第171回(平成29年8月30日)宗教法人審議会議事録

  • ○ 日時平成29年8月30日(水)14:00〜
  • ○ 場所文部科学省東館15F1会議室
  • ○ 議題
    1. 開会
    2. 議題
      1. (1)会長の選出について
      2. (2)宗教法人審議会の所掌事務等について
      3. (3)最近の宗務行政について
    3. 閉会
  • ○ 出席者
    【委員】
    新井委員石井委員打田委員大橋委員岡田委員巫部委員北澤委員原田委員
    比企委員日比野委員本部委員峰委員宮本委員村鳥委員矢木委員渡辺委員
    【文化庁】
    宮田文化庁長官中岡文化庁次長藤原文化部長田村宗務課長
    その他関係者

1.開会

○宗務課長

大変お待たせいたしました。ただいまより,第171回宗教法人審議会を開会いたします。本日は御多忙の中御出席くださり,誠にありがとうございます。

本日は第33期で初の宗教法人審議会でございますので,会長を選出していただくまでの間,私宗務課長の田村が便宜上進行を務めさせていただきます。

初めに,開会に当たりまして,宮田文化庁長官から一言御挨拶を申し上げます。

○文化庁長官

ありがとうございます。文化庁長官を拝命しております宮田亮平でございます。よろしくどうぞお願いを申し上げます。

私もこの宗教法人の審議会に出席させていただくのは初めてでございます。先輩の先生方におかれましては,よろしく御指導いただけたら幸いかと思います。よろしくどうぞお願いします。

まず,文化庁は,少なくとも数えてちょうど50周年ということになるんですかね。

○文化部長

はい,来年。

○文化庁長官

来年でございますが,その節目ということと,同時に司会からお話ありましたように,今回新しく会長を御指名いただくという,非常に重要なことであります。同時に,御存じのように,16年ぶりに法案も成立いたしましたので,新しい新文化庁として,明かりとして発信をしていくのと同時に,守らなければならないということに関してはしかと守る。かつ前進をしていく。そして日本の文化というもの,それから宗教も含めて,あらゆるものに対して改めてしっかりと発信をし,保存をしていくという環境を作っていきたいと思っている次第でございますので,よろしくお願いします。

私自身が宗教そのものに対しては全くの素人でございますが,しかし昨今混沌とするような環境が世界中にございますけれども,我が国においては,むしろ宗教そのものが人の心の中に訴えるものであると。その心をしっかりとしたものを持つこと,それがまたよりどころになるということによって,人間が前へ前へ新しく生きるということに対して進んでいける大事な部分であるというふうに私は思っております。

そんなことも含めまして,是非とも委員の先生方におかれましては,有意義な,そして実のある御審議を賜れれば有り難いなと思っておりますので,よろしくお願いします。

実は,先日ある新聞に,あ,いいことが書いてあるなという一節がございました。ちょっと御披露させていただきたいと思います。「激動する世界と宗教」と題するシンポジウムでございますが,その記事がとてもいいなと思いました。「人には「こころ」というつかみどころのないものがある。見えない何かに祈ったり,どう生きるか迷ったり。その道筋を示す一つとして,人類の歴史と共にあり続けてきたのが宗教である」というふうに記されております。まさしく,あ,そのとおりだなというふうなことを思いながら,その一節を,それ以外のこともいっぱいありましたけれども,その部分が大変私の心に響きましたので,何かのお役に立てればと思っております。

私自身は,物作りで作って喜ぶ,作るまでの苦しみを,完成した作品で人様が喜んでいただけるのを楽しみにというふうな生活をずっと50年東京芸大で生活してまいったんですが,いろいろな場面で文化庁に来たときにお会いすることができて,また今日も先生方とこうやってお会いできたことを大変光栄に思っております。今後の審議に期待をしたいと思いますので,よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○宗務課長

次に,委員の皆様の御紹介をさせていただければと思います。お手元の資料1を御覧ください。委員名簿の順に御紹介させていただければと思います。

まず,私から見て左側の方から御紹介をさせていただきます。

(順次,委員を紹介)

次に,本日の配付資料の確認をさせていただきます。

(配布資料の確認)

それでは,定足数の確認をここでさせていただければと思います。資料2の2ページを御覧ください。宗教法人審議会の規則の第5条,本審議会は「総委員の5分の3以上の出席がなければ,議事を開き議決することができない」とされております。本日は19名の総員中16名の出席でございますので,定足数を充足しているという状況でございます。

2.議事

議題(1)

それでは,早速議事に移りたいと思います。

まず,議題1の宗教法人審議会の会長の選出を行いたいと思います。資料2の1ページを御覧いただければと思います。宗教法人法の第74条第2項に,「会長は,委員が互選した者について,文部科学大臣が任命する」とありますので,これから互選をお願いしたいと思います。互選に当たりまして,これまでの例から申しますと,学識経験者の委員の中から推薦で選出されているところでございます。

それでは,どなたか御推薦いただけますればと思いますが,いかがでございましょうか。

平成23年から当審議会の委員としての御経験をお持ちであり,平成25年から2期会長をお務めになられました中央大学法学部教授の新井誠先生を御推薦申し上げたいと思います。

○宗務課長

新井委員を会長にお願いしてはとの御推薦を頂きましたが,皆様,いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○宗務課長

よろしゅうございましょうか。

それでは,新井委員が会長として選出されましたので,今後の議事進行につきましては,新井会長にお願いしたいと思います。

新井会長におかれましては,恐縮でございますけれども,席を会長席に御移動していただけますでしょうか。

(新井委員,会長席へ移動)

