国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項の改訂について(通知)

29庁財第576号
平成30年1月29日

各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市市長殿
各指定都市教育委員会教育長
文化庁関係各独立行政法人の長

文化庁文化財部長
山﨑秀保

重要文化財等の適切な公開に資するため,文化庁では,平成8年に「国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項」(平成8年7月12日 文化庁長官裁定)を策定し,博物館その他の施設において国宝・重要文化財(美術工芸品)等(以下「重要文化財等」という。)の公開を行う場合には,この要項に基づいて重要文化財等を取り扱われるよう周知をしてきたところです。

近年における文化財の公開に対する社会的なニーズの高まりなどを背景に,文化財を確実に次世代へ継承するために,文部科学大臣から,これからの文化財の保存と活用の在り方について,包括的な検討を求める諮問(平成29年5月19日)が行われました。これを受け,文化審議会文化財分科会の下に企画調査会(以下「企画調査会」という。)が設置され,重要文化財等のより適切な公開の在り方について審議されることになりました。

これを踏まえ,重要文化財等の保存と活用の在り方に関して,専門的な審議を行うために,企画調査会の下に「これからの国宝・重要文化財(美術工芸品)等の保存と活用の在り方等に関するワーキンググループ」(以下「ワーキンググループ」という。)が設置されました。

このワーキンググループにおいては,文化財の展示設備等の技術的な進歩や公開ニーズの多様化などに対応するために,国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項の改訂についても審議し,「これからの国宝・重要文化財(美術工芸品)等の保存と活用の在り方等に関するワーキンググループ報告」(平成29年11月22日)を取りまとめました。本報告は文化審議会「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について(第1次答申)」(平成29年12月8日)において反映され,これらのことを踏まえ,この度,本要項を別紙のとおり改訂することとなりました。

ついては,今後,博物館その他の施設におかれまして,重要文化財等の公開を行う場合には,下記事項に留意しつつ,この要項に沿って,重要文化財等が適切に取り扱われるよう貴管下の市(区)町村長,教育委員会及び博物館その他の施設並びに重要文化財等の所有者等に対し周知を図るとともに,適切に実施されるよう配慮願います。

  1. 本要項は,文化財保護法第53条に基づき,重要文化財等の所有者及び管理団体以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要文化財等を公衆の観覧に供しようとする場合(重要文化財等の移動を伴うものに限る。)に,適切な取扱いを行うべき事項や留意すべき事項を示した指針であること。
  2. 公開に当たっては,専門的知識に基づき,個々の文化財の材質,形状,保存状態などの特性を十分把握した上で,状況に応じて,公開を避けなければならないものや,公開のための移動回数及び期間,公開の方法や環境等を総合的に判断する必要があること。従って,公開を実施する施設の長は,対象の重要文化財等の公開に際し,要項を参照し,公開日数等を適切に判断すること。なお,本要項の公開日数には休館日を含んでいることを踏まえること。
  3. 重要文化財等の保存状態等は個々に異なるため,必要に応じて,地域の中核となる美術館・博物館で十分な研修を受けた学芸員等や保存科学を専門とする専門家,専門機関のほか,文化庁文化財部美術学芸課の助言を得ることが望ましいこと。
  4. 上記1.でいう「所有者及び管理団体以外の者」とは,主に博物館や美術館などの展示施設のことを言い,修理などにより寄託されている場所で修理状況を公開する場合や寄託品,貸与品を公開する場合は,この要項に記載されている公開日数等は該当しないこと。

国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項(平成30年1月29日改訂)(140.2KB)

国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項改訂【概要】(205.5KB)

<担当>

文化庁文化資源活用課

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