(第6回)議事録

メディア芸術の国際的な拠点の整備に関する検討会(第6回)議事録

1. 日時

平成21年4月21日(火) 15:00~17:00

2. 場所

文化庁5F 特別会議室

3. 出席者

(委員)

石原委員,さいとう委員,中谷委員,浜野委員,林委員,古川委員

(オブザーバー)

阿部氏,石川氏,岡島氏,甲野氏

(事務局)

青木文化庁長官,髙塩文化庁次長,清木文化部長,清水芸術文化課長 他

(欠席委員)

安藤委員

議題

  1. (1)メディア芸術の国際的な拠点の整備について
  2. (2)その他

○浜野座長

  ただいまからメディア芸術の国際的な拠点の整備に関する検討会を開催いたします。本日は,ご多忙のところお集まりいただきまして,ありがとうございます。
 前回,事務局からご案内しておりました予定を変更しまして,これまでの議論などを踏まえ,事務局が本検討会の報告書(案)を作成しておりますので,本日は本報告書(案)について,ご議論いただきたいと思います。このあたりの経緯につきまして,後ほど事務局から説明があります。事務局から配付資料の確認とともに,これまでの経緯を含め資料の説明をお願いいたします。では,よろしくお願いします。

○清水芸術文化課長

 それでは,まず資料の確認でございますが,検討会の議事日程のペーパーの後,資料1といたしまして,検討会の委員の皆様方の名簿でございます。
 それから,資料2が前回の議事録(案)でございます。これは,案の段階でございますので,委員とオブザーバーの皆様のみ配付をしているところでございますので,内容をご確認いただいて,ご意見等がございましたら1週間後,来週の4月28日,(火)までに事務局までご連絡をお願いしたいと思います。
 それから,次が資料3,メディア芸術の国際的な拠点の整備に関する検討会報告書(案)でございます。これにつきましては説明をさせていただきたいと思っております。
 まず,今回緊急に報告書(案)を議論いただくことになった経緯でございますが,メディア芸術の国際的な拠点の整備につきまして,本検討会でこれまで約1年間ヒアリング,議論を重ねていただいたところでございますが,これまでの審議の中で,こういったリアルな拠点を整備すべきというご意見もございましたけれども,正直なところ事務局としては,新たな拠点を早期に建設していくというのはなかなか難しいと考えて,そういった説明もしてきたところでございます。
 これが,状況が変わりましたのは,まず今年になって,アメリカのアカデミー賞におきまして,滝田洋二郎監督の「おくりびと」が外国語映画賞を,加藤久仁生監督の「つみきのいえ」が短編アニメーション賞を受賞して,我が国のメディア芸術に対する国際的な評価の高さが改めて示されたところでございます。そういった状況,背景のもと,今回の経済危機対策を政府において検討する中で,我が国経済の底力の発揮,21世紀型インフラを整備するといった議論が進む中で,海外において高い評価を得ているソフトパワーでありますメディア芸術,この国際的発信のための拠点整備についても注目をされたところでございまして,現在政府与党において補正予算(案)の策定を進めているわけでございますけれども,その中でメディア芸術の国際的な拠点の整備を盛り込む検討が行われているところでございます。
 本検討会といたしましては,今回は前回の会議の際にはヒアリングをということでご案内していたところでございますけれども,そういった急な動き,状況を踏まえまして,急遽今回これまでのご議論などを踏まえまして,メディア芸術の国際的な拠点整備の必要性,また整備するということになれば,その拠点についてどういう拠点にしていくべきかという基本的な構想について報告をまとめていただいて,今後の取り組みの方向性をお示しいただくようにお願いしたいということでもって,議論をまとめての報告の案を作成いたしまして,今回提出させていただいたところでございます。さまざまなご意見をいただければと思っているところでございます。
   それでは,資料3をご覧いただきたいと思います。まず全体のポイントをご覧いただくために,資料の中ほどにありますが17ページをご覧下さい。資料の17ページの1ページが報告(案)の概要ということでございまして,さまざまな文章でここまでまとめているものをポイントのみまとめたものでございます。
 メディア芸術の現状と課題というところでは,メディア芸術のすべての分野を包括的に取り扱う拠点がないために,我が国メディア芸術の海外の発信が不十分になっているといった現状,課題の認識を示しまして,国際的な拠点の必要性,期待される効果といたしましては,メディア芸術のすべての分野を包括的に取り扱って必要な機能を総合的に行う拠点が必要である。これは我が国の文化のみならず,観光及び産業の振興にも資するという効果を示しているところでございます。
 そして,3といたしまして,資料の下半分でございますが,どういった拠点が必要かということにつきましては,名称,これはまだ仮称でございますが,国立メディア芸術総合センターと名づけております。
 そして,分野としては,メディア芸術の全分野を対象とするわけでございますが,映画につきましては,フィルムセンターと緊密に連携,協力を図っていくとしてはどうかということでございます。
 拠点の機能としては,メディア芸術作品の展示,資料の収集・保管,関連情報の収集・提供,調査研究,人材育成,そして関連する施設間の連携,協力体制の構築などを挙げているところでございます。
 設置場所,これはまだ決まっていないわけでございますが,国際的な発信拠点とするために東京都内ということが考えられると思いますし,用地確保の関連性等を勘案してお台場が好適地ではないかということでございます。
 面積等については,延べ床面積1万平米,土地面積2,500平米程度といったことを挙げているところでございます。
 最後の運営方法でございますが,独立行政法人国立美術館が外部委託等によって運営をしていく,また最後ですが,入場料等自己収入で運営に必要な財源を賄うことが適当としています。土地,建物は今回の補正予算でもって補足しようということで検討しているわけでございますが,将来の運営につきましては,自己収入といったことを考えていかなければいけない。これまでの美術館とはまた違う民間のノーハウやアイデアを生かした運営が必要になる施設ではないかと考えられるところでございます。
 概要を最初に説明いたしました。最初に戻りまして,報告(案)についてご覧いただきたいと思いますが,さまざまなご意見をいただく時間をとるためにポイントのみということで簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず,目次がございまして,1ページからが本文でございますが,まず,はじめにというところで,今回のアメリカのアカデミー賞におけるダブル受賞のことから,以下,本検討会の検討の経緯等をまとめているところでございます。あるいは,検討に先立っての取り組みをまとめているところでございます。
 簡単でございますが,資料の3ページから,次の2番目といたしまして,文化庁におけるメディア芸術の振興に関する取り組み,これまでの取り組みをまとめたものでございます。
 文化芸術振興基本法においてメディア芸術といった条項を設けたこと,そして文化庁メディア芸術祭,平成9年度から実施をしていること,そしてメディア芸術祭の海外展といった発信のための事業を行っていることをまとめているところでございます。
 そして,4ページになりますけれども,ウェブサイト,文化庁メディア芸術プラザを運営しているといったところをまとめているところでございます。
 続きまして,5ページからメディア芸術の現状と課題でございます。
 まず,メディア芸術の今の拠点の状況でございますけれども,各分野ごとに,映画,漫画,アニメといったそれぞれの分野ごとに,作品の展示等を行う施設が存在するわけでありますけれども,すべての分野を包括的に取り扱う,そういった施設は今ないのが現状ということ。メディア芸術祭は毎年行っているわけでありますけれども,この受賞作品展は年に1回,2週間程度の期間と短期間になっているというようなこと。そういったような状況がございますので,5ページから6ページでございますけれども,我が国のメディア芸術の海外への発信という点ではまだ不十分ではないかと,さまざまなメディア芸術,評価はされているわけでありますけれども,海外の発信など一層の振興のためには課題は多いのではないかといった認識を示しているところでございます。
 そして,7ページからでございますが,メディア芸術の国際的な拠点の整備の必要性,そして期待される効果等でございます。
 (1)として,整備の必要性ということでございますが,さまざまな作品の常時展示,常設的な展示をすること,また情報の集約,発信をすること,関連施設との連携の中核となること,作品の収集・保管等々さまざまな観点からメディア芸術の国際的な拠点といったものが必要だといったことを,まず(1)で述べているところでございます。
 そして(2),こういった拠点を整備することによって期待される効果ということでありますが,7ページ,8ページから9ページの上までにかけてですが,これは文化の振興,メディア芸術という1つの文化でございますので,文化の振興に寄与するというところは当然でございますが,メディア芸術のポピュラーなものでもございますし,コンテンツ産業にもつながるものでもございますので,(2)観光の振興,(3)産業の振興にも寄与するものであるといったところをまとめているところでございます。
 それから,9ページになりますが,(3)として,メディア芸術拠点をインターネット上のものとすることの是非といったことを述べております。拠点の整備につきましては,バーチャルな拠点といったものがあればいいのではないかというご意見もあるかと思いますけれども,やはりリアルな拠点を整備した上でバーチャルな情報発信をしていくといったことが必要であり,効果的であろうといったことをまとめておるところでございます。
 最後,(4)といたしまして,こういった拠点の整備について可能な限り早急に取り組む必要があるとまとめているところでございます。
 そして,11ページでございますが,メディア芸術拠点が取り扱う分野,メディア芸術の分野ということでございますが,まずメディア芸術の定義といたしまして,文化芸術振興基本法にございますが,映画,漫画,またアニメ,ゲーム,メディアアートなど,これらがメディア芸術と言われるものかと思いますけれども,拠点ではメディア芸術の分野をすべて一元的に取り扱うことが基本的には望ましいというところでございますが,映画につきましては,映画のアーカイブとしてフィルムセンターが現在ございますので,このフィルムセンターと適切な役割分担のもと緊密な連携・協力をしていくことが必要だといったことをまとめているところでございます。
 続きまして,12ページでございます。
 ここからがメディア芸術拠点の機能等,具体的にどういったものが考えられるかというところでございますが,メディア芸術拠点の国際的な拠点として果たすべき機能として,(1)から(6)までに整理をしております。
 メディア芸術の作品の展示,そしてそのための作品等の収集・保管,メディア芸術に関する情報の収集・提供,メディア芸術に関する調査研究,人材育成,そして関連する施設の相互に連携,協力するための中核としての役割を担うといったこと,これらの6つの機能を総合的に果たす,総合的にそういった機能を有する拠点であることが期待されるということでございます。
 次の設置場所でございますけれども,国際的な拠点として国内外から多数の利用者の来場が見込める場所としていくことが必要ということで,東京都内とすることが適当であるとまとめているところでございます。
 ただ,具体的にどこにするということにつきましては,交通の利便性,将来的な地域の発展可能性,用地確保の可能性,自然景観等を総合的に勘案して,これから検討がされるべきということでございますが,用地確保の可能性といったこともありまして,お台場は好適地の一つであると考えられるところでございます。
 続けて,建物の延べ床面積でございますが,拠点としての機能を果たしていくためには,展示室,またアニメ等の上映ホールが必要でございますし,収蔵庫,研修室,エントランスロビー,売店等々十分な空間を確保する必要がございますので,これらをそれぞれ考えてみますと,1万平米程度の床面積が必要と考えられるところでございます。
 また,設置場所とも関連いたしますけれども,こういった床面積を東京都内に確保するということになれば一定の高層化が考えられますので,土地面積は4分の1程度の2,500平米が必要になるのではないかと考えておるところでございます。
 それから,その他の必要な設備等を置く必要がありますし,それから年間の目標来場者数につきましてはここに記載のとおり,現在の概算,積算でございますけれども,年間約60万人を目標来場者として考えているところでございます。
 続けて,14ページ,15ページが,メディア芸術拠点の運営主体と名称でございますが,運営主体につきましては,これまでのメディア芸術祭の開催,またフィルムセンターを設置しているということもございますので,独立行政法人国立美術館が設置するものとすることが最も適当だと考えるわけでございますが,メディア芸術の特性,また効率的な運営の観点から,運営は外部委託にしていくことが適当であるということです。
 また,民間的活動により,入場料のほかさまざまな自己収入によって,運営に必要な財源を賄うことが適当であるといったことをここで述べているところでございます。
 そして,最後の14ページ下から15ページの上になっておりますが,名称につきましては,仮称ということでございますが,国立メディア芸術総合センターと当面しておいてはどうかということでございます。
 本文は以上でございまして,あと17ページに最初にごらんいただきました報告の概要,そして本検討会の設置の要綱,委員名簿,これまでの検討状況などをつけまして,21ページ以降でございますが,どういった建物になるのかというイメージがわかりますように,簡単な概観と各階ごとの平面図のイメージという形でここにつけているところでございます。これは,実際には例えば設計コンペ等によって決まっていくことになりますので,このとおり整備するというものではありませんが,大体こういったようなスペースを持つ建物になっていくというイメージがわかるようにということでおつけしたものでございます。
 以上でございます。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。
 これまで,理念とか必要性というのは,議論をずっとしてきたんですけれども,一挙に具体的な段階に入りまして,すごくありがたい反面,面食らっていますが,きょう,せっかく青木長官もいらしていて,長官という立場とソフトパワーなどの専門家でもあるので,理念を共有できればと思います。長官ご自身のお考えもお聞かせ願えませんでしょうか。