○新井会長

ただいま会長に御推挙いただきました新井でございます。会長の責務を全うできますよう努めますので,どうか皆様方の御協力を引き続きよろしくお願いいたします。

改めて申すまでもなく,当審議会は文部科学大臣の諮問機関として宗務行政の適正を期するために設けられているものでございます。我が国は,これまでに類例のない高齢社会を迎えており,高齢社会における宗教法人の意義が再認識されており,また議論の対象にもなっております。そのような中,当宗教法人審議会の役割には極めて大きなものがあると考えております。職責の遺憾なき遂行を期したいと存じますので,どうぞ皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。

それでは,議事のバトンタッチを受けまして,私の方でこれから進めてまいりたいと思います。

宗教法人審議会規則第4条第2項の規定に,会長に事故があるときはあらかじめその指名する委員がその職務を代理するという規定があります。会長代理を指名させていただければと存じます。

私といたしましては,当審議会委員としての経験も長く,また前期会長代理を務めていただいた原田一明委員に引き続きお願いしたいと考えておりますが,御承諾いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○新井会長

ありがとうございました。

では,会長代理につきましては,原田委員にお願いをさせていただきたいと存じます。

それでは,議題の1については以上とさせていただきます。

議題(2)宗教法人審議会の所掌事務等について

○新井会長

それでは,議題2に移りたいと思います。本日は第33期最初の宗教法人審議会であり,新任の委員もいらっしゃいますので,最初に宗教法人審議会の所掌事務等について,事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○宗務課長

それでは,資料2に基づきまして,もう既に十分御承知の委員の方々も多いかとは思いますけれども,新任の委員の先生方もいらっしゃいますので,この宗教法人審議会の所掌事務について,簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

まず,資料2の1ページ目でございます。これは宗教法人法におきます宗教法人審議会に関する規定を抜粋したものでございます。宗教法人審議会は,この宗教法人法に位置付けられた審議会ということでございまして,第71条の2項にございますように,この法律によって権限に属された事項,それを処理するということでございます。そして,その次の第3項におきまして,その審議される事項に限られるわけでございますけれども,所轄庁がそういったことについて行使する権限について,文部科学大臣に意見を述べることができるとされているところでございます。

次の第4項が特徴的な宗教法人行政の規定だと思いますけれども,「宗教法人審議会は,宗教団体における信仰,規律,慣習等宗教上の事項については,いかなる形においても調停し,又は干渉してはならない」と,宗教法人のいわゆる俗的財政的制度的な面について,その与えられた権限の範囲内で審議を行っていただくという形になっているところでございます。

それ以降,第72条とか第73条とかは適宜御参照いただければと思います。第74条の会長の選出のところは先ほど説明いたしました。

最後,第77条でございますけれども,運営の細目というところで,「宗教法人審議会の議事の手続その他の運営に関し必要な事項は,文部科学大臣の承認を受けて,宗教法人審議会が定める」となっておりまして,それに基づいて定められた規則が次の2ページ目の宗教法人審議会規則というものでございます。

これにつきましても,特徴的なところだけ簡単に御紹介させていただければと思います。まず,第5条のところが結構特徴的だと考えております。普通の審議会であれば過半数の出席で大体議決できるとなっておるわけでございますけれども,特に審査の関係とかで適正をきす観点から,ここは「総委員の5分の3以上の出席がなければ,議事を開き議決することができない」となっているところでございます。第6条にございますように,会議の議事等については,そうした出席した委員の過半数で決す。可否同数のときは,議長の決するところによるとされているところでございます。

それから,第11条を御覧いただければと思いますけれども,会長は,必要があるときは,委員のうちから若干名を指名し,特別な事項を調査審議させることができるとなっております。後々,この宗教法人審議会で審議する事項について説明させていただきますけれども,不服申立てとかいわゆる審査請求の関係について審議することが中心になろうかと思います。詳細な事項を審議する際にはこれだけの人数というよりかは,小委員会のワーキングのようなものを作った上で,その報告に基づいて審議するということが効率的でございますので,この第11条の規定を使って行っていくというような形になっているところでございます。

次の3ページを御覧ください。こちらが実際に宗教法人審議会の意見を聞かなければならないと宗教法人法でされていることをまとめたものでございます。

1番目にございますように,所轄庁である文部科学大臣が規則の変更について不認証にするという決定をしようとしたら,この審議会の意見を聞かなければならないと。また,2番目のところ,所轄庁で,例えば宗教法人に事業停止命令を出すとか,認証の取消しを行う,それから裁判所の方に解散命令請求の事由に該当する疑いがあるようなとき,もし宗教法人に報告とか質問しようとする場合には,そのことについてこちらの審議会の意見を聞かなければならないとなっているところでございます。3番目は,その事業の停止命令を出すに際しても意見を聞く。4番目のところ,規則の認証を一回したんだけれども,1年以内に取消すという事由が出たときにも,こちらの審議会の意見を聞くというふうになってございます。

一番多いのは,5番目の審査請求に対する文部科学大臣の裁決でございます。例えば,都道府県が所轄庁で,その規則の変更を認証したけれども,それに不満があり,規則の認証をしたこと自体に異議があるということで文部科学大臣の方に審査請求が上がったときには,宗教法人審議会に御意見を聞いた上で裁決を行うという形になっているところでございます。

