第3回 障害者文化芸術活動推進会議議事要旨 日時:令和4年6月28日(火)15:00〜15:30 会場:オンライン開催 出席者:  外務省 文化交流・海外広報課 早川首席事務官  文部科学省 出倉大臣官房審議官(総合教育政策局担当)  文化庁 小林審議官  厚生労働省 社会・援護局 辺見障害保健福祉部長  経済産業省 商務・サービスグループ 田中商務・サービス政策統括調整官  国土交通省 住宅局 今村参事官(建築企画担当) 事務局:  文化庁 地域文化創生本部 田事務局長  厚生労働省 障害保健福祉部 奥出自立支援振興室長 議題: (1)障害者文化芸術活動推進会議の設置について (2)「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」の改定に向けた検討について (3)その他 概要: ○冒頭、小林審議官及び辺見障害保健福祉部長より以下の通り挨拶を行った。 【小林審議官】 第3回障害者文化芸術活動推進会議を開催するに当たりご挨拶申し上げる。 現在の計画は、平成30年6月に成立した障害者による文化芸術活動の推進に関する法律に基づき関係省庁のご協力のもと、本会議で議論いただいた上で、平成31年3月に作成した。 今般第1期の計画が令和4年度で終期を迎えることを踏まえ、令和5年度からの第2期計画を策定するため、改めてこの会議を開催させていただくこととした。 この間、障害者による文化芸術活動は新型コロナウイルス感染症により活動の制限や縮小など大きな影響を受けたが、一方で、関係省庁のご尽力や東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などにより、障害者の方々の表現や活動の広がりや関心の高まりを感じている。 本日は第2期計画の策定に向けての第一歩として、検討の方向性や有識者会議の設置などについて確認をさせていただきたいと考えている。 【辺見障害保健福祉部長】 平成31年3月に文化庁と厚生労働省が協働し、また皆様方のご尽力をいただきながら、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画を策定してから3年が経過した。この間、新型コロナウイルス感染症の感染拡大といった困難もあったが、こうした中にあっても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として各地で様々な障害者芸術文化活動が活発に展開され、障害のある方々の自立や社会参加の後押しとなった。厚生労働省としては引き続き、人材の育成や相談体制の整備、関係者のネットワーク作りなどに取り組むことにより、着実に障害のある方々の文化芸術活動の全国的な展開を図ってまいりたいと考えている。 関係省庁におかれても、障害者文化芸術活動を推進するための様々な取り組みをいただいているところと思う。この推進会議を通じて皆様とのさらなる連携や協力を進めて、障害のある方々による文化芸術活動の一層の推進に向けて取り組んでいきたいと考えている。 ○事務局から本会議の出席者の紹介を行い、続けて議題(1)の資料1について説明を行った。 ○推進会議に係る関係省庁申し合わせの改正案について異議はなく、資料1は同日付の関係省庁申合せとして改正することについて了承された。 ○議題(2)について事務局から資料2から資料3−2について、各省庁から取り組み状況等について、以下の通り説明を行った。 【高田地域文化創生本部事務局長】 資料2に今回の計画の改定に向けての検討の方向性の案を示している。最初に障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の説明があり、法律に基づき、3つの基本理念、11の施策の方向性について記載している。 11の施策の方向性については法律の条文に沿ったものとしており、このような形は引き続き堅持したいと考えている。 検討の方向性(案)については、審議官も申し上げた通り、東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を契機として一定の取り組みが着実に進みつつあると認識している。 一方で、施策の実施状況あるいは各種調査などにおいて、様々な課題なども明らかになっており、課題について具体的な議論を進め、今後の基本計画に反映していきたいと考えている。 具体的な課題としては、例えば文化施設などへのアクセス改善の問題、創造・発表の更なる推進、人材育成等を念頭に置いている。 次に資料3−1では、文化庁と厚生労働省で、第1期基本計画の期間に、様々な美術館や博物館、劇場や音楽堂、障害者施設等で、障害者の文化芸術活動がどのように行われているかをそれぞれ調査し、その中で判明した今後の課題についてまとめている。 それぞれ分析して今後の施策を進めていきたいと考えている。 資料3−2では、関係省庁の取組をまとめており、文化庁でも文化施設、あるいは文化芸術団体でやっている施策がある。例えば、バリアフリー字幕や音声ガイドの支援なども行っている。この後、各省庁からもご発言いただくが、ここに書かれていることも参考にご発言いただければと思う。 【奥出自立支援振興室長】 共管省庁として、文化庁と協力しながら、基本法や基本計画の周知に努めてきた。 基本計画に示された各施策では、メインとしては、障害者が地域における多様な芸術文化活動を行うことができるよう、支援センターの設置を進めてきた。 