国語施策・日本語教育

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議事 ローマ字教育部会の設置その他について

土岐会長

 国語審議会として,使節団の勧告内容を審議事項として取り上げるかどうか。

(取り上げることに決定)

 では,この勧告に基いて問題を検討するために部会をつくるかどうか。

千 葉

 報告書の Language Reform の章の4項中第3に「大学程度の水準において」とあるが,大学でローマ字の研究をするかどうかをはっきりさせておいてもらいたい。また,部会は4項目全部の対策委員会か。

土岐会長

 「大学程度の水準」というのは,必ずしも大学だけではないが,大学も含まれると思う。厳格には,部会ができてから決めるべき問題であろう。部会はローマ字教育を一般的な立場で取り上げる。第4項は別だ。第1項から第3項までは,今まで国語審議会では取り上げられなかったことである。これについての部会は,ローマ字調査分科審議会の部会とせずまず国語審議会の部会として設置して,次に具体的な事項を取り上げる段階となって,部会をローマ字調査分科審議会のなかにもっていくことになる。

(異議なし)

 ローマ字教育部会の委員は何名ぐらいがよいか。

石 黒

 会長に考えてもらうのがよい。

土岐会長

 12人ぐらいではどうか。(賛成)
 では,指名させていただく。
 大塚,千葉,松浦,安藤,石黒,長沼,佐野,武藤,山崎,時枝,牛山,照井 各委員
 以上のかたがたに,御異議がなければお願いしたい。

 (異議なし)

 勧告の4番目のことについては,この間,文芸家協会の代表のかたがたが来て,文部大臣に会われたから,まずそれを御報告願うことにする。

関口局長

 文芸家協会代表の御来訪の趣旨は,「国語簡易化の第一歩として作家や学者らが当用漢字と現代かなづかいを採用使用するよう奨励すること。」とあるのは,総司令部の命令かどうか,ということであった。大臣が,それは自主的に取り上げられると答えると,取り上げ方によっては命令と等しくなるがとの質問であった。これに対して,大臣は,そのようなことはない,わたくし個人としてはみな好きなようにやったらよいと思う。ただ教育上の問題となるとそうもいかない点もあり,国語審議会において慎重に御審議願いたいと思っていると答えられたので,みな満足して帰られた。

滝 口

 この部分の as のつながりはどうなのか。「作家・学者が採用するのが国語改革の第一歩」なのか,「奨励することが第一歩」なのか。

千 葉

 やはり,「学者・作家が採用するのが国語簡易化の第一歩」と取るべきだろう。

中 島

 writer を作家と訳すと,創作家だけのように受け取られる。

土岐会長

 訳文は当局でさらに考えてもらう。当用漢字表・現代かなづかいの普及徹底の方法は当局で考えてもらう。

松 浦

 今までは,決めっぱなしで普及に努力していない。この機会に普及徹底を強化する手をうつべきではないか。

原課長

 わたくしのほうでもそう考えている。普及徹底について,国語審議会でも適当な具体策を考えてほしい。わたくしのほうでは普及費に予算を向けるよう努力してきているが,なかなか思うようにゆかないが,今後はさらにその方面の予算を多く得たいと思っている。

関口局長

 わたくしの個人的な意見だが,御参考までに申し上げると,今度の使節団は,前回に比べてよほど日本人に対して好意的になってきているように感じられた。

千 葉

 いつか言語分科研究所と国語課と共同で行ったローマ字についての世論調査の結果はどうなっているのか。佐野委員がその結果を知っておられれば,いっそうよい意見を述べられたことと思う。さしつかえがなければ早く発表してほしい。

原課長

 それは,わたくしが国語課に着任以前のことなので,よく調べてみる。なお,来年度はローマ字使用の実態調査をしたいと思っている。

土岐会長

 では,本日はこのへんで閉会にする。

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