最後は,宗教法人法の附則の話でございますけれども,現在,収支計算書などの作成義務が免除される基準というものが作られておりまして,その基準をもし私どもが定めるときに,額を変えたりするときには,この審議会に意見を聞かなければならないというものもございます。

以上のことを図式化したものが次の4ページの図でございます。所轄庁が宗教法人に対して審査請求に対する裁決を行うとか,規則の認証を行うとか,矢印があるところで真ん中のところ,宗教法人審議会が点線で書いてあるところ,これはこのようなことについては必ず宗教法人審議会の意見を聞かなければならないとなっているところでございます。

次の5ページを御覧ください。本審議会の議事の運営について申合せがなされております。これについても,ほかの審議会と少し異なるような特徴的なところがございますので,少し御説明をさせていただければと思います。

まず,3番目を御覧ください。この会議の公開でございますけれども,委員の自由闊達な討議を確保し,信教の自由に配慮して非公開にするとなっているところでございます。最近の審議会の中ではかなり珍しい例かなと思います。それから,その代わりに,1番のところにございますように,審議会の議事録を作って,それは原則として公開するという形になってございます。ただし,2番目のところにございますように,先ほどの行政処分とか不服審査に関する審議については,議事録ではなくて議事要旨の公開ということにとどめることにしているところでございます。

4番目を御覧ください。(2)にございますように,議事録は公開するわけでございますけれども,各委員の自由な討議を確保するため,議事録に記載する委員の名前は匿名という形にするようにしてございます。また,3番目にございますように,信教の自由に配慮して,個別の宗教法人名は記載しないと。ただし,本審議会の答申を出す際に記載された法人名とか,公開される会議資料に記載された法人名についてはこの限りでないとされているところでございます。

それから,6番にございますように,会議の資料につきましても,上記の2,行政処分と不服審査に係る資料を除いては原則公開とする。今日の会議は基本的に資料が公開されるということでございます。

最後に,6ページを御覧ください。実際に審議を行うことが多い不服申立ての,この宗教法人審議会の運営方法についてでございます。まず,下のところの宗教法人法の第80条の2を御覧いただければと思います。もし審査請求が上がった場合には,審査請求があった日から4か月以内に裁決を文部科学大臣はしないといけないというふうにかなりタイトな期限が設定されてございます。そのため,そのような請求があった場合には,まず速やかに宗教法人審議会を開催いたしまして,諮問をさせて説明をさせていただきます。そこでの意見を踏まえて,同時に,先ほど申し上げました会長の発議によって小委員会を設けまして,ここで更に詳細な議論を行っていただき,改めて2回目の宗教法人審議会を開催し,その小委員会の報告に基づいて御議論いただいて答申を頂く。もちろん,小委員会を設けなくても,軽微な案件であれば作らなくてもいいわけでございますけれども,通例このような形で審議会を2回,その間に小委員会を開いていくというような形で行っているところでございます。

ちょっと長くなりましたけれども,宗教法人審議会に関する説明につきましては,以上でございます。よろしくお願いいたします。

○新井会長

ただいまの事務局からの説明について,何か御質問,御意見がありましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。とりわけ新任の委員におかれましては,基本的なことでも結構ですので,もし御質問,御意見がありましたら,いかがでしょうか。

よろしいですか。それでは,次に進めます。

宗教法人審議会の議事等についての申合せについては,これまでの内容を引き継ぐことでよろしいでしょうか。ただいま事務局からも説明がありましたが,もう一度ここで確認をさせていただきます。

会議自体は非公開ですけれども,後日,行政処分及び不服審査に係る審議の内容については議事要旨を,また,その他の審議の内容については議事録を,それぞれ作成して公開することとなります。議事録,議事要旨については,各委員の自由な討議を確保するため,委員の意見は匿名となります。本日の審議会については議事録を公開することになります。さらに,個別の宗教法人名は,議事録等では公開しないこととされていますが,答申の中で記載された法人名については,この限りではないとされており,公開されることになります。

以上の点,再度確認したいと思いますが,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

議題(3)最近の宗務行政について

○新井会長

ありがとうございました。

それでは,議題の3に移りまして,最近の宗務行政について,事務局から報告をお願いいたします。なお,最近の宗務行政についての報告が終わり,質疑応答があった後に,私としては委員の皆さんに一言ずつ御発言をお願いしたいと考えています。その理由は,この宗教法人審議会が取り上げるべき案件がない場合は,長期間開かれないことがありまして,本日お会いして次に会うのは1年後かもしれないということがあるわけです。せっかくこれだけの委員の皆さんにお集まりいただいておりますので,是非それぞれの立場から御発言を頂ければと考えております。ただし,発言に際しましては,当審議会は政策提言のための審議会ではないということに御留意いただければ幸いであります。今ここで申し上げたのは,発言するについて心の準備が必要かと思いまして,あらかじめ申し上げさせていただいた次第です。

では,報告をお願いいたします。

○宗務課長

それでは,資料3,4,5,6,7を用いまして,順に最近の宗務行政の状況につきまして御報告をさせていただきたいと存じます。

まず,資料3を御覧ください。現在の宗教法人数ということでございますけれども,平成27年12月31日現在で18万1,645法人となってございます。このうち,文部科学大臣所轄が1,101,都道府県知事所轄がそれ以外の18万,ほとんど大部分ということでございます。

