(平成22年第2回)議事録

1 日時

平成22年3月17日(水) 10:00~12:00

2 場所

三田共用会議所 3階 大会議室

3 出席者

(委員)
大渕,小泉,清水,末吉,多賀谷,茶園,筒井,道垣内,土肥,中村,中山,前田,松田,森田,山本(たかし),山本(りゅうじ)の各委員
(文化庁)
戸渡長官官房審議官,永山著作権課長,ほか関係者
(総務省)
秋本参事官

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)「放送法等の一部を改正する法律案」について
    2. (2)権利制限の一般規定について
    3. (3)その他
  3. 3 閉会

5 配布資料一覧

資料1-1
資料1-2
資料2-1
資料2-2
資料2-3
資料3
資料4

6議事内容

【土肥主査】
ちょうど定刻でございますので,ただ今から文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第2回を開催いたします。
本日は,ご多忙のご出席いただきまして,誠にありがとうございます。
議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばないと,こう思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところですけれども,特にご異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
それでは,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【壹貫田著作権課課長補佐】
それでは,配付資料の確認をいたしたいと思います。
お手元の議事次第の下半分をご覧ください。
配付資料一覧とございまして,まず資料1-1といたしまして,放送法等の一部を改正する法律案の概要,これが片面で3枚紙。資料1-2といたしまして,新たな放送法制と題する資料,これは1枚紙でお配りしております。それから,資料2-1といたしまして,通信・放送法制の見直しに伴う著作権法改正等についてという,これは5枚紙でございますけれども,片面5枚紙でお配りしております。それから,資料2-1が新旧対照表,片面2枚紙。資料2-3といたしまして参照条文,これは3枚紙でお配りしております。資料3でございますが,権利制限の一般規定に関する中間まとめ(素案)ということで,これは両面で21ページのものをお配りしております。最後に,資料4といたしまして,ワーキングチームの名簿の1枚ものをお配りしております。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,議事に入りますけれども,初めに議事の段取りについて確認しておきたいと思います。
本日の議事は,「放送法等の一部を改正する法律案」について,これが(1),それから(2)が,権利制限の一般規定について。それから(3)その他,この3点となります。(1)につきましては,先日,放送法等の一部を改正する法律案が閣議決定され国会に提出されたと聞いております。本日は,総務省の秋本参事官にお越しいただいておりますので,秋本参事官から法律案の概要について,それから,事務局からこの法律案に伴う著作権法改正についてそれぞれ説明をしていただきたいと存じます。
(2)につきましては,前回の本小委員会において中間取りまとめに向けた素案を事務局に作っていただいております。それに基づいて議論すると,こういうことになっておりましたので,本日は事務局の作成した中間まとめ,素案ですけれども,これに基づき議論を行いたいと思います。
早速ですが,それではまず,放送法等の一部を改正する法律案について,総務省の秋本参事官からご説明をちょうだいしたいと存じます。よろしくお願いします。

