議事次第

文化審議会著作権分科会
国際小委員会(第4回)議事次第

日時:
平成23年1月17日(月)
13:30~14:11
場所:
合同庁舎第7号館(文部科学省)
3F2特別会議室
  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)国際小委員会報告書(案)について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配布資料

議事内容

○13:30開会

【道垣内主査】 ただいまから第4回国際小委員会を開催いたします。
 本日は,御多忙の中,御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 本日の会議の公開につきましては,予定されております議事の内容を参照しますと特段非公開とする必要はないと思われますので,既に傍聴の方には御入場いただいているところでございます。この点,特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内主査】 ありがとうございます。それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことにいたします。
 では,まず事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【吉田専門官】 お手元の議事次第をごらんください。
 本日の配付資料は,資料1,国際小委員会報告書,資料2,アジア著作権会議の開催について,それから参考資料の1に国際小委員会の名簿,参考資料2としまして著作権関連国際会議等のスケジュール,参考資料3として前回の議事録が配付されていると思います。
 不足している資料がありましたら,事務局まで御連絡ください。

【道垣内主査】 では,議事次第に従いまして本日の議事に入りたいと思います。
 まずは,議事の最初の第10期国際小委員会報告書(案)についてでございます。
 今期の国際小委員会の報告を著作権分科会にする予定となっております。その報告書について,ここで御議論いただきたいと思っております。
 報告書(案)について,事務局より10分ぐらいで御説明いただいた後,委員の皆様に御意見を頂きたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