このうち,不活動に陥ってしまっている宗教法人数,こちらは平成28年の12月末時点ということでございますけれども,全国で3,582法人あるという状況でございます。文部科学大臣所轄が4法人,都道府県所轄がそれ以外の3,578法人といった状況でございます。

次のページをおめくりいただければと思います。2ページの頭にございますように,こういった不活動の宗教法人を放置いたしますと,第三者によって法人格が不正に取得されて脱税などの行為に悪用されるなど,様々な問題が生じる可能性があります。こういったものが度重なってきますと,そうした個別の法人だけではなくて,そもそもこの宗教法人制度そのものに対する国民の信頼を損ねることにもなりかねないということで,文化庁におきましてもこれまで都道府県,更には包括宗教法人の皆様の御協力を仰ぎながら,様々な取組を行っているところでございます。

その取組の概要は,次の2ページの4番にあるところでございまして,都道府県向けでは対策会議,マニュアルの作成,事例集,それからモデル事業のような対策推進事業の実施。包括宗教法人に向けましても,協力をお願いしますとともに,包括宗教法人向けの手引書とか,事例集を作るとか,様々な対策を行っているところでございます。都道府県や各包括宗教法人様の御協力等も仰ぎながら,現在対策の結果といたしまして,3,578ほど残っているというところでございますけれども,平成16年の調査では,このように4,700以上の数がございましたので,近年におきましても徐々に減らしてきているというところでございます。こういった不活動の対策につきましては今後ともそれぞれの法人の主体性を生かした中で,引き続き取組は進めていかなければならないと思っているところでございます。

4ページ以降のところにつきましては,実際に包括宗教法人とかどんな対策を行っているかというところを載せておりますので,後ほど御参照していただければと思います。

次に,資料4を御覧ください。宗教法人の書類の所轄庁への提出状況というものでございます。この書類の提出制度というものにつきましては,平成7年の宗教法人法の改正によって設けられた規定に基づくものでございまして,財産目録とか収支計算書,事業に関する書類などを,そもそもは宗教法人の事務所に備え付けていただくわけでございますけれども,その写しを所轄庁にも提出していただくと,そういった仕組みになっているところでございます。

文部科学大臣の所轄についての提出状況がこの資料の表面のところにございまして,若干の推移はございますけれども,大体提出率が97%ぐらいで推移しているところでございます。裏面の方には都道府県の提出率の状況がございまして,こちらの方が大体92%弱ぐらいで横ばいとなっているような状況でございます。

こういった書類提出につきましては,法律上求められているものでございますので,まずは宗教法人の主体的な取組の周知をいたしまして,電話とか事務連絡,更に督促状等を送るとか,そういった取組を進めているところでございます。なお,そういった形を取ってもなかなか出てこない場合には,最後,過料を科すということも可能になってございますので,そういったものも発送して,10万円以内の過料を科すという形になっているところでございます。今後とも宗教法人の方々向けの研修会というものがございますので,そういった場でも意識の向上を図っていき,更に提出率を上げたいと考えているところでございます。

資料4については以上でございます。

次に,資料5を御覧ください。これは指定寄附金の状況というものでございます。指定寄附金というのは,財務大臣が指定する寄附金のことでございまして,一般的な寄附金よりも寄附者が税制上の優遇措置をより受けることができ,寄附を集めやすくなると,そういった制度でございます。通常,宗教法人の寄附金で指定寄附金が指定されるのは,国宝とか重要文化財の建物,それの修理とかそれに対して防災施設を設けるといった寄附金に限定されているんですけれども,過去には阪神・淡路大震災,それからここにございますように,東日本大震災の際の建物の復旧につきましては,特例ということで宗教法人を含めて寄附を集める際に指定寄附金の指定を受けられる形になっているところでございます。東日本大震災の関係につきましては,大分時間がたちましたので,平成29年3月で期限が切れるような予定になったわけでございますけれども,まだまだ復興のために寄附金を集めて建物を立て直したいという御要望もございまして,29年4月,今年の4月から2年間延長されまして,平成31年3月31日までこの指定を受けることができるとなっているところでございます。

次の2ページ目を御覧いただきますと,これまで指定をされた具体的な事例が載っているところでございます。現在まで22件指定をされていて,これらのところが寄附金を集めて寄附者から寄付を集めやすくなっているといった状況にあるところでございます。

それから,3ページ目にございますように,昨年4月にも熊本で非常に大きな地震がございました。こちらにつきましてもやはり特例を設けようということになりまして,同じような制度が設けられているところでございます。こちらについては,平成30年12月31日までということで,現在予定をされているところでございます。これまでの指定の実績につきましては4ページ目がございまして,これまでに5件ほど指定を受けているという状況でございます。

寄附金の状況については,以上でございます。

次に,資料6を御覧いただければと思います。情報公開制度ができて以来,いろいろ宗教法人関係につきましても情報公開の審査請求等が上がってくるという事例がたくさんあったわけですが,現在,公になっているような情報については開示すると。それ以外の事項は不開示とするというような方針が大体認められている状況でございます。そういった関連で,一つ今年の3月に宗教法人に関連する答申が,情報公開・個人情報審査会からありましたので御紹介をさせていただきます。

