議事録

文化審議会著作権分科会
国際小委員会(第2回)議事録

日時:
平成24年1月20日(金)
16:00~18:00
場所:
文部科学省東館3階
3F2会議室
  1. 開会
  2. 委員及び出席者紹介
  3. 議事
    1. (1)WIPO等における最近の動向について
    2. (2)海外における著作権侵害に係るヒアリング
    3. (3)二国間協議等の状況について
    4. (4)平成23年度国際小委員会の審議の経過等について
    5. (5)その他
  4. 閉会

配布資料

議事内容

○16:00開会

【道垣内主査】 時間でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会国際小委員会の第2回の会合を開催いたします。本日は御多忙の中,また足元の悪い中御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
 本日の会議の公開につきましては,予定されている議事の内容を参照いたしますと,特段,非公開とする必要はないと思われますので,既に傍聴者の方には御入場していただいているところでございます。特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内主査】 ありがとうございます。
 それでは,本日は議事を公開するということで,傍聴の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 まず,委員の交代及び事務局の人事異動につきまして,事務局から御報告いただけますでしょうか。

【堀国際著作権専門官】 それでは,委員の交代につきまして御紹介いたします。社団法人日本民間放送連盟知的所有権対策委員会IPR専門部会法制部会主査といたしまして,池田朋(とも)之(ゆき)委員にかわりまして,笹(ささ)尾光委員が新たに委員となっております。
 本日,上野委員,鈴木委員,中村委員,畑委員,小原委員,増山委員が御欠席となってございます。
 また,事務局の人事異動を御報告申し上げます。1月6日付で,文化庁次長といたしまして,河村潤子文化庁次長が着任しております。それでは,一言ごあいさつをお願いいたします。

【河村文化庁次長】 恐れ入ります。貴重な時間をちょうだいいたしまして,一言ごあいさつをさせていただきたいと存じます。
 今,事務局から申し上げましたとおり,1月6日付けで,文化庁の次長を拝命しました河村潤子と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 この小委員会におきましては,著作権に関して,昨今のITの急速な発展に伴いまして,様々な国際問題が起きているというふうに認識をしておりまして,この件についての大変重要な御議論の場であるというふうに承知をいたしております。
 本日の審議の御予定でも,WIPOの動向,海外における著作権侵害についてのお話を承る,こんなようなことが準備されておりまして,御議論をお願いすることとなっております。
 承りますと,今期のこの小委員会の開催,本日が日程的には最後の日というふうに伺っております。お忙しい中,委員の皆様には,御出席に関して御礼申し上げますとともに,どうぞ今日も実り多いことをお願い申し上げまして,ごあいさつとさせていただきます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

【道垣内主査】 御丁寧にありがとうございます。
 それでは,資料の確認につきまして,事務局からお願いします。

【堀国際著作権専門官】 配付資料の確認をさせていただきます。資料1といたしまして,WIPOの最近の動向について,資料2-1,2-2,2-3としまして,ヒアリング関係の資料を用意してございます。資料3が日中著作権会議,資料4が韓国との覚書の締結についての資料,資料5が日韓著作権フォーラム,資料6が日台貿易経済会議,資料7がWIPOアジア地域会合に関する報告,資料8が平成24年度の海賊版対策関連施策について用意してございます。資料9として,後ほど審議経過についてお配りさせていただこうと思っております。
 参考資料1としまして関係法令,参考資料2として委員の皆様方の名簿,参考資料3としまして前回の議事録,参考資料4としてACTAについて,参考資料5で文化サミットについて資料を用意させていただいております。
 資料がない方がいらっしゃいましたら,事務局までお願いできればと思います。

【道垣内主査】 よろしゅうございますでしょうか。
 では,議事の順に沿って,本題に入りたいと思います。
 まず,議事の第1番のWIPO等における最近の動向について事務局より御説明を頂き,その後,委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。
 では,よろしくお願いします。

【堀国際著作権専門官】 それでは,資料1に基づきまして説明させていただきます。
 WIPOなどにおける最近の動向についてということで,1.といたしまして,IGC,遺伝資源等政府間委員会が昨年の7月に開催されました。こちらで,昨年度に引き続いて,TCEsについて御議論いただいており,そちらについての御報告をさせていただきます。
 前回の会合の議論を踏まえまして,重要課題についての文書が配布されるとともに,今回,逐条別に全体会合で議論を行うこととされました。
 ブラケットが,前回の会合では多数存在する文書であったんですけれども,去年9月の開催の報告のために,文書のオプションの数を減らすことによりまして,複雑性を減らすということが指摘されまして,ファシリテーターということで,ニュージーランドの方を指名しまして,文書の複雑性を減らす作業が行われました。
 また,次の○のところですが,重要な条文である第1条,第2条,第3条,第5条を中心に,今回は議論が行われてございます。
 その後,ファシリテーターが全体会合の議論を踏まえた形でオプションを簡潔にまとめた文書が配布されまして,それをもとに議論がなされまして,報告がなされております。その文書が次回会合以降の検討テキストとされてございます。
 今回会合の結論としまして,次の2年間の中で,現在行われているそれぞれのテキストベースの交渉を引き続き議論するということを予定しております。
 2012年の総会にテキストベースの文書を提出すべく,分野ごと,遺伝資源,伝統的知識,伝統的文化・表現ごとに,次回の3回分の中でそれぞれ議論されることとなってございます。TCEsにつきましては,第22回のIGCで,1条,2条,3条,5条の4か条の内容を中心に,引き続き議論が行われることとなってございます。
 それで,重要なところであります,その文書の法的位置づけについて,法的拘束性を持たせるべきかどうかについては,途上国と先進国との間で意見が分かれているところでございます。
 次に,2.といたしまして,視聴覚的実演の保護に関する条約関係なんですが,第49回のWIPO加盟国総会が去年の9月から10月にかけて開催されたのですが,第22回SCCRにおいて合意されましたように,条約採択のための外交会議を今年の6月又は7月の日程で開催すること。条約テキストは,2000年で暫定合意されました19か条及び合意声明と第22回SCCRで暫定合意された12条と,1条,2条,15条の合意声明及び前文につきまして採択することが承認されました。
 我が国からは,特に我が国著作権法第91条は,視聴覚的実演の保護に関する条約案第12条と整合的であると理解している旨の発言を行いまして,他国から特段の異議表明もなく,総会の議事録へ記録されてございます。
 前回の国際小委で御指摘のございました,条約第12条と著作権法第91条の関係についてですが,条約の第12条は任意的な規定となってございまして,条約第12条の中で規定されてございますtransfer,exercise,own以外の態様も許容されるというふうに解しております。
 続きまして,視聴覚的実演の保護に関する外交会議の準備委員会が,昨年の11月に開催されました。外交会議の開催地ですけれども,メキシコと中国が招致の意向を表明していたんですが,非公式協議の末,中国が開催国に立候補しまして,それが承認されました。
 開催の日程につきましては,本年の6月20日以降で1週間程度の見込みで開催される見込みでございます。準備委員会では,最終条項や管理規定条項,あとは外交会議の手続の原案について議論がなされ,管理規定条項についてはWPPTと同様の条文の形になるように,手続規則は前回外交会議の改定という位置付けとするという修正を行った上で,それぞれの案が採択されてございます。詳細の内容は,その下の丸に書いてあることでございます。
 1点,管理規定及び最終規定の原案のところで,発効国数について,事務局の提案は10か国だったんですけれども,最終的にはWPPTと同じ30か国とされてございます。
 続きまして,SCCR関係について御報告させていただきます。
 昨年の11月から12月にかけまして,第23回のSCCRが開催されてございます。主な議題としては,3つございまして,図書館及びアーカイブに関する権利の制限と例外。これは新規の議題となっております。
 あと,[2]としまして,視覚障害者等に関する権利の制限と例外。あと,[3]としまして,放送機関の保護に関する議題が議論されました。
 [1]の図書館及びアーカイブに関する権利の制限と例外ですが,会合前までに提出されたアフリカ提案に加えまして,会合中にブラジルによって発表された背景文書というものと,ブラジル,エクアドル,ウルグアイによる共同提案と米国提案。その米国提案といいますのは,条文テキストではなく,目的と原則に関するペーパーですが,こちらの方が提出されてございます。
 議論の状況ですが,まずは,各国の法制や経験を共有し,目的と原理を議論すべきとする先進国側と,テキストベースの議論を進めるべきという途上国側で意見が対立しております。
 各国からは,11の個別のトピックごとに,提案に対する質疑応答や自国の法制の紹介がなされてございます。
 各国の提案が,会合の直前,又は会議中に出ましたので,引き続きトピックごとに,今年の2月末までにコメントを事務局に提出することとしまして,今回提出されたコメントとあわせ,仮の作業文書として,引き続き次回の会合において議論を継続することとされてございます。
 続きまして,視覚障害者に関する権利の制限と例外ですが,こちらの方は,米国,EU,中南米グループの共同提案という形でなされまして,それを議長提案文書という形で取り扱うこととなっております。その議長提案文書につき,このように今回,逐条ごとに提案及びコメントがなされてございます。それらの各国のコメント等を編集しまして,作業文書として採択されてございます。こちらを別紙3としてつけてございます。次回も引き続き,その提案,コメント等について議論して,最終化を目指すということになってございます。
 [3]としまして,放送機関の保護ということですが,こちらはSCCRの会期と並行して非公式会合がなされまして,非公式会合の議長が用意したペーパー,これは別紙4としてつけてございますが,こちらの主要論点につきまして議論を行っております。新条約とほかの条約との関係ですとか,シグナルベースでのアプローチの有用性,「放送」の定義,排他的許諾権と禁止権のどちらにすべきか,技術的保護手段の必要性等につきまして議論が行われてございます。こちらの結果はまだ出ていないのですが,報告としてまとめられる予定でございます。
 その非公式協議を受けまして,SCCRの本会合の方で引き続き議論がなされておりまして,その本会合中で,南アフリカとメキシコの共同提案というものが提案されております。こちらを,英文,原文の方を別紙5としてつけてございまして,簡単にポイントをまとめたものを別紙6としてつけてございます。
 別紙6につきまして,簡単に説明させていただきますと,2条のところで,「放送とは,音又は映像及び音を公衆に受信させるために,放送機関により信号を送信することを意味する旨を規定している」というふうにございまして,これは例えばWPPTとか既存の状況と比べますと,無線の方法に限定していないというところがあるかと思います。
 あとは,6条につきまして,放送機関の権利として,以下の許諾権ということで,選択肢のAと選択肢のBが規定されてございます。
 本紙に戻っていただきまして,こちらの方は,今回の結論文書の取りまとめの際に,南アフリカとメキシコの共同提案のみを今後の議論のベースとすべきというふうな意見が出たんですが,最終的には,これまでの提案,例えば日本が志向するSCCR15/2Revですとか,日本提案SCCR22/7といったものも含めまして,引き続き次回会合において議論することとされてございます。
 こちらの南アフリカとメキシコの共同提案に対しても会期の途中に出たものですので,今年の2月末までに各国がコメントを事務局に提出できるものとされてございます。
 次回,SCCRについては,本年の7月に開催されることとされてございます。
 次のページですが,結論の概要としては,図書館及びアーカイブについては,会議中に出たコメントを文書としまして,引き続き将来の作業の基礎で議論されることになってございます。
 視覚障害者に関する制限及び例外については,議長提案文書に対してコメント等を編集しまして,作業文書とされてございます。先ほど申し上げ忘れましたが,別紙2としてつけてございます。この文書を基礎として,引き続き議論を継続することとなってございます。
 放送機関の保護につきましては,引き続き次回の会合でも,2007年のマンデートに基づいて,シグナルベースのアプローチで,伝統的な放送機関と有線放送機関の保護をアップデートする条約の進展ということで議論を継続することとなっております。
 Annexということで,ワークプランというものを設定しております。
 第24回,次回のSCCRでは,2日間,放送機関の保護の議題に充てられてございます。
 以上が,WIPOでの議論の状況ですが,WIPO以外にも少し御報告させていただきたいと思います。
 まず,参考資料4で,ACTAについて,国際小委員会で定期的に御報告は差し上げているところではあると思うんですが,こちらの方が,昨年の10月に署名式が開催されまして,日本を含む8か国が署名を行ってございます。
 それと,参考資料5を御覧いただければと思います。昨年の11月にアヴィニヨン文化サミットというものが開催されておりまして,フランスのミッテラン文化大臣が開催を呼びかけたもので,関係国3機関のほか,19か国から文化担当大臣等が出席してございます。
 このサミットでは,インターネットと知的財産の執行についてということがテーマの1つとして挙げられて議論がされてございます。
 文化庁からは,近藤長官が出席しまして,著作権侵害の対応について,我が国の著作権法改正の状況を紹介するとともに,ACTAについての署名国の拡大の必要性について述べてございます。
 報告は以上でございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 議題は,WIPOだけではなく,「等」と書いてあるので,ACTAと文化サミットについての御説明がございました。主として,WIPOの話が中心かと思いますけれども,今の御説明では,伝統的文化表現については,動いてはいるけれども,条約にするのかそうでないのかも決まっていないということですね。International legal Instrumentという形でおさまっているけれども,それが何を意味するのかがまだ決まっていないということですね。
 それから,視聴覚実演については,条約の採択の外交会議を開きましょうということで,開催地も中国になり,今年の6月に開催されるということなので,これは相当に採択の見通しがついているのかどうか御説明いただきたいと思います。
 それから,制限と例外ですが,これはどういう見通しなのか,今の御説明ではいま一つよく分からなかったので,追加説明をいただけますか。
 それから,放送条約は前から御関心をお持ちの委員もいらっしゃるところですが,これも南アフリカとメキシコの共同提案,これが別紙5,6ですけれども,これでいけそうな見通しなのかどうか,そのあたりのことを,少し補足で御説明いただけますでしょうか。