○青木長官

 いや,もう専門家の皆さんが来てあるというので,私はそんな専門家ではございません。ただ,これまでアジアとかヨーロッパとかアメリカに行くと,やはり日本のメディア芸術に対する声望が非常に高いものですから,みんな実際愛してるというか,後でごあいさつのときに申し上げようと思ったんですけれども,昨年シンガポールで,ここに書いてありますけれども,メディア芸術祭をやりましたら,シンガポールの大臣がオープンニングにいらして,その人が僕より日本のメディアにはるかに詳しいんです。コスプレ,コスプレという言葉を連発されて,これはちょっと何となく恥ずかしいような感じもあったんですが,そういうような事態もあるし,実際問題,長い間いろんなアジアとかに行っていても,日本に今こういうメディア芸術の,やはり世界の人が,子供たちなんかが来て,一挙に日本のことが全部わかるような,世界の動きもわかるような,そういうものができないかなと思っていましたものですから,そういうことを書いたり言ったりやってきたんですけれども,これは浜野座長,皆様の英知でここまできましたので,そんなところからまた予算もつきそうですから,ぜひこの際,世界の耳目を集めるような,大体,建物ってすごく重要なんですよね。建物の予算がどれくらいあるか,ちょっとわからないんですけどね。
 きょう昼間,オーストラリア大使館に行きましたが,シドニーのオペラハウスでは何をやっているかあまり知られていないですけど,あのオペラハウスの建物だけは世界じゅうの人が見たいと思って,行くでしょう。私も2回ほど行きましたけどね。それからビルバオのグッゲンハイム美術館もフランク・ゲリーのあれでみんな見に行くんですよね。そういうことがあるのでちょっと,やっぱりそこへ行ったらもう別世界が,ハリーポッターか何か知らないけども,別世界が広がっていたというようなものができるとありがたいと思っております。では,ともかく浜野先生よろしくお願いします。

○浜野座長

 報告書案には具体的な名称とか持つべき機能とか効果まで記入されていますが,できるだけ時間をとって委員の方々に具体的なご提案とか,いろいろなご経験,海外の事情もご存じなので,それも含めて自由に発言していただくたいと思います。きょう一挙に傍聴人がふえたので言いづらいところもあるとは思うんですけれども,いろんなご経験があるので,中谷さんから,お話をお願いします。

○中谷委員

 これまでの議論の中で,いろいろとお話しさせていただいた話で,今この案を拝見して思ったことをまず申し上げますと,せっかくのこういう大きな新しいムーブメントが起きるときに,メディア芸術の権威者であろう映画が,緊密な関係を持つと言われても分かれてしまうという状況は,あまり僕は方向としてはよくないんじゃないかなという気はします。ですから,ぜひ緊密な連携よりも,さらに形として総合という名がつくセンターにおいて,映画がこの中に含まれることを期待はしたいと思います。
 それから,心配といいますか,運営を国立美術館さんがされるということなんですけれども,やっぱり入場料収入がメーンになっていくということだと思うんですけれども,入場料収入,建物は110何億ぐらい。

○浜野座長

 いや,まだ決まっていないはずです。

○中谷委員

 決まっていないですか,すみません。

○浜野座長

 それが一人歩きしている。

○中谷委員

 適当な情報で申しわけありません。その建物を建てて形はできたけれども,それを実際に運営していくランニングコストというところにおいては,かなりやはりお金がかかる分野だと私は思うんですが,これは入場料収入だけで本当にやっていけるのだろうかという心配が若干あるのと,実際に民間がどのような方策をもっていろいろ,せっかく光が当たってこのメディア芸術というものを,さらに世界から注目されるような,みんな世界から来たいと思えるような場所にするためには,かなりやっぱりコストがかかると思うんですよね。そういうところにやっぱり,ちゃんと方策を持って進んでいかないと,建てたはいいけれどもという,かえって恥ずかしいことになってしまわないかなというちょっと懸念がありまして,そこをちょっと後でお伺いしたいなというふうに思います。

○浜野座長

 それで,映画につきましては,映画専門の委員である安藤先生がきょうご欠席ですが,メッセージが届いています。

○清水芸術文化課長

 今,中谷委員のご発言と趣旨が重なるわけでございますが,本日ご欠席の安藤委員から電話でご意見を伺っておりました。この報告書で言いますと,11ページのメディア芸術拠点が取り扱うメディア芸術の分野の部分の記述で,フィルムセンターが映画のアーカイブということで重要な役割を果たしているというのは確かなんですが,一方で総合芸術たる映画がメディア芸術の他の分野との関連も深いということですので,例えばメディア芸術に関するクリエーターが分野を超えて交流し合うような取り組みを行う際には,映画に関するクリエーターも排除されるべきではないと。フィルムセンターとメディア芸術のこの新しい拠点の業務が重複しないように役割分担しながら連携,協力していくというのはわかるんですけれども,ちょっと今の書き方ですと,映画を除いたメディア芸術の各分野を取り扱うといったような書き方ですと,映画がすべて排除されるかのように受け取られるおそれがあるので,もう少し具体化するに当たっては工夫をしていただきたいといったような趣旨のお話でございましたので,中谷委員の意見と重なる部分があるかと思います。

○中谷委員

 ある意味,総合センターにおいて,アーカイブ機能というのはすごく大事な機能なので,そういう部分に何かうまく展開できるのかというようなことを考えたりできないでしょうか。

○浜野座長

 アーカイブ部分が……。

○中谷委員

 いや,あまりそこを言及するとあれなんですが,例えばフィルムセンターがアーカイブ機能としてさらに充実していくような形になると。

○清水芸術文化課長

 今の考え方,この報告書をまとめたときの考え方といたしましては,フィルムセンター,映画のアーカイブといたしましては,京橋でもって本館が映画ゆかりの地にあり,また相模原の収蔵庫があるということで,アーカイブの機能としては一定のものは果たしておりますし,これは一層充実が必要とされるというふうに考えておりまして,そして新しいセンターができるということでありますので,両方があるということをある程度前提に連携,協力を図っていこうという考え方でまとめたものでございますが,ただ,それでは両方ありますので,機能が重複したりとかというような無駄があってはいけないという観点でまとめたものでございますけれども,確かに先生のご指摘とか安藤委員のお話のように,映画がメディア芸術でないとか,映画を排除するとかというようなつもりではありませんので,ちょっとそこは何らか映画の関係者などから誤解を受けるとかいうようなことであれば,少し工夫をしないといけないかなとも思っております。