本件は,まず開示請求の文書でございますけれども,1番にございますように,添付書類も含めた,ある宗教法人設立の規則認証申請書類一式を開示してほしいというものでございます。文化庁の方では,公になっているもの以外は不開示とするということでやっておりまして,それに対して異議申立てが出たところでございまして,内閣府から3月に出た答申でも諮問庁が主張した公にされていない特定の個人の情報とか法人に関する情報は不開示とすると。その方針は維持することでいいですよということになりました。ただ,登記事項証明書(履歴事項全部証明書),これは実は不開示でいいんじゃないかと諮問庁では最初思っていたんですけれども,開示してほしいとこの答申では言われて,実際にその答申に従って開示決定をしております。これはどういうことかと申しますと,登記所に行くとちゃんと手数料を払えば証明書をもらえるんですけれども,本来その証明書だけが欲しければ情報公開請求じゃなくて登記所の方に行ってくださいという扱いを諮問庁ではしておりました。そういったこともございまして不開示としたのですけれども,登記事項証明書だけが来た場合にはその扱いでいいんだけれども,今回は宗教法人の設立規則認証書類一式全部出してくれということであるんで,登記所に行って取れということではなくて,公になるような情報であるわけだから,今回の情報公開請求で開示してほしいという旨でございました。基本的な方針の中でちょっと細かいところの答申が出たというようなものだと認識いただければよいかと思います。

参考でございますけれども,20ページ以降に,宗教法人の規則認証の申請に当たってのどんな書類が不開示とされているのかという具体的なところを,事務局の方でちょっとまとめてみましたので,今後の際に御参照いただければよいかと思います。こういった事項は公になっていないとか,個人を特定するおそれがあるとかいうことで不開示事由に当たるということで,この点に関しては内閣府の審査会でも認められているところでございます。

最後に,資料7を御覧ください。不服申立てというか審査請求の関連がこの審議会の審議の中心になるということを申し上げたかと思います。その大元になる行政不服審査法というものが平成26年6月に全面的に改正されまして,昨年の4月から施行されております。施行後初めての審議会でもございますので,その改正内容について簡単に御紹介させていただければと思います。

資料7の1を御覧ください。改正の背景にございますように,行政不服審査法というのは昭和37年に制定されたところでございますけれども,50年以上実質的な法改正がなかったところでございます。この間,国民の権利・利益とか行政の公正性・透明性をめぐる意識というのは大きく変わってきておりまして,平成5年には関連する行政手続法というものが制定されまして,聴聞手続など処分等の事前手続が整備されました。平成16年には行政事件訴訟法が改正されて,出訴期間が延長されるとか,司法救済手続の充実が図られるなど,関係の法制度の整備・拡充が進んできました。このようなことを踏まえて,行政不服審査法についても,丸1として公正性の向上,2つ目として使いやすさの向上,3番目として国民の救済手続の充実・拡大の観点から,時代に即した見直しが実施されたというものでございます。2番目の経緯については,参考にしていただければと思います。

3番目の主な改正点について御覧ください。大きな改正点といたしましては4つございます。1つ目が不服申立ての種類の一元化。2つ目が審理員制度の導入,3つ目が総務省の行政不服審査会等への諮問手続の導入,4番目が審査請求の期間の延長などです。

1つずつ説明させていただきます。1番目の不服申立ての種類の一元化ということでございますけれども,これまで,申立て先が処分庁の場合には異議申立て,上級行政庁の場合には審査請求というようにいろいろ区別をされておったわけでございますけれども,原則としてそもそもの不服申立ては審査請求に一元化されたということでございます。

丸2番の審理員の制度の導入というものは,これまでは処分に関与した人がまたもう一回審査請求を審査するというような余りどういう人が審理するかということがきちんと決まっておりませんで,可能性があったのですけれども,それはよくないということで審理の公正性,透明性を高めるために処分に関与していないなどの要件を満たす審理員が審理手続を行うということが法律上明確にされたというものでございます。

丸3番は,総務省への行政不服審査会というものが新たに設けられて,その諮問手続が導入されたということでございます。これは審査請求についての裁決の客観性,公正性を高めるために審査庁が裁決をする際には必ず義務付けて,第三者の立場から審査庁の裁決の判断の妥当性をチェックしようということなんでございますけれども,個別の法令に基づいて他の代替機関が関与する場合,要するに宗教法人法に基づいてうちの場合には宗教法人審議会がチェックを行うという形になっている場合は,総務省の審査会の方には諮問をしなくてもいいというふうになっておりまして,全部第三者の意見を聞きなさいとはなっていますが,この部分については宗教法人審議会がその役割を引き続き担うという形で整理されているところでございます。

丸4番目の審査期間の延長ということにつきましては,国民が審査請求をよりしやすくしようということで,これまでは60日というふうに請求期間が制限されていましたが,3か月まで,要するに90日まで延長されました。それから,それを超えるような場合についても,天災等やむを得ない事由があれば請求できるというのがこれまでの要件だったのですが,正当な理由があればそれを超えてもいいというふうに拡充がされているところでございます。審査請求が上がってくる可能性は広がったと考えてよろしいかと思います。

最後に,ローマ数字の4番,その他のところでございます。これについては,資料の6ページ目をご覧いただければと思います。これまで行政処分に不服がある場合には,まず裁判をやる前に不服申立てに対する裁決を経た後でないと裁判できないという法律がかなりたくさんありました。これは原則として廃止にしようということが今回の改正で行われまして,これまで96本そういう法律があって,国民は出訴の前に行政庁の審査請求を受けてくださいというふうになっていたのが随分減らされたところでございますけれども,宗教法人審議会につきましては,この一番下にございます不服申立ての前置を残す場合に位置付けられております。例えば大量に不服申立てがあるので裁判所の負担が大きくなる場合は例外にしますとか,28法律については存置するとなっておりまして,宗教法人審議会の場合には,丸3番,「第三者機関が高度に専門技術的な判断を行う等により,裁判所の負担が軽減されると考えられる場合」に当たるということで,引き続きまずは行政庁の認証とかに不服がある場合には,審査請求を行っていただいて,宗教法人審議会の意見も踏まえた上で,文部科学大臣が裁決を行って,それに更に不満であれば裁判に出訴できるといった制度が引き続き残されたところでございます。

