(平成22年第7回)議事録

1.日時

平成22年8月3日(火) 10:00~12:00

2.場所

グランドアーク半蔵門 3階 華の間

3 出席者

(委員)
大渕,小泉,清水,末吉,多賀谷,茶園,道垣内,土肥,中村,中山,松田,森田,山本(たかし)の各委員
(文化庁)
吉田文化庁次長 芝田長官官房審議官,永山著作権課長,ほか関係者
(ヒアリング出席者)
  1. 1.日本弁護士連合会
    椙山 敬士(日本弁護士連合会知的財産センター委員,弁護士)
    小川 憲久(日本弁護士連合会知的財産センター委員,弁護士)
  2. 2.デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム
    角川 歴彦(デジタル・コンテンツ法有識者フォーラムメンバー,株式会社角川グループホールディングス取締役会長)
    岩倉 正和(デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム事務局長,一橋大学大学院教授,弁護士)
  3. 3.ネットワーク流通と著作権制度協議会
    齊藤 博(ネットワーク流通と著作権制度協議会 会長,新潟大学名誉教授,弁護士)
    早稲田 祐美子(ネットワーク流通と著作権制度協議会権利制限の一般規定に関する分科会長,弁護士)
  4. 4.日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会
    中山 喬志(日本知的財産協会 専務理事)
    今子 さゆり(日本知的財産協会 デジタルコンテンツ委員会委員長,ヤフー株式会社 法務本部知的財産マネージャー)
    大野 郁英(日本知的財産協会 デジタルコンテンツ委員会副委員長,凸版印刷株式会社 法務本部法務部課長)
  5. 5.社団法人電子情報技術産業協会著作権専門委員会
    亀井 正博(社団法人電子情報技術産業協会 著作権専門委員会委員長,富士通株式会社 知的財産権本部長)
    坪内 有一(社団法人電子情報技術産業協会 著作権専門委員会副委員長,ソニー株式会社 スタンダード&パートナシップ部著作権政策室課長)
  6. 6.特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
    野口 祐子(特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事,弁護士)

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)権利制限の一般規定について(関係団体よりヒアリング)
    2. (2)その他
  3. 3 閉会

5 配布資料一覧

資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7-1
資料7-2
参考資料1
参考資料2

6 議事内容

【土肥主査】
それでは,定刻でございますので,ただ今から文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第7回を開催いたします。
本日はお忙しい中ご出席をいただきまして,まことにありがとうございました。
議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと,このように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますけれども,特にご異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
なお,本日は岡山委員がご欠席でございますけれども,岡山委員のお申し出によりまして,法務省民事局付,石渡様に代理としてお座りいただいておりますので,ご了解いただければと存じます。
議事に入ります前に事務局に人事異動があったということでございますので,報告をお願いいたします。
【池村著作権調査官】
それでは,事務局の人事異動につきご報告申し上げます。
まず,本日遅れての出席を予定してございますが,7月30日付で文化庁次長に吉田大輔が着任しております。
続きまして,同じく7月30日付で文化庁長官官房審議官に芝田政之が着任しております。
人事異動の報告につきましては,以上でございます。

(1)権利制限の一般規定について

【土肥主査】
ありがとうございました。
それでは,議事に入りますけれども,初めに議事の段取りについて確認しておきたいと存じます。本日の議事は前回に引き続き,権利制限の一般規定,その他となっております。今回は先般行われました文化審議会著作権分科会法制問題小委員会,権利制限の一般規定に関する中間まとめに対して意見募集を行ったわけでございますけれども,これにご意見を提出していただきました団体の中から6つの団体にご出席をいただいております。前回の本小委員会での委員のご意見も踏まえて,中間まとめに対するご意見,特にA案,B案,C案のこの類型に関するご意見を中心にご発表を行っていただき,その後に質疑応答,さらに残った時間で自由討議を行いたいと思います。
まず,事務局から配布資料の確認と出席者のご紹介をお願いいたします。
【池村著作権調査官】
それでは,配布資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の下半分,配布資料一覧をご覧ください。
本日,資料1から7-2,そして参考資料1と2をご用意しております。
まず,資料1は日本弁護士連合会提出資料でございます。「「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に関する意見書」と題します2010年6月18日付の資料でございまして,片面印刷4ページまでのものです。
続いて,資料2はデジタル・コンテンツ法有識者フォーラム提出資料でございます。「「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に対する意見(概要)」という1枚ものの資料と,添付資料といたしまして,片面印刷8ページまでの2008年3月付のネット法の骨子の資料とセットで構成されております。
続いて,資料3はネットワーク流通と著作権制度協議会提出資料でございます。「「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に関する意見」と題します2010年6月24日付の資料でございまして,片面印刷4ページまでのものに団体概要の1枚もののペーパーとのセットで構成されております。
続きまして,資料4は日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会提出資料でございまして,「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「権利制限の一般規定に関する中間まとめ(案)」に対する意見」と題する両面印刷1枚ものの資料でございます。
続いて,資料5は社団法人電子情報技術産業協会提出資料でございます。「権利制限の一般規定に関する中間まとめへの意見」と題する本日付の資料でございまして,片面印刷3ページまでとなってございます。
続いて,資料6は特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン提出資料でございます。「権利制限の一般規定中間まとめへの意見 要旨」と題する8枚ものの資料でございます。
続いて,資料7-1と7-2は前回も配布いたしました意見募集の結果概要及び結果全体版でございます。それぞれ両面印刷で36ページ,84ページまでとなっております。
次に,参考資料でございますが,参考資料1が本日の出席者一覧,参考資料2が中間まとめの本体部分となってございます。
配布資料につきましては以上です。不足や落丁等,不都合がございましたら,お近くの事務局までご一報ください。
よろしいでしょうか。
それでは,続きまして本日のヒアリングにご出席いただく方々をご紹介申し上げます。参考資料1,こちらをご覧ください。
まず,日本弁護士連合会より同会知的財産センター委員であります弁護士の椙山敬士様です。
同じく弁護士の小川憲久様です。
続きまして,デジタル・コンテンツ法有識者フォーラムより同フォーラムメンバーで株式会社角川グループホールディングス取締役会長の角川歴彦様でございます。
同じく同フォーラム事務局長であります一橋大学大学院教授・弁護士の岩倉正和様です。
続きまして,ネットワーク流通と著作権制度協議会より同協議会会長であります新潟大学名誉教授・弁護士の齊藤博様です。
同じく同協議会権利制限の一般規定に関する分科会長であります弁護士の早稲田祐美子様です。
続きまして,日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会より同協会専務理事の中山喬志様です。
同じく同協会デジタルコンテンツ委員会委員長でヤフー株式会社法務本部知的財産マネージャーの今子さゆり様です。
同じく同委員会副委員長で凸版印刷株式会社法務本部法務部課長の大野郁英様です。
続きまして,社団法人電子情報技術産業協会著作権専門委員会より同委員会委員長で富士通株式会社知的財産権本部長の亀井正博様です。
同じく同委員会副委員長でソニー株式会社スタンダード&パートナーシップ部著作権政策室課長の坪内有一様です。
最後に特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパンより同法人理事であります弁護士の野口祐子様です。
事務局からは以上でございます。
【土肥主査】
それでは,議事に入りたいと思います。
議事の進め方につきましては,本日ご出席いただいております関係団体から日本弁護士連合会,それからデジタル・コンテンツ法有識者フォーラム,ネットワーク流通と著作権制度協議会,日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会,社団法人電子情報技術産業協会著作権専門委員会,それから特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン,この順に権利制限の一般規定の中間まとめに対するご意見をそれぞれ10分程度でご発表いただきまして,それぞれのご発表の後に質疑応答の時間を5分程度ですけれども,とりたいと思います。また,全てのご発表の後に改めて質疑応答及び意見交換を行うこと,このようにしたいと思います。
それでは,早速で恐縮でございますけれども,日本弁護士連合会,椙山様,小川様,よろしくお願いいたします。
【椙山氏】
椙山と小川から報告させていただきます。資料1をご覧いただきます。
この資料1は,中間まとめに対する本年6月18日付の意見書ですが,この意見書は2ページ目の意見の理由の初めに書いてありますが,おととしの11月18日付の意見をもとにして,今回の中間まとめに対する意見をまとめたものということになります。
それで,意見の趣旨について簡単に申し上げますと,まず1番目では,権利制限の一般規定を導入することが適当であるというような中間まとめの結論に賛成です。それから,AからCなる3類型を設けることについても異論はないということです。3番目は,そうではありますが,権利者の利益の不当な侵害にならないということに十分配慮した上で,一般的包括的な権利制限規定を設けるべきであると。これはさきの2年前の意見書と同じなんですけれども,AからCのみでは足りなくて,一般的包括的権利制限規定を設けるべきであると,こういう結論になっています。この時点では,AからCの案それ自体を修正しようという観点が全くなかったので,AからCのほかに一般的制限規定を設けるべきだという結論になっています。
今回のヒアリングに当たって,1週間前ぐらいでしょうか,10日ぐらい前でしょうか,そのAからCについて具体的な意見を述べてほしいというようなご依頼がありました。しかし,日弁連の機構上,月1回程度の委員会開催ですから,時間的に到底間に合わないということになります。ですから,本日の時点でAからC案に対する具体的な修正というものを日弁連の正式の意見として申し上げられる状態にはありません。しかしそれだけですと,多分責めを塞げないということなので,窮余の一策といたしまして,私と小川弁護士とで修正案を作ってメーリングリストに流しました。最終的に流れたのは昨日の朝です。それで,正式な検討結果としてはまとまっていないけれども,それに対する今のところの状況というのはご報告できることはできます。そういうものとしても構わないということでしたら,ご報告できるという状態です。
一応アンケート形式というような形でAからC案のそのままでいいというのと,それから我々が作った修正案に賛成していただけるかどうか。3つ目はその他の修正案があったら出してほしいということであります。一応正式なお答えとしてはここまでなんですが,現状をご報告した方がよろしいということであれば,ご報告させていただきます。
【土肥主査】
どうぞ,ではお願いいたします。
【小川氏】
小川でございます。