(1)「放送法等の一部を改正する法律案」について

【総務省秋本参事官】
総務省の秋本と申します。本日は,この小委員会でご説明する機会を与えていただきありがとうございます。
主査からご紹介がございましたが,3月5日の閣議決定をもちまして放送法等の一部を改正する法律案が今通常国会に提出されましたので,その概要を資料1-1と資料1-2を用いましてご説明させていただければと考えてございます。
それでは,資料1-1をご覧いただきたいと存じます。
この法律案の趣旨は,デジタル化の進展に対応して現行の法体系を見直し,制度の整理・合理化を図ろうとするものでございます。特に,放送関連では4つの法律がございますので,この放送に関する法律の統廃合を行うこととしております。併せまして,無線局の免許についても見直しを行い,放送事業者の方々にとりまして,経営の選択肢の拡大,事業形態の選択肢が増えるようにということで,無線局の免許,あるいは放送の業務の認定の制度の弾力化を図っているというものでございます。
さらに,法体系各般にわたりまして所要の改正を行っているものでございます。
改正事項の1をご覧いただきたいと存じます。
法体系の見直しといたしまして,イメージ図で現行の法体系から新たな法体系への移行図をお示ししてございます。現行の法体系,左側をご覧いただきますと,放送関連で4つの法律がございます。成立順に放送法,有線ラジオ放送法,有線テレビジョン放送法,そして電気通信役務利用放送法の順で制定がなされてまいりました。新たな技術,あるいは新たなネットワークが利用可能となる都度,実現可能な放送を規律するためにこれらの4つの法律を制定してきたという次第でございます。
通信につきましては,昭和59年に電電公社の民営化に併せまして,公衆電気通信法を改組いたしました電気通信事業法を制定いたしておりますが,これより以前に有線ラジオの設備を使った電話のサービスを規律する有線放送電話に関する法律,いわゆる有線放送電話法が昭和32年に施行され,今日に至っているところでございます。
そして,無線設備を規律する電波法と,有線電気通信設備を規律する有線電気通信法という法律がございまして,通信・放送分野を規律する法律といたしましてはこの8本がございます。この8本に併せまして,特殊法人たるNTTを規律する,日本電信電話株式会社等に関する法律,いわゆるNTT法があるわけでございますが,今回見直しを行いましたのは,NTT法を除く8本の法律でございまして,今通常国会に提出をいたしました法律案が成立いたしますれば,右側の新たな法体系に変わっていくということでございます。
すなわち,電波法,有線電気通信法はそれぞれ一部改正はございますけれども,法律としてはそのまま存続させる。また,有線放送電話法は廃止をいたしまして,必要な規定は残しつつ,電気通信事業法に統合していく。そして,放送関連につきましては,有線ラジオ放送法,有線テレビジョン放送法,電気通信役務利用放送法の3本を廃止いたしまして,必要な規定は残しつつ,放送法に統合していくという作業を行ったところでございます。
主な改正事項について2番でお示ししておりますが,これらはそれぞれ2ページ目,3ページ目に記述を置かせていただいておりますので,2ページに目を転じていただきたいと存じます。
放送法の改正関係につきましては,まず,放送の参入に係る制度,手続の整理・統合,弾力化を図っているところでございます。放送について,まず基幹放送と一般放送という区分を設けることといたしました。基幹放送については,電波法に基づいて,放送用に専ら,または優先的に割り当てられた周波数を使用する放送,これを基幹放送と定義付けすることとし,基幹放送以外の放送を一般放送という定義にいたしております。
この関連で,資料1-2をご覧いただきたいと思います。
現行の放送法制は,公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信を「放送」と定義付けまして,この「放送」を規律する法律が放送法でございます。また,公衆によって直接受信されることを目的とする有線電気通信の送信,これが「有線放送」でございまして,この「有線放送」を規律する法律として現行では有線ラジオ放送法と有線テレビジョン放送法の2つがございます。
新たな放送法制では,これらを大括りでとらえまして,公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信と,これを「放送」と定義付けいたしました。実はこの定義は,現行の電気通信役務利用放送法で採用している定義でございます。
このように放送を大括りでとらえた上で,基幹放送と一般放送という区分を設けることとしたわけでございます。基幹放送については,放送用に専ら,または優先的に割り当てられた周波数を使用する放送でございまして,これを基幹放送普及計画の対象にもしていくという法制化を図ろうとしているところでございます。基幹放送以外の放送が一般放送でございまして,基幹放送普及計画の対象にならないというものでございます。
具体例でどういうものがあるかと申しますと,地上波を用いましたテレビ,ラジオ,そしてBS,110度CSを用いました放送などはこちらの基幹放送に当たるということでございます。一般放送の方の具体例,下の方の矢印に書いてございますが,有線テレビジョン放送や東経124度,あるいは128度に上がっております衛星を用いましたCS放送,これが一般放送に当たりますし,また,有線ラジオ放送もこの一般放送に当たるという整理をしたところでございます。
ここまで見ていただきました上で,資料1-1の方に戻っていただければと思います。
1番の(1)の[2]でございます。基幹放送につきまして,無線局の設置・運用,いわゆるハードと放送の業務,いわゆるソフトに分けまして,この参入手続きについてハード・ソフトを分離することを希望する者のために,無線局については電波法上の免許,放送の業務につきましては放送法上の認定というふうに手続を分離する。これによりまして,放送の事業形態として,必ずしもハード・ソフト一致だけではなくて,ハード・ソフト分離も選択可能にするという法制化を図ろうとしているところでございます。
他方,既存の地上放送事業者は,現在,ハード・ソフト一致で放送の業務を行っておりますので,引き続きハード・ソフト一致で放送の業務を行うことを希望する地上放送事業者のためには,電波法上の免許のみで足りる制度も併存させることとしてございます。すなわち,現行と同様,手続を一つで済ませるための制度も併存させるということでございます。
[3]一般放送に該当する有線テレビジョン放送,有線ラジオ放送,電気通信役務利用放送につきましては,現行法で許可,登録等となっている参入に係る手続を見直しまして,登録を原則とする制度に統合を図ろうとしているところでございます。
なお,一般放送のうち有線ラジオ放送につきましては,現行法でも届出のみで参入可能でございますので,引き続き届出のみで参入可能とする法案としてございます。
(2)はマスメディア集中排除原則についてでございます。
マスメディア集中排除原則について,この適用があるのは基幹放送に限ることといたしました。その上で,基幹放送について,マスメディア集中排除原則の基本的な部分を法律でも定めることといたしました。現行法では,マスメディア集中排除原則の具体的な基準,他の放送事業者に対しまして何%まで出資可能かといった基準は,全て省令に委任されておりますが,今般の法案では,10分の1以上3分の1未満という一定の枠を法定化いたしまして,その範囲内で具体的に省令で定める水準を超えないことを原則とする制度に変えようとしているところでございます。
(3)は安全・信頼性に関わる規定の整備でございます。
平成18年以降,自然災害時に放送の停波が頻発している状況を踏まえまして,放送事業者におきまして設備の維持や重大事故が実際に発生した場合の報告を総務省にしていただく,その規定を整備しているところでございます。
(4)は番組調和原則に関わる規定の整備でございます。
番組調和原則の適用は,基幹放送のうち地上テレビジョン放送,総合編成を行うBSテレビジョン放送に適用がございます。番組調和原則とは,教育,教養,報道,娯楽という番組種別が放送法で定められており,この教育・教養,報道,娯楽という番組の相互の間の調和を図ることを求めているものでございます。これら番組調和原則の適用を受ける基幹放送につきまして,個々の放送番組をどの種別に分類されたか,それを放送事業者の自主自律で分類していただいて結構なんでございますけれども,その結果を公表していただきたいという規定の整備をしているところでございます。
(5)は,有料放送に関する規定の整備でございます。
有料放送のうち,基幹放送の有料放送につきましては,約款の認可制が現行法ではございますけれども,これを届出に緩和をいたします。また,一般放送における有料放送につきまして,現行法では約款の届出制がございますけれども,これは撤廃をいたします。すなわち,総務省への手続は緩和をする。その一方で,実際に受信契約をされようとする受信者向けには,事前に提供条件の説明をきちんと果たしていただくという行為規律を新たに追加しているところでございます。
(6)は,地上放送事業者とケーブルテレビ事業者との間で再放送の同意をめぐっての紛争が現在でもございます。この紛争解決の手段として,総務大臣による裁定制度が現行法ではあるわけでございますが,この大臣裁定制度に加えまして,紛争処理委員会によるあっせん,仲裁という紛争解決手段も追加をすることとしているものでございます。
その他,放送関連4法の統合に伴います放送の定義等の整備をしているところでございまして,本日の会議資料では,資料の2-3にその点が示されているかと存じます。
なお,3ページ目は,電波法と電気通信事業法関係の改正事項でございますが,本日の議題との関わりは比較的薄いかと思いますので,私の説明は次の資料1-2の「新たな放送法制」の方を再度ご覧いただきたいと存じます。
先ほど,基幹放送と一般放送の区分のところまでご説明をいたしました。この一般放送の方は,現行法で言いますと,有線テレビジョン放送や有線ラジオ放送,そして,電気通信役務利用放送がこちらの一般放送の区分に入ってくるわけでございます。有線テレビジョン放送と有線の役務利用放送を特に区別することなく,一般放送という区分で参入手続は原則登録制とし,番組規律は現行の電気通信役務利用放送法並み,技術基準は適合維持義務あり,有料放送の規律としては,説明義務や苦情処理義務がかかるという法制になるところでございます。
それで,この有線テレビジョン放送事業者,あるいは役務利用放送事業者という言葉は,新たな放送法制では出てまいりません。再放送の制度のところでは,登録を受けた一般放送事業者のうち,有線電気通信設備を使う者というような規定ぶりで新たな放送法制では規定しているところでございます。
また,義務再放送の対象となる事業者につきましても,新たに登録一般放送事業者のうち有線電気通信設備を使う者であって,総務大臣が指定した者と,指定再放送事業者という言葉を使っているところでございます。
なお,基幹放送の方につきましては,基幹放送事業者という言葉が出てまいりますし,ハード・ソフト一致で電波法上の免許のみで参入する事業者につきましては,特定地上基幹放送事業者という言葉を使っているところでございます。
参入規律は,放送法上の認定か,またはハード・ソフト一致の場合は電波法上の免許になりますし,番組規律につきましては,現行の放送法並み,そして,技術基準は適合維持義務があり,有料放送を行う場合には,約款の届出義務と受信者への説明義務,苦情処理義務がかかるというような法制に移行させようとしておりまして,今後,国会での審議をお願いしていこうと考えているところでございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,続きまして,この「放送法等の一部を改正する法律案」に伴う著作権法改正について,事務局から説明をお願いいたします。
【壹貫田著作権課課長補佐】
それでは,資料2-1に沿ってポイントを説明したいと思います。資料2-1をご覧ください。
まず1.の過去の検討経緯についてでございますけれども,資料にもございますとおり,IPマルチキャスト放送につきましては,著作権法上,自動公衆送信と位置付けられているところでございます。これは,著作権法上,有線放送と解されるためには,有線電気通信設備によって受信者に対し一斉に送信が行われていること,それから,受信者の受信装置まで,常時送信された番組が届いていることが必要であるという一方,IPマルチキャスト放送につきましては,IP局内の装置までは同一の内容の送信が行われているものの,IP局内の装置から各家庭までの送信につきましては,各家庭からの求めに応じて自動的に行うということでございますので,自動公衆送信と位置付けられているところでございます。
こうした位置付けの下,平成18年の文化審議会著作権分科会において,IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱いにつきまして検討が行われました。