【堀国際著作権専門官】 それでは,放送条約の,南アフリカとメキシコの提案について補足させていただきます。
 別紙6をごらんになっていただければと思います。我が国は,SCCR/15/2Revと日本提案のSCCR/22/7というものを志向しておりまして,これとの違いということになるかと思うんですが,大きく日本のスタンスとして違うといいますか,南アフリカの特色というところが,2条の定義のところで,放送の定義というところがポイントの1つになるかと思います。南アフリカの提案は,無線の方法に限定していないというところで,いわゆるウエブキャスティング,インターネット放送のようなものが入り得るとも解釈されるかと思います。
 ここの点については,南アフリカとメキシコで微妙に発言が違ったり,南アフリカが,この定義から更にインターネット放送を削除する予定であるというふうに発言していたり,放送の定義についてちょっとあいまいなところがありますので,ここについて,次回のSCCRまでにどういうスタンスであるのか確認が必要であると考えております。
 あと,6条の放送機関の権利というところですが,ここについて,従来,例えば日本提案に含まれているのは,放送機関に利用可能化権を与えるということは,従来から日本が主張しているところですが,南アフリカ提案を見ますと,Alternative AとB(Ⅰ)のところなんですが,放送信号の公衆への伝達ですとか,放送信号の公衆への送信というところでございまして,日本で言う公衆送信権みたいなものかと思いますが,ここについて,ちょっと検討が必要かなと考えてございます。そのあたりが大きなポイントかなと考えているところでございます。
 あと,幾つか細かいところで確認が必要なところもあると考えてございます。
 以上です。

【道垣内主査】 まずは,放送機関の保護について,特に御説明いただきましたけれども,何か委員の方々から御質問等ございますでしょうか。

【石井委員】 よろしいですか。放送機関の保護について?

【道垣内主査】 はい。それについてです。

【石井委員】 WIPOでのいろいろな御尽力,どうもありがとうございます。
 私は直接SCCRに参加しているわけではありませんが,出席者の話を聞きますと,アジアにおける最も先進国である日本が,いかにアジアをリードしていくか,まとめていくかということに対する,特にアジアの放送局,あるいはヨーロッパもそうですけれども,そういうところの期待感は大きなものがあるなというふうに私どもは感じております。
 その中で,質問としては,2月29日までに,たしかメキシコ,南アフリカ提案に対するコメントを出すということになっているということでございますけれども,これについては,どのようなコメントを出されるつもりか,あるいは,コメントを出すまでにどのような議論をされるおつもりかというのを,もし今の段階で決まっていたらお教えいただきたいのですが。

【堀国際著作権専門官】 放送条約ということで,関係する団体の皆様方に御意見を伺うということを考えてございます。また,この場で御議論いただければと考えてございます。

【道垣内主査】 具体的に何か御意見等ございますでしょうか。

【石井委員】 私どもとしては,この数年間で放送といいますか,ネットを含めた通信手段というものの発達はすごいものがありまして,放送と通信の連携というものはどんどん進んできたというふうに考えております。
 例えばNHK,特に国際発信については,海外におけるインターネットでの伝達というものが放送と同時に非常に重要な手段になってきておりますし,国内においても,NHKオンデマンドですとか,最近ですとラジオ放送のネットでの同時再送信を開始したところであります。
 一方で,まねきTVに見られるように,放送番組の無断利用行為,ネットでのアップロード,動画共有サイトも含めてですけども,ますますいろいろな手段が出てきているところでありますので,是非そういうものにも対応できるような条約,国際的な統一したルールというのがこれから必要になってくるのではないかなと考えておりますので,是非そういうものに対応できる条約をつくり上げていきたいと考えておりますので,よろしくお願いします。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 この南アフリカ・メキシコ共同提案は,無線の方法には限定しないということなので,この方向はよいということでしょうか。
 それから,私からも御質問になるかもしれませんが,放送前の信号の保護という話が前からありましたが,南アフリカ提案の日本語版ですとよく分かりません。このあたりのことは今のこのペーパーですとどういう扱いなのですか。

【堀国際著作権専門官】 放送前の信号の保護というところは,例えばAlternative B(iii)が関係してきます。

【道垣内主査】 そこは入ってますね。

【堀国際著作権専門官】 放送信号とはまた区別して,放送前信号を保護するということを,Alternative AでもBでもうたってございます。

【道垣内主査】 そうですね。わかりました。
 そのほか何かございますでしょうか。どうぞ。

【笹(ささ)尾委員】 よろしいでしょうか。脚注のところにあります,いわゆる送信手段として無線の方法に限定せず,あらゆるプラットフォームが含まれるとも解されるというような部分が,実は各国それぞれの意見,提案というところで非常に複雑に絡み合ってしまっているような印象を受けております。そんな中で,文化庁の方々,非常に御苦労かけているなと思うんです。
 先ほど御説明の中でも,ウエブキャスティングみたいなお話もちょっとございましたけれども,そういう用語に関しても,例えば私ども放送事業者の中では,例えばサイマルキャスティングであるとか,ウエブキャスティングであるとか,いろいろな差異があるということは考えたりしているのですが,その辺,この場にふさわしい言い方をすれば,国内法との関係とかもろもろの問題もはらんでいると思われますので,今回の南アフリカ・メキシコ共同提案というものがどういう性格のものになっていくのか。まだまだ確定もされていないのではないかというお話もありましたが,その辺を慎重に見据えていく必要があるんだろうなと思っております。
 よろしくお願いします。

【道垣内主査】 ありがとうございます。
 そのほか。どうぞ。

【野口委員】 質問というか確認になるんですけれども,放送が無線の方法に限定せず,例えばインターネット放送も含まれるというのは,要するに,個人のウエブキャスティングをしているような方も放送機関の定義に含まれ得るという理解で正しいでしょうか。

【堀国際著作権専門官】 そこも実は確認が必要な点というふうに考えているんですけれども,南アフリカ提案の2条の定義のdですが,放送機関とは,放送信号に含まれるすべてのものを公衆に放送行為するために,番組コンテンツをまとめ,収集,編成する法人というようになっております。法人とありますので,個人は含まれないかと思いますが,この規定ですと,bにインターネット放送,ウエブキャスティングのようなものが含まれるということになりますと,いわゆる伝統的な放送機関以外のようなものも連動して含まれる可能性はあるというふうに思います。
 ただ,南アフリカの提案者の議場での説明は,伝統的な放送機関に限るというふうに説明しているところもございまして,そこはちょっとよくわからないところがありますので,次回のSCCRか2月29日のコメントにおいて確認する必要があると考えてございます。

