことが注目されるとしております。

その上で,「この点」ということでありますけれども,実態調査の結果を重く受け止めるべきという意見が出されたということで,その次ですけれども,先ほど御紹介した今年度の私的録音実態調査結果の概況を紹介しております。録音経験者数の状況,そしてまた現在は対象機器とされていないようなパソコン等の機器による複製の状況などがあるということと,現在対象機器になっていないものによる複製の実態等に関わりましては,その追加指定の是非等については文化審議会著作権分科会において過去,検討を行ってきたけれども,具体的な結論を得られない状況が続いてきたということの紹介であります。

14ページですけれども,引き続き私的録音の実態調査結果についての紹介になります。先ほど出ておりましたとおり,レンタルCD,市販CD等からの録音が多いというところと,あとは私的複製の目的,あるいは共有の実態などを紹介した上で,録音の曲数につきましての紹介を,その次のパラグラフから行っております。

まず録音等の対象曲数につきましては,3年前に比べて減少していると。その中にあって,これも先ほど御紹介をしております,有料の音楽配信サービスからのダウンロードについては増加が見られるということであります。このことを捉えて,私的録音録画補償金制度の廃止・凍結を求める立場からは,私的複製の量は補償を必要としない程度まで減少したと言えるのではないかとする意見があったということです。

他方,実際に行われた録音等の曲数に着目すると,新規に入手した音楽音源の録音等曲数は,3年前に比べて,機器ごとに増減は様々である一方で,既に自分で入手していた音楽音源については,録音等の曲数は全般的に増加しているということです。

そしてまた,その次のパラグラフですけれども,今年度の調査結果は3年前との対比を行っておりますが,この私的録音録画補償金制度の見直しの検討が開始されました約10年前の調査結果との対比で見ますと,ポータブルオーディオやパソコンへの保存曲数は増加しているということの紹介です。

ただ,「もとより」というところからありますとおり,これらの曲数の中には,30条1項の私的複製の対象外と考えられる複製も含まれるとする指摘がなされる一方で,対象外と考えられるそれらの曲数の全体量は必ずしも明らかでないということです。

他方で,アナログも含めた私的録音の総体につきまして,制度創設当時を10割とすると,現在は6割まで,その私的録音の総体というのが減っているといった試算の御紹介も,今回の意見照会において委員より頂いたところであります。

ただし,その試算はアナログ方式の私的録音も含めた試算であるといったこととか,その試算によると,デジタル方式の録音回数の総数自体は増加しているといったところにも留意が必要だということを記載しております。

こうした,これまで明らかになった録音等の実態を踏まえますと,現時点において,補償の必要性がない程度まで私的複製の量が減少しているものではなく,現行制度上の私的録音録画補償金制度を廃止するほどに必要な立法事実があるとは言えないとする意見があったとしております。

また今後の見通し等についてですけれども,今から2~3年後の将来における録音等の曲数については,先ほど出ておりましたとおり,「変わらない」とする回答が増加しているということであります。ただ,これについては主観的なものにすぎないという意見も頂きました。他方で,現にデジタル方式の録音を実施した者自身による回答であるといったこと,そして少なくとも現時点で客観的に将来の私的複製動向を正確に予測することは困難と考えられることから,近い将来のうちに私的録音の全体の量が確実に更に減少していくといった主張は,広い支持は得られなかったとしております。

そして16ページですけれども,対価還元手段の検討の方向性ということです。「もとより」とあります。今後,契約と技術による対価還元手段等により適切に対応できる領域が増えていくのであれば,それは,その補償金制度創設当初には成し得なかった解決手段を提供するものとなるということでありまして,この会議におきましても,特に音楽配信の分野では,そうした可能性も見られるだろうということの紹介も頂いております。

「もっとも」ということでありますが,現時点において補償を検討すべき「私的複製」の範囲について,これが権利者に対する補償が不要であると言える程度まで狭くなっていくことになるのかは,この契約と技術による対価還元モデルの今後の構築状況次第であるとも言える。しかし,少なくとも現時点においては,その実現可能性や範囲は明確でない。今後,実効性ある契約と技術による対価還元モデルが構築され,どのように有効に機能し得るのか,推移を見守っていくことが重要である,としております。

また「なお」としまして,まず,この私的録音録画補償金制度の廃止・凍結を求める立場からは,本年度の実態調査結果により直近3年間で私的録音の総体が大きく減少していることが明らかになったとして,かぎ括弧のところですけれども,私的録音の実態などを考慮すると,制度として維持することの社会的意義を正当化するのは困難と言える,また実態調査の結果からは,少なくとも制度の拡張を検討することができる状況にはないという意見が出されました。他方,上記のとおり,デジタル方式による多様な私的録音の実態が確認される一方で,この補償金制度では私的複製の実態が適切に反映されていないために制度が機能していないとして,「権利者の得べかりし利益は日々累積されている状況にある」という意見も出されたということです。

ただ,いずれの見解についても,私的録音の実態を踏まえるべきだという点では一致しており,私的複製の実態を踏まえた対応の検討が求められるとしています。その上で,私的録音録画補償金制度の廃止・凍結を求める立場からは,制度の拡張を検討することができる状況にはないという意見も出されたわけですけれども,この私的録音録画補償金制度は,長年検討が進められてきた課題であるところ,この私的録音録画補償金制度に代わり得る対価還元手段がない範囲においては,私的複製の実態があり,かつ現行制度上の私的録音録画補償金制度を廃止するほどに必要な立法事実があるとは言い難(がた)いことを踏まえれば,そのような代替措置が構築されるまでの手当てとして,引き続き私的録音録画補償金制度により対価還元を模索することが現実的であるとする意見が多かったとしています。

もとより,これは,補償金制度について「拡張」するという性格の見直しではなく,複製の実態に沿った柔軟なスキームにするなどの工夫を講じようとするものであり,複製の実態について様々な意見があることも踏まえて,それらの実態が適切に対象機器・記録媒体や補償金額の決定に反映されることを希求することが求められるもの,としています。

以上,これまでの議論の状況として,このような意見があったということで整理をしたものであります。

この全体の基本的な考え方の後に,各手段それぞれについての議論の状況を紹介しております。

18ページです。まずは,契約と技術による対価還元手段です。これは基本的考え方の第2パラグラフのところにありますとおり,私的録音録画補償金制度の代替手段として特に念頭に置かれ,取り上げられてきたものであります。

(2)については,先ほどの私的複製の範囲に係る考え方の整理について記載をしております。

19ページの一番上に(3),課題とございます。これまでの会議の状況から大きく三つ指摘があったということで記載をされております。

一つ目が一律の対価上乗せ等についての課題。二つ目につきましては,無料で提供されるコンテンツなどは,契約による対価還元は困難ではないかという指摘。三つ目につきましては,特に汎用機器を想定しますと,契約モデルについては,特定のサービスモデルであるので,それにとらわれない複製形態もあるという限界もあるのではないかといった指摘でありました。

こうしたことに関わりましての議論の状況です。(4)ですけれども,まず一つ目,マル1,価格設定の在り方に関してです。

「この点」というパラグラフのところにあります。まず,価格設定の関係では,市場価格が適正価格と言えるのではないかという意見を頂いたということが一つです。ただ,そうしたことにも絡みまして,そもそも,この契約モデルが実効的な対価還元手段たり得るのかといった意見も出されたということでございます。

「このように」というパラグラフですけれども,この契約と技術による対価還元手段が実効的な手段としておよそ適切に機能し得るかといった点では,現時点において必ずしも意見の一致を見てはいないと。ただ,合意される範囲においては,契約である以上,有効な手段であり得ると考えられるとしております。

先ほど出ておりました課題の一つ目に書いてありました,一律の対価上乗せ等は限界があるのではないかといったことがあります。特に私的録音の可能性のない,次のページに移りますけれども,ユーザーにも負担を課すというのは公平を欠くのではないかとする問題提起であります。ただ,これについては,私的録音録画補償金制度についても,特に汎用機器を対象とする場合は同様の課題があるのではないかと。どちらも共通の課題ではないかという指摘であります。

ただ,どちらの場合におきましても,私的録音を行い得る機会の提供対価として捉える等々の課題解決に向けた考え方の整理も一定程度可能ではないかといったことを,そちらのところに書いております。

マル2ですけれども,これは無料提供コンテンツのような形では,契約による対価の回収は困難ではないかという指摘であります。これについては使用料規程の活用によって対応ができるのではないかという意見も頂きましたが,他方で,それは限界があるとの指摘もあったということの紹介をしております。

