感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業
- 実行委員会
- 新たな美術鑑賞プログラム
創造推進事業実行委員会 - 中核館
- 京都国立近代美術館
事業目的
上記の課題を踏まえて、本事業の目的は次の3点とする。
1点目は、「さわる」鑑賞体験をはじめ、視覚だけに頼らずに美術館の所蔵作品を鑑賞する機会を継続的に設けることである。障害の有無を越えて、多様な感覚を用いながら行う作品鑑賞については、過去2年間を通じて認知が進んでおり、プログラムを一般化しながら事業終了後も持続可能な形で継続する方策を探りたいと考えている。
2点目は、五感を刺激するユニバーサルな鑑賞プログラムを、現代作家および視覚障害者と共に構築する実験的な取り組みを行うことである。障害者の参画を積極的に歓迎し、彼らの視点を取り入れながらプログラムを作り、発信することにより、これまで美術館から縁遠かった利用者層へのアプローチも目指す。
3点目は、京都国立近代美術館を中核に、盲学校、大学、行政、周辺施設等のネットワークを強化しながら、障害のある方を含むあらゆる人が文化芸術活動に関わる環境整備に向けた課題整理、具体的な方策の構築と発信、調査研究を行うことである。さらに2019年ICOM京都大会、2020年東京五輪に向けた機運が高まる中、共生社会の実現に向けた美術館における具体的な実践例として積極的に発信する。
上述、3点の活動を通して、事業内で実施するプログラムの参加者からのフィードバックを得ながら、「美術館へ行くこと」「美術鑑賞の方法」を、これまでにない鑑賞体験へと拡張していくことを目指している。
事業概要
【さわる鑑賞体験の継続的な実施・普及】
京都国立近代美術館の所蔵作品や建築を用いた「さわる鑑賞体験」等の提供を継続的に行う。これまで実施したワークショップ等の成果に基づきながら、既存の方法とは異なる美術鑑賞の方法やその可能性について、障害の有無を問わず一人でも多くの方が体験できる機会の拡充を目指す。
【ABCでつくる「感覚をひらく」鑑賞プログラム】
視覚障害者とアーティスト、そして美術館が協働し、「耳で楽しむツール」等、これまでの鑑賞体験の枠組みを広げるような鑑賞プログラムを試験的に開発・実施する。作品鑑賞の多様なありようと、そこから生まれるユニークな解釈や鑑賞者どうしのコミュニケーションの可能性について、アーティストの感性を生かし、障害のある方の視点も踏まえながら発信する。
【盲学校との連携】
視覚障害のある児童生徒への美術鑑賞教育の充実を目指して、美術館と盲学校による連携授業を実施する。なお、盲学校との連携については、30年度内に試行的に実施をしており、ここで示された課題を踏まえながら継続的に実施をすることで既に検討が進められている状況にある。
【触察ツール開発】
視覚障害のある方の美術鑑賞に対する意識改革、また来館機会を増やすため、視覚障害者と協働しながら、京都国立近代美術館の所蔵品をもとにした触察ツールの作成を行う。また、鑑賞を支援するための点字による展覧会案内等のバリアフリー対応についても、試作品を作り、意見聴取を行う。
実施項目・実施体系
≪区分≫
- (2)あらゆる者が参加できるプログラム及び学校教育や地域の文化施設等との連携によるアウトリーチ活動
- 障がい者の芸術活動支援・鑑賞活動支援等の事業
≪実施項目・実施体系≫
- 視覚以外の感覚を用いた美術鑑賞の実践と発信
- (1)京都国立近代美術館の所蔵作品を用いた、ユニバーサルな鑑賞体験の提供
- ①「さわる」鑑賞プログラムの継続的な実施
- ②盲学校との連携による鑑賞教育の充実のための授業
- (2)見えない人とつくる「感覚をひらく」鑑賞プログラム
- (3)視覚障害者の鑑賞支援に向けた各種ツール等の研究開発
- (1)京都国立近代美術館の所蔵作品を用いた、ユニバーサルな鑑賞体験の提供
- プログラムの継続した運営と発展的展開のための基礎研究