【野口委員】 この点も文化庁さんの方で,このように例えば入れるべき,入れないべきというような御意見は,今のところお持ちでいらっしゃるんでしょうか。

【佐藤国際課長】 一応,これまでのここの小委員会の議論ですと,伝統的な放送機関の保護というのがベースとする対処方針にしたがって対処しておりますので,ウエブキャスティングの話は,別途,次の時点で議論すべきだという主張を今のところしています。また,会合途中で急に提案された南ア提案をベースに1つの条約テキスト案を策定すべきという意見が出てきている中で,我が国のこれまでの対処方針にしたがった立場がしっかり反映されるように,今後対応していく必要があると思っております。

【道垣内主査】 確かにこれまでの対処方針は,あんまりふろしきを広げないで,保護すべきところはしっかり確保した上で,次のステップで新しい技術に対応しようということであったかと思います。しかし,放送に関係されている委員の方々の御意見では,もっと積極的に,伝統的な放送に限らないところまで広げようというようにも聞こえましたけれども,それはそうなんですか。

【石井委員】 私どもの立場から言いますと,放送機関としては,少なくとも伝統的な放送機関が対象であるというところでよろしいんですけれども,問題としては,手段として,伝統的な伝達方法,すなわち無線による放送に限られるものかどうかという議論はあるのかと思います。それは例えば放送局が,これは日本だけじゃない,世界どこでもそうですけれども,放送と同時にネットでも流す,特にそれは海外発信においてどこの国でもやっていることですけれども,そういうものを含めて,放送局及びそれにかかわる権利者の方々の保護を適切に行う,そして,各国におけるコンテンツ流通の秩序を適切に保つのはどういう方法が一番いいのかというところは議論があっていいんじゃないかなというふうに思っているところです。

【道垣内主査】 わかりました。
 どうぞ,追加で。

【笹(ささ)尾委員】 民放の立場というんでしょうか,何というんでしょうか,それこそテレビにネットの線が結ばれて,スマートテレビも急激に普及してきていますけれども,その中で,いろいろとこれまでの伝統的なやり方,無線だけであるということに関しては,実際に技術面でいろいろなものが変わっていくという時期に差しかかってしまったということは十二分に理解しておりますが,今の石井委員のお話にもありましたように,この手の話というのは,いわゆる権利者の方々にとっても,非常にインパクトの強いお話にもなってくるかと思います。日本の今整備していただいている法律の中で,どういうふうにこれを運営できるのか,どういうふうに解釈がなるのかというのは,非常にまた難しい問題だと思っております。
 そういう意味では,ステップ・バイ・ステップということで,慎重な検討というのが必要かなと。若干ニュアンスが違うところが伝わったかなというふうに思うんですが,そう思っております。

【道垣内主査】 わかりました。保護の客体は伝統的な機関とし,そこがする新しい方法は保護してほしいという御主旨でしょうか。

【石井委員】 はい。客体については,少なくとも伝統的な放送事業者は含まれるべきということで,その他のものをどこまで含めるかというのは,これは当然議論があるところであります。例えば放送法の改正議論のところで,どこまでが放送かという議論があったのと同じことだと思います。
 ただ,私ども伝統的な放送事業者としては,少なくとも伝統的な放送事業者が入ればということになるかと思います。
 今の笹(ささ)尾委員がおっしゃったように,確かに難しい問題はある。それは私も重々承知しておりますが,だからといって,いつまでも避けて通ることはできないだろうなというのは,私の感想も含めてでございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 そのほか何かございますでしょうか。ほかの条約についてでも結構です。先ほどちょっと伺ったように,フォークロアに関連してですが,リーガル・インストルメントというもので最終的に決着した例はWIPOとしてはあるのでしょうか。ほかの国際機関ですと,モデル法とか,ソフトロー系のものが最近はございますけれども,そのような決着の仕方も今後あり得るということでしょうか。

【佐藤国際課長】 そこは,途上国と先進国で分かれていまして,当然,先進国は法的拘束力を持たないような文書にするべきだというのと,持つべきだという途上国側の主張で,どういう形で進んでいくかというところになろうかと思います。
 今回,ファシリテーターの方が,後でまたウエブ上で見ていただくとわかりやすいんですけれども,先進国の意見と途上国の意見に2つに分けて整理をしたような文書にまとめましたので,ブラケットがいろいろあった中をまとめましたので,ほかの伝統的表現とか伝統的知識よりは,先進国と途上国のそれぞれのポジションにそった方で整理がなされたかなと思います。あと,今回,IGCは常設委員会ではなくて,政府間委員会で2年ごとにマンデートを更新していくものですから,議論が次の委員会のマンデートをどうしようかというマンデート論に集中するような傾向がありましたので,来年度議論が活発化していくかなというふうにちょっと思います。
 以上,つけ加えさせていただきました。

【道垣内主査】 前田委員,どうぞ。

【前田委員】 資料1の2ページ目の一番上のところに書いていただいております,視聴覚実演の保護に関して,我が国の著作権法は,視聴覚的実演の保護に関する条約案と整合的であると理解している旨の発言を行い,他国から特段の異議表明もなく,総会の議事録へ記録されたということなんですが,具体的に総会の議事録が今配付していただいてないようなんですけれども,どういう形で記載がなされているのでしょうか。

【堀国際著作権専門官】  追加して,議事録のコピーを配らせていただきます。

【道垣内主査】 山本委員,いかがでしょうか。

【山本委員】 2つありまして,1つは質問なんですが,先ほど主査の方から御発言がありましたところと重複しちゃうんですけれども,フォークロアの関係で,国際法的文書,International legal Instrumentはどういうものかという話なんです。法的拘束力を持たせるべきかどうかの議論があると承っているんですけれども,この前の段落のところを見ると,現在議論されている国際法的文書を2012年の9月予定の総会に提出すべくとかって書いてありますので,法的拘束力を持ってるものを国際法的文書というように理解してたんですが,そうではなしに,法的拘束力のない国際法的文書というのは存在して,それがこの前の段落で9月に出されるとかいうふうにも読めるんです。つまり,法的拘束力のない国際法的文書というのは存在するのかどうか。あるとしたら,それはどういうものなのか,ちょっと教えていただきたいと思います。

【佐藤国際課長】 一応議論の中ですと,先ほど道垣内主査がおっしゃいましたように,「International Legal Instrument」は,レコメンデーションとかモデルローとかソフトローとかいう法定拘束力がない形式と条約のいずれかを意味すると解されています。前者は,先進国が選好しております。

【山本委員】 ありがとうございます。もう1点よろしいでしょうか。

【道垣内主査】 はい。

【山本委員】 放送条約との関係なんですけども,この放送条約,放送機関の保護に関するところなんですが,これはもう,かなり前からここで話を伺っていまして,長い長いお話だと思うんです。それから思いますと,先ほど事務局の方から御説明があったように,日本の立場としては,伝統的な放送機関を前提にして主張されているというポジションだったと思うんですけれども,過去の古い古いところから,今はかなり状況も変わってきていて,放送局もインターネットでいろんな形で流したりとか,利害関係が,当初議論したときと全く変わっちゃっていて,そこから議論し直す必要があるんじゃないかというふうに思います。ちょっと検討していただきたいなと。
 そもそも伝統的な放送機関というのは,電波に限りがあるというところで,公共的な関係が強いというところから,ほかの情報発信機関とは違うというところはあると思うんですけれども,結局,その関係とは必ずしも関係なく,放送されるコンテンツがどういうふうに保護するかという問題なので,媒体は無線であろうとケーブルであろうと,あるいはインターネットであろうと流されるものは同じで,インターネットだってテレビで流されるものと同じような形で結局は流されるので,あんまり媒体で区別する必要が今はなくなってきているんじゃないかと。ということから言うと,伝統的な放送機関の放送信号に限定するような考え方というのは,あんまり現実的じゃ……,論理的でもないし,今の現実からいっても,それはちょっと非現実的,不合理になってきているんじゃないかと思います。ですから,ちょっと再検討の余地があるんじゃないかというふうに私は思います。

【佐藤国際課長】 今の先生の御指摘の点なんですけれども,資料1の3ページのSCCR本会合という,丸3の下から2番目の丸ですが,一応,今のWIPOでの議論は,2007年WIPO総会のマンデートに基づくシグナルベースでのアプローチで議論を継続することとされたということで,ここのマンデートの読み方が,伝統的な放送機関の保護を目的とした条約をどうつくるかということと,シグナルベースというのは,要するにコンテンツを保護するため,隣接権ですので,著作物というより,信号の送信を保護するということのアプローチで,そういう対象と目的と権利をどう与えていこうかと,そういう議論で議論を進めていこうというのが今の流れです。その流れから言うと,放送機関以外の「Webcaster」に対象を広げるかどうかというところまでは,このWIPOの議場の中では,アジェンダにもまだ出てきていない状況でございます。今はその伝統的な放送機関で,シグナルベースで議論していこうと。そこをどこまで保護の対象に広げようとするかというのが議論の中心になっているというふうに理解していただければと思います。

【山本委員】 了解しました。総会でのマンデートがそうだというところからだということで理解しました。
 ただ,日本のポジションとして,それに限定するとかっていうのは,必ずしもとる必要はないと思いますが,理解しました。ありがとうございました。

【道垣内主査】 次の議事もありますので,手短にお願いします。

【大楽主査代理】 手短に。図書館及びアーカイブに関する権利の制限と例外というところは新規の議題なんですけれども,基本的なスタンスを教えていただけますか。

【堀国際著作権専門官】 基本的には,各国の著作権における権利の制限については,もちろんベルヌ条約でスリーステップテストの枠内で各国がやっているとは思うんですが,権利の制限と例外につきましては,各国それぞれの文化的なものもありますし,産業的なものもありますし,各国でいろいろそれぞれの国の事情がありますので,それらの国の事情に応じて柔軟に対応できるような形で行っていけばよいのではないかというところを考えてございます。

