国語施策・日本語教育

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議事 各部会長の中間報告(略)の続き

中 島

 今回の問題は国語審議会を左右する重要な問題になるかもしれない。まず審議会がなにをしているかをはっきりさせる必要がある。根本的には研究しなければいけないが,当面の問題としては早く反応する必要があり声明書とは別に法務委員会の人たちと話し合う必要がある。

宮沢副会長

 わたくしもそういう手段が必要であると思う。

原課長

 法務委員会の人たちのなかには漢字制限そのものに反対であり,文字には生命がある,文化の発達するにつれて漢字のふえるのは当然だと言っている人もある。

山 口

 わたくしは1850字だけではむりだと思う。現実の問題としてもっと融通性をもたせるようにすればよいのではないか。

 固有名詞の問題はむずかしかったので取り上げなかったが,早く固有名詞の問題は取り上げたほうがよい。

時 枝

 かりに固有名詞の問題を取り上げても,現実的には効果がない。

松 坂

 小委員会が根本的な権威をもってはいけない。総会で大きいわくを決め,そのわくのなかで小委員会がやっていかなくてはならない。

藤 森

 今回の問題は大きな問題であると思うから,わざわざ部会を開かないで,この席ではっきり結論を出してはどうか。単に部会の設置だけで総会を開いたというのでは曲がないと思う。わたくしとしては制限を撤廃して自由にむずかしい名まえをつけさせ,子や孫が将来どのくらい困るかを身をもって体験させればよいと思っている。

颯 田

 審議会では1850字を制限しているのではない。これはよいものであるというサンプルを示しているにすぎないという立場からわれわれとしてむしとこの問題に触れないほうがいいと思う。

井 上

 わたくしは,どこかにはっきりわくをつくっておかなくはないけないと思う。少なくとも野放しはいけないというみなさんの意向だけ,はっきり建議しておいてはどうか。それから字そのものもできるだけ簡単なものにしていただきたい。

園 田

 さきほど藤森委員が総会で決めると言われたが,やはり,小委員会を開き,各委員が材料を持ち寄って具体的にやっていったほうがよい。

石 黒

 部会設置に賛成。法務庁・法務委員会と協力することにも賛成。さきほど千種委員が別表を作れと言われ,会長も3月中に作ると言われたがそれではずさんなものとなるので,もっと時間をかけてもらいたい。法務委員会のほうにも別表を作ることはなかなかむずかしいといういことを知らせてほしい。それから当用漢字の啓もうも考えてもらいたい。

 この総会では固有名詞の問題を取り上げ,当面の問題として今回の名づけ文字の問題を取り上げるようにしてもらいたい。

土岐会長

 ではここで休憩して,今回の問題を取り上げた趣意を起草する委員を決めてはどうか。また,部会の人数は14名ぐらいではどうか。

中 島

 今回の問題は今までの問題と違っているから,慎重に考えてもらいたい。

第1 戸籍法施行規則による制限の現状を維持すること。
これは不可能ではないと思う。
第2 制限を広げること。
第3 制限をはずすということ。

 そのうちどれをとるかが問題である。かりに三つの立場から三つの部会をつくってはどうか。

土岐会長

 本日は,この問題を取り上げることに決め,部会を設け,原案を会長と副会長とででも作り部会にまわし,部会で審議する形にしてはどうか。

時 枝

 固有名詞という名で部会を開くのでは対外的にはどうかと思う。今回の問題の渉外のはたらきをする部会をつくってはどうか。

宮沢副会長

 部会をつくるのをやめ,総会で決めていってはどうか。

園 田

 そうすると,能率的にはどうか。それからあまりにも理論的になりはしないか。

大 塚

 固有名詞は漢字の問題だけではないので,漢字の部会だけで取り上げる問題ではない。さきほどのように広く固有名詞の問題を取り扱う部会をつくり,その部会の当面の問題として名づけ文字の問題を取り扱えばよい。そのようにこの席で決めればこの集まりの意味がある。

土岐会長

 では本日決まった態度を起草するかたを5名指名させていただきたい。では,中島・園田・松坂・原各委員と会長の5名にする。

(休憩25分。その間決議事項案を起草。休憩後,会長が国語審議会総会決議事項案を朗読)

 戸籍法において「子の名」に用いる漢字の問題は,最近各方面で論議され,国語審議会としては,この問題が国語政策の上からきわめて重要な意味をもつものと考え,3月9日の総会でこれに対する処理の方法を立てることが必要であるとの意見に一致し,固有名詞部会に付託して,その先議事項として審議研究を進めることとなった。

(一同決議事項に賛成)

土岐会長

 ではこれを固有名詞部会に付託する。部会の委員は会長の指名により,次のようにお願いする。
 鹿住,倉石,佐藤,佐野,園田,千種,土岐,時枝,中島,中村,原,藤森,前田,松坂,宮沢各委員
 そして,部会を開くまでに会長と副会長で原案を作り,部会に提出するという形にしたい。部会は3月13日,文部省別館集会室で開くことにする。

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