事業詳細

新宿から発信する「国際演劇都市TOKYO」プロジェクト

実行委員会
新宿から発信する「国際演劇都市TOKYO」プロジェクト実行委員会
中核館
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

事業目的

本事業の目的は、国際的にも高く評価され、国内においても「日本のブランド力」として認知されている日本の演劇・映像文化を、地域との共働によって、新宿から広く国内外に向けて発信することである。本事業は、中核となる演劇博物館が有する膨大な文化資源やアーカイブの活用はもとより、上映会や座談会、アウトリーチ活動、多言語発信など多彩な手法により、演劇・映像文化の魅力を国内外に向けて発信し、地域文化の活性化のみならず、演劇・映像文化全体の底上げを狙う点に特色がある。

まずは、新宿区およびその周辺に居住する児童・生徒・学生・外国人を含めた地域住民らに、古典芸能から現代演劇、映像にいたるまで、多様な文化に触れてもらうことによって、文化的関心を喚起し、地域の文化を活性化させ、未来の文化の担い手となる人材を育成する。また、非日本語話者に向けた多言語対応を充実させ、文化財本来の魅力や価値を分かりやすく伝えられる環境を整備することで、外国人利用者の一層の増加を促進する。さらに、周辺地域および関係機関との緊密なネットワークを構築し、日本の演劇・映像文化の魅力を国内外に広く発信することによって、訪日外国人観光客の拡大を見据え、インバウンド観光を促進し、国内の観光振興施策とも連携して地域振興・観光振興に貢献する。これら施策を遂行していくことで、新宿から「国際演劇都市TOKYO」を強くアピールする。同時に、演劇・映像文化を通じて、災害復興や環境問題、少子高齢化や福祉、性的マイノリティへの理解といった、地域の社会問題のみならず、世界的に共通の課題についても、国内外の人びとと共に考え、共感を深める場を創出したい。

なお、事業の実施にあたっては、演劇・映画文化の推進に力を入れている豊島区や文化事業を活性化させている文京区など、新宿区を中心とする近隣地区の文化施設と連携することで、地域の文化施設・発信拠点をつなぐ中心的な役割を担い、演劇・映像文化を核とした地域振興・観光振興を長期的に継続するためのネットワークを構築する。

事業概要

本事業は、アジアで唯一の演劇専門総合博物館である早稲田大学演劇博物館を中核として、新宿の行政・観光・文化を担う主要機関のメンバーからなる実行委員会を組織して「国際演劇都市TOKYO」を掲げ、新宿から日本の重要な文化の一つである演劇・映像文化の魅力を新宿から世界に向けて広く発信し、日本の文化全般あるいは日本という国そのものへの興味・理解を喚起するとともに、国際交流の推進にも寄与することを課題とした。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、計画の一部の中止・変更を余儀なくされ、とりわけ、春から夏にかけて予定されていた企画はその多くが中止と判断せざるを得なかった。一方で、秋口には、少しずつ企画実施の可能性を探りはじめ、事業計画の変更承認申請を行ないつつ、新型コロナウイルス感染予防のために万全の対策を取りながら下記の企画を実施した。

1.「地域のこどもたちに演劇文化を継承し次世代の担い手を育成する人材育成事業」では、コロナ禍により「こども演劇教室」は中止したものの、アウトリーチ型ワークショップである特別支援学校への伝統芸能教室では、障がいをもつこどもたちに鑑賞と体験の機会を提供し、演劇文化への関心を高め、多文化共生社会を生きる地域文化の担い手を育成した。

2.「グローバル化拠点としての演劇博物館の国際発信事業」では、在日外国人を多く擁する新宿区の特性を活かし、国内在住の外国人に向けて、多言語で解説する「展示解説の多言語サービス充実事業」を促進した。演劇博物館は、古典芸能から近現代の演劇・映像の関連資料を広く収集していることから、在日外国人にとっても親切で分かりやすい見学環境を整備することで、コロナ禍においても「国際演劇都市TOKYO」の認知度を上げ、地域の文化振興と在日外国人の日本文化理解の深化に貢献した。

3.「多様な演劇・映像文化の普及と発展を目的としたユニークベニューとしての演劇博物館促進事業」では、上映会や座談会等を、三密を避けるために会場や定員を変更し、感染予防対策に万全を期しながら実施し、学生などの若い世代や在日外国人を含む地域住民への演劇・映像文化の普及と浸透を図った。こうした取組を通じて、コロナ禍において精神的ストレスを抱える人々に文化の重要性を発信し、演劇・映像文化による地域コミュニティの形成を促進し、地域における博物館の機能強化を推進した。

以上のようにコロナ禍という想定外の事態に際し、演劇・映像文化の発信方法を臨機応変に変更し、新規性を担保しつつも、未来を見据えての継続性や発展性を重視し、全国の美術館・歴史博物館および他の地域のモデル事業となることを目指した。

実施項目・実施体系

  • 地域のこどもたちに演劇文化を継承し次世代の担い手を育成する人材育成事業
    • (1)アウトリーチ型ワークショップによる障がい者の伝統芸能鑑賞支援事業
      • ①アウトリーチ型ワークショップ「伝統芸能 出張体験教室」の実施
      • ②事前打合せ・開催準備
  • グローバル化拠点としての演劇博物館の国際発信事業
    • (1)展示解説の多言語サービス充実事業
      • ①展示解説・ホームページの多言語化
      • ②事前打合せ・開催準備
      • ③ホームページなどにおける成果発信
  • 多様な演劇・映像文化の普及と発展を目的としたユニークベニューとしての演劇博物館促進事業
    • (1)ユニークベニューとしての演劇博物館活用事業
      • ①無声映画上映会「エンパクシネマ」の実施
      • ②事前打合せ・開催準備
      • ③地域広報・ホームページでの情報発信
      • ④アンケートの実施
      • ⑤ホームページなどにおける成果発信
    • (2)映像文化を通じた性的マイノリティの可視化促進事業
      • ①ゲストトーク付き上映会イベント「誰のためにつくるのか~『虹色の朝が来るまで』上映会」の実施
      • ②事前打合せ・開催準備
      • ③地域広報・ホームページでの情報発信
      • ④アンケートの実施
      • ⑤ホームページなどにおける成果発信

事業実績(PDF)

一覧へ戻る