その結果,IPマルチキャスト放送による放送の同時再送信,これにつきましては,有線放送と同様の取扱いが適当であるとされた一方,自主放送につきましては,著作隣接権の付与の可否など論点が広範多岐にわたること,また,実演家等の理解を得る必要があることから十分な検討時間を設ける必要があるということで,引き続き検討を行うことが必要であると結論付けられております。
その結果といたしまして,平成18年の著作権法改正により,著作権法102条の改正が行われ,一定の範囲において実演家及びレコード製作者の送信可能化権を制限し,それとともに新たに補償請求権が付与されたという経緯がございます。
続きまして,2.の「放送法等の一部を改正する法律案」の概要についてでございますけれども,この点につきましては,先ほど総務省さんの方からのご説明にあったとおりでございます。今回の著作権法の改正との関係におきましては,先ほどの説明のうちでも,とりわけ次の2つがポイントになろうかと思っております。
第1に,改正後の放送法においては,現行の法律に基づく有線テレビジョン放送,それから電気通信役務利用放送,IPマルチキャスト放送はこの電気通信役務利用放送と整理されているわけでございますけれども,そうした放送が基幹放送以外の放送である一般放送と位置付けられ,ケーブルテレビ事業者,いわゆる有線放送事業者とIPマルチキャスト事業者がともに一般放送事業者として同等の規制に服するということになること。
それから,2つ目といたしまして,従前有線テレビジョン放送法に規定されておりました受信障害地域における放送の義務再送信に係る規定,これは現行の有テレ法13条でございますけれども,その規定が改正後の放送法では,登録一般放送事業者を対象に規定されているという2つのポイントがあろうかと思っております。
そのことを受けまして,今般の著作権法改正の見直しの内容でございますけれども,3.にございますとおりの見直しを今回は行っております。
もう少し具体的に説明いたしますと,今般の放送法の改正によりまして,放送の概念等に放送法上見直しが行われているところでございますけれども,放送法制は公益的な観点から放送について規制するということが目的として定められている一方,著作権法は,権利の保護と公正な利用のバランスに留意しつつ,私権について規定するというものでございまして,結果として実態上重なり合う部分があるものの,その法目的の違いから概念上の範囲は異なっているところでございます。
このため,今回放送法等の改正によりまして,著作権法上の放送の定義に直ちに影響が及ぶというものではなく,同様に著作権法上の放送事業者や,あるいは有線放送事業者の定義につきましても,放送法体系とは異なる趣旨で,著作権法の固有の考え方に基づいて規定されておりますので,直ちに影響が及ぶものではないと解されます。
こうしたことを踏まえまして,また,さきほどの放送法における義務再送信に係る規定の見直しがありましたので,著作権法を改正することといたしております。
お手元の資料にもございますとおり,具体的には99条の2に第2項を新設しているわけでございます。これは現行の著作権法99条第2項におきまして法令の規定,すなわち具体的には現行の有線テレビジョン放送の第13条第1項を指すわけでございますけれども,有テレ法13条1項により行われる放送の有線再放送につきましては,有線放送権が及ばない旨規定されているところでございます。これは,放送の受信障害を補完するために義務的に行われる有線放送につきまして,放送事業者の許諾を要することは適当ではないという趣旨によるものでございます。
先ほどの総務省さんからのご説明にもございましたとおり,今回の放送法の改正によりまして,一定の区域において,有線電気通信設備を用いてテレビジョン放送を行うものとして総務大臣が指定する者,これにつきましては,受信障害区域内で地上基幹放送を受信して同時再送信を行う義務が課されることとなります。これによりまして,IPマルチ放送事業者につきましても,当該総務大臣の指定の対象となり得るということでございますので,IPマルチキャスト放送事業者が仮に当該総務大臣の指定を受けることとなる場合には,先ほどご説明申し上げました現行の99条と同様,法令の規定によって行われる義務的な再送信,これについては放送事業者の送信可能化権を及ぼすことは適当ではないとの趣旨によって資料2-2の新旧の1枚目にございますとおり,第99条の2に第2項を新設しております。
なお,ここで法令の規定とございますのは,具体的には新放送法の第104条を指すということになろうかと思います。
それから,最後に所要の規定の整理でございますけれども,これは現行著作権法34条において,現行の放送法の第2条の2,第2項第2号に規定する放送対象地域,それから,現行電波法の第14条第3項第3号の放送区域における同時再送信を認めているところでございますので,今回の放送法等の改正に伴って生じた条ずれ,これを整理するために所要の規定の整理を行っているところでございます。
具体的な今回の著作権法の改正内容については以上でございますけれども,冒頭申し上げましたとおり,IPマルチキャスト放送の自主放送の取扱いにつきましては,今回行われることとなっております放送法等の改正に伴う通信,放送法体系の見直し,それから当該見直しに伴う通信放送をめぐる事業実態の推移,これらを踏まえた上での引き続きの検討課題と考えているところでございます。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,ただ今の説明につきまして,ご質問等ございましたらお願いをいたします。
多賀谷委員,お願いします。
【多賀谷委員】
私,この通信放送法制の見直しについての研究会に関与していたこともあるので,その点で申し上げますけれども,今秋本さんと事務局からお話を,解説のほぼとおりだと思うんですけれども,ただ,この新しい法について,私も秋本さんについ最近説明を受けたばかりで,でき上がったばかりなので十分読み取れてはおりませんけれども,2つだけ確認しておきたいと思います。
1つは,今事務局がおっしゃいましたように,今回の通信放送法改正で,特に放送についての著作権法上の概念は大きく変更はしないという,そういうご趣旨だったわけですけれども,ただ,著作権法上放送事業者,有線放送,有線放送事業者という概念がありますけれども,これらの概念は新しい法制で大分変わってくるわけです。秋本さんに確認しておきたいんですが,間違っていたら彼に確認したいんですけれども,私の理解では,有線放送事業者という概念はなくなるんだろうと思います。そうすると,そこら辺の有線放送とか有線放送事業者という概念は通信放送法制ではなくて,著作権法制だけで生き残っているという感じになると思います。そこら辺のところは,いずれはその調整をせざるを得ないことになるかもしれませんということが1つです。
それともう一つは,この制度の新しい法制度の中で一番争点になって,部分的に修正されたというのは,基幹放送についてハードとソフトを分離するという形になってきたわけです。資料の1-1の2ページにありますように,基幹放送について,無線局の免許と放送の業務について分けるという形になっていると。無線局の免許は,条文によると基幹放送局提供事業者が提供し,そして,放送の業務は認定基幹放送事業者が提供するという,そういう概念になっております。
ただ,現在の,ほとんどの放送事業者は,その両方を併せて提供するという,その両方を併せて提供する事業者は,特定地上基幹放送提供事業者という形になると思います。その意味で概念が入り組んできました。そして,一応放送法の新しい通信放送法を見ると,既存の通信放送法の放送事業者という概念はその今のハード,ソフト一致型の特定地上基幹放送の場合にはイコール放送事業者でいいわけですけれども,問題はハード,ソフト分離のときの放送事業者はどうなるかですけれども,一応通信放送法上は,このハード,ソフト分離のうちの認定基幹放送事業者,ソフト側の方を放送事業者というふうに定義しております。著作権法上も多分そういうことになるだろうと思いますし,差し当たりは分離型の基幹放送事業者が出てくるということは余り考えられないんですけれども,将来的にはそういう問題があるということだけご指摘しておきます。
【土肥主査】
ありがとうございました。今の点について,秋本さん。
【多賀谷委員】
いいんですか。有線放送事業者の概念自体は。どうですか。
【総務省秋本参事官】
有線放送事業者という言葉はご指摘のとおり,新たな放送法制では出てこないことになります。その点はご指摘のとおりでございます。
【土肥主査】
しかし,有線放送事業の実態は存在するわけですね。
【総務省秋本参事官】
その実態は存在いたします。
【土肥主査】
ほかにご質問,ご意見ございますでしょうか。
松田委員,お願いします。
【松田委員】
松田でございます。ありがとうございます。そうすると,従前の有テレ法13条の有線テレビジョン放送云々は違う言葉が入るわけですね。
【総務省秋本参事官】
はい。
【松田委員】
その上で,IPマルチキャスト放送については従前と同じで,自動公衆送信に該当するということについては変更がないけれども,放送法制上はこれも一般放送事業になるわけですね。
【総務省秋本参事官】
新しい放送法制では,IPマルチキャストか既存の有線テレビジョン放送の伝送方式かを問いません。公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信をしているかどうかをとらえ,その上で,放送用のためにリザーブされた周波数を使っている放送か,そうでない放送かという点によって基幹放送か一般放送かを区分しております。
再放送のところでは,有線テレビジョン放送施設者という言葉に変えて,有線電気通信設備を用いてテレビジョン放送の業務を行う一般放送事業者という言葉遣いで現行の有線テレビジョン放送法13条と同等の規定を整備しているところでございます。
【松田委員】
そうすると,それにはIPマルチキャスト放送事業者が含まれるということになりますか。
【総務省秋本参事官】
含まれる可能性は当然ございます。
【松田委員】
著作権法上の仕組みは,IPマルチキャストは自動公衆送信で,有線テレビジョン放送は有線放送の概念に入ったままとし,その上で著作権法上は,有線放送権に関する99条の2項だけでなくて,送信可能化権に関する99条の2に2項が必要になったということですね。
【総務省秋本参事官】
さようでございます。
【松田委員】
ありがとうございました。
【土肥主査】
ほかに。
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
今回の著作権法の改正は,放送法等の改正に伴って必要最小限の改正で,実態は従来と変わらないことをするという,こういうご趣旨だとは思うんですけれども,今日の問題じゃないんですけれども,どうも著作権法が余りにも入り組んでいて,放送関連の放送と余りにも齟齬していて一般の人が分かりにくいので,将来的にはこれ何か考えるという予定はあるんでしょうか。
【壹貫田著作権課課長補佐】
もちろんそういったご指摘がございますので,委員の皆様方のご意見も踏まえて,そういった課題があれば,この場かどうかは分かりませんけれども検討はしていきたいと思っております。
【土肥主査】
ほかにございますか。
山本隆司委員,お願いします。
【山本(たかし)委員】
今中山委員がおっしゃったとおりで,一言言わせていただきたいんですけれども,例えば著作権法93条のところで,放送のための固定というのが規定があって,これ無線での放送についてだけこの固定の権利が認められているんですけれども,今回の放送法等の改正というのは,今の技術の発展を反映して,放送事業というのは媒体が有線であるのと無線であると違いがないという背景があると思うんですね。そうしますと,この放送番組を作るというのは,この法律ができたころは専ら無線で放送するものだけであって,有線というのはそれを二次的に放送するだけという背景があったんだと思いますが,今の状況においては,放送番組は無線だけじゃなしに有線であっても作られるという実態の変化を考えると,この辺の著作権法制も抜本的に見直さないといけないんじゃないのかと。そういうことも今後の検討課題に上げていただきたいというふうに思います。
【土肥主査】
壹貫田課長補佐の説明にもございましたように,自主番組については今後検討するということになりますので,山本隆司委員がおっしゃっているところについては当然そういう検討は射程の中に委員会の中で入っているというふうに認識しております。
ほかに,よろしいですか。大体。
それでは,次にまいりたいと思います。
権利制限の一般規定の議論でございます。本日は,事務局の作成していただいております中間まとめの素案に基づいて,権利制限の一般規定の導入の必要性と権利制限の一般規定の内容を中心に議論を行うと,こういうことにしたいと思っております。
それでは,まず最初に事務局から中間まとめ(素案)についての説明をお願いいたします。