○浜野座長

 石原委員どうぞ。

○石原委員

 私もこの報告書を読んだ第一印象からまずお話をさせていただくと,我々の検討の結果でこれが決まったのではないとは思うのですけれども,すばらしい速度で物事が進んでいて本当にいいなというのが第一印象でございます。この中でいろいろな整備の必要とされることとか,期待される効果が記述されている中で,僕が見た印象で言うと,そんなにたくさん無理だろうといいますか,ちょっと欲張り過ぎていないのかなという気がしました。
 特に,この期待される効果などというところで,文化の振興と観光の振興と産業の振興と,この3つのテーマというのは確かに期待される効果としてあるのだとは思うのですけれども,もうちょっとフォーカスしたほうがいいのではないかなと思いました。
 特に観光ということになると,そこを本当にメディア芸術の中心地あるいはメッカであるように表現していこうとか,あるいは建物のありようとかを含めて,相当夢のふくらむことにはなると思うんですけれども,現状考えられる規模やそういうことから考えたときに,この3つの要素の中のどこに重点を置いて,どういう設備,サービス等をしていくのかということを議論していくべきではないかなというふうに感じました。
 どの程度の予算でどういう規模かということは,まだもちろんはっきりしていないと思ったんですけれども,例えば東京ディズニーランドが新しいモンスターズ・インクというパビリオンといいますかアトラクションをつくったりとか,あるいはシルク・ドゥ・ソレイユの上映される施設をつくったりとか,ああいう規模やコストよりも多分小さいとイメージされるので,どのぐらい欲張れるものかというのは,まずその規模から想像して,どのぐらいの施設でこういうプレゼンテーションやサービスをすることがバランスがよいと思えるものを構想すべきではないかなというふうに感じたのが第一印象です。

○浜野座長

 石原さんにお聞きしたいんですけれども,ポケモンセンターというのは年間の集客数というのはお教え願えますか。

○石原委員

 前にお答えしましたよ,それは。

○浜野座長

 これは大体60万と書いてありますが。

○石原委員

 三,四百万人です。たしかディズニーランドが2,800万ぐらいでしたね。集客であまり評判は図れないような気がするんですけれども。

○浜野座長

 300万。すごいですね。

○石原委員

 先月,札幌店がオープンしまして,宣伝してすみません,横浜,福岡,大阪,名古屋,札幌,東京とありまして,東京店だけで今,年間138万人で,大体450万人で,札幌店ができたので約500万人ですね。

○浜野座長

 三鷹の森ジブリ美術館は一日に2,000人で制限していますから,それで年間ほぼ60万人になります。ジブリ美術館の例からすると,60万人という設定は非常に妥当な設定だと思いますが,あれだけ集客力の高いところで60万人なので,60万人を毎年達成するというのは,大変ではあるかなと思います。

○石原委員

 あと,やっぱり我々がといいますか,日本人として自慢することができて,それを具体的に本当に海外の人に自慢できる,そんなものがそこにはそろっていて,そこでプレゼンテーションができるという施設の考え方と,あと,やっぱり海外の人から見て,そこはすごく興味あるものとしてアクセスしたら,それはネットからアクセスしようが来日しようがいいわけですけれども,そのアクセスしたときにやっぱりそのすばらしさとか独自性とかクリエイティビティが感じられて,より深く接したいと思えるよう施設,要するに我々がとても自慢したいと思えるし,海外のほうからも他国にはない非常にユニークなものを感じて,そこに深くアクセスしたいと思えるような施設になるというのが,恐らく国際的な拠点ということの意味合いだと思うので,我々ができそうで,このぐらいの集客が見込めるのではないかと思えることと,やっぱり海外の人にとっての魅力のプレゼンテーションはどの程度できるべきだとか,その入場者の中の海外比率というんですか,どのぐらいの人がどういうアクセスをしていることをひとつ目標にするだとか,そういうこともあるかもしれないと思いました。

○浜野座長

 林委員どうぞ。

○林委員

 ずっとこの検討会を続けてきて,もう少し続くのかと思っていましたら,急に最後のまとめということで,検討会がいきなり実行委員会になったような気持ちですけれども,これも全部,緊急経済対策の中で,こういう国がメディア芸術というものの重要性を認めて,そこに予算がつくというのはとてもすばらしいことだと思うんですね。それによって実現が,あっという間にその実現が今見えつつあるということなんですが,ただ,なかなかそういうことで言うと,急に決まって棚からぼたもちみたいな気が私もしているんですけれども,時間がない中で,こういう新しいスキームを考えていくことの慎重な検討の必要性があると思うんです。
 新しいスキームとはどういうことかというと,国立でありながら民間運営であるというのが,私はよくわかりませんが,あまり過去に例がないというか,国立というのは基本的に国が建てて,国が国の予算で運営するということが基本ですから,今回の場合には,国立で国が建てるけれども運営は民間がやるというような従来にないスキームの話になっていますので,これが本当に現実的に可能かどうかということについては,時間がない中であっても慎重な検討が必要だろうというふうに思うんですね。
 それで,この報告書のことについて2点申し上げたいんですが,1点目は今の観点からいったときの,先ほど中谷さんから出ましたけれども,運営費という,つまりその財政の措置が今回の話の中では,結局その建物とそれから土地に関する予算がついたということで,運営に関してはあくまでも国立美術館が自主的にやって,その運営を民間に委ねるというようなぐあいに私は解釈しております。
 ただ,実際にその,ということは現在,運営に関してはそこには予算がまだ見えてないわけですから,一つ間違うと,昔よく日本でも批判されたような箱物行政ではないけれども,結局国は土地と建物だけの予算を用意して,箱はつくったけれども中身のソフトに全然お金をつけないために,箱の問題というのが結構全国的に問題になった時期がありましたけれども,一つ間違えるとそうなりかねないリスクを持っていると思うんですね。
 これをクリアしていくためには,本当に民間というものが,その運営受託をしていくところが現実的に出てきて,この報告書の中では協賛だとか寄附みたいなことが書いてありますけれども,国の運営予算をあてにしなくても,民間が主体になって運営費用というものをちゃんと出していけるのかどうか,そこの現実性が本当にあるのかどうかということについての検証がなされない限り,やはり運営のところが非常に宙に浮いてくる可能性がなきにしもあらずなのではないかなというぐあいに思います。
 もちろん民間にゆだねることによって,特に報告書にもあったように,非常に質の高い内容のものをつくるとか,効率的な運営ができるというメリットもあると思うんですね。しかし,一方でそういう運営予算というものがきちっとバックグランドがないところで物事を進めてしまうと,後になって,箱はできたけれども中身の運営費が足りないみたいな話になったらどうするんだろうかなと。
 60万人動員したときのシミュレーションで,250円の計算で1億5,000万円の年間入場収入があるというふうになっておりますが,1億5,000万でも恐らく到底運営できないだろうと思うんですね。そうすると,何らかのプラスアルファの予算が必要になってくると。そこに関しては,一切国には本当に期待ができないのかどうかということなんです。全部が全部なかなか国が出すというのは難しいかもしれませんし,公設民営じゃありませんが,国が建てて民間が運営するというやり方があってもいいと思うんですが,ただ,民間で手を挙げなかったときに,国はどういうぐあいにそこはリスクを補てんするような,あるいはだれが責任をとるような構造になっているのかどうかということは裏づけとして必要なんじゃないかなと。
 あくまでも,これは民間がちゃんと手を挙げるところがあって,協賛金や運営費用や寄附というものが集まってくるということを前提として民間が運営されるということが書いてあるわけであって,そうじゃないときはどうするのかとか,それから赤字が出たときに,その赤字を賄うのはどこの責任によって賄っていくのかということについてもやっぱり。お金の話が急に決まった話ですからそれは無理もないことだと思うんですが,そこのところがもう少しはっきりしていかないと,きちっとしたせっかくのこのいい話が中身の薄いものになりかねないのではないかという危惧感を持っております。
 そういうことで言えば,さっき石原さんの話では目的を絞るべきだという話がありましたが,私は文化の振興,観光の振興,産業の振興ということに,このメディア芸術総合センターというものを役立たせるべきだと思いますので,そういったときには文化の振興といえば文化庁ですし,それから観光の振興ということでいえば国土交通省あるいは観光庁,それから産業の振興ということでいうと経済産業省になるわけですから,文化庁さんだけではなくて,文化庁,観光庁,経済産業省といったところが,例えばコ・フェスタなんかそうだと思うんですけれども,縦割りではない行政の形をとりながら,その運営費のことも含めて民間をバックアップしていけるような横の行政を超えたかかわりを持っていただいて,総合的に文化振興,観光振興,産業振興ということに役立てていくような構造をつくるべきではないかということをまず申し上げておきたいと思います。
 それから,もう一つは,さっきから出てきている映画の位置づけなんですね。確かにここの報告書にありますように,現在フィルムセンターという別の機関がありますから,メディア芸術総合センターとフィルムセンターの役割とか機能がダブることはもちろんあまり好ましくないのかもしれません。ただ,もともとメディア芸術の検討会のスタートのときにもご説明がありましたように,既にフィルムセンターのことについては,我が国唯一の映画専門機関ということで,そこの強化をするために独立化といいますか,しかるべきポジションをきちんととるべきであるということは,平成15年の日本映画振興の話からずっとその議論は続けられていると思うんです。
 私は,メディア芸術センターができるのはもうちょっとも先だと思っていたので,そこに向けてフィルムセンターの位置づけを含めたあり方というものを考えたらいいのかなと思っていたんですが,急遽メディア芸術総合センターが今できる現実が出てきたと。ただ,フィルムセンターとの関係というのは,あくまでも緊密な関係をとるということで,それ以上のことは今,何もうたわれてないわけですけれども,仮に独立行政法人国立美術館のところに今5つの美術館があるわけですが,その6つ目の施設としてメディア芸術総合センターを置かれるのであれば,現在フィルムセンターは国立近代美術館の傘下にある施設ですから,変な言い方ですけれども,位置の関係として,映画以外のメディア芸術については6つ目の施設になるのに,しかし,フィルムセンターという非常に重要な映画を担っている組織は近代美術館の下にあるみたいな関係になりかねないという問題があります。メディア芸術というのはあくまでも映画から始まっているのであって,映画,アニメ,ゲームといった映画を抜きにこれは語れない話だと思うのですが,だからといってメディア芸術総合センターの中に単純に映画を入れることは難しいと思うんですね。つまり,フィルムセンターはあくまでも国が運営している機関ですから,民間の運営を考えているメディア芸術総合センターと単純にくっつければいいということにはならないと思うんですが,少なくともメディア芸術総合センターの位置づけがどうなるかによっては,フィルムセンターもこの間議論されているように,独立行政法人国立美術館のところに,もしメディア芸術センターが6つ目なのであれば,7つ目の機関としてフィルムセンターというものをきちんと位置づけて,我が国の唯一映画専門機関ですから,そういう映画専門機関としての独立性というものを持たせるべきです。なぜその独立性が必要かというと,やはり現状のフィルムセンターは,映画文化の保存から振興までをすべて担っているにも関わらず,あまりにも運営予算,あるいは運営体制が,イギリスとかフランスや韓国に比べて脆弱であるというような状況をどこかで変えていかなければいけないのではないかなというぐあいにずっと思っているんですが,そのためにもやはり独立化というか,しかるべき立場をフィルムセンターにもつくって,それでメディア芸術総合センターとフィルムセンターが連携し合うというので,初めて映画と映画以外のアニメ,ゲーム云々といったようなものが対等な関係というと変ですけれども,どちらもちゃんと認められる形で運営ができていくのではないかなと考える次第です。
 ですからフィルムセンターをどうこの後位置づけるのか,あるいはどう持っていくのかということについても,ぜひともこの報告書の中では難しいのかもしれませんけれども,検討していかなければいけないテーマなのではないかなということを申し上げておきたいというふうに思います。

