国語施策・日本語教育

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2 漢字の問題

<<漢字部会>>

〔部会長〕

 時枝誠記  

〔部会員〕

 青野季吉  阿利資之  今井直一  鹿住徳一  倉石武四郎  園田次郎  滝口義敏  服部静夫

 原 富男  藤森良信  中島健蔵  松坂忠則  山口吉郎

〔部会開催〕

 第1回(昭和25.6.14)〜第11回(昭和27.2.12)

〔提出資料〕

漢1  漢字対策の一案【時枝委員】
漢2  当用漢字補正についての調査資料
    (朝日新聞社新聞用語改善委員会)【園田委員】
漢3  生物学の分野で多く用いる字で当用漢字表に
    ないものの例【服部(静)委員】
漢4  資  料【安利委員】
漢5  読売新聞紙面に出た当用漢字外の漢字【鹿住委員】
漢6  当用漢字にない医学用語(第1次選定用語)【緒方委員】
漢7のA 東京朝日新聞最終版に出た制限字【園田委員】
漢7のB 新聞によく出てくる専門語と学術語【園田委員】
漢8  毎日新聞紙面に現れた制限字の漢字【藤森委員】
漢9  当用漢字表制定の際の文部大臣談
漢10  同上当局談
漢11  安倍国語審議会長から新聞雑誌等各方面へ出した書面
漢12  新しい漢字表(新聞投書に答える)【保科孝一】
漢13  「当用漢字表」「現代かなづかい」の実施についての次官通牒
漢14  漢字部会議題【時枝委員】
漢15  前回の部会の議事について【時枝委員】
漢16  当用漢字表補正についての覚え書【時枝委員】
漢17  各委員から提出された当用漢字表外の漢字【国語課】
漢18  検定教科書高校用選鉱学大意用語例【山口委員】
     学術用語審議会採鉱冶金専門部会追加申請漢字【山口委員】
漢19  当用漢字にない漢字について【大学学術局学術課】
漢20  当用漢字補正についての審議経過ならびに報告原案
漢21  漢字部会の報告【時枝委員】



 部会の審議のはじめにあたって,根本問題として,漢字対策の態度と方法とに関する一案が提出されたが,これはしばらくおくことになり,まず当用漢字表を補正するかしないかを問題として取り上げることに決まった。そこで,当用漢字表そのものの性格を吟味するために,制定当時の訓令・文部大臣談・当局談などを材料として検討した。各委員の同表に対する了解のしかたに相当の隔たりがあったが,部会としては,

1)当用漢字表は,法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で使用する漢字の範囲を示したもので,したがって制限表である。
2)当用漢字表は,時代によって動くものであることが予想されるがその字数はしだいに減らして,教育漢字程度までにすることが理想とされている。
3)当用漢字表にない文字は,かなで書き表わさなければならない。したがって,当用漢字とかなとの抱き合わせを認めるものである。

というふうに了解して,それに基いてなんらかの形で当用漢字表の補正を考えるべきであろうという意見に一致した。次いで,補正審議の材料として各委員から資料の提出を求め,補正の方針と態度とを検討したが,

1)字数はあまり問題にしないで1850字以上になってもいいか,それとも当用漢字表の精神を尊重して減らしていくべきか。
なお,このためには,漢字使用の実態調査や,教育における漢字学習能力の範囲の調査をすべきである。
2)熟語における漢字・かなの抱き合わせを認めるかどうか。
3)学術的専門用語などの漢字を含めるかどうか。

の3点で種々の意見があって,容易にまとまらなかった。しかしながら,学術的専門用語のうち,やむを得ないものについては,その取扱の方法を別に研究する必要があるということは一致した意見であった。
 そして,当用漢字表の補正については,国立国語研究所とも密接に連絡しさらに漢字使用の実状,教育における漢字習得能力の範囲,その他必要な資料を整備して,漢字問題の解決をはかるべきであるという結論に到達し,これが第13回総会(昭和27.3.10)に報告された。

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