いずれにしても,契約と技術による対価還元の手段がなじみやすい領域とそうでない領域があり得ることが確認されたということであります。

それからマル3ですけれども,これは汎用機器においては,特に契約モデルが適用される領域は,そのいろいろな複製対応の中で限定的なものにとどまるのではないかという指摘でありますけれども,最後の「このように,この指摘は」とありますとおり,この辺の考え方については,契約等による対価還元のビジネスモデルとの関係性の中で補償すべき範囲について検討すべきだという問題提起とも捉えることができるということであります。

(5),最後ですけれども,先ほど冒頭に出ておりました基本的考え方に沿った内容になっており,実効性ある契約と技術による対価還元モデルが構築され,どのように有効に機能し得るのか,推移を見守っていくことが重要であるとしております。

22ページです。これは,クリエーター育成基金です。こちらにつきましては,先ほどの契約と技術の手法,そしてまた既存の制度である私的録音録画補償金制度,それぞれについては限界があると判断される場合に,ある種,第3の道といいますか,新しい手法,考え方として,広くその対価を文化芸術の発展に資する事業に充てようとする考え方として提案がされたものであります。

(2)にありますとおり,意義を確認しつつも財源の確保,また支出先の在り方等については課題が多く残されているといった状況がある中で,(3)の最後,23ページですけれども,特にこのクリエーター育成基金の趣旨については広く賛同する発言を頂きまして,その趣旨の実現の在り方として,私的録音録画補償金制度との関係性を留意して進めるということについての話もありました。具体的には,私的録音録画補償金制度における共通目的事業の在り方の中で,この趣旨を生かしていくといった面での改善を図ることも適切だろうといった御指摘であります。

24ページからが,現行制度であります私的録音録画補償金制度です。

(2)のところに課題があります。これは,これまでの会議におきまして,特に諸外国の状況との関係性で御指摘,御意見など頂いたところを記載しております。欧州諸国の多くの国においては,私的複製に係る補償金制度が導入されています。またEUではディレクティブというのもありまして,そのルールの下で進められているということと,汎用機器についても広く補償金の対象とする傾向が見られるということです。他方で,実際の国の数で見ると,導入していない国の方が圧倒的に多いとの紹介もあったということであります。

ただ,制度の在り方というものも,この補償金制度については密接に関わっているのではないかといった御指摘を頂いております。その次,「我が国のように」と書いてあるところですが,広範な私的複製に関する権利制限規定があることが私的録音録画補償金制度の前提となっておりますけれども,補償金を導入していない国において,そのような制度になっているのかといったところは定かでない等々のことが書かれております。

また,その下についてです。ドイツ,フランスなど欧州諸国において補償金制度を導入しているということであるけれども,多くの訴訟が提起されていると。中には消費者団体が原告となっているものもあるといったことから,制度に対する納得感が欠けているのではないかとする意見がありました。

もっとも,その訴訟については,ほとんどは製造業者や輸入業者を当事者とするものであるという指摘とともに,それらの国では私的複製の対象にはならないはずのものが課金対象とされていたことから争われている事例が入っていることから,制度自体に対する納得感が欠けているということではないのではないかといったこともありました。

また,この補償金制度全体につきましては,従前から課題について指摘されておりまして,それが25ページの上の方に,「主に以下のような課題」ということで三つ書いております。正確な補足など書いてあるところが,いわゆる制度に内在する課題,二つ目が運用上の課題,三つ目が契約と技術との対価還元手段との関係性について指摘されてきたところであります。

こうしたことも念頭に置きながら,この制度の在り方について議論が行われました。

25ページの(3)からですけれども,まずマル1,対象機器・記録媒体の範囲です。

二つ目のパラグラフのところにありますけれども,汎用機器などは今,補償金の対象になっておりません。それらの機器について,対象とすべきかどうかといったことに関わってのものでありますけれども,これも先ほど出ておりました汎用機器を広く対象としていくことになる場合は,私的複製をしないものからも課金するということで,納得感が得られなくなるのではないかという意見もありました。

ただ,ここは先ほど契約と技術の手法においても同様の,逆の視点からの指摘もあったことは御紹介したとおりですので,「前述のとおりである」としております。

また会議におきましては,25ページの一番下,「他方」というところです。専用機器か汎用機器かということで今,対象機器が決まっておりますけれども,そうした硬直的な区分は不適切であり,私的複製の実態に着目すべきだという意見も出されました。

すなわち,実際に私的複製の用に供されている機器等についてはということで,次の26ページに参りますけれども,権利者に対する対価還元を検討する必要性が高いところであり,少なくとも複製されているものについては一旦俎上(そじょう)にのせた上で,使用の実態を踏まえて評価を加えていくというプロセスを組み込んだ制度とすることが公平にかなうのではないかということであります。

この場合でも,金額の水準,また対象の在り方,対象の考え方については,複製の実態,それから技術の状況,また対価還元モデルの構築状況といったところも勘案しながら決定することが適切ではないかということであります。

マル2につきましても今の論点と密接に関係しますけれども,今,個別に政令で対象機器などを指定する方式になっておりますが,これについては私的複製の実態を踏まえた柔軟な運用を可能とする方向での見直しを行う際には,現行制度の政令指定方式について抽象度を高めた規定内容とすることも考えられるということであります。

(4)ですけれども,これは補償金額の決定です。これについても,先ほどの論点と密接に関係しております。現在,補償金額については指定管理団体が,あらかじめ製造業者等の意見を聞いた上で額を定めて,文化庁長官の認可を受けるという制度になっております。

この私的複製の実態について,補償金額に適切に反映される仕組みも必要と考えられるのではないかということですが,対象範囲の決定に当たっては,機器・記録媒体ごとに,その私的複製に供される度合いも異なると考えられるので,この私的複製の実態を踏まえた柔軟な運用を可能とする方向での制度見直しを行う際には,その使用頻度などを踏まえて判断なり調整なりをしていく工夫が必要であろうということであります。あわせて,補償金額の決定方法については,現行制度の枠組みを基本的には維持しつつ,補償金制度の対象とする機器ごとに私的複製の実態等を反映して決定していくことが可能となるような工夫を講じる必要があると考えられるとしております。

次の(5)です。これは支払義務者についてであります。製造業者,輸入業者については現在,支払の協力義務という位置付けになっております。

その次のパラグラフは,なぜそういうふうになっているかという趣旨を書いてあります。個々の利用者のレベルでは必ずしも大量の私的複製が行われているわけではないものの,総体として見れば大量に私的複製が生じているということから,公平の観点から定められているという趣旨の紹介です。

ただ,同じような趣旨で,欧米諸国では,製造業者等については支払義務者との位置付けが,我が国におきましては協力義務者という位置付けがされているという状況であります。

これについては,「この点については」というパラグラフ,下から二つ目のパラグラフですが,これを,協力義務から支払義務とすべきではないかという御意見です。

その下の「これに対し」というのが,現行の制度の考え方を維持し,協力義務という位置付けが適切ではないかという御意見であります。

28ページの「このように」というパラグラフですけれども,ここは,本件について抜本的な見直しを行うことについて意見集約には至らなかったが,製造業者等について引き続き協力義務を負うとした場合であっても,製造業者等の位置付け・役割をより明確にする観点から,法令上,協力すべき行為の明確化を図ることも検討すべきではないかとする意見も出されたということの紹介であります。

(6)です。分配についてでありますが,これについては,会議の中におきまして,私的録音補償金管理協会さんからの状況の御紹介などもございました。そうしたことを踏まえて,前回までの会議資料の中にも盛り込んでいたものを,こちらの方に転記をさせていただいております。

また最後,(7)共通目的事業につきましては,先ほどのクリエーター育成基金の在り方との関わりの中で活発な意見交換が行われまして,会議の中におきましても,特に権利者団体からは,共通目的事業の支出に当たり消費者の意見を取り入れた運用の改善の提案もあったところであります。

こうしたことを踏まえて,30ページにありますけれども,基本的に先ほど出ておりましたクリエーター育成基金の精神に合致させた形で,この私的録音録画補償金制度の共通目的事業の在り方について考えていくといったところも適切ではないかといった御意見があったということの御紹介をしております。

