平成25年度文化審議会著作権分科会
法制・基本問題小委員会(第5回)議事次第

日時:平成26年2月24日(月)
10:00~12:00
場所:東海大学校友会館 望星の間

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)裁定制度の在り方等について
    2. (2)権利者情報等に係るデータベースの状況等について(関係者ヒアリング)
    3. (3)「著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム」からの経過報告について
    4. (4)平成25年度法制・基本問題小委員会の審議の経過等について(案)
    5. (5)その他
  3. 3 閉会

配布資料一覧

資料1
権利者捜索に係る「相当な努力」の見直しについて(252KB)
資料2
一般社団法人日本音楽著作権協会提出資料(1MB)
資料3
公益社団法人日本文藝家協会提出資料(156KB)
資料4
公益社団法人日本複製権センター提出資料(2MB)
資料5
一般社団法人日本写真著作権協会提出資料(1MB)
資料6
一般社団法人日本美術家連盟提出資料(272KB)
資料7
著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームからの検討経過報告について(152KB)
資料8
平成25年度法制・基本問題小委員会の審議経過等について(案)(324KB)
参考資料1
関係者ヒアリングで示された意見の概要(176KB)
参考資料2
著作権者不明等の場合における裁定申請関係規定(144KB)
参考資料3
ヒアリング出席者一覧(44KB)
参考資料4
一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構提出資料(1MB)
参考資料5
第13期文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム名簿(84KB)

【土肥主査】

  定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の第5回を開催いたします。本日はお忙しい中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に,本日の会議の公開について,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段,非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】

  それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【井上著作物流通推進室室長補佐】

  議事次第の,配付資料一覧を御覧ください。
 資料1,権利者捜索に係る「相当な努力」の見直しについてでございます。資料2から資料6は管理事業者等からの提出資料でございます資料2,一般社団法人日本音楽著作権協会提出資料,資料3,公益社団法人日本文藝家協会提出資料,資料4,公益社団法人日本複製権センター提出資料,資料5,一般社団法人日本写真著作権協会提出資料,資料6,一般社団法人日本美術家連盟提出資料となっております。資料7,著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームからの検討経過報告についてでございます。資料8,平成25年度法制・基本問題小委員会の審議経過等について(案)でございます。
 参考資料1,法制・基本問題小委員会第4回における関係者ヒアリングで示された意見の概要でございます。参考資料2,著作権者不明等の場合における裁定申請関係規定でございます。参考資料3,ヒアリング出席者一覧でございます。参考資料4,一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構提出資料でございます。参考資料5,第13期文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム名簿でございます。
 なお,参考資料5を御覧いただきたいんですが,前回,本小委員会で設置をお認めいただきました著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームの一覧となっております。座長には土肥主査に就任いただいております。
 資料は以上でございます。落丁等がございましたら,事務局までお知らせください。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 議事に入ります。初めに,議事の段取りについて確認しておきたいと存じます。
 本日の議事は,1,裁定制度の在り方等について,2,権利者情報等に係るデータベースの状況等について(関係者ヒアリング),3,著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームからの検討経過報告について,4,平成25年度法制・基本問題小委員会の審議の経過等について(案),5,その他の5点となります。
 1につきましては,資料1に基づいて事務局より説明をいただく予定にしております。2につきましては,権利者不明著作物に関する議論の参考となる権利者情報のデータベース等について著作権等管理事業者の方々から御発表いただきまして,その後,まとめて質疑応答,さらに自由討議を行いたいと思っております。3につきましては,著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームにおいて検討が進められておりましたので,本日はその検討経過の報告を受け,その後,議論を行いたいと思います。4につきましては,資料8に基づいて事務局より簡単に説明を頂き,本小委員会として御了承いただければと思っております。
 早速ですけれども,1の議題に入りたいと思います。最初に,事務局から資料の説明をお願いいたします。

【山中著作物流通推進室長】

  資料1を御覧ください。「権利者捜索に係る『相当な努力』の見直しについて」という資料でございます。
 「はじめに」に記載させていただきましたが,本小委員会で裁定制度の在り方等について御検討いただいているところでございます。権利者不明著作物の円滑な利用に当たって様々な方策が考えられるものの,前回実施した関係者からのヒアリングにおいて,裁定制度における権利者捜索のための「相当な努力」の要件を中心に具体的な課題が多数,指摘されました。詳細につきましては,参考資料1に意見の概要がございますので,こちらを御参照いただきたいと思います。
 これらを踏まえまして,文化庁として,現行制度の枠組みの中で「相当な努力」に関して手続の改善が可能と思われるものを整理した資料がこの資料1でございます。まずは,手続の簡素化,迅速化という観点から,現行の裁定制度における「相当な努力」の要件を見直すことが適当であると考えるとしております。
 2,「相当な努力」の内容についてですが,裁定制度によって権利者不明著作物を利用するためには,「相当な努力」を払っても権利者と連絡することができないことが必要となっているわけでございます。「相当な努力」の具体的な内容は,著作権法施行令第7条の7及び平成21年文化庁告示第26号に定められておりまして,関係条文につきましては,参考資料2を御参照いただきたいと思います。
 資料の1ページで枠に囲まれたところですが,1,施行令第7条の7第1号,広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料を閲覧することに関しまして,告示により,アの著作物,実演,レコード,放送又は有線放送の種類に応じて作成された名簿その他これに準ずるものと,イの広くウェブサイトの情報を検索する機能を有するウェブサイトの全てを行うこととされております。
 1ページめくっていただきまして,次のページ,2,施行令第7条の7第2号,著作権等管理事業者その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に対し照会することに関しまして,ウの著作権等管理事業者等への照会,エの同種著作物等の販売事業者等への照会,オ,いわゆる学会等への照会についての全てを行うこととされております。
 次に,3,施行令第7条の7第3号,時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法により,公衆に対し広く権利者情報の提供を求めることに関しまして,日刊新聞紙への掲載に準ずる方法として,カの著作権情報センターのウェブサイトに30日以上の期間,継続して掲載することとされております。
 申請者に関しましては,このアからカの全てを行って得られた情報に基づき著作権者に連絡するための措置を取ることが求められているところでございます。
 そこで,3,見直しの方針について,裁定制度は,権利者の所在が不明である等の理由により権利者と連絡することができない場合において,行政庁の処分によりまして著作権者が行う利用許諾と同じ効果を生じさせる性質を有するものでございます。
 このことを踏まえますと,権利者捜索のための「相当な努力」とは,権利者が不明であるという事実を担保できる程度のものであることが必要でございまして,著作権法施行令に定められております広く権利者情報を掲載していると認められる刊行物その他の資料を閲覧すること,広く権利者情報を保有していると認められる者への照会を行うこと,もう一つ,公衆に対し広く権利者情報の提供を求めることの3種類の措置を行うことは,一般的に考えても,権利者情報を得るために行う措置として,いずれも一定の合理性があるものと考えられます。
 他方,これらの内容を更に具体化しました告示の要件,先ほど御説明いたしましたアからカについては,関係者からのヒアリングにおける意見を総合しますと,著作物等の種類や利用態様によって事情が異なりまして,一律に全てを求めることが過度の負担になっている場合もあると考えられます。例えば,国立国会図書館の場合,デジタル化した資料をインターネットで公開していくに当たり,古い明治期の資料から順に裁定制度を利用しているため,比較的新しい情報を見つけやすいインターネットでの検索よりは,古くから発行されている名簿・名鑑類の閲覧による調査方法の方が連絡先が判明する割合が高くなっていることが言えるかと思います。
 3ページの上に,前回のヒアリングで提出していただきました表を抜粋した調査結果の概要の一覧表を掲載させていただいております。連絡先が判明した割合が,名簿の閲覧の場合は4.2%ですが,ネット検索では0.1%という状況になっております。
 なお,脚注にございますように,国立国会図書館がデジタル化した所蔵資料をインターネットで公開するに当たって著作者の没年調査及び著作権者の連絡先調査を行った際,それぞれの過程において連絡先が判明した実績を示した表でございまして,対象となる著作物は出版年がおおむね戦前のものでございます。
 それから,調査対象著作者数は延べ人数と伺っておりまして,同一の著作者であっても複数にカウントしていることがあるため,例えば名簿の閲覧について,ある方を2冊の名簿で調べた場合には2名という形でカウントしているということでございました。
 以上を踏まえますと,利用者が権利者捜索のために行う「相当な努力」のうち,先ほど「相当な努力」の内容で御説明いたしました刊行物等の閲覧から公衆に対して情報の提供を求めることを具体化しました告示の各要件につきましては,手続の簡素化,迅速化という観点から,その一部を緩和することが適当であると考えております。
 緩和する内容につきましては,3ページの下の枠に囲まれたところを御覧いただきたいのですが,1,広く権利者情報を掲載していると認められる刊行物その他の資料につきましては,現在,名簿等の閲覧及びウェブサイトでの検索を行うこととされていますが,著作物等の種類や利用態様に応じて負担が異なることから,両方を行わなくてもよいようにしたいと思います。
 2の広く権利者情報を保有していると認められる者への照会については,著作権等管理事業者等のほかに,同種著作物等の販売業者及び同種著作物等について識見を有する団体等の全てに対して照会を行うこととされておりますが,こちらも著作物等の種類や利用態様に応じて負担が異なることから,全ての照会を行わなくてもよいような形にしたいと思います。
 なお,全てを行わなくてもよいとしても,管理事業者への照会は必ず行うような形にしたいと考えております。
 3の日刊新聞紙への掲載に準ずる方法により,公衆に対し情報提供を求めることにつきましては,著作権情報センターのウェブサイトに30日以上の期間,継続して掲載することとされておりますが,申請に必要な期間を短縮するなど手続の見直しをしたいと考えております。これは,前回のヒアリングでも,30日の期間の間に見つかったことが実績としてはない,ただ,その後,連絡がついた方が見つかったケースもあるという御意見等もございましたので,申請そのものはもう少し早い段階からできる形に変えたいと考えているところでございます。
 また,告示を更に具体化しました「裁定の手引き」も併せて見直しまして,適切な改訂を行うとともに,標準処理期間の短縮など運用の改善も図ることを考えております。
 資料の説明は以上でございます。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 ただいま事務局より説明のございました権利者捜索に係る「相当な努力」の見直しについて,御意見,御質問等がございましたら,お願いいたします。どうぞ,上野委員。