AからC,A,B,Cという3つの類型について検討したところ,果たして一般的包括的な権利制限規定と言えるのだろうかという疑問が実は出てまいりました。皆さん検討していただいてAからCの類型を作っていただいて,それはそれで大変ご苦労なことだと思いますが,例えばAで言いますと,Aについては付随的にというのが条項に入っております。Bについては過程においてというのが入っております。Cは,そういうのは入っていないのですが,表現を知覚することを通じてというのが入っておりまして,そうしますと,このA,B,Cというのはそれぞれ特定の場合を前提とした,ある程度広いのですが,一般的包括的ではなくて,やはり個別的な権利制限規定の一類型にすぎないのではないだろうかという感じが実はしております。そういう前提でこのA,B,Cを私どもちょっともう一度考え直しまして,このA,B,Cという類型を一応前提とした上で,これを修正するという形で一般的包括的制限規定に近づけるにはどうしたらいいのかというような観点で,ちょっと直してみたと。それをそのアンケートに出したということであります。現時点で修正案に賛成する委員の方が圧倒的に多いものですから,ちょっとその内容をご案内したいと思っております。
まず,A類型についてですけれども,ここでまず付随的という言葉があります。これは多分その写り込みというところを念頭に置いて付随的にという言葉が入っているのだろうと思います。ですから,この付随的にという言葉を今残すかどうかというのが一つ問題でありますが,仮にそれを残したとして,もう一つの要件にその利用の質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるものという部分があります。軽微というのは,軽微かどうかということだけでAに該当するかどうかということが問題になってしまうんですが,実際そういうことではなくて,公正な利用かどうかというのが制限規定の適用があるかどうかという判断をするという基準になるものだとすれば,軽微というのは公正な利用の中の一対応にすぎない,一つの要件にすぎないだろうということで,軽微という言葉はむしろ公正であるというより抽象度が高いのですが,公正であるという言葉に置きかえれば,Aというのはかなり私どもの考えに近いのではないかなという感じがしております。
なお,いわゆる形式的権利侵害と,括弧書きなのでこれは説明のために入れたのだろうというふうには思われますが,それは要件としては必要ないだろうというふうに思っております。
それから,Bの類型についてですけれども,これは多分中間的複製を念頭に置いて「過程において」というのが入っているのだろうと思います。必ずしもその中間的複製,つまり著作物を利用するために中間的なものに限る必要はないのではないだろうかということで,この「過程において」という言葉は要らないのではないだろうかというふうに考えております。この過程があるかないかということで,何が違いがあるかというと,外部的に発表されるものについてBの適用があり得るかどうかというところに違いが出てくるのだろうと思っておりまして,例えば中間まとめの方では,パロディについては別途また検討する必要があるというような結論になっていると思いますけれども,例えばパロディのようなものの場合には,まさに「過程において」ではありませんので,そういうものまで包括的に検討するとするならば,「過程において」という言葉は削除するべきではないだろうかということが1つです。
それから,このBの要件のところに同じく「軽微である」というところがありますが,これもAと同じように,軽微というのは公正さの一つの判断基準にすぎないのでありますので,軽微という言葉はやめて,公正であるという言葉に置きかえればいいのではないかなというふうに理解しております。
それから,Cの類型でありますが,Cの類型につきますと,表現を知覚することを通じてという要件があるのですけれども,中間まとめの方にもありましたけれども,これだとプログラム等が入ってこないということになりますので,この表現を知覚することを通じてという言葉ではなくて,本来的価値を享受するというような言い方に置きかえた方がいいのではないかと。そうすることによって,プログラム等もこのCの類型の中に入ってくる可能性があるだろうというふうに理解しております。
今申し上げましたような形での修正案を私と椙山弁護士の方で提示いたしまして,現時点では,日弁連の委員会としては多くの委員の賛成を得ていると,こういう状況でございます。
以上です。
【土肥主査】
どうもありがとうございました。
それでは,ただ今のご発表につきまして何かご質問,ご意見ございましたらお願いをいたします。
それでは,どちらからお願いしましょうか。
【松田委員】
ありがとうございました。2つ質問がありまして,包括的な規定を設ける場合においては,不当な侵害にならないよう十分考慮する必要があるとした上でというふうに書いてありますが,これについてご審議の中で具体的にどんな配慮が必要なのか,どんな制度が必要なのか,が出ていましたら,この点についてご享受願いたい,それが1点でございます。
それから,A,B類型において軽微という点を公正に置きかえるということになった場合に,果たしてその利用についての目的というものを限定しないでいいかという議論はありませんでしたでしょうか。その点いかがでしょうか。
【椙山氏】
委員会でという意味でしょうか。それともその案を作成する過程でというようなことでしょうか。
【松田委員】
どちらでもよろしいです。
【椙山氏】
委員会では細かいところまで話しているわけではないと思いますが,第1点につきましては,これはベルヌ条約の条項と似たような話でして,そもそも抽象的といえば抽象的なわけです。公正利用そのものが抽象的なわけですから,これもこの程度ということになるというふうに私どもは理解しております。
それからもう一つ,軽微ということにつきましては,それは公正の中の一つの要素と考えられると思っておりまして,大事なのは軽微かどうかということではなくて,公正かどうかだと,こういうふうに考えています。
【松田委員】
公正の要件の中に目的という制限はなくてよろしいでしょうかという質問です。
【椙山氏】
当然その目的も行為の評価の中の一環として入ってくるものと思っております。
【土肥主査】
よろしゅうございますか。
それでは,中村委員,どうぞ。
【中村委員】
いただいた資料の3ページの一番最後に利用者にとっても結局著作物等の利用における萎縮が解消されないことになろうという記載をいただいているんですが,これは現在こちらで中心として,話題にしているA,B,Cについてこういう利用者にとっても利用における萎縮が解消されないというような懸念があるものなんでしょうか。
【椙山氏】
これは早稲田先生に伺った方がいいかもしれませんけれども,日弁連の意見というのは必ずしも一枚岩でないところもありまして,そういう意味で当然といえば当然なんですけれども,いろんなことに配慮しながらということが入っているというぐらいにご理解いただければと思いますが。
【土肥主査】
よろしゅうございますか。ほかにはいかがでございましょうか。
よろしいですか。
ありがとうございました。それでは,続きましてデジタル・コンテンツ法有識者フォーラムの岩倉様,角川様,よろしくお願いいたします。
【角川氏】
角川でございます。時間もございませんので,すぐに私の著作権法に関するさきの所信を述べたいと思います。
本格的なクラウド時代に入ってIT専門家によれば2010年はクラウド2のフェーズに入ったと言います。いわゆるグーグル問題もその次なるSNSのフェイスブックやツイッターの爆発的な普及の前では,時代遅れの感さえございます。その象徴的な2つの技術革新がB to CのクラウドサービスとiPadの登場です。とりわけiPadは衝撃的で,立花隆氏と東大の講義で対談した際も,氏はグーテンベルク以来の500年ぶりの出版革命と言っていました。私もiPadは既存のコンテンツの異なる領域を融合させて,新たなコンテンツ領域を開拓する可能性を見せたことで,これからの著作権法も印刷技術的な二次元著作権法から三次元的ネット著作権法等,対応が迫られると思います。私は文化庁の著作権課が激しく変わる時代に対応すべく日々努力されていることに常々敬意を感じてきました。そこで,これからの改訂には2つの調和を視点として持っていただきたいと思います。
初めは国民的総クリエーター時代の大衆がiPadやパソコンから作り出すCD-ROM著作物との調和です。次は世界的に見れば特異に見えるアメリカ著作権法との調和です。グローバリゼーションの進展の中で,アメリカの巨大情報企業が世界的にサービスを展開する中で,日本の著作権法も好むと好まざるにかかわらず,アメリカの著作権法に近づくべきだと思います。その点,今回のAからC類型のフェアユースの導入はまだ問題があるといっても,大事な第一歩です。どうか一般的包括的な著作権制限規定を設ける方向で法制問題小委員会の皆さんが新時代を切り開くよう頑張ってください。
それでは,中間まとめに関する当フォーラムの意見詳細について,事務局長の岩倉弁護士から説明を差し上げます。
【岩倉氏】
岩倉でございます。
当フォーラムのメンバーである,角川からの先ほどの説明を踏まえまして,今回の中間まとめで示されている権利制限の一般規定の対象となる各案に対する意見も含めて,当フォーラムとしての意見を申し上げます。
お手元にパワーポイントで作成しましたレジュメ1枚と,2年以上前でございますが,当フォーラムが対外的に発表いたしました提言,合計8ページをプリントアウトしたものを配布させていただいております。
まず,レジュメの1でございますが,当フォーラムといたしましては,このたびの中間まとめで提案されているAからCの各類型の案が新たに創設される権利制限の一般規定の対象となることはもちろんすばらしいことであり,大きな前進であるとは考えております。そのことについては,委員の方々及び関係各位の方々の努力に対して,当フォーラムとして敬意を表する次第です。例えばAの類型に含まれるいわゆる写り込みの問題は,配布させていただいた提言のとおり,当フォーラムが以前より指摘させていただいたところです。しかしながら,権利制限の一般規定が創設されるとしても,非常に残念なことではございますけれども,今回の案をもとにするのでは全く不十分であると言わざるを得ません。日本弁護士連合会さんがお話しされましたとおり,個々の細かい論点につきましては,申し上げる十分な時間がございませんので,パブリックコメントで私どものフォーラムが申し上げたところをご参照いただくものとしまして,ここでは大きなポイントだけ述べさせていただきます。
まず,これまでの法整備の遅れによってデジタル・コンテンツが適法な流通経路を通じてユーザーの目に触れる機会を大きく逃しており,コンテンツの権利者に還元がなされずに実質的な権利者の保護が図られていないという現在の状況には全く変わりがないと考えられます。
次に,デジタル化,ネット化が急激に進み,各国がデジタル・コンテンツの流通促進策についてしのぎを削っている現在の世界の状況を踏まえれば,我が国の優れたデジタル・コンテンツを十分に活用し,日本が真のコンテンツ大国となるためには,他国と同様,または他国の後追いのような制度を導入するだけでは全く不十分であり,世界から抜きん出るような法制度の導入こそが必要であると考えております。また,さらにパブリックコメントでも指摘させていただきましたとおり,法律界では周知のことでありますが,個別の権利制限規定は実務上,相当厳格に解釈されていることから,AからCの各類型の案のみのような米国フェアユース規定よりもより狭い範囲のみを対象とする権利制限の一般規定を設けるだけでは,当該類型以外は全てが違法等と裁判所によって厳格に判断されてしまうおそれが強く,技術革新による将来の新しい利用形態に全く適用できない,対応できないという状況が生じてしまうということが懸念されます。
ただ今申し上げた点を踏まえれば,当然に権利制限の一般規定の範疇に入るべきAからCの類型の案についてすら,これから議論を始めるというのでは不十分かつ遅きに失していると考えます。これまでの著作権法改正は,例えば昨年成立し,本年施行されました平成21年著作権法改正はいわゆる検索エンジンの合法化など,振り返れば15年前になされるか,解釈上既に合法化されるべき内容であったと我々は考えております。このような周回遅れのようなことが二度とこの国に起きないように立法関係者は心すべきであると考えております。
現在,日本の裁判所は裁判の迅速化が図られており,かつ判断が非常に安定的です。そのため,幅広い権利制限の一般規定が入ったとしても,権利者の利益が不当に害されるようなことにはならず,技術革新,消費者ニーズに対応した司法による機動的な立法作業が十分に期待できると考えております。現時点でAからC類型の案を規定するか否かという議論をしているのは,国益を十分に考えないフレームの中の話ではないかというふうに考えます。むしろそのようなところに留まるのではなく,技術革新を最大限に活用するための規定の表現ぶりの検討や,さらには過去の良質なテレビ番組コンテンツを適法に流通できるための法制度を至急かつ前向きに議論すべきであると考えます。鳴り物入りで登場したNHKオンデマンドも残念ながら使い勝手が悪く,加入者は伸びていないようですが,これに対して,アメリカを見れば,アップルやグーグル等の企業がユーザーに勝手のよいネットTVを近く普及させることをねらっているとも言われております。一人また日本がガラパゴス現象と言われて遅れていくことを恐れております。また,このヒアリングでの議事録が10年後に歴史の笑い話にならないことを期待しております。