【吉田専門官】 それでは,資料1をごらんいただきたいと思います。
 報告書(案)ということで,目次をめくっていただいて,本資料は,「はじめに」の後に,第1章として「インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応」,第2章といたしまして「国際的な議論の動向」ということになっております。
 それでは,1ページ目の「はじめに」の方から簡単に報告書(案)を御説明いたします。
 「はじめに」に書いてありますことは,今期の国際小委員会でどういう検討をすることになったかということでございまして,この記述そのものは,第1回で今回の国際小委員会でどういうことを議論するかという進め方について議論いただいた資料をもとに作成しております。そのため,内容の大部分はそちらと重複しておりますので,今回説明は省略したいと思いますが,「はじめに」において書いてあります点といたしましては,一番最初にありますように,今回は,これまで引き続いて検討することになっておりました4項目のうち,特にインターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について議論を行うことといたしました。そして,(2)の検討の進め方に行っていただいて,インターネットによるテーマについて制度面,執行面の両面から検討を行うことといたしまして,具体的には企業の方からのヒアリングをいたしましたし,それから,スリーストライク等海外の新たな制度の導入に関しての材料を提供いただいて意見交換を行いました。
 それでは,3ページ目に行っていただいて,第1章の第1節,コンテンツ業界の著作権侵害の実態と課題というところをごらんください。ここの部分につきましては,企業及び団体の方から,現状,海外におけるビジネス展開の状況を踏まえて,海賊版被害の状況や対策の現状,今後の課題について議論を行いましたので,その点を記述してございます。
 (1)著作権侵害の実態というところでは,具体的にヒアリングを行いました際に企業,団体の方から御指摘のあった点について,似ているものを少しまとめて5点,実態としての課題となるものを挙げさせていただいております。
 順番に,一番初めに書いてありますのは,そもそも海賊版の対策という前に正規版の流通をするところが難しいということで,海外のコンテンツビジネス展開に際しての障害というところがまず1つ挙げられております。
 その次に,侵害実態の把握が困難ということで,具体的な侵害実態を把握すること自身が難しいという御指摘がございました。具体的には,侵害の形態が大変多様化していまして,複数国に多数のサイトが分散していたり,海外に実際のサーバーがあるけれども,それは日本向けと思われるものであって,そういうところに対しての対策が難しいという御指摘がございました。
 その次の点として,一企業での対応に限界があるというところで,これは多くの方から御指摘がありましたけれども,企業としては直接の収益につながらない,この侵害対策というところに取り組むところには,コスト的にも体制としても限界があるという点がありました。
 それから,その次ですが,権利帰属証明等の手続が煩雑ということで,具体的に削除要請を行う際に,権利者であるという証明を先方から求められるときに,例えば中国であれば日本レコード協会会員であることを証すればいいというところが一部スムーズにいく場合としてはあるものの,音楽コンテンツ以外のコンテンツについては,そういった認証機関もなく,権利の帰属を証明することが難しいというような御指摘がありまして,したがって,アメリカであえて登録をとって証明をそれにかえているというような御説明もありました。
 それから,最後の点といたしましては,削除要請先が不明であり削除要請が困難であるということで,これまでのいろいろな複雑となっている侵害形態に加えて,スマートフォンアプリといったサイトにおける侵害など新しいタイプの侵害が起こっているために,具体的にだれに削除要請を出したらいいのかというところが不明で,対応が困難であるというような御指摘もありました。
 以上のような課題を踏まえまして,(2)の課題の方ですけれども,以下の点について検討を進めていくことが必要であるとしてまとめております。
 第1点目といたしましては,現在,中国,韓国,台湾との間で協議が実施されているところですけれども,我が国のコンテンツ企業の動向を踏まえて,その対象国を東南アジア等に広げていくことが望まれる。それから,もう一点といたしましては,権利者単独での対応に限界があるという御指摘がありましたので,個別対応が難しいということを踏まえて,CODAなど権利者がまとまって権利交渉した方が抑止効果が高いと思われることから,団体として連携するための体制強化が必要で,政府としてもその支援方策について検討していく必要があるというところで検討を進めていく必要がある事項としてまとめております。
 続きまして,第2節は各国における取組ということで,主に前回,張先生から御報告いただきました各国における,主にいわゆるスリーストライク制度と呼ばれている制度の導入の現状について国別にまとめております。特に韓国とフランスが具体的に導入が進められて運用がなされている国ということですので,その2つを丁寧に書いてございます。順番に韓国,フランス,それから次のページに行っていただいて台湾,イギリスについての現状を書いております。また,アメリカはスリーストライクのような制度というよりは,むしろサイト閉鎖への動きとしての国の例として挙げております。そして最後に日本への示唆というところで,このようなスリーストライク制度の導入については,ヒアリングにおいても要望としてありましたということを御指摘しているとともに,そのほかにもISPの責任制限とか発信者情報開示の問題,著作物登録制度の問題なども指摘されておりました。こういった点は,政府としても今後,諸外国の動向を注視していく必要があると思われるというところでまとめております。
 以上が第1章でございまして,続きまして第2章に進んでいただいて「国際的な議論の動向」というところで,ここはマルチな場での議論の話と,それから二国間の協議等の話ということで,主に第1節,第2節と分かれておりまして,第1節はWIPOにおける議論の動向ということで,今回の国際小委員会でそれぞれ動向を御説明しておりましたが,それを簡単にまとめております。
 1番の点は,視聴覚実演の保護,放送機関の保護が引き続き,その条約採択に向けて進めていくべきということが書いてあります。
 2番目の権利制限と例外については,(1)で簡単に背景と現状を記述しまして,(2)の我が国の基本的方向性というところでは,権利制限と例外は基本的には条約上既に導入ができることになっているというところを指摘しまして,8ページ目に行っていただいて,法的拘束力を持つ枠組みではなくて,柔軟性を確保した枠組みとする方が有利であると考えているといるところ,それから,引き続き国際的な動向を見ながら議論をしていくことが必要であるというふうに書いてございます。
 3番目の点で,フォークロアの保護についてというところで,これはWIPOの中のIGCで議論されているテーマですが,これについても(1)で現状を書きまして,(2)の方では,かつて平成18年に,この小委員会で議論した内容の,その方針を引き続き踏まえて,あとは国際的な議論の動向にも留意して議論をしていくことが必要であると書いてあります。
 次の4番目,CDIPについては,具体的に何か大きな話があったということではないんですけれども,その状況を述べるとともに,引き続き権利の保護と利用のバランスを失することにならないように対応していくことが必要というふうに書いてございます。
 第2節は,まず1番でAPECの議論の動向ということで,知財の保護と執行に関しての議論の促進が必要だということでまとめてございます。
 10ページ目に行っていただいて,ACTAにおける議論の動向ということで,今年はACTAが大筋合意をして条文が確定したというところまで進んだという,ACTAの状況を書くとともに,その後は欧米等のほかの締約国と連携して,アジア諸国等に対しての加入の働きかけが必要だということを書いてございます。
 第3節は二国間協議等の状況ということで,1番は,まず中国との状況で,昨年覚書を締結したというところの状況と,それから国際版権博覧会,それから国際知財保護フォーラムと,日本政府で代表団を派遣したというところの記述がございます。それで,2番目には日韓著作権協議ということで韓国との二国間協議の結果を,3番目には台湾との話合いの結果を記述してございます。最後にアジア著作権会議ということで,昨年2月に行われましたアジア著作権会議の結果の概要が書いてございまして,これら様々な政府間の協議,アジア著作権会議も含めての今後の方向性といたしましては,引き続き二国間の枠組みの重要性を認識しながら,二国間の枠組みの位置づけの強化・拡大,それから多国間のネットワークのさらなる強化が必要であるというふうにまとめてございます。
 以上が本文でして,次のページにありますのは,フォークロアの方で言及しております,以前定めた方針について書いておりまして,委員名簿と審議経過がその後に続いております。以上が今期の国際報告書(案)でございます。
 以上です。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 ただいま御紹介いただきました,この報告書の案の中身につきまして,何か御質問,あるいは御意見等ございますでしょうか。