本文は,以上であります。

あとは,参考資料の中におきまして,先ほど御紹介した昨年度の審議経過の状況,諸外国における補償金制度の状況,それから私的録音録画補償金制度の概況と併せまして,先ほど一部のみ抜粋をしておりましたけれども,昨年度の私的録音の実態調査結果を,会議の中において報告されたものを,併せて盛り込んでおります。

長くなって恐縮ですけれども,以上で説明を終わらせていただきます。

【土肥主査】ありがとうございました。この審議経過報告につきましては,前回の小委の最後に,事務局にお願いをして,審議経過報告案をまとめていただきたいということで,事務局においておまとめいただきまして,それを皆様方には,先ほど申し上げましたように確認をしていただき,その上で事前に御意見を頂戴しておりまして,私も確認をしておりますけれども,その御意見を事務局において再度,この審議の経過等についての案に反映をしていただいておるところでございます。この反映をしていただいておるところに更に御意見を伺うというのが,きょうの段取りといいますか,きょうの予定とさせていただいておるところでございます。

本日,御意見を頂く順番でございますが,ローマ数字のI,II,IIIと,こうございますので,このローマ数字I,II,IIIの構成に従って,「Iはじめに」,「II検討に当たっての基本的な考え方」,「III検討結果」,この順にお願いをしたいと思いますけれども,「III検討結果」につきましては,これはアラビア数字1,2,3,4と,こういうふうに分かれておりますので,その辺りは少し細かく見ていきたいなと思っておるところでございます。

したがいまして,最初に,ページ数でいいますと1ページから11ページまで,つまり,これはローマ数字のIとII,「はじめに」と,それから「検討に当たっての基本的な考え方」についての部分でございます。この11ページまでにつきまして何か御意見があれば,お伺いをしたいと存じます。

11ページまでについては特に御意見はないですか。頂いた御意見を十分反映させていただいておるということでよろしいんでしょうか。ローマ数字のIIIの方に入ってもいいんですか。それともIとかIIに,まだ御意見があれば。

【椎名委員】じゃ,1点だけ。

【土肥主査】じゃ,椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】3ポツの対価還元の手段としての選択肢のところでございます。11ページです。以前は,同制度については補償金総額の減少傾向が進み制度が有効に機能していないのではないかというような表現だったと思うんですが。新たに「制度制定時とは録音録画の環境が変わったこともあり」と修正がされております。ここはやはり権利者に対価を還元する制度が機能していないということについて,補償金額が減少する,ないしはなくなってしまうというようなところは非常に重要なファクターではあると思うので,制度制定時とは録音録画の環境が変わったことにより補償金額の減少傾向は進むと,ここは生かしていただいた方がいいのではないかと思います。

以上です。

【土肥主査】補償金額の減少傾向が進みというのは生かす。

【椎名委員】ええ。

【土肥主査】ということのようでございますが,この点について,ほかの委員の方,こういう希望が出ておりますけれども,いかがでございましょうか。どうぞ,丸橋委員。

【丸橋委員】補償金総額の減少傾向が進むということについて,それと制度が有効に機能していないという因果関係がないんじゃないかというのが前回も私の申し上げた意見で,単に自然減をしているということだと思うので,そういうつなげ方は良くないと思います。

【土肥主査】ほかに,この点いかがでしょうか。

椎名委員の場合は,録音録画の環境が変わったこともあり補償金額の減少傾向が進みという形で生かすという案ですね。

【椎名委員】はい,そうです。

【土肥主査】そういうことなんですけれども,丸橋委員,いかがですか。

【丸橋委員】いや,それで,だから……。コピーが減っているわけですね。コピーが減っているから制度が有効に機能しないということじゃないですよね。制度があって,それに基づいて計算して補償されていれば,それは機能していないことにはならないという話なんですけれども。

【土肥主査】制度が有効に機能していないのではないかとの指摘があるということですよね。指摘がある。この指摘そのものはございましたが……。

【丸橋委員】それは,そういう見方だと思いますね。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【椎名委員】いずれにせよ補償金額の減少傾向が進んでいるのは事実でございますので,そのことを書いても別によろしいのではないかと思うんですけれども。制度制定時と録音録画の環境が変わったこともあって補償金額の減少傾向が進みというのは,そこまでは事実の話じゃないですか。そこから制度が有効に機能していないのではないかというのは分析の話ですよね。だから,事実は事実なので,別に書いたってかまわないんじゃないですか。

【丸橋委員】いや,そこを申し上げているわけじゃなくて。じゃ,そこで丸で止めて。

【土肥主査】文章を二つに分けるということですか。

【丸橋委員】はい。それとの因果関係がよく分からないけれども,有効に機能していないのではないかという意見があるということだと思うんですね。

【土肥主査】その前の文,制度制定時と録音録画の環境が変わったというのは事実ですし,補償金総額の減少傾向は,これは何かもう顕著に事実なものですから,ここの部分は事実は事実として書かせていただきたいと思いますけれども。この制度は有効に機能していないのではないかということについて,別の文章で立てるのは結構難しいんじゃないかなと思うんですが。ここで言う制度というのは補償金制度のことを言っていますよね。

【丸橋委員】はい。

【土肥主査】そうすると,その補償金総額の減少傾向が進んで,この制度が有効に機能していないというのは,見方としては当然あるんじゃないかと思うんですけれども。

【丸橋委員】それは制度が維持できるほどの財源がなくなってきたと書くんだったら,いいと思います。

【椎名委員】よく聞こえないんですが。

【丸橋委員】制度が維持できるほどの財源の手当てがなくなってきて潰れそうだというんだったら,それはそのとおりだと思うんですね。

【椎名委員】そういう論点じゃないですよね。

【丸橋委員】それは,もともとの補償金制度が良くないから,補償金の額が少なくなってきたと言いたいわけですか。それは違うと思うんですよね。

【土肥主査】制度が良くないからというか,制度,当初,今から考えてみれば良くなかったから,そうなったんだと思うんですけれども。今から考えればですね。しかし,いずれにいたしましても,制度というものが技術の進展に伴い,結果として,その制度から生ずる補償金の額は減少した。ここは,もうはっきりした事実だろうと思います。

制度が有効に機能しているかどうかという,その部分について,丸橋委員が前からこだわっておられると思うんですけれども。ここの部分に関しては,まだ記憶にもありますけれども,制度が有効に機能していないとお考えの方がおいでになるかということは,私あえてお尋ねしたときには,どなたも御発言なかったやに記憶しております。そのとき私は丸橋委員の方に特に視線を向けて,お尋ねをしたと思いますよ。思いますけれども,そのときは,議事録を見ていただいてもいいと思いますが,特に御発言もなかったと承知しておりますので,事務局はこのようにまとめていると理解をしております。

大渕委員,どうぞ。この点ですよね。

【大渕委員】この点です。丸橋委員が御懸念されるのは,「・・との指摘がある。」の部分と,その前の「減少傾向が進み,」との間が因果関係のように見えるから困るということだと思います。先ほどのように「減少傾向が進んだ」という事実として切ってしまうのも一つの手ではありますが,「・・との指摘がある。」の中に,この「減少傾向が進み,」までが係っているのであれば,このままでよいのではないかと思います。多くの人は,そう読んでいるのではないかと思います。先ほど椎名委員が言われたように,何々が進み,その結果,環境が機能していないのではないかというところが「・・との指摘がある。」の全体だと日本語として読めるので,そうであれば,先ほどの御懸念は,そのような因果関係があるという御指摘があるだけであって,客観的にそうであるということは示していないので,これはこのままでよいのであり,かえって客観的事実と御指摘を分け出すと,また大議論が必要になってくるのではないかと思います。

そのような意味では,御懸念の点は,この文章の中に入っているのではないかという気が,はたから見るといたします。

【土肥主査】いかがですか。

【丸橋委員】全体として,そういう指摘だというのは重々理解しているので,今の大渕委員のような御発言が議事録で残るのであれば,それは構いませんけれども。

【土肥主査】客観的なところと主観的な私的の部分というものは分けて御理解いただければ幸いでございますけれども。

ほかにございますか。IとIIの部分はよろしいですか。11ページまではよろしいですか。

それでは,11ページまでは終わったということで,後でもう一回,時間の関係で,ございましたら,伺うこともできようかと思います。

検討結果,12ページ以降のところでございます。この部分について御意見を頂戴したいと思いますけれども,ここはアラビア数字の1,2,3,4に従って,1は対価還元手段に関する基本的な考え方,そして2は契約と技術による対価還元手段について,3についてはクリエーター育成基金について,4については私的録音録画補償金制度についてと,こうなっておりますので,この順に御意見を頂ければと存じます。

