無形文化遺産

無形文化遺産の保護に関する条約の概要

経緯

2003年10月
ユネスコ総会において採択
2006年4月
条約発効

我が国は2004年6月に条約締結

締約国

182か国(2023年11月時点)

条約の目的と概要

「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)は,グローバリゼーションの進展や社会の変容などに伴い,無形文化遺産に衰退や消滅などの脅威がもたらされるとの認識から,無形文化遺産の保護を目的として,2003年のユネスコ総会において採択された。この条約によって,世界遺産条約が対象としてきた有形の文化遺産に加え,無形文化遺産についても国際的保護を推進する枠組みが整った。条約の策定段階から積極的に関わってきた日本は,2004年にこの条約を締結した。

この条約においては,口承による伝統及び表現,芸能,社会的慣習,儀式及び祭礼行事,自然及び万物に関する知識及び慣習,伝統工芸技術といった無形文化遺産について,締約国が自国内で目録を作成し,保護措置をとること,また,国際的な保護として,「人類の無形文化遺産代表的な一覧表」や「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」の作成,国際的な援助などが定められている。

この条約の履行については,全締約国から成る締約国会議の下に,締約国の中から選挙で選出される政府間委員会が設置されており,履行のための運用指示書の作成や,「人類の無形文化遺産代表的な一覧表」等の作成など,重要な役割を担っている。日本は,条約が発効した2006年から2008年,2010年から2014年,及び2018年から2022年まで政府間委員会委員国を務めるなど,代表一覧表等の審査にも積極的に関わっている。

無形文化遺産保護条約政府間委員会

ユネスコ無形文化遺産保護条約の締約国から選出された24か国で構成。原則として年に1回開催され,条約の履行のための運用指示書の作成や,条約に基づき設置されている無形文化遺産基金の使用に関する計画を策定する他,評価機関の勧告を踏まえ,代表一覧表等の各種一覧表への登録審議や国際援助の決定等を行う。

<政府間委員会委員国(24か国)>※2023年1月時点

【任期:2020-2024年】

スウェーデン,スイス,チェコ,ブラジル,パナマ,ペルー,韓国,ボツワナ,コートジボワール,ルワンダ,モロッコ,サウジアラビア

【任期:2022-2026年】

ドイツ,ウズベキスタン,スロバキア,パラグアイ,バングラディシュ,インド,マレーシア,ベトナム,アンゴラ,ブルキナファソ,エチオピア,モーリタニア

人類の無形文化遺産の代表的な一覧表
(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity)

政府間委員会は,無形文化遺産の一層の認知及びその重要性についての意識の向上を確保するため,また,文化の多様性を尊重する対話を奨励するため,関係する締約国の提案に基づき,代表一覧表を作成している。

締約国から提出された提案書は,政府間委員会が設置する評価機関(Evaluation Body)(世界各地域から選出される専門家6名とNGO6団体により構成)が,運用指示書に定められた登録基準に従って事前審査を行い,政府間委員会に対して審査結果を勧告する。勧告は次の3通り。

  • (1)「記載(inscribe)」:代表一覧表に登録することがふさわしい
  • (2)「情報照会(refer)」:締約国に追加情報を求める
  • (3)「不記載(not to inscribe)」:登録にふさわしくない

この勧告を踏まえ,政府間委員会が登録の可否を決定する。

代表一覧表に登録された我が国の無形文化遺産

2023年1月現在

能楽
(紹介動画)
2008年
人形浄瑠璃文楽
(紹介動画)
2008年
歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)
(紹介動画)
2008年
雅楽
(紹介動画)
2009年
小千谷縮・越後上布
(紹介動画)
2009年
奥能登のあえのこと
(紹介動画)
2009年
早池峰神楽
(紹介動画)
2009年
秋保の田植踊
(紹介動画)
2009年
大日堂舞楽
(紹介動画)
2009年
題目立
(紹介動画)
2009年
アイヌ古式舞踊
(紹介動画)
2009年
組踊
(紹介動画)
2010年
結城紬
(紹介動画)
2010年
壬生の花田植
(紹介動画)
2011年
佐陀神能
(紹介動画)
2011年
那智の田楽
(紹介動画)
2012年
和食;日本人の伝統的な食文化
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録について(農林水産省)
(紹介動画)
2013年
和紙:日本の手漉和紙技術
(構成/石州半紙,本美濃紙,細川紙)
(紹介動画)
2014年
山・鉾・屋台行事
(紹介動画)
2016年
来訪神:仮面・仮装の神々
(紹介動画)
2018年
伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術

(提案概要)(73.9KB)

概要パンフ日本語版(19.5MB)/英語版(19.3MB)
(紹介動画)

2020年
風流踊

(提案概要)(159KB)

概要パンフ 日本語版(3MB)
(紹介動画)

2022年

代表一覧表への記載に向けて提案中の我が国の無形文化遺産

伝統的酒造り

(提案概要)(171KB)

これまでの経緯と今後の予定

時期 事項
2022年3月 ユネスコ事務局へ提案書を提出
2022年7月 2023年の審査見送り

審査件数の上限を超える提案があったため,条約運用指示書の規定に基づき,我が国からの提案は 2023 年には審査されないこととなりました。

無形文化遺産部会

無形文化遺産の制度

参考資料

補助金制度

関連リンク

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