【大楽主査代理】 目的と原理を議論すべきというのと,テキストベースでという,よくある対立の芽が見えておりますので,例えば目的と原理の議論という場面に至ったときに,どういうスタンスをおとりになるつもりなのかなということをお聞きしたかった。

【堀国際著作権専門官】 アメリカが今回のペーパーで,図書館及びアーカイブの例外,保存,研究及び人材開発の支援,あと納本制度,その他一般原則ということで挙げてございまして,日本政府としても,それに対抗する軸を今検討中という形でございます。

【大楽主査代理】 これからいろんな提案が出てくるのを考えながらということですか。

【堀国際著作権専門官】 今回,最初に出てきたものがありますので,それらを検討しつつということです。

【大楽主査代理】 わかりました。

【佐藤国際課長】 一応,図書館とアーカイブスと,次回は教育研究機関に関する例外ということで,それをどういう議論をしていくかというところもまだ定まってない感じがありまして,いきなり条約テキストベースの議論をすると,もう条約化することが予断される感じになるので,まず各国の経験から共有していったらどうかというのが先進国の主張で,その間で目的と原則という議論を深めるべきじゃないかという形で米国が提案してきたものと思いますので,そこについては今後よく検討していきたいと思います。

【道垣内主査】 今,視聴覚実演の条約の議事録が配付されましたけれども,今日はゲストの方にもいらっしゃっていただいていますので,そこに戻るのはまた後からにさせていただきまして,議題の2に移らせていただいてよろしゅうございますか。
 では,議題の2番目,海外における著作権侵害に係るヒアリングでございます。これにつきまして,まずは御発表いただいた上で,質疑応答,自由討議ということにさせていただきたいと思います。
 事務局から,ヒアリングで伺いたいポイントと発表の方の御紹介をお願いいたします。

【都築海賊版対策専門官】 引き続き事務局から説明させていただきます。お手元にお配りしました資料2に基づきまして御説明させていただきます。
 資料2-2及び2-3は,本日ヒアリングをさせていただきます団体の方から御用意させていただいた資料でございますので,この後の各団体からのヒアリングの際に,各自で御参照いただければと思います。
 資料2-1で,本日のヒアリングの趣旨等の御説明をさせていただきます。
 昨年,本小委員会におきまして,海外におきますインターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応を御検討いただきまして,そこで各権利者の方からのヒアリングに基づきまして,海外におきます著作権の侵害の状況及びそれに対する各権利者ごとの対応につきまして,それぞれお聞かせいただきまして,小委員会において御議論いただき,今回の小委員会の御報告をまとめていただいているところでございます。
 そこにおきまして,課題といたしましては,やはり引き続き政府間の協議の中で,こうした著作権の侵害実態に対して適切な対応をとるように我々は働きかける必要がありますし,対象国についても,いろんな形で拡充をするようなことも検討する必要があると御提言いただきましたし,また,権利者単独で様々な対応をしていただいておりますが,個別の対応というのは,海外の権利執行の場合,経費の問題もございますし,体制の問題もございますので,非常に難しいと。こうした体制の強化と,それに対する成果の支援についても引き続き検討を重ねていくべきであると,そのような御提言を頂いておりますので,本年度につきましては,私ども権利者の団体の方から,団体としてとり得る様々な対応,また現在とっております対策をお伺いいたしました。その結果といたしまして,私どもとしましては,今,効果的な海外での権利の執行を行っている団体といたしまして,本日2団体,音楽に関するコンテンツの業界といたしまして,一般社団日本レコード協会,そして,その他のコンテンツを社員の方にかわりまして権利執行されております,一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構の2団体からそれぞれお話をお伺いしたいと考えております。
 ヒアリングの事項は,お手元にお配りしました資料の中で二重丸で示させていただいたところでございまして,各団体の方々には,これらの事項につきまして,現在の各団体の対応及び海外でのコンテンツの侵害状況等について御説明いただく予定でおります。
 事務局から,まず本日のヒアリングの説明,以上でございます。

【道垣内主査】 では,まずは,一般社団法人日本レコード協会法務部副部長の楠(くす)本さんに,資料2-2に基づきまして御説明を頂きたいと思います。約10分と短い予定でございますけれども,よろしくお願いいたします。