まず1でございますので,これは12ページから17ページまでですね。ここまで,いかがでしょうか。榊原委員,お願いします。

【榊原委員】たくさん修正意見を出させていただきまして,多く反映いただきましたこと,事務局に,まずお礼申し上げたいと思います。

修正版に対しての意見なんですが,15ページの最後の部分ですね。近い将来のうちに録音,全体の量が確実に更に減少していくといった主張は広い支持を得られなかったという点。

それからもう一点一緒に,似たような指摘ですので,続けて申し上げますと,次のページの下から3行目の文末で,現実的であるとする意見が多かったと。

「広い支持は得られなかった」とか,「多かった」というのは,別に多数決でもないと思いますので,両論あるところについては評価を加えない記載で,こういう意見もあった,ああいう意見もあったという両方の御指摘で終えていただきたいというお願いでございます。

それから17ページの一番上のところで,「複製の実態について,様々な意見があることも踏まえて,それらの実態が適切に対象機器・記録媒体や補償金額の決定に反映されることを希求することが求められる」と書いてあるんですけれども,複製の実態を補償金額に反映するといったことについては合意をしていないと思いますので,その部分は,そういう意見があったということであれば構いませんけれども,合意があったととれるような書き方にはしていただかない方がいいと思います。

以上です。

【土肥主査】3点御意見を頂戴したところでございますが,まず15ページの下から2行ということでしょうか。私的録音の全体の量が確実に更に減少していくという主張は広い支持は得られなかった。この部分のどこを。つまり「広い支持」という部分なのか,「全体の量が確実に更に減少して」という部分なのか,どちらでございますか。

【榊原委員】広い支持という,その評価ですね。これを削除いただきたいということです。広い支持を得られなかったということが。こういった主張があったということを書いていただいているところは,これは,きょうは委員限りで配付されている連盟の意見書を出させていただいていて,できれば私はこれ,公式の資料にしていただきたいとお願いをしていたんですけれども,委員限りになってしまっているので。これも公式の資料にしていただけるのかなと思っていたんですけれども,そこの意見ですので,こういう主張があったとか,意見があったというふうにとどめていただきたいと思います。

【土肥主査】広い支持というのは評価であるということですね。この点,どなたか。はい,どうぞ。

【椎名委員】審議経過報告というのは,審議がどのように行われたかということをできるだけリアルに伝えることが責務だと思います。広い支持が得られなかったのは事実だと思いますので,そこは評価云々(うんぬん)ではなくて,審議経過の実情をできるだけ正確に伝えるという意味から,この表現は妥当するのではないかと思います。

あと関係して,脚注の18に僕が発言したことが書いてあります。ストリーミングでも録音録画できるスマートフォンの機能も登場しているという部分。それゆえに私的録音全体の量が確実に減っていくということは必ずしもないよねということを言っているんですけれども。関係して,そのときの僕の発言で映画等も録画できるということを申し上げたんですが,後で,うち帰って実験しましたら,有料で配信されている映画等は録画できないというのが正しかったようなので,その点は発言,間違っていましたので訂正をいたします。ただ,無料で配信されているストリーミングなんかは,もう全て録音録画できるということで,無料配信からの録音録画というのは非常にファクターとして重要になってきていると思います。とりわけYouTubeは録音録画できないものという前提がここで崩れたわけでありますので,この辺りからも軽々に,もう録音録画は減っていくんだということは言えないんじゃないかと重ねて申し上げたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。

ほかに。高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】今,椎名委員からお話があった内容で私も基本的に同意見でありますけれども,もともと,この15ページの上から3行目,「他方」以下なんですけれども,ここに書かれている内容については,恐らく,きょう席上で配られている資料を引用されているんじゃないかと思うんですが,この資料自体は過去,説明を受けたこともなく,唐突に,この審議経過のまとめの中に入ってくるというのは,やや理解できないところがございますので,この4名の委員の方から御説明を頂いた方がいいんじゃないかと思います。

【土肥主査】新しい点になってくるわけですけれども,そこはちょっと待ってくださいね。

15ページの一番下の行の部分について何か御意見いただけませんか。今子委員,お願いします。

【今子委員】二つありまして,今,椎名委員がおっしゃった,スマホで録音録画ができる機能が登場しているということ。機能が登場しているというのと,実際にそれが私的複製に広く使われるというのは,また別の話なので,余り関係がないのかなと思っています。

もう一つは,「近い将来のうちに録音,全体の量が確実に更に減少していくといった主張は広い支持を得られなかった」という点。技術的に考えますと,やはり,この近い将来のうちに私的録音の全体の量が確実に更に減少していくというのは私は明らかだと思っていまして,広い支持が得られなかったというのは余り,先ほど榊原委員がおっしゃったとおり,単なる評価の問題ではないかと思います。

【土肥主査】その根拠は何か。今回の実態調査の中で,今子委員が言われるように,確実に減少していくという,その根拠はどこにあるんでしょうか。

【今子委員】実態調査の話ではないですが,技術的に,やはりサーバーの方にコンテンツをどんどんためていって,クライアントの方にはデータを持たせないという方向性になっていくので,私的録音の全体の量は減っていくと,当然考えられるということになります。

【土肥主査】それが近い将来ということですか。

【今子委員】はい。

【土肥主査】大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】サーバーとクライアントとの間の情報のやり取りというのは,技術によって,ネクタイの幅の広さのはやりと同じように行きつ戻りつしているので,予測しても,またその後,変わるかもしれない,恐らく,もう完全な予測は不可能だということだと思います。そのような意味で,確実にと言い出すと,やはり,一部の人には明らかなのかもしれませんが,それ以外の人には確実とは言い難(がた)いのではないかということで,そのような意味では,これは非常に客観的に描写しているということだと思います。おっしゃっていることが客観的に神の目からして正しいかどうかというのは分かりませんが,この時点で得られた中では,比較的多くの人はこう思っているという意味では,評価というよりはディスクリプションの問題だと思われます。

このような数だけで広いかどうか分かりませんけれども,そのような意味では,多くの人がそう思ったわけではないということでは,この文章でよいと思われます。

このようなものをいじり出すと,また全体が崩れてきてしまうと思います。

【土肥主査】この点でしょうか,河村委員。

【河村委員】はい。

【土肥主査】どうぞ。

【河村委員】「近い将来のうちに私的録音の全体の量が確実に更に減少していくといった主張は,広い支持は得られなかった」というところですよね。

【土肥主査】はい。

【河村委員】その前に言及されている調査の部分というのが,今後の見通しはどうですかというようなことを聞いている部分ですよね。なぜ,このような実態調査して,数字がいっぱい出ているのに,今後あなたはどうなりますかとか,今後変わりますかとか,そういう曖昧な質問項目から引いてくるのでしょうか。減少傾向が数字で出ていますよね。きょう,事前に出した意見を配布していただいております。多く反映していただいて,私も感謝しておりますけれども,分析が間違っていたところについて,修正されていたので改めて言うつもりはなかったんですが,97曲もあると書かれていたところが,正しくは16曲であったりとか,複数箇所で大きく間違った数値が直前のバージョンまで掲載されていました。

正しい調査分析から,減少傾向について導き出せるのではないでしょうか。みずほ情報総研さん,何をやっているんでしょうか。せっかく調査したのですから,3年後にどうなると思うかなんていう主観的な質問のところへの回答を取り挙げて,広い支持が得られたとか,得られないとかと,審議会で議論することが,私にはよく理解できないです。減少傾向があったのか,なかったのか,どの程度だったのか。

私,指摘しましたけれども,配信のサービスの利用に関しては,3年間で4.7倍になっていますし,配信サービスの対象曲でいえば2.2倍になっています。これ,正しい計算方法に直して,そうなっていましたというのを出させていただきました。ほかにもあります。もちろん,すぐにゼロになるということではないと思いますが。

主観的な調査項目を引いてきて,主観的な結論で終わるみたいなものは,せっかくお金を掛けて調査したのに大変残念ですし,何か意図のようなものがあるのかと思ってしまいます。

【土肥主査】委員の発言をお聞きいただいていると思いますけれども,事務局において,ここの部分をまとめる際に注意されたといいますか,どういう事実に基づいて,この私的録音の全体の量が確実に更に減少していくと,そういう部分についての記述をされたのか。その辺を聞かせていただけますか。