私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○新井会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明について,何か御質問,御意見がありましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。

私からのコメントです。最後の資料7,6ページを御覧ください。田村課長から最後に報告のありました件です。不服申立前置の見直しということで,今まで96の法律で規定されていたものを見直して28まで数を減らしたという中に宗教法人法が入っていました。それで,6ページの一番下の不服申立前置を存置する場合は,3つありますけれども,その丸3の「第三者機関が高度に専門技術的な判断を行う」ということを理由にして,宗教法人については不服申立前置というものを存置したということになるわけですが,それは何を意味するかといえば,当宗教法人審議会が第三者的機関として高度に専門的・技術的な判断をするということで認定されたということです。したがって,その役割は極めて大きいということがありますので,委員の皆さんにおいては是非そのことを認識していただきたいと思っております。

ただ,括弧の中に宗教法人法の例がないのが少し残念ではあります。

○宗務課長

「など」の中だというふうに。

○新井会長

もうちょっとスペースがあれば入ったのかもしれません。

そのほか,何か御質問,御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

それでは,先ほど申し上げましたように,次の審議会の開催がいつか分からないということもありますので,是非委員の皆様から広く宗教法人全体に関してどのようにお考えになっているかということを順次発言していただきたいと思っております。繰り返しですけれども,宗教法人審議会は政策提言のための審議会ではありませんので,その点だけは御留意いただきたいと思います。

名簿の順番で発言をお願いするのがよろしいかと思います。

(順次,委員から発言)

先ほど不活動の宗教法人は減っているということなんですが,もう一方で包括宗教法人が行っている調査研究の一覧がありましたように,過疎地,限界集落地,それからいろいろな点で宗教法人の置かれている状況が大分変ってきているようだということはいろいろな機会に報道されているとおりです。是非現在の宗教法人がどのような運営,組織形態にあるのかという調査をお願いできないかなというのが言いたいことです。

20年ほどになりますでしょうか,宗教法人の組織運営に関する大規模な調査が行われておりまして,大体20年に一遍やっておりますんで,円滑な宗務行政の遂行のためにも予算が取れれば,なかなか難しいかもしれませんが,お願いできないかなというのが意見でございます。

今,宗教法人が18万あるということでございますが,その信者数について,全部加えると2億人ぐらいになるということもありますが,やはり宗教不信の一つにその曖昧な信者数ということもあると思うのです。信者数をある程度明確化していくということで,是非文化庁の方で調査をしていただきたいと思うのです。

私はこの宗教法人審議会も委員になってからちょうど3期目になります。法律家という観点から何か意見が言えればと従来から思ってきました。過去の不服申立て案件に関する審査会において審査請求が問題になったときに,小委員会が編成されました。その中でいろいろな意見を取りまとめ,小委員会の報告を基にこの審議会による答申が出されたことがあります。その過程に少し携わらせていただいたことから,意見というほどのことではないのですが,少し感想を述べさせていただきます。

先ほど御紹介にありましたように,審査請求が出てから裁決までの期間は4か月です。実際のケースでは当事者双方が様々な主張をするわけですから,大部の資料がでてきます。この4か月の間に,できるだけ早急に大部の資料に目が通せるような状況で,かつ熟慮の上,自分の意見をきちんとまとめることができるというのが一番に望ましいのだろうと思います。先ほど新井会長からもお話がありましたように,行政不服審査法の改正によってこの不服申立前置というものが見直され,全部存置の中にこの宗教法人法というのが残っているということです。第三者的な機関として高度に専門技術的な判断を行うことがこの宗教法人審議会の仕事であると新井会長はおっしゃっておられましたけれども,そうなりますとこの審議会で出した裁決というのは大変重要で,後ほど当事者が裁判で争った結果,宗教法人審議会の決裁の内容が否定されることがないような,非常に専門的かつ高度で法律上の論点についてきちんと押さえられているような内容の裁決をすることが正に求められてくるのだろうと,先ほどのお話を伺っていて,実感しました。そういう意味では,今後,このような審査請求についての裁決をしなければならないときは,このような全部存置の中に正に残されているものですので,宗教法人審議会としては,より一層慎重に,説得力のある判断を審議していかなければならないということを考えた次第です。

今現在では,不活発宗教法人のことについては,ある宗派では定年後の優秀な方々にお坊さんの資格を取っていただくようなことを宗の方で援助して,実際は動いていない寺院の中に住職を送り込むというような活動をされている宗派もございます。不活発宗教法人については,地方のお寺が多いようですが,東京都か大阪の中心部におきましては,地域社会とそれから宗教法人との関わりというのが大変薄くなっております。東京の中でも,私がお檀家様を回るのに東京中車で走り回っているという状況でございますので,そういうことでは不活発宗教法人をどのように活発化させるかというのが,課題の対応の仕方がまだまだ宗務の方にあると思います。