【上野委員】

  このたび,裁定制度における「相当な努力」の見直しをされるということで,大変結構なことではないかと思っております。1点だけ,具体的な方法について確認させていただきたいことがあります。と申しますのは,「相当な努力」の具体的内容につきましては,施行令及び告示の両方によって定められているところでありますけれども,先ほど御提案になった見直しの方法としまして,「すべて」を行わなくてもよいこととするというのは,施行令における「すべて」は残したままで,告示における「すべて」の方だけを緩和するよう改めるという御趣旨でよろしいでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】

  はい,そのように考えております。

【土肥主査】

  ほかにございますか。梶原委員,どうぞ。

【梶原委員】

  今回の見直しは「相当な努力」の部分だけの見直しであって,当面は急いでやれるところはやって,これで大きな簡素化につながるということではないと思うので,今後,抜本的な見直し等の検討は引き続き行っていくということでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】

  はい。まさに今,検討の途中ではございますので,その中で今すぐにできることについて,今回,対応させていただこうということでございます。

【土肥主査】

  よろしゅうございますか。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ,大須賀委員。

【大須賀委員】

  質問で,ちょっと細かい話で恐縮なんですが,少し緩和するという3ページの中身の1については両方を行わなくてもよいというのは,常識的に考えて,どちらかをすればいいという趣旨で書かれているということでよろしいですよね。

【山中著作物流通推進室長】

  はい。そのとおりでございます。

【大須賀委員】

  分かりました。
 それから,2の全ての照会を行わなくてもよいというのは,ウ,エ,オとあるんですけれども,そのいずれか,任意の1つを行えばよいという趣旨なのか,それとも,例えばこういう場合だとこの2つは行うとか,より細かいことをお考えになっているのか,その辺りを教えていただければと思います。

【山中著作物流通推進室長】

  先ほどの資料の説明でも申し上げましたが,管理事業者への照会はやはり必要であろうかと思っております。そのほかに,販売事業者への照会,学会等の広く情報をお持ちになっているところへの照会の3つを全て,今のところはやることになっておりますけれども,管理事業者以外のところには,実際の状況等によって片方でもよろしいのではないのかなと考えているところでございます。

【大須賀委員】

  もう一度,確認しますと,そうするとウは必須だけれども,エ,オについては任意であるという理解なんでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】

  そのような形で考えているところでございます。

【大須賀委員】

  分かりました。どうもありがとうございました。

【土肥主査】

  ほかにございますか。どうぞ,前田委員。

【前田(哲)委員】

  3ページの四角の中のマル1で,名簿等の閲覧とウェブサイトの検索の両方を行わなくてもいい,すなわちどちらか片方でいいということですが,冒頭に御説明いただきましたように,事案によっては名簿等の閲覧の方が適切である場合もあるし,事案によってはウェブサイトの検索の方が適切な場合もあるというふうにいろんなケースがあると思うんですけれども,名簿等の閲覧の方が適切だと思われる場合に,申請者がウェブサイトの検索だけで申請することができるというのもちょっとどうかなという気がするんです。任意の1つではなくて,事案に応じて適切な1つという趣旨であるようにも思うのですが,これは申請者の任意という御趣旨なんでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】

  必ずしも両方行わなくてはならないとしないような形にしたいと思っておりまして,具体的には「裁定の手引き」等の中でもう少し細かく捜索の仕方について書いていきたいとは思っております。

【前田(哲)委員】

  分かりました。

【土肥主査】

  よろしゅうございますか。
 ほかに。龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】

  3ページの四角の中のマル3の「日刊新聞紙への掲載に準ずる方法により,公衆に対し情報提供を求めること」のところですが,原案としては,「申請に必要な掲載期間の短縮」としては,具体的にはどのくらいの短縮をお考えなのでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】

  まだ日数を何日かというところまで明確にお答えできるほどというか,中での調整も必要かと思っておるんですが,現在,30日になっているところにつきましては,かなり短い時間にしたいとは思っております。

【龍村委員】

  例えば1週間であるとか10日であるとか,その程度には短縮するというイメージでしょうかね。

【山中著作物流通推進室長】

  はい。イメージとしては,おっしゃるようなイメージを持っているところでございます。

【土肥主査】

  笹尾委員,どうぞ。

【笹尾委員】

  2ページ目のアからカまでありますうちのエの部分,いわゆる同業者の情報をいろいろと聞いてみなさいということに関しまして,これが選択の一つになったことは,放送事業者のいろいろな利用からいきますと非常に現実味を帯びてきたなというところかと思います。少し前に進めていただいたような感じがしております。
 ただ,3ページ目,四角の中の3のウェブサイトの部分も,少し前に進んでいるのかなということにはなるかと思うのですが,最終的にどのようにウェブサイトに掲載していくのか,そのウェブサイトの種類はどう考えていくのかという辺りの細かな運用の部分に関しましては,今後も更に検討を続けていただければなというのが私の感想でございます。

【土肥主査】

  よろしいですか。

【山中著作物流通推進室長】

  最初に申し上げましたように,現状の枠組みの中でできることとしてこの資料を提示させていただきましたので,今後の検討状況等に応じて対応が必要となってきた場合には考えていきたいと思います。

【笹尾委員】

  分かりました。

【土肥主査】

  よろしゅうございますか。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは,ただいまいただいた御意見を参考にしていただきながら,文化庁において手続の見直しを進めていただければと思います。
 次に,2の議題に入りたいと思います。今回は,今後の議論の参考とするため,著作権等管理事業者等の皆様から,権利者情報のデータベース管理の現状や課題等について御発表いただければと思っております。御発表に当たりましては,参考資料3に記載しております順に,時間は1つの団体について10分から15分程度を目安に御発表いただければと思います。質問等につきましては,全ての発表を頂いてからまとめて行うようにしたいと思います。
 事務局より,ヒアリング出席者の御紹介をお願いいたします。

【井上著作物流通推進室室長補佐】

  参考資料3を御覧ください。本日のヒアリング出席者一覧となっています。
 1番目が,一般社団法人日本音楽著作権協会常務理事の浅石委員でございます。
 2番目は,公益社団法人日本文藝家協会著作権管理部長の長尾様でございます。
 3番目は,公益社団法人日本複製権センター副理事長の瀬尾様でございます。
 4番目は,同じく一般社団法人日本写真著作権協会常務理事の瀬尾様でございます。
 5番目は,一般社団法人日本美術家連盟事務局長,池谷様でございます。
 以上でございます。