【白鳥著作物流通推進室長】河村委員から録音の総曲数での比較をすべきではないかという御指摘も頂きましたので,我々としても,確認をいたしました。特に,録音曲数が3年間で減っているといった御指摘を頂きましたが,それは,先ほどの実態調査でいうと,表の4-2に関わる観点での御指摘だったわけですけれども,それらの対象曲数について,実際にどれぐらい録音等を行ったかというもののデータはまた別にあり,それが図表の5-1とか5-2に関わるものになります。

その録音等の実際の総曲数について,河村委員の御指摘のような形で比較をしますと,新規の入手音源に係る,図表の5-1に関わっての総曲数は,これは減少しています。他方で,図表の5-2。これは既に自分で入手をしていた音源からの録音曲数ですが,これは実数で比較すると増えております。そして,これら図表の5-1と図表の5-2をトータルで見た録音等の総曲数は,3年前と比較して増えていて,大体1.7倍になっております。そうした状況を見たときに,今後2~3年の近い将来のうちに録音曲数が確実に減っていくかというと,今の少なくともこの実態調査結果からは,そこまで言い切れるのかどうか若干疑義を感じましたので,このような形の記載としております。

なお,2~3年後の将来予測に言及した部分は,「主観的なものにすぎないとの意見もある一方,現にデジタル方式の録音を実施した者自身による回答であり」というところで一応,意味合いとしては切っております。また先ほど申し上げたような,今年度の実態調査結果を踏まえたときに,果たして今ここに御主張いただいているようなところが本当に言えるのかというところは,この会議の場では,こうした議論の状況ではなかったのではないかということで,一旦このように整理させていただいているということであります。

当然この小委員会で,その具体的な帰結というか,整理については,お諮りするものと思っております。

【土肥主査】ありがとうございます。今御説明あったような経緯の下に,こういう表現でございますけれども。要するに,こういう私的録音の全体の量が将来減少していくという御主張はあったということは,ここで当然分かるわけです。この部分でですね。ただ,それが,確かに広い支持があったかというと,やはりそれは,大渕委員も言われておりましたけれども,そういう段階にはなかったのではないかということでございまして,きちんと表と裏から読んでいただければ,榊原委員がお考えになっているようなところは,この報告書の中に反映されているように認識をしております。

それで,16ページの,ここも「多かった」という部分ですけれども。これは,いろいろ御意見あることは承知しておるわけでありますけれども。16ページの下から3行目ぐらいの部分でありますが,ここは多かったというよりも,その上の行で,代替措置が構築されるまでの手当てとして引き続きこういう制度によって対価還元を模索することは現実的であるという御意見は,確かに少なからずあったように私は理解をしておるわけであります。

ここは非常に重要なところで,権利者側の御意見,それから事業者,ユーザーの御意見,確かに相異なるところでありますけれども,中立委員といいますか,学者の立場からどうなのかということも,この点について一つ聞かせていただければ助かるんですけれども,奥邨委員,どうですか。

【奥邨委員】ここに書かれているとおり,両意見ありましたけれども,私自身は,現状,直ちに廃止する状況にはないということを前回申し上げた覚えがございます。もちろん,「もとより」以降に書いてあるように,未来永劫(みらいえいごう)維持するとか,拡張していくというようなことの必要性はないでしょうけれども。当面という言葉,今回落ちているんですけれども,現状に対して何ら手当てが不要というような結論は,私は前回の調査報告から見いだせなかったのかなという理解をしておりますので,私自身は,ここのところは別段,違和感を持たずに聞いておりました。

あえて言えば,17ページのところ,「希求することが求められる」というのを,みんなが言っているように読めるというんでしたら,少し何か工夫をして,多かった意見はそういうことを求めているということにすればバランスはとれるのかなと思いますが。それも前後からすれば,そうしか読めないということではないと思いますが。その程度しか私は,ここは,それほど違和感は感じず読んだところでございます。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

松田委員,どうぞ。

【松田委員】3か所指摘されたところは,それの表現方法が適当でないという意見です。榊原委員が言うように,もしそういう委員がこの委員会内にいるとすれば,先ほどの4名のでしょうか。それを主査と事務局が整理をしたら,この3か所の表現になるのは極めて的確であると思います。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

この点,ほかにございますか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】4名というふうに言われたんですけれども,有識者以外で3種類のステークホルダーがいる中で,事業者,消費者というステークホルダーが言っているわけです。ですから多数決なんですかということではないかなと思います。人数が4名だから少ないというようなことではないでしょうし,意見というのは大体両面,両論あるわけで,事業者や消費者の中にも賛成の方がおられるんだったら分かるんですけれども,やはり重要なステークホルダーの中の多数の意見は反対も意見があるということなので,どう見るかということで,数で言われるというのは不適切ではないかなと思います。

【土肥主査】松田委員,どうぞ。

【松田委員】私,多数決で,これを主査や事務局が決めていると考えておりません。広い支持を受けられたかどうかということの表現が正しいかどうか。その他も,3か所も同じですが,その表現方法が,審議の全体を見たときに相当であるということであろうと。変更する必要がないと言っているだけであります。

そうすると,いろいろな意見があるときに,その取りまとめを最終的にするときに,どういうふうに主査や事務局は取りまとめたらいいのでしょうか。多数決じゃないんだから,何対何とありましたと書かないでしょう。そうしたら,全体の趨勢(すうせい)を見て,それを全体意見として取りまとめられる範囲内を模索するのが主査の仕事ですよね。大変な仕事ですよね。その範囲内で極めて妥当な審議及び表現をしていると思っているということです。

【土肥主査】ありがとうございます。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】これは,数だけでなくて,労働審判ではないですけれども,やはり権利者と利用者は,ある種の対立構造にあるので,反対はあり得るわけであります。そのような観点から,人数は少ないのですが,公益委員というか,利害関係がない人も含めて全体として見れば,日本語の表現,ディスクリプションの問題ですけれども,こう書く以外にないのではないかと感じました。多数決でも何でもないのですが,ここでどのような意見分布にあったかをできるだけ客観的に描写するということを考えれば,日本語としては,これ以外の表現はないように思います。何か代案でも示さない限り,私は,はたから見ておりまして,今までのところを描写すれば,このようになるのではないか,先ほど奥邨委員の言われたとおり,皆さんの意見を,できるだけ日本語で客観的に描写しようとしたら,このようになるのではないかと考えます。

【土肥主査】ありがとうございます。この小委はコンセンサスを求めるということではないし,多数決で決めるということでもございません。今回の場合は審議経過という報告でございますので,この審議経過等,審議の経過の中で,例えば16ページのこの部分の意見というものが現実にございまして,もしこれが,この小委全体の意見であるとすると,模索することは現実であるというところで終わっているわけでありますけれども,そうではなくて,そういう意見が多かったということは,少ない意見も当然あるわけでありますので,そこはやはり,こういう表現をお許しいただかないと,なかなか審議経過報告が作成しにくいということがございますので。

例えば先ほど奥邨委員が言われた,「希求することが求められる」という日本語も結構,特別な日本語なんですけれども,この辺なんかも,事務局としては非常に苦心の結果,こうなっているんだろうと思います。

しかしながら,本日,今からも頂きますけれども,これまでも頂いておるところを,最終的にどういうふうになるか分かりませんが,もし私に取りまとめを一任いただければ,事務局と相談しながら,皆様の意見ができるだけ反映できるとおっしゃっていただけるようにしたいということは思っておりますので,榊原委員も是非その点,御了解いただければと存じます。

ほかにございますか。はい,どうぞ。

【世古委員】12ページに戻ってよろしいでしょうか。12ページの最後のパラグラフの下から2行目ぐらいから,マルチデバイス・ダウンロードの許諾の範囲について整理がされています。権利者から配信事業者に対する許諾の範囲は,ということで,「事業者の行う複製,公衆送信及び使用者が楽曲をダウンロードする際の複製までであって,ダウンロード後に生じる消費者の私的録音は,30条1項の私的複製に該当するものとして契約に含まれていない」と整理しており,昨年度の経過の中でもそのように整理されていたことも確認されていると思います。

この整理に対して,13ページの11の脚注で,「この考え方の整理に対し,これは権利者の理解を述べたものにすぎない」としていますが,この脚注については削除していただきたいと考えております。単に権利者の理解を述べたものにすぎないのではなくて,権利者としましては,この範囲の著作物の利用を配信事業者に許諾しているという事実を説明しているからでございます。