(2)権利制限の一般規定について

【池村著作権調査官】
それでは,資料3をご覧いただけますでしょうか。
ワーキングチームでのご議論や,ワーキングチーム報告書,そして前回までの本小委員会でのご議論を踏まえまして,事務局にて作成いたしました権利制限の一般規定に関する中間まとめの素案が資料3でございます。
事前に委員の皆様にはメールで送付させていただいておりますが,本日配付させていただいております資料3は,それに第2章の部分,そして一部の委員の方から事前にいただきましたご指摘等を踏まえた細かな表現上の修正が若干入ったバージョンのものということになります。
まず,全体の構成につきましては,表紙をめくっていただき,目次をご覧いただければと思います。
本日は,コアな部分であります必要性の部分,そして導入する場合の検討課題についての部分を中心に素案を用意してございまして,「はじめに」の部分,そして,「第1章検討の経緯」の部分,「第3章1諸外国の状況」の部分,そして「おわりに」の部分につきましては,本日は案文を用意しておりません。このうち「はじめに」,そして第1章の部分につきましては,権利制限の一般規定の問題の背景ですとか,知財本部のデジネット調査会や知財推進計画,本小委員会での検討に至る経緯,そして,昨年5月からこれまでの本小委員会での検討の経過について,事実関係を中心に簡潔にまとめることを予定しております。
次に,第3章の「1諸外国の状況」の部分につきましては,ワーキングチーム報告書や前期の本小委員会第1回,第2回でご議論いただきました調査研究報告書,こちらにまとめられております諸外国の状況に関する内容を簡潔にまとめることを予定しております。
最後の「おわりに」の部分ですが,こちらは,今回や次回のご議論も踏まえて総括的なまとめを簡潔に記載することを予定してございます。また,本日は省略させていただいておりますが,最終的な成果物には付属資料としてワーキングチーム報告書,こちらを添付することを想定しております。
続きまして,中身について説明させていただきます。
基本的に,前回,前々回とご議論いただきましたワーキングチーム報告書,こちらをベースに作成しておりますので,ワーキングチーム報告書との違いを中心に本日は説明させていただくこととし,ワーキングチーム報告書と内容的に重複する部分につきましては,内容的な説明につきましては省略させていただきたいと思います。ご了承いただければと思います。
まず,1ページから始まります第2章をご覧ください。
第2章では,既存の個別権利制限規定等の解釈論や個別権利制限規定の改正等による解決にいての検討結果を,ワーキングチーム報告書の内容をベースにまとめてございます。
解釈論の部分につきましては,ワーキングチーム報告書と同様に,裁判実務では事案に応じた妥当な解決が図られている実態が一定程度認められるという形でまとめておりますが,これに加えまして,厳格解釈により不合理な結論が現実に生じている実態にあるとは評価できないこと,そして,学説上も近時は合理的な解釈運用を主張する者も多いということを記載しております。
また,個別規定の改正に要する期間と訴訟による解決に要する期間とを比較した部分,具体的には3ページ目の3つ目の段落,そして4つ目の段落でございますが,前々回に本小委員会でいただいたご意見を踏まえまして,あくまでこの比較は一つの目安に過ぎず,この結果のみをもって一般規定の導入の必要性を否定することはできないとの趣旨の記述を追加しているところでございます。
続きまして,4ページから始まります第3章の部分,こちらをご覧ください。
この章では,権利制限の一般規定を導入する必要性についてということで,1項は本日用意してございませんが,先ほど申し上げましたとおり,諸外国の状況について事実関係を中心に簡潔にまとめる予定でございます。
続く2項におきましては,一般規定の導入の是非に関する関係者の考え方を簡潔に整理し,確認しております。
3項では,4ページから7ページにかけまして,権利者に与える不利益,権利制限の一般規定の導入による経済的効果について,法社会学的見地からの検討,そして,憲法学的見地からの検討の各論点につきまして,基本的にワーキングチーム報告書の検討結果と同様の内容を簡潔にまとめております。
なお,このうち5ページの(2)の経済的効果の部分につきましては,CCIA報告のみを根拠に大きな経済的効果が生まれるか否かを確認することができないというワーキングチーム報告書の検討結果に加えまして,ヒアリング結果を踏まえると,現実問題として利用者側に一定の委縮効果が働いている可能性があり,一般規定の導入により,委縮効果が一定程度解消されるのであれば,その結果,経済的効果で評価するかどうかはともかく,何らかの効果が生まれる可能性自体は否定できないという形でまとめております。
続きまして,7ページをご覧ください。
7ページからの「4まとめ」では,一般規定導入の必要性についてのまとめを記載しております。この点につきまして,ワーキングチーム報告書では必要性についての結論,つまり導入すべきかそうでないかという結論は明記しておりませんでしたが,事務局といたしましては,前回の本小委員会において必要性が認められるということでご確認いただいたものと受けとめており,したがいまして,その方向で本日はまとめさせていただいております。
具体的には,7ページの末尾から8ページにかけての「しかしながら」で始まる段落におきまして,各種技術の進展や利用形態等の多様化,社会状況の変化等の諸事情にかんがみると,個別規定の解釈論や改正等による解決には一定の限界があり得ることは否定できず,また,民法上の一般規定に解決を委ねるよりも,著作権に特化した一般規定を著作権法に導入する方が規律の明確化という観点からも妥当であり,著作権法の中に権利制限の一般規定を導入する意義は認められるという趣旨のことを記載してございます。
そして,次の「また」で始まる段落では,ヒアリングの結果等を踏まえると,社会通念上権利者は侵害を主張しないような利用であっても,利用者側において権利侵害の可能性を認識し,ある種のリスクを抱えながら利用することが余儀なくされている場合や,利用自体を躊躇せざるを得ない場合もあると考えられ,著作権との関わりが日常的なものであり,その一方で法令遵守が強く求められる現代社会において,著作物の利用の円滑化を図るという観点からも,一般規定を導入する意義は認められるという趣旨のことを記載してございます。
続いて,その次の「さらに」で始まる段落では,一般規定の導入に消極的な立場から指摘される各種懸念点につきましては,要件や趣旨を明確にする等,現状や関係者の意見に配慮した制度設計をすることである程度解消され得るということを記載してございます。
そして,最後の段落で,結論として,権利制限の一般規定を設けることにより,権利者の利益を不当に害さない一定の範囲内で利用を認めることが適当である,このような形でまとめてございます。
以上が第3章についての説明となりますが,特に最後のまとめのセクションにつきましては,ワーキングチーム報告書にはない新たな部分ですので,ご議論をいただければと思っております。
続きまして,9ページからの第4章,こちらをご覧ください。
この第4章では,権利制限の一般規定を導入する場合の検討課題に関して,権利制限の一般規定により権利制限される利用行為の内容,そして権利制限の一般規定を条文化する場合の検討課題のそれぞれにつき検討結果を記載しております。
まず,9ページから15ページにかけまして,権利制限の一般規定により,権利制限される利用行為の内容についての検討結果をまとめております。内容的には,基本的にワーキングチーム報告書の内容を踏襲しておりまして,それに本小委員会でいただきましたご意見を適宜追加してございます。
そして,一般規定により,権利制限の対象とすることが考えられる利用,こちらにつきましては,10ページから13ページにかけまして,AからCとして整理した類型となります。前回までのご議論を踏まえ,一部枠内の表現を若干修正し,本文につきましても,本小委員会で出された意見を追記してございますが,内容的には変わっていないものと考えております。
13ページの(4),既存の個別制限規定の解釈による解決可能性がある利用への対応,(5)特定の利用目的を持つ利用への対応,14ページのその他につきましても同様に,ワーキングチーム報告書の内容をベースにまとめております。
最後に,15ページの(7)まとめの部分におきまして,権利者側の懸念に配慮しつつ,利用の円滑化を図るためには,当面AからCの類型の利用を権利制限の対象とする一般規定を導入することが適当であるとの結論などを簡潔に記載し,加えて,本小委員会で出されました対象範囲をもう少し広げるべきではないかとのご意見についても記載してございます。
次に,16ページからでございますが,一般規定を条文化する場合の検討課題につきまとめてございます。
まず,16ページの(1)要件等の留意事項では,[1]要件,[2]権利制限の対象とする支分権及び著作物の種類,[3]黙示的許諾の取扱いにつき,それぞれまとめてございます。これらの部分でございますが,ワーキングチーム報告書では,AからCの類型それぞれについての検討結果を別々に記載するという構成をとっておりましたが,本素案におきましては,これをまとめて記載するという構成上の変更を加えてございます。内容それ自体はワーキングチーム報告書と同様でございます。
17ページの「(2)著作者人格権との関係」,こちらにつきましても同様に,ワーキングチーム報告書では,AからCの各類型についてそれぞれ別個にまとめてございましたが,今回は一括してまとめる形の構成に変更しております。こちらも内容的な変更はございません。
18ページの「(3)既存の個別権利制限規定等との関係」,19ページの「(4)関連条約との整合性」,20ページの「(5)強行法規性」,「(6)刑事罰との関係」,「(7)実効性・公平性担保のための環境整備」につきましては,ワーキングチーム報告書の内容をよりコンパクトにまとめ直してございますが,内容的には,特にワーキングチーム報告書からの修正はございません。
権利制限の一般規定に関する中間まとめの素案についての事務局からの説明は以上でございます。どうぞご審議のほどよろしくお願いいたします。
【土肥主査】
ありがとうございました。まず,今ご説明いただいたわけですけれども,2章,3章,4章,こう続いているわけでございます。重要なところは当然ながら3章,権利制限の一般規定を導入する必要性について,それから3章,それから4章ですね。この辺りが重要になろうかと思っております。
それから,2章について今事務局から説明いただいておるところでございますけれども,これももちろん重要な点ではあるんですけれども,ここは先に回させていただきまして,本日においては3章から検討をしたいというふうに思っております。
まず,このページ数で申しますと資料3の4ページですね。4ページから8ページまで,必要性,導入の必要性について記述をしておる部分でございます。この点については,前回の法制小委でご了解いただいたのかなとも思っておるわけでございますけれども,再度こういうふうな内容でよろしいかどうかの確認をさせていただきたいと思っております。どうぞご意見等をいただければと思います。
小泉委員,どうぞ。
【小泉委員】
先ほどご紹介ありましたとおり,ワーキングチームは各論点について検討しておりまして,それらの各論点を総合して,全体として,では導入すべきかというところはあえて自粛というか,検討しませんで,この法制小委で議論するということで進められたと理解しております。その点では,この7ページ,8ページにまとめていただいた内容で,総論的には大変全くそのとおりであって異論がないところだと思うんですね。
ただ,いろんな論点がありまして,今後この後もご検討いただくと思うんですけれども,とりわけ私は,知財の専門家なんですけれども,今回ワーキングチームに参加させていただきまして,大変印象強く受けましたのは憲法の先生,あるいは刑事罰の専門の方々からこの一般条項を導入することに関してかなり慎重に臨むべきだというご意見が出たということです。その辺りを踏まえて,非常に具体的に言いますと,規定ぶりに注意すればこういうものを導入することはよろしいと,前向きなんだというのは総論的にはそのとおりなんですけれども,果たして,既にこのAからCの類型自体,言葉を選んで,相当制約的に我々のつもりとしては要件を書いているつもりなんですけれども,にも関わらずと言うんでしょうか,後ろの方の刑事罰のところを見ますと,例えば軽微という言葉であっても不明確であるおそれがあるので慎重にというふうに書いてあって,「軽微」以上に制約的な言葉というのは果たして見つかるのかなということです。大きな方向性としてはここでもちろん進めていただくということに何も異論もないんですけれども,何か具体的なゴールというものが私自身見えておりませんものですから,慎重に進めてどの辺に行くかということが分からない段階で,総論のみで果たしてそうですねと認めてしまってよいのかということを非常に悩んでいるところでございまして,今,長くなって恐縮ですけれども,せめて申し上げられることは,この報告書全体をお読みいただいて,刑事罰なり憲法の問題等にも配慮されて立法に臨んでいただければと,委員としてはそのように強く希望する次第です。 以上です。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。 松田委員。
【松田委員】
私は,ワーキングチームから受け取った後の議論として,最後のまとめの7ページ,8ページのまとめですが,かなり相当な取りまとめになっているのではないかなと思います。
制限規定を設けようとして審議しているときに,その制限される内容は大体委員の頭の中に共通に持てるわけです。ところが,この権利制限の一般規定だけはなかなか同じものが持てないものですから,この先このまとめでいいのか注意を要します。
それは,8ページの最後の2段落目,「さらに」のところから始まるところです。権利制限の一般規定の要件や趣旨をある程度明確にすることなど,制度設計をすれば問題は解消することができるのではないかという趣旨のことが書かれています。このとおりなんです。そして,一応A,B,Cとして類型が出ていますから一応ここまでは分かるんですが,制度設計は一体どうなのかということになると,やっぱり共通のものが描けないのではないかなと思います。そこのところがこの議論の難しさであるなと思います。1つの提案として,この制度設計のもうちょっと具体的なことをこの中間まとめないしはその後の報告書のところで書けないのだろうかという意見を出しておきたいと思います。しかしながら,7ページから8ページにかける今の段階のまとめとしては,私の個人的な意見に沿うということで賛成をしたいと思っています。
【土肥主査】
ありがとうございます。ほかに。大渕委員。
【大渕委員】