○浜野座長

 フィルムセンターは,アニメーション映画も扱っているし。

○林委員

 そこは現実にダブってあるわけですね,既に。

○浜野座長

 たとえ分けてもダブりますね。
 古川先生,その話題についてぜひ。

○古川座長代理

 そうですね,フィルムセンターは例えばフィルムに関する収蔵をとてもちゃんとやっていらっしゃって,それはアニメーションも現にされているわけですが,どこからがアニメーションで,どこからが映画,どこからが映像,実験映画,何かだんだん境界線も,その作品のでき方そのものも,だんだんクロスしている時代ですから,それはやっぱり一緒にやっていかないとだめだと私もすごく思いますね。
 あと,ほかの皆さんもいろいろおっしゃったことで,つけ足しますと,このセンターはやっぱり,当然ウォール・オブ・フェイムも大事ですけれども,これから先の次の世代の日本のメディア芸術をどうするか,その人たちに活躍してもらいたい場所であってほしいわけですから,同時にその人材育成とか,やっぱりそこのところを考えた,観光客だけが集まってくる,そういう場所じゃなくて,これからまさに世の中へ出ていこうとしているクリエーターたちが梁山泊みたいにそこに集まっていて,そこから発信していくような場所になっていってほしいと思うので,そのための予算とかが必要になってくるわけですから,これを維持していくだけなんてとんでもない話で,積極的に,さっき林委員がおっしゃったように,ほかの省庁からも一緒になって,そこを本当にメディア芸術に,次の世代のための拠点にしていただきたいと思います。

○浜野座長

 さいとう先生。

○さいとう委員

 私も大体,今までの先生がおっしゃったことに賛成ですが,例えば,やはり漫画というのは総合芸術ですので,私は漫画家なので漫画家の観点から言えば,やはり映画は非常に漫画に影響を与えてきましたし,1人でつくれる映画が漫画であった部分もあるので,その漫画がまたアニメになったり,いろんな実写の映画になったりというふうに,非常に関連があるものなので,1つだけ離されるのはちょっとどうなのかなというか,もっと総合的な,これがメディア芸術の総合的なセンターであるというならば,何とかしてこの中に映画というものを組み入れてほしいなというのは非常に思うところです。あと,その場所はもう,ほとんどこれは決まりなんですか。

○浜野座長

 いいえ,そんなことないです。あくまでも案です。

○さいとう委員

 やっぱり場所はすごく大事だと思うんですけれども,すごく夢のある概観も必要なんですが,ぽつんとあるととても寂しいので,何か関連がある施設が周りにあって,その中の一つとして非常にシンボルになるような場所にあるというのが望ましいというふうには思います。
 それを見つけるのはとても大変なことだとは思うんですけれども,どうせこんなふうにお金をかけてつくってくださるのであれば,なるべく私たちが誇れるような場所に,誇れるようなものをつくってほしいというのが願いです。
 あと,海外への発信をこのセンターでするというか,その役割があると思うんですけれども,それはやっぱり今までのメディア芸術祭とは別にまた何か催しをするとか,そういうことも考えていらっしゃるのかどうか。そういうことではないんですか。

○浜野座長

 それは,そういうのが必要なら書き込めばいいのです。

○さいとう委員

 そうですね。いろんなやり方があると思うので,それは具体的に私もまだちょっとそのアイデアは,突然こういうふうに朝日新聞の夕刊を見てびっくりした後なので,そんなにまだ具体的にないんですけれども,さっき古川委員がおっしゃったように,青少年の教育というか,いろんなワークショップでもいいんですけれども,やはり何かの催しというものをこのセンターの中で続けていくということが定期的にあるといいなというふうに思っています。今のところそんな感じです。

○浜野座長

 私が20年来ずっとこういうのが欲しいと思っていたので,思いがかなりありますが,やり方次第で成功すると思います。既にお話は出たと思いますが,まず一番初めに名称だと思うんです。これはこれでいいのかもしれませんが,愛称が非常にチャーミングで,口の端に乗りやすい,チャーミングな名称がつくようになることが大事ですね。それも,自然発生的にね。
 アカデミー賞だって,Academy of Motion Picture Arts and Sciencesで,そんな長いこと言わないでオスカーとかと言ってしまう。それと既に指摘があったように,やっぱり場所が重要だと思います。お台場と書かれると,どうしてもそこに引っ張られてしまうけれども,それがいいかどうかというのは検討の余地があるだろうと思います。
 ミュージアムは,街中にあれば,それで半分成功みたいなところがあるので,ジブリはすごく離れていても60万来るじゃないかというんだけれども,大変苦労しています。
 それで,先ほど長官がおっしゃったように,建物が大事です。長官がフランク・ゲリーのことをおっしゃったので関連しますが,私がこういうエンターテイメントのミュージアムでよくできていると思っているのは,シアトルのEMPという,ポール・アレンというマイクロソフトの創業者がつくったロックンロールのミュージアムです。フランク・ゲリーに設計させて,外壁は全部アルミニウムです。側から見ているとわからないんだけれども,上空から見るとジミー・ヘンドリックのギターをつぶした形になっています。格好いいんですが,だれもそんなもの見られない。でも,そのこと自体がストーリーになるわけです。展示とか,キャラクターグッズとかも優れています。

○青木長官

 そういうもの,一つもないからね。

○古川座長代理

 皆さん,シネコンパはできないんですかね。

○浜野座長

 すばらしい建築家が日本にいっぱいいる。

○古川座長代理

 いるからね。テジマさんとかいるじゃないですか。

○中谷委員

 場所に関しては,お台場というのは,先生はいいんですか,悪いんですか。僕はよくわからないんです。

○浜野座長

 これは私の個人的なお願いですが,メディア芸術祭もそこでやれて,企画展もやれて,ほかのイベントも,例えばメディア芸術祭功労賞,ライフアチーブメントアワードがあって,格調高く国際的な式典になったらいいなと思うのですが,お台場でいいのかということになります。正装でモノレールに乗っていくのかとかといった,些細ですが結構大事な問題が出て来ます。

○中谷委員

 さいとうさんは,あまりよくないと思いますか。

○さいとう委員

 何かちょっと,お台場というとフジテレビという感じがあって,何かちょっと。

○石原委員

 イコールお台場みたいな,それはちょっと違うんじゃないかな。

○さいとう委員

 もうちょっと都心の何か,本当に国立美術館のもうちょっとその辺にあるとすてきと思うんですけれども。

○石原委員

 事務所が六本木ヒルズに引っ越しましたけれども,ヒルズはいいところがあると思いますよね。あと,ミッドタウンですかね。あのあたりは,やはりいいです。

○浜野座長

 建物が例示されたのがひっかかります。すごく堅実な,いかにも役所的なイメージなので。これで決まってしまうのかなと思って,びっくりしました。それと,前からずっとやりたかったのは,皆さんが言われている財政の件ですが,命名権を活用すればいいと思います。メディア芸術に貢献された手塚先生とか,ゲームの宮本茂さんの名前を関するとか,アメリカの映画人のように,遺言でこういった施設に寄付するとか。

