HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第2期国語審議会 > 5 固有名詞の問題
5 固有名詞の問題
<<固有名詞部会>>
〔部会長〕
下村 宏
〔部会員〕
池上退蔵 江尻 進 佐藤為治郎 佐野利器 千種達夫 時枝誠記 原 富男 前田賢次 松坂忠則 丸野不二男
〔部会開催〕
単独:第1回(昭和27.7.14)〜第2回(昭和27.9.8)
法律公用文部会と合同:第1回(昭和28.7.16)〜第3回(昭和28.9.10)
〔提出資料〕
固1 全国地名中,当用漢字表にない漢字のしらべ【国語課】
固2 地名の文字を平易にされたい建議(案)【松坂委員】
固3 町村の合併によって新しくつけられる地名の書き表わし方について(内閣総理大臣あて建議案)【松坂委員】
固4 同上趣意書(案)【千種委員】
漢字乱読考(あ〜う)【下村委員】
第1回部会で,固有名詞の書き表わし方について,おおよそ次のような事項について,順次問題点を考えていくことを決めた。
- 固有名詞に対する国語審議会の根本態度について
- 人名について
ア 氏の書き表わし方
イ 氏変更の方法
ウ 名の読み方
人名漢字の音訓の問題
人名の読み方の客観的表示の問題
エ 新旧字体の同一性の問題 - 地名について
ア 市町村の統合新設の際の名づけについて
イ 地名用漢字を作るかどうか
ウ 地名のかな書きの際のかなづかいについて
エ たとえば「大分」のような難読地名について - 団体名(法人名・官庁名)などについて
- その他,固有名詞の取扱について現状で可能な方法
- 以上の事がらについて白書を起草するかどうか
- 外国の地名・人名,学術用語等の取扱に関係する事項
ついで,以上の各項について審議を重ねた結果,全体として次のような結論を得た。
- 根本的に
固有名詞に用いる文字は,現状から出発した理論としては,かな書き以外には最後的な解決方法がないように認められる。 - 人名について
人名用の音訓を認めることは,かえって事態を複雑にするおそれが多いので好ましくない。氏の問題までには,この際,はいらない。名は,正当な理由があるとき,氏は,やむを得ない事情があるときには,それぞれ変更が許可される。このことを周知させて,一般に氏名の文字がやさしくなるように導きたい。 - 地名について
地名用漢字を当用漢字表以外に選ぶことは妥当ではないが,人名と関連してその処置を考える必要がある。 - 白書について
地名・人名の漢字の読み方の複雑さについて白書を出したい。