この部分の検討の難しさは今までご指摘があったとおりでありますが,これは先ほど出ていたところに関連する面もありますけれども,結局はこの順番としてはまず抽象的な形で導入制を議論した上でまた各論的なもので詰めるという形になっているんですが,これは実際上,ワーキングという意味での作業でも両者の相互に密接に関連していて,どういうようなものを入れることについて必要性があるかという,両者非常に密接に関連しておりますので,そういう意味では,先ほど出ていたところにもありますけれども,このA,B,Cをどう明確にしていくかということで,こういう外縁がはっきりしなければそういうものを導入する必要性というのも出てこないはずだというふうに思っておりますので,そういう意味では漠然とここで議論するというよりは,A,B,Cとして上がっているものをしっかりと詰めていくということがそれ自体としてもちろん重要ですし,そういう明確にディファインされたものが必要なんですかと,ないしは入れたときにどういう問題がありますかという議論になってきますので,そういう意味では,議論する際には順番としては抽象的な必要性から,それが肯定された上で個別の話になりますけれども,もう少し有機的に議論して,かつこれ最終的には前も申し上げましたとおり,A,B,Cというのは裁判規範として民事上,あるいは刑事上の構成要件に直結するものでありますので,そういう観点からできるだけ明確化を図るよう努力していくべきではないかと思っておりまして,その関係ではこれ前もいずれかの機会で申し上げましたけれども,この一般規定というものをどういうふうに考えていくかというところにかかってきますけれども,分かりやすいところで言いますと,ちょっと後ろの方に入っちゃいますけれども,総論の関係だけで言いますと,この10ページにあるAというのは,これ私,ワーキングが始まる前の法制問題処理の際にもこの注にありますように,これ英国法の31条,ドイツ法57条などでは,著作物の付随的な利用について権利制限規定を設けているということで,これらの国では特にこれが不明確だから問題があるというようなこともなく,普通に常識的なところを出しているかと思いますので,これ最終的にはAというのをどういうふうに作り上げていくかということは,私がイメージしていたところはこの英国法,ドイツ法などにあるようなものと同趣旨ということであれば,範囲が不明確だ等々の問題はむしろないんじゃないかというふうに考えておりますので,先ほどのご懸念等も全てこのA,B,Cをどこまできっちりとディファインできるかというところに係って,一般規定ではありますけれども,できるだけ問題のないようにディファインしていくというところが重要ではないかと思っておりまして,これもまたどこかで申し上げたとおりですけれども,例えばこれ,特許法の話ですけれども,著作権法で関連している特許法で69条の1項に有名な特許権の効力は,試験または研究のためにする特許発明の実施には及ばないというふうなことがあって,これは特許の世界では当然の規定だと思っていますけれども,これは事あるごとにこの試験または研究というのをもう少し細かく規定しましょうという努力がされるたびに技術の進歩等に対応できずに,この試験または研究ということでずっとその解釈で賄っているものですから,この辺りが私は前から著作権法に当たっても知恵の一つとしてあいてくるのかと。これを非常にディファインされたものと見るか,非常に外縁の広いものと見るか荒れるところなんでしょうけれども,現に関連する法制で,こういう形で規定されてこの技術の進歩等にも解釈適用で,適用しながら進んできておりますので,こういう辺りの知恵も生かしつつ,A,B,Cをきちんと考えていくという作業と,それからそういうものとして導入する必要性がありますか,ないしは導入することによって,最後はプラス面とマイナス面の相互考慮ということになってくるかと思いますので,その辺りは哲学論,前申し上げましたとおり,哲学論争的なものより確実に国民に権利者,利用者双方にとってベストなものを導くという観点からは,このA,B,Cについての各論のところをじっくりやっていくということが重要じゃないかと思っておる次第でございます。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございます。ほかにいかがですか。
A,B,Cはこの後具体的に検討させていただきますけれども,その権利制限の一般規定を入れる必要性,その点についてご了解がいただけないと話が先に進めないものでございますから,そこの点についてご意見をいただければというふうに思っております。 森田委員,ありましたか。
【森田委員】
先ほどから必要性という言葉を一般的に考えるか,もう少し厳密に考えるかという必要性の概念規定の議論になっているような気がしますけれども,このペーパーの作りでいきますと,ここで権利制限の一般規定の導入の必要性がないということになると,その先の検討にはもう進む必要はないということで終わってしまうわけで,一般論としてはここで書かれているような問題があるということであれば,導入の必要性は認めた上で具体論を詰めていくことになるのではないかと思います。具体論を詰めていくなかで,規定の明確化を図る知恵が出せるかということであって,一般論として必要性は認めつつも明確な規定とする知恵が出せないので導入を見送るということもありうるでしょうけれども,その点は知恵を出す方向で努力するというのが,ここで専門家に要請される役割ではないかと思います。したがって,まずは具体的な検討を進めるという点については,先ほどから出ている意見はそのような必要性を否定するものではなかったように思います。
【土肥主査】
ありがとうございます。いずれにしましても,法制小委はヒアリングを各種団体から受けまして,100にも及ぶような要望事項を受けております。そういう要望事項の全てかどうかは分かりませんけれども,大部分について検討しようということでワーキングチームも検討いたしましたし,ここにこういう案をお示ししておるところでございます。
したがいまして,今森田委員もおっしゃいましたし,皆さんもそうだと思いますけれども,そういう必要性があるという,そういう前提で,そして,その必要性に十分具体の要件の絞り方と言うんでしょうか,その考えているものとそれがうまくある程度一致している,そういう形を知恵を絞ってこれから考えさせていただければというふうに思っております。
よろしゅうございますか,先に進んでも。
それでは,問題のこの第4章でございます。これにつきましては,A,B,C,これが問題になるわけでございますので,まずAについて,Aの10ページの案でありますけれども,その著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い付随的に生ずる当該著作物の利用であり,かつ,その利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるもの。今,小泉委員もちょっと言及されましたけれども,軽微等についてこれははっきりしているのかと,こういう意見も出ておったかと思います。この類型について,皆さんのご意見を承ればというふうに思います。いかがでございましょうか。
これは,著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い,付随的に生ずると,こういうことを言っておるわけでありまして,この前,山本隆司委員のお話,ご意見だと,この「かつ」というのは同格であるというようなご意見だったかと思いますし,そういうことになると,付随的に生ずるというのは,その軽微で受けていると。そういう同格であるとすれば,前の話と後の話は同じことを言っているわけでありますから,ある著作物,著作物に限りませんけれども,何らかの対象物を利用する場合に,それに伴って付随的な関係がある場合ですね。付随性と言いましょうか,そういう付随性がある場合,あるいは,写り込みを当初ここは想定しておったところでございますので偶然性がある場合,こういう場合であって,あくまでも主たる対象物との関係において判断をする。そういうことになろうかと思いますけれども,何かご意見があれば,どうぞ,大渕委員。
【大渕委員】
まず,この軽微等々が明確化というお話がありましたが,これは,先ほどの繰り返し的になりますけれども,多分多くの人のヒントというか,この発端になっているのはこの報告書10ページにあります注20の英国法31条,ドイツ法57条というので,非常に厳格を尊ぶドイツ法でこれに関してどうなっているのかと見ますと,皆さんお手元に法令集があろうかと思いますが,第57条というのは,表題からして重要でない付属物と,非常にシンプルに書かれておりますし,条文の中でも著作物を複製し,頒布し,または公衆に再生することは,その著作物が複製,頒布または公衆への,本来への再生の本来の対象と比べて重要でない付属物とみなされるときは許されるという非常に厳格を尊ぶ,ドイツでもこういうようにシンプルに規定されていて,かつ,プラグラマティズムの国かどうかは別として,英国の31条を見ますと,表題が著作権資料の付随的挿入という,ポイントは先ほどのと共通しているかと思いますが,第1項だけ見ますと,著作物の著作権は,美術の著作物,録音物,映画や放送,または有線放送への著作物の付随的挿入により侵害されないという,これでこの両国においては,制定法に基づいてごく普通に解釈適用されているというふうに承知しておりまして,むしろ私の理解では,このAというのは今言ったドイツ法,だからこれだけを見るというよりは,多分趣旨としては重要でない付属物,この訳が難しくて,ウンフェージェントリヒェスバイデレックだったと思いますが,ないしは付随的挿入インシュデンタルインクルージュンというものをさらにブレイクダウンして,定義してみるとこういうものになるんじゃないかということなので,余りこれで軽微かどうかだけというよりは,むしろ先ほどのようなものをもう少しディファインしてみると,さらに細かく書いてみるとこういうことになるんじゃないかということで,「かつ」の前半と後半でアンド条件になって,2つ合わせて先ほどような付随的挿入とかそういうものを明確化していると思いますし,それからこの前のときでも,前申し上げましたとおり,今までも余り自主的な利用でない等々でこのようなものは理由付けは若干いろいろ他の理由,可罰的違法性がない等々の理由付けになっていましたけれども,従前もこういうものを積極的に侵害とするという見解ではなかったように思いまして,そういう意味では,従前あったものを明確化したということなので,そういう観点から見れば,これを社会通念上の軽微というのをさらに多分言い換えるのは不可能だし,言い換えるとますます分からなくなってくるということなので,ここはむしろ「かつ」で絞り込んで明確化を図っているというふうに理解して,心は写り込み的なもの云々というふうにして,あとは全て細かくまで定義しきった,民事上も刑事上もものは必ずしも多くはないと,一定の範囲の解釈の余地というのは残ってくるので,それはほかのものと比べて同程度のものでありましたら,それは全て書き切ることはそもそも不可能なので,そういう観点から見ていけば,むしろさほど気になるものではないのかなというふうに思うのが1点と,それから,先ほど写し込みが入るのかどうかという,これインテーショナルであるものは即はじかれるのかどうかという辺りもきちんと議論していく必要があって,これは多分,これはもう写り込みと言うとアンインテーショナルなものしか入らないということでもあるんでしょうけれども,この写し込み,インテーショナルなものが絶対外れるかと言われると,最終的には付随的なものと言えるんであれば云々というところの,それはどちらにも,私は別に写し込みだから即全部アウトというふうにはならないんではないかと。ただ,写り込みの方が認める範囲は広くて,写し込みになると狭くなってくるというような関係はありますけれども,そこの点も含めてきちんと議論して,これは最終的には裁判規範になってきますので,そういうものとしてきちんと文言面,内容面を詰めた上で,そういうものとしてこれは導入の必要性を考えていくというふうな作業になってくるんではないかというふうに考えております。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
今の大渕委員と基本的には同じなんですけれども,この程度の文言は,著作権法の他の条文でも幾らでもあるわけですね。例えば,必要と認められる範囲でだとか,あるいはやむを得ずとか,不当に利益を害さないとか,あるいは通常の家庭用装置だとか,そういう意味での言葉は著作権法であれ,他の法律であれあるわけでありまして,特にこれがもっと厳格にすべきであるという必要性はないというふうに思いますし,今大渕教授がおっしゃったように,これもっとやれと言うとどういう文言になるのという問題は必ず出てくると思います。
【土肥主査】
ありがとうございます。大渕委員にもおっしゃっていただいたように,ここの領域,そこのところは本来従来からこういう行為が罰せられるというふうには考えていなかったところだろうと思うんですけれども,そういうところについて今回これは明確にそれは著作権の侵害ではないと,そういうことを言うのがこのAでありますので,これによって刑事罰を導入するとか,あるいは刑事罰を導入する際の明確性を損なうとか,そういう議論にはならないというふうに思います。
したがいまして,従来から言うとこれぐらいと言いますか,ある一定の領域があるところを一定程度,つまりそこを明確に権利侵害は成立しませんよと,刑事罰も成立しませんよと,そういうふうに明確に言うわけでありますから,明確性の要件に触れるとか,そういう話には到底ならないものだというふうに思っておりました。
はい,どうぞ,道垣内委員。
【道垣内委員】
最初に主査がご説明になった際,「かつ」という言葉について,前半と後半同格であるとご説明になったと思いますが,同格という意味がちょっと分からないので,ご説明いただけますでしょうか。Cのところは確かに今回の紙では括弧書きになったので,これは言い換えているということになろうかと思いますけれども,AとBについては,前回私がお伺いしたところでは異なる2つの条件つあって両方満たさなければならないと理解いたしました。したがって,Aでは付随的利用であっても大規模な侵害は許されないということだろうと思います。同格という言葉がどういう意味なのかもう少しご説明いただければと思います。
【土肥主査】
山本委員,どうですか。
【山本(たかし)委員】
この前ご説明したときは,同格という言葉を使わなかったんですけれども,それは主査の方の解釈だと思って受け取ったんですが,要は付随的に発生する利用であっても,軽微な場合とそうじゃない場合があると。その2つの要件がこの場合には必要ですよという,まさに意味的に「かつ」であって,同じものを意味しているんじゃないというふうに私は理解しております。
【土肥主査】
ありがとうございました,訂正いただいて。よろしいですか。
ほかに。大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