○古川座長代理

 任天堂に寄附とか。

○浜野座長

 この領域というのは,他の表現よりは豊かなので,欧米の施設によくある寄附をした方のプレートや,命名したスペースを作ればいいと思います。施設中が,ウォール・オブ・フェイムになれば,いいなと思います。

○さいとう委員

 手塚館とか,宮崎館とか,何かそういうふうにちょっと1つずつ独立しているとか,何か個性があるとおもしろいですね。

○浜野座長

 アニメーション業界は,この施設ができれば助かるでしょう。溢れかえるセル画を良好な環境で保存してあげれば,喜んで寄託するはずです。

○さいとう委員

 うちにもあります。保存場所がないので置いてほしいと言って,オークションに出したくないので,大事なセルだけ持っていてくれと言われて,うちにあるんですけれども。

○浜野座長

 まず第1号で。

○さいとう委員

 そうですね。

○浜野座長

 寄附じゃなくて預けるという形をとれば,本当にいいものが集まると思います。

○中谷委員

 それにしては,スペースが狭いです。

○浜野座長

 そうですね。

○古川座長代理

 何を目玉にして,考えないと,スペースのことがありますよね。

○中谷委員

 言い残すと残念なので,すごく地味な存在なんですけれども,メディア芸術の拠点として大事なのは,メディアというのは,そもそも日々進化しているもので,メディア芸術というのは新しいテクノロジーとどうしても密接な関連を持っているんですけれども,そこで大事なのは研究機能というか,研究機関ってやっぱり切っても切り離せないメディアセンターというところにおいて,成功するポイントはやっぱり研究機関がしっかりしていることだと思うんですよね。いろんなところの例を見ても。
 なので,どうしても地味になっちゃうんですけれども,観光の振興とか産業の振興とか文化の振興,すべて成功させるためにも,ぜひ研究機関の存在をしっかりと固めたいというふうに常々思っています。

○浜野座長

 具体的にはどういう感じですか。イメージとしては。

○中谷委員

 どこにも,ある種のそういうものはある。それはセンターという研究機関があって,研究者がいるわけです。ですから,その研究者をどっと新しく集めるというのはなかなか難しいかもしれないですけれども,例えば東大とか東京芸術大の国立大学に研究者がいるわけですね。そういうところと密接な連携をとって展開していくことは可能なのかなという気はするんですね。
 ここから新しいメディアテクノロジーを使った表現がどんどん出て行くようになれば,まず世界からは,日本のバーチャルリアリズムにしても何にしてもすごく,かつての議論でもあったように進んでいますので振り向かれる,観光のポイントにもなってくるんじゃないかと思うので,ぜひ忘れないでいただきたいと思います。

○浜野座長

 例えばアメリカのロサンゼルスにあるフィルム・スクールでは,優秀な学生を集めて毎週,スニーク・プレビューをやります。業界との連携が人材育成が自然とできます。それで,日本で個別の大学だけでやるのは難しいわけですが,そういう場でアニメーションとか映画の業界人とそれを目指している人が交流ができれば,キャリアパスにもなります。
 アニメーションのオープニングのイベントとか記者会見というのはここでやるのが通例になれば,収入も期待できるし,ゲームの発表会もここでやれるようになれば,いいかなと思います。

○中谷委員

 そういう意味ではナショナルミュージアム構想じゃなくて,センターになったことで研究機関っぽく名前がなっているので,ちょっと安心したんですけれども。

○浜野座長

 いろいろアイデアはありますが,資源もお金も有限なので。

○古川座長代理

 問題は,始まってからちゃんとそれがいろんなイベントがしょっちゅう行われて,活気のある場所で,若者もみんな来て,外国の観光客も来て,そういう場所になれるかどうかですよね。

○石原委員

 ここは,学芸員はいるんですか。

○古川座長代理

 当然,いるんですよね。

○浜野座長

 いないわけないですね。

○石原委員

 そうですね。中谷さんがおっしゃったように,研究機関でそこに研究員として着任できるという設備と,やはり学芸員的な存在のコラボレーションは非常に重要だと思われますし,特に美術館であれば,意外とプレゼンテーションも一様で,彫刻を飾るか絵画を展示すればいいんですけれども,やっぱりメディアアートの場合はプレゼンテーションがすごくバリエーションが多いですから,いつもメディア芸術祭の展示会を見ていると,よくぞここまで工夫して展示したなと思う部分と,やっぱりアニメや映画は上映することでしか見てもらえないし,ゲームソフトはそこら辺のを触ってくださいになるし,漫画は置いてありますから閲覧してくださいということだと,それはちょっとメディア芸術センターじゃないんじゃないかなとやっぱり思ってしまうんですね。それだったら図書館へ行けばいいじゃないとか,映画館へ行けばいいじゃないという話になるので,そこであるべきプレゼンテーションや映画を見せるとはこういうことだとか,ゲームを触るというのは最新のゲームを遊べる環境であることではなくて,むしろ例えばゲームを構成しているドット絵はこのように描かれるとか,漫画を構成している絵はこんなふうな考えで形成されているとか,そういったところも触れながら,つくるおもしろさと見る楽しさということが体験できるためのプレゼンテーションは何だろうとか,そういうのをイメージしたときに,何かここの設備のプレゼンテーションする,あるいは出し物を考える学芸員といいますか,それが一番重要な役割なんじゃないかなというふうに思ったんですね。
 見せ方が多様なので,そこがちゃんとできないと,本が積んであるだけではと思うし,ゲームソフトが置いてあっても,それは置いてあってもしょうがないということになりますからね。そこをどのように見せていくのか,楽しませるような仕掛けがあるのかというところが一番の工夫のしどころだし,メディア芸術センターの一番重要なポイントになるんじゃないかなと思いました。

○浜野座長

 ほかに補足すべきことはないですか。大体一巡しましたが。
 では,せっかくなのでオブザーバーの方にも。それで,まず阿部さんからお話を聞きますけれども,ことしのメディア芸術祭は何日で,どれぐらいの集客かと言われた,それはあてになるわけですね,60万人の。そのことも含めて,ちょっとコメントしてください。

○阿部氏

 メディア芸術祭を12年間,事務局としてお手伝いさせていただきまして,年々規模が拡大し,この2月に行ったメディア芸術祭のほうでは11日間で5万5,000人の来場がありました。大体1日当たり約5,000人の来場です。それが,こちらのほうの数字の根拠にもなっています。
 1日平均5,000人というのが大体どれぐらいの規模かといいますと,いわゆる美術館,博物館の展示の中では1日当たりで見ていくと,現代物としては断トツの多さです。ジブリ展,東京都現代美術館のほうでは,毎年夏にスタジオジブリさんの協力を得たいろいろなレイアウト展であったり背景画展とか,いろいろ行われていますけれども,そういったジブリさんの企画されている展覧会よりも,実はメディア芸術祭来場者数は多いと。圧倒的に多くて,当然無料であるとか,入場制限しているとか,そういったことはあるんですけれども,非常に大きい数字になっています。なので,個人的にはこの60万人という数字を見た時点では,60万人だったらいけるなと,これぐらいで。もちろん,場所にもよるんですけれども,60万人ということの重たさというのは,それほど私自身は感じはしませんでした。
 今まで,先生方がおっしゃられたとおり,本当にやり方とその場所とか,そういったことをきっちりと考えていけば,この数字というのは現実的,さらにもっともっと大きい数字というのはできるだろうと思います。まず人数的なところではそんなところです。

○浜野座長

 全体的なことで何かありますか。

○阿部氏

 映画とメディア芸術連携のところで,私も連携したほうがいいと思うんですけれども,1つだけちょっと,世界とか海外の事例とかを考えてみたときに1つあるのが,ベネチア・ビエンナーレというのがアートの世界では一番古いフェスティバルだと思います。ある時期まではベネチア・ビエンナーレの中に映画部門というのがあって,映画が一緒くたになって紹介されていたんですけれども,ある程度の規模になったときに,ベネチア映画祭という形で独立してできてきた。
 ベルリン映画祭では,メディアアート的なことをやっていこうということで,その部門が独立してトランスメディアーレというフェスティバルが始まりました。カンヌ国際映画祭が独立してアヌシー国際アニメーションフェスティバルというのができたりとか,新しい領域の文化,芸術を育てようとしたときには,既に大きく成長している文化,芸術とは,ある程度切り離してあげることもある種必要であると思います。もちろん連携をとっていく,過去のいろんな文化を吸収しながら伸ばしていくということは大事なんだけれども,やっぱりある程度新しいジャンルを分けてあげることによって伸びるという要素もあることは,検討していただきたいと思います。
 あと,いろいろ言いたいことは,私も思いがあってあるんですけれども,流れ的にはこの10ページに書かれているアルス・エレクトロニカの例と非常に似ています。アルス・エレクトロニカというオーストリアで行われているメディアアートのフェスティバルは,1979年に始まりまして,87年からアワードができ,それの実績を踏まえてセンターが96年にできた。今回のメディア芸術センターについても,メディア芸術祭を何回かやって,その盛り上がりを受けて,そういったセンターをやってはどうかというふうな話ができたので,非常にこのアルス・エレクトロニカ・センターの設立の流れに似ているなと思います。
 3年間でつくらなければいけないというと,恐らくいろんな世界じゅうの施設とかを研究してつくっていくことになると思うんですけれども,やっぱり模倣してはだめだと思うんです。これは石原先生がおっしゃられたとおり,やはり日本人が見せたい,日本人が自慢して誇りを持って見せられるもの,また世界が見たいと思ってもらえるものというふうにやっていかなければいけないので,世界の事例は研究しなければいけないけれども,決して模倣したものになってはいけない。日本独自の,日本ならではの,日本の新しい文化がここから生まれる,新しい文化がそこに行けば見られるだといったものにいろいろ中身を工夫してやっていかなければいけないし,石原さんがおっしゃられたようなその見せ方,プレゼンテーションのところは非常に工夫していかなければいけないというふうに考えています。要約すると以上です。

