国語施策・日本語教育

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議事 ローマ字調査審議会の廃止について

辻田局長

 各省の審議会を整理統合する基準として,類似の事項は一つにする。ローマ字調査審議会と,国語審議会とがそれに該当するので,ローマ字調査審議会を廃止して,仕事は国語審議会で継承する。文部省設置法案はすでに,両院で可決されたので,国語審議会はローマ字に関する事項を全面的に審議することになった。そこで,従来別々に審議していた仕事を今後とう運営するか。具体的方法として,わたくしどもの案を申し上げると,3月31日でローマ字調査審議会が廃止後,その仕事を国語審議会が継承する方法として,ローマ字調査分科審議会を置くのである。このことについては明後29日のローマ字調査審議会最後の総会に報告し,おはかりすることになっているが,継承については支障のないようじゅうぶん考慮している。

土岐会長

 ローマ字の問題には長い歴史があって,なかなかめんどうである。国語審議会が継承してどう運営するかはいずれ総会に議題となるが,ローマ字調査分科審議会を置くことは,御了承願いたい。なお国語問題審議要領草案は今日のところまだできあがっていないから,「総23」のプリントは世間に出ないようにしていただきたい。また総会や部会の要録はそのつどお手もとにさしあげてあるが,会議は公開を原則としているので,この要録は各大学および特定の方面にも送っている。国語審議会がどんなことを議しているかを外部のかたにも知らせることが審議会に対して関心を高めることにもなると思う。

大 野

 ローマ字調査審議会がどのようなことをしていたかを説明願いたい。

土岐会長

 安藤会長に説明を願う。

安藤ローマ字調査審議会長

 お尋ねに対しローマ字調査審議会の仕事がどのくらい進んでいるかを簡単にお話しする。
 ローマ字調査審議会は,ローマ字の教育部会とつづり方部会を設けて,慎重審議を重ねてきたが,そのうち一応まとまりをみたのは教育部会の審議である。つづり方のほうは,御承知のように,問題がなかなかむずかしいので,根本的に検討を加えてきた関係上,まだ成案をみていない。以上のほか,ローマ字の文法・分ち書きの問題等研究を重ねてゆかなければならないので,これまたまとまっていない。しかし各委員の研究により,各部門の審議は一応まとめられるものと考えている。今回ローマ字調査審議会が廃止されて,その仕事が国語審議会に継承されることになるが,申すまでもなくローマ字の調査は重要な問題であるから,国語審議会においても,ローマ字に関する審議事項を全面的に取り上げ,いっそう進めてゆくようにお願いする。御質疑に対しては重ねてお答えする。

藤 森

 国語審議会の性格と任務のなかに,ローマ字調査審議会から受け継いだ仕事についてうたってないようだが,全然別個に扱うのか。せっかく国語審議会の性格を明らかにしようとするとき,偶然の結果で,ローマ字調査審議会が合併になって,世間からローマ字が国字になる前提であるような疑惑や誤解を招くおそれがありはしないか。

土岐会長

 草案はローマ字調査審議会の廃止がはっきり決まってから書いたものではない。しかし国語表記の一つとしてローマ字のあることは,国語の表記法のなかに書かれている。国語の表記がローマ字になるということを前提や目的として審議するようには扱っていない。ローマ字による国語表記の可能性なども問題になることと思う。アメリカの教育使節団の報告にはローマ字になることが適当であろうという見解が述べられてあるが,国語審議会としては,もちろん独自の立場で審議されることになると思う。

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