議事次第

文化審議会著作権分科会
国際小委員会(第2回)議事次第

日時:
平成22年10月15日(金)
10:00~12:00
場所:
合同庁舎第7号館(文部科学省)
16階 16F2会議室
  1. 開会
  2. 委員及び出席者紹介
  3. 議事
    1. (1)コンテンツ業界からのヒアリング
    2. (2)WIPO等における最近の動向について
    3. (3)その他
  4. 閉会

配布資料

議事内容

○10:00開会

【大路国際課長】 それでは,時間になりましたので,まだお越しいただいていない委員の方がいらっしゃいますけれども,ただいまから文化審議会著作権分科会国際小委員会第2回の会議を開催させていただきます。
 本日は道垣内主査が急きょ出席できなくなったということで昨日御連絡があったところでございますが,主査代理でございます大楽先生でございますけれども,15分ほどおくれてこられるということで御連絡を受けております。大楽委員が御到着になるまで,大変恐縮でございますけれども,私が会議の進行をさせていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は御多忙の中御出席いただきましてまことにありがとうございます。まず,本日の会議の公開についてでございますけれども,予定されている議事内容を参照しても特段非公開とする理由はないと考えられますので,既に傍聴者の方には入場いただいているところでございますけれども,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大路国際課長】 それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴を頂くこととしたいと存じます。
 まず,事務局に人事異動がございましたので,御紹介を申し上げます。7月30日付で文化庁長官官房審議官に就任いたしました芝田政之(ゆき)審議官でございます。

【芝田長官官房審議官】 芝田です。どうぞよろしくお願いいたします。

【大路国際課長】 それでは,議事に先立ちまして,事務局から配付資料の確認をさせていただきます。

【吉田専門官】 それでは,配付資料の確認でございます。議事次第の,配付資料の一覧をごらんください。資料1から資料3までございます。資料1がコンテンツ業界からのヒアリングについて,資料2-1WIPO等における最近の動向について,資料2-2ACTAについて,資料2-3第7回知財保護官民合同訪中代表団の派遣について,資料2-4が日韓著作権協議の結果概要について,資料2-5が中国版権博覧会について,資料3が国際会議の今後のスケジュールでございます。それから,参考資料が1から7までございまして,参考資料の1が本委員会の名簿でございます。参考資料2が今期の国際小委員会の進め方について,資料3-1,2009年度映画輸出実績,3-2が日本のアニメの海外展開,参考資料の4が,これは冊子になっておりまして机上配付のみですけれども,海賊版被害のアンケート調査集計結果概要でございます。参考資料5,フォークロアに関する改訂テキスト案(和訳・原文)が一つのホッチキスどめになっております。参考資料6がACTAの条文案(10月6日公表資料),それから,これも机上配付のみでございますが,参考資料7として前回の小委員会の議事録が配付されているかと思います。それから,更にその下に本日ヒアリングでお越しいただきましたソニー・ミュージック様,それからフジテレビジョン様からの提出資料としていただいているものをお配りしております。こちらも机上配付のみとなっておりまして,右上に委員会後回収となっておりますので,委員会が終わりましたらその場に置いていただきたいと思います。お配りしております参考資料2に今期の国際小委員会の進め方についてという資料がございまして,この資料は前回6月の第1回国際小委員会で御議論いただきまして,そのときの御意見を道垣内主査に一任のもと修正することとなっておりましたものでして,その後主査と御相談をしまして,踏まえた資料をお配りしております。修正の履歴が見えるような形でお配りしておりますので参照いただければと思います。
 以上です。

【大路国際課長】 それでは,以上の点に関しまして,よろしゅうございますでしょうか。特段ないようでございましたら,早速議事に入らせていただきたいと思います。初めに,議事の段取りについて確認をさせていただきたいと思います。議事次第にございますとおり,本日の議事は,1番としてコンテンツ業界からのヒアリング,2番としてWIPO等における最近の動向について,3番としてその他ということで進めさせていただきたいと思います。まず,議事の1番目,コンテンツ業界からのヒアリングについてございます。海外においてビジネス及び海賊版対策を行っている企業の方々に御発表を行っていただきまして,その後に質疑応答,自由討議を行いたいと存じます。まず,それに先立ちまして,事務局からヒアリングのポイント及び発表者の御紹介をさせていただきます。

【井村専門官】 それでは,資料1をごらんください。前回の国際小委員会において,今期は特にインターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方に重点を置いて議論を行うこととしました。その際,権利者団体や海外に積極的に展開しているコンテンツ業界からの情報等を幅広く把握することとしたことを受けまして,今回コンテンツ企業からヒアリングを行うというものであります。
 ヒアリングのポイントとしましては,資料にありますとおり,海外におけるビジネス展開の状況,また海外における海賊版被害の状況,現在行っている対策の状況,文化庁が実施しております二国間協議等への要望,国内連携の在り方,文化庁及び政府への要望などです。今回は映画につきましては角川映画株式会社から関様,テレビにつきましては株式会社フジテレビジョンから,海外へのビジネス展開について内田様,著作権侵害対策については前川様,音楽につきましては株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメントから高嶋(しま)様と高良様,以上の方々に発表をお願いしております。
 なお,ヒアリングの企業からの資料は机上のみ配付させていただいておりますけれども,委員会終了後回収させていただきますので,よろしくお願いします。

【大路国際課長】 それでは,以上の点に関して何かご質問等がございましたらお出しいただきたいと思いますけれども。
 もしないようでございましたら,早速ヒアリングに入らせていただきたいと思います。先ほど説明申し上げましたとおり,最初に角川映画株式会社の関様に御説明をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【関(角川映画株式会社)】 角川映画で海外セールスを担当させていただいております関と申します。本日は,特にレジュメ等は御用意しておりませんが,口頭でお話しさせていただければと思います。それでは,早速ですが,こちらのビデオを上映させていただきます。

(ビデオ上映)

【関(角川映画株式会社)】 角川映画では,まだ現状十分な海賊版対策ができているとはいえないのですけれども,その取組の一つとして,トライアル的に始めたばかりなのですが,海外の,こちらはクランチロールというサイトで行っている取組で,「空の落とし物」という,弊社のコンテンツの配信に先立ちまして,北米などでよく行われているPSA,パブリック・サービス・アナウンスメントのようなものを,実際にコンテンツに出ていただいている声優さんを使って,「海賊版は見ないでください」,「違法なんですよ」というようなメッセージを啓もう活動の一環としてユーザー向けにお流ししているものです。
 こういった取組を1つ始めたということと,もう一つが,違法動画サイト検知システムのテスト導入ということで,今月から2か月間,2社のシステムを使ってトライアルを開始いたします。1つは北米のボバイル社というところのシステムでして,ビデオトラッカーというシステムです。もう一つは,日本のソリットエクスチェンジ社のシステムで,そちら2社のシステムを使って違法の動画サイトを検知するということを行いたいと思っております。
 システムの内容に関しましては守秘義務がありまして,この場では開示できないのですけれども,このトライアルによって,地域別,サイト別の侵害実態を把握しようということで,まずはそういった試みをしております。一斉削除ということで,本当に削除できるかとか,どのような効果があるのかといったことをモニターしていきたいというふうに考えております。
 その他は,個別に侵害を見つけた場合に,いわゆるパワー・オブ・ア・トーニーのようなもの,委任状のようなものを,各国のリストリビューターに発行いたしまして,そちらから侵害を食いとめるというか,そういう削除をするというような試みをしておりますが,十分に効果を発揮している状態ではございません。
 北米などは特に今そういったパワー・オブ・ア・トーニーを活用して,その当該ライセンスしているコンテンツについてはDMCAという,デジタル・ミレニアム・コピーライト・アクトというレターを個々の侵害しているサイトに発行しております。こちらは1996年からワールド・インテレクチャル・プロパティ・オーガニゼーションというところが発行している規則に基づきまして,北米のユナイテッドステートの法律,著作権保護に法令が出ておりまして,そちらのユナイテッドステート,コード17番,セクション512という法律に基づいて,あなた方は著作権を侵害していますよというような,取り下げてくださいというような内容のレターを出すということをしておりますが,実際に削除してくれる場合もあり,ただ受け取っただけで,そのまま続けている場合もありまして,効果のほどは定かではないのですけれども,そういった取組をしております。
 続きまして,セールスの現状,海外にどのくらい弊社のコンテンツがいっているのかといったところなのですけれども,日本のコンテンツが海外にいっているか,需要があるかということなのですが,日本のコンテンツの需要は,特にアニメに関していえば非常に需要というもの自体はあると思われます。一つの例として御紹介したいのが,この夏,毎年7月頭に行われているのですが,4日間フランスでジャパンエキスポという,アニメサブカルチャー系のユーザー向けのイベントなんですけれども,こちらは実際私も参りましたが,4日間で20万人の来場者を記録しております。そしてまた,7月28日から6日間開催されております台湾の漫画博覧会というイベント,こちらでも6日間で40万人の来場者を記録しておりまして,これらは両イベントとも年々来場者は数万から10万単位で増加しているというような状況です。
 こういったことから,アニメファンとか,日本のサブカルチャー系のコンテンツのファンというのは増加しているのですけれども,一方,年々DVDの売上げという意味ではどんどん減少しておりまして,私どもに入ってくる収入,いわゆるライセンス料,そちらも年々減少しているという状況です。これらは経済の低迷や円高等の影響もございますが,多くリストリビューターから寄せられる声としましては,違法ダウンロードの被害が大きくて,実際にDVDは買ってもらえないというような声を多く聞いております。
 続きまして,実際にダウンロードの侵害ということなのですけれども,こちらはジャパンエキスポで聞かれた例ということなんですけれども,フランスにラインセンスしていないコンテンツというふうなものの商品をもっていきまして現地で販売したんですけれども,そちらでもユーザーはラインセスしていないコンテンツに関しても非常に深い知識を持っていて,そういった商品もたくさん買っている状況です。詳しく話を聞くと,個々のキャラクターとか,そういったことも知っていて,やはりそういった動画サイトでファンサブと言われるような,一般の視聴者が,多分その方たちもファンだと思うんですけれども,そういった方たちがアップロードしているサイトを見たりして,そういった知識を仕入れたり,動画自体を楽しまれているというような現状です。
 また,最近あった例なんですけれども,ちょっと有名な,日本でも非常に加入者数がふえているスマートフォン系のアプリなんですけれども,こちらでiHoshiiという課金サイトが立ち上がっておりまして,弊社のコンテンツが幾つかアップロードされておりまして,そのアプリというのは19歳のワシントンDCに住んでいる若者が,特に侵害しているような意識はないままに,各タイトル2ドルで販売して,月額100万円以上の売上げを上げていたという例がありました。そういった話というのは後が絶たないので,セールスの現場では先ほど言ったようなレターを出したり,コンタクトをとったりということをしているんですけれども,実際にその方たちから返答があったりするということは非常にまれでして,実態がつかめないまま,被害の状況がつかめない,被害金額は把握できないというようなことが多々ある状況です。
 最後に,これから角川映画及びコンテンツホルダーとして,海賊版対策で行わなくてはいけないといったところでは3つ上げたいと思います。1つは,弊社でも始めたばかりなんですけれども,特に余り違法とかそういった悪意がなくそういう侵害行為を行っている若いユーザーの啓もう活動,そういったことを非常にしなくてはいけないのではないかというふうに思っております。もう一つは,違法ダウンロードなどのコンテンツのそういった侵害対策というのは企業にとっては直接の収益につながらない活動であるということで,そして効果がなかなか見えないといったところもありますので,私企業で取り組むには非常に負担が大きい。それ専用に人員を割いて行うというのは非常に厳しいということで,何らかのそういった支援,国の支援のようなものがあれば有り難いなというふうなことを一つ思っております。3つ目なのですけれども,今までそういった対策に取り組んでまいりまして感じるのは,ちゃんとした合法サイトなどでも違法行為というのは行われているんです。そういった各国とか,そういう各企業での違法ダウンロード等の取締りとか対応というのはまちまちで,実際にそういうような違法サイトとか著作権侵害とかそういったものを見つけた場合に,その排除をするための強制力みたいなものがないと非常に難しい。徒労に終わってしまうといったところがあるかなというふうに思っております。そういったところで,例えば国家間の協力とか,違法サイトの取締りのための受皿,例えば簡易な,著作権の所在や侵害の宣誓をする書類等を提出することで,例えば削除とか,そういう罰金等を科せられるというような,簡易な手続で違法サイトを取り締まれるような仕組みを感じていることです。
 以上,簡単なのですが,終わらせていただきます。