○浜野座長

 それで,例えばメディア芸術祭の展示というのをここでやるとしたら,これは建物全体で1万平米と書いてあるんだけれども,展示スペースはどれぐらいですか。

○清水芸術文化課長

 1万平米を考えたときには,展示スペースとしては2,000平米程度,これは今のメディア芸術祭が展示できるようにということで考えておりますので,メディア芸術祭は新しいものができた際にはここでできるようにという考え方ではございます。

○浜野座長

 そうですか。
 次にVIPOの石川さんにお聞きします。最初にアカデミー賞のことを書いていますが,アカデミー賞の式典をやるコダック・シアターは2,200席あります。これまで東京国際映画祭やっていた,有楽座でさえも1,200席しかなく,今映画祭をやっているTOHOシネマズも1,000席ないですよね。

○石川氏

 六本木ですか。

○浜野座長

 ええ。

○石川氏

 あそこは700席ぐらいですね。

○浜野座長

 カメラ中継の利便とか,もちろんぜいたくを言えばキリがないのですが,国賓の方を呼んで上映もできて式典ができるホールが,実はこの首都に1つもありません。映像系のイベントをやるたびに,もう少しいいホールが欲しいと,私は素人なりに思います。

○石川氏

 今ホールということでいうと,東京フォーラムぐらいですかね。場所的によくて大きいかなりのボリュームを持っている。あそこの一番大きいのは5,000席になっちゃうので,逆に大き過ぎて大変だというところですけれども。
 私もこのお話を伺いまして思ったのは,どちらかというと中身のほうとはちょっとするとしてというか,これを読むと,すべてのメディア芸術を扱うということとアーカイブなんかも入って,アーカイブというか資料の収集・保管ということが入ってくると,やっぱりどこかで何か柱をつくらないとなかなか,すべてというと本当にありとあらゆるものが,本当にできるのかなという,ちょっと大変だと思うので,その辺のどういうものをやっていくという企画,運営というところをしっかりしていかなければ多分,これからいけないんだろうなということを感じたのと,あと,やっぱり場所とその施設自体の運営というところが大変だろうなというのを感じています。それで60万人という動員で,その上がってくるお金で本当に回るのかなというところがかなり大変だと思うので,その動員だけじゃなくて,やっぱり何かその運営資金を生み出す仕組みを,せっかくかなりの予算で施設をつくるわけですから,それをうまくお貸ししたり,その中で来場者が60万人というのは本当に,1日5,000人というとかなりの人数だと思うんですけれども,60万人は1週間5,000人ぐらいですか,そうすると,そんなに大したあれではないので,なかなかその中で生み出すのは難しいんでしょうけれども,場所もうまく考えていただいて,そういうものが生み出せる施設ができるとやっていけるのかな。
 1つは,お台場に関して言えば,イメージとしてはやっぱりお台場というのは,今はどちらかというと観光地だというような印象がございます。私も仕事の関係でそこで,大体の力関係は何となくわかるつもりなんですけれども,そこでそういう人を集めて商売してなかなかつらい場所ではあるのかなと今思っておりますので,やるのであればかなり工夫をしてやっていかないと大変だなと。この施設だけでやっぱり人が呼べれば一番いいですけれども,なかなか一本のものだけで呼んで成り立つというものにするというのはかなり大変なんじゃないかなと。それで運営ができるというほど呼べるというのはかなり大変じゃないかと思いますので,やっぱりほかのものがあって総合的に人が集まれるような場所ができると一番いいのかなというふうな印象を持ちました。
 あと,やっぱり展示していくものも美術館という過去に向かって集めていくということじゃなくて,メディア芸術というのは,これから未来に向かっていろいろなものを収集したり,人を育てたり,海外に向けてもこれから先の日本も見ていただくような発信をしていくということになっていくんでしょうから,そういうイメージで何か新しいものをつくっていただきたいなというふうに感じました。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。岡島さんは,フィルムセンターの立場で言いづらいなら,個人的な立場で結構ですから,ご発言いただきたいと思います。

○岡島氏

 東京国立近代美術館の映画部門であるフィルムセンターの人間としてというよりは,映画,映像,メディアの研究者として言えば,写真,映画,テレビというふうに歴史的には発展してきたものがあって,メディア振興法という法律の中ではなぜか映画はメディアに入り,写真はメディアに入っていない。なおかつ,テレビについての言及は,この法律はあまりないような印象を受けています。
 そういう意味では,なぜ映画だけが写真,テレビを除外してメディアの中に入れられているのかが,私自身は研究者として前からよくわかっていません。とはいえ,映画はメディアの仲間だろうと言われれば,確かに仲間には違いないんですが,映画界あるいは映画ファン,映画をつくっている人たちのかなりの多くの人たちは,あなた方はメディア芸術をつくってますよと言われて,それほど幸せであったり違和感なくそれを受け入れることができるかというと,ちょっとそれは違うような気も実はしています。それは,私の研究者としての意見です。
 フィルムセンターとして言えば,フィルムセンターの意見はこの委員会で高野悦子委員,元フィルムセンター名誉館長がヒアリングで言われたこと,つまりフィルムセンターはやはり独立すべきであると。映画一つのものとして独立してすべきであると。その場合には,国立という名前と映画という名前は外さないでほしいと,こういうふうにおっしゃったわけで,この立場はフィルムセンターとしては,まさにそのとおりだと思っておりますし,変わっていないし,まだその気持ちはあるんだろうというふうに思っております。
 それから,フィルムセンターはこの4年ばかり政治家の方々にもたくさん見学に来ていただきまして,先週も副大臣,先々週も大臣に見ていただきまして,フィルムセンターがまだ世の中に知られていないであろうということについてはご批判をいただき,また叱咤激励されたわけですけれども,その中でもやはり,そうした方々がフィルムセンターはまず映画として独立すべきなんじゃないかということをおっしゃってくださいます。
 そういう意味では,やはり私はその線を今後も希望を持って守りたいというふうには感じております。なお,メディア芸術センターができて,その中で映画の上映をしたり,アニメの上映をしたり,フィルムセンターが持っておりますたくさんの映画に関するポスター,写真,そういうものを展示する,これはどんどんやればよいし,そういう施設をあらかじめ備えておくことを排除する必要は全くないと思いますが,何かフィルムセンターがここに参加すべきだとか,あるいはメディアなんだから一緒だろうという議論については,多少の違和感を感じていると言わざるを得ません。
 以上です。

○浜野座長

 どうも貴重な意見をありがとうございました。最後に甲野さん,お願いします。

○甲野氏

 独立行政法人国立美術館がこの施設を設置するものとすることが最も適当であるという形で運営主体,この報告書(案)の中には書いてあるわけでございますけれども,そのような形でこの独立行政法人国立美術館が言及されていること自体は非常に光栄なことというふうには思っておりますけれども,他方でやはり心配ごとがないのかといえば,若干はあるのかなという感じはするわけでございます。
 さまざまな活動を行うという形で,この文書の中には書かれておるわけでございまして,例えば人材育成の話もここで議論が今ありましたし,また調査研究も大事であるというようなお話もございました。およそ,収入がそんなに見込めるような活動ではないわけでございます。
 そうした中,具体的に収入のあてはどういうところで生み出したらいいのかということにつきましては,この報告書の中では自己収入でということで,入場料のほかさまざまな手当を考えられているわけでございますけれども,やはりなかなか採算がとれない事業というものも国立の施設としてやっていかなければならないというふうに考えた場合には,そこのところの財源がきちんと手当がされているということが必要でございます。
 もちろん,さまざまな事情でなかなかほかの美術館が運営しているような運営費交付金ですとか,そういう形では出ないということで自己収入ということが打ち出されているのかと思いますけれども,例えば刊行物や関連商品の販売ということでしたら,販売のためのスペースというのはちゃんとあるのかですとか,施設の貸し出しでしたら,そういうスペースがあるのか,あるいは企業の協賛金や寄附金の募集ということでしたら,それはどのような形でそれを求めていったらいいのか,今後恐らくこの委員会の報告書をもとに文化庁のほうでさらに具体的な検討がなされると思いますけれども,そういうところが詰められていくのではないかと思います。
 そういうようなことを私どもとしては大いに期待をするところでございますし,またそこのところがきちんとなされてこそ,外部委託という話もありますけれども,うまくどこかの団体に引き受けてもらえるのではないかなというふうに思っているところでございます。
 ただ,いずれにいたしましても,メディア芸術というような分野が何らかの形で国立の施設でやっていかなければならないというのは大変な重要な役割ということでございまして,国立美術館がということを言われているわけでございますので,そこは真剣に受けとめなければならないと感じておるところでございます。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。
 産業に寄与する緊急経済対策ということでこれだけスピードアップしたことで付け加えれば,観光面でも大事だと思います。長官がおっしゃったように海外の人に一番聞かれるのは,全体的なことが見渡せるセンターはないのかと必ず聞かれるわけです。今幾つかの旅行会社がクールジャパンツアーといったものをやっていて,調べたことがありますが,大体ルートは決まっている。
 ジブリ美術館から中野のサンロードのまんだらけか,池袋の乙女ロードに連れていって,裏原宿へ寄り,渋谷の109か新宿のマルイワンというのでコスプレセンターみたいなところに連れていくこともある。トータルな理解なしに,見た目のおもしろいところが選ばれている。まずここから出発ということができるので,大変観光面にも寄与すると思うんですね。
 外国の文化人の方も私も頼まれて連れていくことがありますが,個別に見ると表面的面白さだけで終わるのですが,歴史的文化的文脈で示した後で個別に行けばいいのですが。
 それで,もう一言ずつ言って終わりたいと思うんですけれども。