まさしく今の辺り非常に重要で,先ほど主査が同格でと言われたんですが,それは多分,若干ミスリーディングな表現で,ここはきちんと「かつ」というふうに,これがやはり何かあいまいな形でやるよりは,この2つは,これは言い方次第で前半が割と,行為との関係で付随的かどうかという話で,それで「かつ」の後が質的,量的な軽微性というもので,トータルとしてこれを呼び方としては付随的利用とトータルとして呼ぶかどうかという話は,それは説明の仕方なので,ただ,ここでは,今後こういうのができたときには表題としては付随的利用というふうな表題がつく気もするんですけれども,そこで言っている付随的というのは価値的に見てトータルとして見て付随的だよという話と,ここで言っている,Aで言っているのは前半部分,わざわざそこをトータルとしての付随性というのを明確化を図るべく「かつ」というアンド条件でつないで,軽微性というものと前半の行為との付随性というのを「かつ」で結んで明確化を図っているという,そういう趣旨ではないかというふうに思っております。何かこういうのをきちんとしていくことが,実質は多分先ほどどなたかもおっしゃっていたとおり今までと変わらないんですけれども,それが非常にクリアな形で示されれば示されるほど権利者にとっても,特に利用者にとっても非常によい結果が生ずるということになってくるんじゃないかと思っております。
そういう意味で,こういう議論,地に足をついた議論を進めていって,よき立法の方に努力していくべきだと思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
中村委員,お願いします。
【中村委員】
ちょっと議論を整理させていただくと,このAについては,まず付随的という部分を先にどんなものかということで,写し込みと写り込みの話がありまして,前回までのここでの議論では,Aというのは写り込みというふうにまとめられていたようにも思いますし,ワーキングチームの報告書の17ページには,偶発的に写り込んでいるものという記載もございましたし,また,海外の例で,ワーキングチームの報告書の19ページのカナダの例で行くと,偶然にかつ故意ではなくという記載もございまして,かなり大きな流れとしてAは写り込みを念頭に置いているというふうに思っておりましたところ,今回の取りまとめ素案の10ページの注として,写し込みであっても具体的事案ではAに当たるものものあるかのような表現がありますので,大渕先生おっしゃるとおり,本当にそうなのかどうなのかというのをちゃんと議論した方がいいと思われますし,また,これまでのお話の中で,写し込みであっても付随的な場合は当たるんだというと,ちょっと仮に写し込みの中でAに当たるのがあるとすると,個別の何か細かい事案であんなもの,こんなものというのではないんですが,類型的におよそこんなものなんだというのがやはりこの会議の場で議論されていくべきだと思いますし,逆に写し込みであってAに当たらないものというのもきっとあるわけでしょうから,そうすると,写し込みの中でAに当たるものと,写し込みの中でAに当たらないものは類型的にこんな区別ができますよと,それがまず付随的ということの意味なんですということを議論していくべきで,付随的というものが一体どんなものなのかで,写し込みの中で当たるもの,当たらないものがあるのかというときに,また付随的かどうかなんですということになるとちょっと議論が回ってしまうので,例えば付随的と言えるときに,およそこんなメルクマールで考えると,仮に写し込みを入れても,類型的に判断できるというのであれば非常にすっきりした整理になるかなと思うんですが,ただ,一方で,前回の主査が取りまとめいただいたとおり,Aは写り込みを考えるんですと割とぴしゃっとおっしゃったので,もしそうであれば今の議論が多分要らなくなるんですが,ですので,ここはまず軽微な話に行く前に付随的は一体何なのかということで議論した方がいいかと思います。
【大渕委員】
よろしいでしょうか。私が先ほど申し上げたのとは,これはメインAで想定されたのは写り込みなんでしょうけれども,写り込みというインテーショナルになったら即外れるかと言われるとそういうことはないでしょうと。ただ,付随になるのはより難しくなるでしょうということで,例えば,あるものを撮りたい場合に,何か美術品か何かが余りに近くてどんなアングルから撮っても必ず入っちゃうという場合だったら,知らずにぱっとあるもの撮ってみたら入っちゃったというのはアンインテーショナルなものなんでしょうけれども,いろいろ考えて入らないように撮ってみたけど,きれいな写真を撮ろうとすると,ある種インテンショナルであるわけです。分かっているけど,端っこの方に入ってしまうというような場合だったら,厳密に写り込みだけとやると知っていてやっているんじゃないか,写し込みじゃないかと,即Aから外れるかと言われると,多分そこはイメージ的には写真の端っこの方に入って,それがインテーショナルでも,だから写し込みじゃなくて写り込みではあるけれども写真の中で付随的な位置を,大体一番分かりやすいイメージというのは一部に入ってしまっているという,そういうものだったらこれには入れるんじゃないかという,ちょっとすみません,イメージに分かりやすいかどうかは分かりませんけれども,申し上げたかったのはそういうふうな感じになってくるんじゃないかなと。だから,写り込みだから即アウトということはないんじゃないかと。
【土肥主査】
ここのところは,前回の私の発言について,中村委員にも指摘を受けているところでございますので,申し上げますと,少しニュアンスがここに書いてあるものと私の認識とは違うのかもしれません。違うのかもしれませんけれども,要するに写し込みという場合に,それが当該著作物を利用することを意図しているという意味の写し込みであればそれは入らないと私は思っております。だけども,この規定に書いてある著作物の利用を主たる目的としないというふうにちゃんと書いてあるわけでありまして,主たる目的としない,そういう利用行為ですね,そういうものが,それはいわゆる結果として写し込みになったとしても,それは適用があるんだろうというふうに思いますので,私の理解としては,その著作物の利用を主たる目的とするか付随的とするかどうか,そこでそれはどういう要素で見るかというと,その著作物を前回申し上げましたけれども,代替性の要件があるかどうか,それを取り替えてもいいかどうか,そういう,そうでないといけないということがあるかどうかという,そういう判断で行けばいいのではないかと思って前回発言したということでございます。
山本委員,どうぞ。
【山本(たかし)委員】
こういう問題は,皆さんが抽象的な言葉なので何をイメージするか全然違っている可能性がありますので,ちゃんと議論しておきたいと思います。私がイメージしているのは,例えば写り込みであれば,街頭で写真を撮っていると。そのとき後ろにバスが走って,そのバスにミッキーマウスの絵がついていたと。写り込んでしまったと。
これは全く写り込みですが,写し込みもこのAに該当する場合があるんじゃないかと。
例えば,子供にミッキーマウスのぬいぐるみを買ってきたと。そのときにお誕生日だったので買ってきたと。お誕生日に一緒に子供の写真を撮るときに,ミッキーマウスの人形を抱かせると。このときは意図的にミッキーマウスの人形を抱かせているんですけれども,これも写す主たる目的はあくまでも子供であって,それがお誕生日の記念とかということであって,決してミッキーマウスの写真を撮るとかというところにはない。という意味で,著作物を利用したことが主たる目的ではないと。
しかし,これは写し込みにはなりますが,付随的という形でこのAに入っていいんじゃないかと。また,その理由もここで言うところの質的または量的に社会通念上軽微に当たって,Aに該当するという理解を私はしております。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
私も基本的には今の山本委員と同じなんですけれども,これ偶然写っちゃった場合とか,先ほど大渕教授がおっしゃったように,何とか避けようと思ったけど不可避な場合とか,これは恐らく今の条文でも裁判官何とかしてくれるだろうと思うので,ですから恐らく写り込まれている場合で一番問題なのはインテーショナルなものだと思うんですね。これは主査がおっしゃったように代替性があるものは駄目だというのは別にミッキーマウスである必要ないんですね。何の人形でもいいわけです。だけど,あえてミッキーマウスをやったのは代替性があるんだから侵害だと言われるのは私はちょっとおかしいんじゃないかと。これはいろんなケースがあるわけで,なかなか言葉ではいいあらわせない。
【土肥主査】
代替性があるからセーフなんです。つまりそれでないといけない,その著作物の利用でないといけないという関係がないから。
【中山委員】
だから,ミッキーマウスでなければならないという必然性がないわけでしょう。
【土肥主査】
だからセーフ。
【中山委員】
だからセーフ?普通はだからアウトでしょう。
【土肥主査】
それを使っている,それでないといけないという場合には,それはいわばここで言うところの著作物の利用を主たる目的としていて,付随的ではない。
【中村委員】
あるからセーフとおっしゃっているの。
【中村委員】
代替性があるからセーフ。じゃあ……
【道垣内委員】
ミッキーマウスはアウトではないですか。
【山本(たかし)委員】
誕生日のプレゼントですから。
【中山委員】
とにかく……
【土肥主査】
だから,代替性があるから……
【中山委員】
代替性がないと不可避的だからやむを得ないということじゃないわけですね,そのお話は。
【土肥主査】
代替性があるから不可避的……
【中山委員】
代替性がなければ不可避的だからセーフになるということじゃないんですね。
【土肥主査】
そうじゃないんですよ。
【中山委員】
分かりました。それはそれとして,例えば,雪月花事件なんかは,あれは複製じゃないという理由だったんですけれども,仮にあれがよく見えちゃったような場合は複製と言えないという場合になると思うんですけれども,あれは別にあそこにあれを持ち込んだわけで,別にあれでなければならないということはない,だからセーフだということになるわけですね。
あるいは,前回言いましたけれども,映画なんかもいろいろ持ち込んだりする場合もあるわけ。自分自ら持ち込むわけですね。これも,例えば原作に,この絵と書いてあるからその絵じゃなければならない場合はアウト。だけど,原作に書いていない絵だとセーフということになるわけですか,主査の話ですと。何か代替性で決めるのはちょっとおかしいような気もするんですけれども。
【土肥主査】
どうぞ。
【大渕委員】
私も同様の印象を持っておりまして,これはまさしく絵に描いてあるとおりに考えればいいので,先ほど「かつ」の後ろでアンド条件だよという話をしましたけれども,前半の方も何かブレイクダウンしていくと,まずはその著作物の利用を主たる目的としないという要件と,ある種アンド条件的に付随的というのがあるので,ごっちゃにせずにこうやってブレイクダウンしていくと,要するに主たる目的とするかどうかとか,あるいは付随的かどうかで,多分付随的のところにはインテーショナル,偶発性みたいなのは必ずしも要求されないという整理になるんじゃないかと思いまして,それから代替性というよりは,要するに主たる目的かどうかで,代替性があると言い出すと,ミッキーマウスでもほかのミッキーマウスでもいいとか言い出すといろんなことになっていくので,総合考慮の一ファクターにはなり得るのかもしれませんけれども,要はこのとおり主たる目的は何かというとこで,先ほどの例で言いますとアングルで入っちゃったというのは,本当は写したくないぐらいなのに入っちゃったり,たまたま通っちゃったとかいうのが,それが最低限主たる目的としていないことは間違いなさそうなので,ケースバイケースによるのかもしれませんけれども,たまたまちょうどそういうバスが来そうだから入れたと言ったらそれは主たる目的になるかもしれないし,それはちょっと細かいケースごとになってくるので,ちょっと代替性というのを余り全面に出すとかえってここのところが混乱してくるかなという気がするんですけれども。
【土肥主査】
どうぞ。
【中山委員】
大渕教授おっしゃるとおりだと思うので,私はこの要件以上にブレイクダウンするのは難しいので,ただ応用と言いますか,裁判としては恐らくインテンショナルなものはよりフェアユースなりにくいということはあるだろうと思うんですね。しかし,なりにくいんであって,やっぱりこの要件はこのままでいいんじゃないかという気がします。
【土肥主査】
ほかに。
茶園委員,どうぞ。
【茶園委員】
すみません,ちょっと私,前回欠席しましたので,ちょっと前に議論があったことかもしれないんですけれども,ちょっと分からないんで確認させていただきたいんですけれども,ここでA,B,Cとあるのは,今ずっとAについてどういうものかというのを議論されていて,この問題自体が一般条項に関する問題ですから,その抽象と具体というのをどういう順序なりで考えるかというのは難しいと思うんですけれども,これは例えば一番分かりやすいのは,Aというものについて何か条文化を図るとした場合には,Aというのを非常に具体化していって,どこまで具体化するかはともかく,何を要件にするかというのを考えて,付随は何かというのはちゃんと検討しなきゃいけないと思うんですけれども,そういうふうに考える,ターゲットをそう考えるというのも一つのありようだと思うんですけれども,このA,B,Cというのはいわば例示であって,今A,B,Cと上げられているのは,これは少なくとも最低限これは入れましょうとか,皆さんでこれは入れるということはコンセンサスがあります。例えば,AとBを合わせると,これはあり得ないと思いますけれども量的または質的に社会通常軽微だという。そういうふうにまとめ上げられていくものなのか。ですから,具体的にAなりを考えるというのは重要な意味があると思うんですけれども,それが最終的にどういうふうなものとつながっていくかというのを,いろんな一つに決める必要はないと思うんですけれども,何かそれをちょっと考えないと,ここのAをずっと突き詰めていくというのは重要なんですけれども,突き詰めるだけでは最終的なものと考えないとちょっと生産的ではないかなというふうに思いますけれども。
【土肥主査】
これは何分,ヒアリングで出てきた100項目というのがあって,それに全面的に対応しているわけではないにしても,部分的にはAはどういう類型について,例えば今議論があるような写り込みの類型に対応するようなものとか,Bの場合には著作物を利用する過程においてとか,Cというのはという,そういう要望事項というのが背景にありますので,議論の経過からするとA,B,C全部とってもいいという,そのまとめ,統合しなくて,そのまま持ってきていいという,そういう話になっているわけです。だから,これから中村委員なんかのご指摘は,Aはどういう事例に対応しているのかということはできるだけ明らかにしてくださいねと,そういうことだと思うんですけれども,ですからそこさえ,そういう類型を,事例を,要望を受ければこの案で言うとA,B,Cが全部一つの規定の中に入ってくると。その第1項,第2項,第3項という形で。例えばですが。
【中山委員】
