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議事 ローマ字教育部会の報告と「これからの敬語」との取扱について
石 黒
国語教育におけるローマ字の取扱について,部会としての賛成を得たものを,この席でみなさんの賛成を得たいと思う。簡単に5か条について説明する。
第1項については,現段階では,22年度からローマ字教育は小学校3年あるいは4年から行われている。その学年について部会で審議したら,3年から40時間以上ということに決定した。それを教科課程審議会にはかるなり具体的処置をとっいただきたいということである。
第2項は,今つづり方は3式が行われており,分ち書きもいろいろあるので,教育課程においては単一なものにしたいという部会の希望である。
第3項は,現在ローマ字教育が行われているのに,教師養成の機関においては処置がとられていないので,その処置をとってくれということである。
第4項は,現在教科書はローマ字だけ別のものになっているが,特に中学へ行けば別のものをやる必要はないと思われるので要望した。
第5項は,小学校のほうから今のようにふぞろいな形でやっているので中学に対する要望がある。
以上の決議に賛成をいただけば実施されるようにお願いしたい。
以上のことは今までのふぞろいのところを整えたいという部会の考え方である。
時 枝
単一の式にしたいというのが部会の要望であるという第2項について,もっと詳しく説明されたい。
石 黒
義務教育の課程においては単一の式ということをくり返したつもりである。
時 枝
今の話だと,参考資料の4の「ただし…………」というのは,ただし書きなのか,こういう別の意見があったというのか。
土岐会長
単一なものが決まるまでは,3式でやるというただし書きをつけろとの意見があったので,つけたのだろう。
時 枝
ただし書きの意味は含まれているか。
土岐会長
含まれていない。単一の式というのは一般的な意味ではなく教育の課程においての単一の式という意味と了解している。
有 光
参考資料としてここにアメリカ教育使節団の報告書がついているが第1回の使節団の報告書にはローマ字を採用することは日本の復興に役だつという遠慮がちな勧告が述べられてあるが,それに対してこちらではその結論はすぐ出せないので,まずローマ字教育をやってみればいいコースが見つかるだろうというので,ローマ字教育は始められたのだろうと思う。第2次使節団の場合はそれに拍車を加えたわけだ。
率直に言えば,ローマ字の看板を読めるようになるだけならば小学校でちょっとやればいいが,それ以上にするにはもっとしっかり指導しなければならないことになる。部会としてはその点どういうお話し合いがあったか説明していだたきたい。
石 黒
国字としてのローマ字の話が,はじめには出たが,部会としてはいずれそのことも考えなくてはならないが,一応は昭和22年度から行われているローマ字教育の成果,やり方を考慮して,こうやればもっと効果があるだろうというところで審議をまとめてきたのだ。
時 枝
ローマ字はなんのために課するのかということについて部会では,はじめに大いに議論した。そしてむしろ,その問題を大いに慎重審議し,その結論として,従来のかな・漢字による国語教育にローマ字が代るのではなく,それと並行してやるというふうにまとまったと思う。
土岐会長
そのことは「参考資料」の2に記録されている。
服部(静)
第4項目について質問したい。
全部ローマ字書きにした教科書というと,少し行きすぎではないか。その点について。
石 黒
現在検定教科書が種々出ている。国語科のなかにローマ字の教科書が扱われている。理科・社会科の教科書もローマ字書きのものにすれば,漢字・かなのものより内容的に理解しやすくなるという現場の声もあり,そういう教科書をも認めたいという意味だ。
服部(静)
全科をローマ字で教えた場合,漢字・かなを知らない児童ができ上の学校に行った場合,漢字やかなが読めなくなるのでそれは行きすぎではないか。
石 黒
40時間以上としてあり,漢字・かなをやらないということではない。
牛 山
わたくしは部会における少数意見のひとりだが,40時間のローマ字教育で他の教科もローマ字で教えることも可能であると思う。教科書の選択も児童が選ぶのではないので,誤解が生ずるから少々改めたい。全部のということばは,ローマ字の国語教科書以外はむずかしい。
石 黒
現在40時間ローマ字教育が行われているが国語以外の教科をローマ字でやっていくという意味は,漢字・かなをやめてということではない。国語以外の教科で,ローマ字書きの教科書が認められていいのではないかという趣旨である。
舟 橋
教科書を作っても採用しないかもしれないという考え方についてはもっと責任のある態度をきめなくてはいけないのではないか。ここであいまいにしておけば,学校当局では,こちらの気持を推しはかって,こちらの気持にならってしまう。
石 黒
ただいまのお話のようにはっきりしたわくをつくるという考え方もあるが,その点ゆとりをもたせ,学校の先生がたを信用していいのではないか。
有 光
国字としてのローマ字問題は別として,教育の立場から考えるということならば,われわれも安心して当面の問題に処することができるが,少数の意見があったように,国字問題としてローマ字を考えるというのならば,その点についての基礎調査資料の成果によって,われわれの国字問題に対する態度も変るべきではないか。
舟 橋
さきほど理科・社会科の教科書のローマ字書きを考えると言われたが,それは根本的に国字問題に触れるのではないか。
石 黒
失礼だが,今のことばだと,ことばと文字ということをあいまいにされているのではないか。
土岐会長
この問題はこの席で決めるのはむずかしいから,早急に部会を開いて審議してもらいたいと思う。
石 黒
部会で,もう一度審議させていただきたい。
舟 橋
この問題はローマ字を国字化させるために,大きく近づく一歩だと思う。
照 井
そういう誤解を除くために,部会はたいへん警戒して審議してきた。決してローマ字国字化へ基礎づけるという意味ではなかった。わたくしももう一度部会を開いていただくことを希望する。
大 塚
この席で質問させていただきたい。はたして,国語を全部ローマ字でやることが可能であろうか。
土岐会長
そのことも部会で審議していただき,報告の文章ももう少し長くなってもいいから,誤解のおこらないように詳しく書いていただきたい。
では,さきほどの議題にもどって,委員等推薦協議会の委員の互選に移りたい。