国語施策・日本語教育

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議事 第1部会報告

原(第1部会長)

 第1部会では,表記のことを分担することになり,初め2回ほど部会に任された問題に,どんなものがあるかについて自由に話し合った。その結果は,むずかしいものばかりで,2年の任期中に解決の見通しのつくものは少ない。そこで任期中なるべく有効に審議するために簡単な問題を取り上げようということになった。しかし,どの問題もみな漢字の問題にひっかかる。比較的簡単にかたづくだろうという意見で,現代かなづかいの問題を取り上げた。その後,2回部会を開いたが,これもなかなかむずかしく結果は簡単ではなかった。
  2回の部会で皆さんから出た意見を総合して申し上げ,現在,第1部会での現代かなづかいに対する意見はこのようであるから,これについて総会の意見を伺いたい。さらに総会で,第1部会に対する審議の方向を指示願えれば部会での審議もやりやすくなる。前に苦い経験をしているので,部会の審議をむだに終らせたくないためにこのことを申し上げる。
 現代かなづかいについて,部会での今までの議論は二つに分れている。現代かなづかいについて,(1)現行のものの不便な点,わからぬ点,むずかしい点について,第1部会で審議して,現行のものがこのままでよく行われるように指導し,疑義を解くために具体的な方法を示す指導要領のようなものを作るという現状維持の意見と,(2)現行のものはややこしいから改訂しなければならない。改訂するには,三つの方法がある。《1》「し・す」「ち・つ」の濁りを1本にする。《2》「は・へ・を」を発音どおりにする。また,「は・へ・を」は「を」をそのままとし,「わ・え」にする。《3》たとえば,地名「おおさか」「おうさかやま」など「お」の長音を一定する。「う」にしたらどうかという全面的改訂の意見である。また,「は・へ・を」は,慣れているからそのままとし,「し・す」「ち・つ」の濁りを1本にし,新しい字を作る。「お」の長音だけでも変えようという意見も出た。ほかに,今日改訂するとして,唯一の可能なものは,同音の連呼の場合ぐらいであると思うという意見もあった。
 いずれにしても,わたくしの感じたところでは現状維持でなく,改訂しようという意見の委員のほうが数が多いが,これに対して,国語審議会の立場として,今改めることは,すでに8年たっているとはいえ,朝令暮改のそしりは免れない。さらに今は時期が悪いという意見も出た。
 以上が現在の部会のありのままである。これに対して総会の意見を伺いたく,なお,できればこの二つの問題に対してどちらをやれと部会に指示してもらえればありがたいと思う。

土岐会長

 これに対する意見は,他の部会の報告が済んでから伺うことにする。

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