審議会のミッションは,私条文を作ることじゃなくて,A,B,Cが1個,2個,3個になるわけじゃないわけですね。したがって,この場所では大体の方向を決めると。あと細かいことは,この審議会の議論を聞いた上で役所が法制局と詰めていってやると。それはどこにどう入るかは,それは事実上の問題だけれども,とにかく写り込みとか写し込みはどうかということは一応考えておかなければ条文を作りようがない,こういうことじゃないかと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。
はい,どうぞ。
【大渕委員】
私としては,なるべくだったら,先ほどの前半の方の必要性も先ほど申し上げたとおり,A,B,C,技術的に最終的にどう落とし込むかは別として,どこまでディファインできるかというところで大きく変わってきますので,余りここでばくっとだけ決めてあとは担当官に任すというよりは,できるだけ行政訴訟の世界では審査密度という言葉が言われますけれども,私は審議密度を高めた方がいいんじゃないかというふうに考えております。
ただ,本当に技術的な1項,2項というのは多分例えで言われただけで,そういうものはまさしく法制局の話なんでしょうけれども,どういう概念として立てていくかという基本線のところは詰めていくということで,余り1項,2項という,茶園先生が言われたのはそういう趣旨じゃなくて,例えばAとBの共通項をくくると,後半部分に書いてあるかつ質的または社会的,質的または量的に社会的上軽微なものであると,いわゆるディミニマス的なことでくくれるんじゃないかというふう話なので,そういうふうにもディミニマス,ディミニマスはやっていいよと。その中の例示としてA,B,Cみたいにするのか,それともそうでないかという,そちらの話しじゃないかと思って,私はできれば余りディミニマスというとそれこそまた水掛け論になって,これはマイナーだ,マイナーじゃないかというのは本当に物理的に少なければディミニマスなんでしょうけれども,多分価値的なディミニマスというのを考えていくと,そこのところは水掛け論になりやすいので,最終的にこの例えばプロダクトとしてAとBを包摂するようなスーパーA,Bみたいなものにまとめ上げるかどうかは別として,1つあるのは,また出して恐縮ですけれども,写り込みというのはコンセンサスもあるし国際的,これは私が国際的,法的標準だと思っていますけれども,これを認めることがコンセンサスあるので,そういうものを余り混ぜないでこのままにしておいた方が分かりやすいかなと。BはBでまた次議論に行くかと思いますけれども。
その結果,すばらしく上位概念化できればまたその次の段階で考えればいいので,まずはA,Bを考え,抽象論で考えるよりは,いろいろヒアリングで出てきたニーズとかも踏まえた上では,一つAというのは,ここでは表題としてこれがいいかどうかは別として,少なくともいわゆる形式的権利侵害という中にAは入っているし,Bの方は形式的権利侵害と評価するかはともかくということで,この辺りにも両者の性格の差が出ているかと思いますので,最終的には軽微を越えたら駄目よということで,アンド条件で絞りがかかっていますけれども,AとBというのは,やはりこの前半部分でかなり違いますので,別々に考えて,最終的に後でまたこれをまとめられるかどうかと考えればまずの作業としてはAをしっかりとまとめると,Bをしっかりまとめるというところでやっていくのでいいんじゃないかと思っております。
【土肥主査】
Aについて,もちろんもし皆さんさらに議論をしたいと……
【道垣内委員】
具体的にどういう場合を考えるかは非常に大切だと思うんですけれども,写り込みとか写し込みとかという例は非常に分かりやす過ぎる話で,実際には問題にもなりそうにないように思います。そういった例ではなく,インターネットネットを使った利用とか,私の技術的な知識ではうまく思いつきませんけれども,この例外規定を活用して何かビジネスができるんじゃないかと思うような人が工夫するような利用の仕方を考えて見るっべきではないでしょうか。
例えば,個々の人たちが多数でこのAの例外を活用した利用行為をして,ばらばらに行為ではあるものの,それらはまとめてうまくつないで,技術的にどうするのか分かりませんけれども,そうすると小説なり音楽なりが完全に再現できるというような場合はどうでしょうか。それは別の条文で対処できるというのならば,それはそれで大丈夫なのですが,そうでないと危ないことになりはしないかという心配があります。
【土肥主査】
私が言うことじゃないのかもしれませんけれども,最終的にAという類型をこの法制小委で置くべしというふうになりました場合は,ここから先は先ほどの大渕先生も,それから中山先生も言われたと思いますけれども,最近は我々の手を離れて,文化庁の方から法制局を通じてどういう射程にするかということは決めていかれるんだろうと思います。
今おっしゃった委縮効果というのは,確かにA,B,C3つある方が委縮効果はより厳粛することができると思うんですけれども,AはAで一定程度の委縮効果はあるということを考えているわけで,こういう従来不明確であった明確にされていないところについて,これは……
【道垣内委員】
委縮ではなくて,この例外規定を利用して意図的に実質的には違法な活動をするというおそれです。
【土肥主査】
違法なことをやるという,そういうことですね。違法なことをやるということがないように詰めていきたいということなんですけどね。
前田委員。
【前田委員】
関連して,16ページの,これは後の議論の話かもしれませんが,[1]要件の第2段落目に,具体的な要件を定めた上で,著作権者の利益を不当に害しない利用であることという要件を追加する方法があります。これはA,B,Cを通じて横断的にこういう要件を加える趣旨かと思います。だとすると,Aについては第三の要件としてこういったものが加われば,道垣内先生のようなご懸念は若干薄まるということかと思いますが,他方,A,B,Cは基本的に利用者側の視点で作ってあるので,利用者側の行為規範としてはかなり明確なのですが,こちらの権利者側の視点が入ってくると,行為規範としては若干不明確になるのでその点にも気をつけたほうがよいのかなという,そんな感想を持っております。
【土肥主査】
ありがとうございます。
森田委員,先ほどすみません。
【森田委員】
このAの「かつ」の前と後をどのように理解すべきかという議論が最初にあって,その後,いろいろな議論が展開されたわけですが,それをどういうふうに理解したらよいかということについて,1つ確認したい点があります。それから,いまの前田委員の発言とも関連しますけれども,ワーキンググループの報告書では,横断的な要件として16ページにあるような要件を掲げるというのがもう1つ入っていたと思うのですが,このペーパーの16ページの書き方では,「追加の要件とするといった方法も考えられる」とあるので,この要件が課されるかどうかというのは,それもオプションになっている感じがあって,それによってこのAの類型をどう考えるかという要件の考え方も変わってくると思います。
そこは括弧にくくるとしまして,先ほどの「かつ」の前と後というのは,この前の方の「付随的」という概念は「主たる目的」と対になっているというふうに理解したうえで,後の方の「軽微」というのは,それ自体が軽微かどうかという要件として考えると,それぞれが独立の変数として理解することができるのではないかというふうに私は理解しましたが,そういう理解でよいかどうかということです。
フランス法では明文の規定はありませんけれども,アクセッソワール(accessoire)の法理というのがありまして,アクセッソワールというのは要するに主従関係ですね。したがって,主たる目的なのか,それともそれ以外の従たる目的なのかということで,写し込みというのも,従たるものとして入ってくるとしても,それは主たる目的でないと評価することによって区別をするというわけですので,主たる目的なのか,付随的なのかというのが前者の要件であり,「かつ」の後の方は,従たるものだけれども,それ自体として軽微とは言えないような場合にはやはり問題があるのではないかという要件をもう1つかぶせるというふうに理解することができると思います。
ただ,後者の,問題があるのではないかということの意味を評価するときに,16ページに挙げられた要件にあるような考慮が実質的には入ってくるとなりますと,そこは内容的には要件に重なるところが出てくるとは思います。この16ページの要件はただし書きのようになるのかどうか分かりませんけれども,「かつ」の後の軽微の要件と,それから16ページの要件との関係がどういう関係になるのかという問題がもう1つ出てくるかとは思いますが,「かつ」の前と後の関係はそういうふうに解すれば,独立の2つの要件として説明することはできますし,また,それは合理的なものというふうに理解してよいのではないかと思います。先ほどからなされた議論も,そういう形で包摂できるのではないかというふうに思って聞いておりました。
【土肥主査】
ありがとうございました。道垣内委員のご懸念ということに関しては,前田委員,それから森田委員,我々もまた付加的な16ページのああいう要件についてAとどういう関係にするかというのは議論する機会がございますので,一応よろしいですね。
ほかに。どうぞ。
【大渕委員】
今の点もあわせ考えますと,本当は16ページ的なものトータルにここで議論しておいた方が実はよかったかなと。これは後からやるって,そうするとさらにいいのかなと。今何か実際上そういう法になっていますけれども,そういうような何か道垣内委員が,抽象的な可能性なのでこちらもちょっとお聞きしてどういうのがあるか分かりませんけれども,大量にやっていてとか,何かそういうのをお聞きすると,このただし書きの方で拾わなくても本当に付随的なのかとか,トータルで見たら社会通念上軽微という辺りに入ってくるのか分かりませんけれども,最後安全弁では最低限拾えそうな感じがするというところかと思いますが。
【土肥主査】
どうしましょうか。皆さんのご提案次第ですけれども,16ページの要件も入れて議論するか,あるいは今日はAだけしかやっていませんけれども,Bも議論しておくか,いかがですか。特急から急に各駅停車になったような感じになるんですけれども。
せっかくですから,16ページの方の要件を,しかし,これは森田委員のご指摘にもあったところですけれども,ワーキングチームの案では,これは一緒に一体としてあったところでありますが,池村さんがおまとめになるときにこれを後ろに置かれて切り離されたということについては,何か意図と言いますか,ありますか。
【池村著作権調査官】
特段意図はございません。重複的な内容が多かったのでA,B,C一緒に最後にまとめたという以上の意図はございません。
【土肥主査】
そういうことなんですけれども。
森田委員,どうぞ。
【森田委員】
そうしますと,16ページの「追加するといった方法も考えられる」というのは,この要件がなくなってしまいそうな雰囲気も漂っていますが,ワーキンググループの報告書では,どちらかと言うとこの要件も伴った形で考えてきたように思います。11ページの「問題の所在」のところの説明理由を見ますと,「利用の態様等に照らすと権利者の特段不利益を与えない著作物の利用行為というものが一定程度存在する」という説明をしているわけですから,「不利益を与えない」ということはどういうことなのかということを書き下すと16ページのような表現になるという関係に立っているのではないかと思いますので,この要件がなくてもそれを読み込むということは幾らでも可能ですが,16ページの要件というのは,現在の権利制限の中にもこの種のものがあるわけですから,その程度は明確に規定しておいた方がよいのかなという感じがします。
そういう意味で,要件が2つになるか,3つになるかというのは,私は2つめと3つめとは実質的には内容は重なってくることになるのではないかと思いますから,ここでの審議の進行の仕方については,その意味でも,両者を切り離しても一緒にしても同じことではないかというふうに申し上げたつもりです。その点は主査にお任せいたします。
【土肥主査】
ほかにございませんか。
【道垣内委員】
16ページの2段落目の文言ですね。これがもし入った場合には,個々の利用者は全くAの要件を具備しているんだけれども,それをつなぎ合わせると全体としては侵害になってしまうと,その場合には個々の権利者に対して差し止め等ができるということになりますか。
【森田委員】
私がお答えすべきことなのかどうか分からないですが,先ほど挙げられた例と,それから,いまの「つなぎ合わせる」ということの意味がよく分からなくて,個々の利用者にそういうことをさせて,それをつなぎ合わせるようなサービスを誰かが意図的にやっているということなのか,それとも,この種のものも,集団として行うと不利益が大きいということなのか,どちらのことを言われているのでしょうか。ネットの話というのは,分散処理をして,個々の利用者には軽微なことをさせるけれども,その背後には,それを意図的にひとまとめにしようとする者がいるという場合には,その人の行為は主たる目的だけれども,個々の行為者は従たるものだというような複雑な例をお考えなのかなというふうにイメージしながら聞いていたのですが,どういう例なのかがまだよく分かっていないので,その点を明確にしていただきませんと,ご趣旨がよく分からないところがあります。
【道垣内委員】
最初にお答えしたように技術的な知識はございませんので,世の中にどういうソフトがあらわれ,どういう利用の仕方があらわれ,ネットに代わるものがあらわれるのか分かりませんけれども,個々にやっていることは適用なんだけれども,全体として(それを誰かまとめるのか,それとも分散してするのか,それはいろんなやり方があると思います。要するに権利者の方々が多分懸念されるのは,これでいいということになると,さあというので,別々の人が意図的にハーモナイズしているわけではなくても,後から見れば著作物全体が完全にネットに載っている状態になるという事態が発生してしまうということではないでしょうか。例えばそのようなことが起きた場合,この16ページのただし書きがあればいいんですとおっしゃるとすれば,それは個々の人たちは何も意図もないんだけれども,そういう状態になった以上は全部削除してくださいということが言えるのかという質問です。
【中山委員】
恐らく,例えば私的使用で個々的にはセーフですよと言われても,みんなデジタルでやると,全体としては権利者の利益を害する,別に誰かが一つにまとめたわけじゃないけれども,全体としては権利者の利益を害するということがあって,で,私的録音とって補償金を作ったという,そういう感じのイメージなんでしょうか。
例えば公害で,個々の会社は別に規制どおりの垂れ流しをしているけれども,全体として見ると非常に大きな損害が生じたということが,これは著作権だってあり得るわけですね。一つにまとめるとか何とかじゃなくて,個々的にはセーフだけど,全体を見ると何か権利者を害しているという,そういうイメージなら非常によく理解できるんですけれども。
【道垣内委員】