なお,従前より行政庁は著作権法の条文についての解釈論を示されており,例えば平成21年著作権法改正で新設された著作権法47条の6に関しても,いわゆる典型的な検索エンジンのみが適法化されたという解釈を明示的に示されております。しかしながら,このように非常に狭い解釈を行政庁が示されますと,行政庁による解釈に重きを置いて行動するという我が国の企業文化とも相まって,また,裁判所の裁判官の行動形態とも相まって,一般的に我が国の多数の企業はコンサバティブな行動規範をとりますので,企業活動が萎縮してしまうことになります。本来的に法執行権限を持たない行政庁は,有権解釈を行う権限を持っていないはずですから,目まぐるしい技術革新に柔軟に対応し,今申し上げた弊害を取り除くために,特に権利制限の一般規定の導入に当たっては,行政庁におかれては条文解釈を示すべきではない。それは全て司法機関に任せるべきであると考えます。
最後に2点のみ加えて,まとめとさせていただきます。
1つは,本中間まとめでも触れられておりますけれども,従来からこの種の議論で,権利者,ユーザー,あるいはデジタル・コンテンツをビジネスとする事業者の権利の対立という構造がとかく言われておりましたけれども,現時点の日本ではそのような対立構造を議論している暇はありません。むしろ日本国民全体の利益のためには,権利者もユーザーも事業者も全ての者がウィン・ウィン・ウィンの状態でどのようにこの国を発展させていくのかという議論からこの問題を取り上げていくべきだと思います。
第2に,1976年の米国著作権法でフェアユース規定が導入されたときにやはり権利者の権利を制限する,権利者の権利を不当に規制するものだという反対論があったにもかかわらず,このフェアユース規定が導入されたときに将来の技術革新のため,米国民の利益のため,現時点でも予測できない技術の発展のためには,この規定を導入すべきだと英断をした米国議会での議論を今我々はもう一度思い起こすべきだというふうに考えております。
以上,ご清聴いただきまして,ありがとうございました。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,ただ今の角川様,岩倉様のご発表について何かご意見,ご質問ございましたらお願いいたします。
【中村委員】
A,B,Cの類型についてなんですが,それぞれ具体的に問題となった事例をもし把握しておられるようでしたらご紹介いただけますでしょうか。
【岩倉氏】
問題となった事例,どういう視点から申し上げればよろしいんでしょうか。
【中村委員】
立法事実の収集の観点でお尋ねしておりまして,A,B,Cの要件等を検討していくに当たり,A,B,Cに類型的に考えられているもので,こういう事案が問題となっているというような立法事実につながるような何か具体的事例をもしご存じであれば,この場でご紹介いただければと,そういう趣旨でございます。特に急にはなかなか難しいということであれば結構でございます。
【岩倉氏】
表現ぶりのコメントついては先ほどは省略したのですけれども,当フォーラムとしては,日本弁護士連合会さんの意見と非常に共通するところが多いのですが,例えばAであれば「付随的」という要件を充たすものだけに限定されてしまっていいのかと考えておりますし,これもご指摘が既になされましたけれども,その利用が質的に,または量的に社会通念上軽微であるという限定を加えることが本当に必要なのかどうかについても検討を要すると考えております。公正という表現の部分については大変に多大な議論があることは当フォーラムも十分理解しておるわけでございますけれども,これはAだけではなく,B,Cについてもですけれども,利用が質的に,量的に社会通念上軽微であるというのは極めて限定的な要件であると当フォーラムとしては考えておりまして,先ほど松田委員から目的を考えないのかというご質問もありましたが,目的も踏まえて,その部分は公正の観点を総合的にとらえて判断されるべきであると考えます。利用が,質的に量的に社会通念上軽微であるというところまではっきり限定してしまうことが本当にいいことなのかどうかということは,当フォーラムとしては非常に危惧しているということは申し上げておきたいと思います。
【土肥主査】
中村委員,よろしゅうございますか。
ほかにございますか。どうぞ,清水委員。
【清水委員】
2の[3]のところで裁判上において個別の権利制限規定が実務上相当厳格に解釈されているというのは,通常に解釈されていないで,相当厳格にというのはどういう根拠でおっしゃっておられるのかと思いまして。
【岩倉氏】
価値観や感覚の問題かもしれませんので,通常なのか,それが相当なのか私どもとしてはよく申し上げる立場にないと申しますか何とも言えないのですが,私どもの感覚ですと,例えばこのレジュメの括弧の中の最近の例として挙げた美術鑑定事件というのは,著作権侵害で違法とされた事案で,最近,新聞,雑誌等でよく取り上げられておりますけれども,決して利用者の側は何か権利侵害の意図があったわけでも,またそれによって多大な利益を得たわけでもなく,また,裁判所で認められた認容額も数万円というようなレベルの話です。これは社会通念上,軽微なのかどうかよく分かりませんけれども,そのようなものですらも著作権侵害で違法であるということが認定されまして,この件は警察当局が動く問題ではないと思いますが,法理論上は著作権侵害は刑事罰の対象でもあるわけです。裁判所としては著作権侵害にあたるかどうかを非常にコンサバティブに判断せざるを得ない状況になっているのではないかと当フォーラムとしては考えています。
【土肥主査】
ほかにございますか。松田委員,どうぞ。
【松田委員】
6ページの下から3分の1ぐらいのところに活用分野というところがございまして,我が国においては残念ながら世界的なIT事業者が存在しなくて,マイクロソフト,ヤフー,グーグル等,これのような大企業は,IT企業としては存在しないということになります。これはそのとおりでしょう。特に近時の現象を見てみると,書籍コンテンツについてはグーグルにしても,それからiPadにしても,やっぱり日本にそういうモデルがないのはまさにそのとおりでしょう。そういうものを日本でもし起こすとしたら,もちろんお説のように,もっと広い一般的規定を設けるのが1つなんでしょうけれども,それ以外に私はもっと決定的なことがあるんじゃないかと思っているわけです。例えばiPadよりも実は先行してああいうボード型のものは日本のある企業がアメリカで先に売り出しているわけですよね。なのに日本では売り出さないわけですよね。それは何なんだろうか。言ってみますと,日本の市場において決して著作権だけではないようなものが私はあると思うんですが,それが足を引っ張っているということはないでしょうか。
【角川氏】
日本からIT産業がなかなか育たないというのは非常に複合的な問題であるのは事実だと思うんですね。著作権が全て悪いというほどシンプルに考えるわけではないんです。しかしながら,日本のコンテンツ事業者がこれをやったらまた問題が起こって,新聞の一般紙の見出しの5段をとるんじゃないかとか,そういう何か危惧をいつも抱えて走っているということは事実なんですね。ですから,著作権法というものが日本の事業者を萎縮させているということをまず認識した上で,ほかの別の問題点,さっきの事業者がなかなかリスクをとらないとか,そういう問題に立ち入っているので,著作権が全て悪いと言っているわけではありません。そこら辺はそのように常識的に判断してもらえれば結構かと思います。
【岩倉氏】
若干補足しますと,当フォーラムとしては,松田委員のおっしゃるとおり,著作権が全ての問題だとは思っておりません。しかしながら今,角川が申し上げましたとおり,少なくとも我が国において著作権法自体がデジタル・コンテンツの流通あるいは将来の技術革新の発展というものを阻害することがあってはならないと思っておりますし,松田委員がまさにおっしゃられたとおり,このような世界的な大企業が日本にないこと自体を問題にしているのではなくて,日本の国民にとって,これは先ほど申しました権利者対ユーザーあるいは事業者というような対立の構図ではなくて,国民全体の利益として将来どういうものを発展させるのか,成長力を持つのがこの国にとっていいのかという観点からとらえるべきだということを問題にしています。
例えば検索エンジンについて申し上げれば,今年ようやく検索エンジンが合法化されたわけですけれども,先ほど申し上げましたとおり,それも15年かかっているわけでありますし,これは先日,技術者の方から聞いたのですが,中国のバイドゥ(百度)は,バイドゥだけでサーチエンジニアが1万人を超えるという状況だそうです。雇用も作っているわけですが,日本では検索エンジンはそもそも合法でないというのがコンサバな考え方が一般的でしたから,今日本の事業者でNTTなども検索エンジンをあきらめてしまった後,独立的に中小の事業者や本当に個人がサーチエンジニアとして頑張ったわけですけれども,決して100人を超えるような人数ではないというのが,現実の技術の現場の状況だそうでして,世界的な検索エンジンの地位を得るには至りませんでした。これから世界に追い付くというのは大変なことで,また何十年またこの遅れをとらなければいけないのか。これが著作権の問題でないのであれば,別の問題も考えなければいけないでしょうけれども,著作権法の問題が障害になっているのではあれば,それを取り除くのがこの場の使命ではないかと考えております。
以上です。
【土肥主査】
よろしゅうございますか。
ほかにございますか。茶園委員,どうぞ。
【茶園委員】
先ほどの日弁連さんもそうだったのですけれども,AからCの類型では不十分だということで,より一般的な規定を導入すべきだというお考えであると思うのですけれども,どのような規定を導入すべきであるかについて具体的にお考えであればお教えいただきたいと思います。先ほどアメリカ著作権法のことをおっしゃられていたことからすると,例えばアメリカ著作権法107条と基本的に同じものを導入すべきだと,そういうお考えなのでしょうか。
【岩倉氏】
今日のためにご用意したレジュメは1ページものでございまして,併せてお配りしたのは,2年以上前に当フォーラムが,話題も呼びましたけれども,批判もお受けしたネット法という提言でして,それから重なるメンバーもいる任意団体で別の提言も出しておりますけれども,日本に即した形でのあるべきデジタル・コンテンツの流通の在り方,著作権法の在り方として提言を出したのですが,今の時点では先ほど申しましたとおり,米国のフェアユース規定をただ後追いすればいいということではなくて,むしろアメリカよりも,あるいは世界に先んじたフェアユースの規定,広いフェアユースの規定を入れることが現時点での日本の成長力あるいは権利者の保護を含めた国民全体の利益にはかなうのではないかと思っています。
しかしながら,それが実務的に簡単でないことは当フォーラムとしては十分に理解しておりますので,しかしながら,このような意見というのをきちんと申し上げるというのが立法の作業の中では必要なのではないかと思いまして,ここで申し上げる次第です。すなわち,アメリカの規定をただ入れればいいということではなくて,本来理想的にはより幅広いフェアユースがあっていいのではないかと考えております。
【土肥主査】
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
まさしく今,ご質問とお答えがあった点に関してですが,アメリカのフェアユースのようなもっと幅広いものを入れるべしというご意見はあったかと思うのですが,さらに,それよりも,更に広いフェアユースを導入すべしというご意見のようですけれども,具体的には,どのようなものを念頭に置かれているのでしょうか。アメリカのフェアユース規定では,は,4つの考慮すべきファクターが挙がっているだけで,最後はフェアかどうかいうことに帰着するわけですが,それより広いフェアユースというのは,何らかの広いものを志向したいということは分かるのですが,具体的には,どのようなものをお考えでしょうか。今検討しているA,B,Cだけでは足りず,アメリカ法型のフェアユースだと言われると,その当否はさておき,指向するもののイメージがある程度は分かるのですが,それよりさらに広いと言われると,なかなかイメージがわきにくいので,せっかくご意見をいただくからには,ある程度イメージがつかめた方がいいかと思いますので,具体的にどういうようなものを考えておられるかについてお伺いできればと思います。
【岩倉氏】
当フォーラムの中で具体的にまだ案として出しているものではないので,フォーラムとしての意見はちょっと申し上げられないのですが,私自身としては,先ほどアメリカより幅広いというのはおっしゃるとおりちょっと非常に抽象的でレトリック的なところではあるのですけれども,例えば具体的にはアメリカのフェアユース規定の4要件それぞれについては,アメリカ国内でも裁判等で議論になっている論点がございます。それらが比較的より緩やかに解釈されるような要件を作るというのが一つの方法ではないかというふうに考えております。
【大渕委員】