支援センターは都道府県単位、ブロック単位、全国単位で設置することにより、全体の支援の枠組みの整備を行ってきた。 本法成立時には、全国で20県ほどの支援センター数だったが、令和4年度には39県に設置されるまでに至っている。 引き続き、こうした各県の支援拠点を核とした体制整備を進め、基本計画に基づく各施策について、各地域で支援できるような取組みを進めていく。 【早川首席事務官】 外務省としては現行の基本計画にのっとり、障害者の文化芸術活動を含む日本文化、日本芸術の海外発信等を推進すべく、基本的には国際交流基金の協賛や助成事業等を実施してきた。具体的には国際舞台芸術ミーティングを通じて文化芸術に係る国際的な催しへの障害者の参加を促進、障害者による文化的活動の発表機会の拡大、あるいは障害者の芸術活動をテーマに、アジア各国の様々な分野の実践化、対話をするフォーラムを開催する等の活動を通じて取り組みを行ってきている。令和4年度の予算には国際交流基金の運営交付金として、おおよそ126億円を計上しており、令和5年度の予算についてもしかるべく予算作業をしているところ。 こういった予算枠の中の内数という形にはなるが、今後もこうした中で引き続き尽力していきたい。 【出倉大臣官房審議官】 資料の3−2に基づき、文部科学省における取り組みについて説明を行う。 顕彰の実施、表彰については、障害者の生涯学習支援に係る文部科学大臣表彰の中で、文化芸術に係る支援活動を行ってきた。その表彰事例をホームページで周知をしてきているところ。次に余裕教室、廃校施設、社会教育施設等の活用について、全国の廃校施設情報の集約・発信、活用性の紹介、利用可能な補助制度の紹介等の取り組みを実施している。 また、特色ある活動を行っている公民館の取り組み事例を全国に周知をし、障害者を含めた多くの住民が公民館等の社会教育施設を利用しやすい環境作りに努めている。 学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解の推進については、学習指導要領等において記載を充実という取り組みを促進し、好事例をホームページで公表している。 また心のバリアフリーノート等をホームページに掲載をし、その周知も図っている。最後に、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究について、平成30年度より事業を実施し、学校卒業後の障害者文化芸術活動、生涯学習プログラム開発実践、その成果の普及に取り組んできた。 文部科学省としては引き続き、この基本的な計画に資する施策にしっかりと取り組んでいきたいと考えている。 【田中商務・サービス政策統括調整官】 経済産業省としては、基本計画にのっとり、大きく二つの観点から携わっている。一つ目は、障害者による文化芸術活動も含む企業におけるアート活用の推進。二つ目が、権利保護の推進。 まず企業によるアート活用の推進について、昨年度から企業などによる文化芸術/アートへの投資の意義・効用に関する調査研究を行ってきた。 さらに『アートと経済社会について考える研究会』を開催し、アートと経済社会の多様な関わり方について議論を行う予定。 もう一つの権利保護について、障害者による文化芸術活動に係るものも含めて、中堅・中小企業等の知的財産に関する悩みや課題に関する相談にワンストップ窓口において対応をし、課題解決に向けた支援や関連制度の普及啓発も実施してきている。 経済産業省としてはこれらの活動を通じて引き続き、障害者による文化芸術活動の推進に貢献していきたいと考えている。 【今村参事官】 国土交通省では、基本計画について文化施設の大規模改修に関する障害者への配慮という部分で関わっている。 国土交通省住宅局では不特定多数の方が利用する建築物のバリアフリー化を進めている。とりわけ障害者の方々の文化芸術の鑑賞機会を拡大するという観点においては、劇場などの客席、観覧席を有する施設のバリアフリー化についての配慮すべき事項をガイドラインである「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」に盛り込み、設計者に対する周知に努めている。 また昨年度、バリアフリー法の省令を改正し、劇場等の客席を建築物特定施設として、バリアフリーの対象施設に明記、位置付けるということになった。今年の秋から施行されるが、地方公共団体がこれによって条例で客席のバリアフリー化を義務づけることを可能とするとともに、国としても誘導基準を省令で定め、基準を満たす場合に容積率の特例などのインセンティブを講ずることで劇場等のバリアフリー化を推進している。 既存の施設への対応としては、今年度から車椅子使用者用の客席の設置や段差の解消などに使えるバリアフリー改修のための工事を地方公共団体と連携して支援するという仕組みをスタートさせた。国土交通省としても、引き続き文化施設をはじめとする建築物のバリアフリー化を、障害者の方々のご意見をしっかりと踏まえながら取組みを進めていきたいと考える。 ○事務局より資料4及び資料5を基に、今後のスケジュールと有識者会議に係る関係省庁申し合わせの改正案について説明を行った。 ○有識者会議に係る関係省庁申し合わせについて異議はなく、資料5は同日付の関係省庁申合せとして改正することについて了承された。 ○最後に事務局から、今後、障害者の文化芸術活動推進有識者会議の開催を予定しており、有識者会議における議論を踏まえて、来年2月頃に推進会議の開催を予定している旨を説明し、議事は終了した。