第9回 日本語教員等の養成・研修に関する調査研究協力者会議
議事要旨
1. 日時
平成23年7月15日(金) 10:00~12:00
2. 場所
旧文部省庁舎2階 文化庁第1会議室
3. 出席者
出席委員
杉戸座長,砂川座長代理,阿部,井上,宇佐美,坂本,佐藤(次),田尻,柄,西尾,西原(純),西原(鈴),王の各委員
事務局
舟橋国語課長,鵜飼日本語教育専門官,ほか関係官
4.概要
○ 委員の交代,事務局の異動,資料説明,資料についての質疑応答の後,意見交換が行われた。意見交換の概要は,以下のとおりである。
<カリキュラム及びシラバスの整理について>
- 資料4の整理の仕方では,特に大学等の区分で,特徴が十分に現れていないのではないか。特徴が見えてくるような観点で資料を整理することが必要。
- 資料4から,大学等,日振協の教員養成の状況と地域の状況は違うということが立証されたのではないか。調査結果を同じ線上に並べて整理するのではなく,別扱いにする必要がある。
- アメリカにおける新任日本語教員とベテラン日本語教員の資格認定についての論文がある。それには今回の調査結果をまとめる際に参考になることがあるのではないか。
- 日振協の区分の教員養成では,一般向け研修と学内教員向け研修が混在しないように注意が必要。
<分析の観点・方法と取りまとめの方向性について>
- 第一段階として,データの単純集計やクロス集計を行うが,地域については,数値だけ取り上げて論じることはしないようにすることが必要。第二段階として,注目すべき事例について取り上げる。
- 教員から見た研修ニーズの調査結果をみると「社会・文化・地域」の区分に対するニーズが比較的高い。10年前,20年前と今では社会が大きく変容していることと関係があるのではないか。そこで扱われている内容に時代性が現れているのであれば,それを見ていくことは大事ではないか。
- 日本語教育において,誰もが前提としているものがあるのではないか。回答として寄せられたものを因子分析してみると,日本語教員養成について,カリキュラムやシラバスの編成において,共通する理念やキーワードがあるのかどうか,見えてくるのではないか。
- 寄せられた回答のどの部分に内容分析をかけるのが効果的かということはあるが,共通の因子を探るという必要はあるだろう。
- 日本語教育には,いろいろな現場があり,養成された者がどこで教えることになるかは分からない。日本語教員としての資質・能力の幅と水準を考えると,教員養成における共通の因子とは,日本語教員としてのベースとして持っていなければならない基礎力と理解することもできるのではないか。
- 日本語教員に必要な資質・能力は,どこまで養成課程で身に付けられるものなのか。日本語教育全体に通用する資質・能力となると少々難しいのではないか。採用する側として,これだけの素養は必要だという採用条件は出すが,採用してから機関として必要なものを研修等を通じて加味していくしかないのではないか。
- 調査結果から大まかな傾向を出すことはできるだろう。回答のテキストから因子を抽出して客観的に見ていくことにより,何らかの特徴を抽出できるのではないか。事例紹介で補うこともできるだろう。
<報告書の構成について>
- まず,データをどう整理するかということがあって,その次に,この調査から何が見えてくるかということを論じていくことになるのではないか。
- [1]結果の整理,[2]分析,[3]考察・論考の三部構成とするのはどうか。
<今後の作業について>
- まず,淡々と調査結果を整理する。次に,そこから報告書に記述できることを引き出す。その際,因子分析の作業により,特徴・個別性ではなく共通性に着目してみる。9月初旬まで,事務局を中心に分析・記述の材料を集めていく。
- 各委員には,注目すべき事例として参考になり得るものを出していただきたい。その際,これまでのデータからどれがどういう意味で注目すべきなのかということについて,40字×3~5行程度の分量で記述していただきたい。
- この調査は,新しい日本語教育能力検定試験の枠組みが発表される前のもの。しかし,新しい枠組みへの対応は既に行われており,今の段階で重点化された内容がどのように扱われているのか,電話による補完調査で聞いてみることもできるのではないか。また,短期間では変化が出ないことが考えられるので,今後,日本語教育実態調査の中で,5年,10年とフォローアップしていくことが大事ではないか。その際,追加項目として何を入れるか考える必要があるだろう。