議事要旨

第1回 日本語教員等の養成・研修に関する調査研究協力者会議
・議事要旨

1. 日時

平成21年7月10日(金) 10:00~12:00

2. 場所

旧文部省庁舎文化庁第2会議室

3. 出席者

出席委員

杉戸座長,砂川座長代理,阿部,井上,佐藤,高鳥,田尻,廿楽,西尾,西原(純),西原(鈴)の各委員

事務局

清木文化部長,匂坂国語課長,西村日本語教育専門官,ほか関係官

4.概要

 文化部長のあいさつ,座長等の選出などを経て,事務局からの資料説明の後,質疑応答及び意見交換が行われた。意見交換等の内容については以下のとおり。

  • ○ 日本語教育能力検定試験については,平成19年から合格者像,試験構成(試験Ⅰ,Ⅱ,Ⅲごとの内容),各区分における測定内容,シラバスの構造化など内容に関する見直しを行っているところである,あわせて作題体制,合否判定等の在り方についても見直しを進めている。
  • ○ 日本語教育能力検定試験の見直しについては,現在,模擬試験を実施中であり,その分析結果も踏まえて,平成23年度から新しい実施体制で行われる見込みである。
  • ○ 外国人登録者数が増加しており,国としても留学生を増やす方向性が出ていること,さらに,高度人材と言われる人たちも増やす政府の方針が出ていることを考えると,実態面からも政策面からも日本語教育は緊急の課題である。日本語を学ぶ機会をしっかりと与え,しかもしっかりとした日本語教員が教えるという形を,社会のシステムとして作る必要があるだろう。
  • ○ 外国人従業員に日本語を学ぶ機会を設けている企業の方に話を聞くことも有益ではないか。
  • ○ 日本語教育で今,一番,問題なのは,外国人の増加と多様化である。この協力者会議ではビジネスマンや日系人,国際結婚の配偶者など,多様な外国人にかかわる日本語教員のすべてについて議論するのか,それとも特定の外国人にかかわる日本語教員を重点的に議論していくのか。
  • ○ 日本語学習の目的が多様化している状況があるので,なかなか一律には論じられない。まず実態を調査した上で,課題は何なのか,全体を通じた課題があるのか,あるいは,分野や目的によって課題も違うのかというように課題を探っていくことが必要だろう。
  • ○ 日本語学習者の多様化だけでなく,日本語教育の現場の多様化も進んでいる。さらに教員のプロフェッショナリズムも多様化が進んでいる。コーディネーターやカリキュラムライターと呼ばれるようなカリキュラム作成者など,だれを教員と呼び,どう養成するのかということについても検討すべきである。
  • ○ 日本語学校も大学進学を前提とした学生だけでなく,ビジネス関係者,定住者や年少者に対応できるようにしようとしている。教員の採用に関しても,日本語教育能力検定試験に合格していることといった教員の資格が改めて見直されているのが,日本語学校の実態ではないか。
  • ○ 多くの日本語学校が日本語教員養成講座を設置しているが,対象も受講期間も講座の内容も非常に様々である。日本語学習者のニーズが多様化しているので,日本語教員養成講座も様々でよいが,日本語教育の基礎力,教授力が前提で,それに加えて分野対象別の専門的事項を学んでいくことが日本語学校の教師のあるべき姿だろう。
  • ○ 日本語を教える人は日本語の言語体系を基礎知識として持つことが原点ではないか。そこから先は様々なニーズあるいは,様々な使用言語環境,場面,職種に対応できるように専門的な研修を行っていくというように二段階で考えるのがいいのではないか。
  • ○ 最近では,政府の各府省庁から日本語学校に様々な協力要請が来ている。日本語教員はたくさんいるが,専任教員の必要人数と配置や専任教員・非常勤教員・ボランティアの役割についても考えないと,様々な分野からの要請に対応できなくなるのではないだろうか。
  • ○ 大学で日本語教育を専門的に学んだ人たちが,卒業してからどういう分野に就職して活躍しているかという調査も必要ではないか。
  • ○ 出版社か新聞社で日本語教育を専門的に学んだ人の進路調査を実施しているところがあったと思う。
  • ○ 地域の国際交流協会でも学習者が多様化しているが,教える側はボランティア中心である。予算的にも日本語教育を専門的に学んだ人たちが働く場所は十分には提供できていない。ボランティアにも学習者にも時間の都合があり,うまくマッチングする必要があるが,それを行う人をどう確保するかということも問題である。
  • ○ 回答を得ることは難しいかもしれないが,日本語教員の待遇や,社会的な,あるいは職場や組織の中での地位,昇進の可能性など,職業としての日本語教員,支援者,ボランティア,コーディネーターの実態調査も必要ではないだろうか。
  • ○ 海外での日本語普及は,国内での養成の成果を受け,養成された日本語教員を海外に派遣するのだが,募集する内容にもよるものの,なかなかいい人材が集まらない,あるいは,数が足りないというのが現状である。
  • ○ 大学で日本語教育に興味を持つ学生の中には,日本語教育のほかに海外で自分のやりたいことがあり,海外での生活基盤を確立するための一つの方法として日本語教員になることを考えている学生もいる。このような例も含めて,どこまで範囲を広げていくかを考える必要があるのではないだろうか。
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