国語施策・日本語教育

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議事 ローマ字調査分科審議会の運営について

土岐会長

 休憩中行ったローマ字調査分科審議会の会長選挙は,互選によって安藤委員に決定した。本日の会は,本来から申せば2日に分けて開くところを,1日にすませようとしたわけで,前段の会議が少し長びいた結果,後段だけに参集される臨時委員のかたがたには,お待たせする結果となった。まず,臨時委員のかたがたは各自自己紹介をお願いしたい。
(宇田,大塚,桑原,千葉,福田,松浦各臨時委員それぞれ自己紹介をした。)

土岐会長

 なお,このほかに近く発令される予定になっている武藤氏が傍聴に来ておられるから,御紹介する。

(武藤氏自己紹介)

土岐会長

 前段の会議で,ローマ字調査分科審議会には,つづり方部会と文法・分ち書き部会の二つの部会をおくことになった。教育の部会は,ローマ字調査審議会の時代に第1段階の仕事がまとめられているから,つづり方ならびに文法・分ち書き部会で審議が進められて,その一段落がついてから,また教育の部会を開きたいと思う。部会に属する委員は会長から指名する規則になっているので,失礼であるが,わたくしからお名まえを申し上げる。(敬称略)

○ つづり方部会

大塚明郎,井上達二,宇田道夫,桑原信,千葉勉,鈴木文史郎,長沼直兄,福田邦三,松浦四郎,村田五郎,安藤正次,倉石武四郎,有光次郎,田口三郎,服部四郎,中島健蔵,佐野利器,ほかに手続中2名(計19名)

○ 文法・分ち書き部会

大塚明郎,桑原信,千葉勉,松浦四郎,吉川甲子太郎,安藤正次,石黒修治,金田一京助,中島健蔵,松坂忠則,田口三郎,服部四郎,ほかに手続中2名(計14名)
 さて,ローマ字調査分科審議会の運営についてであるが,分科審議会として決定した事項は,国語審議会の総会にかけ,国語審議会として決められることになるのである。委員のかたがたとしては,分科審議会の二つの部会をかけもちされるかたや,さらに,国語審議会の部会のほうまでかけもちされるかたがあって,はなはだお忙しいことになるであろうが,なにぶんよろしくお願いする。

千 葉

 ローマ字調査会の委員選出の際には,準備会を開いたりして,きわめて慎重に,公平にという基本観念によって選ばれたのであるが,今度の場合の委員選出のこれまでの経過を知らせていただきたい。

土岐会長

 国語課長からお話しする。

原課長

 委員の候補者を推薦する方法は文部省告示で決められている。その告示に基いて,国語審議会委員のなかから候補者推薦協議会をつくり,協議の結果,候補者名簿を作って大臣に推薦し,大臣がそれに基いて任命するのである。

土岐会長

 ほかになにか御不審があれば。

千 葉

 実験学校が各地でだいぶ盛んに行われているようだが,小・中学校の実験学級の代表者として,同じ手続中の2名を入れるのか。

土岐会長

 小学校のほうは実験学級をもつ小学校の校長であり,武藤氏は中学校の校長である。

千 葉

 2名のかたはどういう方面の代表か。また,会全体として3派が遺憾なく代表されているか。

土岐会長

 どの式を代表されているのかは知らないが,わたくしは,各学校が最も適当であると思う式によって行っておられることと思う。

千 葉

 式の問題がやかましくいわれているから,各方面においてそれぞれ3派の代表ということになっているとつごうがよい。

土岐会長

 必要であれば,各派から御意見を出されればよい。

原課長

 式の代表としては,日本式に松浦四郎氏,訓令式に大塚明郎氏,標準式に千葉勉氏を臨時委員としてお願いしてある。実験学級からも3式から1名ずつということになると,報道関係・言語学関係その他すべての部門にわたって3名ずつとなり,定員や予算の関係でとうてい実現しがたい。であるから,式の代表としては,さきに述べた3名だけとし,あとは式の代表ではなく,各部門から推薦されたかたがたと了解されたい。だから,さきの2名も実験学校の式の代表ではなく,義務教育の部門の代表という意味でお願いしているのである。

千 葉

 たとえそういう意味であったにしても,やはり各式から1名ずつ代表としてはいったほうがよい。

土岐会長

 その問題は,資料を集めるときに考慮すればよい。他の部門に属する人は,何式を主張しているかわかりかねる。

原課長

 当局としても,式のつりあいにいはかなり神経を使っているのだが,御本人に伺ってもはっきり御返事をいただけず,わかりかねるのである。

安 藤

 文部当局においても3式の関係は心配している。課長も言ったようにできるだけ公平な立場に立って選んでいることと思う。また,わたくしとしては,将来会の運営面からこのことはじゅうぶんに考慮する。

大 野

 3式の代表ということが問題になっているが,国民の大多数を占めている農民を代表する農学関係の人がひとりもはいっていない。審議会のほうもローマ字のほうも法・文・経・理・工の人ははいっているが,農がない。

原課長

 実はその方面のある人にお願いしたのだが,辞退されたのである。

颯 田

 農学者がはいるならば,音楽家も入れるべきである。

原課長

 音楽関係のかたも断られたのである。

土岐会長

 審議を進めていくうちに必要になれば,はいってもらってもよいし,また,外部から助言してもらうことにすればよい。そうでなければ話がまとまらない。

大 野

 考慮していただければよい。

土岐会長

 では,部会のことになるが,これについては分科審議会長と国語課長とが打ち合わせた上,日取りなどを御通知する。部会はしばしば開いたほうがよいのだが,会長その他のつごうでなかなかそうもいかないが,委員のかたがたが積極的にやってくだされば,その機会があると思う。ではこれで散会する。

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