【土肥主査】

  初めに,一般社団法人日本音楽著作権協会から,浅石委員,よろしくお願いいたします。

【浅石委員】

  JASRACの浅石でございます。本日は,このような機会を与えていただきまして,ありがとうございます。早速,資料2に基づきまして説明させていただきます。その後に,JASRACが今後,データベースについてどのように考えているのかにつきましても,資料とは離れますが簡単に触れさせていただきたいと思います。
 資料の右下にページ番号を振ってありますので,2ページのJASRACが運営・関与するデータベースとして,3本のデータベースにつきまして説明いたします。1つはJASRACの作品データベースでありますJ-WID,レコード協会,芸団協,JASRACとが共同運用しておりますmusic Forest,著作権問題を考える創作者団体協議会で運用しておりますポータルサイトにつきまして,それぞれ説明いたします。
 まず,J-WIDというデータベースの基になるJASRACのデータベースを説明いたします。ページをめくっていただきまして,3ページでございます。
 ここに記載のデータベースは,J-WIDというデータベースがこの3つのデータベースから成り立っていることを示しております。JASRACには,大体50本を超えるデータベースがありますが,J-WIDに必要なデータベースがこの3本だということで,これがJASRACのデータベースの全てではございません。J-WIDを構成するデータベースは左上,音楽著作物に関する様々な情報を管理する作品データベースと,音楽著作物を複製利用する媒体である,録音物,ビデオグラム,出版を利用される方々からの申請内容を管理させていただきます使用物データベース,そして真ん中下の音楽著作物の権利者である作詞者,作曲者,音楽出版社,承継者などに関する情報を管理いたします権利者データベースからデータを抽出しております。
 4ページでございます。3本のデータベースの主要項目をそれぞれ記載しております。主要項目としておりますのは,データベースはJASRACの命と言っても過言ではございませんので,御覧いただきますとお分かりのように,これだけでは管理に不足しているのではないかと思われる情報が多々あるかと存じますが,情報の全てをお出しするわけにはまいりませんことを御理解いただきたいと思います。この中から,J-WIDとして公開しております情報は表示項目の中で赤字で記載したもので,アスタリスクを付けさせていただいたものが検索項目となります。
 左の作品データベースの赤字の上から4行目,支分権別管理状況につきまして説明いたします。これは,JASRACが管理している支分権ごとに,JASRACの管理,非管理,パブリックドメイン(PD)を,演奏,録音から通信カラオケまで全ての支分権に分けて,どのような状態かを示すものです。データ件数は2014年1月末日現在のものです。冒頭,説明いたしましたとおり,JASRACは他にもデータベースを持っておりますので,その下に記載した件数はJASRACの全てのデータベースを集計した数字となっております。左の作品データベースの数である内国176万曲,外国240万曲というものは上の3本のデータベースの数ではなくて,JASRACが持っている全てのデータベースに登録されている作品であります。内国176万曲のうちには,JASRAC非管理作品27万9,000曲,著作権消滅の作品6,700曲を含んだ件数であります。外国240万曲には,非管理作品10万9,000曲,消滅作品9万2,000曲を含んでおります。
 真ん中の権利者データベースの件数を御覧ください。JASRACと信託契約を締結している委託者との信託契約数は約1万6,000者でありますが,権利者データベースの内国権利者として21万者のデータがあると記載しております。この権利者データベースは,JASRACとの信託契約締結者1万6,000に加え,JASRACとの信託契約のない著作者19万3,000者,著作権が消滅している著作者2,000者を合わせて21万となっております。データベースの更新は職員が作業しておりまして,登録キーを押せば,そのときにデータは更新されますことから,常時と記載しております。
 これまでがJASRACの本体と申しましょうか,業務で使用しているデータベースであり,次に公開しております作品検索データベース,J-WIDの概要を説明いたします。右側上の5ページです。
 なぜJ-WIDかと申しますと,JASRAC Works Information DatabaseからJWIDを取りまして命名いたしました。1999年,平成11年5月17日にインターネット上で公開いたしました。冒頭から説明しておりますとおり,JASRACには他にもデータベースがありますが,J-WIDには作品,権利者,使用物の3つのデータベースにある情報を抽出して表示するようにしております。そのため,J-WIDの内国作品146万,外国作品180万と4ページとを比べますと,それぞれ30万,60万,少なくなっております。言い換えますと,他のデータベースに内国30万,外国60万件があるということであります。
 更新するタイミングは2時間ごととして,J-WIDにアップするまでには更に2時間を要し,本来のデータベースの更新から約4時間のタイムラグがあります。また,J-WIDを御覧いただくために必要な制限は一切,設けてありません。どなたでも何らの登録の必要もなく御覧いただけます。そういう関係もあってでしょうか,2012年度,1年間のアクセス数は,記載のとおり2,650万6,000件となっております。J-WIDは24時間稼働しておりますが,ゴールデンウィークと年末年始にはサービスを停止させていただいております。また,外部のセキュリティ専門会社が常に,穴がないか等,様々なチェックを行っております。それでも,過去には大量アクセスやDoS攻撃を受けたこともあります。それらについてもすぐ対応するようにしております。
 次の6ページが,J-WIDの実際の検索画面でございます。先ほど説明いたしました検索項目を1つ以上入力することにより,検索結果が表示されます。複数ヒットすれば,その数だけ,例えば曲目のタイトルが表示されることになります。小さい画面で恐縮ですが,画面の上,中ほどにISWCという表示があります。これは国際標準音楽作品コードのことで,各国の著作権団体との情報交換を効率的に行うため,音楽著作物の作品に付与されているコードで,業務用に使っているものです。
 めくっていただきまして,7ページを御覧ください。music Forestの概要です。
 このデータベースは,レコード協会加盟のレコード会社のカタログに,JASRACから作品コード,作品名,権利者名,支分権別管理状況を,芸団協からアーティストコード,アーティスト名を付加したデータベースで,公開は1999年6月14日です。
 赤字の項目の一番下,ISRCにつきまして御説明させていただきます。日本語で国際標準レコーディングコードといいまして,レコーディング,音源の識別に利用される唯一の国際標準コードであります。music Forestは,説明いたしましたとおりレコードの情報があります関係から,データとしては落語など音楽以外の情報も含まれております。
 なお,表示が2013年3月末となっていますが,2013年12月末では440万件であります。稼働と停止期間はJ-WIDとほぼ同様です。
 8ページを御覧ください。music Forestの検索画面です。この画面は著作者名からの検索画面でありまして,非常に小さいですが,右上の4行目からの2行にその他検索できる項目を表示しております。例えば「アルバムタイトルで探す」などをクリックしていただきますと,そちらからの検索が可能になっております。
 最後ですが,9ページ,著作権問題を考える創作者団体協議会が運用しております創作者団体ポータルサイトです。運用開始は2009年,平成21年1月23日からです。提供元であります各団体からデータを持ち寄り,著作物の利用に際して許諾を求める各団体の問合せ先を容易に確認できるように,また利用者の方々の利便性を高めて著作物の円滑な利用を促進することを目的として開設しております。公開項目,検索項目は記載のとおりです。
 最後の10ページが検索画面です。左に尋ね人Webというものがございますが,現在はこの運用はしておりません。この尋ね人Webは,連絡先が不明などで著作者,承継者などを捜すことが困難な場合に連絡先を照会することができるサイトとして開発を予定しておりました。しかし,回答内容には,連絡先を照会する人の情報や回答した人の情報,連絡先などプライバシーやセキュリティの面から慎重な取扱いが必要で,現在も関係団体との間で利用環境の整備について検討しているところです。
 真ん中が検索の入力画面です。著作者検索に著作者名を入れていただきますと,問合せ先の名称とURLが表示されます。著作者が複数の団体に所属している場合は,複数の団体名とそれぞれのURLが表示されます。
 以上でJASRACが運用あるいは関与しているデータベースにつきまして,資料に基づく説明は終わり,過去からの歴史を含め,JASRACが今後,データベースをどのように考えているのかを簡単に御説明いたします。
 JASRACがデータベースを作っているのは,業務上の必要性からが一番であります。JASRACの機械化は1965年,昭和40年から始まっております。特に1973年,昭和48年にCISAC(著作権協会国際連合)が全世界の音楽著作者,音楽出版社等のデータを一つのコンピューターシステムによって管理するという考え方を示し,これにJASRACが参加を決めたところからシステム化が進むことになりました。以降,新しいシステムを検討,追加しております。
 近年,特に着信メロディというサービスが開始されるようになりまして,報告される曲目が多量となってまいりました。現在の音楽配信になりまして,報告される楽曲が1サービスで2,000万曲ないし3,000万曲を超えることとなり,これまでJASRACが経験したことがない楽曲の報告がされております。本年度(2013年度の2月上旬まで)の曲目報告数が,音楽配信などのインタラクティブ配信で14億3,700万曲,JASRAC全体では16億600万曲にも達しております。これらの報告の中には,同一サービスでも同じ曲が様々なバージョンとして含まれておりますし,異なるサービスではサービスごとに同一楽曲があります。これらの名寄せ・検証に各種のデータベースが必要となります。
 このように,品揃(ぞろ)えとして内外の膨大な楽曲を有するサービスの出現によりまして,国際的なデータベースの必要性のみならず,データベースは各社単位で作成しておりますが,データベースの共有化の必要性も出てまいりました。これらの必要性から,CISACでは統一のデータベースのさらなる検討を行っております。また,国内におきましても,1999年,平成11年に,新たな市場の形成がコンテンツ流通に関わる権利者,音楽配信事業者,通信事業者,システム提供事業者,ひいては日本国民にとって有益なものと位置付けるのであれば,まず著作権等の権利を保有している管理する側(がわ)が著作権情報を整備し,提供し,共有化することがコンテンツ流通の促進に向けてなされなければならないという認識から,デジタル時代の著作権協議会(CCD)を立ち上げました。さらに,2009年3月には,申し上げました膨大な楽曲の権利処理を行うために,権利者だけではなく,事業者の方たちと共同で,一般社団法人著作権情報集中処理機構(CDC)を立ち上げております。
 このように,データベースの母は事業の必要性ではありますが,そのデータの国際性と共有化が,現在求められているのではないかということを申し上げまして,報告を終わらせていただきます。御清聴,ありがとうございました。