【上原委員】 すみません。とりあえず細かいところで気のついたところを申し上げさせていただきます。
 4ページのところなんですけれども,ここの権利帰属証明等の手続が煩雑というところで,「また,企業によっては我が国の著作権登録ではなく,国際的に汎用性の高い米国で著作権登録している場合もあり」というふうに書かれているんですが,日本における著作権登録の効果と,それから米国の著作権登録の効果と,それぞれ制度が違うので,何かパラレルに書かれているとちょっと違和感があるんですが,中国に対する権利帰属証明を行うのに,国の著作権登録をしているということが前提になっているということなんでしょうか。前提になっているということであるとすると,日本よりアメリカの方が使い勝手がよいということで,こういう記述もわかるんですけれども,そこがわかりにくかったんで,ちょっとそこを教えていただけますでしょうか。

【井村専門官】 先生がおっしゃるとおり,日本の登録制度と,またアメリカ,中国等の登録という意味合いも違っているということは,こちらも認識しているところですけれども,特に外国に対して権利を証明する場合に,日本で登録していないといけないということではないと思うんですけれども,登録していたとしても,なかなかそれを証明していく,また登録していないとなると余計にそれを相手に示していくというところがなかなか難しい問題があるのかなということですが,ここの書き方に関しては,ちょっと検討させてください。

【上原委員】 そういうことであれば,これを読ませていただいて思ったのは,「また,企業によっては」の後の「我が国の著作権登録ではなく」というのを切っちゃって,「国際的に汎用性の高い米国で著作権登録している場合もあり」というふうにして事実関係を書いた上で,その後の課題のところでしたっけ,どこかに著作権登録の問題などが示唆されていると書いてあるので,それとあわせて読んでいただければ,かえってすっきりするかなというふうに思ったんですが,いかがでしょうか。