○阿部氏

 1つだけ言い忘れたことがありましたので,それだけちょっと。場所を考えるときに,やはりその保存,アーカイブする機能と見せる場所と一緒くたで考えると,やはりかなりのスペースが必要で限定されていくと思うんですけれども,決して保管する場所と見せる場所と同一の施設でなくてもいいと思うんですね。保管する場所は例えば埼玉の山奥のほうにあって,見せる場所は都心にあるというふうな考え方もあると思うので,そういった分離して考えるということも一つの考え方としてどうかなというふうに思いました。それだけちょっと言い忘れておりました。

○浜野座長

 それで,最後にこれだけはというのを一言ずつお聞きしますけれども,これが報告書が出て,これが出た後のプロセスというのは,どういう感じになるんですか。進行を説明いただけますか。

○清水芸術文化課長

 まず,この検討会は今回が最終回ということではなく,今回は基本構想ということで急ぎ出していただきまして,これに基づきまして,もちろん補正予算(案)として固まり,また予算が通るということでないと実際に実現できないわけでございますけれども,予算がしっかりと通ったということでありましたら,今回の報告書,またきょうのご議論などを踏まえて,政府,文化庁でさらに詳細な検討準備を行っていきたいと思っておりますが,最初も話が出ましたけれども,施設をつくるということで一定の期間がかかると思いますので,通常考えれば2年から3年ぐらいまではかかっていくと,オープンするということで考えると思っておりますので,その間随時,検討状況につきましては,またこちらの検討会にもご報告させていただきまして,さらに詳細なご意見とか,またアドバイス,アイデアをいただければと思っているところでございます。
 一般的に言えば,場所が決まっておりませんので,場所を決めるところから始まりますけれども,単独で建てるのか,ある程度一体的にやっていくのかというようなこともまず最初になるかと思いますけれども,そういったことを決めて,また建物も,場所が決まれば建物の設計等を決め,またそれと並行して運営方法について考えていくといったような手順になると思っております。

○浜野座長

 きょうが最後ではなかったということで。

○清水芸術文化課長

 いろいろとまだアドバイスをいただきたいところがたくさんございますので,引き続きお願いをしたいと思っております。

○清木文化部長

 通常はやっぱり構想をきっちり練って,場所をどうするかなどをきっちり積み上げてきて,それから予算措置というのが今までの進め方かもわかりませんけれども,今回こういう急な展開なものですから,その辺がちょっと逆転しているところがあると思うんですけれども,運営費をどうするか,あるいはフィルムセンターとの関係をどうするか,課題はたくさんあるんですけれども,いずれにしても両方を並行して進めていくしかしょうがないのかなと思っております。
 それと,この検討会でまた適宜報告させていただきたいとも思いますし,またそれぞれの具体的な検討の際には,各分野の専門家のご意見も聞くような機会もこれからつくっていかないといけないというふうに思っております。

○浜野座長

 我々は必要性とか日本の事例ばかり検討してきましたが,海外には優れた事例があるし,二番煎じはつまらないし,誇らしいものとするために,海外の事例も調べなければならない。シアトルのEMPは本当にすばらしい。
 じゃ,古川先生から一言。

○古川座長代理

 私は先ほども言いましたけれども,何かやっぱり中で熱い,メディア芸術に熱い人たちにちゃんと適材適所にいて働いてほしいというか,例えばパリのフォーラム・ド・イマージュというところがあるんですけれども,そこなんかは結構地味でレ・アールのところにあるんですけれども,そこで例えば日本の学生のアニメーションの特集をやるというだけで,そこの学芸員がちゃんと自分がやってきて,ちゃんとその辺にとまって,ちゃんと見るんですよ。1本ずつ全部見て,自分の中でちゃんとチェックして,自分でプログラム組んでやるんですね。そのぐらいに,やっぱりそういう地味だけれども,ちゃんとそれにはそういう予算がついているわけですから,そういう熱い人たちに働いてもらう場所であれば,そこに熱い若者たちもみんな集まってくるし,それが本当にメディア芸術のメッカになるんだろうと思いますので,ぜひでき上がった後もその辺のところをちゃんとやってほしいなと思います。

○浜野座長

 インターン制度を活用したらおもしろいかもしれませんね。

○古川座長代理

 うん。

○浜野座長

 じゃ,石原さん。

○石原委員

 私は,国の運営とは全く真逆の方向性も放送すると,どうしてもその商売をしている者としては,これだけの機能,設備を持った箱がもうけちゃいけないのかというか,漢検のようにもうけるべきではないとはあるかもしれませんけれども,あれはでも僕はすごくいい仕事をしていて,使い方やその私物化が問題なのであって,僕はこういうものができたときにはあそこはもうかっていると言われることが,むしろもし自分がそういうセンター長になるのであれば,もうかっている施設をやっているというぐらいの気持ちでやりたいと思うし,だから,お店の出店と同じように考えて申しわけないですけれども,やっぱり坪単価,客単価を考えて,最低このぐらいの平米数でやるんなら年商30億から50億はないとやる気がしないなとか,そんなふうな発想になってしまいます。私の職業柄といいますか,そんな思いで。なので,ここで計算されているシミュレーションというのは非常にナンセンスに感じるというところがあります。
 それと,感想になってしまいますけれども,先ほど岡島さんがおっしゃられた映画に従事されておられる方は,やはり自分がメディア芸術に携わっているということに関してどうも違和感があるだろうし,そう思っていないはずだというか,いないところがあるだろうというのはまさしくそのとおりだなと思い,同時に私も,例えばゲームエンタテイメントとか,あるいはアニメ作家の方が考えて自分がメディア芸術に従事していると思っている人がいるかというと,多分いないと思うんですね。多分,私はそんな高尚なことはやっていませんよ,ゲームをつくっているだけですからというような感覚で見ると,実を言うとメディア芸術に携わってその振興の一翼を担っていると思っている人は,日本にはほぼいないんじゃないかなというのが僕の感覚です。
 なので,これは繰り返しになりますけれども,第1回目の検討会で僕がメディア芸術センターとかではなくて,そこにあるコンテンツをそのままつなげた名称,例えばアニメ,ゲーム,漫画何とか何とかと長くなっても,みんなわかりやすいのはそういう名称なのではないかという思いを,先ほど岡島さんがおっしゃったことでさらに意を強くしたというか,メディア芸術センターってどうだろうというふうにちょっと思ってしまいました。
 以上です。

○浜野座長

 民間委託の経済活動で利益を上げちゃいけないというわけじゃないんですよね。

○清水文化芸術課長

 そうですね。もちろん,もうけの使い方ということになると思うんですが,初期投資を国が出しているということがありますので,全部それを民間が取っていっていいのかという議論に,そういう国民感情としてなる可能性はあると思うんですが,ただ,方向としては民間に委託をして民間の発想でやってもらうということが今の時流としては,むしろ合っていると思います。

○石原委員

 これだけ価値あるものを見せるんだから,このぐらい金は取りたいと,1,000円とか1,500円取りたいというぐらいの気持ちでやるべきという思いと,ただ,一方で一銭も出したくないと思う人にとってもちゃんとそれが見れるような仕組みがつくれるかと。例えば,こういうプレゼンテーションとこういう説明があれば別にお金なしでもいい。でも,普通にアクセスする人は,このぐらいのお金を払って,このぐらいの価値があると認めて,どんどんそこにお金を使おうじゃないかというような仕組みを僕はつくれるような気がして,そこで入ったものをもちろん民間がそのまま利益とするのではなくて,いかにそれを再利用していくかというイメージなんですけれども。

○浜野座長

 これは思いつきですが,例えば館長とは別に,名誉館長というか運営コーディネーターを定期的に代える,高名な漫画家の先生が1年間いるとしたら,結構チャーミングかもしれない。

○石原委員

 この半年はすごく漫画が入って,この半年はすごく映画に力が入ってと,そういう何かこう,あれが欲しいと思います。

○浜野座長

 そのぐらい個性があってもいいかもしれませんね。さいとう先生が1年間そこにいるとおもしろい。さいとう先生。

○さいとう委員

 そうですね,今のはよい感じですよね。漫画界には非常に高名な,でも今はあまり仕事をしていらっしゃらなくて,お暇のある先生方もいらっしゃると思います。私なんかは別にして,そういう方だったら,もしかして喜んで館長のような役目も引き受けてくださるような気がするので,客寄せにもなっていただき,講演会なんかの漫画のお話もしていただければ,とてもステキなのではと,今,失礼ながら思ってしまいました。漫画家の立場で言えば,漫画はどうしてもコスプレとか,何か派手な目を引くようなところで話題になってしまうんですけれども,ここはメディア芸術センターということで,漫画目当てで来た人たちが,ほかのメディアのおもしろい部分をいっぱい見てくれて,魅力を感じたり新しい発見をしたり,何かを学んでくれる場所になるのではないかという予感がすごくしています。私は,漫画の個性を作る上で必要なのは,漫画以外のメディア芸術からの影響を多く受けることだと思っているので,そういう意味でも期待しています。漫画で目立つ展示があるのもいいけれども,やっぱりほかの部分もすごくインパクトのあるものが3つ4つぐらいあってくれれば,全体としてとてもおもしろいものになるのではないかなと,今とてもいい気分でいます。また,是非そういうふうになってくれるように祈っております。