【土肥主査】

  大変ありがとうございました。
 次に,公益社団法人日本文藝家協会,長尾様,よろしくお願いいたします。

【長尾氏】

  おはようございます。日本文藝家協会,長尾でございます。JASRACと比べますと,とてもとても小さなデータベースではございますが,大変に複雑になっておりまして,これをこのまま書くと誰にも分からないので,とても簡素に書かせていただいております。
 まず,当協会データベースの概要でございます。裁定で使うという御質問でございましたので,基本的に裁定に必要なものだけ,こちらに挙げさせていただきました。
 会員情報データベースと呼んでいるものがございます。ややこしいので会員と申しておりますが,中に入っていらっしゃる方のすみ分けがいろいろ複雑でございまして,こちらに書かせていただきました。
 正会員は,今,現役で動いていらっしゃる方でございます。準会員は御遺族様でございます。御遺族様はたくさんいらっしゃいますので,まず1人に代表になっていただきます。
 会員以外の方がややこしくて,会員でも準会員でもないが,著作権の管理委託だけをしてくださっている方がいらっしゃいます。会員でも準会員でも著作権管理の委託者でもないけれども,当協会が編集しております『文藝年鑑』という書物にお名前など情報を提供してくださっている,主に文筆家の先生方がいらっしゃいます。それと,『文藝年鑑』に掲載もないのだが,将来,当協会に是非入会していただきたいと当協会が思います方の情報がございます。さらに,受益者と書いてございますのが,先ほど申し上げました複数いらっしゃいます御遺族様で,当協会の著作権管理の御委託がある方でございます。要するに,支払いが発生したときに,4分の1,16分の1,24分の3を送らなければいけない方の数でございます。
 これらを合わせまして,データベースとして生きている情報が6,829名様分ございます。このほかに,お名前の記載はあるんだけれども行き方知れずになっていらっしゃる方も,少しですが,いらっしゃいます。
 次に,先ほどから申しております著作権管理委託者データベースは,著作権の管理委託をしてくださっている方のデータベースでございます。それと,先ほど申しました『文藝年鑑』用のデータベースでデータベースを構成しております。
 一番詳しい,支分権ですとか何がどうなっているというデータがあるのは,2番の著作権管理委託者データベースでございます。著作権の管理をしなければいけませんので,かなり頻繁に,こまめに連絡を取らせていただいておりますので,最新データがそろっているのはこちらになります。
 どうやって収集しているか,先のその他のところと関係してまいりますが,更新は,まず1番の正会員,準会員がお亡くなりになりますと,大抵の御遺族様から,父あるいは母,夫あるいは妻が,おととい,実は1か月前に,半年前に亡くなっているという情報を頂きます。大変著名な方の場合は,御家族様が伏しているにもかかわらず,新聞社,テレビ局から,どうなっているんだというお問合せがございます。それに基づきまして,御遺族様にお伺いして更新しております。
 そうではなくて,行方不明にならないようにするためにもございまして,会員,準会員の方には,年に10回,当協会の協会ニュースというものを送らせていただいております。これが届かないで返ってまいりますと,1年以上前にどこかに引っ越しているんだろうということになりまして,お親しいであろう理事の方,最後に本を出された編集者などに伺いまして,どうなっているのかの調査をいたします。その他の方につきましても,どなたかからお問合せがあったときに,同じようなことをして,できるだけいなくなっちゃったということがないように努力しております。
 『文藝年鑑』掲載の方は,会員,準会員を含めまして年に一度,『文藝年鑑』に掲載してもよろしいかというお問合せをいたしますので,これでまた年に1回は網羅して,連絡がつかない方,連絡がつく方が分かるようになっております。
 情報の項目は,JASRACのように表にすればよかったんですけれども,そこに書いてあるものでございます。これ以外に,著作権の管理の御委託がある方は,支分権や,この作品に限っては門外不出だということのデータが事細かくございます。
 更新は,先ほど申しましたように連絡がある都度なので,毎日でございます。何時間おきにということはございませんで,連絡がある都度,更新し,公開している方は月に1回,更新しております。
 公開の状況でございます。公開内容は,『文藝年鑑』はそちらに書いてあるもの,ホームページでは著作者名だけになっております。著作権の管理委託者につきましては,ホームページ上で全面委託なのか,部分委託なのかだけ出させていただいております。どういう内容か,全部,公開してほしいという御希望が使用者からはあるのですけれども,全部,書くとものすごい量になってしまうので,例えば全面委託なのか,教育関係だけなのかだけでもできないかという検討を,ただいましておるところでございます。
 一般公開については,登録者が名前以外の公開の御希望をされない方が多いので,全員にもう一度,いかがでしょうかと聞かなければならず,大きな課題になっております。
 めくっていただきまして,3,著作権等管理事業に係る照会については,裁定を文化庁に出すのだけれどもというお問合せが月に何件かございます。あと,管理事業ではないのですけれども,例えばテレビ局から,明日の朝のワイドショーに出てほしいんだけれども,連絡が取れないかなどという照会もございます。
 4,委託者以外のデータは,先ほど申しましたように日々,収集が可能でございます。他団体とデータベースを共有し一般公開するには,先ほど申しましたようにもう一度,皆様の許諾を得なければならず,なぜ実現が不可能かと申しますと,マンパワーが足りない。日々のルーチンワークだけでもあっぷあっぷしておりまして,これに専従の職員がいればできるというところで,人手不足がその原因でございます。
 参考のこの画面は,先ほど申しました委託の状態を検索する画面でございます。とても小さくなっておりますが,右側,全面委託あるいは部分委託と,真ん中辺の同姓同名の方がいらっしゃいますよという情報は必ず出しております。例えばスズキイチロウさんという方がいらっしゃって,一人は宗教学者で一人は評論家などという場合もございます。
 このデータベースについては,当協会は2年後に90周年,12年後に100周年なので,そこに向けて,もう少し使われる方に優しいデータベースにしようと思っておりまして,先ほどのマンパワーも含めまして,来年度,26年度の事業から更新の計画がございます。
 以上でございます。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 続きまして,公益社団法人日本複製権センター,瀬尾様,よろしくお願いいたします。瀬尾様は一般社団法人日本写真著作権協会の常務理事も兼ねておられますので,続けてお願いすることになります。