先ほど不活動法人のお話がありましたが,多分提出書類を出していれば不活動法人ではないという解釈だろうと思っているんですけれども,私の近くで単立の神社が1社,寺院が1箇寺,これは単立か被包括か分かりませんが,反社会的勢力が資金を援助して結果的には乗っ取ったという話がありました。ここの代表者は先日死亡したんですけれども,御多分に漏れず後継者が混乱乱立といいますか,混乱している。その乗っ取った宗教法人はどうなるのかなと心配します。こういったことで,世間一般から宗教法人に対する不信というものが更に深まっていくことになるんだろうと思います。

そこで,提出書類さえ出しておれば,不活動法人,あるいは不活動法人に将来ならないかというとそうではないんで,どこかで何かの施策が必要なんじゃないかなと。普通の団体だったら反社会的勢力とお付き合いがありますか,ありませんかみたいなことをきっちり出させる。商工会議所などは出させますね。宗教法人もそんなことが必要なのかなというふうな感じが今しております。

現在,私は信仰なり宗教と申しますのは不滅であろう,こういうふうに考えておりますけれども,しかし宗教団体としては非常に危機的な状況にあると思っております。その要因はいろいろありますけれども,例えば既成宗教,新宗教を問わず,限界集落の問題というのもありましょうし,また,若者の信仰心が希薄になっていると申しますか,形が大分変ってきておりまして,パワースポットが最近よく言われますけれども,神社なりお寺なりのパワースポットが紹介されますと,そこは行くけれども,本殿なり本堂へはお参りをしない。だから,そこに何が祭られているかというのは分からない。でも,分からなくても昔●●の前を通られました西行法師が,「何様がおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」と言われましたけれども,そういう感覚では全くないんです。興味がない。そういう感覚では全くないんです,興味がないんですね。そういう状況の中に非常に危機的なことが考えられるわけですけれども。

そして,先ほどの不活動宗教法人なんですが,現場に立つ宗教者として,これは何とかしなければいけないということで,不活動になって何十年もたっておりますと後継者がといいますか,後継者というかその遺族の方が住所を変えられていて,その場所に既にマンションが建っているとか,あるいは駐車場になっている,あるいはまた荒れ地になっているというふうな状況の中に,近所の方に聞きましてもどこに行っているか分からないということが結構あるわけですね。役所なりあるいは郵便局なり,いろいろなところでまたそれをたぐっていきまして,ようやく遺族の方にといいますか,もう孫のような段階になっているんですけれども,そこへ電話なり手紙を出していろいろやりますと,何かそういう宗教法人だったということも知らない。手続をしなきゃいけませんよという話をしましても,何かこちらが詐欺師のように誤解をされてしまうようなことがありまして,そこからまず解いていくわけです。そして,ようやくその法人としての解散手続,後の処理を一切包括宗教法人に依頼があって,委任状も出してもらうわけですけれども,そこまで来てあとどうしても進まないこともある。それは何かといいましたら,法人とかの規則の写しがないということで,所轄庁にそれを出しました。10法人ほど解散手続をしようということで,その写しをくれというふうにして出して,その手続の方法についても確認したんですが,何の音沙汰もない。7つほどの所轄庁に依頼をしたんですが,何かの連絡があっても,これも電話だけだし文書できちっと書いて代表役員名で出したんですけれども,何も音沙汰がないんですね。確認をしましたら,あ,また後ほどということで,また何の音沙汰もないので,本当に所轄庁やる気があるのかなという思いがいたしました。僕がしゃべって,申し訳ないような言い方なんですけれども。

ここが進まないと,一歩も前へ出られないんですね。ですから,私どもだけじゃなしに,ほかの宗教団体なんかも恐らくそういうふうなことを思っておられるところがあろうかと思いますけれども,そう言える場が余りありませんので,ここでちょっとそのようなお話をさせてもらいました。大変御無礼いたしました。

過疎と高齢化の問題ですけれども,これについても実は新宗教は都市型だからというような認識は初めあったんですが,実は調べてみますと,伝統仏教や神社ばかりではなくて,新宗教の場合も全国ネットで展開したものはかなりやはり過疎地を抱えていて深刻である。ただ,組織的に本部があって教会,支部というようなパターンと,個別の教会が宗教法人になっている場合と違っているんですけれども,とても深刻な状況があるということが分かりました。それと,最近九州地方の豪雨で日田市もかなり大変だったんですけれども,ちょうど調査で知り合っている教会がありまして,そこを見てみますと教会も流木が突き刺さって2メートルぐらい土砂が来てしまってとても大変な状況なんですが,そこは個別の宗教法人になっているところでした。そういう場合に,地域社会もそういうような被害に遭っておりますし,過疎化で高齢化の中で,じゃあそれを立て直すことというのがとても大変なわけですね,親教会や本部というのもあるんですけれども,かつてのような力はなくなってきている。そういう場合どうするのかというものを,私もお見舞いなどはちょっとさせていただきましたけれども,非常に深刻な問題があるんだな。周りも信者も余りいないのでというお話を聞きますと,真面目にやっているがゆえにとても大変だなということを感じました。