【大路課長】 すみません。せっかく御指摘いただいて,我々としても,この部分,非常に重要な部分かなと思っておりますので,ちょっと私なりに理解するところを御説明させていただいて,もし違っているようだったら先生方から御指摘いただければと思っているんですけれども,飽くまで中国なら中国で権利執行する場合に適用される法律というのは中国の著作権法であるわけでございまして,ですので,中国の著作権法に基づいて何が求められるかというところの問題だというふうに理解しているんですけれども,中国が,その権利者が真っ当な権利者かどうかということを判断するよりどころとして,日本の著作権登録が必要,アメリカの著作権登録が必要というふうにやっているという実態はないというふうに理解をしております。
 しかしながら,中国当局なりが,これが正当な権利者だというふうに判断するよりどころがやはり必要だというのは間違いないことでございまして,それが1つは中国における著作権登録というのが一番それに近いところでありますけれども,それが仮にできない場合には,例えばアメリカなりに登録しているという事実をもって,これが真っ当な権利者なんだよと証明することが事実上行われているということでございますし,それから,日本と中国との関係で言えば,認証機関として認められているレコード協会さんについては,レコード協会所属の何だれであれば,それがちゃんとした権利者なんだということを中国が認めるような方式になっているということでございまして,ですので,今そこは音楽に関してだけ認められているわけでございますので,それ以外のコンテンツについて日本の権利者が,自分がちゃんとした権利者なんだよということを自ら証明する方法をとり得るようなことができるように,CODAを中国から見た場合の認証機関にしてもらいたいというのが大きな課題なんだというふうに私としては理解しているところでございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。この部分,後ほど事務局とも相談いたしまして文章を直させていただきたいと思いますけれども,いずれにしましても,アメリカで証明をとることが必要だというところがポイントじゃなくて,中国が認めるアメリカの機関から証明をとらなければいけないと,そういう趣旨ですね。それと,「米国」と「アメリカ」と両方入っているので,どっちかに統一した方がいいと思います。
 そのほか,何かございますでしょうか。

【上原委員】 すみません。引き続きで恐縮でございます。
 それでは,6ページ,これは非常に細かいところですが,イギリスのところですけれども,「1年後に情報通信庁による評価によって警告のみでは効果がないことが明らかになったところで実施される」というふうに書いてあります。これは完全に日本語の書き方の細かいニュアンスですけれども,明らかにならなかった場合には実施をきっとされないんだと思うので,明らかになった場合にはとか,明らかになればとかいう方が日本語としてはいいのかなとおもいます。非常に細かいことで恐縮ですが。
 それと,その下の(2)の日本への示唆のところですが,これは今の話とも関連するんですが,3行目のところに「また,これとは別に,制度導入に向けて検討すべき点として」と書いてあるんですが,例えばISPの責任制限の問題とか,発信者情報の開示とかというものについては,今制度がないわけではありませんので,制度導入に向けてというよりは,制度に関する検討すべき問題とかというふうにされた方がよいのではないか。これもちょっと書き方の問題かと思いますけれども。
 私の内容的な感想といたしましては,著作権登録制度の問題等とともに,リンクに対する対応の問題というのが3回目にかなり強く提示されていたので,もし何でしたらお入れいただいたらいかがかなというふうに考えておりますが,いかがなものでございましょうか。

【道垣内主査】 ありがとうございます。今の点も含めて検討の対象にさせていただきます。
 リンクということをおっしゃったのですが,4ページの削除要請先が不明であるところの項目の下から3行目のところの「侵害コンテンツへのリンクを掲載するリーチサイト」というところに,「リンク」という言葉が出てきますね。それから,6ページ,御指摘のアメリカのところには「音楽及び映画ファイルの違法コピーにリンクするトレントサイト」という言葉が出てきます。この2つは違うものなんでしょうか。

【井村専門官】 トレントサイトは固有名詞ですので,ビットトレント関係の……。

【道垣内主査】 そうですか。リーチサイトであるトレントサイトですね。突然,固有名詞が出てくるのは,どうでしょうか。

【吉田専門官】 そうですね,リーチサイトで統一します。

【道垣内主査】 それから,今のリーチサイトの問題ですけれども,これは削除先不明の問題なのか,そもそもリンク先を載せているだけでは著作権侵害にならないとの議論があることが問題なのかは,この記載からはちょっとわからない。要請先が不明という問題として記載されていますが,そうなんでしょうか。このリーチサイトをつくっている人がだれかがわからないというのであれば,それは一般的な話ですね。むしろ,間接侵害の話として書くべきではないでしょうか。

