国語施策・日本語教育

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議事 学術用語の漢字について

山 口

 学術語の全部が当用漢字表で制約され,術語を変えろと言われているが困る。学術語にはジャーナリズムには使わないが,出度の高い文字がある。攪(かく)拌を「まぜること」,抛(ほう)物線を「物を投げる線」では困るし,「楕(だ)円」の楕の字はない。鉱物の名称・色・形・結晶・成分など,1850字の範囲内で決めることはむずかしい。文部省の検定教科書には,術語の表記が漢字・かな混用の不便・不体裁のものがある。当用漢字表はどの程度厳格なものか許容はどの程度認められるのか,学会の連中は困っている。きょうは,ぜひこの点について確かな返事をもらって帰らなければならない。

宮沢副会長

 どうやれというような命令はどこからも出ていない。もし強制するなら法律で決めなければならないのだから,今のお話は問題にならないのではないか。

有 光

 前の審議会で決めた結果については,まず政府内部で実行することになった。一般には強制力はないが,新聞社が協力してくれた。教育面では教科書の検定基準に取り入れてくれた。学会でも国語を簡易化し,術語を統一したい希望があったので,学術用語調査会では,当用漢字表を一つの標準とすることになった。これは学界のなかからの空気で,外部から強制されたのではないと了解する。

千 種

 審議会のあり方として,決めるまでにはじゅうぶん論議を尽すべきだが,決めた以上は推進力となりたい。学術用語を決めるには,専門家は自分の専門にのみとじこもる傾きがあるから専門外の第三者にはいってもらうのがよい。強制されているのではないが,なるべく当用漢字の範囲内で用語を整理していくよう努力されたい。

山 口

 必ずしも当用漢字表の範囲内で学術用語の整理をやれと決めたのではないとのお話だが,範囲外の文字を使ってよいのか,いけないのかはっきりしてもらわないと科学者は困る。個人の場合ならどちらでもよいが,学会としてははっきりしないのでは困る。

宮沢副会長

 当用漢字表を参考にして,具体的には学会自身で審議して決めていけばよい。

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