【大路国際課長】 関様,どうもありがとうございました。それでは,ただいまの御発表について,何かご意見,御質問がございましたらよろしくお願いいたします。

【上原委員】 確認なんですけれども,最後におっしゃった実際に被害が出るダウンロードのところなんですが,取締り自体に関してもダウンロードを中心に御希望されているのか,アップロードしているものを削除する方に重点を置いているのか,貴社としての方針を教えてください。当然条約上は無許諾でアップロードすることに関しては違法とますが,ダウンロードに関しては違法とする義務を負っていませんので,ダウンロードの取締りに力を入れるということになると,例えば二国間での協定とか,あるいは条約の改正というところに走らないと大変難しいところがあります。今のお話を聞いていると,どちらかというと削除に重点があるとすればアップロードの取締りからかなというふうに聞こえたのですが。ただ,言葉としてダウンロードという言葉が多かったので,そこだけ確認させていただきたいということです。
 もう一つは,最後に簡易な手続で取締りができるようにというお話があったときに,削除は簡易な手続というのはあり得ると思うんですが,罰金等というのは刑事手続になりますので,これは簡易な手続を求めること自体がどこの国においても無理だと思います。その辺は切り分けられて,今後御要望を出されるなりされた方がいいのではないかと思うんです。
 2点確認させていただきたいと思います。

【関(角川映画株式会社)】 基本的には,言葉遣いなどの点で不適切なところがあったかと思いますけれども,アップロードとダウンロードというふうなところは,もちろん両輪でいかなければいけないとは思います。ただ,先ほど御指摘がありましたように,恐らく罰金とか,そういったことになると非常に難しい側面があると思いますので,これはあくまでも素人的なお話なんですけれども,そういったことがないとなかなか抑止できないのではないかというようなことです。実際にコンテンツするというのは非常に難しいんじゃないかというような意味で申し上げました。
 先ほどのダウンロードの部分については,若いユーザーの啓もう活動みたいなところで,私企業としては取り組んでいきたい,これからも取り組んでいきたいなというふうに思っていますけれども,現状私どもとしてできる,一番わかりやすいのはアップロードを削除していただくというのが,削除された=侵害がなくなったということが目に見えるということなので,そういったこともやっていきたいなということで申し上げました。
 すみません,アップロードとダウンロードのところが明確に分かれていなかったので,おわび申し上げます。

【池田委員】 質問させていただきたいんですけれども。角川さんは以前涼宮ハルヒの憂うつが動画投稿サイトでかなり世界的,特にアメリカで人気が出てきたということをおっしゃっておられて,動画投稿サイトにおいてもオフィシャルに認められているようなこともあると思うんですが,動画投稿サイトにおける功罪です。一方ではメリットもあるけれども,今回おっしゃるようにデメリットもある,その辺はどのように仕分をされていらっしゃるんですか。

【関(角川映画株式会社)】 現状は仕分というのはできていない状態です。ただ,そういった,いわゆるファンサブといわれるようなものとか,そういう動画のサイトにおいて,そういった当社のコンテンツが上映されていることによって,認知される,ユーザー間に認知されるというような功の部分というのはあると思うんですけれども,やはり,それは,例えばパブリック,こちらからオフィシャルに認めたトレーラーなどを流していくとか,非常に力のあるファンサブなどに関してはそういったことで,例えば事前にそういった一般に出るのと同時のタイミングでそういったものを提供していくとか,そういったことで本当は対応できていればいいのかなというふうには思っています。ただ,ファンサブを運営しているとか,そういったアップロードをしているというような一般ユーザーさんにたどりつくというのは非常に難しいことで,対策自体も追いつかないですし,そういった区分けというか,そういったことは現状できておりません。

【中村委員】 今の件関連してですが,クランチロール社は正規配信ですね。そのような正規配信に力を入れることによって違法ダウンロードが減るなど,そのあたりの関係は何か明らかになっているのでしょうか。

【関(角川映画株式会社)】 明らかにはなってはいないんですけれども,現状,例えばテレビで放送を日本でしますと,もう翌日とか数時間後にはそういう違法のサイトが,デジタルでとれますので,字幕をつけた上でアップロードされているとか,そういったことは非常に多いのです。ですので,できるだけサイマルキャスト,同時配信という形で,現状クランチロールさんとか,台湾の会社さんが多いんですけれども,そういったところで同時配信をしますよというアナウンスを先にすることで幾ばくか減るのではないかなということで,できるだけ早く事前アナウンスする試みを始めました。実数字としてそれを始めたから今までよりもこのくらい違法サイトが減ったというようなことはまだ確認できておりません。ただ,そういったのを上げて,クランチロールさんのサイトとか,ユーチューブさんのサイトとか,そういったところでは違法のサイトに上がっているものというのはURLは検知されてきますので,そういったところには先ほど言ったDMCAというレターを出すようにしております。

【池田委員】 今の部分について補足をさせていただきたいんですけれども。クランチロールは一番最初テレビ東京がアニメを日本での放送後直ちに字幕をつけて海外で配信をするということを始めました。それはやはりファンサブがつく前に正当なものを流すということが一番の目的なんですが,同時に,やはり別に削除要請はしていく。クランチロールの仕組みの中には削除ツールが入っていますので,検索して,探索をして,削除をするということをあわせてやっています。更に,別途テレビ東京の場合はフィンガープリントですとか,ビデオIDを利用して,技術的にブロックをしていくということもやっておりますので,クランチロールで流すことイコール違法なものが直ちに減るということではなくて,両方やっていく。つぶすと同時にちゃんとしたものを流していく,この両面立てでやらないとならないであるというふうに考えています。