これまでも何度かこの説明をさせていただいておるんですけれども,もう少し突っ込んで,これを逆に言い換えますと,ダウンロードした楽曲を配信事業者以外の者が複製することは権利侵害になることを表しているということです。

この場合でいくと,消費者はダウンロードした楽曲を自由に複製することができるので侵害にはならず,まさにそういった部分は補償金の対象というわけです。ただ,これを例えば,皆さんは一般ユーザー,個人向けの配信だけを念頭に置かれていると思うんですが,個人向けだけではなく,業務用に音楽配信,ダウンロード配信を行うというビジネスもあります。例えば通信カラオケなんかそうなんですけれども。当然,同じようにメーカーさんに,お店の機器までの複製までを許諾しておりますけれども,個人ではないカラオケ店が端末に入った楽曲をまた複製する場合については私的複製に当たりませんので,著作権侵害ということになります。実際,カラオケのハードディスクを無断複製して販売した業者が著作権侵害で処罰されたということもございます。

このように著作物の利用者である配信事業者に対し,権利者がどこまで許諾をしているかということは,適法利用と著作権侵害を区別する上でも重要なことでありますので,厳密にしております。ですので,これを単に「権利者の理解を述べたものにすぎず」としてしまわれますと,管理実務上の支障が生じてしまいますので,この点部分つきましては削除していただきたいと思います。

その後の「有料・無料を問わず,配信由来の複製は全て許諾複製として対象外ではないか」というのは論外だと思いますが,これは御意見ですので,そこについてまでは申し上げません。

以上です。

【土肥主査】この注の11の御意見というのは,どちらの意見を反映しているんでしょうか。

【白鳥著作物流通推進室長】榊原委員です。

【土肥主査】お帰りになったわけですね。

【世古委員】あ,そう。もっと前に言えば……。

【土肥主査】ああ,そうですか。

【白鳥著作物流通推進室長】河村委員からも同様の御指摘を頂いたことはありませんでしたでしょうか。

【土肥主査】注の11というのは非常に私も特異な御意見だなと思いながら拝見したんですけれども,これ,何か河村委員,御承知のところございますか。

【河村委員】私が意見をしたものではないですよね。

【土肥主査】いやいや,事務局からは河村委員の御発言ではない,御意見ではないということなので,別に結構なんですが。もし御存じであればと,そういう。

【河村委員】これは榊原委員の意見ですか。ちょっと思い出してみますのでお待ちください。

【土肥主査】じゃ,お考えいただいていて,後から,もし思い出されたら,気が付かれたらお願いします。

これ,私もこの部分は承知をしているんですけれども。つまり修正意見として入ったということは承知しておるんですけれども,確かにちょっと。オリジナルは,もっと整理できていたので,何とも言えないんですが。

これ,残したいとおっしゃる方,おられますか。

【河村委員】ちょっと待っていただいて。

【土肥主査】最終的には,榊原委員がおっしゃっているわけですから,事後に,ちょっと御相談いただいて,小委としての考え方も伝えていただいて,こう思うけれどもどうかというような形で進めさせていただきたいと思います。意見だから全て入れていいという問題ではないんだろうと思いますので,そこら辺りは慎重に,報告書としての体裁を保ちたいと思っております。

ほかにございますか。はい。

【椎名委員】先ほど高杉委員が御指摘になった点,確かに15ページのアナログを含めた云々(うんぬん)というのは,私ども一切聞かされていませんので,審議会の中に出た話ではないことが審議経過報告に載るというのは,ちょっといささかおかしいんじゃないかと思います。削除するか,中身の御説明を頂くか,どちらかなのではないかと思います。

【土肥主査】どこの部分ですか。

【椎名委員】アナログも含めた私的録音の総体について,年間の「私的録音回数」の推移に着目すると,6割までに低下しているという試算の紹介もあったとありますが,まだ紹介されていないんですね。

【土肥主査】すいません,じゃ,そこのところ,御説明お願いします。

【白鳥著作物流通推進室長】この紹介といいますのは,本日,委員の机上配付資料としてお配りさせていただいております,河村委員,小寺委員,榊原委員,丸橋委員の連名意見書の中に記載されていたものを,紹介をしているというものでありますので,その実際の中身については,各委員の方から御紹介いただければとは思っております。

【土肥主査】机上配付されている資料でございますけれども,これ,このとおり,この4名の委員の方が御発言いただいたということになれば,これは反映せざるを得ないんだろうと思います。

【椎名委員】御紹介いただく必要がある。

【土肥主査】御紹介いただくというか,読んでいただくということでいかがですか。

【椎名委員】そうしたら質問も。

【土肥主査】じゃ,すいません,ちょっと御紹介いただけますか。

【白鳥著作物流通推進室長】具体的な計算方法とか,その辺りのことは事務局として一切承知しておりません。事務局としては,頂いた御意見として,こういったものがあったということの紹介にとどめているものです。

【椎名委員】いや,ですので,御提案者から説明をしていただいた方がいいのではないかと思いますので。

【土肥主査】じゃ,この部分について,御提案者として,この委員会の席上おいでになるのは河村委員と丸橋委員ですけれども。

【河村委員】すいません,じゃ。

【土肥主査】はい,お願いします。

【河村委員】文章のところは,読んでいただければと思うのですけれども。先ほど椎名委員がおっしゃった,「アナログも含めた」というところが違和感があるという御意見でしたけれども。そういう御意見があるのは,ある意味もっともかもしれません。その意見書の裏面を見ていただければ,この棒グラフのデータは,この計算根拠に書いてありますけれども,全部,文化庁さんとか,権利者団体さんの方でやった過去の調査結果から作っています。

ただ,アナログを含めなかったとしても,このような,デジタルで増加の推移,減少の傾向というのが明らかに出ているわけで,アナログを含んだのは,アナログからデジタルに変わっていくとき,30条,私的録音録画に補償金制度が入ったときからの推移を分かりやすくまとめたためでありまして,アナログがだんだん減っていってデジタルになったけれども,補償金制度が入ったときには今後大変な数の複製が世の中に出回るはずだとか,何かこう,大変な勢いで増え続けていくみたいなことですとか,言われていたんですけれども,そうじゃないですねと。

いろいろな分析の方法があるとは思いますが。今回の調査を含め,これまでになされた調査から,このことは様々に読み取ることはできるんですけれども,そういうデータ分析,グラフ化した表現がなされてこなかったということです。

アナログを含めなくても,こういうふうにデジタルが増えていって,今正に減少傾向になって,配信サービス等が増えているという傾向の中で,この制度を再構築するということに対して異議を唱(とな)えた意見書になっております。

【椎名委員】アナログを含めなくてもとおっしゃっているところは,よく分からないんですけれども。そもそも,この右側の別紙というところを見ますと,私的録音の総体を計算する根拠として,アナログ録音及びデジタル録音の頻度を基にして計算をされているということなんですけれども,頻度って総体と密接に結び付くんですかね。例えば頻度が減って曲数が増えたりする場合もありますよね。今って,ドラッグ・アンド・ドロップでコピーできますから,昔より簡単にできる。だから頻度が減って中身が増えるということも,きっとあろうかと思うので,総体を算出するのに頻度を基にするというのは,ちょっと難しいんじゃないかと思うんですけれども。

【河村委員】御指摘はもっともだと思います。実はこれ,たくさんのグラフが作られたんですけれども,たくさんのグラフが作られた中で,これが分かりやすいということで。余りいろいろたくさん付けても,ごちゃごちゃするだろうということで,これが選ばれてこのグラフだけが付いたわけなんですけれども,それ以外の,もっと適切なものがあったかもしれません。

ただ,だからといって,この傾向が逆になるということにはならないとは思いますけれども,おっしゃるとおり,頻度と曲数というのはイコールじゃないことは確かだと思います。

【土肥主査】この部分,確かに今,河村委員も御指摘がございましたし,アナログも含めることが,今回の本小委の検討課題としてマッチするのかというところも確かにあるわけであります。しかし,これを挙げられた方が,そういう時代の変遷とともに,アナログからデジタルに移り,その経過的な状況として今どうなのかを示したいということなんだろうと思います。

しかし,こういう場合であれば,どうも本文に置くのは,ちょっと良くないのかもしれません。そこは事務局と相談させていただければと思います。

しかし,御意見は御意見でございますので,私としては,できるだけ,そういう意見が残るような形にしたいと思いますけれども,そこは少し取扱いを考えさせていただければと思います。