私が申し上げたのはそういうイメージかもしれません。個々の工場に差し止め請求ができるということですね。それは条文上うまく書けるのでしょうか。そういう場合はセーフガード条項が働くようにしておかないと,一挙に大きな穴があいてしまうと心配があるのではないかということを申し上げただけです。
【土肥主査】
どうぞ。
【小泉委員】
先ほどの,写し込みの話にちょっと戻って,この機会にコメントしてよろしいですか。
今話題になっている16ページにはもう一つの論点が実はあって,ワーキングチームの段階では,非営利に限ったらどうだという案も少し一時期あったんですけれども,結局,営利,非営利は限らないでおこうということになりました。
その理由の恐らく大きなものとしては,16ページの(1)の[1]の括弧の中に書いてあるとおり,やはり広告写真に写り込みの場合が営利でもあるので,写り込みは仕方ないから,これは営利でも救ってあげましょうというのがあったと思うんですね。先ほどの山本先生が出された例というのは,個人のスナップの中に写っちゃいましたというような非営利的なものであるので,これはば誰が聞いても恐らく付随的でいい例かどうかは別として,救ってあげようという気がすると思うんですけれども, 一方,営利で写し込んだ場合,例えば1枚の写真の中で,これは部屋を撮ったものであって,あなたの絵を写したわけじゃありませんという言いわけを認めるように法制化することについて合意が本当に得られるのかなという心配があります。
雪月花のような例でなく,著作物として本質的な特徴が感得できているにも関わらず,これはあなたの絵はメインではありませんという理由でお金払わないということが法律で一律に決められるものなのかなという,今日は懸念ばっかりなんですけれども,そういう気がしております。ですから,営利,非営利をこのまま外すということで行かれるならば,10ページの注の21のような形で写し込みも入り得るという,現時点では議論が詰められていないことをあえてここに注記してこの報告書を世に送り出さなくてもいいのかなという気もしますし,もし送り出すのであれば,その写し込みについてさらに次回なり議論をしたいと希望しております。
【土肥主査】
どうぞ。
【松田委員】
今日の写り込みと写し込み,写し込みでもなるほど,Aに当たるような場合があるというのはよく分かりました。この議論をきちんと整理したら,これははある程度文書として整理できるのではないかと私は思います。むしろそれよりもAの類型で写し込み,写り込み以外のものは何があるのかというのが私には分からないんです。その議論をしてもらった方が私としてはイメージがわくのじゃないかと思うのですが。
【土肥主査】
その点は,どうしましょうか。池村さん,そこのところなんですけれども。一応ワーキングチームではどういうものが入ってくるというのは想定しましたよね,100の中の。だから,その要望事項のうち,どういうものがここに入るかということを松田委員にも一度見ていただいて。
【松田委員】
それで,実は,AとBがいつも代表的例だけで論じられているので何かないかなと思って昨日から考えてみました。ところが,なかなかないんです。100の例もざっと眺めてみましたけれども,あえてAで言うと,例えば図書館が複製をするとか,図書館が貸し出しをするときに,それは適法なわけですけれども,その中に一つ写真とか文章が違法なものがあって,そもそも違法行為で複製していた。著者が複製行為をしていたときに図書館の行為は,制限規定で全部カバーされて,著者の違法行為までリカバリーして適法になるのかというのは議論のあるところです。恐らくはそれはならないんだろうと私は思っているんです。
そのときに,例えば1,000ページの中に写真が一,二枚あったというだけではどうもAに当たってしまうのかなと,こういうのもAに当たるとした議論はどうかと思っています。
【土肥主査】
そうすると,Aに当たる類型について,写り込み,写し込みということについては少し分かれているんですけれども,Aに当たる類型について出しますか,もう一回。どうですかね。
【川瀬著作物物流推進室長】
私どももいろいろと議論もしていますけれども,基本的には写り込みの問題が主たる問題だと認識しております。写し込みの問題は,この場でそういう問題提起がございましたので,事務局内で議論もして,やはりそういうこともあり得るだろうということで注釈という形でつけさせていただきました。今回は一般規定の議論をしておりますので,ある程度網羅的に例を出す必要があるのかどうか。それとも,典型的な例を一応議論した上で,実務の問題として,仮にそういう問題が起これば,その典型的な例から抽出した要件を踏まえてしかるべきところでご判断をしていただくというのか,いろいろと方法があると思います。事務局の認識としましては,この審議に関しては一般規定の検討しているということでございますので,ある種典型的な例を議論していただければよく,およそ全てのことについて網羅的にその事例を抽出するというのはなかなか難しいのではないかという気がしております。
【松田委員】
まさにそのとおりだと思いますけれども,本当に写し込み,写り込みしかないんだったらそう書けばいいんです。だけどやっぱりそれだけじゃなくて,やっぱりこの要件に当たる類型があるだろうということで議論しているわけです。だから,やっぱり写り込みだけじゃないということにしないと一般的規定として取り込むことがおかしいことになります。
【川瀬著作物物流流通推進室長】
私どもは,まさしく写り込みというものを典型的な例として内容を分析して,もちろんこれはヒアリング等を通じたいろんなご意見やこの会議のご議論を踏まえた上でという前提条件付きですけれども,抽出したわけですから,ある意味このAの類型のこの柱書きのところは,まさしく写り込みというものを想定して,その内容を分析して,いわゆるある種の一般要件として抽出すればこういう形にならざるを得ないということになりますので,その写り込みという概念を整理すればこういうふうになるということですから,余り松田委員のご指摘と,ここに書いてあることとは違いが生じてはいないのだと私どもとしては認識をしております。
【大渕委員】
これそもそも何か写り込みということの自体の定義が人によって違って,私は,これは写り込みだけじゃなくて取り込みというのは何か音の関係で取り込みと言っている人もいるようですけれども,多分包括的に言うと入り込みの方からと,まさしく挿入なので,そういうものとして考えれば,それ以外に何があるのかと言われると,結局またさっきのイギリスとドイツみたいになっちゃいますけれども,入り込みみたいな感じで,それ以外にあるのかと言われると,写すと言うと写す以外に何か入っちゃうということはあるんでしょうけれども,要するにインクリュージュンということが割と全体で共有されているのかなという気がします。
それから,先ほど事務局が言われたとおりの面もあって,あんまりこれ,多分特許で試験研究という規定を入れたときにもどんな試験研究が将来のユサシするとか,想定して考えたとは思えないので,代表的なものをやって決めていればそれで済んでいるので,あんまり細かいところに入り出すとほかの条文でも多分教育関係等々も条文できなかったと思いますので,そこは代表的なことを考えつつこういうような形でやってみて,これだったら権利者の利益を害さずにバランスがとれているんじゃないかというところが決められればいいんじゃないかと思って,あんまり例に深く入り過ぎると,結局,実例について言いますと,前回言いましたとおり,最後はもう本当に証人尋問してその事案ごとでしか決められないという面がありますので,そこに入り込んでしまうと,ここから今から裁判を10件ぐらいやるみたいな形になって大変なことになりますので,そこら辺りは審議会でできる合理的な範囲でやればいいんじゃないかというふうに思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。今大渕委員がおっしゃったようなところで皆さん,ご了解いただければというふうに思います。
これはもちろん写真のようなものも入るわけですけれども,おっしゃっていただいたように,音のようなものも当然入るわけでありまして,写り込み,あるいは取り込みですか,そういうようなことも当然入ってくるものだと思いますし,これはほかにも当然ここの中に入ってくるような利用行為というのがあるというふうに思いますので,本日のところはその辺りのところをご了解いただいて,時間も来ておるところでございますので,これでよろしければ。
【松田委員】
私の例は,ここで議論しなくても結構です。私もちょっと考えてみますし,事務局とも打ち合わせしてみます。
【土肥主査】
どうぞよろしくお願いします。一応……
末吉委員。
【末吉委員】
ちょっと,道垣内委員のご指摘を聞いていて思いついたので,検討課題ということで検討していただけたらと思いまして。このAの類型で,これ「利用」という言葉で考えていきますと,この後続の行為が「利用」ということで再評価できない場合があります。例えば,非営利の上映等をやっていてその後の行為,つまりAの類型の後の行為でさかのぼってAの類型の行為をレビューする。つまりその後の「利用」(支分権行為)ではないものを含めて行為を総合評価した上で,権利者に迷惑がかかるとか,そういう意味でのただし書きの設定がいるのではないか。今のところのただし書きの設定は「利用」をもう一回レビューするような形で検討されているようなんですけれども,「利用」に限らず,総合的な事情で評価してやはり権利制限じゃないんだというような検討がいるのではないか。私は道垣内先生のご説をそういうふうに理解したんです。別の観点からもう一度権利制限性についてレビューするという,そういうルートもとっておいた方がいいんじゃないかというふうに思いました。検討課題として掲げさせていただきます。
【土肥主査】
はい,どうぞ。
【中山委員】
ちょっと今の末吉の話だと,例えば利用の結果がとか,そういう感じなんでしょうか。
【末吉委員】
すみません,そこまでまだ詰められていないんですけれども。
【中山委員】
もう一個よろしいですか。簡単に。
【土肥主査】
どうぞ。
【中山委員】
先ほど,小泉委員のおっしゃった営利かどうかというのは,これは非常に大事な問題だと思うんですけれども,私は,これは一般ですけれども,営利だから駄目だと言ってしまうと,そこでアメリカでもよくあるんですけれども,極めて限られてしまうことになってしまうわけで,私は営利だとフェアユースになりにくいということはそのとおりだと思うんですけれども,やっぱり営利と入れる必要はないんじゃないかと。
例えば,先ほど山本委員のおっしゃったミッキーマウスを抱いた子どもの写真,あれは勝手に撮ればこれは30条の話で全然問題ないんですけれども,それをアップした場合ですね,インターネットに,問題になってくると思うんですけれども,インターネットでアップしたら全世界の人が利用できるわけですから,非営利でも損害は営利と余り変わらないので,ネット自体というのはあんまり,1億クリエーター時代に営利か非営利かということは,それは大きなメルクマールにならない。フェアユースになるかどうかのメルクマールにならないと。フェアユースになりくいという,そういうメルクマールにはなるんじゃないかというふうに私は思っております。
【小泉委員】
私も営利を復活させるという趣旨で申し上げたわけでは決してなくて,もし営利,非営利を問わないということを維持するのであれば,写し込みについてさらに議論して,入れるなら入れる,入れないなら紛らわしい報告書からはとってしまって,将来の裁判に委ねるという形の方が冒頭に申し上げた明確性が問われているときに,検討として責任が果たせるんじゃないかと思っている次第でございます。
【大渕委員】
私は,むしろ逆でありまして,営利,非営利は,これもワーキングという意味でも,営利的であっても本当に写り込んでいるものを即侵害となったら映画が撮れなくなるから困るじゃないかという理由でもって,これ営利を外しているかと思いますので,先ほどどなたか言われたとおりで,営利であれば結果的に付随性とか,そういう点の認定上認められにくくなるということはあっても,一律に営利だから,権利制限規定の中には最初から非営利無償というので,それしか駄目という規定はありますけれども,それは営利性に着目した規定のため38条等ですけれども,そういうものはもちろん非営利というのが要件なんですけれども,ここでは別に営利的だから云々というより,要するに付随的利用だからということなので,その付随性の中の一判断要素なので,一律に営利で外してしまうのはおかしいんじゃないかと思っております。
それから,営利,非営利を,そういう意味でAは営利,非営利入っていなくて,その上で,これ私が最初に写し込みという言葉を作ったのかもしれませんけれども,写し込みは即アウトかと言われると,それは多分そういうふうには考えていなくて,先ほども多くの人が言われたとおり,写り込みの方が付随性が肯定されやすくて,写し込みはされにくいけれども意図的にやむを得ず入っちゃったというもので,一律を外すというのはむしろおかしいんではないかと思っておりますが,そういう意味でもこのAの条文案というのはそういうところを要件にしていないのはこれでよろしいんじゃないかと思っております。
それは実際上,これはAを考えるに当たってファクターの一つであって,それだから営利は即アウト,ないしは写し込みというよりは入れ込みの方がいいと先ほど申し上げましたが,入れ込みだったら即アウトというのはおかしいんじゃないかと思っておりまして,このままでよろしいんじゃないかと思います。
【土肥主査】
時間も来ておりますので,これぐらいで本日のところはやめたいと思いますけれども,しかし,Aの類型を除くべきであるというご意見はないわけでございますので,本日の委員会,本小委員会の方向性としては,これは置いた形で今後詰めていくと。詰めていくと言いますか,これを維持する形でまとめの中に入れていくということにしたいと思います。
B,Cについては,また皆さんのご協力を得て次回検討させていただきたいと思っております。
それでは,すみません,私のいつものことでどうも段取りが悪かったんですけれども,それでは事務局から次回のご連絡をできますか。

(3)その他

【壹貫田著作権課課長補佐】
次回についてご連絡いたします。
2点ございます。お手元に資料4として,ワーキングチーム名簿が配られているかと思いますが,各ワーキングチームにつきましては,座長がチーム委員を指名することとしておりまして,お手元のような構成で固まりましたので,ご報告いたします。
また,次回の法制問題小委につきましては,3月30日(火)でございますけれども,14:00から16:00,場所はフロラシオン青山での開催を予定しております。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございます。ワーキングチームにおかれましてはどうぞよろしくお願いいたします。
それでは,時間がまいりましたので,本日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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