【大路国際課長】 よろしいでしょうか。特にないようでございましたら,改めまして,関様ありがとうございました。それでは,続きまして株式会社フジテレビジョンより,内田様,前川様にお越しいただいておりますので,御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【内田(株式会社フジテレビジョン)】 内田でございます。私は委員の皆様だけにお配りしております海外への番組展開という簡単なレジュメを用意させていただいております。会社の都合で委員の方のみへの配付となっております。恐れ入りますがよろしくお願いいたします。私は,海外への今我々がどういうビジネスをしているかという現状に関して主に御説明申し上げたいと思います。
 まず海外展開,テレビの番組に関しては大体三本柱でくくられるかなというふうに考えております。歴史の古い順に,アニメ,ドラマ,そして今割合と脚光を浴びているのがフォーマットセールスという分野です。アニメに関しては言うまでもないかと思います。ただ,我々の会社,フジテレビジョンとしましては,アニメに関しては余り権利をきちんとキープできておりませんで,基本的にはそういった二次利用の権利なども制作会社さんや出版社さんがコントロールされているという中で,我々の会社での海外ビジネスの中心というのは,次に挙げましたドラマと,今申し上げましたフォーマットセールスが主な柱となっています。
 ドラマに関しましては,以前,もう20年近く前になりますけれども,トレンディドラマというような言い方がございました。その当時を皮切りに,東アジア中心に割合と人気を得ました。ただ,最近は御存じのとおりの韓国ドラマの台頭によりまして,全体的なパイの中でのシェアは下がっているというのが正直なところです。
 ドラマに関しましては,基本的には文化的な輸出という面が結果的には結構ございまして,例えばフジテレビジョンのドラマが非常に隆盛を極めた90年代の台湾におきましては,ここに書いてあります哈日族(ハーリーズー)というふうに言うそうですけれども,そういったドラマをきっかけに日本好きになって,日本文化のとりこになってしまうような人たちが結構出てきまして,そういった人たちをさす言葉として哈日族(ハーリーズー)というような言葉が生まれたというような社会現象もございましたし,逆の面で申し上げますと,現在韓流ブームというのでいうと,韓国のドラマを見て韓国に旅行されて韓国の食品に親しむというような,日本人の,女性中心の層ができていることでもおわかりのとおり,割合といろいろな個人のし好の中でしみついていくような,そういった文化的な輸出となるというところが結果としてあるかなというふうに思っております。
 最後のフォーマットセールスに関してなんですけれども,これは2000年代に急激に伸びた分野でして,わかりやすい例で申し上げますと,弊社がレギュラー枠としては,2007年まで放送しておりました「クイズ$ミリオネア」,これはイギリスの会社から我々がフォーマットを買って,日本の現地版として番組を制作したというものですし,逆の例として,ここに「脳カベ」と書かせていただきましたけれども,これは「とんねるずのみなさんのおかげでした」という番組の中で,壁に穴をあけまして,そこを人がうまくとおり過ぎる。だんだん壁の形が変わっていったり,小さくなったりして通り抜けるのが難しくなるというような,そういうフィジカルなゲームなんですけれども,これを我々がフォーマットとして全世界に売り出しまして,今では四十数か国で放送されているというような,我々としては非常に有り難い結果を生んでいます。
 といったところが我々の海外ビジネスの現在の中心です。次のペーパーに移っていただきます。フジテレビジョンの現状ですけれども,今申し上げましたとおり,ドラマがメインでした。ただ,最近のトレンドとしてはいろいろな原因がありまして正直申し上げて減ってきている傾向があります。特に2009年度に関して申し上げますと,単純番販,単純に番組を売るという意味では半分近くに減ってしまったという状況があります。ただ,先ほど申し上げました「脳カベ」が,実は2009年度に関しては非常に売上げの補てんに役立ってくれまして,全体としてはそれほどぶざまな結果ではなかった。ただ,減っているというのが現状です。2009年度というのは,今申し上げたところで非常に売上げが減っているということだけではなく,後から説明させていただきますけれども,海外番販ビジネスにおいてはターニングポイントになるんじゃないかというような年かなというふうに,今私は認識しております。
 その部分に関するところが次の下の部分になります。なぜ海外番販,海外ビジネスがだんだん細ってきているかというと,以下に上げたような理由になるかと思います。海賊版,これはもともとパッケージによる海賊版ももちろん伝統的にございますけれども,最近では,先ほど角川映画様からもありましたとおり,ネットにおけるアップロードされた海賊版というものが非常に隆盛をきわめておりまして,フジテレビジョンのドラマというのは割合若い人たちをターゲットにしているものですから,そういう違法アップロードとも割合親和性が高い。余り自慢はできないのですけれども,そういう形で非常に逸失利益的にも大きいんじゃないかと思います。ただ,実はそのあたりのデータというのは正直いって放送番組に関しては全く公的なものもありませんし,どの程度そういった逸失利益があるかというのは今のところ全く,雲をつかむような状況です。
 それから韓国ドラマの台頭と書きましたが,これは2003年に「冬のソナタ」という番組で日本においては非常に認知度が高まりましたが,そのときと比べると彼らの海外輸出というのは6年間で20倍にふえていると聞いております。
 それから,かいつまんで主なところだけ取り上げますと,買手側のメディアの多様化,日本のコンテンツがなかなかついていけない部分なんですけれども,配信ですとか,IDマルチキャスト放送ですとか,いろいろなメディアが多様化している中で,昔のように地上波,ケーブルテレビといった大きなメディアに割合とお手ごろな価格,これは我々から考えた高い方のお手ごろな価格で買っていただくというようなマーケットシステムが崩れてしまったというようなところがあります。
 それと,正直申し上げて,この数年日本の放送業界というのは非常に厳しい状況ですので,我々の商材であるドラマ,主な商材であるドラマ,これは非常に制作費がかかりますので,編成上若干量が減ってきている。つまり売り物が減っているというような状況もありまして,これももちろん売上げを減らす原因の一つになっていると思います。もちろんこの部分は自助努力でこれから頑張っていかなければいけない点だと思います。
 次の資料に移らせていただきます。韓流との競争ということに関して申し上げますと,韓国との競争に関して申し上げますと,先ほども申し上げたとおり韓国の放送コンテンツ輸出というのはこの6年間で20倍にふえていて,6年前には実はフジテレビジョン一社の輸出額よりも韓国全体の輸出額の方が小さかったというようなこともあったそうなんですけれども,今では全く比較にもならないほど向こうの方がいい状況にある。ただ,それは我々の努力が足りない点もございまして,やはりアジアなどにドラマを販売する際には,たくさん話数が欲しいということを言われましたり,あるいはもっと放送回数をたくさん許諾してほしい。我々は国内ルールで申し上げると余り回数を何回放送してもいいよみたいなことはなかなかできないんですけれども,そういったことを当然要求されますので,そういった点,条件的にマッチしないという部分がかなりあります。
 最後に書かせていただいた韓国とは土俵が違う。これは余り言ってはいけないところかもしれませんけれども,韓国においてはやはり1998年に放送振興計画というものができて以来,官民がかなり一体になっておりますし,官のコミットメントというのが日本とは違うなというような感触がかなりあります。海外における番組マーケットへの出展の補助ですとか,あるいはコンテンツファンドへの出資ですとか,そういったところでいうと非常にうらやましい土壌ではあるなというような気は正直いたします。
 今後の戦略について,ここの部分に書かせていただいているのは,番組販売が当然基本ですのでそれの商品力アップしなければいけない。しかも,フォーマットセールスもいろいろ発掘しなければいけない。それプラスドラマに関して日本のドラマの現地版というものをつくっていただくことをリメークといいますけれども,そういったものも頑張ってふやしていかなければいけないというようなことを当然我々は今考えて,それなりの販売プロモーションをしております。
 それプラス,次の紙に移っていただきますけれども,当然,番組というのはある国の一社に売った場合,幾ら人気があってもほかの会社には売れない。彼らが権利をキープしている間はホールドバックなどもありますし,違うメディアに売ることも含めてもやはりなかなか難しい面があるので,等比級数的に売上げを伸ばすというのは不可能なわけでして,そこの部分を何とかするには,例えばリスクをとったビジネス,我々のクリエーティビティというのを海外に,例えば人材を含めて送っていくとか,そういうことも考えられますし,あるいはさっき申し上げた韓国ではないんですけれども,我々がメディア制作会社,著作権者,そして政府,あるいはそれ以外にもメーカーですとか,代理店様ですとか,そういった日本のオールジャパン的なフォーメーションを構成できるような,協力を受けられるような努力をこれからも続けつつ,文化輸出という面も含めての我々のビジネスを大きくしていきたいなというふうに思っております。
 最後に,要望を幾つか書かせていただきました。非対称性の是正をということを書きました。つまり,大輸出国となってしまった韓国は,御存じのとおり現在地上波では日本の放送は情報番組的なものを除きますと放送できません。ケーブルや衛星においても,ドラマは流せますけれども,バラエティなどは流せません。こういった非対称性というのを,もちろん歴史的な経緯はあるんですけれども,一刻も早く,今イ・ミョンバク政権でそういった問題は検討されているとは聞いていますけれども,我々の立場でいうとにかく早くそこの制限をなくしてほしい。中国によるセンサーシップの問題,それと輸入枠制限の問題,こういった規制というものも,こちらには全く輸入制限がない中でいうと働きかけていっていただきたい。そして,先ほど角川映画様からもありましたけれども,海賊版,違法アップロードなどの不正流通,これに関しては我々は全く何もできていないというのが現状ですけれども,そういったところに関しても,非常に大ざっぱな言い方で恐縮ですけれども,対策を講じていただきたいというところがあります。
 私からは以上です。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 フジテレビジョンの著作権契約部の前川と申します。私からは著作権侵害について簡単に御報告をさせていただきます。
 「著作権侵害について」と題した資料をごらんください。1番として,著作権侵害の態様について,2番として,著作権侵害の対策について,簡単に御報告いたします。
 まず,著作権侵害の態様についてでございますが,著作権侵害の態様はますます多様化しております。いろいろな態様の絵をかいております。各態様につきましては皆様もう御承知のところだと思いますので,説明は省略をいたします。1点だけ指摘いたしますと,昨今の潮流としましては,テレビ放送を丸ごとインターネットでリアルタイム再送信するサービスが増えてきておりまして,注視しているところでございます。
 2ページ目の下のスライド,それから3ページ目の上下のスライドがそれでございます。代表的だったのが,Jネットワークサービスというサービスです。リアルタイム再送信とダウンロード配信とを組み合わせたサービスで多くの有料会員を獲得し,2年余りの間に約3億円の収入を得ておりました。このサービスにつきましては,フジテレビジョン,NHK,警視庁ハイテク犯罪対策総合センターで捜査を進めて逮捕に至り,関係者に対して有罪判決が下されているところでございます。Jネットワークサービスのサービスにつきましては,以上の次第で止まりましたけれども,類似のサービスはまだまだたくさんございまして,頭を悩ませているところでございます。著作権侵害の態様につきましては以上とさせていただきます。
 続きまして,2番として著作権侵害の対策についてでございます。6ページ目の下のスライドをごらんください。まず権利者がどれだけ権利行使をしても不正流通は減らないという点を念のため改めて確認をさせていただきます。違法サイト,違法サービスはネット上にあふれておりますけれども,こちらが警告あるいは削除要請をしようにも,そもそも削除要請用のメールアドレスを設けていないというところが多うございます。また,仮にそういうメールアドレスを設けていたとしても,我々が警告あるいは削除要請をしたところで全く削除をしないというところも,これもまた多うございます。権利者からの警告,削除要請が増えてきて,そろそろやばいなとなった時点でサイト,サービスを閉めて,それまでに稼いだ収入を持って逃げる,その繰り返しでございます。ユーチューブのような大手のサイトに目がいきがちですけれども,我々が頭を悩ませているのはそういう人たちでございます。
 また,右側ですが,技術の進展によって,特に技術の進展による所要コストの低下によって技術的アプローチの可能性が増大しているという点も確認させていただきます。これはもう説明を要しないと思います。特に所要コストの低下というところが重要でございます。つまり,これまでそれは技術的には可能だけれどもコストがかかり過ぎるから現実的ではないよといわれていたようなことが,今や大したコストをかけずともできるようになってきています。下の方に書きましたけれども,中立的な立場で社会全体のコストを最小に抑えつつ,不正流通を減らすという大局的な視点に立って,技術的アプローチの可能性について是非検討を進めていただきたいと思っています。
 具体的には,次の7ページのスライドをごらんください。著作権侵害の抑止のために,インターネット接続プロバイダーやオンラインサービスプロバイダーがなし得ることを検証して,「やれるけれどもやらない」という状態になっているものを,「やれることはやる」に変えていくような取組が重要だと考えております。政府の皆様,ポリシーメーカーの皆様方への要望としましては,法的な検討をする座組みとは別に,技術の専門家を中心として,技術的に今何ができるのかについて検討する座組みを是非設けていただきたいと考えております。
 以上です。