これも先ほどの日弁連さんとも併せてのお尋ねになりますけれども,たしかこのペーパーの関係でAとして言われている写り込みにかかわるものでありますけれども,これで付随的というのは狭過ぎるから公正にというふうに改めるべしというご意見だったかと思うんですが,例えば立法例として参考になりそうなのが,お手元にペーパーがあるかどうか分かりませんけれども,何度も使わせていただいているドイツの重要でない付随物というものとか,あるいは今のペーパーで言いますと10ページの35の中のところに邦訳が載っておるようでありますが,あるいはイギリスでも9ページにあるような著作物の付随的挿入により侵害されないということで,付随ということであれば立法例もあるものなのですが,要するにご趣旨としてはこういうものでは足りなくて,非付随的なものも――これは付随というのをどう価値的に考えていくかというところにかかってくるかと思うんですが――入れるべしと,そういうことに尽きて,具体的にはどういうものを非付随的でも入るべきというご趣旨なのかということについて,もうちょっと我々が聞いてイメージが湧くようなご説明いただければ,今後の作業の上で役に立つかと思いますので,何か具体的なものがありましたら教えていただければと思います。
【土肥主査】
今のご質問なんですけれども,それは私どもも興味を持っているんですが,現時点で既に2つの団体にまたがってお尋ねがございますので,一応この場では御フォーラムのご意見だけ,回答の一端をお答えいただいて,また全体が終わった後に今の点を含めて質問なり質疑応答したいと思いますので,この場では簡単にお答えいただければと思います。
【岩倉氏】
では,簡単に答えます。非付随的なものを入れたいという希望があるのではなくて,付随的なものに限るという要件にすることが問題であると思っておりまして,例えば立法技術的には付随的なものも含むというようなbut not limited toというような表現等の立法技術の要件というのは定めることができるのではないか,付随的なものに限定するということ自体が問題なのではないかと考えている次第です。
【土肥主査】
それでは,一応この質問に関してはここまでということにして,終わった後にまた全ての団体の方々にもお尋ねできる点があればしたいと思っておりますので,一応それでは,どうもありがとうございました。またこの後,よろしくお願いいたします。
それでは,次にネットワーク流通と著作権制度協議会の齊藤様,早稲田様,よろしくお願いいたします。
【齊藤氏】
ご紹介いただきました齊藤でございます。本日は意見表明の機会をこのようにお与えくださいましたことを感謝申し上げます。具体の点につきましては,これから早稲田弁護士がご説明をいたします。私からは一言ここで申し述べるにとどめたいと存じます。
権利制限の一般的規定に関する議論に際しましては,これをどのような視点を以て行うのか。その軸足が重要でございます。すなわち我が国著作権法制の本質をどのように考えるのか。加えて外国の著作物や実演等の利用がさらに増大する時代を迎えまして,ベルヌ条約9条2項,TRIPS協定13条,WIPO著作権条約10条の規定との整合性は保持できているのか否か。著作権制度の本質から遠い外的要因等によりまして,その軸足がブレていることがないのか否か。この辺り,みずからを確かめつつ進めていく必要があるのではないかと,このように存じます。具体的には早稲田弁護士からご説明をいたします。
【早稲田氏】
早稲田でございます。
配布資料3をご覧ください。これが私どもの中間まとめに対するネットワーク流通と著作権制度協議会の意見でございます。パブコメの期間がほぼ約1カ月ということで,まとめたものが資料3ということでございますが,両論併記的なもの,構成員によってやはり意見が違うところがございまして,両論併記的なものになっている点はご容赦いただきたいと思います。それから,本日のヒアリングが特にAからC類型についての意見を述べよということなのですが,この中間まとめに関する意見を作成したときに,当然AからCについて議論いたしましたが,これだけではなかったので,若干意見の集約としては不十分かもしれませんので,その点も予めご容赦いただきたいと思います。
それでは,全体的な点からまずご指摘させていただきたいと思いますけれども,当協議会につきましては,平成21年4月24日付で一度提言を出させていただいておりまして,この中でも形式的違法該当性解消という点については一定の理解を示しながらも,これがビジネスの萎縮効果の解消という非常に大きい導入論のためということになると,これは権利者の利益を不当に侵害するものではないかという議論もございました。中間まとめにつきましては,ビジネスの萎縮効果を解消するための導入論を排斥しているというように私どもは考えておりまして,この点については賛成であると。ただし,AからCについての類型ですけれども,これについてはやはりいろいろな議論がございまして,個別権利制限規定を改正あるいは創設すれば足りるのではないかというような意見,これもあったということはご紹介申し上げます。しかしながら,やはり現代社会において利用者が形式的には権利侵害の可能性の危惧を抱くというような実態があって,これを解消するためには個別権利制限規定で全て対応されるとまでは言えないだろうと。そういう意味では権利制限の一般規定の対象とすることについても一定の妥当性が認められるのではないかという意見もあったということでございます。
具体的に申し上げますけれども,AからCにつきましてですけれども,配布資料3の2ページ以下でございます。Aについては先ほど大渕委員の方からもご指摘がありましたように,英国法ないしドイツ法である程度概略が示されているというところもございまして,余りAの類型についてこれを権利制限の対象とすることについてはそれほど異論がなかったということでございます。しかしながら,ここの中間まとめの中にもございますように,写し込みについてもこれが入るということについては,これは写り込みと性質が異なるのではないかという意見がございました。全体の中の意見ではございませんけれども,そういう意見もあったということをご報告申し上げます。
Aにつきましては,具体的にはここの中間まとめに書かれてありますように,写り込みが主として考えられることではございますけれども,Aの書きぶりからいきますと,付随的に生ずる利用ということでございますので,写り込み以外のものでも該当するのではないかと思われますけれども,Aの範囲であれば,これは権利制限の対象とすることについてはほぼ問題がないのではないかと思っております。
引き続きBについてご報告申し上げますけれども,配布資料3の3ページでございますが,Bの類型についても大半が異論はございませんでしたけれども,ただし,協議会の参加者の中からは,中間まとめに例として挙げられている利用行為のうち現在利用許諾手続が行われているものも入っているということであって,これについて現在はそういう手続で行使されているものを権利制限の対象にする必要性はないのではないかという指摘があったということをご報告申し上げます。
一番異論があったのがC類型でございまして,Cについてはここに例として出されている,中間まとめで例として出されているものをそれぞれについてはいろいろと理解があるものもあり,反対するものもあるということなのかもしれないんですが,何分Cの表現がいま一つ例えば先ほど申し上げましたようなAの表現に比べて見なれていないというところもあると思うんですけれども,Cについてこれがどういうふうなところで働くのかということについて,ちょっとこの中間まとめだけでは理解ができないところがあるという意見がございまして,その必要性要件についてはさらに詳しく検討が必要ではないかというような意見が多数でございました。
それから,A,B,C類型については以上でございますが,これちょっと私どもの中間まとめに対する読み方が悪かったのかもしれないんですが,このA,B,C類型について立法化におきまして,これはどういうふうに立法化するのかという点の疑問が提出されておりました。A,B,C類型につきましては,先ほどからご説明申し上げておりますように,それぞれ一定の範囲での理解が得られたのではないかと思っておりますけれども,さらにこれをA,B,C類型の要件を抽象的に抽出して立法化するということであれば,それはまた別な問題で改めて議論をさせていただきたいと。そういう意味では先ほど齊藤弁護士の方からご説明がありましたように,条約とスリー・ステップ・テストの要件とを具備する,ないしは一般規定の拡大解釈を導かないような各要件が明確に分かるような規定としていただきたい,こういうことでございます。
最後にこれは今回のヒアリング対象ではないのかもしれませんけれども,中間まとめにつきましては,その実効性・公平性担保のための環境整備につきましては,権利制限の一般規定の導入議論とは別個慎重に検討すべきであるというようなご意見でございますけれども,これにつきましては,当然ながら権利制限の一般規定を導入するということであれば,訴訟提起など負担の増加が当然に予定されているから,これにつきましては,さらに実効性・公平性担保のための環境整備を検討していただきたいという意見でございます。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,ただ今の齊藤様,早稲田様のご発表につきましてご質問ございましたら。
小泉委員,どうぞ。
【小泉委員】
3ページの2行目のところにB類型の例として挙げられているものの中で,現在利用許諾手続が行われていて問題ないというご指摘がございましたけれども,もし現在,中間まとめの19ページをご覧いただける状態でございましたら,具体的にこの中でどれが利用許諾手続でカバーされているというお話であるのかぜひお聞かせいただきたいんですけれども。
【早稲田氏】
これはちょっと私の方で把握しているわけではないので,あくまで発言の方ということでいいますと,38条1項の演奏のところで1枚のCDに複製するというような場合は,これは許諾手続があるんじゃないかというのと,同じく38条1項につきましては,いろんな権利者の方のご指摘がございまして,現在的にはいろいろと38条1項について許諾の手続がとられているということで,これは適切ではないのではないかというようなご指摘がございました。
【小泉委員】
ありがとうございます。仮に(b)というものをその例から削除した場合に,それに伴ってこのBの四角の中ですね,類型そのものについても何か変更を加える必要があるとお考えでしょうか。
【早稲田氏】
Bのここの四角の中ということですね。B類型につきましては,Cに比べれば文言的にはそれほど議論が出たところではございません。
【小泉委員】
ありがとうございました。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
要するに協議会としてはA,B,Cをより厳格といいますか,解釈の余地の少ないような条文に変えて,かつそれを超えるような一般的な規定は設けるべきではないと,こういう結論と考えてよろしいでしょうか。
【早稲田氏】
おっしゃるとおりだと思います。
【中山委員】
そうすると,このA,B,Cを条文化したときには,今までの例外規定が幾つかありますけれども,それと同じような条文を作ると,こういう趣旨になるわけでしょうか。
【早稲田氏】
条文につきましては,まだそこまで議論がいっておりませんで,これは先ほど申し上げましたように,ちょっと私どもの方の読み方が悪かったのかもしれませんけれども,今,先生がおっしゃったような個別に各条文をA,B,Cの類型の条文を作るのか,そうではなくて1つの権利制限の一般規定の条文を作って,それの利用形態としてA,B,Cを作られるのか,そこら辺がちょっと分かりませんので,それにつきましては,まだ協議会としての議論はまとまっておりません。
【中山委員】
古きよき時代といいますか,牧歌的な時代における著作権法とこのデジタル技術が極端に発展した現在における著作権法との違いというものをどう認識しているかということをお伺いしたいのですけれども,恐らく現在の著作権法は軸足の一方を産業に置いているということは間違いないだろうと思います。検索エンジンは一応立法化されたわけですけれども,あれはもし日本では認めないと言ってみたところで,日本のサイトは全部アメリカでコピーされ,日本人は全部そのアメリカのサイトを利用することになるだけです。結局日本には産業は何も残らないというだけの話になってくるわけで,権利者にとっては著作権を守ってもらったように思っても,実は総体としては日本全体が沈んでいる,こういう状況もあるわけです。将来クラウドコンピュータが出た場合にはどうなるかということは私などには見当がつかないのですが,いろんな状況が出てくると思います。それを一々検索エンジンの場合とおなじように時間をかけてやっていたのでは恐らくクラウド産業は全てアメリカに取られているでしょう。ITでは,ヨーロッパは守りに入っていますから,日本で一番競争しなければいけないのはアメリカであって,そのアメリカに全部とられてしまう。でも,権利者の権利は守られたということでよろしいのでしょうか。
【齊藤氏】
別に牧歌的なお話をしているわけではありませんけれども,軸足の一つが産業であるというのは確かにおっしゃるとおりでございます。非常に救いであるのは,軸足の「一つ」が産業だということで,著作権法制というのは10年,何世紀後の文化についても責任を負う法律でもあるわけでございます。したがいまして,諸状況が大きく変化はしますけれども,しかし,それに対して国ごとに文化の保持,文化の多様性をどう保持していくのか。これは今の検索エンジンにつきましても,ヨーロッパの伝統的な諸国につきましては,かなり独自の考えを打ち出しているはずでございます。どうしてかと申しますと,やはり何世紀にもわたってあります固有の文化があるわけですから,これをどういう形で保持していくのか。これは国自体もEUも含めて積極的に関与しているところでございます。ただ,産業にも軸足があるということは私も同感でございます。
