国語施策・日本語教育

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国語問題要領

1 国語審議会の性格と任務



 ここに国語審議会というのは,文部省設置法(昭和24年6月法律第146号)によって新たに設けられた機関で,各方面からの推薦に基いた委員で組織し,国語の改善に関することがら,国語教育の振興に関することがら,およびローマ字に関することがら(昭和25年4月追加)について調査審議し,民主的な方法で国語政策を立案するとともに,必要に応じこれを政府に建議するのがその任務である。
 およそ言語は,歴史の裏づけをもった社会慣習であるから,法令などによって拘束したからといって,ただちに改善できるものではない。とはいえ,現在のわが国語は,歴史的事情によってあまりにも複雑化し,一面,国語教育が不徹底なために,国語に対する知識や注意がゆきわたらず,それが国民の社会生活や文化の発達にとってさまたげとなっている点も少くない。したがって,国語の現状に照して将来を見とおし,その改善に積極的な努力を試みることはきわめて必要である。国語審議会は,これらの努力に対し,適正な方向を与え,これを助成して,国語の改善,国語教育の振興をはかるという使命をもつものである。
 そのためには,国民の言語生活の実情を調査し,広い見地に立って問題の所在を突きとめ,政策の基準を立て,あわせてその実現の方法を考える必要がある。政策の実施はもとより政府の責任であるが,国語審議会としては,その審議にあたって独断に陥ることを避け,一般世論の傾向を推察するとともに,各方面の意見に耳を傾け,できるだけ実現可能な具体的方策を練り,建議にあたっては,たとえば試験期間をおくことが必要ならばその考慮をも加えて,政策に弾力性をもたせることも考えなければならない。

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