○浜野座長

 じゃ,中谷さん。

○中谷委員

 メディア芸術という言葉は世界に類を見ないユニークなジャンルで,漫画とかアニメとかゲームとかが牽引していくジャンルだと思っていて,私も長い年月をかけてこのメディア芸術という言葉を自分で納得させた経緯があって,その中に映画というものも入って,総合的に日本のオリジナルなジャンルができて,これは世界に売っていけるかなというふうに思いを固めたところに,ゲームや映画を初め,うちは違うよというふうにささやかれちゃうとすごくショックを受けてしまうんですけれども,それはそれでそれぞれ思いがあられるので,私は何ともそれに対して言うことはないんですけれども,ただ,やっぱりせっかくこの新しいメディア芸術という分野が立ち上がって,このようなセンターができるということなので,ぜひ皆さん心を一つにして,日本独自な世界を世界に広めていくような方向になればいいと思うし,そういうつくり方をこのセンターに求めたいというか,という感じで今のところは。

○浜野座長

 理念を今おっしゃったけれども,具体的な提案はありませんか。

○中谷委員

 僕はメディアアートという,また違うマイナーなジャンルが担当なものですから,これを盛り上げるにはゲームの力とかやっぱり漫画の力をかりて,どんどん引っ張っていっていただいて,将来的にはどんとしたジャンルになればいいなという思いが強いものですから,ぜひ皆さんご支援を。失礼しました。

○浜野座長

 じゃ,最後に林委員。

○林委員

 とにかく,このメディア芸術の検討会に参加委員として参加させていただいて,もう少し時間がかかるだろうとずっと思っていたことが,急に政府の緊急予算で措置されるということで,実現が間近になったということは本当にうれしいですよね。そのことはやっぱり,みんなで喜ぶべきだというふうに思うんです。その上で先ほど,私は2つのことを申し上げましたが,運営予算の件に関しては,まさに清木部長がおっしゃったようにこれからのテーマだと思うんですが,財政措置,予算手当ということが明確になっていないと,本当に箱物行政と言われかねないようなまだ段階だと思いますので,民間が参画するということはいいことだと思うんですが,民間に自己収入を中心として運営をリスクまで含めて持たせてしまうということまでは,やっぱりなかなか本当のところ難しいんだろうと思うわけで,公設民営というのはどういうスタイルでもってお金を得るのかということをこれから慎重に検討していただきたいということが1つです。
 それから,もう一つは,フィルムセンターの件はもう出ましたので何度も言いませんが,映画には日本の固有の位置づけがあると思うんですね。文化庁的にはメディア芸術という中に映画が入りますし,それから経済産業省的にはコンテンツ産業という中に映画が入る。ところが,通常ほかの国ではやっぱり映画というのは,これは独立した映画という文化であって,さっき申し上げたようにフランスにせよイギリスにせよ,そこに膨大な予算と人を投下してやはり自国の映画文化を守る。これは,映画というものが,今回の「おくりびと」で一躍注目を集めていますが,これは近年のソフトパワーとかジャパンクールだけの問題ではなくて,日本という国の歴史だとか文化だとか,そういうものを知っていくためにも,映画はとてつもない国の財産だと思うんです。だからこそ,フィルムセンターというのが国の映画専門機関としてたてられているわけですから,今回メディア芸術センターの話が具体化したことによって,逆にフィルムセンターの独立化ということをどうしていくのか,あるいは我が国の映画専門機関のありようをどうしていくのかということを,この議論のプロセスの中に加えていただいて検討をお願いできないかということをもう一度強調しておきたいと思います。
 それから,最後に場所のことだとか建物のことだとかの議論がありますが,私は場所がどこか,建物がどんなデザインかということを考えるに当たっては,例えば民間のデペロッパーみたいなところと連携すべきだと思います。というのは,幾ら建物が立派でもぽつんとそれがどこかに立って,まちのにぎわいがないところにあっても,これは風化してしまいますし,集客ということを考えたときには,そこにまちのにぎわいが必要でしょうし,加えて,例えばレストランだとか飲食だとか,そういったものもちゃんと隣接しているようなところにつなぐことによって集客というのが総合的になされていくと思います。
 そうやって考えていくと,大体,東京なんかはそれこそ大手の三井不動産とか三菱地所とか森ビルみたいなところが都市開発を行い,その中に美術館とかライブハウスとかを入れていくという経緯もあるわけですから,わかりませんよ。場合によっては別にメディア芸術総合センターだけ立派なものをつくらなくても,どこかの建物の中に入って,ちゃんと中がすばらしいものであれば人は来るわけですから,そういったことも含めたこの後の民間との関係づくりみたいなことを進めていっていただければなと。
 そのときには,ぜひ今申し上げたように入場料収入だけでやっていけないという側面もあるからあえて言いますけれども,物販をどうしていくかとか,あるいは飲食というものとどう絡んでいくのかとか,それから周辺に何があるのかとか,全体としてまちがにぎわって集客されていって,そこに外国人も来て,そしてメディア芸術総合センターにも人がたくさん入ってくる,それによって自己収入も潤っていくみたいな構造をトータルに考えていくような,そんな形で民間との関係をつくっていっていただければなというぐあいに期待しています。

○浜野座長

 朝日新聞の記事を読んだときに,うれしいと思ったのは,マルチメディアということから始まったCD-ROMの作品を,いつか役にたつこともあろうと,私は捨てないで持っていたのですが,やっと寄贈できるところができそうだということでした。こういう施設ができれば,アニメーションでも,個人表現でも,私と同じことを思っている人はいると思います。
 実現の可能性が高いとは思っていなかったので,こんなうれしいことはありません。1年間議論したのを集約し,今回のことでさらにボリュームアップしていますので,ぜひ頑張っていただきたいし,委員のほうもできるだけ協力を惜しまないつもりです。いろんな方の参加をあおぎ,成功させたいと思いますので,事務局も大変でしょうけれども,よろしくお願いいたします。
 議論が散逸してしまいましたけれども,思いは同じですので,よろしくお願いします。
 最後に,もう一度,長官のほうからぜひごあいさつをお願いいたします。

○青木長官

 どうも,皆様,去年の8月以来6回にわたってこの検討会を開いていただきまして,まことにありがとうございました。本当にお忙しい人ばかりで,座長の浜野先生初め皆様の本当にすばらしいご意見をきょう拝聴しまして,これは全部役に立てるような内容だと思いました。
 こういう予算が急につくというのもあれですけれども,こういう機会というのは,まず今後50年は来ないでしょうね。100年は来ないかもしれませんね。しかも,だって今まで国立系の美術館というのは5つしかないわけでしょう。それで,しかも東京に3つあって,今度4つ目の関連施設ができるわけですから,これはやはりよほど頑張らないと,通常のものでまたかというようなものではやっぱり困るので,きょうはいろんなアイデアが出ましたし,その運営の仕方ももちろん大事ですし,場所は,これは本当に大事ですね。それから,もちろん建物そのほか,浜野座長がおっしゃったように,やっぱりシアトルというと,それに行くとかね。僕はシアトルへ12月ごろワシントンに呼ばれて行ったんだけれども,それに気がつかなかったね。映画はよく見たけれども。大学の近くにいて。だから,それをぜひ今度は見たいと思いますね。そういういろんなアイデアがありますので,ぜひそれを皆様の英知を結集していただいて,また文化庁にいろいろと言っていただいて,それでやっていきたいと思います。
 それから,もちろん文化庁だけではできないと思います。民間というのだけではなくて,経産省とか国交省とか,いろいろと名前が出ました関連的な省庁とも協力してやっていかなくちゃいけないと思いますが,これは日本を活性化させる最大の力の一つだと思うんですね。それから先ほど出ましたように,やはり見ていると韓国やら中国やらシンガポールやらと,物すごくこのメディア芸術というのは新しいから,さりながらやりやすいというところもありますよね。ですから,そういう猛追というか,追いかけていくところはすごいですからね。去年のシンガポールでやったときも,シンガポールの関係者が,シンガポールみたいに歴史がないところは逆にこういうものをやりたいというので,私は日本になかなかこういうものができるとは思わなかったので,シンガポールでやったらどうだと言ったら,向こうはすぐに乗ってきたということもありますから,これは日本が元締めとして,ともかく新しいものもますますやっていかなければならない。日本には非常に古いし,アニメも漫画も,もちろんご承知のように12世紀ぐらいからあるわけですけれどもね。歴史のものがあって,その伝統があるわけですけれども,その上に乗って21世紀には新しい形のアートフォームを開拓するような,そういう使命もあると思います。
 それから古いジャンル,映画のことが先ほど出ましたけれども,映画とテレビというのはまだ基本的にはうまくいってないんです。映画作家の人が,テレビというのは女優さん俳優さんも含めて,テレビに出るということは何かバイプロダクトみたいに考えているでしょう。そういう,やっぱり映画がアートの本筋だと,映像アートのというのが非常に強いと思うんですけれども,これもやっぱり今や完全にすみ分けをしていかなくては,同じにやっていかなくてはいけない時期が来ているし,こういうメディアアートも恐らく既存のジャンルとはいろいろときしみがあるとは思いますけれども,といって,じゃ本当に新しいアートかというと,そうじゃなくて,今言ったように日本の中世ぐらいから来る伝統がありますので,そういうことを踏まえて我々も心を引き締めてやってみたい。本当に世界の人が一度は行きたいというものをつくっていきたいと思います。どうも本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。

○浜野座長

 じゃ,きょうはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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