それで,結構皆さんから御意見頂戴しているんですけれども,そろそろIIに行かないと,時間の関係で,残り30分でございますので。契約と技術による対価還元手段について入りたいと思いますが,この点いかがでございましょうか。龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】ちょっと1点だけ,細かい点で恐縮ですけれども。12ページ以降のところで,消費者という言葉がしばしば出てきまして,ユーザーという言い方をする場合と。当初はユーザーという言い方は頻出してきますけれども。あと個々の利用者という言い方と。それから消費者という言葉が途中から混じってくると。

この著作権法分野とか著作権法学において,消費者の位置付けというのは余り明確なものはないんじゃないかと思いますので,著作権分科会としてはユーザーとか,そういう言葉で統一された方がよろしいんじゃないかと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。ユーザーで統一するということで,これはよろしいですね。

じゃ,先ほどちょっとお願いをした契約と技術による対価還元手段について御意見を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。特にございませんか。

【高杉委員】すいません,ちょっと確認なんですけれども。

【土肥主査】高杉委員,お願いします。

【高杉委員】ちょっと確認なんですけれども。20ページの脚注22のなお書きなんですけれども。「なお,無料放送については実際には広告放送であり,契約による対価回収は可能である,また,実際に著作権保護技術による複製可否の設定等が行われている実態がある,との意見もあった」ということなんですけれども。これはこれで正しいんですか。どなたが入れたのか分かりませんが。

【土肥主査】すいません,華頂委員,その部分は,これでよろしいんでしょうか。20ページの。

【華頂委員】はい,見ています。いや,これは高杉委員の指摘どおり,ちょっとおかしいんじゃないですかね。著作権保護技術による複製の可否の設定等が行われている実態があるって,ダビング10だけですよね。

【高杉委員】そうですね。

【華頂委員】ええ。だから,ここのところは,確かに,ちょっと違和感がありますね。

【土肥主査】そうすると,なお書きだけじゃなくて,「また」以下もということですか。

【華頂委員】その上の記述ですか。

【土肥主査】いやいや,20ページの注の22ですよね。

【華頂委員】22,はい。

【土肥主査】「なお」から,「契約による対価回収は可能である,また,実際に著作権保護技術による複製可否の設定等が行われている実態がある,との意見もあった」というのは正しいのかと。

【華頂委員】いや,それ,どなたかがおっしゃったんですかね。

【高杉委員】恐らく前はなかったところなので,追加で入ったんだと思うんですけれども。

【土肥主査】すいません,事務局において,これ,ちょっと。

【白鳥著作物流通推進室長】榊原委員からの御指摘です。

【華頂委員】契約による対価回収は可能であるというのも,どういう意味なのか,よく分からないですね。広告放送であり,契約による対価回収は可能であるというのも,そんなことができるんですかね。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【河村委員】榊原委員がいらっしゃらないので,そうではないかなということで申し上げますけれども,私的録音の対価を,音楽を放送に使うときに権利者さんに支払う使用料に含めることができるということではないでしょうか。

【華頂委員】ああ,これは要するに音楽についておっしゃっているわけですね。

【土肥主査】はい。

【華頂委員】すいません,ちょっと勘違いしました。無料放送については音楽は広告収入から確かに,放送事業者さん,お支払いしていますよね,音楽については。すいません,映画の放送ということに,ちょっと勘違いしていました。音楽であれば,どうなんでしょうかね。

【岩本委員】放送事業者は,音楽の著作権使用料(放送使用料)のお支払はもちろんしておりますけれども,ここでの対価というのは私的複製に係る対価だと認識していますので,それはどうやっても,放送事業者の支払う使用料からお支払いすることは不可能だと思っております。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。そうしたら,ここの部分は実態に合わせて考えさせていただきます。

ほかにいかがでしょうか。

それでは,3のクリエーターの育成基金について,ここはいかがでしょうか。22ページ,23ページです。特にございませんか。

ないようでございますので,4,24ページ以下でございますが,私的録音録画補償金制度について,この部分,どこからでも。奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】すいません,これ事前に見たときに見付けておけば良かったんですが。25ページの(3),マル1のところなんですが。多分これ,文章をかなり何回も直しているうちになったのかと思いますが,「現在,私的録音録画補償金制度の対象は,現在,一部の専用機器・記録媒体に限定されており,専用機器・記録媒体であっても,私的録音に実際に使用されていることが確認された機器・媒体は対象とされていない」となっています。何回か読んでもよく分からない文章になっているかと思います。まず「現在」が2回あるんですが,2回目の「現在」は要らないと思いますし,「専用機器・記録媒体であっても」という部分も,後ろのどこにも係っていません。一部の専用機器・記録媒体に限定されていると書いてあるわけですから,それ以外のものが入っていないのは当然ですので,それは要らなくて,ただ「私的録音に実際に使用されていることが」とすれば,文章としては意味が通るのではないかなと思います。中身が,もし違うということであれば,御指摘くださればと思います。

それから,もう一つよろしいでしょうか。26ページなんですが。これは御意見のあるところかもしれないので申し上げますが,マル2ですけれども,その二つ目のパラグラフのところで,政令指定の在り方に関しまして,法的安定性,明確性の点で優れていると言えるが,その一方で,関係当事者による意見が反映されにくいとの指摘もあるとなっているんですが,機器の指定は関係当事者の意見で決めるものではなくて,やはり,この全体の流れからしますと,私的録音録画,今回ですと私的録音の実態ですとか,技術の実態を踏まえて,それが反映されにくいということであれば分かるんですが。関係者の意見というのは,それこそ,ここでもいろいろ議論ありましたように,意見はいろいろありますので,そういう形ではないのではないかなと。技術の実態や私的録音の実態が反映されにくいというようなことでよろしいのではないかなと思った次第であります。

以上です。

【土肥主査】今,奥邨委員から頂いた2点は,これは事務局と相談して,この部分は適切に対応させていただきますので,申し訳ございません。

【椎名委員】2点目については特に賛成いたします。

【土肥主査】もちろん,そうだと思います。私も,伺っておりまして,そのとおりだなと思いましたので。

ほかにいかがでしょうか。どこでも結構なんですけれども。30ページまででございますが。ほかによろしいですか。

時間がまだ,もうちょっとございますので,全体を通して,いかがでございましょうか。

【河村委員】すいません。

【土肥主査】河村委員,どうぞ。

【河村委員】きょうの最初の方に椎名委員がおっしゃった,制度が有効に機能していないんじゃないかという箇所に「補償金総額の減少傾向が進み」という言葉を復活させるという御意見ですが。

【土肥主査】何ページ……。見え消し版ですか。

【河村委員】見え消しじゃない方の11ページです。椎名委員が,対価の還元の手段としての選択肢のところで,「制度制定時と録音録画の環境が変わったこともあり,制度が有効に機能していないのではないかとの指摘がある」というところで,もともと入っていた「補償金総額の減少傾向が進み」という文言を復活させた方がいいとおっしゃったんじゃなかったでしょうか。

【椎名委員】はい。

【河村委員】そうですよね。この部分の議論は一旦終わったんですけれども,意見を言ってもよろしいでしょうか。そのときの結論は,それを復活させるというところに整理されたのでしょうか。

意見を言うタイミングを逸してしまったんですが,この「補償金総額の減少傾向が進み」という言葉を入れると,この制度は補償金総額が減少するとすなわち制度が有効に機能していない,機能が悪くなったと言われる制度なのかなと,違和感があります。この文章が復活されると。

というのは,それは録音の実態の状況変化に合わせて,正に私たちのきょうの意見書に見るように,複製が減っていけば,補償金額が減少することは自然で,機能しているということではないでしょうか。一つのステークホルダーの方が納得いく額にいっていない場合は必ず機能していないと言われる補償金制度というのは,それは制度としてはおかしいと思います。機能していないということに対して指摘があったというのは指摘なんでしょうけれども,減少傾向と機能しないことは別のこと,それがリンクしている場合もあるし,そうじゃない場合もあるはずなので,「減少傾向が進み」というのは誤解を招くので,やはり削除した方がいいと思います。