【大路国際課長】 では内田様,前川様,御説明ありがとうございました。これからただいまの御発表について御意見,御質問をお受けしたいと思いますけれども,先ほど大楽先生がお見えになりましたので,ここからの議事の進行は大楽先生にお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【大楽主査代理】 大楽でございます。遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。フジテレビジョン様,大変ありがとうございました。それでは,ただいまの御発表について,何かご意見,御質問がありましたらお願いいたします。

【上原委員】 前川さんから,「やれるがやらない」から,「やれることはやる」にという,今求められていることを非常にうまくまとめていただいたと思うんですが,先ほどのお話の中で,法律制度の問題ということよりは,むしろ技術的な対応というお話がありましたが,どこの部分を念頭におっしゃっているのかということを確認したいんですが。国内のサイトをメインに考えていらっしゃいますか。国外のサイトをメインに考えていらっしゃいますか。その辺によって大分,単に技術の問題だけではなくて,やはり法制度の問題も絡めざるを得ない部分があるのかなというふうに思いまして,まずはともかく国内を先にやった方がいいんだというふうに作戦的に考えているのか,現場として実際にされていて,あるいは,海外のサイトの方が大きいからそちらに重点があるのか,その辺のことを,ざっくりしたお気持ちだけお聞かせいただきたいと思います。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 インターネット上の著作権侵害は国境がございませんので,国内,国外,特に分けては考えておりません。ただ,日本は,やはり技術,ネットワーク技術もそうですし,周辺技術についても,世界で最も進んだ国の一つであると思っておりまして,著作権侵害に関する技術については,日本がやはり世界を先導していくべきだと思っております。日本の中でまず著作権侵害を防ぐにはこういう技術構成をとればいいというベストプラクティス,実運用ベースのスタンダードを,是非日本発で,政府主導でつくり上げていただいて,それを世界の違法サイト,違法サービスの人にも取り入れていっていただくというようなストーリーが望ましいのかなと思っております。

【上原委員】 今のお話は,先ほどのお答えとしてはわかるんですが,更に,確かに日本の技術は進んでいるんですけれども,日本の技術が先行して,それで防げるような技術というのはどういうものを念頭に置いていらっしゃいますか。実際にきちんとできればいいんですが,なかなか難しいところがあると思うので,何か技術に対する一定の方向性みたいなものがもし具体的に頭の中にあればお示しいただければわかりやすいのかなと思うんですけれども。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 一番実運用に近いものとすると,これはもう既に一部のサイトでは始まっておりますけれども,著作権侵害が起こりやすいサイト,典型的には動画投稿サイトだと思いますけれども,そこに入っていくデータトラフィック,そこから出ていくデータトラフィックのすべてについて,フィンガープリントを始めとする動画識別技術でマッチングをかけて,著作権侵害が起こらないようにするという取組が一番実運用には近いのかなと思っています。それについては,権利者側でそのようなシステムをつくるのではなくて,プロバイダー側でシステムを構築していっていただくような取組が,我々が求めているものの実現には一番近いのかなと思っております。

【大楽主査代理】 ほかには。

【山本委員】 最後の御説明の中で,プロバイダー対策のお話が出ましたので,その点についてお伺いしたいんですが。問題点の御指摘として,プロバイダーに対して連絡先が書いてあるところ,書いてないところがあるという問題点のお話がありました。そもそもプロバイダーが何の対応も,誠実な対応をしていない,つまり連絡先すら書いてないというところに専ら問題があるのか。あるいは,プロバイダーはちゃんとしていても,そこに投稿されている動画が違法アップロードであって,その違法アップロードを削除するために手段をとろうと思っても,アップロードしたユーザーの所在,身元がわからないがために直接に削除請求の通知なり権利行使なりをする,それができないという問題なんでしょうか。メインの実態の問題として,前者のプロバイダーの問題なのか,現行制度にかかわるんですけれども,発信者情報開示制度の問題なのか,どちらがメインなんでしょうか。その辺の実態を教えていただけますか。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 権利者側が削除要請をして,それで落としていてくれればそれでよいとは我々は思っておりません。著作権侵害が起きないようなシステムをプロバイダー側で入れていただくべきだと思っております。ですので,今の,例えばプロバイダー責任制限法にしても,権利者側でやるべきこと,プロバイダー側でやるべきことについて,保護のバランスが既に失われているのではないかと思っております。プロバイダー側は言われて落とせばいいだけということになると,それに比べて権利者側でやらなければいけないことの負担が余りに重過ぎるのではないでしょうか。そこを是非見直していただきたいと思っています。プロバイダー側で,今技術的にこれだけのことはできるというものが既にあるわけで,やはり最低限そこまではやっていただきたいなというふうに思っております。

【山本委員】 今御指摘になった対応策が必要だというのは,根本的な問題としてはよくわかるんです。従前のプロ責法の中で入っている枠組みである発信者情報開示制度,それの問題点だけではなくて,そもそも違法なものを事前にアップしないようなシステムをとる必要があるということ新たな課題として存在するというのはよくわかります。しかし,それはそれで置いておいて,それ以前の問題としてのプロ責法の問題は発信者情報開示制度の問題なのか,プロバイダー自身が逃げ回っていて,コンタクトもとれないような状態にしているのが問題なのか。その問題について,先ほどプレゼンであったと思いますので,どちらがメインの実態としての問題になっているのか,その点についてお答えいただけますか。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 発信者情報開示請求につきましては,実際には,手続的にも面倒なのでやっておりません。我々としては,メールを送る,それで削除要請する,というのが最も簡便な方法なので,最低限そこまではできるようにしておくべきではないかということでございます。

【高杉委員】 わかりやすい説明をありがとうございます。簡単に2点だけお聞きしますけれども,1点目は,今,削除要請等をやられておりますけれども,違法対策についてどれだけの体制,人材とか,人の面ですけれども,やられておるのかをお聞きしたいのが1点と,今の山本先生からの質問に対して回答があったのでわかったんですけれども,実際手が回っているのは削除要請までで,その先の違法行為者へのエンフォースメント,責任追及というところまではなかなか手が回らないというのが現状ということでよろしいでしょうか。

【前川(株式会社フジテレビジョン)】 まず1点目ですけれども,この後発表があるソニー・ミュージックさんなどと比べるとお恥ずかしいばかりなんですが,体制としては社員2名がほかの仕事の片手間にやっているというのが実情でございます。私も著作権侵害対策をやっていますけれども,メインの仕事は違う仕事でございます。
 2点目のエンフォースメントの点につきましては,削除要請以上については実際なかなかできていないというのが実情でございます。ただ,警察の捜査への協力というのは積極的に行っております。今も同時でかなりの数の刑事案件に協力しております。刑事は効果が大きいというのを感じております。ただ,刑事でできるのはあくまでも国内事案のみで,もちろんインターネットに国境はないですけれども,例えばこれをやりたいなということで警察と進めていったところ,重要なサーバーが外国にあることなどが判明して,それで警察は断念してしまうというのが実情としては多うございまして,海外において刑事的なエンフォースメントがもっとできるようになっていけばいいなとは思っているところでございます。

【小原委員】 これは内田さんの御説明だと思いますけれども,トレンドとして,ターニングポイントとして6点ほど整理されておりますが,この中で一番上に書かれている海賊版について,フジテレビジョンにおける海外に対する番販に対し,例えば5年前,若しくは10年前と比較しましてどれほどの影響を及ぼしているのか,という点をひとつお聞きしたいというふうに思います。
 それから,もう一点は,海賊版というものがもしこの世にないとすれば,フジテレビジョンさんとしては制作,放送を初めとした本来のビジネスを展開できるわけですね。先ほど高杉さんからも質問があり兼業なさっているというお話がありましたけれども,5年前,10年前と比べていかに海賊版対策という部分の業務自体が,フジテレビジョンさんの番販なら番販でも結構なんですが,業務全体に対し比重を占めてきているのかということ,この2点をお伺いできますでしょうか。

【内田(株式会社フジテレビジョン)】 まずは海賊版の状況的に5年,10年前と比べて明らかに違うのは,やはりアップロードによるものというのが非常に大きいということで,それに関しましては,先ほどの番組販売で申し上げると,例えば,これは実は我々の身内の恥をさらすような形のこともあるので非常に申し上げにくいところはあるんですけれども,我々はやはり権利者団体さんともお話をして,こういう価格で,こういう契約でこの番組を売りますということをきちんとやる中で言うと,やはり最低でも数か月かかるというような現状があります。ところが,まさしくさっき角川映画さんもおっしゃったように,放送翌日にはハイディフィニションで,ほぼ中国語,韓国語に関しては字幕がついたものというのがもうアップロードされてしまうという現状があります。やはりそれは10年前には幾ら海賊版が道端で売られていたとしてもそういうことはなかったということは明らかにあります。先ほども申し上げたとおり,我々のは割合若い人が好んでくださっている中でいうと,我々の販売機会というか,そのあたりというのは非常に,既に違法なものが存在することによっての販路,見たい人の層が薄くなっているということと,それプラス,その人たちの中ではすごく価値があるものなんですけれども,やはり放送局にとってはもう価値がないものになってしまうという中でいうと,価格も,単価そのものもかなり落ちてきています。ですから,お答えとしては,もうちょっとどういうことを申し上げればよろしいでしょうか。

【小原委員】 要するに5年前10年前と比較し,科学技術の発達で海賊版自体が変わってきつつある。なおかつデジタル化で本物と寸分違わないものができてくる。そういった中でビジネスが非常にやりにくくなってきているという理解でよろしいでしょうか。