また,反面,本部があって,本部が教会を作るところに関しては,本部がある程度面倒を見るので,その点では財的には安心なのかなということを考えたりいたしましたけれども,過疎と高齢化というのは伝統仏教や神社ばかりではなくて,新宗教も非常に深刻なものがあり,特に個別の教会が宗教法人になっている場合は,自分が住んでいる場所と――後継者もそうですけれども,住んでいる場所と教会が一体化しているので,この宗教法人審議会でも時々取り上げられるのは,結局宗教法人としての財の問題と,自分のうちのようにしている人と財的なものが重なっちゃっている場合の問題ですよね。そういうのが問題になって出てくることが多いんですが,なかなか新宗教が基本的に余り売買ということは行かないと思いますね。やっぱり本部の組織的なレベルがあるので余り,少ないとは思うんですけれども,やはりかなり深刻な問題があるなというのをここの審議会に出させていただいて,異なる視点で見る中でいろいろと気付かせていただきました。

そして,それが特に問題になってくるのは,過疎の問題とか高齢化の問題もありますけれども,それが信仰継承されていかないという問題も一つありまして,その中では先ほどおっしゃっていたように宗教に対する非常な逆風というのがあって,特に●●の事件以降ですけれども,逆風があって,その中で新規の信者の獲得が難しい,かといって既存の信者は高齢化していく,信仰継承も難しいという中で,日本における宗教というのがかなり難しくなってきているのかなという印象を持っています。また,反面,真面目にやっている宗教もかなり多いんですけれども,そういうのはマスコミで取り上げられないので,宗教に対するイメージがどんどん悪くなっていっているということも危惧されることだと思っております。

○新井会長

いろいろな御意見を頂いて,ありがとうございました。

特に多かったのは,不活動宗教法人の問題,それから宗教の社会的なイメージが非常にマイナス,ネガティブなものであり,逆風みたいなものが吹いている状況にあるのではないかということを複数の委員がおっしゃいまして,そういうこともきちっと踏まえながら,この審議会の運営をしていかなければいけないと感じたところです。こういう形の意見表明をしていただいて,私としては大変良かったかなと思っております。

3.閉会

○新井会長

それでは,今の意見表明のほかに,全体にわたってもし御質問,御意見があればお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。

今の不活動のこともありましたけれども,この法律の先生方がたくさんおられるので,宗教法人を認可するときの書類がそろえば,代表役員と責任役員が4名ぐらいそろって書類がそろえば,時期を待てば大体認可されると。これはいかがなものかという感じがするんですね。やはり,もう少し絞る必要があるんじゃないかと思います。信教の自由はもちろん認められるべきでありますけれども,その宗教法人の中でも特定の宗教法人が問題を起こすと,一般の方々からすると,やはり宗教に対する非常な不信につながっていると思うんです。

ですから,不活動のところをどうするかということもあるかもしれませんけれども,認証の問題ですね。これがやはり今の時代にそぐわない,緩やか過ぎるんではないか。その書類がそろえば,あとはおとなしくしていれば自動的に認証になるということが18万という数になっている。これが多いか少ないかはいろいろあるかもしれませんけれども,ちょっと一般の方に聞くと,え,18万?そんなにあるんですかと驚きますね。1万8,000じゃないかと。

それでも多いんじゃないかということなんですが,その教主になるような人がそんなにたくさん日本にいて,その方がみんな健全であればいいと思いますが,やっぱり異常なところがあると思いますよ。宗教ってそういう毒がありますよね。一種の狂気というようなものも出てきますよね,今までの教祖をずっと見ていると。それだからこそ布教が進むということがありますけれども。それはいいんだけれども,活動をしていることにおいてある程度そこに健全さ,社会の良識というものをきちっと行動できているだろうか,そのチェックをどこがしているのか。誰もしていないというのが現状じゃないでしょうか。それをするのが宗務課であるとかいうふうに言えば余りにもきついかもしれませんけれども,どこかで歯止めを掛けていくことをしないと,これは宗教界全体が活性化していかないということに,本質的な危機を感じてならないのです。

以上です。

○新井会長

ほかはいかがですか。

今の問題ですか。手短にお願いしますね。

ちょっと難しいんじゃないですか。認証制度ですよね。それを行政の方で絞るというのは非常に難しいかなと思います。私はむしろ,やっぱり互いに関心を持って,私たち宗教人が健全な方向に行く,そういう方がいいかなと思うんですけれども。

○新井会長

会長としては非常に発言しにくいのですが,宗教法人審議会の役割は,宗教法人法に基づく認証ということを政教分離の下で適切に行っていくということだと考えています。今の問題提起は非常によく分かるのですが,それは宗教法人審議会の役割を超えている部分がありまして,この審議会で扱うのではなくて,むしろ宗教団体の方できちっとしかるべき対応をしていただくということが,まず政教分離の本質からしてもそうあるべきじゃないかなと思っておりますので,私としては宗教団体の関係者の努力にまず期待したいと思います。

ほかはよろしいですか。

そうしたら,事務局の方,ほかに何か発言がなければ,本日の審議会はこれで終了ということにさせていただきますが。

○宗務課長

たくさん御意見を頂き,ありがとうございました。特に,不活動の宗教法人の関係などにつきましては,都道府県とか包括宗教法人と会議を行う機会等もございますので,ここで出てきたような意見の中で,規則の写しがなかなかもらえないとかいう問題があるのであれば,その辺りも共有してきちんと行えるようにしていきたいなと思っているところでございます。

どうもありがとうございました。

○新井会長

ということで,当審議会が頻繁に開かれることは決して好ましいことではないのですけれども,もしそういうことになりましたら,是非審議の方に御協力いただきたいと考えております。

本日は皆さんに本当に活発な議論を頂いて,私としては大変良かったと思います。どうもありがとうございました。今後ともひとつよろしくお願いいたします。

では,本日はこれで終了といたします。

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