平成13年度「国語に関する世論調査」の結果について

文化庁

 文化庁では,施策の参考とするため,平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」を実施している。平成13年度は,例年継続調査している外来語の認知・理解のほか,日本語の大切さや「美しい日本語」,日本人の日本語能力などに関する国民の意識を調査した。
 この調査に関する報告書『平成13年度 国語に関する世論調査〔平成14年1月調査〕―日本人の言語能力を考える―』は,財務省印刷局から刊行されている。
(平成14年6月25日発行 本体価格1,360円)

Ⅰ.調査目的・方法等

調査目的 外来語の認知率・理解率,日本語の大切さや「美しい日本語」,日本人の日本語能力などに関する国民の意識を調査し,今後の国語施策の参考とする。
調査対象 全国の16歳以上の男女3,000人
調査時期 平成14年1月10日~1月30日
調査方法 個別面接調査
回収結果 有効回収数(率) 2,192人(73.1%)

Ⅱ.調査結果の概要

1.外来語の認知・理解

(1)外来語の認識<問8>(40ページ)※
―リーズナブルの「意味が分かる」人は45%―

※は報告書のページを表す

 10の外来語を挙げて,その言葉を聞いたこと,見たことがあるか(認知),また,その言葉の意味が分かるか(理解)を尋ねた。結果は次の表のとおりで,「トリートメント」は最も認知率が高く,9割を超えた。以下,「インパクト」「IT」が8割以上の認知率で上位3位までを占めた。「リーズナブル」以下は理解率が5割に達せず,「ジェラート」以下は認知率も5割に達しなかった。これら10語について,認知率の順位と理解率の順位は同じとなった。

  聞いたこと,見たことがある(認知) 意味が分かる(理解)
トリートメント 91.8% 81.8%
インパクト 87.8% 74.7%
IT 83.1% 65.3%
ソムリエ 75.9% 65.2%
DVD 70.4% 57.1%
アロマテラピー 65.6% 53.7%
リーズナブル 57.3% 44.8%
ジェラート 48.1% 37.4%
ネゴシエーション 22.7% 14.7%
インタラクティブ 19.9% 9.0%

 「国語に関する世論調査」では,外来語の認知・理解について平成8年度から継続的に調査している。6年間に調査した64語の認知率・理解率を一覧にすると,〈参考〉のグラフのようになる。

2.日本語の大切さ

(1)日本語を大切にしているか <問1>(3ページ)
―7割の人が「大切にしている」―

 毎日使っている日本語を大切にしているかどうかを尋ねた。結果は以下のとおり。

大切にしていると思う ・・・・・・ 33.7% 括弧 大切にしている(計)
69.1%
余り意識したことはないが,考えてみれば大切にしていると思う ・・・・・・ 35.4%
どちらとも言えない ・・・・・・ 22.1% 括弧 大切にしていない(計)
7.6%※
特に大切にしてはいないと思う ・・・・・・ 6.8%
分からない ・・・・・・ 1.2%

※小数第2位四捨五入のため,単純合計と一致しない。

(2)日本語を大切にしている理由 <問1付問1>(3ページ)
―「日本人であるための根幹であるから」が最多―

 日本語を「大切にしている(計)」と答えた人に,それはどのような理由からかを尋ねた。
結果は以下のとおり(「その他」「分からない」は省略。複数回答。回答者数=1,514)。

1 日本語は自分が日本人であるための根幹であるから ・・・・・・ 50.5%
2 日本語は日本の文化そのものであり,文化全体を支えるものだから ・・・・・・ 41.6%
3 日本語によって,ものを考えたり感じたり善悪の判断をしたりしていると思うから ・・・・・・ 39.5%
4 日本語がないと日本人同士の意思疎通ができないから ・・・・・・ 38.9%
5 日本語しかできないから ・・・・・・ 27.7%
6 日本語は美しい言葉だと思うから ・・・・・・ 26.6%

〔日本語を大切にしていない理由〈問1付問2〉上位2選択肢〕(複数回答。回答者数=167)

1 たまたま日本人に生まれたので日本語を使っているにすぎないから ・・・・・・ 55.7%
2 特に大切にしなくても通じればよいと思うから ・・・・・・ 52.7%

3.“美しい日本語”

(1)「美しい日本語」はあるか <問16>(70ページ)
―「あると思う」人が圧倒的―

 「美しい日本語」というものがあると思うかどうかを尋ねた。結果は次のグラフのとおり。
(数字は%)

