平成28年度 危機的な状況にある言語・方言サミット(奄美大会)・与論

開催日時

平成28年11月13日(日)9:00~15:15

開催場所

与論町総合体育館〈砂美地来館〉
(鹿児島県大島郡与論町茶花2045)

参加者数

約260名

内容

1 歓迎セレモニー

  • ・開会宣言(仲田千晴(小6))
  • ・舞弦鼓(与論版エイサーの披露)
  • ・こども園 学習発表(島口・島唄の披露)

2 開会式(主催者挨拶)

  • ・岸本織江(文化庁文化部国語課長)
  • ・鎮寺裕人(鹿児島県大島支庁長)
  • 鮫島秀久(鹿児島県大島支庁総務企画部長 代読)
  • ・山元宗(与論町長)

3 危機的な状況にある言語・方言の現況

○調査研究の結果報告

文化庁委託「危機的な状況にある言語・方言の実態に関する調査研究」及び文化庁委託「危機的な状況にある言語・方言の保存・継承に係る取組等の実態に関する調査研究」の調査研究結果として,ユネスコによる危機度の尺度,アイヌ語,八丈方言,奄美方言,国頭方言,沖縄方言,宮古方言,八重山方言,与那国方言,東日本大震災被災地(岩手県沿岸部)方言の状況について紹介。

  • ・消滅の危機の程度に係る判断基準・根拠について(琉球大学 石原昌英)
  • ・消滅の危機の程度に係るユネスコの尺度と沖縄県内各方言の状況(琉球大学 石原昌英)
  • ・八丈,奄美,与論・国頭,被災地の状況(国立国語研究所 木部暢子)
  • ・アイヌ語学習の現状と課題(北海道大学 北原次郎太)

○継承のための取組事例報告

危機的な状況にある言語・方言の継承のために実際に行われている先進的取組について紹介。

  • ・沖縄県豊見城市の「豊見城市しまくとぅば読本」制作について
    (豊見城市教育委員会 島袋幸司,琉球大学 狩俣繁久)
  • ・ユンヌフトゥバ(与論方言)の保存・継承の取組について
    (与論町教育委員会 町岡光宏,与論町教育委員会 内野優三郎,与論民俗村 菊秀史)

○協議

「継承のために求められるものは」というテーマで,何を主眼として教えるのか,高齢者と児童生徒の間が空白世代となっていることへの対策,海外での事例などについて,上記の報告者によって協議。

4 危機的な状況におる言語・方言の聞き比べ

「手のひらを太陽に」(作詞 やなせたかし)の歌詞を基にした八つの文について,アイヌ語,八丈方言,奄美方言,国頭方言,沖縄方言,宮古方言,八重山方言,与那国方言に翻訳を依頼し,それぞれの翻訳文を披露し,類似点や相違点を実際に感じ,多様性を実感。

  • ・矢崎春菜(アイヌ語話者)
  • ・川上絢子(八丈方言話者)
  • ・山田薫(奄美方言話者)
  • ・菊秀史(国頭方言話者)
  • ・岸本新(沖縄方言話者)
  • ・宮里尚安(宮古方言話者)
  • ・山城直夢(八重山方言話者)
  • ・浦添正光(与那国方言話者)

5 危機的な状況にある言語・方言による語り

アイヌ語及び国頭方言(与論方言)による語りの披露。

・アイヌ語(語り手 矢崎春菜)
「チロンヌプ アイヌ コチャランケ(キツネのチャランケ)」
「ポイサロ シネプ(小サルが一匹)」
「コタン シッチレ モシリ シッチレ(村焼き国焼き)」
・与論方言(語り手 菊秀史)
「ミンギヌヌ クレージキ(人間の位付け)」

6 与論町の取組成果

与論町立与論小学校における取組の様子を動画,静止画で投影しながら,教育課程にいかに取り込んで実施しているかを紹介。

7 講演「吾きゃシマぬウタ 吾きゃシマぬユムタ」(奄美島唄唄者 朝崎郁恵)

奄美島唄を実演しながら,その中に使われている方言を説明し,方言でなければ表せないものがあること,それを継承していくことの大切さを,失われつつある現状への危機感とともに語る。

8 閉会式

・大会宣言

危機的な状況にある言語・方言の保存・継承の機運を高めるため,中学生と与論方言の継承の取組の先駆者との掛け合いの形で,与論方言継承の決意とお願いを宣言。

  • ・菊千代(与論民俗村・与論方言継承の取組の先駆者)
  • ・川崎佳都(中3)
  • ・池田匡佑(中2)

・謝辞(町岡光宏(与論町教育委員会教育長))

アンケート結果

回収したアンケートを集計した結果,「サミットの内容に満足した」は98%,「危機的な状況にある言語・方言についての理解が深まった」は100%となった。

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