【内田(株式会社フジテレビジョン)】 まさしく本当に,以前でしたら,例えばVCDなどで海賊版が出ていても,今申し上げたように割合若い人たちはきれいな映像でちゃんと見たいという欲求はあるわけで,あとは字幕も相当いい加減なものが多かったんです。ところが,最近の普通の投稿サイトで申し上げると,ある意味日本語をよく勉強している人たちが,例えば中国で申し上げると翌日にはばらばらに数十人の人がアップロードしてしまうわけです。君の字幕は素晴らしいねとか,そういうような,カリスマまではいかないでしょうけれども,その世界ではよく知られたような字幕,翻訳者まであらわれるような始末ですので,その中で一番見たい人たちというのがそういう形で見てしまう。ですから,タイムラグ的にいって,今韓国,中国のクライアントから言われているのは,初回放送が始まってから半年たったものというのはとても買う気はしないというふうに言われます。つまり,4月に始まったものを10月に向こうに売るというのは,我々にとっては結構ぎりぎりなんですけれども,それはもう遅いというふうには言われます。

【小原委員】 そうしますと,番販に徐々に影響が出てきていると,ビジネスがやりにくいということにつながってきているということですね。

【内田(株式会社フジテレビジョン)】 はい,そのとおりです。

【大楽主査代理】 ほかにはよろしゅうございますでしょうか。それでは,ほかにございませんようでしたら,株式会社フジテレビジョンからおいでいただきました内田様,前川様,どうも大変ありがとうございました。それでは,続きまして,株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメント高嶋(しま)様,高良様,よろしくお願いいたします。

【高嶋(しま)(ソニー・ミュージックエンタテイメント)】 ソニー・ミュージックの高嶋(しま)でございます。基本的に海外等を含めて国内もそうなんですけれども,著作権侵害に関していえば,放送であれ,映画であれ,音楽業界であれ,皆同じステージ上で同じように闘っておりますので,実はもう二社の方がお話になった内容がほぼ現状感でございます。補足的な意味でソニー・ミュージックの著作権侵害への取組について御説明をいたしたいと思います。それと,実は皆さんに一番今日知っていただきたかったのは,現場感でございます。現場で何が起こって,どういうことをやっているかというのを知っていただきたいと思ったので,現場の担当部門である,サイバーアクションチーム,先ほどフジテレビジョンさんが「SMEさん人数すごいんです。」とておっしゃいましたけれども,そうかもしれませんと言えるぐらい,11名プラス1名ですから12名で専門に違法対策をやっております。コスト負担が大きいという部分はあるんですけれども,それだけソニー・ミュージックはポリシーを持って,違法を許さないという姿勢を示していきたい。名前もやる以上はしっかり決めてあげないといけないかなということで,サイバーアクションチーム,略してCATといって,どこかで聞いたかもしれないんですけれども,そういうのはお許しいただければと思います。そういう形で後ほど,現場感をCAT責任者の高良から説明させていただきます。
 最初に,簡単にソニー・ミュージックの海外展開とか,音楽業界とか,それからソニー・ミュージックでは違法なものというのはこんなふうに考えているというのを御説明したいと思います。
 SMEJの海外展開,日本市場における配信パッケージの実績推移,それから,SMEJの著作権侵害対応,専門部門の構成,それから著作権侵害対応の範囲,これはあくまでもソニー・ミュージックとしてこういうふうに考えているということで,著作権法とか,法律上の範囲と異なるかもしれませんけれども,我々はこういうふうに考えながら動こうとしているということです。
 音楽関連ですと,SME-CHINAとか,KOREAとか,TAIWANとか,全世界60か所のソニー・ミュージックインターナショナルの現地法人へライセンスをしておりまして,年間100から150タイトルのライセンスを行っている。アメリカ,フランス,韓国,中国,台湾,これは邦楽音源,あるいは邦楽の映像,音楽映像,それから人気ジャンルは,先ほどジャパンエキスポの話があったかと思うんですが,ヨーロッパ等々に行かれるとアニメで,ビジュアル含めたところ非常に受け入れられております。そういう意味でアニメソング,ビジュアル系,エレクトロ,そういう形のものが中心でライセンスアウトされています。
 それから,映像なんですが,これはもう角川さん,フジテレビジョンさん,皆同じなんですが,主にアニメ作品で,ソニー・ミュージックグループにはアニプレックスというアニメーションの制作と販売を主とする会社がございまして,下記の12か国,13社へライセンス,現在14作品を配信の海外展開としてはEU諸国,アメリカ等々を含めてロシアまで,アジア圏は番販とパッケージの販売が中心です。
 ここで抱えている問題は,角川さんがおっしゃったような問題はそのまま当てはまります。人気作品というのはどういうものかというと,「鋼の錬金術師FULLMENTAL ALCHEMISTA」,それから「黒執事」,なかなか読みづらいんですけれども,そういうものをやっております。
 もう何回も見たかもしれませんが,実は音楽業界,98年から2010年までの間に,約半減しているという状況の中で,パッケージあるいは配信も非常にいいかなということだったんですけれども,やや鈍化傾向が出てきています。そういう中で,2007年に違法対策の部門といいますか,もともとあったんですけれども,それを部単位に大きくして,積極的に活動を始めたということでございます。
 著作権の侵害対応,専門部門の構成といいますと,グループHQであるSMEJという,CATという,サイバーアクションチームが11名と1名,12名体制でやっております。グループ会社である,ソニー・ミュージックレコード,ソニー・ミュージックアソシエートレコード等々の音楽制作会社,それから,ANX(アニメプレックス),それら各社から海外のSMEUSAとかUK等々への作品ライセンス。それから企業団体というところでいえば,レコード協会にACCS,それから映像ソフト協会等々の人たちと連携をしたり,官民委員会ですとCODA,法制度委員会等々で同じコンテンツを取り扱う業界の人たちが対海外戦略を含めて違法対策を一緒にやっています。IIPPFは対中国ミッション等々に参加しております。ちなみにCODAでは2年ほど前に単独で訪中ミッション,中国国家版権局等々へ行って違法対策についての話合いというのをやったことがございます。それから,当然今日同席されてますように,文化庁,経産省,総務省,警察庁を含めたところで一緒に相談をしながらやっている。
 侵害者,ISP,それから後で出てくるですが雑誌社の中で,間接的に侵害行為を助けるというか,というふうに我々は思っているのですが,例えば着うたフルとか着うたを無償でダウンロードするにはこうすればいいよという特集とか,専門誌を出していたりする者への対応。あるいは学校は啓もう活動を含めたところで一緒にやっていっています。啓もうというのは大学で授業等をしていましてもなかなか伝わっていないので,そこをひとつ積極的にやっていく必要があるというふうには思っています。
 著作権侵害対応の範囲,これは法律上の分け方をしていません。単純に直接的な侵害行為を行っていると思われる方たちと間接的に関わっているんじゃないか,侵害に関わっているんじゃないかなと思われる人たちを分けて,対応をさせていただいている。特に角川さんからも出ましたけれども,アプリケーションソフト,スマートフォンです。そこに対する課題というのが非常に大きくなっていて,それをどうやっていこうかということを今研究,実際に動いています。
 それから,ファイル削除累計とあるんですが,後で高良から出てくるんですけれども,9月ぐらいまでで75万ファイル,ですから,数を見ていただかないと実感わからない。では,減ったんですかと言われると,フジテレビジョンさんもそうだし,角川さんもそうだし,多分コンテンツ業界の人たちは減っていません。これだけやっても全く,海外,国内含めてよくない。ただし,更にアプリケーションソフトという,スマートフォンとかそういうところへ行き出していくと,どんどんそういう技術的な問題でいろいろなソフトが出てきて,それの対応をどうしようか。実は,ここに入っていないんですけれども,レコード業界の人たち各社からも,検索業務というのを一部受託しておりまして,それを足すと多分今年度中に90万ファイルぐらいまでいく。90万ファイルというのは我々12名でやって今4年目ぐらいです。累計ですけれども,相当な数なんですけれども,全く減っていないというのが現状でございます。
 この後は現場感のある高良から話を続けます。