【瀬尾氏】

  立場と内容は多少違うかもしれませんので,一応,区切らせていただいて,最初に日本複製権センターのデータベースについて御報告させていただきたいと思います。
 複製権センターのデータベースは,管理著作物データベースになります。つまり,複製権センターで扱っている管理著作物がどういったものであるのか,どういうものが管理されているのかが基本になっております。
 最初のページを御覧いただきまして,これが検索項目としてございますけれども,基本的に2種類の委託物があります。一つはタイトルごとに預かっている著作物,もう一つは著作者名でお預かりしている著作物で,今,この2つが混在している状況にございます。どういうことかと申しますと,我々の正会員団体であるJCOPY経由で御委託いただいている著作物については,タイトル名でお預かりしております。また,著作者団体である著作者団体連合,文藝家,写真,美術等,ここにお並びの皆さんを含めた団体の委託の仕方は著作者名でお預かりしております。この2つがございますので,検索項目としましては,タイトルと,所属団体にございますような作家名での委託の2種類がございます。
 検索結果につきましては,管理番号,タイトル等,そこにございますような内容が返ってくるんですけれども,先ほどのJASRACや文藝家協会と一番違うのは,ここでは二次利用について預かっているんですけれども,その個人情報や更に細かな遺族の情報などの細かな情報は各団体に遡っていただくということで,複製権センターは一部,住所等は報告いただいておりますけれども,基本的にデータベースには入力しておりません。ですので,どこの団体が管理しているのか,管理上の条件などが書いてあります。
 次に,ページをめくりまして3ページ,データベースの概要になります。利用許諾条件については,権利者により委託の範囲が指定されている場合には,その利用の範囲が明示されます。つまり,先ほどの検索を掛けた結果の中に,どの範囲を預かっているのかが明示されるようになっております。また,データの更新は,タイトルについては御報告いただき,随時,行っていますけれども,権利者団体につきましては,1年間に一度,新入会員等の入退会の時期に御報告いただいて変更させていただいております。
 実際に2月度現在の管理著作物は,タイトルでいきますと書籍が8万1,070点,定期刊行物が3,585点で,合計8万4,655点。この中には,学著協からの委託である学術関係は定期刊行物が2,610タイトル,単行本が987,権利者数が877,新聞は68社,94紙を全部,含んだものが入っておりますので,定期刊行物は,何点と書いてありますが,範囲はかなり広いものになる。これと,先ほど申し上げましたように上記タイトルの他に文藝,写真,美術,グラフィック,脚本,シナリオの著作者,実は団体が重複している方がいらっしゃるので,団体延べにしますと1万4,378人,重複を削りますと1万4,214人の過去に取得し,これから取得する全ての著作物の権利をここで許諾することができるとさせていただいております。この点数は,上の著作物タイトル,人数,実際どれくらいの数があるのか,何点ぐらい管理しているのかについては,実は今までほとんど手を付けることができなかったんですが,後で御説明しますような形で実現していきたいと思います。
 アスタリスクで書いてありますのは,JCOPYという我々の会員団体が独自に管理されている,JRRCに委託されていない管理著作物が,書籍のタイトルが12万5,061点,定期刊行物が827点ございます。幾つか会員団体はあるんですが,学術著作権協会,日本複製権センター,JCOPYという3団体の全ての管理著作物が,このデータベースで,若しくは著作者名で検索できることになっております。
 その下が検索画面になります。これはJRRCのトップページで,ちょっと分かりにくいんですが,左のコラムの上から5番目,管理著作物検索というところから入ると,5ページ目の検索画面になります。
 実は,複製権センターのデータベースで特色としてあるのは,今のところ,データのダウンロードを可能としています。つまり,個人情報が入っていなくて,先ほど出てきたような団体名やタイトルなどだけなので,ここでタウンロードしてデータを利用していただくことができます。ただし,これは今後どうなるか,ちょっと未知数です。これまでは,これによって非常にいろんな利用の仕方をされてきた経緯があります。
 あとは,フリー検索は部分一致で検索をしていたり,先ほどのようなタイトルで検索をしたりするというような検索画面がございます。
 その検索の結果というのが下の6ページになります。この上半分が,著作者名だけが出ておりますけれども,この方の著作物全てということになります。ただし,先ほど申し上げたように,タイトルが入っておりません。
 下半分,これ,すいません,三田といって,三田さんが出てきて,三田誠広さんが出てきていますが,三田さんのタイトルは,タイトルでこちらは預けていただいているということです。ちょっと小さくて見にくいんですが,欄の一番右側が利用条件,その次に管理団体,作家所属団体とありますが,この管理団体のところに,今ここは全てJRRCなんですけど,これがJCOPYのものが当たればJCOPYがここのところに出てくるということで,一元的に検索ができるサイトというのを目指しています。実は企業内複写に関して,どれが使えるのかとか,そういうことについては幾つかの団体が並列していて,ばらばらに検索をすると全く使いにくいものになってしまうということで,ここで一元的にその内容が分かるような形にしているということです。
 7ページにいきますが,照会に関する意見ということなんですが,著作物の権利者に関する問合せには日常業務的に対応していますが,管理著作物データベースによって,権利者照会はそう多くはありません。ただし,出版社が倒産した場合の権利者捜索の問合せはあり,その場合は当センターで捜索することは困難である旨,回答しています。著作者名などはペンネームであることも多く,出版社が倒産した場合や合併吸収された場合の権利者捜索は極めて難しいのが現状と言えるでしょう。統合的な著作権所在データベースの必要性はあると考えられますということです。実際に各権利者団体には,この人,知っていますか,どこにいますかということは結構聞かれることだと思いますが,この複製権センター自体にそういう照会は余りないですね。つまり,このデータベースに載っかっているということで,ここに載っていない人は各団体に照会がいっているんだと思います。後で申し上げます写真についても,そういう傾向があるということです。
 ただ,この場合に,これは日常の事務局からの意見としても出ているんですけども,基本的に著作者名というのは,本名であるかどうかも分からないんですね。そして,もちろん住所等も分からない。つまり本の中で名前があっても,著作者名というのは,そこからたどることが出版社という足掛かりがないと,ほぼ不可能に近い。もちろん有名な方で,どなたか知っていればネットで引っ掛かるなどありますけれども,ほぼ難しいというふうなことがあるかと思います。
 最後に,現在,文化庁が行った国会図書館との実証実験に参加した経緯によって,これまで不明であった著作者名で登録された著作物のタイトルを特定する作業に入っています。これにより,JRRCの管理著作物データベースにおいて,国会図書館の出版物リストに基づき,これまで著作者名でしか検索できなかった著作物も,タイトルごとに検索することが可能となります。また,著作者名での登録による著作物数も,実数で把握することが可能となります。現時点で出版物に関しては2,000万件の国会図書館情報を基に,継続的にデータベースを運用する予定です。このデータベースのリストにはJRRC管理であるのか,JCOPYなどその他の管理団体の管理であるのかの情報が記載されていると。また,当然,このリストから当センターで管理されていない著作物を特定することも可能となっております。
 これを御説明させていただきます。国会図書館の中でデジタル化についての協議会が行われているんですけど,その流れの一つとして,国会図書館の納本データ,つまり本のタイトルリストというのが実は内部で運用されていた。それについて,それを著作物データベースとして利用できないかというワーキングを立ち上げたことがあります。これは2000年代の後半,2008年か9年の資料がございますけれども,そこで私も参加をしていろいろやった中で,国会図書館が納本されたタイトルをもって,それは書籍のタイトルデータとしているんだけど,実はそれ自体が日本で最大のコンテンツデータベースなんじゃないかということを着目して,それを国会図書館外で利活用する案についてどうだろうということを検討したと。結果から申し上げますと,これを国会図書館自体が利用することというのは難しいかもしれないが,これを公開してほかの団体等で利活用することは意義があるというのが結論になりました。この結論を受けて,前々年,文化庁さんから実証実験があったと。これは,このようなタイトルリストを生かして,権利所在をきちんと明示することが可能であるのか,こういうデータの活用が可能であるのかの実証条件がありました。これについて,複製権センターは協力をさせていただいて,この管理著作物データベースというものでテストをしてみたということがございます。
 その結果としまして,実はこれが使えるということだったので,複製権センターとしては,その国会図書館さん自体2,000万件,そのほかのデータが5,000万件あるそうなんですが,本体の2,000万件について,複製権センターが利活用させていただいて,我々の管理著作物のタイトルを特定することが可能になるために,これを利用させていただくということになります。それを今,実際にデータを入れ込んでいて,実現は,実は去年の秋にと言ったんですけど,国会図書館さんはなかなかシステムが複雑で,まだ実は完成していませんが,今年度中には形ができる,つまり2,000万件のデータ移行と継続的運用が可能になる予定でおります。この中にJRRC管理であるのか,それともJCOPY管理であるのか等の情報が書き込まれるという作業があります。これができますと,6ページ目の検索画面の中には,例えば三田さんはタイトルがいっぱい出ていますが,ほかの方々は名前しか出ていません。ただ,このお名前の中でその方のタイトル,若しくは著作物が一連のリスト化された形で出ていくという形になると思います。
 これは著団連の調べた現在調査中の内容ですけれども,過去20年ぐらいの間の著作物について,著団連としては,今の管理している著作者において30%強の管理率があるというふうに予想しております。これが,このJRRCの実質的な管理著作物データベースが動いたことによって,多分,明確になるであろう。2,000万件のうち30%とは言いませんけれども,それに相当するような数が出てくるのではないかなと予想しております。ただ,どちらにしましても,利用者にとっては,こういうふうに一元化して管理されているかどうかということが分かるのが重要ですし,最後に一言加えさせていただきますと,ここにJRRCの管理著作物であるということは,著作者の所在が分かっているということになります。ここに出ているものについては,それなりの団体,若しくは出版社,委託されている権利所在先が分かっているというふうにお考えいただいて結構ですし,また,ここのところで管理されていないものについては,また何らかの捜索が必要であろうかなということを考えてもおります。
 複製権センターについての御説明は以上でございます。
 1回区切らせていただいて,次のJPCA・APGデータベースという方に移らせていただきます。
 今度は,日本写真著作権協会が運用しますJPCA・APGデータベース,隣に美術家連盟の池谷事務局長もいらっしゃいますけれども,このAPGというのは,後で御説明いたしますように,視覚芸術の総合データベースということでございます。
 まず,内容を申し上げますと,データベースの概要としまして,一般社団法人日本写真著作権協会では,2003年から正会員団体である9団体について,その団体に加盟する写真家約2万4,000名に著作権者IDを附番し,データベースによって公開してきた。このデータベースにより,写真家の個人情報を持つ加盟団体へのアクセスが可能となっております。これも団体までの公表で,個人情報についてはここで出すことはいたしておりません。必要があれば,各写真家団体に問い合わせていただきたいというところで止めております。
 3ページ目,データベースの概要としまして,このデータベースは年次で新入会員等のリストを各会員団体から提出していただき,更新作業を行っております。これは外注でアウトソーシングしておりますが,会員団体から新しく入った会員,その他の情報を頂いて,これを更新する。
 各正会員団体により,会員管理の内容は異なりますが,例として,日本写真家協会では,物故等の会員についても,できる限りフォローするようにしております。ただし,相続者が不明となってしまう場合も多く,写真利用の多い一部の写真家に限定されてしまう傾向があります。
 データベースの課題としては,各正会員団体への写真家の積極的な加入に基づいて,組織化を進めることが重要です。日本的な権利者の在り方として,組織に属したがらない傾向がありましたが,現在の創作環境において個人での対応には限界があり,組織に加入して情報の共有,対応の一元化とともに,集中処理に参加することが必要だと考えられる。
 現在は継続して業務を行う写真家については,組織化も進んできております。また一方で,撮影を継続的な生業としない著作者,つまり専業ではないが,取材などの折に写真を撮っている方やアマチュアの増加もあり,そのような著作者への対応が課題となっております。
 ちょっと説明します。実際に写真家というのが大分食えなくなってきていると,残念ながら。継続している人間は,かなり組織に入っている率が高いです。ただ,浮いては消え,浮いては消えのように,写真を撮って生業にしては辞めていく方も非常に多くなってきているということを申し上げております。
 それと,物故についてなんですが,実は,明らかに作品の経済的な価値が分かる場合には,これは比較的,遺族の方も財産としてきちんと継承されて管理されている。ただ,写真の価値というのは,比較的分からない場合がある,家族にとっても。そのような場合に,ひどい言い方をしてしまうと,ごみ扱いにされてしまうんですね。ぽいっとかって捨てられてしまう。こういう場合には,著作権を継承している意識がないし,それに対しての措置もとられない場合が多い。つまり,奥さんがいて,3人子供がいたら,それなりの相続になってしまうんですが,相続したことすら分かっていないし,相続者である意識もないという場合が結構多いということです。ですので,この物故というものに関しては,実は経済的価値のある方は,物故になっても著作権はちゃんと運用できるんですが,圧倒的に経済的な価値の定まらない方たちの相続というのは,物故になった,要するに亡くなった途端に,家族からの連絡も住居もぷつっと途絶えてしまう,そういうことが結構多いです。これはかなり大きな問題だろうと思います。
 次に,データベースの概要,更に進めますが,データベースのトップページに「写真家を検索するなら」「写真作品を検索するなら」「教育用に写真を利用するなら」と3つボタンがございます。写真家の検索というのと,ここで先ほどの写真家データベースにアクセスするんですが,写真作品をデータベース化しております。この中でいろんな作品を検索することも可能です。最後に,教育利用として,教育利用の写真のデータベースも運用しています。これは一部の教育関係の出版社さん,予備校さんたちが参加をして利用できるような形でしております。このデータベースは,実はお寺さんとかのデータベースなんですが,お寺さんの許可というか,承諾と著作者の許諾が必要な中間があるんですけど,それを一元化すると。今回のテーマとはちょっと外れますが,ちょっと面白いデータベースだったりします。
 さらに,この左側に「APG」と書いてあるのがございます。こちらが,後で申し上げますデータベースになります。
 5ページ,概要として申し上げますと,これが検索画面です。通常,会員管理されている方の情報としては,本名,住所・連絡先,電話,メールアドレス,生年月日等です。ただ,このアスタリスクを見ていただきたいんですが,連絡先としてメールアドレスの登録が進んでおり,メールアドレスでの連絡が通常化すると,事務経費の節約,連絡の迅速化などのメリットがありますが,一方で現住所の確認が取れない,簡単にメールアドレスは変えられるので,所在の確認が難しくなるという問題も生じてきます。メールアドレス,携帯電話が連絡先として定着することへの課題と言えるでしょう。実は,ここは非常に大きな問題で,メールアドレスと携帯電話の普及で連絡先として定着しつつあります。ただ,これは住所,居住情報と全く結び付いていないために,これが個人の所在を特定することにつながらない。つまり,メアドが変わって携帯を変えられたら,その人はどこに住んでいるのか全く分からない。旧住所に電話をしても,そこにはとっくの昔にいないことが考えらます。つまり,直近でメールも届いていて,携帯も通じていたのに,実は住所はとっくに変わっていた。これを確認する方法がないという問題点ができますので,今後,こういう個人的な確認については,現在のメールアドレスと携帯電話が一辺倒でいいのかという問題がございます。ただし,経費の削減と迅速化については圧倒的な内容を持ちますので,その内容について活用することは重要だと思いますが,そういう問題点をちょっと1つ指摘させていただきたいと思います。
 6ページ,写真家の所在についての問合せは,比較的多くあります。その場合,正会員団体の会員であれば一定の手続を踏んで,著作者を紹介すると。これは書面で申し入れていただき,本人に諾否を問い,それから連絡先を教える,若しくは本人から連絡させる,若しくは本人の意思により連絡先を開示しないということですが,どこにも属していない写真家の場合には,何らかの形で接触のあった写真家であれば分かるんですけど,実際に写真家というのは,会員じゃない人については分からないという場合が多いと思います。
 ちょっと時間が迫ってきましたので,少し進めますが,7ページを申し上げたいんですけれども,写真というのは,デジタルになって,比較的,技術的ハードルが低く,どなたにでも撮影できるようになりました。つまり全員,どなたでも,ここにいる皆さん,全て含めて著作権者であるということが言えると思いますが,実は,業として写真を撮っていらっしゃる方は,比較的,著作権意識が強く持つようになってきています。しかし,ウェブに出したり,ちょっとした記事に出したりする取材記者とか,業としてはいるんだけれども,法人著作でもなく,日々頻繁に現れる写真については,本人に著作者の意識が余りない場合が多い。つまり,全然署名もなければ何もなく,写真が最初から放り投げられている場合が結構多いです。これは非常に大きな問題だと思います。でも,使う側(がわ)は,その写真を見たら,やはり権利処理しなきゃいけないことは明らかです。そのときに,全くひも付けされていない写真が非常に増えてきている。よく言うオーファンワークスでありますけれども,これもオーファンというよりは,たとえは悪いですけど,最初から親がいない著作物。要するに,ある程度親がいて,途中で分からなくなったのではなく,最初からなくなってしまった孤児的な著作物というのが,実際に写真では増えてきているということを申し上げる。
 次に,今後の取り組みについてなんですけれども,8ページ目になりますが,写真というのは,ほかの著作物と違って時間がたてばたつほど価値が増えてきます。つまり,普通の町の写真でも30年たてば価値が出る。これはほかの著作物と違うんですが,そのときに不明となる場合について,やはり対応が必要であろうと。もう一つは,先ほど申し上げた,最初から著作物に対してどう管理していくのかということ。それともう一つは,やはり集中管理をしていかない限り,この膨大な量の著作物を管理することは難しい。アナログからデジタルへ変わるときに,過去のアナログ資産というのをどうデジタルできちんと著作権処理をしていくかも非常に重要だということです。
 最後に,9ページです。一元的に権利所在を明確にするデータベースが必要だと考えられます。個人情報じゃなくてもいいので,とにかく一元的なものが必要だろうと。JPCAのデータベースは,連携を前提としている。
 このAPGデータベース,最後にちょっと申し上げますが,アート,フォト,グラフィックの視覚芸術の総合データベースです。これについては,最初の段階,2003年の段階から3団体できちんと合意を得て統合でこれを運用するようにいたしました。それがAPGデータベースで,当然,隣にいらっしゃる池谷さんの美連も入っていただいた,共同で運用している。写真が幹事団体ですので,そこのところで運用しているということでございます。
 APGデータベースですが,先ほどJASRACさんからmusic Forestというお話がございましたけど,ずっと前にJCIS(Japan Copyright Information Service System)という文化庁さんの実証実験で,検索インターフェースを各分野で統一しようという実証実験がなされました。そのときに実はこのAPGデータベースができたんです。そういった取りまとめがあったおかげで,これは種ができて,今に至っていて,更に連携する用意もあります。ですので,こういうふうな形で横串を刺していくようなデータベースというのが我々は運営してきたし,これからもそれを広げていきたいと思っているし,さらに,今やっとこの重要性というのが現実的になってきたというふうに感じております。
 そのような形の中で,実は先ほどの創作者団体のデータベースも,APGも,いろんなデータベース,あとジャパコンのデータベースもいろいろあるんですけど,今後,やはり横串を刺して連携をしていかないと,データベース運用というのは難しいだろうというふうに考えております。
 ちょっと時間を超過しました。以上で2団体の報告を終わらせていただきます。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 それでは,一般社団法人日本美術家連盟,池谷様,よろしくお願いいたします。