【日本レコード協会(楠(くす)本)】 レコード協会の楠(くす)本でございます。本日はこのような機会を設けていただきまして,まことにありがとうございます。
 それでは,お手元の資料2-2に従いまして,簡単にまずは御説明の方から申し上げたいと思います。
 最初の2ページ目のところですが,我々レコード協会の概要が書いてございます。現在,59社,日本のレコード会社が加盟しているレコード業界の産業団体であるということでございます。
 主な事業ですが,ちょっと順序はばらばらになりますが,二次使用料及び貸しレコード報酬の徴収・分配業務,あるいは音楽CD等の需要拡大,それから,レコードに関する調査・統計業務といったものに加えて,本日お話しさせていただきます違法対策というところを主な業務として活動を行っております。
 それでは,めくっていただきまして,3ページですが,私どもは業界団体でございますので,直接の売上げ,ビジネスということではございませんが,会員社の産業規模というところを簡単に御紹介したいと思います。
 まず,3ページ目が日本の音楽ソフト市場ですが,こちら,10年分が表記されておりますが,ピークは1998年の6,000億円強というのがピークでございます。昨年,2010年ですが,3,696億円ということですから,半分までは来ておりませんが,こういった状況になっておるというのが現状でございます。
 また,カレンダーイヤーですので,2011年度がしまって,本日,15:00ですがプレスリリースを行いましたので,新しい数字の方も御紹介したいと思います。
 まず,ブルーの部分,オーディオ,いわゆるCDの売上げ等に相当するのですが,こちらの方が,約2,117億円です。それから,緑色,音楽ビデオの部分になりますが,こちらが702億円ということになっております。前年比ですが,まずトータルの前年比といいますと,99%ですので,グラフの右肩下がりを見ていただきますと,若干下げ止まったと言っていいのか悪いのかというところでございます。
 なお,音楽配信の方は,データ集計に1か月強かかりますので,まだ,カレンダーイヤーでしまってございませんが,赤で示しておりますところですけど,昨年初めて右肩下がりを示しております。2011年の状況ですが,更に悪化しているということだけは,この場で申し上げざるを得ないなというところでございます。
 ページ飛びまして,5ページの方をお願いいたします。こちらが,世界の音楽ソフト市場における日本のポジションを図式化したものでございます。こちらもカレンダーで言います2010年の図ですが,2011年,もう昨年になりますが,上期においては,日本はアメリカを抜いてトップに上期の時点では立ったというデータを集計しております。まだ,カレンダーイヤーで各国のものが出そろっておりませんので,2011年において最終的にどうなったかという数字までは確定してございませんが,上期の時点では,一時的ですが,日本はアメリカを抜いてトップに立っているというところでございます。
 次に,いよいよ本日のお話のメーンとなります違法対策,侵害対策といったところでございますが,6ページになります。私どもレコード協会が行っております主な対策として幾つか掲げてございます。まずは,法的措置というところです。この法的措置の中には,本日詳細に御説明します削除要請というところが入ってございます。また,技術的対策というところでは,違法サイトのフィルタリングですとか,クローリング技術の共同開発,そういったところへも業務範囲をひろげて活動しております。また,正規の配信サイトにはエルマークというものを張っていただくことによって,ユーザーが,ここのサイトは安全なサイト,正規サイトなのだということを認識していただけるようにするといった活動も行っております。あと,広報・啓発活動といったところで,国内になりますが,ユーザー,消費者の皆様に著作権の啓もう・啓発といった観点でアプローチをさせていただいております。
 めくっていただきまして,権利侵害の実態の類型というところで図式化してございます。左側の違法なアップロードという枠の中がインターネット上とお考えいただきたいと思います。また,右側が伝統的なといいますか,古典的な,いわゆる海賊版ソフト,バッタ物と俗な言葉で言われているもののところでございます。右側については,昨今,特に諸外国においては,パッケージ品というものの数が減ってきてございますので,それに合わせて海賊版,いわゆる偽物というものの数も諸外国では減ってきているのが現状です。国内においても,その傾向はあるかと思います。ただし,限定版,特に昨年度ですと,ビートルズですとか,国内ですとAKBさんですとか,高額のCD及びDVDというのが発売されると,それはもう瞬時に海賊版というのができ上がり,流通するというのが実態であるというのを申し添えたいと思います。
 本日は,CODAさんがこの後いらっしゃっておりますので,私どもの方は,アップロード,音楽あるいは音楽ビデオに関するインターネット上の侵害関係のお話を中心にさせていただきたいと思います。
 続いて8ページです。こちらが昨年の春先になりますが,違法ダウンロードの実態調査というものを行い,インターネット上にどれぐらいの違法ファイルがあり,それがダウンロードされているかというのを推計したものでございます。それぞれ真ん中あたりにございますが,P2Pファイル共有ソフトを使った違法ダウンロードのボリューム感,同様に動画サイト,PCストレージサイト,あるいは携帯サイトといったような調査で調べさせていただいたところ,真ん中右側になりますが,あくまでも推計ということでございますけども,43.6億ファイルもの違法なダウンロードが1年間に行われているであろうということを推計させていただいております。
 約10倍と書いてある数字ですが,正規の音楽配信,いわゆる携帯向けに着うたフル等の販売実績のファイル等の比較ですと,約10倍の数字になると推計しております。金額に換算させていただきますと,こちらも推計ではございますが,6,683億円と。正規の音楽配信の約8倍に相当するといった実態があるというふうな発表を昨年春先にさせていただいたところでございます。
 次のページをお願いします。現在,インターネットの世界は,私どもがお話しするまでもなく,日本国内に限られたものではないというのは皆様にとっても既に御承知のことかと思います。世界中には主要サイトがございまして,1つ1つ読み上げはしませんが,アメリカのYouTubeをはじめとし,各種サイトがございます。
 すいません。ここで1つだけ,WTO非加盟,加盟というところで色分けしてございますが,ロシアですが,昨年12月の中ごろに閣僚会議での加盟が承認される,されたといった報道等ございましたので,現時点では非加盟かなと思いまして黒くしてございますが,そういったところがございますというところを注意しておいていただければと思います。
 戻ります。今,主要サイト,インターネットサイトですが,中国におけるサイトの数というのが,非常に出し入れが激しいというのが昨今の特徴ではないかと思われます。昨年,中国なんかの方々とお話ししていますと,300ぐらいあるんだけども,当然,生き延びていけないから,出たり入ったり,いわゆる生まれたり死んだりといったことを繰り返しているということを中国の中の方々が言っております。こういった世界中のサイトに対して,我々はアップロードされた無許諾の音楽コンテンツ,音源ですとかビデオクリップ等の削除を要請しているという活動を行っております。
 次のページが,これまでの数字的なボリューム感を見ていただこうと思いまして,抜粋したものを表にして持ってまいりました。海外への削除要請というのは,2009年ぐらいから本格的に始めてございますが,一番上の段が,最も古くから先月,昨年12月まで削除要請をし続けた結果でありまして,一番上を見ていただきますと,やはり一番多いのは,先ほど名前も出ましたが,アメリカのYouTubeということになります。ただし,削除要請いたしますと,ちょっと削除件数という表現は正しくないのですが,削除要請件数に対して,削除済み,いわゆる応じてくれた件数というふうに見ていただけますでしょうか。やはりYouTubeをはじめとして,欧米のサイトというのは,その後の訴訟リスク等を考え,削除率というのはおおむね高いというふうに御理解いただければと思います。
 一方で,中段以降にアジア系のサイトが幾つか出てまいりますが,中でも削除率が極めて極端に低いサイト等が含まれているというのが現状です。ただし,ちょっと名前を挙げてしまいまして恐縮なんですが,中段の表の左側の上から2番目,Tudou,今年の10月ぐらいから中国語で削除要請をするようになったところ,急激な削除の改善というんですか,大幅な改善が図れたということがございます。それまでは,どちらかというと英文で出していたわけですが,無視という状態であったということです。
 同じく右側の,何と発音して(読んで)いいのかわかりませんが,6cnというところも同様です。言語を変えることによって,大幅に改善したという特徴がございました。
 ここに載っていない,もう少しボリュームが小さいサイトも幾つかございますが,実は先週,中国の方へ出張してまいりまして,ここに載せていない,最近立ち上がってきた新鋭のサイトへも訪問してまいったのですが,やはりおおむね意識としては,あまりないといいますか,高くないというのが現状だと思います。
 中国は御承知のとおり,検閲,いわゆるインターネット上にアップロードされたコンテンツの審査というものを各サイトは行っています。それはおおむね中国政府を批判するものですとか,そこでは出ませんでしたが,ポルノ系,いわゆるそういったものは検閲をしているものと思われます。ユーザーがアップロードしてから2時間は表に出ないと言っておりましたので,その2時間が勝負だと言っておりました。
 我々の削除要請もそういった部隊の中で,本来であればやってもらっているはずですが,なかなかそこまで手が回っていないというのが現状であるというお話も幾つかのサイトから聞いてきたところではございます。
 めくっていただきますと,中国は特徴的な手続ですので御紹介させていただきます。通常,YouTubeをはじめとし,私どもレコード協会会員社の権利を持つコンテンツが権利者に無断でアップロードされている場合には,それらのURLを特定し,Eメールにて削除要請を行っております。しかしながら,中国においては,ここに載せておりますとおり,おまえはだれなんだとか,だれの許可を得てそういうものを送ってくるんだとかいった,そういった一連の証明といいますか,これらが必要になっているというところでございます。
 幸いなことに,私どもは丸2番のところですが,国家版権局から認証というものを受けておりまして,中国国内でCDあるいはDVDを発売するときに,版権局の認証を受けたレコード協会が,例えばエイベックスさん,ソニーさんといった会社から出すCDは正規品ですよということの認証をさせていただいていけるという証書をもらっていますので,こちらを添付することによって,中国のサイト側へ,権利者じゃないんだけども,レコード協会からの要請なんだけども,削除に応じてくださいねといったようなスキームになっているというふうに御理解いただければと思います。
 これは,しかしながら,中国だけでございまして,ほかの欧米はじめ,国内のサイトにはEメールで,日本語あるいは英語等で送ることによって応じていただいているというところで,そういった差はあるという御紹介でございます。
 お時間限られておりますので,もう一つ,ストレージサービスというのが12ページで紹介しております。こちらは御承知のとおり,サーバーにためて,そちらに誘導したりすることによって,侵害コンテンツにアクセスするようなサービスでございますが,これを載せましたのは,この当時はパソコン経由でしたけど,今は皆さん御存じのスマートフォンからアプリケーションに基づいて,こういったストレージへ簡単に,いわゆる無料のコンテンツへのアプローチが非常に容易になっているというところで,ストレージサービスの例を載せさせていただいております。
 パソコンの段階では,真ん中右側にございますが,Megauploadとは香港でございますが,それ以外,やはり欧米の国にサーバーを設置したり,運営会社があったりというところが中心ではございましたが,現在,スマートフォン調査を加速してやっておりますが,ストレージサイトの置場,かなり中国に集中しているという一次調査結果が出ております。今回の訪中でも,そういったところへの連絡等のやり方含め,サイト側に要請してまいりましたが,この後,サイト側がすんなりストレージの運営会社との間を取り持ってくれるかどうかというのはまだわかりませんが,中国の方にかなりサーバーが置かれているという実態も,ここで御紹介できるかなと思います。
 本日のヒアリング事項の最後の方になるかと思いますが,要望含めというところでございますが,日本でもTPPへ参加する,しないのお話が出ているかと思いますが,そちらに関する情報としましては,私どもは一応,国際レコード産業というところの日本支部という位置づけでございまして,アメリカの方の情報等を聞いておりますと,アメリカ政府から業界団体に対しては,日本とTPP交渉するなら,どんなところを求めるんだというアンケート等が出ているということも伺っております。当然そこには,こちらでもよく出てくるような項目がアメリカのレコード産業や映画産業,そういったコンテンツサイドからは交渉要素として回答がなされるんであろうと,容易に想像がつくかなと思われます。
 すいません。長くなってしまいましたが,以上でございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。要領よくまとめていただきました。
 それでは,今の御発表につきまして,委員の方々から御意見,御質問等ございますでしょうか。
 どうぞ。

【山本委員】 2点質問させていただきます。
 1つは,興味深いお話を聞かせていただいたんですが,この中国サイトに対する削除要請書類を見せていただきまして,これは結局,削除要請する場合には,レコード協会の名前で削除要請するのか,個々の権利者であるレコード会社の名前でやるのか,どちらなのかというのは,1点質問です。
 もう1点は,どういうところにサイトがあるのかというのは出していただいているんですけども,欧米であったり中国であったり,削除の実績なんかもデータ頂いているんですが,結構過半数で削除ができてるということから考えると,削除されないようにしようというふうに,違法にアップロードする側から考えた場合には,欧米であるとか中国であるとか,今挙げていただいたところでやると削除されてしまうと。だから,削除されないようにするためには,それ以外の法整備があまり整っていないところを選んで,しかし,インターネットサービスは,世界中,結構普及していると思うので,これは想像だけなんですけれども,そういったところにどんどん移っていくんじゃないのかなというのを懸念するんですが,そういう実態はあるのかどうか,その2点をお願いします。

【日本レコード協会(楠(くす)本)】 わかりました。
 まず,新鮮な方の2番目の方からお答えしたいと思います。先生おっしゃるとおりでございまして,うるさくないサイト,いわゆる全く削除要請に応じないサイト,そういったところに集中しているような実態でございます。また,サーバー容量の大きいサイト,あるいは高品質,高画質をうたっているサイト,そういったところに集中しているというのもございます。また,言葉があまり,私が使っていいのかわかりませんが,非加盟国相当の,いわゆるあまりWTOの協議に応じたりとか,そういった国際的なルールに基づいている活動ができていないであろう国に置かれているという状況は,おっしゃるとおりでございます。
 そういったところへは,どんなコンタクトをとろうがとるまいが,全くなしのつぶてというのは実態でございまして,そこのサイトを書くことの是非は,ちょっと議論があったんですが,今回は置いてきているというのが正直なところでございます。
 戻りまして,最初の方の御質問ですが,レコード協会がやるか,あるいは会員社がやるかというところの違いは,後ろから2枚目のスライドの丸2番があるかないかということになってまいります。まず,私どもがやる場合には,実際の権利者であるレコード会社にかわって,丸2番を出すことによって代理でやっているんだということを示しております。会員社が直接やる場合には,この丸2番相当がなく,ほかの書類を出すことによって,自分たちの登記簿謄本,あるいはそれの中国語訳,こういったものを出すことで,会員社も直接,すなわち会員社とレコード協会の両方からアプローチしております。
 といいますのは,やはりレコード協会もシステム等を回したり,あるいはキーワード検索等ですべてのサイトをやってはおりますが,素材,いわゆる1つのDVD等をシステムに登録して,それをフィンガープリントでやったりということで,容量等の制限により全部はできませんので,会員社個社で人を割いていただいて,多い社では十数名,少ない社でも3名から,それ前後というところの人が,自分の所属する会社のアーティストであったり,タイトル等をインターネットで検索することによって,許諾を出してないコンテンツを見つけ,削除要請していると,そういったことも並行してやっております。

【山本委員】 ありがとうございました。

【道垣内主査】 そのほか何かございませんでしょうか。
 私から質問が1点です。そのような削除要請をするのに,1件当たり何分とか,あるいはコストが幾らとか,それはどのくらいの相場観なのでしょうか。

【日本レコード協会(楠(くす)本)】 一概に何円というのは,出してなくはないんですが,なかなか言いづらいところがございますが,やはり1つのものを,音楽ビデオ等を見つけて,一応目視を人間がして,確かにこれはCD音源であろうとかビデオクリップだろうとかを確認しております。やはり人間の目を最終的には通しておりますので,機械で1回だあっと候補が出てまいりまして,それを1個ずつクリックしてURLへ飛んで,人間の目で見るという作業をしておりますので,御想像いただければ,相当な工数及び費用が掛かっているいるということだけは間違いございません。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 よろしゅうございますでしょうか。

