表現例について

1 目的

【例1】信託契約による場合
 この約款は,音楽の著作物の著作権の保護と利用の円滑化を図るため,<受託者名>と委託者との間で締結する信託契約の内容を定めることを目的とする。
【例2】委任契約による場合
 この約款は,美術の著作物の著作権の保護と利用の円滑化を図るため,委託者が<受託者名>に利用の許諾の代理をさせる委任契約の内容を定めることを目的とする。
*1 
「信託契約」又は「委任契約(取次ぎ又は代理の別を含む)」かの別の記載は,約款の必要記載事項です(法第11条第1項第1号
*2 
音楽,美術等の著作物等の種類については,登録の際届け出られた「取り扱う著作物等の種類」(法第4条第1項第4号)の範囲を逸脱することはできません。

2 受託の範囲

【例1】信託の場合
 委託者は,その有する著作権及び将来取得する著作権のうち,複製権,演奏権,上映権,公衆送信権,伝達権,頒布権,上映権,譲渡権で管理委託契約において指定したものを受託者に移転し,受託者は,委託者のためにその権利を管理するものとする。
【例2】委任の場合
 委託者は,その有する著作権及び将来取得する著作権に係る次に定める利用方法で管理委託契約において指定したものに関する管理(利用許諾契約に関する交渉及び契約の締結,使用料の収受及び分配その他これに附帯する業務)を委任し,受託者はこれを引き受けるものとする。
(1) 
著作物をCD,CD−ROMその他のデジタル記録媒体に複製し,その複製物 を公衆に譲渡すること
(2) 
著作物をコンピュータで読みとり可能な形式で複製し,コンピュータ・ネット ワークを用いて公衆送信すること,及び受信先の受信装置を用いて著作物を公に伝達し又は送信先の受信装置にコンピュータで読みとり可能な形式で複製すること
(3) 
著作物をコンサート形式で演奏すること
【例3】非一任型の管理を併用する場合
 次に定める利用方法で委託者が管理委託契約において指定したものについては,使用料規程に定める額にかかわらず,その使用料の額は,利用契約の都度,委託者が決めるものとする。
(1) 
著作物を劇場用映画の背景音楽として録音すること
(2) 
著作物をテレビコマーシャルの背景音楽として録音すること
(3) 
著作物をゲームソフトの主題歌又は背景音楽として録音すること
(4) 
著作物をオペラ,ミュージカル,バレエなどのように上演形式により演奏すること
*1 
受託の範囲は,登録の際に届け出られた「著作物等の利用方法」(法第4条1項第4号)を逸脱することはできません。
*2 
例えば,全部の著作権を一括して委託させる条項は,委託者に委託する権利の選択権を極端に制限するものであり望ましくありません。
*3 
作品ごとの委託を認める場合は,「その有する著作権及び将来取得する著作権」の部分が,例えば「委託者が指定する著作物の著作権」などの表現に変ります。

3 契約期間

【例】
 契約期間は,管理委託契約の締結の日から○年とする。ただし,契約期間満了の○月前までに,受託者又は委託者が反対の意思表示をしないときは,本契約は自動的に○年間更新されたものとする。
*1 
契約期間に関する事項は,約款上の必要記載事項です(法第11条第1項第2号)

4 使用料の徴収の方法

【例1】使用料規程に基づく徴収
 受託者は,文化庁長官に届け出た使用料規程に基づき,利用者から使用料を徴収するものとする。
【例2】使用料の減額根拠
 受託者は,利用許諾契約の締結の促進又は管理の効率化を図るため,必要に応じ,合理的な範囲で,文化庁長官に届け出た使用料規程に定める使用料の額を減じた額を利用者に請求することができる。
*1 
契約期間に関する事項は,約款上の必要記載事項です(法第11条第1項第2号)

5 使用料の分配の方法

【例1】受益者の指定
 この約款における受益者は委託者とする。ただし,委託者は,受託者の同意を得て,第三者を受益者に指定し又は指定した受益者を変更することができる。
【例2】分配方法(その1)
 受託者は,受託者が収受した使用料を,当該使用料の収受の日から○日以内に ,委託者(受益者)に分配するものとする。

【例3】分配方法(その2)

 受託者は,受託者が収受した使用料を次のとおり委託者(受益者)に分配するものとする。

分配期 期 間
6月 1月から3月までの間に収受した使用料
9月 4月から6月までの間に収受した使用料
12月 7月から9月までの間に収受した使用料
3月 10月から12月までの間に収受した使用料
*1 
使用料の分配の方法に関する事項は,約款の必要記載事項です(法第11条第1項第3号)