それから,もう一つのご質問の中で,このA,B,Cと類型がございますが,こういった諸類型,これは早稲田弁護士からも今の段階で不確定という回答をいたしました。ここは,私,踏み込んではいけないところかもしれませんが,諸類型,これを抽象化しまして一般的な規定を作るということは可能であります。もちろんこの3つに限りませんけれども。その際重要なことは何かと申しますと,一応国際的な基準があるわけでありますから,そして一般的な規定としてかなり抽象化の高いものが条約に書いてあるわけですから,これを参考にして,その枠の中でお書きになるということは可能ではないか。非常に不思議に思いますのは,条約を何とか避けようというような,私,ちょっとひねくれて見ているかもしれませんけれども,公正な利用とか何か別の言葉に置きかえて一生懸命ご主張なさっているところが非常に奇異に思うところでございます。
以上です。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかにございますか。
では,中村委員,どうぞ。
【中村委員】
先ほどBについて利用の許諾のお話があったんですが,参考までにAやCについて利用の許諾というのが行われていないのか。また,A,B,Cを通じてなんですけれども,こういうA,B,Cの内容については何か権利者側から承諾を得るのが難しいとか,権利者側の承諾を得るのが面倒とかいうような具体的な実情というものがあるものなんでしょうか。
【早稲田氏】
私の方には,特には聞いておりません。
【土肥主査】
よろしゅうございますか。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
ちょっと分かりにくかったのでお聞きできればと思います。まず,先ほどのBの類型では,現在利用許諾手続が行われていて,何ら問題のない行為ということでしたが,そこで挙げられた例というのは,19ページBの括弧の下に書いてある(b)の中の2つ目の38条1項に基づく非営利無料の音楽演奏に際し,進行や会場設備の都合上,楽曲ごとにCDを入れかえて再生することが困難な場合に,予め複数枚のCDから再生する楽曲を演奏順に編集して,1枚のCDに複製することというのも,このペーパーとしては,ここまでは一々許諾をとらなくてもいいことにすべしという例でBに挙がっていんですが,先ほどのご趣旨としては,これは現にこういうものは一々プラクティスとして許諾をとるべしということで,一般的にこのような場合に1枚のCDに焼く際には許諾をとっているということなのでしょうかというのが1点目であります。次に,今後はいろいろなやり方があろうかと思うのですが,1枚のCDに焼かずに,最初からハードディスクに落としてそれを順次再生するといった,ほかの方法もあり得るかと思うんですが,それについても一々全て複製に際し,許諾をとるのがプラクティスだというご趣旨なんでしょうかというのが2点目であります。それから,先ほど齊藤先生が言われた中で,A,B,Cを抽象化すると言われたのですが,ここのペーパーとしては,A,B,Cというのはそれぞれ別のものとしてあるのであって,それを包摂するような抽象的なものを導入するという趣旨のものではないのでですが,先ほど言われた抽象化云々というのは,もし抽象化するような議論があったらご注意くださいという,そういう理解でよろしいんでしょうかというのが3点目でございます。
【早稲田氏】
1点目につきましては,それが一般的なプラクティスかどうかというのは申しわけありませんが,ちょっと私どもの方では把握しておりませんので,個別の権利者団体等にお聞きいただいた方が分かるかと思っております。
【齊藤氏】
2点目はおっしゃるとおり,さらに踏み込めばということでございます。現段階,そこまで行っていないということでございますから,おっしゃるとおりでございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。
それでは,齊藤様,早稲田様,どうもありがとうございました。
日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会のご意見を伺う前にちょうど新しく文化庁の次長に就任なさいました吉田文化庁次長がご到着でございますので,一言ごあいさつをいただければと思っております。
【吉田次長】
遅れてまいりまして申しわけございません。7月30日付で文化庁次長を命ぜられました吉田でございます。
もう皆様ご存じのとおり,著作権とは大変深いかかわりをこれまでも持たせていただきまして,今度は改めて次長という立場で著作権をまた預かられることになりまして,大変うれしく思っております。ちょうど今ご議論されております権利制限の一般規定の導入の関係につきましても,私が文化庁審議官時代にこの議論の発端があったわけでございまして,だんだんと議論が進んできておるなというふうなことを感じております。これからまたなお先生方にはご苦労をおかけすることがあろうかと思いますけれども,また引き続きご尽力方お願いをいたしまして,私の就任のあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【土肥主査】
ありがとうございました。まさにウェルカムバックということだと思います。
それでは,続きまして日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会の中山様と今子様,それから大野様,よろしくお願いいたします。
【中山氏】
日本知的財産協会専務理事,中山でございます。こういう機会を設けていただきまして,ありがとうございます。具体的なAからCの類型につきましては,デジタルコンテンツ委員会の今子委員長からお話しさせていただきますけれども,私の方では1つ,まだここでは出ていないような話題をご紹介したいと思うんですが,いわゆる新成長戦略の中でこの問題が取り上げられていると。工程表の中には新市場創出ということで,こういうこの規定が期待されているという点がございます。したがいまして,どこまで深掘りすればこの議論が収束するのかというような問題辺りの非常に関心を持っておるところでございます。中にはAからCにつきまして,ある程度皆さん方のご意見が収束するところもありましょうし,また,それにつけ加えて,さらに深く掘り下げなきゃいかんという項目もあるんでしょうけれども,それをどのタイミングでまとめていくかというような議論も必要に思っております。これは委員の皆さん方が中で議論されているところと思いますけれども,外から見たときにその議論,那辺にありやという辺りが若干見えないところもございまして,ぜひとも今後のご審議にはタイミングという問題も大きな問題としてお考えいただければと思います。
それでは,今子にかわります。
【今子氏】
日本知的財産協会の今子と申します。本日はこのような機会をいただきまして,どうもありがとうございます。
当委員会は権利制限の一般規定につきまして,企業活動を行う上での萎縮効果の解消という観点から導入が必要であるという立場でございます。特に例えばクラウド化など今後のデジタル化,ネットワーク化の進展による著作物の創作,利用,流通環境の変化にかんがみますと,イノベーションを促進し,権利の保護と利用のバランスを図るためには権利制限の一般規定の導入は不可欠であるというふうに考えております。したがいまして,今回の中間まとめにおきまして導入の方向性が示されたということは非常に大きな前進であり,大変評価をしております。
ただ,今回提示されたAからCの類型の適用範囲は限定的でありまして,特に企業活動を営む上で不可避的に生じる著作権者等の利益を不当に害さない極めて軽微な行為というものがこれらの類型により全てカバーされているわけではございません。したがいまして,著作物の通常の利用を妨げず,著作権者等の正当な利益を不当に害しないと認められる一定の範囲内で公正な利用を包括的に許容し得る権利制限の一般規定という観点から,継続的な検討をぜひお願いしたいと思っております。
各類型につきましてお話をさせていただきます。
まず,A類型につきましては導入に賛成でございます。写り込みは例えばカタログなどの印刷媒体やウェブサイトとか動画などに著作物が小さく写り込んでしまうこともありますし,音が入り込んでしまうということもございまして,実務上問題となっておりました。写し込みにつきましても,A類型の要件を満たす場合には写り込みの場合と同様に,一般規定の対象とすべきだというふうに考えております。
続きまして,B類型につきましても導入に賛成いたします。中間まとめの19ページの例にもございますとおり,様々な例がありまして,最終的には許諾が得られないとか,利用を検討したけれども,採用しなかったとかというような場合がありますので,やはり規定の導入が必要であるというふうに考えております。
C類型につきましても導入賛成いたします。C類型はデジタル化,ネットワーク化の進展に対応するための類型ということで入れられていると理解しておりますが,コピーは情報通信における基本的な処理でありますので,様々な行為が想定されるところそれぞれを個別に立法するということは不可能ですので,個別制限規定の受け皿として包括的に機能し得るような規定として導入をお願いしたいというふうに思っております。
なお,対象とする著作物の種類ということですが,プログラムの著作物も他の著作物と同様に考えるべきだというふうに考えておりまして,C類型の対象から除外する必要は特段ないのかなというふうに考えております。以上のとおり,AからC類型につきましては導入に賛成いたします。
残された課題といたしましては,いろいろあると思いますけれども,例えば中間まとめの24ページにありますとおり,企業内での出版物等の複製のうち,複製対象の著作物の複製物を適法に取得・所持している場合における極めて小物の複製については,今回の規定の対象とはされておりません。しかしながら,企業内の利用行為,例えば会社で正当に取得した外国図書の一部を自己の理解のため,または社内で説明するために翻訳することや,翻訳するために一部コピーすること。会社で会議を行うためにウェブサイトを映写すること。特許庁から受領した拒絶理由通知に添付された引用文献を社内において拒絶理由を検討するために必要な範囲で複製することなどの行為は非常に軽微と言えまして,かつ著作権者等の利益を不当に害さない公正な利用というふうに考えられます。円滑な企業活動を進め,イノベーションを促進するという観点から一定の企業内の利用行為を認めていただくという点につきまして,引き続きご検討いただければと思います。
最後になりますが,著作権者等の利益を害さないよう配慮しつつも,イノベーションが促進できるように個別権利制限規定の受け皿として機能し得る権利制限の一般規定を導入するという観点から,AからC類型以外につきましても,引き続きご議論,ご検討をお願いしたいというふうに考えております。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,ただ今の中山様,今子様のご発表につきまして何かご質問,ご意見等ございましたらお願いいたします。
中村委員,どうぞ。
【中村委員】
A,B,Cの類型に該当するような事案で,権利者の許諾がとれなくて非常に困っていて,こういうのがA,B,Cとして必要なんだというような何か具体例をもし把握しておられましたら,ご紹介いただけないでしょうか。
【今子氏】
A,B,Cですね。昨年の9月にもいろいろな利用行為につきましては法制問題小委の方に意見を提出させていただきました。多分中間まとめもちょっと重なっているところがありますけれども,まずA類型は先ほど申し上げましたカタログやウェブサイト,動画などに絵画,写真が小さく写り込んでしまうようなことや背景に音が入り込んでしまうようなこと。写り込みと一口に言いましても,いろいろな利用の仕方というか,いろいろな入り込み方がありまして,そういうことも考えると,ある程度柔軟性を持たせたような規定が必要なのかなというふうに考えております。
それから,B類型につきましては,これも19ページに書かれているかとは思いますが,例えばライセンスを受けて商品化,ビジネスを行おうとする場合に,その提案資料を作成する。それから,そういう場合に著作物を利用する。それから,映像作品を制作する場合にどういう音楽を採用するのかを検討する上で,複数の曲を試しに複製してみるとか,そういったことがあるかと思います。
C類型につきましては,機器やソフトウエアの開発に当たりまして,実際に市場に流通している著作物などを試験で使ってみるということは非常に意義があることでして,そういった機器,ソフトウエアの性能や信頼性を高めることにつながります。そういう観点から,例えばOCRのソフトの開発に当たり,刊行物で使用されているフォントに対するOCRソフトの認識精度を高める目的で刊行物をスキャンするとか,専門書の翻訳ソフトの能力や精度をテストするために実際の専門書を複製して翻訳ソフトにかけるといったような行為が挙げられるかと思います。
【中村委員】
もう一言ちょっと実態をお聞きしたいんですけれども,今ご紹介いただいたような事例で権利者の承諾,許諾というのは,それはとれないものなんですか。それとも何らかの事情があって,もうとるのが面倒ということなんでしょうか。それはどのように理解したらいいんでしょうか。