【池谷氏】

  日本美術家連盟の池谷と申します。よろしくお願いいたします。
 美術のジャンルの方から,著作権所在情報のデータベースはあるかというお尋ねに関して,若干説明をさせていただきたいと思います。
 私ども日本美術家連盟は,絵画,彫刻等の専門美術家の職能団体であります。創立は今から60年ほど前,昭和24年になります。現在のところ,会員は全国に5,200名強おります。
 事業の内容といたしまして,著作権管理団体ということではなく,美術家の福利厚生,権利擁護,技法材料の研究等,多岐にわたります。その中の活動の1つとして,創立当初より著作権に関わる啓発普及を作家及び利用者の側(がわ)に行っていくということを大きな事項の1つとしております。その関係で,創立間もない頃から啓発普及を主体とする中で,例えば会員さん,ないしは会員外の御遺族から著作権というものについての処理について相談を受ける等のことがありまして,啓発普及の傍ら,著作権管理のような業務もしてまいりました。ただ,その規模は非常に小規模なものであります。
 連盟で保有する作家/著作権者連絡先情報,これは大別いたしますと,3つに分かれます。1つは,当然のことでありますが,5,200名の会員,この方たちに関して,氏名,ペンネーム,住所,電話,ファクス,学歴や所属団体,生年月日といった多岐にわたるデータを保有しております。この方たちが亡くなりますと,亡くなった先で配偶者の方の連絡先等の確認を行っております。その配偶者の方たちに関しての連絡先のデータが,現在は800件ほどあります。
 今申し上げたように,私ども,啓発普及事業の傍ら著作権の管理というものを行ってまいりました。規模としては小規模でございましたが,管理事業法の施行に伴い,その中で一任型と非一任型の業務を現在行っております。一任型については,今から40年ほど前にNHKさんの方と,NHKさんの方のテレビの利用に関わる美術作品の協定というものを締結いたしまして,要は,作家の作品についてNHKさんが利用できる。ただ,NHKさんの方は,利用されたならば,しかるべき使用料を払ってくださいという内容の協定でありますが,その協定に賛同いただいた方の管理を行っておりました。これが現在,一任型に移行されております。そして営業の傍ら,御遺族等の相談に応じて著作権の管理を個別にやっていったもの,若干ありましたが,これが現在非一任型ということで継続しております。この方々,現在,数としては500件強程度しかありませんが,この方たちのデータ,連絡先,氏名,住所,電話,取扱作家,銀行口座等のデータを保有しております。
 そして,美術のジャンルですと,御存じのように,美術の表現の技法等に関しては,公募団体という形でたくさんの団体が連立しているわけですが,私どものように美術家全般の福利厚生等を問題にする団体というのは,ほかにほとんどありません。その関係もありまして,幅広い団体の方が私どもに属しております。その結果,半世紀余りのうちに,私どもに属しておられない,また著作権の管理を委任されていない方たちの作家の御本人ないしは遺族関係等の連絡先,氏名,住所,電話といったものが1,000件余り蓄積されております。これが大別いたしますと,3つの区分のデータは,数としては非常に少ないものですから,市販のDBをカスタマイズすることで管理ないしは外部利用者に管理していただいています。
 これらの連絡先情報,実際にどうやって提供しているかというと,先ほど瀬尾さんの方からもお話がありましたが,会員のデータについては日本美術著作権機構,APGのデータベースを通じて,作家名,所属団体,略歴,それから作品画像も収録しております。これらのデータを提供し,何らかの利用の要請があった場合は,個別に利用者の方と会員をつなぐという形をとっています。データベース自体,更新性という意味では年に1回程度しかないものですから,ここが問題になるわけなんですが,ただ3者が共通でやっているということで,視覚芸術に関してはここ1本ということで,利用者の方については,そうした意味での利便性はあるかと思います。
 そして,著作権の委任者,これらの方については,私どものウェブサイトの方に取扱作家の一覧,それから取扱いに際しての申請の書式等を添えて告示する形をとっています。
 外部作家については,問合せに応じ回答しています。
 作家連絡先情報の照会ということでは,日に一,二件程度の照会が,主として美術館やメディア(新聞,出版,放送,他),教育関係者等から寄せられます。また,裁定制度に基づく著作権し所在情報の照会というのは,年1回程度あるかないか。ただ,明確に裁定制度を利用するために照会しているということをおっしゃらない方もいらっしゃるので,ひょっとすると,ほかにあるかもしれないです。
 ここに記載してある項目は,これらの事項と,その次のページに,先ほど申し上げた,瀬尾さんの方でもおっしゃっていただいたAPGデータベースというものの画面が映っております。これは参考資料として御確認いただければと思います。
 私どもで最近,著作権の所在情報提供ということでやっておりますと,幾つか問題点を感じています。まず,収集という意味では,海外のデータ等を収集する際に,権利者の側(がわ)から積極的に情報を提供するといった動機付けがないことです。利用頻度がある方というのは,例えば会社組織にするといった形で自分の所在を明確にするケースが多いんですが,利用頻度の余りない方,作家若しくはその御遺族ということになりますが,それらの方から何らかの形で,自分が権利者であるということを公表するような積極的な動機付けといったものがない。そしてまた,昔に比べますと,権利者の情報,私どもばかりではなくて,美術の業界ですと,美術館さん,ないしは出版社さん,ないしは公募団体さんというのが連絡先を持っているはずなんですが,今,個人情報ということがやかましくなった関係で,美術館さんらに例えば出版社ないしはその他利用したい方が問合せしても,教えてくれないという現状になっています。結果的に,私どもの方に聞いてくれということで回ってくる。そして,僕たちの方は,従前から御遺族様の方から信用を受ける形で情報収集等を行っております関係もあって,積極的になるべく著作物利用を図りたいということでお伝えするんですが,その数というのは,やはり限界があるわけです。そうしますと,出版社等の方は,探すといってもなかなか所在もつかめない,四面楚歌(しめんそか)のような状態になって,ほかに裁定制度ぐらいしか合法的には使えないという形になる。ただ,裁定制度の方はどうしても使いにくい部分があるということで,中には,そのまま使ってしまうような事例も散見されるかと思います。そういった困難な状況が現在あります。実際,全く,本当に分からない孤児著作物というのは確かにあろうかと思います。それについては,現在,ここで審議いただいている裁定制度の改善という形で対応していただければと思いますが,一方では,分かるはずのデータというのが,そのまま眠るような形に現状ではなっています。そういった情報がもう少し表に出てくるような形の検討というのもまた必要ではないか,そんなふうにこの情報の照会等に応じていると,現場では感じる次第であります。
 以上です。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 それでは,最後に,事務局から一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構aRmaのデータベースについて,参考資料4に基づいて説明をお願いいたします。