【道垣内主査】 よろしゅうございますでしょうか。
 今日はどうもありがとうございました。

【日本レコード協会(楠(くす)本)】 ありがとうございました。

【道垣内主査】 それでは,引き続きまして,CODA専務理事事務局長の永野様から御説明をお願いします。資料2-3に基づきまして,よろしくお願いいたします。

【CODA(永野)】 よろしくお願いいたします。コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の常務理事をやっております永野と申します。本日は貴重なお時間をちょうだいしまして,大変ありがとうございます。
 レコード協会様の方から,国内における対応及び海外でのネットというお話をちょうだいしましたが,当機構は,名前にございますように,海外での対応をメーンにしているところでございます。
 まず,資料2-3,1ページめくっていただきまして2ページ,3ページ,4ページと当機構の概略をまずお話しさせていただきたいと思います。
 当機構は,2002年の8月に経済産業省様及び文化庁様の呼びかけによりまして,任意の団体として設立をいたしました。
 目的としましては,音楽,映画,アニメ,放送番組,ゲームなど日本コンテンツ産業の海外展開を促進すること,並びにコンテンツ産業が一致協力し,海外における海賊版対策を講じることを目的とするということで立ち上がっております。
 今年の1月1日現在でございますが,企業会員という形で29社,音楽のコンテンツ,映画のコンテンツ,アニメーション,出版,放送プログラムと多岐にわたるコンテンツの権利者の皆様に企業会員として御参画をちょうだいしております。
 ページをめくっていただきまして4ページ目に,団体会員11団体,この団体会員の皆様も,広く日本のコンテンツに携わる会員の皆様でございます。及び,賛助会員という形で6社・団体に御入会を頂いております。
 名前にもございますように,海外での流通促進をメーンとしてつくられた団体ではございますが,調査,研究をしていく中で,どうしても正規流通の壁となるものが違法侵害物という壁にどうしてもぶつかってしまうというところで,現在,CODAとしての事業の柱でございますが,5ページ目に記載しておりますように,1から4までございます。大きくは侵害対策,取締り機関との連携,国内外の政府機関や関連団体との連携,最後に啓発活動と,一般消費者向けのイベント等を開催しながら,広く知財保護というところを訴えていきたいというところでございます。
 6ページ目以降が,それぞれの部分についての具体的な事例になります。
 まず,侵害対策の1つとしまして,CJマーク事業というものをCODAで行っております。これは,各国で著作権侵害ということでやる場合には,個別権利者の皆様が具体的なアクションを起こすということが求められますが,このCJマークという団体商標をCODAで商標権者として取るということで,広く会員の皆様に,今9類から16,28類,41類で登録地域7地域において,もう登録は済んでおりますが,こういうところでビジネスを展開する際に,このCJマークをつけていただくことによって,CJマークの商標権侵害がある場合には,CODAが自ら商標権者としてアクションを起こせるというところで,著作権侵害と商標権侵害とダブルで事件化を明確にやろうというところでやっております。
 また,実際にエンフォースメントした成果でございますが,2005年の1月から2011年の3月までの類型になりますが,とにかく海賊版が生産されて,なおかつ消費されている地域というところで,中国,香港,台湾という3地域にもスポットを当てまして,2005年からやっておりまして,現在のところ,6,200万枚強の押収をしているという実績をつくり出しております。
 あわせまして,この取締り実績の成果をより深めるために,8ページ目にございますが,トレーニングセミナーというものも2005年から行っております。このトレーニングセミナーは,文化庁様の受託事業という形で御支援をちょうだいしておりますが,2005年から始めて2010年度の事業のところまでで,ここも中国,香港,台湾でございますが,開催地19か所,参加人数延べ4,187名ということで,実際に各地で取締りをやっていただいている方々にトレーニングセミナーを実施し,海賊版の取締り成果に結びつけるということをやっていただいております。
 一方,海賊版は若干は減っておりますが,それに反比例するように,インターネットの侵害というものが非常に目に余るものがございます。先ほどレコード協会の方からもお話がございましたように,現況,このインターネットの侵害については,各権利者が自ら違法コンテンツを特定し,メール等で削除依頼をするというアクションを起こしておりますが,サイトによっては,特に東アジアを中心に全くアクションを起こさないところもあるというところで,CODAでそれを何とか支援できないかということで,2009年度からサポートするべく,インターネット上の侵害対策というものを始めております。
 2009年におきましては,対象サイトということで,9ページの下に書いておりますが,56とku6とtudou,youku,これが中国のサイトでございます。最後のPandra.TVというのは韓国のサイトで,これは全部UGC,ユーザーが違法にアップロードしているサイトでございますが,この5つのサイトを対象に,権利者の皆様がやっていらっしゃる削除の御支援をCODAの方でやらせていただきました。
 また,メールだけ入れても全く反応しませんので,直接現地に行って,各サイトとCODAで交渉して,パイプをつなぎながら削除を求めたというところでございます。
 その結果でございますが,10ページ,11ページに記載しておりますが,この5つのサイト,2010年の9月から2011年の6月までについては,URLの数は限られておりますが,これからのURLの削除の通知をお願いしまして,実質上はすべて100%対応してもらえたという結果をたたき出すことができました。
 また,この侵害を見つけるということについては,もちろん人で最終的には確認していますが,12ページ目に書いておりますように,自動で違法コンテンツを探すということも必要だろうということで,フィンガープリント等の技術も検証を2009年に行いまして,実用性にたえ得るというような技術の比較検討もし,現在,その実証実験の中で使わせていただいております。
 また,13ページ目に書いておりますが,権利者と動画投稿サイトの間にCODAがサポートして入ることによって,スムーズに違法物を検索し,削除するまで一連で流そうというところでやらせていただいております。
 先ほど言いましたように,100%対応していただいたということもございまして,今後の関係構築をやろうというところで,14ページ目にございますが,昨年の8月2日に北京で行われました第2回中国インターネット知的財産権保護シンポジウムという場において,CODAとyouku,56,tudou,ku6の4つのUGCのサイトと中国の商務部,日本の経済産業省及び文化庁様の立会いのもと,MOUを結ぶということをさせていただきました。
 この結果を受けまして,今年度も,今,実証実験をやっている最中ではございますが,2009年度,2010年度は,実証実験には7社の皆様に協力を頂きましたが,今年につきましては,24社の皆様に協力を頂いて,延べ100コンテンツほど実証実験の対象ということでやっております。
 その対応サイトについては,16ページ目に記載がございますが,中国はyouku,tudou,56,ku6,6.cn,pptv,LeTVというふうにUGC以外にも少しサイトを広げております。
 また,書籍としまして,今年まだ限定の対応でございますが,sinaとpcgamesにつきましてもやらせていただきました。
 韓国はPandraはそのものでございます。あと,台湾のwertchというサイト,ここはもともとオークションサイト,Yahoo!台湾が経営しているUGCのサイトでございますが,こちらについても,今年度,実験の対象として入れております。
 おかげさまで,今現在,各サイトにつきましては,24の権利者の皆様のお名前で削除のメールを生成しまして,CODA経由,CODAのフロムから各サイトに削除メールを入れるということで,ほぼ100%の削除をしていただいているという結果に結びついておりますが,若干,サイトによっては対応が甘いというところもございますので,これは今後,引き続き対応せざるを得ないなというふうに考えております。
 インターネットにつきましては,もういたちごっこ以上に,先ほどレコード協会の方もお話がございましたように,このサイトがきれいになったとしても,多分またほかのサイトに逃げることは間違いないんですけども,中国の場合は,今,本当に正規ビジネスをいかにやれるか。要は,正規ビジネスをすることが生き残る道だというふうな考えをお持ちのサイトは非常に増えております。そういうことを含めまして,CODAとしましても,一方では削除の要請をしながら,一方では正規流通のサポートも是非させていただきたいということで,来年度はそういうところも視野に入れてやりたいと。
 結果としまして,今年度も結構,権利者の皆様で実際に中国のサイトにライセンスをされている企業も出てまいっております。そういうところからいろいろお話を聞きますと,正規流通をしたことによって海賊版が減ったということもあるというふうなお話も聞いておりますので,侵害対応だけじゃなく,正規流通が海賊版を減らすことへのツールにもなり得るということを認識しておりますので,今後,そのあたりも広げていきたいと思っております。
 そういうBtoBのところだけではなく,コンシューマー向けへも啓発の必要性があろうということで,当協会の団体会員でございます不正商品対策協議会が,もう二十数年やっております「ほんと?ホント!フェア」というイベントがございますが,これをそのまま中国でもやって,広く消費者に知財保護の啓発をやろうというところで,2010年,2011年とやっておりまして,また今年度も北京でこのイベントをやりたいなというふうに考えております。
 最後になりますが,当機構は一般社団法人でございますので,民間の活動にはどうしても制限がありますし,乗り越えられない壁もございます。そういう意味で,国内外の政府機関や関連団体との連携というのは絶対に必要不可欠というところでございますけれども,今後ますます皆様の御支援をちょうだいいただければと思っております。
 以上でございます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。丁寧に御説明いただきました。
 今の御説明,御発表につきまして,御意見等いただけますでしょうか。あるいは御質問でも結構です。 はい,どうぞ。

【石井委員】 先ほどは民放さんと若干のニュアンスの違いを見せてしまったかもしれませんけども,こちらに関しては,全くのニュアンスの違いなく,対策に取り組んでおります。今までのところはつぶやきでございます。議事録には載らないところです。
 CODAさんには本当にお世話になっておりまして,正直言いまして,放送局単独ではいかんともし難い,あるいはどうしたらいいかわからないというところをいろいろと御指導いただきまして,おかげさまで東アジアにおけるいろいろな対策も進んできているのではないかと思います。
 これは,CODAさんに対する質問というわけではないんですけれども,やっておりまして,必要なのは,ノウハウの共有といいますか,あそこが言ったら落ちるけれども,こっちが言ったら落ちないということが間々あるわけでして,そういうところをなるべく少なくしていって,日本全体として有効な対策をとることではないかと思います。
 何かノウハウの共有というか,あちこちの共同作業について実績がおありでしたらお教えいただきたいのと,あるいは文化庁さんの方で今後何か考えてらっしゃるんでしたら,それについて教えていただければと思います。