【井村専門官】 そうですね。前回の会議でも,たしか間接侵害に問えるか否かというふうな話も出て,そこら辺がはっきりなかなか書きにくいところだったので,ちょっとそこを避けるような感じの書きぶりになってしまっておりますけれども,問題は,交渉する相手が不明というだけではなくて,相手がわかったとしても,そこにどういうふうに交渉していくか,侵害を訴えていくかというところが定かではないというか,明確になっていないというところで,若干ちょっと書きぶりにそれが影響したかなと思います。

【吉田専門官】 リーチサイトの点は2か所に実は出てきておりまして,2番目の侵害実態の把握が困難というところと,削除要請先が不明であるというところの2回,リーチサイトが出てきておりまして,御指摘のとおり,そもそもリーチサイトの管理者がわからないという意味での不明というところと,2番目の方の侵害実態の把握が困難な方に書いてありますのは,侵害の形が多様化しているので侵害者の特定が難しいということで,この部分に,リーチサイトを管理している人が侵害者と認識していないということで,リーチサイトを経由して起こっている侵害の侵害者を特定することが難しいというところがにじみ出して書いているということなんです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが。

【道垣内主査】 そうであれば,2か所に書かなくてもいいかもしれませんね。後者の方はなくても,前者の方に少し書き加えればいいのかもしれません。それらも含めてもう一回検討して確定させたいと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。

【上原委員】 すみません。私ばかり発言させていただいて恐縮です。
 これもまた非常に細かいところで大変恐縮でございますが,7ページのところでございますけれども,7ページの下のところの(2)のところの下から3行目のところに「既に,ベルヌ条約第9条(2)の規定に基づくスリー・ステップ・テストをベースとして,各国が既に独自に導入」と,「既に」が2回入っていて,片方が漢字で片方が平仮名になっていますので,どちらか削除して漢字か平仮名かはほかの箇所と統一していただいた方がいいかと思います。一応細かい文章の気のついたところはそういうところでございます。
 もう一つありました。8ページのところで,上から3行目のところですけれども,これは私の読み方が間違っていたら教えてください。「それゆえに,国内事情に応じたきめ細かい対応が必要である,ことから」になっていますが,この点は何か打ち間違いで,ない方が素直につながるように思うんですけれども,いかがでしょう。書き方についてちょっと気になったところはそんなところです。すみません。

【道垣内主査】 気持ちとしては[1]と[2]を並べているのでしょうが,おっしゃるとおりだと思います。
 ほかの点,いかがでしょうか。

【高杉委員】 すみません。3ページから4ページにかけてですけれども,著作権侵害の実態について5点挙げて,恐らくそれに対しての解決策というか,解が課題にまとめられていると認識していますけれども,いわゆる上記の実態を踏まえて,以下の点について検討を進めていくということで書かれている内容が,政府間協議の対象国をふやすということと,あとCODAの支援のような,2つに何かフォーカスが当てられているように思うんですけれども,著作権侵害の実態として挙げられている,例えばコンテンツビジネス展開に際しての障害とか,これらについての解というのは,特に課題には明確には挙げられていないように思うんですが,もう少し何か踏み込んだ形で取組をするような内容が書けないものでしょうかと思いまして,ちょっと発言させていただきました。

【大路課長】 お答えになるかどうかわかりませんけれども,実態を把握して,こういう問題があるという整理をした上で,それを踏まえた課題を整理したわけですが,これだけで十分だというふうに必ずしも私どもは考えているわけではございませんで,特に当面,できること,それから我々としてやっていきたいことが明確にイメージできるようなものについては,今後の対応として書いたわけでございます。それ以外の部分,確かに受けていないというところがあるかと思いますので,これらに対する課題も課題として,やはり今後引き続き,何らかのやはり対応方策を考えていく必要があるんだということは決して否定しているつもりではございませんので,1,2,3という形で並べられるかどうかはわかりませんが,これらの課題も,やはり引き続く課題だというふうなことがわかるような形で,整理できるように検討させていただきたいというふうに思います。