【山中著作物流通推進室長】

  参考資料の4を御覧いただきたいと思います。前回のヒアリングでaRmaさんから提供いただきました資料に一部追加,最後のページですが,8ページにデータベースの主要項目を追加したものでございます。
 前回のヒアリングの中で,実演家のデータベースにつきましては既に説明がされておりますので,主な項目等について,私の方から簡単に御説明をさせていただきます。
 3ページ,4ページのところで,aRmaさんにおいては,ARMsシステムというシステムを作って,このデータベースで業務を行っているということが前回のヒアリングでお話があったわけでございます。それで8ページの方なんですが,そのデータの項目につきまして,今回,特に提供いただきました。
 主な項目でございますが,アーチスト情報として,芸名ですとか連絡先等がございます。それから本人情報としまして,本名や生年月日等を持っているということでございます。ほかに,事務所に関する情報や権利に関する情報などで構成されているということでございました。データ件数につきましては,約10万件のデータがあるというふうに伺っているところでございます。
 簡単ですが,以上です。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 それでは,質疑応答,意見交換を行いたいと思います。御質問や御意見ございましたら,お願いいたします。奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】

  よく分かりました。非常にありがとうございます。簡単に確認だけさせていただきたいんですが,JASRACさんにまず1つお伺いしたいんですが,データベース,検索項目のところ権利者名となっていて,筆名については,これは黒字ですから,公開されてないんですかね。ということは,例えば,作曲家の方であれば,本名でしか検索できないという趣旨なんでしょうか。その辺,私の理解が間違っているか。もし筆名が駄目,検索できないということでなれば,その辺の御事情を教えていただきたいなと思います。
 それからあと,残りのデータベース,JASRACさん以外のデータベースについて,簡単にお尋ねなんですが,アクセス件数のようなものありますか。JASRACさんのは全く規模が違いまして,多分1秒に1件ぐらいの割合でのアクセスがあろうかと思うんですが,文藝家協会さんですとか,複製権センターさんですとか,それからAPGさんのデータベースですとか,年間でもいいんですが,アクセス件数のような情報があれば,教えていただければ幸いかなと思います。
 以上です。

【土肥主査】

  どうぞお願いします。

【浅石委員】

  JASRACでございます。筆名につきましても,全て表示できるようになっております。ここが黒字になっております。失礼しました。JASRACのデータベースとしては,実名の下に筆名があるというデータベースの構造と実名か筆名かの判断がつかない場合であっても,名前をいれていただくこととしております関係上で,こう書かせていただきました。JASRACの筆名で,全部入れますと10万件ぐらいになりますが,それは全部引けるようになっております。

【奥邨委員】

  ありがとうございます。

【土肥主査】

  もう一つの御質問だったんですけれども,順にお願いできますか,アクセス数です。

【長尾氏】

  文藝家協会でございます。データベースへのアクセスをカウントするシステムが構築されておりませんので,それは分かりません。

【瀬尾氏】

  複製権センターのデータベースに関して,データは詳細に把握しておりません。きょうは手持ちがないので,申し訳ございません。ただ,写真の方のデータベースに関しては,写真のデータベースでアクセスをした後,必ず団体に電話がいきます。ですので,団体への対応数というのがあるんですけど,やはり1日に数件,かなり多いときと少ないときの波があると聞いておりますけれども,あるというふうには聞いております。すみません,実数が出ないので,申し訳ございません。

【奥邨委員】

  ありがとうございます。

【池谷氏】

  APGのデータベースの方は,アクセス数は把握しておりません,残念ながら。問合せに関しては,事務局に入るのが1日一,二件程度。1件あたりの問合せ数というのは,1人から数十人とか,そういったものまでまちまちかと思います。

【奥邨委員】

  ありがとうございました。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 ほかにございますか,御質問。椎名委員,お願いします。

【椎名委員】

  質問というよりも意見として申し上げたいと思いますが,JASRACさんの資料にも整理されていたように,権利処理というのは,権利者のマスターデータベース,それから作品のマスターデータベース,それから利用に関するデータベース,この3種類がないと権利処理ができないということになります。様々御発表いただいた権利者団体の中でも,一番重要になってくるのが権利者マスターということで,権利者が,誰々がいて,どこにいて,どういうことなのかというようなことをデータベース化していくということなんですが,もう一つ不可欠になってくるのが作品のデータベースということになります。私ども実演家になりますと,実は実演家の特殊事情として,1つの作品に参加している人数が圧倒的に多いわけですね。文藝などの作家さんの場合は,大抵の場合,多くて2人ぐらい,1人の場合が多い。音楽の場合は,作詩,作曲ということで1人ずつということになろうかと思うんですが,音楽にしろ,映像にしろ,実演家の場合は参加している権利者が圧倒的に多いと。これについてが,実演家の権利処理の大変難しいところになっておりまして,一方で実演家も氏名表示権を有しておりますので,基本的に著作物に表示をしていただくというような建前になっていますが,必ずしも厳密に入っていないというようなことがあります。それはそれで申入れなんかをしたりもしているわけですけれど,結局,権利者団体の方で集められるのは,二次利用が生じた著作物だけについて,音楽について,映像について,参加実演家をデータベース化していくというようなことをやっているに過ぎません。不明権利者を生まない仕組みということを考えたときに,以前も申し上げましたけど,音楽にしろ,映像にしろ,コンテンツが収録される時点で,そういう作品のメタデータとして参加実演家なんかがきちっと記録されていくような仕組みができれば,はるかに不明権利者は減っていくんではないかと,そういうふうに思っておりまして,そういうようなところを早期化するような実証実験も今年,放送事業者さんとの間でやっていこうというふうなことにはなっております。そういうメタデータの整備というような観点でも,是非御議論いただけたら有り難いと思います。
 以上です。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 ほかに御質問,御意見ございましたら,お願いいたします。大須賀委員,どうぞ。

【大須賀委員】

  JASRACさんの方にお伺いしたいんですけれども,先ほど尋ね人Webというのがあるというお話だったと思うんですけれども,そこで,例えば権利者,あるいは遺族の方が連絡先は教えないでほしいと言われ,かつ,そもそも許諾する意思もありませんというふうに明確におっしゃった場合に,問合せがあった先に伝えるのは,連絡がつかないということだけなのか,許諾する意思もありませんというところまでお伝えになるのか,その辺りの事案がもしありましたら教えていただければと思います。

【浅石委員】

  連絡先の公表はしておりませんが,JASRACにお問合せがあった場合で必要な状況であれば,こちらの方から権利者,あるいは遺族の方に御連絡をして,こういう使い方のお申出ありますが,との照会をしまして,私どもの方から回答をするか,あるいは直接連絡してもらって構いません,ということであれば,その連絡先をお教えするようにしております。JASRACの管理楽曲であれば使用許諾を出しますが,例えばCMで使いたいというようなところがあった場合は,そういったやりとりをするということはあります。

【大須賀委員】

  どうもありがとうございました。

【土肥主査】

  よろしゅうございますか。
 ほかにはいかがでしょうか。道垣内委員。

【道垣内委員】

  ありがとうございました。こういう文字のデータで検索するシステムでさえ,まだ十分ではないようですけども,音楽とか写真とかですと,これを使いたいという,映像なり,音とか,そういうものを入れれば検索できるようなデータベースも必要なのではないかと思うんですが,そういう可能性はあるのか,ないのか,いかがでしょうか。そういう需要がどれくらいあるのかも,私ども分かりませんで,どういうふうにお考えなのか伺いたいと思います。まずは音楽から。

【浅石委員】

  データべースではありませんが,別の業務では実際に使っております。

【道垣内委員】

  そうですか。

【瀬尾氏】

  写真については非常に多くて,結局は,コンテンツデータベースからのいわゆる権者捜索というお話かと思うんですけども,写真のコンテンツデータベースを網羅することはまず不可能ですし,これは逆に,美術にしても,何にしても,匿名なコンテンツ側から著作者を特定するということは,多分,今後も含めて,ほぼ不可能,より不可能になっていくというふうにお思いいただいて間違いないんではないかというふうに思います。

【土肥主査】

  ほかにいかがでしょうか。はい,どうぞ,奥邨委員。

【奥邨委員】

  すいません,この文化審議会の場で議論するべきことではないと思いますし,単なる感想ということになってしまうかもしれませんが,他で申し上げるところもないので一言。先ほど美術家連盟さんの方から,著作権者などについてオリジナルのデータを持っておられるであろう,例えば美術館さん等々からのデータ提供を求めても,個人情報保護法によってかなわないこともあるというようなお話がありました。もちろんそういうことはあると思いますが,一方で,個人情報保護法の場合は,個人情報を集める際に,第三者提供についての許可を取る若しくは第三者提供するということを通知しておれば,第三者提供は可能であって,いやだという人についてはオプトアウト方式で対応するということが可能なシステムになっています。この点,多くの場合に使われている個人情報保護ポリシーなどは,提供された個人情報についてその目的にしか使わない,第三者提供はしない,というようなことをひな型的に決めてしまっていますので,ほかに出せないという問題があります。もちろん,個人情報の保護という点では望ましいのですけれども,例えばこういう権利者の探索のために必要な場合は,第三者提供するというのは,一方で必要なことではないかと思います。したがって,美術館など著作権者についてオリジナルな情報を持つようなところで個人情報保護ポリシーなどを決められる際には,そういうことも織り込んだものを定めていただきたいと思うのです。そして,そうすべきだと言うことをひろく呼びかけていくということをしないと,いざというときにオリジナルの情報が集まらない,という問題になります。また,集めようとしたときに,ここの個人に全部確認しないと駄目,出せないというようなことになると思います。したがって,最低限の範囲は提供することがあるというようなことを標準的な運用にされるように,どこの場が適切か分かりませんけれども,呼びかけていくということも一つ,今後のデータベース充実のためには必要でないかという感想を持ちました。
 以上であります。