「美しい日本語」はあるかのグラフ

(2)「美しい日本語」とはどのような言葉か <問16付問>(70ページ)
―「思いやりのある言葉」が最多―

 「美しい日本語」が「あると思う」と答えた各回答者に,その人にとって「美しい日本語」とはどのような言葉かを尋ねた。上位7選択肢は以下のとおり。
(複数回答。回答者数=1,858)

「美しい日本語」とはどのような言葉かのグラフ

〔言葉を交わす喜び,言葉の大切さを感じるとき〈問17〉(75ページ)上位3選択肢〕(複数回答)

1 地域や職場で,気持ちよくあいさつをし合うとき ・・・・・・ 55.0%
2 山道などで行き会った者同士が,「こんにちは」などと声を掛け合うとき ・・・・・・ 45.9%
3 相手と十分に話し合って,お互いに理解し合えたと実感したとき ・・・・・・ 37.7%

〔日ごろ言葉遣いで心掛けていること〈問18〉(78ページ)上位3選択肢〕(複数回答)

1 自分が言われて嫌なことは人には言わない ・・・・・・ 68.1%
2 相手や場面に応じて敬語を使う ・・・・・・ 58.0%
3 だれに対しても自分からあいさつする ・・・・・・ 36.3%

4.言語生活と情報媒体

(1)生活に必要な情報を何から得ているか <問5>(32ページ)
―テレビは全年齢層で9割以上,新聞・雑誌は年齢差が大―

生活に必要な情報を何から得ているかのグラフ

 上記のうち,全世代にわたって9割を超えている「テレビ」と,年齢差の大きい「雑誌」「新聞」「インターネット」を年齢別に示すと,以下のとおり。

生活に必要な情報を何から得ているかのグラフ〔年齢別〕

(2)人とのやりとりに,どのような方法を用いているか <問6>(34ページ)
―高年層は「手紙・はがき」,若年層は「携帯メール」―

 毎日の生活で,人とのやりとりにどのような方法を用いているかを尋ねたところ,「直接会って話す」(93.8%),「電話」(78.0%),「携帯電話」(36.9%),「手紙・はがき」(24.6%)などの順となった(複数回答)。そのうち書き言葉の通信手段である「手紙・はがき」「携帯メール」「ファックス」「電子メール」「インターネット」について,年齢別にグラフにすると,以下のとおり。

人とのやりとりに,どのような方法を用いているかのグラフ〔年齢別〕

(3)情報媒体多様化の影響 <問7>(37ページ)
―30~40代は漢字力の衰えを,若者は情報機器への依存を自覚―

 携帯電話や電子メールなどの普及による情報交換手段の多様化が,日常生活に与えている影響として思い当たることを挙げてもらった。上位6位までは以下のとおり(複数回答)。2,3から,手で字を書くことが面倒くさく感じるようになった人や,漢字を正確に書く力が衰えたと思う人が30~40代に多いことが,5,6から,若年層でメールへの依存度が高い人の多いことが分かる。

  1 2 3 4 5 6
手紙やはがきは余り利用しないようになった 漢字を正確に書く力が衰えた 手で字を書くことが面倒くさく感じるようになった 大した用もないのに携帯電話を掛けるようになった 口頭で言えば済むことでも,メールを使うようになった 携帯メールの着信が気になって度々確認するようになった
全体 41.6% 41.3% 31.9% 17.3% 17.2% 16.5%
16~19歳 42.1% 26.4% 21.5% 23.1% 41.3% 46.3%
20~29歳 45.9% 44.1% 31.5% 24.4% 28.0% 37.6%
30~39歳 47.7% 57.7% 40.9% 16.0% 22.0% 22.0%
40~49歳 56.5% 51.8% 46.7% 20.7% 21.6% 16.9%
50~59歳 46.3% 45.1% 31.7% 20.8% 13.2% 10.4%
60歳以上 26.0% 26.5% 21.9% 10.1% 6.4% 3.3%