【高良(ソニー・ミュージックエンタテイメント)】 高良と申します。どうぞよろしくお願いします。簡単ではございますが,5-1,5-2,5-3,6,7という形で,5-1なんですけれども,違法ファイルが存在する世界のサイトということで,我々が対応している場所(地図),マップを見ていただきたいと思います。それと5-2で削除要請の件数の推移について,5-3で,削除要請の国別件数ということで,指標という形で考えていただきたいんですが,その対象分類,侵害の傾向値です。最後にこんなことがあれば多少なりとも良い方向に動くんじゃないかなと思う考えた方をまとめたのをこれから話したいと思います。
 一番最初に違法ファイルが存在する世界の主要サイトということで,我々の部門で3年を過ぎ,4年目に突入しているんですが,当初は国内のサイトを中心とした形で動いておりました。しかし,当然ながら各国にサーバーがあって,各国でサイトがあってというところで,日本のコンテンツというか,我々が保有している権利が侵害されているというような状況でございます。ここの部分では時間がたつに従って,赤いところなんですけれども,一応各国の法律を根拠に,則ってということで,ざっくりですけれども,約30か国200サイトぐらいということになります。ですから,この分で地図を見てちょっと違っている部分でいうと,WTO非加盟国などもありますから,特にロシアというのもあります。この部分についてはロシアはベルヌ条約に入っていますからそれに則ってという形です。この地図に載っていないところで変わったところでいうと,先日サッカーがありました南アフリカとか,ウクライナとか,ウズベキスタンとか,そんなところもあります。あとは,若干ブラジルとか,そういうところで,ワールドワイドに侵害されているというのが現状ということです。あくまでもサーバーがあるという場所です。
 削除要請の件数の推移です。ごらんになってのとおりで,当初2007年から始めました。当初私このセクションに来まして1名だったんですけれども増員しまして,2010年は12名ということです。削除数,現段階は,実は表はちょっと小さいんですけれども,実際はもう26万ぐらいまでいっています。ですから,累計で,先ほど高嶋(しま)からお話があったとおり約75万ファイル。内訳なんですけれども,携帯向けが31万,PC向けが44万,これがPCという,いわば動画サイトだったり,ストレージだったりというサイトなんですけれども,始めたのが2008年です。目安というと,国内でいうとニコニコ動画が立ち上がったあたりぐらいから始めたというような感じです。
 2008年のときは圧倒的に携帯向けでした。携帯向けのサイトは目的があくまでも視聴ではなくてダウンロードが目的です。ほぼ100%といっていいと思います。携帯用を集中的にやっていました。動画が出てきてというところなんですけれども,今後傾向値が変わるだろうということで,2008年から動画,ストレージを始めました。やはり予想どおり動画が非常に盛り上がってきました。またストレージも無視できないというような状況で推移しています。
 直近なんですが,削除要請の国別の件数ということで,対象分類しました。あくまでも主要動画サイトです。我々の部門では主要な16から20サイトについては,侵害の情報について毎日データを出しています。この侵害分については機械でクローリングを回してピックアップするものと,どうしてもマニュアルでやらざるを得ない分があるということです。機械でやれば簡単ではないかと思われますが,サイト側でAPIを,公開している,公開していない違いもあるし,あとは仕様とか,いろいろ変えてきますので,毎回のようにチューニングをしているのが現状です。はっきりいってこれも追っかけっこです。ここの中で出しているのが10月1日から13日,ほぼ10日間ぐらいですか,数字を出してみました。トータルで,総計で1万210ファイルテークダウンしました。内59%がアメリカのサイトでした。案外アメリカのサイトというのが6割近くもあったんだなと思います。中国については,去年の春から始めたんですけれども,現状としてはこのくらい。これは主に4サイトです。Youku,Toudou,Ku6,56.Comです。フランスのサイト,これは主に動画の部分でいうと,Daily Motionとかwatというサイトです。韓国はメインでPandora-TV,日本の場合は主にニコニコ動画になります。ドイツの場合はMy-videoように,面白いのは各国自国のサイトが発展しています。こういうサイトにテークダウンを我々は結構やっていただいています,自国で,中国であれば中国のサイト,韓国でいえばPandora-TVサイトが人気がありまして,ドイツはMyVideo,フランスはDaily Motionかwat,ただしDaily Motionは,ちょっと厄介なことに,海外向けというか,各国向けにいろいろな形をやっている。Daily Motionでいうと日本からアクセスするとIPアドレスによって広告も日本広告が表示されているということをやっております。累計としては75万ファイルの状況になっております。この情報は10日ぐらいなんですけれども,かつての1年ぐらい,半年ぐらい見ても大体同じような傾向値で出ています。
 削除要請の対象の分類ということで区分けをしました。動画共有サイト,御存じのように今盛り上がっているYouTube,各国にある大きな動画サイトです。これは資本力がないとできないサイトというようなことです。それと,ストレージ,いわゆるサーバーのディスク領域を貸してしまうというスタイルです。この部分については音楽とかアニメとか,場合によっては映画の視聴というのもあったりというのもこのストレージサイトは結構あります。それと,今年から積極的にやっているんですけれども,スマートフォン・アプリということで,実際には蔵置されているのか,蔵置先がわからない。我々は非常に重要なポイントのソフトというふうに思っています。通常PCブラウザー上で見ると何処に蔵置されているかというのはURLで見ればある程度わかりますが,アプリの場合はソフトの検索機能を使ったり,そういうことがありますので,実際には何処にあるかというのは通信を調べてみないとわからないというところもあります。あとはリーチサイトです。これはリンクを張っている。リーチサイトもいろいろあるんですけれども,直接侵害しているそのものを直リンクしている場合もあれば,サイトを紹介するという2種類あります。特に我々が問題視しているのは直リンク型といわれているものです。先ほど角川さんからお話があったとおり,ファンサブサイトもその一つです。これについて我々も手をこまねいているものがありまして,これは特にアメリカとかヨーロッパの,ファンがアニメーションに付随し,アニメがやはり非常に強いというところです。
 著作権侵害の傾向ということで,ありきたりの形ではあるんですけれども,映像ソフト,CD,放送などのソースからアップロードするタイプ,アップロード先には携帯向けの掲示板であったり,動画共有,ストレージを使ったり,アプリソフトを使ったり,ウィニーとか,カボスとかのP2Pなど,いろいろありますけれども,そのようにソフトを使った形式のアップロードタイプ。それと,違法な複製物ということで,オークションだったり,露店販売もありますが,ここはやはりどうしてもアップロードの方が目立ってきているような感じもします。実際問題はレコード協会と協力して刑事案件を結構やっています。今年に入ってもう15~16案件ぐらいやっていますけれども,案外パッケージが多いです。パッケージの侵害ものが多くて,侵害がはっきりしていて刑事事件に取り上げられています。ということは何かというと,アップロードの部分は無形物ですから安易な感じですけれども,ネットで販売の部分なので,例えばコピーして,それをパッケージにして売ってしまう。案外逮捕される方が30代,40代,50代が多い。ということはイコールその子供たちというのは侵害意識は低いというところがあるかなという感じがします。
 それと傾向なんですが,国内傾向ということで,海外サーバーによる運営者,海外に蔵置してしまう。ファイルを海外に置いて,要は海外に置くということは何かというと,蔵置しているところに対して我々はテークダウンしていきますから,アメリカに対してはアメリカ法のDMCAでやりますし,中国においてはインターネット伝達権保護条例にのっとった形でやります。インターネット伝達権保護条例ですから手間がかかる。こんな感じで各国に対してというような傾向になります。それと,アプリが出てきてからは海外の傾向ということで,日本人を対象にした形のソフトが出回るにようになりました。例えばアプリの場合というのは,アンドロイドの部分でいうと,グーグルさんのマーケットだったり,iPhone向けはアップルさんのマーケットで販売しますけれども,先日もありましたが,実際につくっているのは,当然ながらグーグルさん,アップルさんではないんですけれども,つくっているところが両者と契約してソフトを提供する。ところが実際つくっている方はインド人だったり,アメリカ人だったり,そういうので,法律が違う部分で,例えばインターネットラジオが合法化されている国から日本に向けて行うと送信可能かどうなのかという,そういうこともいろいろ起こってきているという感じがしております。
 簡単なまとめです。侵害するサイトの迅速な対応が必要だろう。我々のビジネスでいうと,発売してから1週間若しくは1か月というところが一番売上げを稼ぐところです。ですから,そこで迅速な対応をしないと阻害される。ですから,先ほど言ったプロバイダー責任は7日以内とか,そんなことを言われても我々は,現場からするとすぐ消してほしい。落としてほしい。そういうのがあります。特に我々はDMCAみたいな,フォーマットに載った形で基本的な形で各国には送っています。ただし中国は若干別ですけれども。とはいいながら,やはり毎日送り続けると先方のサイト側も対応がちょっと変わってきます。フランスのサイトDaily Motionにおいては先方が営業日であれば1,2時間で普通に消えます。アメリカのサイトでImeemというサイトがあるんですけれども,Imeemは逆に我々が送ると,面倒くさいのかどうかわからないんですけれども,タイトルにこのコード番号を入れてくれと,無条件で消しますというようなことを連絡がきているというのもあります。
 ということで,消えないサイトはあるんですけれども,ほとんどは今のところは何とか対応できている。ここに載っているのは,中国は特に今発展的な形で動いているかと思うんですけれども,いろいろなクローリングする技術,違法をブロックすることがあるんですけれども,日本でも同じだと思うんですが,そういう技術も先方とか国とか,そういうところに提案してあげるというのも案外必要かなという感じがしております。
 正規商品の流通の促進,これは昔からいわれていることかもしれないんですけれども,中国には検閲で時間がかかるということになっています。通常1か月以上かかっているというのが現状かなという感じがしています。それと審査をした後に,これは駄目ですという削除されることがあるかと思うんですが,このときなぜ削除されているか,はっきりわからないと次の対応が打てないというところがありますので,この辺もあるということです。
 先ほど話をしたように間接的な侵害への対応ということで,我々は法律ができる時間を待たずに,ああいう概念を考えて先に手を打って事例をいっぱいつくってという形を考えています。そういう審議というか,こういうふうに考えた方がいいんじゃないかというのは,国際課ですと二国間の話合いがあるかと思うんですが,そういうところで提案して,できるだけそういうことに対して話合いを進めていくというのが非常に有用かと思います。
 それと最後なんですが,知的財産保護に対する意識向上ということで,これは日本と同様に,先ほどと同じように,業界団体もしかりですけれども,一般の方もしかりですが,知財の考え方とか,だれかのを侵害しているんだ,こういうこと(セミナーなど)なんだということをいろいろやっていった方が非常にいい活動になると思っております。
 以上でございます。

【大楽主査代理】 何かご質問がございましたら。

【山本委員】 興味深いお話をありがとうございました。各国の法律に従って削除要請なさっている。今具体的にお話があったように,アメリカの場合にはDMCAで削除要請したら直ちに削除しないといけないという義務がありますが,ヨーロッパはDMCAみたいな制度は余りとっていないんじゃないかと思うんですが。質問は,そうであったとしても直ちに削除してくれるというような実態があるのかということと,中国については,若干御説明があったように,法制上削除要請に対して削除しないといけないという,そういう義務づけになっているのでしょうか。提出書類が多いというようなことがありましたが,それは法律上の要件としてそうなっていて,実際上はどれくらいの一般的に日数がかかるような状態になっているのかというところをお聞かせいただきたいと思います。

