著作権法の一部を改正する法律の概要

趣旨

 著作物の適切な保護と活用を図り,「知的財産戦略」を推進するため,緊急の課題であるIPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い等に関する所要の法整備を行う。

改正の概要

Ⅰ.放送の同時再送信の円滑化

 平成18年12月から,IPマルチキャスト放送(※)による地上波放送の再送信が開始される予定である。
 このIPマルチキャスト放送は,平成23年(2011年)のデジタル放送への全面移行に向け,その補完路として,地上波放送の再送信が期待されているところであり,放送の同時再送信の円滑な実現のため,「放送の同時再送信」について,有線放送と同様の取扱い(報酬請求権化)とする。

(※)電気通信役務利用放送法に基づくIPマルチキャスト技術を用いた有線電気通信の送信


Ⅱ.時代の変化に対応した権利制限等

 様々な社会のニーズ等を踏まえて,以下の利用行為について,著作権者に無許諾で行えるようにする。

  • ○ 公衆送信の定義の見直し(同一構内の無線LANによる送信の除外)
  • ○ 視覚障害者に対する「録音図書のインターネット送信」
  • ○ 「特許審査」等における文献の複製
  • ○ 「薬事行政手続」における文献の複製
  • ○ 機器の「保守・修理」等におけるバックアップのための複製

Ⅲ.著作権等保護の実効性の確保

 先の通常国会で行われた産業財産権制度との調和を踏まえて,輸出行為の取締りと罰則の強化を図る。

○ 輸出行為の取締り
著作権等の侵害品の「輸出」及び「輸出を目的とする所持」を取締りの対象とする。
○ 著作権侵害等に係る罰則の強化
<個人罰則>
・ 懲役刑 : 5年以下 ⇒ 10年以下
・ 罰金刑 : 500万円以下 ⇒ 1,000万円以下
<法人罰則>
1億5,000万円以下 ⇒ 3億円以下
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