【椎名委員】この制度というのはクリエーターへの対価を還元する制度にもかかわらず補償金額の減少傾向が進んでいるという実態がある。もちろん,私的複製そのもの自体が減少するんだったら補償金額も減少するんだと思います。その分析をこれ以降でやっているんですが,この時点では制度制定時と録音録画の環境は変わったこともあり,また補償金総額の減少傾向も進んでいることから,制度が有効に機能していないじゃないかという指摘があるわけです。制度が有効に機能していないと思われるとは書いていないんですね。その指摘をしているのは専ら僕ら権利者かもしれませんが,学識経験者の方々も,そう思われている方は多いと思います。

報告書の中で,指摘があるというところから問題意識を書き起こして,じゃ,私的複製の実態が増えているのか,減っているのかというような章立てになっていると思うので,ここは事実を言っていることですから,書いていただいた方がよろしいのではないかと思います。

【土肥主査】この点,ほかにいかがでしょうか。じゃ,華頂委員,お願いします。

【華頂委員】今回は録音の方に重点的にテーマを持ってやっているんですけれども,今の河村委員の意見に反論するとすれば,私的録画補償金は今完全に止まってゼロという状況で,少ないなんてものじゃなくて,ゼロになってしまったと。だけども,じゃ皆さんが,そのテレビ録画をやめているのかといえば,機器の性能が上がって,更に大量の録画がされているという状況はあるわけですね。だから,椎名委員が復活させた文言というのは適当だと思いますけれども。

【土肥主査】奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】先ほどここは大渕委員からあったところと私も同じように理解していますし,なのですが,念のためにもう一度申し上げますと,この同制度については以降の部分は,飽くまで全て私的ですので。そういうことを私は,椎名委員はじめ,何回もおっしゃっておられたということは理解していますが,その意見しかなかったということでもありませんし,それをこの委員会として了としたとか,そういう認識に全員が至ったということではないということも,ここからは十分読める。そういう御指摘があったので,とりあえず検討したということにつながっていって,その先はまた先で,いろいろと検討結果につながるわけですので,ここのところで「指摘がある」ということで全て読み込めるのではないかなと。御懸念は必ずしも当たらないんじゃないかなと私は思います。

【土肥主査】ありがとうございます。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】今の指摘の範囲だからよいというのは,既に先ほど申し上げたとおりです。それにプラスすると,この有効に機能すべきかどうかというのは,また異論があるのかもしれませんが,対価還元の手段としてというのは,大きく減ってしまえば手段になり得ない,ゼロでは対価としてリターンできませんから。そのような意味では,これはつながっているのではないかと思います。やはり,ここのところを崩してしまうと,一番の出発点である対価還元というところが崩れてしまいますので,そこはきちんと出す。そのための手段がどうあるかは別として,原資がなくなったら,手段たり得ないわけですから,そこのところはきちんと出すべきだと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】これは委員長一任ですけれども。その意味で,よりクリアにするには,「制度が有効に機能していないのではないか」の「のではないか」は削除しても筋が通るかなと思いますが,一任します。

【土肥主査】建設的な御意見ありがとうございます。

最終的に,その辺りの最終形をどういう形でまとめるかということは,きょうの御意見を踏まえて,よろしければ御一任いただければ一番有り難いと思っておるわけでございますが。そういう意味からも,ほかに,まだ御意見があれば頂戴して,事務局共々考えさせていただければと思いますが。

大体きょうお話を伺ったところで言いますと,事前に皆様方の御意見を頂戴した上で,事務局において適切に取りまとめていただいておりますので,およその方向性,全体的な方向性については御了解いただいたんだなと承知をしております。

したがいまして,今回,この本日の議論も踏まえた上で審議経過報告案を若干修正をさせていただいた上で,記述については事務局と相談しながら行いますけれども,私に一任をしていただければ幸いに思っておりますが,こういう形で進めさせていただいてよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】よろしいですかね。よろしいですか。

(「はい」の声あり)

【土肥主査】じゃ,そういう形で進めさせていただきたいと思います。

この後は,審議経過報告として,著作権分科会に報告をさせていただきたいと思っております。この機を通じて,委員には,かんかんがくがく,真剣かつ有益な議論を頂戴しまして,本当にありがとうございます。

本日,このぐらいにさせていただきたいと思いますけれども,特に,その他というようなところで何かございますか。どうぞ,委員,お願いします。

【松田委員】今までの進行については全くそのままでいいと思うのですが,この報告書,実は制度の全体の中で一部分だけの取りまとめをしたということになるのですね。むしろ,これからの方が具体的な問題。私は先走って具体的な問題について私的意見を出しておりますけれども,もっと難しいと思います。

この委員会が次年度はどうなるかは,まさに文化庁のお考え一つでしょうけれども,なかなかこれを取りまとめる主査というのは大変だなと思っているわけです。私の個人的な意見ですが,最後の委員としての意見ですが,是非主査は,同じような組織体であるならば,土肥先生が続けていただきたいと思っております。

【土肥主査】そこは最も意見が対立する部分だろうと思いますので,慎重に事務局においては考えていただければいいと思いますが,松田委員の一つの御意見として拝聴させていただきます。

【松田委員】貴重な意見として。

【土肥主査】ほかにいかがでしょうか。その他として何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは,皆様の御協力といいますか,審議の進め方,その他について,本日は熱心な御意見を頂戴して,おかげさまで,どうやら著作権分科会に報告できそうでございますので,今期最後ということになりましょう。したがいまして,最後の小委員会でございますので,永山審議官から一言御挨拶を頂戴したいと存じます。

【永山審議官】今,主査からもお話がありましたように,きょうは今期の最終の保護利用・流通小委員会ということになりますので,一言,私の方からお礼を申し上げたいと思います。

今期におきましても,昨期に引き続きまして6回,クリエーターへの適切な対価還元に係る課題について御審議を頂きました。今期の一つの進展というのは,遅ればせながら録音に関する実態調査が報告ができたということかと思います。まだまだデータに対する評価,いろいろ御意見があるようでございますけれども,共通の議論の土台というものはできたのかなと思っております。

また審議の経過のまとめということで,きょう,おまとめいただきました。今後につきまして,松田委員からいろいろ御意見もありましたけれども,当然この検討については引き続き検討していきたいと考えておりまして,今期の検討結果を基礎にしながら,私的録音についてはもう一歩進めるために具体的な制度設計についての検討,また録画については引き続きということで検討を進めていただきたいと思っております。

本小委員会委員の皆様については,お忙しいところは恐縮ですけれども,引き続き御審議に御協力,御尽力を賜ることをお願いいたしまして,今期のまとめのお礼とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【土肥主査】ありがとうございました。今期最後ということでございますので,私も一言御挨拶申し上げることになっております。

30条問題,本当に難しい問題であるわけでありますけれども,日本の30条ほど広い私的使用規定というのは世界に見られないものです。著作物によって可否を分けていないし,それから量的規制はないし,違法な複製物であってもいいし,共有を可能にしていますし,こういう制度はまずない。ただあるのは,私的使用目的と複製の主体についての限定だけです。

これを決して批判するつもりでは全然ないんです。かつて,ある委員が,ある委員会で,三方一両損という例を出された記憶があるんですけれども,私は,30条は三方一両得だと,あえて言いたいと思っております。

つまり,この制度もあるが故に事業者は安心して,どんどん機器・媒体を作っておいでになるわけで,それによって多大な利益を上げられる。

それから一般ユーザーの方も,これがよその国並みに,例えばドイツ並みとか,イギリス25条Bのような,ああいう形の私的複製だと,一般ユーザーは著作権侵害罪とか民事罰の対象になるおそれがあることになりますね。そういう一般消費者,ユーザーを民事責任,刑事責任から免れさせている。つまり,30条で,その複製は私的複製だと認めているというのは一般ユーザーにとっても利益になる。それから当然,2項によって権利者は,補償金というものによって利益がある。

これ,考えてみると三方一両得ではないかと,私はあえて言いたいと思っておるわけであります。

したがいまして,これが将来どういうふうになるのか分かりませんが,当面の間は,この制度を早急に実効性のあるものにしていくということが,この小委の良識として求められているんじゃないかと思っております。次期の小委がどういう形になるか,私は当然知りませんけれども,是非とも委員の皆さんにおかれましては,その点留意の上,結論を,具体像に関する結論をお出しいただくように鋭意努力していただければと思っております。

最後になりましたけれども,事務局から何かございますか。

【堀内著作物流通推進室長補佐】特段ございません。ありがとうございました。

【土肥主査】そうですか。

それでは,今期最後になりましたけれども,これで,以上をもちまして第6回の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終わることにいたします。どうも皆様ありがとうございました。

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