【高良(ソニー・ミュージックエンタテイメント)】 各国の対応をどうすればいいか。とはいいながら,送るたびにその国の法律を調べるということは事実上理に沿わないということなので,これについては,具体的にはユーチューブのやり方を,まずはやってみて,怒られたらどうしようというような感じで,まずは送ってみる。アメリカののりに近い宣誓書をつけて,侵害情報を書いてそれを送ってみる。それでも対応しないときにはその国の法律を調べるというスタイルでございます。ですから,それにのっとってということでいうと,ヨーロッパは案外そのスタイルは受け入れてくれているというのが現状です。
 それと,中国の法律上のことは皆さんの方が逆に御存じではないかと思っているんですけれども,資料の19ページにつけております。これが中国に対しての我々が送っている内容です。身分証明書というものをまず必要です。そのときは法人ですから法人のところがいいと思いましたので,登記簿謄本の中文と,その登記官証明の中文,翻訳したものです。それと実際に登記簿を出した登記官証明書,身分証明,権利帰属証明というのはレコード協会さんが認証団体というのでしょうか,中国で受けておりますので,そちらから私どもに権利的なものですよと。それと,国家版権局のレコード協会に出している,こういう権利団体ですよという証明書,それを送る。それとあと通常の宣誓書,これは電子サインか若しくは直筆でPDFに仕立てたもの,それと侵害情報というのを,それをメールで添付するか,若しくは伝達権,書面か何かで送る。ある面では言うことを聞かない,相手が対応しない場合は,郵送で。というのは,中国のサイトはトードーというところからお話があったので,一回郵送でということだったので,危険なのでフェデックスでちゃんと送ったということです。ただ,メールだと国のいろいろなことがあるかなというのは,メールを送っても届かないとか,逆に先般知り合いの方が近年行ったとき,メールが日本の自分のサーバーが見られないとか,いろいろなガードがかかっていたり,いろいろなことが起こっているかなというのが現状です。
 これで答えになっていますでしょうか。

【山本委員】 一般的にああいうものを送って,削除されるまでに,所要時間と,削除してもらえるパーセント,割合は幾らですか。

【高良(ソニー・ミュージックエンタテイメント)】 当社の場合,今4サイトをメインにやっているんですけれども,消えている部分でいうと大体9割から100%までというぐらいになっています。ただし,サイトによって,消え方の時間が様々ですし,このサイトはこうだよという形になっても,あと2か月たつとまた時間がかかったり,消えなかったり,波があるというのが現状です。統一感がないというのが現状です。

【大楽主査代理】 ほかに,よろしいですか。それでは,ありがとうございました。ここで全体を通して追加の何かご意見,御感想などございましたら。

【池田委員】 今のヒアリングを伺いまして非常に感じたんですけれども,我々NHKさんと民放は,デジタル放送,NHKさんがやっていらっしゃるんですけれども,デジタル放送ではハイビジョンで放送しておりまして,B-CASシステムを使いましてダビング10というものをやっております。ダビング10なのでコピーコントロールばかりが注目されるんですけれども,実はこの中にはインターネット再配信禁止というのもございます,本来であればハイビジョンの番組が動画投稿サイトやP2Pに流れるはずはないんです。はずはないのに実際には流れている。というのは,これはどこかでそれらをう回しているということがあるのではないかということがあります。それを是非御理解いただきたいなと思っております。ですから,我々は放送する段階でインターネットにそもそも流れないような技術的な保護をしている。にもかかわらず流れている。今はアナログからはたくさん上がっていますが,中にはデジタルでハイビジョンで上がっているものもある。これは今後ふえていく可能性があるということを是非知っておいていただきたいと思います。
 以上です。

【大楽主査代理】 ほかに何か。それでは,少し長くかかってしまいましたけれども,ヒアリングについてはこの辺でよろしゅうございますでしょうか。それでは,三社の方々大変ありがとうございました。
 それでは,議事の2番に入りたいと思います。WIPOなどにおける最近の動向について,まずはWIPO,APEC,ACTAの状況について,事務局から御説明を頂き,その後委員の皆様に御意見を頂きたいと思います。それでは,事務局からよろしくお願いいたします。

【吉田専門官】 それでは,資料2-1に基づきましてWIPOの報告を,それから資料2-2に基づきましてACTAの御報告をさせていただきます。本日は資料3として最近の国際会議のスケジュール,また今後の予定をお配りしておりますので,資料3はこちらから御説明は申し上げませんが,こちらも横目で見ていただければと思います。
 それでは,まずは資料2-1でWIPOの動きとAPECの御報告でございます。2-1でWIPO関係で[1],[2],[3]と3つの会合の御報告があります。時系列順に,[2]のSCCRからお話をさせていただきたいんですが,[2]にいっていただきまして,今年6月にSCCRの会合が開催されました。2ページ目にいっていただきまして,ずっとここで御報告させていただいていますが,SCCRは3つ議題がありまして,権利制限と例外についての議論と,視聴覚的実演の保護条約,それから放送機関の保護の条約に関する議論,この3つが並行で動いておりまして,今回も引き続きその3つの議題について議論されております。それぞれの動きなんですが,権利の制限と例外につきましては,もともとWBU提案のベースの提案があったわけですけれども,それに加えまして,アメリカ,アフリカグループ,EU案ということで,4つの案が提示されるようになっておりまして,今後その4つの案をどういうふうに扱って具体的に進めていくかということはこれからということでして,まだまだ具体的にどういう枠組みになっていくのか,対象はどうするのかというところは不明な状況でございます。それが権利制限と例外についての議論です。
 それから,視聴覚的実演の保護については,今回は具体的に議論が進むという感じではありませんで,引き続きこれをもう少し前向きに進めていくために,具体的な対応スケジュールについて議論していこうということになりました。
 また放送機関の保護についても,議長及び事務局からはこれは相当議論しているので何とか前に進めようという強い働きかけもあったんですけれども,結局は具体的に何か対応するというようなことも決まらないまま終わりまして,若干前向きな姿勢を示したのは,インドがこれまで相当頑なだったんですけれども,少し議論を行うこと自体は受け入れる姿勢を示したというところが唯一の,少し前向きなポイントでございます。
 今回SCCRは毎回SCCRの報告というのをまとめて終了しているんですけれども,今回は残念ながら結論文書自身がまとまらないというところで,少しそういった点が珍しい状況で会議が終わることになったということでございました。
 それから,次のIGC/IWGの御報告ですが,IGCはフォークロア等伝統的知識に関しての議論をしているところですが,今年の7月に伝統的文化表明についてのみの作業部会が開催されました。その作業部会においては,ここで何か政策的な決定をするということではなく,飽くまで専門家の議論だということを前提に条文のような案文の作業を進めまして,本日そのワーキンググループ,作業部会で進められたテキスト案というのを参考資料5にお配りしております。仮訳は飽くまで仮訳として作成したものですけれども,それを見ていただきますと,フォークロアについては特に登録を求めることもなく,また,その保護期間の制限もなく保護していくというようなことになっておりまして,これを具体的にどういうふうな条文のような形にしていくのか,またその条文としての位置づけをどうしていくのかというところは,これから相当議論をしていく必要がありますし,その案そのままではなかなか日本としても受け入れ難いですし,実効的でもないのではないかと思っているような内容になっております。
 1ページ目に戻っていただきまして,これらを含め,今年の9月にWIPOの総会におきましてWIPOの様々な委員会の報告がなされました。[1]に戻っていただいて,このうち9月の総会では,冒頭のところに書いたんですが,総会の最初のハイレベルの会合のところでスピーディーワンダーさんが視覚障害者の権利制限の国際的枠組みについての必要性を演説したということがございまして,WIPOがスピーディーワンダー氏を招待してスピーチをお願いしたということになっております。ここからも見られるように,WIPOがかなり視覚障害者向けのアクセスの向上ということに関して力を入れているということが見てとれるのではないかと思います。
 それから,それぞれの会合の報告のところですが,SCCRについてはそもそも今回SCCRで報告書がまとまらなかったということ自身は,やはり記録として残しておくべきということがありましたので,その指摘が加わった形で事務局作成の報告書が採択されることになりました。
 それから,IGCの関係の報告では,会期間作業部会ということが行われたということでした。先ほど申し上げ忘れましたが,会期間作業部会の結果は次回のIGCに報告されることになっております。総会において,このIGCの部分での発言として特筆すべきところは,この段落の下から4行目ぐらいにありますが,EU,アメリカは明確に法的拘束力がないものを求める発言を行いまして,一方でアフリカグループを初め途上国は法的拘束力がある枠組みを求める旨の発言をしたということでして,そもそもこの議論の条約のような条文の位置づけをどうするかというところで相当立場が離れているということが改めて明確になったということがございました。
 以上が総会の報告です。
 それでは,次に3ページ目にいっていただいて,APECの報告でございますが,今年はAPECは日本で開催されまして,知的財産専門家会合は年2回日本で開催されたんですが,その2回目は仙台で今年の9月に開催されました。今回のAPECは何かガイドラインなりを定めたというような明確な成果があったわけではなくて,各国からそれぞれ特許,著作権に関する進ちょくについての報告,情報交換をするということがかなりメインの部分となりましたので,著作権に関しては韓国,中国からそれぞれ動きについての報告があったんですが,実際は中国はどの分野でもプレゼンの登録をしているような感じで,ともかくAPECで発表して中国のプレゼン数を高めるということに重きを置いていたような感がありまして,中国からの著作権に関する発表で何ら新しい動きというのは実際はございませんで,今後何か改正予定があるのかと聞いても,それは特にないんだということがございました。韓国からは各国も注目しております累進責任法についての現状の報告がなされまして,いよいよ制度がスタートして,文化スポーツ観光省からの警告が書面で送られているようなことがもう既に行われ,それから著作権センターからも随時メールで警告が出されているというところで,韓国の政府の方に聞きましたところ,警告メールが送られているという時点でかなりの方がそれに対応してくれているので,実際にサービスと接続を切断されるというような最終段階に至ったというケースは,あるとしても数例ではないかというところでございました。
 以上が御報告で,APECについては来年の3月に今度はワシントンDCで開催される予定となっております。
 以上が[1]の国際機関の関係の動きです。
 それから,続きまして資料の2-2にいっていただいて,10月2日に大筋合意に至りました模倣品・海賊版拡散防止条約の御紹介でございます。これまでも簡単に動きは御説明しておりましたけれども,11か国地域で海賊版・模倣品の被害に対しての執行を強化するための条文を交渉しておりまして,10月2日に大筋合意に至りまして,その大筋合意に至った内容の条文は,本日の参考資料6に配付されております。条文そのものはそちらをごらんいただければと思います。ここで大筋合意と申し上げております通り,また条文を見ていただくとおわかりいただけるんですが,条文の中にまだイタリック体で下線を引いてあるようなところがございまして,その部分についてはまだ各国がもう一度本国に持ち帰って最終確認をさせてほしいということで持ち帰っているような状況ですので,今後の作業としましては,イタリック体でまだペンディングになっているようなところについて,各国が改めて確認をした上で,簡単な法的な文言調整を行って,国内的には署名の後,批准の手続に入るということになっておりまして,この条約自身は6か国以上がそういう批准を行うと発効するということになっております。
 私からは以上でございます。

