国語施策・日本語教育

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議事 各部会報告

○漢字部会(時枝部会長)

 はじめに部会に方針に対して,漢字政策を根本的に考えていくというのともう一つ,当面の問題として,当用漢字表を再検討するという二つの意見が出たが,話し合いの結果,後者をとることに決まった。
 当用漢字表を再検討するということもなかなかむずかしい問題なので漢字表制定当時の資料を集め慎重に検討を始めた。その結果,当用漢字表制定当時の趣旨は,漢字表をだんだん減らして教育漢字に一致させるつもりであったことがわかった。しかし,本部会として独自の立場から審議を進め,(1)当用漢字を減らす,(2)全然別の立場から新しい漢字政策を考える,(3)当用漢字を補正するという三つの意見が出,そのうちの第3の意見にまとまった。続いて具体的審議にはいり,前回の部会で漢字表から削除する字の第1次の審議を終えた。次回からは,各委員提出の資料について新しく採用すべき字を審議する予定である。

土岐会長

 以上についてなにか質問はないか。

田 口

 科学用語の場合,どうしても術語を漢字とかなで書かざるを得ないので困っている。

時 枝

 当用漢字表の補正ということは,一般社会生活に必要なものについて審議し,学術用語等については別に考えていく。

田 口

 科学の文章でも,一般的なものと専門的なものがある。今のお話だと,一般的なものは考慮しないということに了解されるが。

時 枝

 科学用語でも一般化したものは考慮する。

田 口

 それならば,けっこうである。

松 坂

 時枝部会長の御発言には少し足りないところがあるのではないかと思われ,誤解されるおそれがあるのではないかと心配するので,一言補正させてもらう。
 根本的な問題は,一般国民がはたして,それだけの漢字を覚えるかということである。当用漢字表はその限界であり,一般科学用語もその範囲内でやさしくし,漢字を少なくしていかなければならない。

土岐会長

 学術用語については,日本学術会議の学術用語分科審議会でその審議をしているから,こちらとしてはそれと歩調を合わせて進んでいけばよい。

石 黒

 漢字部会で出た第1の意見,当用漢字を減らすというのに対して,部会で決定した第3の意見,当用漢字を補正する,ということは,ふやす意味に解釈してよいか,あるいはただ出し入れをするという意味か。

時 枝

 もちろん不必要な字は減らすつもりだが,ざっくばらんに言って,全体としてどうしても今の当用漢字表では窮屈だという意見に対して補正するのであるから当然ふえると思う。

○敬語部会(金田一部会長)

 不必要な敬語はなるべくつけないように整理する方針で審議を進めた。はじめに代名詞について審議し,続いて敬称・「お」の問題・皇室敬語・敬語動詞と審議を進め,目下具体的に教室用語について審議している。

○公用文法律用語部会(中村部会長)

 公用文法律用語の部会では,この前の部会で「公用文作成の要領」を作った。これを一般化してもらいたいというのが,本日の建議案なのである。
 また各方面に,公用文の改善についてアンケートを出し,その結果に基いて「公用文改善の趣旨徹底について」と「公用文の左横書きについて」の二つの建議案を決定した。

○話しことば部会(颯田部会長)

 はじめに,話しことばというものが非常にばく然としたものなので,まず話しことばということについて審議し,話しことばを「聞いただけでわかることば」と了解し,「だれがどこでだれに話してもさしつかえないことば」というのがその基準となるべき条件であることを決定した。次いで,その基本型を集めることにし,N.H.Kと国立国語研究所の協力によって,着々とその審議を進め,現在「です」「だ」「でございます」等について審議をしている。

○ローマ字―つづり方部会(安藤部会長)

 問題は,現在行われている3式をどう統一したらよいかであるので,はじめ各委員それぞれの立場からそれぞれ意見がかわされていたが,けっきょく審議を進める方針の一つとして,一つのつづり方をめやすとして他の式を比較検討していく方針をとったのである。そのめやすとなるべき一つの式として,長年研究されて決定し,また社会的にも行われている訓令式をとった。以上の方針のもとに,着々と具体的に審議を進め,シ・チ・ツのつづり方について第1読会を終えた。

○ローマ字―分ち書き部会(大塚部会長)

 「文部省著作ローマ字教科書」の「分ち書きのしかた」について,「改訂ローマ字教育の指針解説」を資料として,主として名詞に関し審議し,辞書のようなものを作ろうとしている。これからは,できるだけローマ字教科書の表記法の線からはずれないように審議していくつもりである。まもなくある程度決まったものを中間報告できると考えている。

○ローマ字教育部会(石黒部会長)

 はじめにローマ字教育の必要性について話し合い,続いて国語科の中においてローマ字教育をいかに位置づけるかについて起りうる問題をいろいろ検討してきたが,「国語科における必修科目としてローマ字を含む」ということが確認された。続いて開始学年・継続学年その他教師の養成等について審議することになっている。

○固有名詞部会(土岐会長)

 以上で各部会報告は終わったが,固有名詞部会は宮沢副会長に代わってわたくしから申し上げるが,この前の総会以来開かれていない。

土岐会長

 では,次に議題公用文の建議について審議を願いたい。

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