【今子氏】
いろいろなケースがございまして,もちろんとれるケースもあるとは思いますが,全てのケースにおいてとれるとは必ずしも限りませんで,やはりとれないケースも多数存在しているかというふうに思います。
【中村委員】
権利者の方で許諾しないというのは,それなりに権利者の方に何か合理的な理由があるものなんですか。
【今子氏】
そのような例よりは,むしろ権利者が分からないですとか,本当に非常に些細な行為で権利処理が必要なのかと思われるケースがあります。権利処理の手間を考えると,やはり使わないという方に傾きがちなんですけれども,それだとイノベーションにマイナスだったりするというようなことを考えております。
【土肥主査】
ほかにございますか。
【松田委員】
今示された中の音楽音源を多用に使ってみるというようなことは,極めて確かに複製としては小さい複製なのかもしれない,ボリュームは小さいのかもしれませんが,これJASRACに対してしかるべき使用料を払えば可能でしょう。それから,それ以外の書籍等であれば,複写権センターの手続をとれば極めて簡単に許諾が得られますけれども,こういう手続をとることができないのではなくて,それぞれのご判断でそこまでやらないでいいではないかと,軽微であるということがまず先行しているんじゃないでしょうか。
【今子氏】
最終的には許諾を得るということをもちろん考えておりまして,ビジネス上で利用する場合には許諾をとりますが,その前の試行錯誤の段階といいますか,そういう段階でなかなか権利者の方へお話に行くというのは難しい場合もあるかというふうに考えております。
【松田委員】
それはどういう意味でしょうか。試行錯誤の段階では権利者の方に情報を渡したくないと,そういう意味ですか。
【今子氏】
そういうことではないんですけれども,本当に少し使ってみるとかということで,企業の外には出ていかないというような行為もありますので。
【松田委員】
でもそれは,複製は複製だから,とりあえずはライセンスを受けてみようというのが普通の企業の行動規範じゃないんでしょうか。
【今子氏】
ですので,許諾を得るというのが最終的にはもちろん行われるというふうに思います。
【土肥主査】
ありがとうございます。よく分かります。ほかにございますか。
それでは,中山様,今子様,ありがとうございました。
次にそれでは,社団法人電子情報技術産業協会著作権専門委員会の亀井様と坪内様,よろしくお願いいたします。
【亀井氏】
電子情報技術産業協会の亀井でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして,ありがとうございます。
先ほど世界的なIT企業は日本にないと断ぜられておりましたので,忸怩たるものがございますが,ITという定義の問題だろうというふうに考えております。日本で確かにイノベーションが生まれにくいということがあるかと思っておりまして,それは企業みずからの課題ももちろんあるわけでございますが,日本の法制度を含むシステムにもやはり問題があると思っておりまして,著作権法もその一つだろうと。やっぱり制度のありようによってイノベーションであるとか,あるいは国際的な競争力,とりわけコスト競争力への影響というものがあると思いますので,非常に大事な問題だというふうにとらえております。企業自身は,これは社会的責任を放棄すれば,別に日本にいなくても存続し得るというものであります。しかしながら,やはり日本で企業活動を続けるためには一定の行為が日本で認められるかどうかというのは非常に大きなポイントだろうと考えております。
お手元の資料5に従いまして,電子情報技術産業協会の意見を申し述べたいと思います。これは先のパブコメに提出をしました意見書の構成を読みやすいように変えたもの,基本的にはそういうものでございます。
総論でございますが,今般の中間まとめで出されております,一定の範囲で著作物の利用を認めるための権利制限の一般的な規定を置くということについて大いに賛成をいたします。そのようなご検討をいただいて,結論を出していただいたことにまずは感謝を申し上げたいと思います。
個々の類型について申し述べてまいります。
類型化についてということでございますが,類型化ということになりますと,先ほど日弁連からのご意見にもありましたが,個別権利制限規定により近づくようにも見えるということがございます。仮にこれが硬直的に運用されるということになってしまいますと,せっかく今般の検討のご趣旨にあります技術の進展や社会状況の変化に対応していくというその柔軟性が損なわれるのではないかというところを危惧いたしております。したがいまして,ある程度の類型化においてはもちろんありがたいことではありますけれども,そこにどの点で柔軟性を持たせていただくかという点,ぜひご検討をお願いいたしたいと思います。
3ポツ,Aの類型でございます。いわゆる形式的権利侵害行為という整理をされておりますけれども,このA類型に相当する,いわゆる写り込み等がその代表例の一つだと思いますけれども,そういったものについて権利制限の対象とするということに賛成をいたします。脚注にございます写し込みにつきましても,個別具体的な事案によってこの類型に相当するものがあると書かれているとおりかなというふうに思っておりますので,あえて排除する必要はないのではないかという意見でございます。
4ポツ,Bの類型でございます。これは今,日本知的財産協会さんへのご質問にもありましたが,どのような行為があるのかということで,企業内でいろいろ考えてみますが,恐らく例えば著作物の出版の了解を得ているという場合であっても,その要素について担当者間でメールでそれを送るというようなことをしますと,これは,このB類型がないと複製行為として認められていないのかなと思います。今の整理の中では賛成をするという意見でございます。
それからC類型,これにつきましても書かれております行為を対象とすることに賛成をいたします。かねてから技術開発や技術検証のための著作物の利用というもの,あるいはネットワーク上で不可避的に生ずる必要となる複製等について,一般規定によって許容されるべきという意見を申し述べてきておりまして,中間まとめの結論に全く賛成でございます。
近時の法改正で設けられた個別権利制限規定,今年の施行の法でございますが,こういったものを包括するようなものとして受け皿規定として機能するという点に非常に期待が持てるところでございます。
6ポツで,AからC類型だけでそれでは足りるかという点について多少述べております。デジタル・ネットワーク時代において,やはり著作物の公正な利用促進というものと権利保護の調整という目的で考えたところ,必ずしもAからCの類型に該当せずとも認められるべき行為があるのではないかと。その他著作物の類型及び用途並びに利用態様に照らして著作権者の利益を不当に害しない利用行為といったもの,こんな書き方がそのまま法律になるとは思いませんけれども,こういったものが該当するんだろうと。包括的な権利制限対象となるべきことをご検討いただきたいと考えております。やはりイノベーションを触発して将来の様々なビジネスとの関係で生ずるであろう潜在的な必要性というものがあると思います。ただ,それが具体的に何かと前回のヒアリングでも大分お聞きいただきましたが,なかなかそれを答えることができないということはございますが,そういうものを置いたといたしましても,とりわけ企業内において行われます次のような例というものも考えられるところでございます。
これらは恐らく権利者に特段の不利益を与えない行為であろうというふうに思いますし,権利処理が一方で非常に困難であるというふうに考えられます。軽微だという行為の一方で,実はこれらの行為,例えば外国語文献の翻訳であるとか,インターネットの情報を取り出して印刷するであるとか,あるいは他人の特許関係書類を複製して研究する,実はこういう行為は日本の研究者にとってイノベーションを生むための足腰になるところでありまして,こういったところに非常にコストがかかる,あるいは手間がかかるということになりますと,これは結果においてやはりイノベーションを抑制することになるんだろうというふうに考えております。
7ポツ,要件としてまとめられているところにつきまして,幾つか意見を述べます。一部に非営利性を独立の要件としてはどうかというご意見があるということでございまして,中間まとめの中では独立要件にしないと書かれております。独立要件とすべきでないというふうに考えております。現在企業自身が非営利な行為を,ボランティアも含めてやるということもありますし,大学や官との共同研究の場などを考えますと,何が営利で何が非営利かということはもはや企業から見ても区別がつかないような場合もございます。非営利性をもって区別するということに対しては,反対でございます。
対象とする著作物の種類ということで,特段特定の支分権,あるいは特定の種類の著作物に限定する必要はないだろうということで,中間まとめの結論に賛成をいたします。C類型に関しまして,そのプログラム著作物を除外するという考え方が示されておりますけれども,あえて除外をする必要はないのではないかと思います。プログラム著作物といいましても,複製物はいわゆるオブジェクト形式だけではございませんで,ソースコード形式であるものもあります。そういうものを統計的処理をするであるとか,あるいは改ざんを見るためにハッシュ値をとるために複製するといった利用もあるわけで,そういったものを一括適用除外ということで,除外の除外ですから権利が及ぶということになりますと,非常に窮屈なことになると思います。
8番目,人格権との関係でございますが,これは権利制限一般規定だけの議論ではないというふうに思っておりますが,著作権法50条の改正も併せてご検討いただけないだろうかというふうに考えております。
9番目,既存の権利制限規定との関係ということでございますが,中間まとめで示されておりますように,今後も必要に応じて個別の権利制限規定の追加見直しを行っていくべきという姿勢に非常に心強く思っております。一方で,プログラムのリバース・エンジニアリングにかかる権利制限につきましては,答申が出てから1年以上経過しているにもかかわらず立法されていないということがございますので,速やかに立法していただくべきだろうというふうに考えております。
刑事罰という点では,刑事罰を科すという点からはこの規定ぶりの慎重性というもの,具体性というものが要るということは非常によく分かる点でございます。一方で,冒頭申しましたように,権利制限の一般規定を新設する趣旨を没却することのないようにぜひご検討いただきたいというところでございます。
意見は以上でございます。
【土肥主査】
どうもありがとうございました。それでは,ただ今の亀井様のご発表につきまして,何かご質問,ご意見ございましたらお願いをいたします。
では,中村委員,どうぞ。
【中村委員】
せっかくの機会ですので,実務上の運用についてできれば具体例とともにご教授いただきたいんですが,A,B,Cともに実際には権利者の許諾をとって行っているものなのか,そこに何か問題があるのか。特に具体例において許諾を得るということにA,B,Cそれぞれ何か問題があって,ぜひこれが必要なんだというようなのがありましたら,ぜひ具体的な事例とともに教えていただければと思います。
【亀井氏】
まず,Aでございます。例えば写り込みというような例を考えますと,これは昨年の意見書にも書きましたけれども,テレビ会議のシステムを使うときに,例えば壁にある絵画が写り込んでいるというようなことだとかいう場合に,これは一々許諾をとるべきだ,許諾をとらない限り,一応違法にあるということだろうと思います。実際にはそういった権利処理をしていただくところがあるのかないのかというところも私自身承知していないというところがございます。
それから,Bの類型は先ほども1つだけ例を申しましたが,やはり企業内でのイントラネットを使って著作物をある担当者が別の担当者に送る,メールを使うという行為が頻繁に行われるかと思います。これが企業自身が利用行為として許諾を受けているアウトプットに至る過程で必要になる様々なそういう行為は全て,当初の契約の中で処理をするのかというところを考えますと,必要となる一切の利用行為ということで許諾を得られればいいですが,そうすると,かえって利用許諾を受けにくいという面もあると思います。Bの例というのはそれがぴったりBにはまっているのかというのは,整理を拝見してそこから考えるのはなかなか難しいなと思って見ています。あとは権利制限に該当する行為,これはちょっと分かりませんが,裁判手続に入るかどうかを判断する前提として,他人の著作物,例えばプログラムの解析をするといった場合に,何ら救済が今は置かれていないのではないかなというふうに思われます。これはどの類型で読んでいただけるのか分かりませんが,相手は侵害者だと決めてかかった場合に,事前に許諾を得るということは恐らくあり得ないだろうと思われます。
それからC類型,これは研究開発でございますが,非常にそういう場面で多く出てくるだろうと思っておりますが,例えばテレビの受像機を作るのにいわゆる一般的に民放を含め,NHKさんも含め放送されているものが受信できるかというのが大きなポイントになります。包括的に放送局各社,検査のために全て映していいか,あるいはレコーダーであれば記録していいかというような権利処理が行えるかというと,それは事実上やはり難しい。いつのどのタイミングのテレビの番組をとるかというところまでの特定をするということもできないということがありますので,例えばそういう例が該当するのではないかというふうに思います。