【大楽主査代理】 それでは,ただいまの御説明に御質問,御意見等ございますでしょうか。また,SCCR等に出席された委員もおいでですけれども,もし追加情報などがございましたらよろしくお願いいたします。

【上原委員】 質問ということではありませんが,今御報告いただきまして,全くそのとおりだったと思うんですが,一点感想的にSCCRについて申し上げます。今回20回でありますが,コンクルージョン,結論が出なかったのは2回目でございます。その前にコンクルージョンが出なかったときは対立が激しくて,それでも一応WIPOはコンセンサス主義ですので全会一致でないと結論を出しませんが,マインディングな結論ではないけれども,多数決でみんなの意見はこうだったという議長サマリーは出ております。今回は24時時間切れということで,全く議長サマリーも出ないという形の終わり方でございました。それは,実は基本的なところで,ここ数年南北対立がいろいろな形で出てきて,特に途上国の動きが強く,先進国側が希望する動きが押される。あるいは途上国側が希望するフォークロアなどが早く進むという動きだったところへ,途上国側が途上国側に対して先進国側から強く自分たちの立場主張をする。逆にいうと,できるだけ何とか進めたいから途上国の言い分を聞いてという形できたのが,ここまで押し込まれてきたという状況においては,ある程度ぐずぐずと押し込まれてしまうよりは,自分たちの主張ものこの辺で強くしておこうということで,例えば放送について,明確な進展が進められないのであれば,そういうものを認めようとしないのであれば,その結論はまとまらなくてもいいという強い姿勢を示したところだというふうに私は見ました。そういうところから言いますと,先ほど御報告がありましたIGCでのフォークロアの話なども,バイニング・ザ・バイニングだということ,IGCのIWG,ワーキンググループではかなり具体的な条文の話まで入っているのに,一方でその後に開かれた総会では改めてバイニング・ザ・バイニングのところに戻っての立場表明を強くしていくという状況を見ますと,今後また両陣営といいますか,の対立が強くなったところでの展開が見られると思いますので,それを念頭に置いた上で,どのように国際的なハーモナイゼーションがあり得るのかというふうに考えていかなければいけない。かなり厳しい状況になっているのではないかというふうに思っております。

【大楽主査代理】 そのほかございますでしょうか。それでは,時間も押しておりますので,次に,第7回知的財産権保護官民合同訪中代表団の派遣,それから日韓著作権協議,中国国際版権博覧会について,事務局から御説明をお願いします。

【井村専門官】 それでは,資料2-3をごらんください。第7回知的財産保護官民合同訪中代表団の派遣について,御説明いたします。
 派遣の概要としまして,国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)と日本政府におきまして,8月17日から19日の間,ハイレベルミッションとして,北京の政府機関に参りました。ここは知的財産全般の対応ということで,その中には著作権行政を所管する国家版権局も入っております。代表団のメンバーとしましては,新たにフォーラムの座長になられた日産自動車の志賀様,政府代表につきましては当時の経産省の近藤政務官が入っています。メンバーとしては産業界,経産省,文化庁,その他関係省庁及び事務局の総勢40名で参りました。国家版権局には文化庁と経産省と,産業界としましてCODAで参りました。その内容についてはCODAの専務理事である後藤委員から御説明いただきたいと思います。

【後藤委員】 それでは,私は8月18日に国家版権局に文化庁の大路課長と井村専門官,それと経済産業省の信谷課長,それと日本大使館の山田公使,関係者の皆さんとお邪魔してきたというところでございます。相手方といたしましては,版権局の王自強様,司長さんでございます。日本でいうところの局長・審議官クラスということで聞いております。
 こちらからお願いをしまして,その結果でございますけれども,まず2ページ目の(2)でございます。インターネット上の知財侵害における対策の強化ということで,インターネットの知財侵害の問題ということで協議をさせていただきました。当CODAからは中国のUGCサイトということで,今削除要請の実証実験しているところでございまして,それに対して御案内と御理解を頂いたというところでございます。一方,版権局からは,インターネット上の著作権侵害,違法の取締りというキャンペーンを,現在7月21日から10月31日まで行っているところでございまして,その御案内をちょうだいしました。双方間,この問題は非常に難しい問題である,世界的な課題であるということを認識しつつ,将来に向けて協議を深めてまいろうというところでございます。
 そして,2ページ目の(4)日中政府間での知財保護の取組を強化でございます。これにつきましては非常に大きい効果がございまして,本年3月文化庁と国家版権局との覚書,「戦略的な協力に関する覚書」というのを締結いただいたところでございます。これは非常に効果がございまして,我々日本のコンテンツホルダーとして2007年から開けゴマという海賊版のブランドがございますけれども,これに対して国家版権局に行政処罰の申立てをずっとしておったところでございますけれども,全然成果が上がらなかったということであります。この覚書を締結していただいた以後,上海万博開催に伴う取締りの通達というのを国家版権局から全中国の関係箇所に通達を出していただきました。これは刑事訴追を含むレッドペーパーという最上級の通達でございまして,その中で取締りの対象としまして全16タイトルのうち日本コンテンツが12タイトルということで,日本のアニメーションが今回初めてこのペーパーに記載されたということでございます。おかげさまをもちましてこのペーパーに載った関係で今のところアニメにかかわる取締りというのが進んでいるというところでございます。
 それと,3ページ目の(8)の協力事業というところでございまして,今申した無許諾出版物の関係でございますけれども,これに対して尽力を頂いた国家版権局等々の皆様に対して感謝状を贈呈して,今後とも協力関係,連携を深めてまいりたいという要請をいたしまして,快諾をちょうだいしたというところでございます。
 以上でございます。

【井村専門官】 続きまして,日韓著作権協議の報告をいたします。資料2-4をごらんください。今月10月6日にソウルで第5回になります日韓著作権協議が行われました。出席者は,日本からは大路課長と私,在韓日本大使館担当書記官,韓国側は著作権政策課キム・ヒョンジョン課長以下の方々です。
 概要ですけれども,まず日本側の著作権行政について韓国側から質問がありまして,日本のプロバイダーの状況等,先ほど来お話が出ましたけれども,スマートフォンに関してどういうふうになっているのかという話が出ました。韓国側の著作権行政について,日本側から韓国がフェアユースのガイドラインを作成されたり,著作権法改正等いろいろ進めておりますので,そういったことについて質問をしました。
 これ以外でも日常的に韓国とは日本と情報交換はできておりますので,こういった機会に集中的に話をしております。協議事項(4)で日韓著作権フォーラムを開催したことについての話と,協議事項(5)では日本と韓国との間で著作権に関する覚書を策定する方向で参りましょうという話になって,これから取組をしてまいるところです。いずれにしましても,日韓の取組については,中国,日中韓3か国の協力と重要性,必要性を認識しているということで,特にそれぞれの国とも教育が必要であるといったような認識で一致しました。
 日韓協議については以上です。
 次に,資料2-5をごらんください。中国で開催されます国際版権博覧会についてです。今年が第3回になります。中国の国家版権局が2008年から北京で開催しております。今年は11月18日から21日まで4日間,北京のコンベンションセンターで開催されます。今回の開催に当たりまして,中国の国家版権局の副局長から当時の玉井長官あてに,主賓国として日本を招待したいという申出がありまして,これも先ほど話に出ましたが,3月の覚書に基づいた効果なのかということで,中国としてするという方向で進めております。博覧会の内容は資料にある4つの活動になります。詳細については時間の関係で割愛させていただきますけれども,中国としての活動をこの場において進めていくことにしております。
 以上です。

【大楽主査代理】 それでは,何かご質問,御意見がございますでしょうか。

【高杉委員】 1点だけお聞きします。資料2-4の日韓著作権協議の概要についての2ページ目にある法改正のところですけれども,違法化を予定している私的複製の範囲のところで,オフラインが入っているところ,著作物の種類を問わないということで,日本より広い範囲で考えられていることがわかるんですけれども,罰則はどのようになっているか,わかればお聞きしたいと思います。

【井村専門官】 この時はそこまでお話はしていません。

【大楽主査代理】 ほかに何か。

【大路国際課長】 私から恐縮でございますが,最後に説明がありました中国の国家版権博覧会の話なんですけれども,淡々と説明すると以上のとおりなんですけれども,これは私どもとして非常に重要なものだというふうに考えております。まず,ある意味中国が著作権を大事にしているよというパフォーマンスに乗っかる面も否定はできないとは思っているんですけれども,今回主賓国として招かれたということで,500平米ほどの展示のスペースももらって,そこで大々的なイベントができることになりましたので,今レコード協会さんを初め,この際日本のコンテンツ,Jポップも含めてそこで紹介できればと思っています。要するにさっきもありましたけれども,若い方々に対して啓発をするといっても,教えるという視点ではなかなか効果が上がらないというのはどこでも言われている話でございまして,そういう若い人たちを連れてくるような仕掛けを通じて,我々のメッセージとして著作権は大事なんだというふうなことをアピールできるような機会にしたいと思っております。関係の業界の方とも御協力を頂きながら,経産省にも協力を頂きながら,日本のコンテンツをこの際中国で,北京で紹介するようないい機会に是非したいなというふうに思っておりますので,そういうことも御紹介させていただきたいと思います。

【大楽主査代理】 大成功を祈りたいとところです。

【井村専門官】 話はなかったんですけれども,民事はありますが,罰則は載っていないということだそうです。

【大楽主査代理】 先ほどの罰則はどうかというところですね。ほかに何かご質問等ございますでしょうか。特段ございませんようでしたら,本日はここまでということにしたいと思いますが,事務局から何か連絡事項がございましたらお願いいたします。

【吉田専門官】 本日はありがとうございました。次回の委員会はまた日程を調整させていただいた上で追って御連絡いたします。次回も今回に引き続きましてヒアリングをコンテンツ業界の団体,関係者の方をお呼びして実施することを予定しております。
 以上です。

【大楽主査代理】 ありがとうございます。おくれまして大変失礼いたしました。2件目からのヒアリングを聞かせていただきましたけれども,大変現場感あふれるヒアリングで,大変参考になりました。それでは,本日は大変ありがとうございました。

○12:00閉会

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動