【CODA(永野)】 今,私どもがやらせていただいております事業の基本的な柱は,経済産業省様の受託事業の中でやらせていただいておりますので,そういう意味での情報の開示ということであれば,経済産業省様に報告書を全部入れさせていただいて,それが広くオープンになっているということでございますので,まずそこで広くは出ているかと思います。
 あわせまして,コンテンツホルダー向けにつきましては,今までのCODAの持っているノウハウというものは,広くホームページ等も通しながら共有させていただきたいなと思っております。

【道垣内主査】 そのほかいかがでしょうか。
 どうぞ。

【笹(ささ)尾委員】 本当に大変お世話になってます。放送事業者の立場で申し上げますと,東アジアの一番広い国,ここへの対応というのは,放送局単位では全く通じませんでした。それがCODAさんに乗り込んでいっていただいて,削除ができるとなったとき,これはもう本当に画期的だなというふうに感じたのを覚えております。
 この動画投稿サイトに関して,非常に中心的にやっていらっしゃると思うんですが,もし教えていただけるんであれば,そのほか今,こういうところも対象にしてというふうに思ってらっしゃるものがあれば教えていただきたいのですが。

【CODA(永野)】 先ほど,ちょっと駆け足で御説明差し上げましたが,16ページに今年度の対象サイトということで書いておりますが,UGC以外にもポータル,いわゆる御自分で正規にライセンスを購入して,自らアップロードしているというサイト,pptvですとかLeTV等もあるんですけれども,そこに明らかに侵害のコンテンツがございますので,今,そちらに対しても削除のお願いをしているのとあわせて,意見交換をしながら,100%の削除となるように話は持っていっております。
 今,地域がどうしても東アジアだけに偏ってしまって,もっと広げられないのかというお話はちょうだいするんですけども,まず,東アジアから整理をしていこうというところでやらせていただいております。

【道垣内主査】 どうぞ。

【山本委員】 13ページのところで質問があります。自動監視削除要請システムをお持ちだと。侵害品であるかどうかというのを判別するために,これはフィンガープリントを利用されているということでしょうか。

【CODA(永野)】 そうでございます。

【山本委員】 ということは,権利者の側でコンテンツを最初からフィンガープリントをつけて出さないといけないということになると思うんですが,そうするとこのシステムの中にも,権利者の正規のもののフィンガープリントというのは登録するということが必要になると思います。そうすると,権利者の側が登録するということをやるのに,ここでの権利者はだれでも利用……,そういうシステムは極めて便利だと思うんですが,ここでの権利者というのは,だれでも日本の著作権者であれば,自分が配信したいと思うときにフィンガープリントをつけて登録できるというふうに開かれたシステムとして構築されているのかどうかというところで伺いたいと思います。

【CODA(永野)】 今のところはクローズのサイトでございます。できましたら,将来,そこまでオープンにできればいいなという希望は持っておりますが,今のところ,まず1つ,システムとしての有効性とか実際に削除するところまでの一連の検証というところで,限られた中で,先ほど御説明しましたように,24社の皆様に,それもCODAの企業会員の皆様に御協力をちょうだいしてやっているという状況でございますので,そこで,これの制度がより確認できれば,少しずつ広げていくということも一応考えてはおりますが,現在のところはクローズの世界だということで御理解いただければと思います。

【山本委員】 ちょっとよろしいですか。

【道垣内主査】 どうぞ。

【山本委員】 極めて有効なシステムだと思うんですが,そうしますと,今おっしゃってましたように,幅広く権利者が利用できるような形になればいいと思うんですが,そうすると,今,24社で限られているから問題ないかもしれないですけども,なりすましで,実際には自分が権利を持ってないのに,これ,自分の権利ですということでフィンガープリントに登録したりとかという,本当の権利者であるのかどうかということの判断が今度は重要になってくると思うんですが,その点については,どういうシステムが必要だというふうにお考えなのか。
 言い方を変えますと,これは持論なんですけども,日本にもアメリカの著作権局みたいに,自分の著作物だというのを登録して,その登録したものについては権利者としての推定を与えるという制度があれば,なりすましというのは防げると。著作権登録自身がなりすましでなされないように,アメリカの場合であれば,刑事制裁とかいろんな形でそれを抑えているんですけれども,そういうものと連動させることによって,今お話がありましたシステムというのも,利用者が幅広く利用できるようなものになっていくんじゃないかと思うんですが,そういうのはいかがでしょうか。

【CODA(永野)】 正直申しまして,そこまでは考えが及んでないところもございますし,実験でクローズというところで,実はフィンガープリントはこちらで今生成しております。権利者の皆様にDVDや素材というものを手渡しでちょうだいしまして,それを複製することの許諾をちょうだいして,フィンガープリントを生成して,その生成したフィンガープリントをサーバーに上げてるというところでしかやっておりませんので,逆に今先生の方からちょうだいしたようなところまでは,考えがまだ至っていないというのが正直なところでございます。

【山本委員】 どうもありがとうございました。

【道垣内主査】 そのほかいかがでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 議題の3番に移りたいと思います。これにつきまして,事務局より資料3から8について御説明いただいて,委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【都築海賊版対策専門官】 事務局から御報告申し上げます。
 ここからは,前回の国際小委員会以降実施されました二国間の協議等の御報告を申し上げますので,お手元にお配りしました資料3から8を御参照いただきまして,当方からはポイントのみを言及させていただきます。
 まず,資料3でございますが,第7回日中著作権会議に関する報告でございます。
 平成22年の3月に中国国家版権局と文化庁の間で覚書を交換いたしまして,著作権,著作隣接権に関する組織的な協力を強化していくという前提に立ちまして,初めての協議を昨年の9月に中国で開催させていただきました。
 ここにおきましては,中国側から次回予定されております著作権法の改正状況に関する情報でございますとか,また,中国が著作権侵害に対しまして集中的に実施しました特別行動の成果等の報告を頂きました。また,著作権分野に関する意見交換ということで,著作権管理団体からの著作権使用料の徴収に関しての現在の中国の取組状況につきまして御報告いただきまして,最後に覚書交換後の,版権局と文化庁との間での共同事業の可能性について検討したというのが,9月に行われました日中著作権会議の報告でございます。
 引き続きまして,資料4でございますが,これは,昨年の9月に韓国のソウルにおきまして,大韓民国文化体育観光部と文部科学省との間で,著作権及び著作隣接権に係る覚書の交換をいたしました。これも先ほど御紹介しました中国との間の連携強化と同じような観点に立ちまして,韓国の著作権担当部局との間で連携関係を更に強化していこうということで締結に至ったものでございます。
 協力内容としましては,2の覚書の内容の1から4にお示ししてございますが,日韓著作権フォーラムの開催とか著作権分野での支援の強化,これはアジア太平洋地域における関係国への支援を含めてでございます。また,両国間での人的交流,あるいは関係団体等の交流のさらなる強化というふうなことを,この覚書に基づきまして更に関係を強化していきたいと考えております。
 後ろにおつけしておりますのは,覚書の本文を参考資料として添付してございます。
 引き続きまして,資料5になりますが,第3回日韓著作権フォーラムに関する報告でございますが,この覚書を交換いたしまして,この覚書の中で日韓著作権フォーラムを開催するということが協力内容の1つになってございますが,それを受けまして,昨年の12月でございますが,我が国におきまして,日韓著作権フォーラムの開催をさせていただきました。今回は,韓国の著作物の利活用に関します情報提供をしていただくことを目的にいたしまして,韓国の著作権関係の有識者の方に御講演を頂いたところでございます。特に韓国の自由貿易締結後の著作権の改正状況でありますとか,あるいは書籍のデジタル化等に伴う著作物の利活用の現状等につきまして,有益な情報を提供していただいたところでございます。
 資料6でございます。第36回日台貿易経済会議に関する報告ということで,これは,中国,韓国以外に関しましても,こうした経済協議の場で知的財産の問題が取り上げられておりますので,文化庁といたしましても,この協議に参加をいたしまして,先方の著作権担当部局との間での情報収集,意見交換に努めているところでございます。
 今回は第36回ということでございまして,昨年の12月に東京で開催されました。こちらの貿易経済会合におきましては,台湾の著作権改正に基づきますインターネットプロバイダサービスに対する削除要請手続,いわゆるノーティスアンドテイクダウンの対応を実施しているということでございまして,これは非常に有効であるということでありますとか,スリーストライクルールに関しましては,法改正上導入しましたが,まだISPとの間の調整がついていない。あるいは著作権仲介団体条例改正等の著作権料率の今後の決定のスケジュール等につきましても,有益な情報を我々入手できたというふうに考えております。概要につきましては,この資料に書かれた内容でございます。
 以上が二国間協議の報告でございますが,あと少し,まず,資料7といたしまして,これは我が国がWIPOに出しております拠出金に基づきまして,WIPOが開催しました事業に関しての報告でございます。
昨年の10月に著作権・著作隣接権に係るWIPOアジア地域会合を我が国におきまして開催いたしました。目的に関しましては,著作権・著作隣接権に関する政策に対しまして,このアジア地域内の意見・情報交換を行うとともに,今後のそれぞれの各国の著作権制度に関する評価に対して,どのようなWIPO等の支援が必要であるかということについての検討を行うというものでございました。
 参加国は,資料にお示しさせていただいております19か国の各著作権部局から関係者の方に御参加いただいたところでございます。
 めくっていただきますと,後ろにプログラムが出ておりまして,当日のプログラムにおきましては,WIPOからの政策の説明でございますとか,各国からのカントリーレポートによる報告ということで,域内での著作権,あるいは著作隣接権に関する制度の状況等につきまして把握ができる機会であったというふうに考えております。
 別紙1としておつけしてありますのは,この会議におきまして話し合われたいろんなトピックスに関しまして簡単にまとめてあるものでございます。報告自体につきましては,これはWIPOで取りまとめているところでございますが,この会議における,それぞれ各国の著作権・著作隣接権に関する法改正に関しますそれぞれの国の関心でございます。あるいは,それに対する支援の要望になります今後の協力分野といたしましては,そうした著作権の保護の水準が十分でない国に対する支援,あるいは集中管理団体に対する関心も広く共有されておりました。また,著作権関係部局がそれぞれネットワークを組んで情報交換などをこれからしていくべきであるという提言もされているところでございます。
 また,いわゆる知的財産戦略に関しましても,知財に関する関心の高まりとともに,それぞれの国がこうしたものに関しての知見をWIPO等から提供していただきたいというふうに考えているという状況でございます。
 最後におつけしましたのは,参加国を中心にいたしまして,アジア地域会合のカントリーレポート等を踏まえまして,各国がどのような条約加盟状況で,今後の条約加盟について,今,どのような検討状況にあるかということをまとめた資料でございます。まだまだローマ条約等にも加盟できていない国もあるというのが,この地域の実情でありますが,その中でローマ条約,WCT,WPPTの加盟を現実的に検討しているような幾つかの,ベトナムでありますとか,マレーシアでありますとかという国が,ある程度,今後の自国の著作権保護の向上につきまして,非常に積極的な対応をとると考えているのだろうというような,私ども状況の把握をさせていただいている状況でございました。
 最後に,資料8としましてお手元にお配りしましたのは,来年度,平成24年度の海賊版対策関連施策につきまして,皆様に御報告させていただくところでございます。
 資料8の表側が,いわゆる24年度の政府予算案での海賊版対策事業の全体を示してあるものでございまして,こちらにあるものに基づきまして,私ども海賊版対策を実施しているところでございます。
 この中で重ねて御紹介したいのが,新規事業といたしまして,グローバルな著作権侵害への対応ということで,新規の事業を要求させていただきまして,政府予算案に認められているところでございます。
 この概要につきましては,後ろ側に別紙ということでお示しさせていただいてございます。事業名が,グローバルな著作権侵害への対応の強化ということでございまして,いわゆる予算の予定額としましては,約2,900万強ということで,こちらの事業の枠組みといたしましては,従来も二国間の協議で先方に著作権の制度の強化でありますとか,あるいは円滑なエンフォースメントの実施等を我々はお願いしてきたところではございますが,これをもう少し,いわゆる先方の国の著作権の法制度あるいは法的執行の枠組みなどを詳しく調べまして,その意味で,二国間協議等を通じて,我々が具体的なアドバイスを彼らに提供することで先方の関心を喚起し,日本側の知見をもって,先方の国,あるいは日本でフォーラム・セミナー等の開催をし,それが先方の国の法改正でありますとか条約改正等に実質的に役立つような形で,この知見を有効に活用していただく。それによって,その国の著作権保護の水準を上げていただくという,もう少しきめ細かなアプローチをとるための予算というのを確保しておるところでございます。
 最後に,24年度の新規事業の予算を御紹介させていただきまして,議事3の報告とさせていただきます。