以上です。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかにございますか。
よろしゅうございますか。
それでは,亀井様,どうもありがとうございました。
それでは,続きまして特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの野口様,よろしくお願いいたします。
【野口氏】
野口でございます。本日はお招きいただきまして,どうもありがとうございます。
先ほど来,主に企業や業界団体のご意見をお伺いしてまいったのだと思いますが,私どもの団体は,なかなか権利者団体もしくは事業団体を形成できないような一般のクリエーターの立場を主に重視して意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元の資料6は8枚もので多少資料は長いんですけれども,かいつまんでまいりたいと思います。
冒頭のところに私どもが昨年9月にこちらの委員会に提出させていただきましたアンケートの結論部分を申し述べさせていただいておりますけれども,このような一般クリエーターの意見はなかなか反映されにくいと感じております。角川会長から先ほどご指摘のあったCGM時代にクリエイティブな日本ということで,個人の活躍が期待されるわけです。先ほど来許諾をとるというようなことがしきりに議論されているわけなんですけれども,最終的にはそれはコストとの見合いでございまして,資力のない個人にとっては非常に酷なことになる場合もあるということを前提にこの結果をご覧いただきますと,たくさんの個人がこの一般規定を導入することを強く希望していることがわかります。2ページをめくっていただきまして,6番のところですけれども,そういうふうに申し上げますと,それはお金をもうけていない個人のクリエーターだけなのではないかというようなご指摘をよくいただくんですが,実は統計上,むしろお金を得てクリエーション活動をしている人の方がより切実に感じているというような結果も出ておりますので,その辺りを踏まえてご英断をいただきたいと思っております。
1-2ですけれども,個別規定との対比で,個別規定で十分対応できるのではないかということが中間まとめで提案をされておりますが,なかなか個別規定の立法に至るまでの過程が非常に時間がかかったり,もしくは余りにも社会に分散をしていてなかなかこちらの委員会まで声が届かないというようなことがたくさんございまして,そちらをこの一般規定でむしろ司法のチャンネルも使って吸い上げるということがこの一般規定の大きな意義と考えておりますので,必ずしも単純に立法できているということで全てが解消されているとは思っていないということを申し述べさせていただいております。
1-3のところはこの予測可能性のコストのところで,先ほど来もしくはこちらの委員会の議事録を拝見させていただいておりますと,余りにも抽象的にすぎると予測可能性が下がって,社会が混乱するのではないかというようなことがよく指摘をされていますが,その一方で,この中間まとめでも記載されておりますとおり,社会の多様化・流動化に柔軟に対応するということとのバランスであると思いますので,余り必要以上に警戒的になることによって,実質個別規定が3個ふえたのと変わらないというような立法になってしまうということは,できれば避けていただきたいと思っております。特に近年の例外規定は,中学生もしくは小学生も影響をこうむる法律であるにもかかわらず,法律の素養のない人が読むことが非常に困難な規定になっております。21年の改正をご覧いただければ分かるのですが,弁護士でもコンメンタールがないと理解できないような内容になっておりまして,このような立法がクリエイティブ時代に著作権法としてどんどん増殖していくという傾向に対して,私どもは非常に懸念をしておりますので,規定ぶりのところで必要以上に難しい修飾語などをたくさん入れ過ぎて,個別規定といってもパッチワークのような内容になってしまうということについてはできるだけ配慮をして,国民にやさしい規定ということを考えていただきたいと思っております。
具体的にA,B,C類型に関するコメントに入ってまいりたいと思いますけれども,2-1のところは3類型に限定することなく,スリー・ステップ・テストを満たすような要件を広く包含するような規定を入れていただきたいということではあります。仮に今回それが難しいという場合には,継続的に検討して,見直していくということについて明示をしていただきたいというふうに思っております。
2-2のところですけれども,これは中間まとめで既に解消されていることなのかもしれませんが,AからCの文言だけを見ますと,それを単に一部複製をしたりするだけではなくて,変容的利用と米国では言われておりますけれども,内容をある程度変更して翻案的な利用であっても許されるということについて明確ではないのではないかということが団体の中から意見として出ました。中間まとめでは,支分権を限定しないということも明示されておりますので,当然翻案権は入るということだと理解はしておりますが,その点を是非明確にしていただきたいという意見でございます。
2-3のところは先ほど申し上げましたとおり,文言がほとんど個別規定と異ならないのではないかという問題意識を述べさせていただいているところでございまして,具体的に2-4のA類型のところですけれども,例えばこの「付随的に」のところに修飾語として「著作権の利用を主たる目的としない他の行為に伴い」というような限定がついておりますが,本当にこの修飾部分は例えば必要なのかという意味では,必要ないのではないかということが意見として出ております。
その具体例としまして,その次のページのシナリオ2というものを見ていただきたいと思います。こちらは私どものアンケートで尋ねた事例なんですけれども,ディズニーランドを訪れた人がミッキーマウスとツーショットで写真を撮って,これをブログで公開するということについて許容されるべきかという質問に対して,もう実際にたくさんの人が行っておりますし,7割近くの人が強くそう思うと回答しています。しかし,現在のA類型の文言に照らしてみますと,例えば社会通念上軽微である。質的,量的に軽微であるかどうかというところについては要件を満たす可能性もあるかとは思いますが,このミッキーマウスの利用が主たる目的ではないほかの行為に付随しているかどうかというような要件が入ってまいりますと,非常にグレーになるのではないかと考えられます。このように,何を付随的とするかというところについてまでこのような厳しい限定は本当に必要なのか。そこは事案を見てスリー・ステップ・テストに照らして裁判官が判断するということで十分足りるのではないかというふうに考えております。
続きまして,2-5でB類型についても似たような指摘をさせていただいておりますけれども,「こちらも適法な著作物の利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる」というふうに書いてあるんですけれども,これが著作物の適法な利用を達成する過程であるということに限定することにどの程度の意味があるのかという疑問です。むしろここは具体的な文言はより検討が必要かもしれませんけれども,適法な行為もしくは社会的に許容される行為を行う過程においてというような程度で足りるのではないかというふうに考えております。
その理由としまして,次のページに2つほど例を載せさせていただいておりますけれども,1つ目の例といたしましては,先ほども具体例が幾つも出ておりましたけれども,準備行為として例えば音楽を検討する,もしくは社内で証拠として提出するような文章を多数検討して,最終的に提出しないということはよくあるわけでありまして,そのような最終的に適法な利用が行われなかったほかの著作物の複製についてはさかのぼって違法になってしまうのかどうかということがこの文言では必ずしも明らかではないと考えております。ただし,それがどれを最終的に利用するのか分からない段階で全て許諾を取るという先ほど松田委員からご指摘がございましたけれども,現実にはそれは非常にコストが高いということになるわけでありまして,企業であれば,それであればハワイにラボを移すというような結論になるでしょうし,個人の場合には,それはもう違法であっても試行錯誤しないとおもしろい作品は作れないというジレンマに陥って,非常に萎縮効果が高いことになってしまうと思います。したがって,最終的にそれが利用されたものだけがこれに当たるというふうにならないようにしていただきたいというのが1点でございます。
もう一つは,「違法な行為」という程度に緩めてはどうかということで,32条の例を挙げさせていただいておりますけれども,例えば論文を書くに当たりまして,ほかの関連の論文を私的複製ではない,例えば企業内の活動として複製したとします。その論文を最終的に引用した場合にはこのBに当たるんだと思うんですけれども,結局引用もせずに例えば参考文献として末尾として記載するだけで,アイデアを参照しただけであるというような場合には,適法な利用行為は最終的に伴わなかったということになりますので,引用すれば適法なんだけれども,ある意味,著作権侵害に全くならないような独自の創作活動をするとBで救済されないという逆転現象が起こるのではないかということが議論をされておりまして,これは余りにも著作権の前提に照らしますと,結論として妥当ではないのではないか。その理由としては,やはりこの適法な著作物の利用を伴わなければいけないという要件がおかしいのではないかということが議論をされておりますので,意見として述べさせていただきます。
2-6でC類型について記載をさせていただいておりますけれども,C類型の具体的な文言につきましては,この「著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受するための利用とは評価されない利用」というところが限定的にすぎるのではないかということで,先ほど日弁連からもご紹介がございましたけれども,似たような趣旨でございまして,「著作物の表現を本質的に享受する」もしくは「本質的価値を享受する」というような程度の文言で足りるのではないかということでございます。
こちらは趣旨としてはネットワーク産業のイノベーションを支援するという趣旨であると思うんですけれども,情報ネットワーク産業の形態は非常に多様化をしております。例えばサムネイルを表示するというのは,この間導入されました検索エンジンの例外規定では必ずしもカバーされていないと理解をしておりますが,実際にはサムネイルが表示をされるということは権利者にとっても非常にメリットのあることです。しかし,これは知覚を通じた享受であると,例えば雪月花事件を考えますと,書であれば大丈夫なのかもしれないんですけれども,例えば絵画のように構図に非常に重きのあるような著作物というのは雪月花事件を考えましても,サムネイルは違法になる可能性があるのではないかということが弁護士の間ではよく議論をされておりますけれども,このような利用ですとか,今後様々な利用が考えられるところでございますので,知覚するかどうかということを基準にするというのは余りに狭いのではないかという意見が出ております。
また,プログラム著作物について除外すべきでないということについても,幾つかご意見が既に出ているところでございます。
あとは2-7につきましては,パロディやリバース・エンジニアリング,社内利用等は個別規定で対応するということでございまして,もちろん今回の一般規定に入れていただければ,その方がありがたいのですが,もし無理であって個別に立法するというのであれば,ぜひスケジュールを示していただきたいということです。結局リバース・エンジニアリングも先ほどご指摘がありましたとおり,法制問題小委員会で議論が終わっているのに,一向に立法の動きが見えない。パロディにつきましては,まだ議論もされていないということでありまして,今後一体何年かかるのかということが全く見えておりません。このような個別立法を「いつかやります」と言って一般規定にも入れないというのは,結局何もやらないのと同じではないかということにつきまして,非常に懸念をしておりまして,その辺りについて明確な見通しをぜひ示していただきたいと思っております。
一番最後に3-1でございますけれども,こちらは余りほかの団体さんでご意見が出ていないんですが,著作隣接権についてぜひご考慮いただきたいということで,平成21年に裁定制度で隣接権に拡大する手当がなされたばかりですけれども,先ほどから出ております写り込みの中には,テレビやレコードといった音や画像の写り込みも十分考えられるわけでありまして,その中で隣接権がカバーされないということになりますと,結局この一般規定の意味が全くないとは申し上げませんけれども,ワンストップソリューションには全くならないということになりますので,それが適切かどうかということについてぜひご議論をしていただいて,できれば含めるという方向性の議論を期待したいというところでございます。
長くなりましたが,以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。それでは,ただ今の野口様のご発表について何かご質問,ご意見ございましたらお願いします。