5.言葉の使い方,感じ方

(1)言葉の使い方―どちらを使うか <問2>(10ページ)
―高年層は,「すばらしさに鳥肌が立つ」人が少ない―

 二つの言い方を挙げ,どちらを使うかを尋ねた。結果は以下のとおり。

  1. (1)a 余りのすばらしさに鳥肌が立った
  2. b 余りの恐ろしさに鳥肌が立った

言葉の使い方のグラフ〔年齢別〕

全体:aの方を使う…22.8%,bの方を使う…46.8%,どちらも使う…17.8%,どちらも使わない…11.7%

  1. (2)a まだ過去のことにこだわっている
  2. b 食材にはとことんこだわっている

言葉の使い方のグラフ〔年齢別〕

全体:aの方を使う…31.1%,bの方を使う…19.9%,どちらも使う…40.3%,どちらも使わない…7.9%

  1. (3)a 彼は理科系に進んだ
  2. b この曲は癒やし系だね

言葉の使い方のグラフ〔年齢別〕

全体:aの方を使う…39.4%,bの方を使う…18.6%,どちらも使う…28.3%,どちらも使わない…11.5%

(2)「乱れ」か「変化」か「多様性」か <問3>(18ページ)
―「花に水をあげる」は過半数が「構わない」―

 本来の言い方とされるものと併存する別の言い方について,「乱れ」だと思うか,別の見方をするかを尋ねた。結果は以下のとおり。

(1)「来ることができる」という意味で,「来られる」ではなく「来れる」を使うこと

〔全体〕

(ア) 「言葉の乱れ」だと思う ・・・・・・ 26.6%
(イ) 「来られる」でも「来れる」でも構わないと思う ・・・・・・ 32.9%
(ウ) 「言葉の乱れ」ではなく,「言葉の変化」だと思う ・・・・・・ 32.5%
(エ) 正しい言い方だと思う ・・・・・・ 4.5%

〔年齢別〕

言葉の乱れについてのグラフ〔年齢別〕

(1)「花に水をやる」ということを,「花に水をあげる」と言うこと

〔全体〕

〔年齢別〕

言葉の乱れについてのグラフ〔年齢別〕

(3)慣用句等の使用 <問4>(23ページ)
―「けんもほろろ」は10代の8割が意味も分からず―

 10の語句について,使うことがあるか,また意味が分かるかを尋ねた。結果は次の表のとおり。

(ア) 「言葉の乱れ」だと思う ・・・・・・ 15.7%
(イ) そういう言い方をしても構わないと思う ・・・・・・ 52.2%
(ウ) 「言葉の乱れ」ではなく,「言葉の変化」だと思う ・・・・・・ 16.3%
(エ) 正しい言い方だと思う ・・・・・・ 14.6%
語句 使う 使わないが,意味が分かる 使わないし,意味も分からない
いたたまれない 58.3% 35.6% 5.9%
心もとない 58.1% 33.2% 8.1%
おもむろに立ち上がった 50.6% 43.7% 5.3%
よんどころない事情 37.3% 43.6% 18.0%
けんもほろろ 33.3% 41.1% 24.7%
水ももらさぬ警備 25.5% 59.6% 14.4%
とみに進歩した 20.9% 53.3% 24.3%
ゆゆしき(ゆゆしい)こと 19.1% 52.0% 27.4%
言わずもがな 13.2% 45.9% 38.1%
つとに知られている 7.2% 38.3% 52.0%

 10の語句のうち,「いたたまれない」「よんどころない事情」「けんもほろろ」「つとに知られている」について,年齢別の数値をグラフにすると,以下のとおり。

いたたまれない(年齢別)
「いたたまれない」の使用についてのグラフ

よんどころない事情(年齢別)
「よんどころない」の使用についてのグラフ

けんもほろろ(年齢別)
「けんもほろろ」の使用についてのグラフ

つとに知られている(年齢別)
「つと」の使用についてのグラフ

6.日本人の日本語能力等

(1)日本人の日本語能力 <問9>(43ページ)
―書く力が低下していると思う人が9割―

 最近,日本人の日本語能力が低下しているという意見があるが,このことについてどう思うかを,「読む」「書く」「話す」「聞く」の四つに分けて尋ねた。結果は以下のとおり。

  非常に低下していると思う やや低下していると思う 低下している(計) 変わっていないと思う むしろ向上していると思う 分からない
書く力 37.5% 50.6% 88.1% 7.7% 0.6% 3.6%
読む力 17.6% 51.2% 68.8% 25.4% 1.4% 4.4%
話す力 16.7% 42.5% 59.2% 33.1% 3.9% 3.9%
聞く力 14.2% 42.8% 57.0% 35.9% 2.9% 4.2%

(2)向上させたい日本語能力 <問10>(48ページ)
―「読んで理解する力」,「聞いて理解する力」が6割―

 日本人の日本語能力について,「読む」「書く」「話す」「聞く」の四つの領域と「総合的な力」に分け,それぞれにおいて特にどのような面を向上させる必要があると思うかを尋ねた。各領域等における選択率上位2位までは次のとおり。

読む力 本や新聞を読んで一通り理解する力 60.9%
内容が聞き手に正しく伝わるように文章を音読する力 25.7%
書く力 内容が読み手に正しく伝わるように文章を書く力 46.8%
本や新聞に出てくる漢字を一通り書く力 25.7%
話す力 自分の考えを筋道を立てて述べ伝える力 43.4%
相手や場面にふさわしい言葉遣いで話す力 32.3%
聞く力 相手の話を聞いて理解する力 59.6%
適切な質問によって,自分の知りたいことを相手から聞き出す力 15.9%
総合的な力 言葉や態度から相手の気持ちや真意を察する力 35.5%
言葉を通して綿密な思考を組み立てる力 19.8%

