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7 ローマ字つづり方の問題(審議)

 第16回国語審議会総会(昭和27.6.30)において,ローマ字調査分科審議会に属する委員が指名された。第1回の分科会(昭和27.7.7)において,佐野分科会長から,分科会長就任のあいさつの後,分科会としての審議方針について,大要次のような発言があった。
「わたくしはローマ字のつづり方については,まったく第三者の立場にある。したがって,今後,会議が進むにつれて,どちらかに傾いたとすれば,それは全く純粋な立場からであることを御了解願いたい。
 今後の審議方針について諸氏のご意見をお聞かせいただきたい。
 わたくしとしては,ローマ字のつづり方をまず決めて,それから他に及ぼすということも考えられるので,前のつづり方部会(注:改選前のもの)の第1読会の案を基本にして,あたかも第2読会へはいった心持で,できるだけすみやかにつづり方を決定し,その後,他の事項の審議にはいっていきたいと思う。なお,つづり方の審議は部会を設けず,分科会に属する委員全員で審議していきたいと思う。」(第1回要録による)
 以上の審議方針が承認され,まず,審議資料として,前のつづり方部会の第1読会案にあるつづり方のうちから,「または」の前段にあるものと,(注:第1読会案とは,たとえば「『シ』はsiまたはshiと書く。」というのである)第1読会案で触れていない他のすべてのつづりとをもって第1表を作り,次に「または」の後段のみをもって第2表を作り,「ローマ字のつづり方は第1表による。ただし,第2表のつづりを用いてもよろしい。」という決め方はどうか。こうすれば両者とも公認されるが,また,おのずから,よりどころを得ることにもなるがどうであろうか,という佐野分科会長からの提案が採択され(以上第2回要録による),以後,第3回(昭和27.10.17),第4回(昭和27.10.23)の会合において,第1表を仮決定し,第5回(昭和27.11.19)において,第2表について審議の結果,前のつづり方部会の第1読会案には,「ツ」「フ」のつづり方としてはtu,huだけで,tsu,fuがのっていないが,ローマ字のつづり方は学問的見地からばかりで決められるべき問題ではなく,伝統ということも尊重されるべきであり,この見地から, tsu,fuを第2表に加えた方がよいとの意見が採択され,第2表を仮決定した。(以上第5回要録による)
 次に,第6回(昭和27.11.27),第7回(昭和27.12.12)において,「そえがき」,および,第1表のヤ行,ワ行等に重出するつづり(たとえばi,eなど)の処置について審議決定し,一応の成案を得たが,さらに慎重を期するため,分科会に属する全委員に成案を送付し,文書によって修正意見等の提出を求めた。
 なお,第17回国語審議会総会(昭和27.12.18)に対して,一応の成案を得るに至るまでの経過および結果について中間報告を行った。
 第8回(昭和28.1.14)において,一応の成案に対する修正意見について審議したが,「これらの修正案はいずれも年来論議し尽したものであり」,「御不満もあろうが,原案どおり決定してはどうか」との意見に対して,異議がなく,原案どおり可決された。
 ついで第9回(昭和28.2.13)において,さきに可決された成案を分科会会長から国語審議会会長に対して報告することに決定し,第18回国語審議会総会(昭和28.3.12)に提出し,別記のように可決,同日国語審議会会長から文部大臣にあて建議された。

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