【道垣内主査】 ありがとうございました。幾つかの点につきまして,予算についてまで御説明いただきました。何かこの点,ございますでしょうか。よろしゅうございますか。18:00の時間が迫ってきておりまして,申し訳ございませんが,次に移らせていただきます。
 4番目が,今日がこの小委員会の最後ということで,その取りまとめを著作権分科会に報告しなければなりませんので,その件についてでございます。
 先ほど時間の関係で,今配っていただいていると思いますが,資料9をごらんいただきながらお願いします。今期につきましては,本小委員会としては,何らかの具体的な結論ということではなくて,WIPO等,国際的な問題について検討したということですね。その審議経過を1月26日の著作権分科会に報告させていただくという方向でございます。その案につきまして,少し御説明いただけますでしょうか。

【堀国際著作権専門官】 事務局より資料9の審議経過の案についてということで,簡単に説明させていただきます。
 1の「はじめに」というところですが,今期の国際小委員会において,前期の審議に基づいて丸1から丸3のインターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方,著作権保護に向けた国際的な対応の在り方,知財と開発問題,フォークロア問題への対応ということで検討を行うこととされました。
 2の審議状況ですが,(1)の海賊行為への対応というところですが,今期の小委員会におきましては,第1回の国際小委においては,第2回アジア著作権会議の議論のまとめを報告されまして,第2回の小委におきましては,中国,台湾との政府間協議の両政府の取組が紹介されてございます。
 また,前期の小委員会の御指摘を踏まえまして,今期では一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構様,一般社団法人日本レコード協会様からのヒアリングを行いまして,団体としての侵害対応の今後の在り方,それに対する政府の支援方策等についての検討を行いました。
 資料につきまして,ヒアリングの内容を踏まえて追記させていただきますが,本日の議論を踏まえまして,事務局としては,例えば以下の書きぶりを考えてございます。
 ヒアリングでは,インターネット上の違法コンテンツなど侵害実態の把握及び権利執行に係る対応などの現状が紹介されるとともに,権利侵害への効果的な取組として,インターネット上の違法コンテンツを監視し,削除要請を行うシステムの活用,侵害発生国の関係機関などの連携強化や違法コンテンツの流通防止に向けた意識啓発の促進に関する事例が紹介され,これらの取組を更に進めていくことということかと思います。
 (2)といたしまして,著作権保護に向けた国際的な対応の在り方ということが議論されました。WIPOの著作権常設委員会(SCCR)における議論の進捗状況が報告されました。
 視聴覚実演の保護につきましては,条約採択のための外交会議を本年6月に開催するということ。
 放送機関の保護につきましては,南アフリカ,メキシコより新提案がなされまして,議論に加速が見られており,今後も引き続き議論を行っていくこととされていること。
 権利の制限と例外につきましては,視覚障害者等,図書館アーカイブに関する議論がなされておりまして,我が国としては,引き続きスリーステップテストの考え方を踏まえ,適切な議論を行うことが必要であり,何らかの国際文書を作成する際には,各加盟国がそれぞれの国内事情を踏まえ,柔軟な対応が可能となるようにすべきであるということにつきまして記載させていただいております。
 (3)知財開発,フォークロア問題ですが,引き続きIGCで議論がなされておりまして,それにつきまして,小委の方で報告させていただいております。
 3の「おわりに」というところですが,今期の小委員会では,(1)につきましては,関係国際会議等の報告及び国内関係団体からの侵害対策に関するヒアリングを行いまして,(2),(3)につきましては,WIPOにおける議論の動向の報告を行い,それにつきまして御審議を頂いております。
 (1)につきましては,今後も海賊行為に係る状況の把握に努めるとともに,ヒアリングの内容を踏まえて,例えば以下のような形で事務局としては書かせていただければと考えてございます。
 ヒアリングでの指摘を踏まえつつ,政府間協議の充実を図るとともに,違法コンテンツの流通防止に向けた意識啓発の促進に向けた対応について検討していくことが必要である。また,WIPOをめぐる議論につきましては,放送条約とか権利制限につきましても一定の進展が見られ,またフォークロアにつきましてもテキストベースの議論が進展しつつありますので,引き続き我が国の対応の在り方を検討していくことが必要である。特に視聴覚実演の保護に関する条約につきましては,外交会議の開催決定を受け,条約の早期実現が望まれるというように案として出させていただいております。
 以上です。

【道垣内主査】 今,資料9について御説明いただきました。この中に,本日のヒアリングを踏まえての記述の部分がありましたが,そこは口頭でおっしゃっていただいたので,ややわかりにくかったかもしれませんけれども,ほぼ本日の議論を踏まえた内容になっていたのではないかと私は思いました。
 ただ,詳細は今配らせていただきましたので,細かくはわからないかもしれませんけれども,何か今期の小委員会の議論で,この点がそもそも抜けているのではないかということがありますと問題ですので,御指摘いただきたいと思います。いかがでしょうか。あるいは表現がこれでは議論を反映していないのではないかということがございましたら伺いたいと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。そうしますと,ほぼこの方向で1月26日の著作権分科会に報告させていただきます。報告用の最終的なバージョンにつきましては,若干の修正,今口頭でおっしゃったところを含めたものにほぼなると思いますけれども,その微修正等につきましては,主査に御一任いただきたいと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」の声あり)

【道垣内主査】 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきたいと思います。
 今期の国際小委員会の議論を踏まえて,来期の国際小委員会において,来期以降の国際小委員会の課題を検討していくことになります。今日,議題はもう一つありますし,先ほど議事録を配っていただきましたので,それについても御意見を伺いたいと思います。まずは前田委員の方から何かございますか。先ほどの議事録につきましていかがでしょうか。

【前田委員】 これで確認させていただきました。

【道垣内主査】 結構でございますか。
 そのほか何かございますでしょうか。
 では,事務局からお願いします。

【堀国際著作権専門官】 事務局から,先ほどお話がございましたTPPにつきまして,状況を簡単に御報告させていただきます。
 政府としては,TPP協定につきましては,交渉参加に向けまして,関係国との協議を開始している状況でして,各国が我が国に求めるもの等につきまして,さらなる情報収集に努めている状況でございます。
 TPPにつきましては,仮に我が国が交渉に参加した場合には,度々国際小委でもACTAにつきまして過去に御報告させていただいているかと思うんですが,ACTAの交渉時と同様に,適宜,交渉の状況報告を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 そのほか委員の方々からございますか。
 特にございませんようでしたら,本日の会議はここまでにさせていただきたいと思います。本日は,今期最後の小委員会ですので,事務局から一言いただけますでしょうか。

【芝田長官官房審議官】 長いお礼の文を書いてくれてたんですけど,もう時間も過ぎておりますので,今期の御審議に対して感謝申し上げますとともに,来期も今のTPPの話題なども出てくるかもしれませんので,引き続き御審議について御協力をお願いして,ごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

【道垣内主査】 ありがとうございました。
 本日は時間管理が十分できませんで,申し訳ございませんでした。今期の委員会,これで終了でございます。ありがとうございました。

18:00閉会

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動