【鈴木委員】 すみません。細かいことで恐縮なんですけれども,7ページで先ほど御指摘があった部分を見て気がついたんですが,下から4行目,ベルヌ条約第9条(2)が挙がっていますが,この後に「等」と入れていただいた方が,要するに複製権に係るスリー・ステップ・テストだけではないという意味でよろしいのではないかと思います。

【道垣内主査】 その他いかがでしょうか。
 全体を見直しますと,なお内容にかかわらない修正もあろうかと思いますが,今御指摘いただいたこと,あるいはそういった修文上の問題につきましては,この審議を踏まえて事務局と相談しつつ行いたいと思いますので,主査に御一任いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内主査】 ありがとうございます。そのようにして確定させた上で,1月25日に開催されます著作権分科会に,この国際小委員会の報告書を提出し報告させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 では,第2の議題の「その他」でございます。事務局よりアジア著作権会議についての御説明をお願いいたします。

【井村専門官】 説明いたします。資料2を御覧ください。
 このたび,2月23,24日の日程で,新宿の京王プラザホテルにおきまして,第2回目になりますアジア著作権会議を開催いたします。基本的なテーマとしましては,インターネットの普及に伴いましてコンテンツが国境を越えて流通し,また著作権侵害も加速しているという状況で,この著作権保護のために国際連携の重要性がますます高まっています。そこで,この会議におきましては,ボーダーレスな対応に踏み出す際の様々な課題を踏まえて,急速な状況の変化に対応できる国際連携の在り方について検討しようというものです。
 主催は文化庁と社団法人著作権情報センターです。
 今回の参加者は,国際機関WIPOから著作権法課長のリチャード・オーエンスさんに来ていただくことになっています。政府関係者は,日本のほかイギリスのIPOオフィスから,またアメリカのコピーライトオフィス,中国は,国家版権局の代わりに中国版権保護センターから,また韓国は文化体育観光部,タイは商務省にあります知的財産局から参加されます。今回は政府からのセッションと,民間の権利者団体からのセッションということで分かれておりまして,権利者団体の方は,日本につきましてはコンテンツ海外流通促進機構,そのほか国際レコード産業連盟(IFPI),あとモーション・ピクチャーズ・アソシエーション(MPA)からそれぞれ参加いただくことになっております。
 23日のセッションは午後から始まりまして,24日と,最後全体会議としまして今後の国際連携に向けてということで議論することになっております。今回はモデレーターとしまして大楽先生と前田先生に御協力いただくことになっております。
 以上です。

【道垣内主査】 今の御説明につきまして,御質問,御意見等ございますでしょうか。

【上原委員】 大変重箱の隅をつついているようで先ほどから恐縮でございますが,参考資料の方にあります著作権関連国際会議等のスケジュール,2011年2月のアジア著作権会議開催予定が23から25になっていて,こっちで頂いたのは23から24で,どちらが正しいんでしょうか。

【井村専門官】 すみません。23,24が正しいです。

【上原委員】 それでよろしいんですね。これはクローズドな会議でしょうか。昨年,何かちょっと中途半端な形で開かれたかのような印象を持っているんですが。

【井村専門官】 今回は,基本的にオープンです。

【上原委員】 ありがとうございます。

【道垣内主査】 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは,「その他」の議題としまして,もう一つ御意見を伺いたいことがございます。それは来期のことでございます。来期の国際的な小委員会が対象としている問題につきましては,親委員会である著作権分科会がどう決定になるかということによります。国際小委員会を設置するかどうかも含めて,その決定にゆだねられるわけでございますけれども,国際小委員会の今期の議事録に残すことによりまして,その決定の参考としていただくことは可能かなと思います。
 そこで,今期の国際小委員会の皆様から,今後どのような課題が─国際的な問題ですが,課題があるのかについて御意見,お考え,その他ございましたらお聞かせいただいて記録にとどめさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