6 受託者の報酬

【例1】報酬の額
 委託者が受託者に支払う報酬は,受託者が収受した使用料の○パーセント以内で受託者が定める率とする。
【例2】報酬の控除
 受託者は,受託者が収受した使用料を分配する際に,○条で定めた報酬を控除するものとする。
*1 
報酬に関する事項は,約款の必要記載事項です(法第11条第1項第4号)
*2 
報酬の額は,利用方法により異なる報酬を定めること,定額制で定めることなども認められる。なお,○パーセント以内とせず,○パーセントと定めた場合においても,実際の控除がそれを下回っても問題ありません。
*3 
「報酬」とは,管理事業者が委託者に提供する何らかの役務の対価として徴収する一切の費用をいい,「手数料」「前金」その他の呼称を問いません。

7 約款及び管理委託契約の変更の方法

【例1】公示・通知
 受託者は,この約款を変更した場合は,遅滞なく○○の方法により変更された約款を公示するとともに,委託者に通知しなければならない。
【例2】管理委託契約継続の意思確認
 この約款の変更の内容に異議のある委託者は,通知の到達した日から○月以内に,書面による申し出により,管理委託契約を解除することができる。
【例3】約款及び管理委託契約の変更の確定
 ○条に定める公示の日から○月経過しても○条に定める解除の申し出がないときは,委託者は約款及び管理委託契約の変更について承諾したものとみなす。
*1 
契約の変更の方法に関する事項は,約款の必要記載事項です(規則第11条第1号)
*2 
公示及び通知については,管理事業法上の義務です(法第15条,法第11条第2項)
*3 
公示方法については,規則第18条に具体的に定められています。なお,約款に定められた公示方法と登録申請書に記載された約款の公示方法は一致する必要がありますので注意してください。
*4 
例3は,委託者の住所又は居所が不明な場合,委託者本人に通知が到達したかどうかが不明な場合などを想定して定めたものです。

8 管理委託契約の承継の方法

【例1】委託者の地位の承継
 相続又は営業譲渡,合併若しくは分割により委託者の有する著作権を承継した者は,管理委託契約に基づく委託者の地位を承継するものとする。
【例2】承継の届出
 委託者の地位を承継した者は,すみやかにその旨を受託者に届け出なければならない。なお,相続人である承継者が複数いるときは,その代表者が届け出るものとする。
*1 
管理委託契約の承継の方法に関する事項は,約款の必要記載事項です(規則第11条2号)

9 管理委託契約の解除の方法

【例1】
 委託者又は受託者は,管理委託契約に違反する行為があったときは,相当の期間を設けて,当該契約上の義務の履行を催告した上で,義務の履行がない場合は,管理委託契約を解除することができる。
【例2】
 受託者が著作権等管理事業法第9条各号のいずれかに該当することとなった場合において,同条第1号,同条第3号又は同条第4号に該当することとなったときは,委託者は○条に定める手続きにより管理委託契約を解除できるものとし,同条第2号に該当することとなったときは,受託者が破産の宣告を受けたときをもって,管理委託契約は当然解除されたものとする。
*1 
契約の解除の方法に関する事項は,約款の必要記載事項です(規則第11条第3号)。

10 委託者の事情に応じて管理委託契約の内容に違いを設ける場合においてはその方法

【例1】
 委託者は,管理委託契約の締結に当たり,受託者の同意を得て,この約款に定める受託者の権限に加えられた制限以外の制限を定めることができる。
*1 
委託者の事情に応じて管理委託契約の内容に違いに設ける場合の根拠規定については,約款の必要記載事項です(規則第11条第4号)。
*2 
例外的な取り扱いを認めない場合には,規定する必要はありません。

11 財務諸表等の提供

【例1】
 受託者は,毎事業年度経過後○月以内に,著作権等管理事業法施行規則第19条に定める財務諸表等を作成し,○○の方法により委託者に提供するものとする。
*1 
財務諸表等を備え付け委託者に閲覧・謄写をさせることは,管理事業法上の義務(第18条)ですが,条文例では委託者保護の観点から,これらの情報を提供することを内容としています。
*2 
○○の方法とは,会報による提供,インターネットによる提供,新聞・雑誌による提供などが考えられます。

12 管理委託契約約款の実施の日

【例1】
 受託者は,毎事業年度経過後○月以内に,著作権等管理事業法施行規則第19条に定める財務諸表等を作成し,○○の方法により委託者に提供するものとする。
*1 
約款の実施の日は,約款の必要記載事項です(規則第11条第5号)

プリントアウト・コピー・無料配布OKマーク,障害者のための非営利目的利用OKマーク,学校教育のための非営利目的利用OKマーク

ページの先頭に移動