では,松田委員,お願いします。
【松田委員】
私先ほど企業内においてコンテンツを最終版でなくても作成する場合において,権利処理をとり得る場合があるのではないかという指摘をしました。それは野口報告者の指摘のとおりです。しかし,この複製と社内複製とは別の問題です。企業内で複製物を持っていて,コピーをするようなことというのは往々にあるというのはそのとおりだと私は思っています。ここにも法律事務所内においては往々に行われていると書いてありますが,私,それ認めざるを得ないと思います。多分大学の研究室だって同じじゃないかなと思います。しかしながら,これはA,B,C類型で実は検討しなかったところなんですね。A,B,C類型にはずばり当たらないんです。むしろ私はこの類型については別に考えるべきだろうと思っています。まさに複製物を適正に持っていて,それの必要な範囲内で極めて少なく,一部と思いますが,そのコピーをする場合においては適法だというふうにせざるを得ないのではないかと私は思っています。ただし,その場合にはその部数を超える場合には,やっぱり複写権センターの法制化をきちんとしたうえで,複製が適法に行われるルールというか手続を確立すべきだというふうに考えています。両面で対処をとるべきだろうというふうに思っています。
【土肥主査】
ほかにご質問はございませんか。よろしゅうございますか。
それでは,全体を通じて,つまり複数の団体にまたがってお尋ね,ご質問等もあると存じますので,その点をお願いしたいと思いますが,大渕委員,先ほどお待ちいただいた点をお願いします。
【大渕委員】
それでは,せっかく機会をいただきましたので,先ほどお尋ねしかかっていたのは,我が国で写り込みと呼んでいるのは,これが写るというところだけに限定しているからなので,そういう意味では,本当は入り込みの方がいいかもしれないかなとは思っているのですが,そこのところはちょっと置いておきまして,このペーパーにもあるドイツやイギリスなどでは,ドイツでも重要でない付随物となっているし,イギリスでも付随的挿入となっているんですが,先ほどの最初の2団体にお聞きしたかったのは,付随では狭過ぎて非付随も入れるべしという方向で言われていたんですが,他方で,それとも関連してくるかと思いますが,ドイツは大陸法だとしても,イギリスのように英米法で,フェアディーリングを有するような国でもここでは付随的挿入の前には「公正な」付随的挿入といったような形容詞が付いているわけではなくて,むしろ,「公正な」といったような形容詞が付いているよりは,そのような限定のない分だけ広い意味になっているわけなのですが,先ほど言われた公正云々というのは,あくまで公正という形容詞がついていなければならないというご趣旨なのかどうかについてお伺いできればと思います。また,その関係ではついでなのですが,半ば冗談のようにしてスーパーフェアディーリングと呼んでいるものなのですが,例えば特許法ですと,皆さんよくご案内の有名な条文かと思いますけれども,特許法69条1項に,「特許権の効力が及ばない範囲」として,特許権の効力は,試験・研究のためにする特許発明の実施には及ばないという条文がありますが,この条文のどこにも別に「公正な」といったような形容詞も付いてはいません。これは,そのような限定がないという意味では,むしろ,そのような限定が付いているものよりはむしろ広いものかと思いますが,こういうものの可能性も含めて,やはりフェアとか公正というのが入っていなければならないとされるご趣旨かどうかについて,ちょっといろいろな論点が絡んできますけれども,お伺いできればと思っております。
【土肥主査】
それでは,弁護士連合会からお願いできますか。
【小川氏】
大渕先生,ちょっと今十分理解できたかどうか分からないんですけれども,例えば付随的というならば,Aの類型の中でその利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるものという部分との兼ね合いで,その付随的という要件ならば,むしろそこの後者の方の要件はなくてもいいんじゃないかみたいにちょっと聞こえたので,そういう趣旨,究極にはそういうこともあり得ると,そういう意味でのご質問でございますか。
【大渕委員】
要するに,先ほど付随ではなく,公正とするとされたのは,非付随も入れるべしというご趣旨なのでしょうかということなのですが。
【小川氏】
日弁連の方のとりあえず今メールでまとめた範囲では,その付随的という部分については特にいじらないで,その軽微という部分は公正という形に直すという話でして,その付随ということとか軽微もしくは公正ということがリンクしている議論はしていません。
【土肥主査】
岩倉先生,何かありましたら。
【岩倉氏】
公正という部分がかえって不明確ではないか,権利者に対する不当な制限になるのではないかと,抽象化し過ぎているのではないかという議論があることは当然ながら理解しておりますけれども,まず,特許法と著作権法の違いは著作権法1条の目的条項で云々かんぬんの権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつという目的条項があるので,公正自体は決して抽象的でも不明確なものでもないと私どもは思っております。
それからもう一つは,私どものフォーラムでは必ずしも著作権法自体を全て改正しなきゃいけないということではなくて,当初はデジタルコンテンツ,まさに今日議論になっておりますネット時代におけるデジタルコンテンツのネット上の流通をどうやって広く流通させるかということを主眼に特別法を考えたらどうかということを提言しておりまして,その中では例えば特殊な利用形態に即して,大渕先生がおっしゃったような表現を採り入れるというのはあり得ると思うんですけれども,著作権法に関しては一般的な著作物の利用に全て適用されるということになりますので,ある程度の枠というものはあってもいいのかなと思っております。先ほどスーパーフェアリーディングというよりはアメリカのフェアユースより幅広いものを志向してはどうかということについてのご質問がありましたけれども,余り細かい議論に入るつもりはなかったのですが,先ほどクリエイティブ・コモンズ・ジャパンさんからのご意見があったように,これは私個人の意見でまだフォーラムとして決めているわけではないのですけれども,米国著作権法のフェアユース規定のトランスフォーマティブユースの要件の議論についてアメリカでそれを非常に緩く解する考え方を日本に導入するということは十分あり得るのではないかと考えております。
以上です。
【土肥主査】
ありがとうございます。
【齊藤氏】
関連してよろしいですか。
【土肥主査】
はい,では齊藤先生,お願いします。
【齊藤氏】
一言だけ。私も気になっていますのは「公正な」という言葉を入れないと気が済まないといいましょうか,整理ができないように思っていらっしゃる面があるのではないかと思われます。私もかつて「公正な利用」という言葉を使っていました。日本語として使っていましたが,近年この「公正な利用」がフェアユースとリンクして認識される場合が多うございますので,努めて使わないようにしております。フェアユースはアメリカにおきましては,確固たる制度でございましょうが,100年余りの間に慣行的な内包・外延というものが固まってきた概念であります。しかし,突如我が国に導入するということになりますと,それはかなり不確定な概念でございます。アメリカにおきましても,フェアユースをめぐりまして何年も解決をしていないケースもありますから,アメリカでも決定的な概念とは申せないかもしれません。しかし,とにかく著作者の利益を害さないという辺りにつきましても,「公正な」という言葉を敢えてお使いになるということ自体かえって事を混乱させるのではないかと,このようにも思うところです。
以上です。
【土肥主査】
ありがとうございました。この点,何かございますか,さらに。
ほかに全体を通じてで結構でございますけれども,中村委員,どうぞ。
【中村委員】
特に5番の亀井委員長と4番の今子委員長にちょっとお尋ねさせていただければと思うんですが,現段階でのA,B,Cを考えていただいて,A,B,Cというのが本当に設けられたとして,企業活動においてA,B,Cに当たるかどうかすごく迷う例が今想定されているんですけれどもとか,AやBやCに当たるかどうか確かじゃないので,民事責任とか刑事責任を考えて,逆に著作物の利用を控えることになりそうなんだけれどもというようなのがもし今想定されているのであれば,ちょっとご紹介いただけますでしょうか。
【土肥主査】
これはどちらかというと実務にお詳しい例えばJITAとか知財協とか,団体の方がよろしいかなと思うんですけれども,いかがでございましょう。亀井さん。
【亀井氏】
特段この事例で判断に困るというようなことは現状はございませんで,法解釈として,軽微って何とか,社会通念って何ですかというところなのではないかと思います。ただ,それが一般的に軽微であるということが100人いれば60人か70人が軽微なんじゃないのと言える判断を思い切ってできるかどうかというところがポイントになるんだろうというふうに思われます。したがいまして,何か法改正に向けて,例えば事例としてこういうものはやはりこれに該当するという,ここの場でのご検討あるいはヒアリングで集められた類型,行為の中でこれはここかもしれないというようなこと,先ほど有権解釈のあれではないと言われましたけれども,何かそういう例示だけでもあれば非常に助かるかなという気はいたします。
【土肥主査】
知財協はいかがでしょうか。
【今子氏】
今,亀井委員長がおっしゃったとおりだと思いますけれども,実際に条文ができていないと何とも分からないところもあります。
【土肥主査】
ありがとうございます。ほかに,実は本日予定している時間というのは限りがございまして,大体時間になっておるわけでございますが,せっかくよい機会でございますので,もう一つぐらいいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
角川先生,どうぞ。
【角川氏】
A,B,Cに該当しないんですけれども,フェアユースを導入することによって著作権者の権利が弱まるのではないかというふうなおそれがあることはよく分かっております。これは,著作権法がデジタルコンテンツ時代になったときにやっぱり弱まる方向に考えた方が健全じゃないかという意見を申し上げたいと思います。アナログ時代には著作権者というのは固定的なプロの集団だったわけですけれども,CGM時代になって国民や,あるいは青少年が著作権者になっております。
具体的に申し上げますと,魔法のiらんどという携帯小説のサイトがございます。この魔法のiらんどは月間600万人のユニークユーザーがいるという巨大なサイトなんですけれども,この9割以上が中学生,高校生の,しかも女子のサイトです。この中で月間180万タイトルの作品が投稿されておりまして,その180万タイトルを投稿している子供たちは60万人という数です。この60万人の中学生,高校生が著作権意識をどれだけ持っているかということに対しては,必ずしも学校現場の教育が十分ではないこともあるんでしょうけれども,かなり弱いと思った方がいいと思います。この600万ユニークユーザーの権利者と利用者が,お互いに権利者であり,お互いに利用者だという関係があって,これらの人に現行の著作権法を適用することは,中学生,高校生を犯罪者にしてしまうような事例が起こってくる可能性があります。最近新聞にも,あるいはネットにも出ましたけれども,ライトノベルズの新しい賞を受賞した人が既存のライトノベルズの若い作家,これも高校生レベルが多いんですけれども,そういう人の作品を3つか5つ,ソフトウエアによって合成して1つの作品を作ったという場合がございます。これらは本当に著作権法で言うと非常に大きな問題なんですけれども,これらの人にも説明をして教育をすると,自分が悪かったということを自覚してくれます。
そういう点では著作権法は従来のアナログ時代には専門的な海賊版の事業者や,それから暴力団あるいは反社会的勢力といった人たちを取り締まるために非常に必要だったわけですけれども,このデジタルコンテンツの時代にはやっぱり違反した人に対しても優しく対応できるような方向を検討すべきだと。著作権法が若い人たちを犯罪者にしないような配慮というものをぜひこの著作権専門部会でも検討してもらえたらありがたいと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。先ほど申しましたように,本日の予定の時間も来ておりますので,ただ今の角川様の補足の意見,追加をもって本日の法制小委を閉じたいと思いますけれども,事務局から次回以降の予定等についての連絡事項がありましたらお願いいたします。
【池村著作権調査官】
本日はどうもありがとうございました。次回の小委員会の日程でございますが,続けての開催となり大変恐縮でございますが,あさって8月5日の14:00から,場所は三田共用会議所1階講堂を予定しております。次回も今回に引き続き,関係団体を複数お呼びし,ヒアリングを実施することを予定しております。
以上です。
【土肥主査】
それでは,本日はこれで第7回法制問題小委員会を終わらせていただきます。
本日は各団体の皆様,どうもありがとうございました。
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