【上原委員】 報告書の内容ともちょっと絡むんですけれども,先ほどは報告書の中身を変えるという話ではなかったので申し上げませんでしたけれども,この第2章の「国際的な議論の動向」のところにつきまして,例えば制限と例外のことでありますとかフォークロアのことなどにつきましては,かなり具体的な話が進んでいるということが書いてありまして,その対応についても,基本的方向はここに書いていらっしゃるとおりで何も問題ないわけですが,我が国の対応等を引き続き議論を行う必要があるということになっておりますが,どちらの案件も,細かい条文の詰めを一方でしつつ,もう一方ではどちらもバインディングかノーバインディングかがはっきりしない中で線引きをやっているという,ややこしい状況にあるところでございますが,バインディングかノーバインディングかというところだけで話をしていますと,話を詰めているうちに押し切られる心配もございますので,その辺を少し来期,我が国としては頑張っていく必要があろうかと思いますので,来期も国際小委員会等でそうした国際動向に気をつけながら対応していくことができればいいのではないかというふうに思っております。

【道垣内主査】 ありがとうございます。
 その他,いかがでしょうか。

【鈴木委員】 今の上原委員の御意見と重なるのですが,特にフォークロアの問題について,テキストベースの議論が始まっているとのことですが,例えば,私の知る限りで日本の知財の研究者は,非常に重要な問題だとみんな思っているものの,余裕がなかなかないということもあって,研究している人が余りいないという状況にあります。そういう中で,条文ベースの議論が行われているということでありますので,是非日本の若手の研究者にある意味では勉強させて,しっかりした議論ができるような準備作業をしておいた方がいいのではないかという気がいたします。

【道垣内主査】 ありがとうございます。これは,この報告書の最後,参考1で平成18年の分科会報告書がついておりますけれども,これを踏まえて,あるいは修正すべき点があれば更に修正して,より深い検討をしてはどうかと,具体的にはそういうことになりますか。

【鈴木委員】 私個人は,この報告書の参考1についている分科会報告書の基本方針そのものは基本的に維持してしかるべきと思いますが,現在テーブルに出ているテキストについて具体的にどういう問題があるのかというレベルの問題についても,しっかり理論的観点も踏まえた検討を進めるべきではないかという趣旨でございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 そのほか,いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは,本日の国際小委員会はここまでにいたしたいと思います。
 本日は今期最後の小委員会ですので,事務局から一言ごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【吉田次長】 それでは,今期の著作権分科会国際小委員会を終えるに当たりまして,一言お礼を申し上げます。
 今期の国際小委員会では,コンテンツ業界からのヒアリング,それから,いわゆるスリーストライク制度についての意見交換を行いまして,インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方を中心に御議論を頂きました。具体的にヒアリングでは,コンテンツ業界から現場の実態を踏まえた詳細な御説明を頂きまして,インターネットの普及に伴いまして,様々な場面で短時間に侵害が発生をしてきているというようなこと,様々な対応を権利者団体としては行いつつも,なかなか単独の企業では難しいというような御意見も頂きました。また,各国のスリーストライク制度につきましても,東京都市大学の張先生から各国の状況について御説明いただきまして,賛否両論もあるというような点も含めて一定の情報共有ができたのではなかろうかと,こういうふうに思います。そういったことも含めて,今日の報告書ということでおまとめいただいたわけでございます。
 今期は,一つ中間的な議論というような感じもしておりまして,来期も引き続き国際的な課題について議論賜りたいと思っておりますけれども,先ほど上原委員,あるいは鈴木委員から御指摘のありましたWIPOの動き,特にテキストベースといったものも入ってきている権利制限の関係,フォークロアの関係,そういったものについては文化庁としても基準とした理論構築をしていく必要があろうかというふうに思っておりますけれども,その点につきましては,また引き続き来期においても御協力,御尽力を賜りたいと思っております。
 最後になりますけれども,委員の皆様方には,お忙しいところにもかかわらず,精力的にこの小委員会の審議に御協力いただきまして,誠にありがとうございました。御礼申し上げます。

【道垣内主査】 どうもありがとうございました。
 それでは,本日の会議はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

14:11閉会

―― 了 ――

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