【土肥主査】

  ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。
 それでは,本日,御発表いただきました関係者の皆様におかれましては,お忙しい中お越しいただいて御発表いただき,ありがとうございました。今後,頂いた御意見を参考とさせていただきながら議論を進めてまいりたいと思っております。
 それでは,本日の議事の3の議題に入りたいと思います。「著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム」の検討報告についてございますけれども,先ほど御紹介いただきましたとおり,本ワーキングチームにつきましては私が座長を務めておりますので,私の方から簡単に報告させていただければと存じます。
 資料の7を御覧ください。資料の7,「クラウドサービス等と著作権」及び「クリエーターへの適切な対価還元」に関する検討経過報告と題する資料でございます。
 まず,1ページ目の1,「検討に至る経緯」を御覧いただければと思いますけれども,本小委員会における議論の状況などを踏まえ,「クラウドサービス等と著作権」及び「クリエーターへの適切な対価還元」の問題をより専門的かつ集中的に検討を行うため,昨年11月1日の本小委員会において設置されたのが,このワーキングチームでございます。
 開催状況及び検討経過につきましては,2の「開催状況,検討経過」を御覧ください。今期は,昨年の12月と今年の2月の合計2回開催したところでございます。
 第1回ワーキングチームでは,クラウドサービス等と著作権につきまして,榊原チーム員,浅石チーム員から,クラウドサービスの詳細な実態や著作権法との関係について御発表いただくとともに,奥邨チーム員から,近時の米国におけるクラウドサービスに関連する裁判例の動向等について御報告をいただいたところでございまして,これに基づく議論を行ったところでございます。
 また,クリエーターへの適切な対価還元に関連しましては,関係団体であるCulture First推進団体から,新たな補償金制度創設に係る提言について御発表いただいたところでございます。
 それから,第2回のワーキングチームでは,この第1回の議論をもとに,ロッカー型クラウドサービスをより詳細に分類し,その上で,今子チーム員,丸橋チーム員,榊原チーム員から,事業者としての視点を踏まえた分類ごとについての意見発表を行い,それに基づく議論を行いました。
 また,クリエーターへの適切な対価還元に関連し,私的録音録画に関する実態調査が行われているようでございまして,株式会社野村総研から当該調査について,現時点についての進捗状況等について御報告をいただきました。
 今後の方針につきましては,2ページ目の3の「今後の方針」とありますとおり,「クラウドサービス等と著作権」及び「クリエーターへの適切な対価還元」について,専門的かつ集中的な検討を更に行い,各関係者への合意に向けた議論を通じて一定の結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
 私が今申し上げました報告について,何か御質問,御意見ございましたら,お願いをいたします。特にございませんか。ありがとうございました。
 それでは,時間もございましょうから,4の議題に入りたいと思います。
 本日は,今期最後の法制・基本問題小委員会ですけれども,本小委員会としての結論の取りまとめに至った事項はございませんでしたので,3月5日水曜日の著作権分科会では,私から,小委員会の審議の経過等について報告をさせていただきたいと思っております。それでは,資料にあります審議の経過等の報告(案)について,事務局より説明をお願いできればと思います。

【菊地著作権課課長補佐】

  それでは,資料8に基づきまして,簡単に法制・基本小委員会の審議の経過等について御説明を申し上げます。
 まず,ローマ数字1の「はじめに」にございますように,本小委員会では,これまで著作権法制度の在り方や著作権関連施策に係る基本的問題についての様々な課題について御検討いただいておりますけれども,とりわけクラウドサービス等と著作権及びクリエーターへの適切な対価還元に係る課題,それから裁定制度の在り方等に係る問題について御議論をいただいたところでございます。
 ローマ数字の2では,各課題の審議の状況についてまとめてございます。
 まず,1ポツのクラウドサービス等と著作権及びクリエーターへの適切な対価還元に係る課題についてでございます。この課題につきましては,第1回の本小委員会において優先的に検討を行うことが適当であるとされたことを受けまして,第2回小委員会では,クラウドサービス等と著作権に係る課題について関係者からヒアリングを実施し,第2回,第3回のそれぞれの小委員会において,議論の対象となるサービスや著作権法に係る法的論点について御議論をいただいたところでございます。その結果,クラウドサービスに関する検討を進めるためには,クラウドサービスの内容をより細かく分析し,集中的な議論を行う必要があるとの意見が示されていたところでございます。また,私的使用目的の複製が関係するクラウドサービスに関連して,クリエーターへの適切な対価還元の在り方も併せて検討すべきであるとの意見も示されたところでございます。これらの審議の経過を踏まえまして,11月に開催をされました第4回の本小委員会において,先ほど土肥主査より御説明ございましたが,ワーキングチームを設置することとなったところでございます。
 2ページ目をお開きください。(3)のワーキングチームにおける検討の状況につきましては,先ほど土肥主査より御説明がございましたので,重ねての紹介は省かせていただきます。
 次に,2ポツの裁定制度の在り方等に係る課題についてでございます。(2)の検討状況でございますが,まず,文化庁が委託研究として実施した諸外国についての調査研究に基づいて,諸外国における権利者不明著作物に関連する法制度について議論を行ったところでございます。そこでは,現行法で定められている裁定制度をどのように見直していくのか,また,新たな制度の構築についても検討すべきではないかとの意見や課題をお示しいただいておったところでございます。特に裁定制度の見直しにつきましては,本日御議論いただきました権利者捜索のための「相当な努力」の要件等について,まずは文化庁において告示等の見直しを行うこととなったと書かせていただいてございます。本日御議論いただいた箇所でございますので,ペンディングのPという文字を書かせていただいておりますが,先ほどの議論を踏まえた現状では,このPを取ってお読みいただければ結構かと存じます。
 最後に,ローマ数字の3の「おわりに」でございます。先ほど御紹介いたしましたマル1,「クラウドサービス等と著作権」及び「クリエーターへの適切な対価還元」に係る課題については,ワーキングチームで議論を進めているところであり,マル2,裁定制度の在り方等に係る課題については,裁定制度の在り方の見直しに加え,デジタル・アーカイブの取り組み等も踏まえつつ,必要な措置について検討が求められているところであること,それから,これらの課題については今後も引き続き検討することが必要であると考えられますから,本報告は最終的な報告書とせずに,審議経過報告として審議の進捗状況等について整理したものであるということを記述してございます。
 なお,3ページ目以降,ローマ数字の4,5では,参考情報といたしまして,これまでの小委員会の開催状況や委員の皆様方のお名前を掲載させていただいているところでございます。
 以上,簡単でございますが,資料8に基づきます説明をさせていただきました。事務局からは以上でございます。

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明について,何か御意見,御質問がございましたら,お願いいたします。よろしゅうございましょうか。もしこれでよろしいということでございましたら,このPを取った形にさせていただくということでございます。そのPを取った形で審議経過報告として著作権分科会に報告をさせていただきたいと思っております。そういう取扱いでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】

  ありがとうございました。
 本日,御審議いただく審議事項としては以上でございますけれども,そのほか,特にこの際,御発言等ございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは,本日はこのくらいにしたいと思っております。本日は今期最後の法制・基本問題小委員会ということでございますので,作花文化庁長官官房審議官から一言御挨拶をちょうだいできればと思います。

【作花文化庁長官官房審議官】

  失礼いたします。今期最後の法制・基本問題小委員会でございますので,文化庁として御挨拶を申し上げます。
 本年度の著作権分科会は,出版関連小委員会がかなりの密度で開催されたという,そのあおりを受けたと言っては何ですけれども,この法制・基本問題小委員会は年度を通じて5回開催され,ワーキングチームは2回ということでございます。こちらの方の問題に関心がおありの委員の皆様方におかれては,やや消化不良という思いもお持ちかもしれませんが,これらの問題,来期につなげて我々としてはやっていきたいと思います。
 裁定制度につきましては,本日,文化庁告示の改正案というものを御審議いただきました。本日,御議論いただきました方向性を踏まえて,文化庁としては早急に制度の改善をいたしたいと思います。ただ,本日の議論にございましたように,これでもう終わったというつもりは毛頭ございませんで,世界的にもオーファンワークスの問題とか,あるいは文化的情報のデータベース化の問題というのが非常に大きな著作権制度上の課題になっておりますので,裁定制度というものに限らずですけれども,より円滑に国民の共有資産である文化情報をどうやって国民の方々に提供するのか,あるいはその反面として,著作者の権利がないがしろにしないようにどうすればいいかということを真剣に考えていきたいと思います。
 それから,クラウドサービスと著作権制度の問題,あるいは権利者への適切な対価の還元ということは,やっとキックオフとしたというのが現状であろうかと思いますので,来期,これらの問題について精力的に審議を進めて,しかるべき時期に結論を得たいと考えております。
 また,その他,新聞紙上でいろいろな関連する条約の話も,協定の話もございますが,また文化庁としても適切な対応については抜かりのないようにしていきたいと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても,今年度,小委員会5回,ワーキングチーム2回ということでございます。委員の先生方におかれましては,非常に御多忙の中,貴重なお時間を割いていただきまして誠にありがとうございました。心より御礼(おんれい)申し上げ,今期最後の小委員会の御挨拶とさせていただきます。どうも皆様,ありがとうございました。

【土肥主査】

  作花審議官,どうもありがとうございました。
 その他,事務局から連絡事項がありましたら,お願いをいたします。

【井上著作物流通推進室室長補佐】

  本日はどうもありがとうございました。先ほど土肥主査から説明がありましたとおり,次回,著作権分科会につきましては3月5日水曜日,17時から,この東海大学校友会館で開催することと予定しております。
 以上でございます。

【土肥主査】

  どうもありがとうございました。
 それでは,以上をもちまして,今期の文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会を終了させていただきます。今期はどうもいろいろ御審議に協力いただきまして,誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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