(3)日本語能力向上のための方策 <問14,問15>(64ページ,67ページ)
―個人は「読書」,国・自治体は「学校教育の充実」―

個人の方策

 今後,自分の日本語能力を向上させていくために,どのようなことをしたいかを尋ねた。結果は以下のとおり。(複数回答)

日本語能力向上のための方策のグラフ〔個人〕

国・自治体の方策

 今後,日本人の日本語能力を向上させていくために,国や自治体がどのような方策を講ずる必要があるかを尋ねた。結果は以下のとおり。(複数回答)

日本語能力向上のための方策のグラフ〔国・自治体〕

(4)察しの能力 <問12>(59ページ)
―日本人の「察しの能力」が低下していると思う人が過半数―

 日本人同士の会話を成り立たせている「察しの能力」が低下しているという意見について,どう思うかを尋ねた。結果は以下のとおり。

非常にそう思う ・・・・・・ 13.0% 括弧 そう思う(計)
56.1%
まあ,そう思う ・・・・・・ 43.1%
どちらとも言えない ・・・・・・ 25.5%
余りそうは思わない ・・・・・・ 12.6% 括弧 そうは思わない(計)
13.8%※
全くそうは思わない ・・・・・・ 1.1%
分からない ・・・・・・ 4.6%

※小数第2位四捨五入のため,単純合計と一致しない。

(5)「察しの能力」の意味付け <問13>(62ページ)
―40代以上は「きちんと言葉に出して言うべき」が最多―

 今後,「察しの能力」はどのように意味付けられると思うかを,以下の(ア)~(エ)の選択肢を示して尋ねた。全体及び年齢別の結果は次のとおり。

〔全体〕

(ア) 「察し合い」は日本人の築いてきた文化であるから,今後も大切なコミュニケーション能力の一つとして伝えていくべきだと思う ・・・・・・ 16.4%
(イ) 誤解を招くこともあるから,余り相手の「察し」を期待しない方がいいと思う ・・・・・・ 12.5%
(ウ) これからの時代は,きちんと言葉に出して言うべきだと思う ・・・・・・ 34.0%
(エ) 相手や状況によっては「察し合い」の会話をし,必要に応じてきちんと最後まで言うようにすればいいと思う ・・・・・・ 32.1%

〔年齢別〕

「察しの能力」の意味付けのグラフ〔年齢別〕

7.外国人から話し掛けられた経験

(1)日本国内で外国人から話し掛けられた経験 <問21>(85ページ)
―6年前に比べ,経験者が増加―

 この1~2年の間に,日本国内で外国人から話し掛けられたことがあるかどうかを尋ねた。平成7年度調査と併せて結果を表にすると,次のとおり。

  しばしばある 時々ある 1~2度ある ある(計) 全くない
平成7年度 5.4% 11.6% 19.9% 36.9% 63.1%
平成13年度 8.2% 13.8% 21.2% 43.2% 56.8%

 13年度(今回)の結果を年齢別に示すと,次のとおりで,若年層ほど「ある(計)」の割合が高い。

  しばしばある 時々ある 1~2度ある ある(計) 全くない
16~19歳 12.4% 15.7% 30.6% 58.7% 41.3%
20~29歳 12.2% 16.8% 26.5% 55.6% 44.4%
30~39歳 9.4% 14.9% 28.6% 52.9% 47.1%
40~49歳 9.2% 15.4% 24.6% 49.1% 50.9%
50~59歳 9.5% 14.1% 19.0% 42.6% 57.4%
60歳以上 3.7% 10.7% 13.1% 27.5% 72.5%

(2)外国人から話し掛けられたときの対応<問21付問2>(90ページ)
―6年前に比べ,「主に英語で」が4.5ポイント増―

 前問で,話し掛けられたことが「ある」と答えた人に,そのときの対応について尋ねた。
平成7年度調査の結果と併せて結果を表にすると,次のとおり。
(回答者数=817。※は選択肢がなかったことを示す)

  平成7年度 平成13年度
主に日本語で応じた 43.7% 44.1%
主に英語で応じた 12.2% 16.7%
主に英語以外の言葉で応じた 1.4%
状況次第で,日本語又は英語で応じた 39.3% 32.5%
状況次第で,日本語又は英語以外の言葉で応じた 3.0%
なるべく応じないようにした 2.2% 1.2%
応じなかった 1.8% 1.1%
ページの先頭に移動