国語施策・日本語教育

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かなの教え方について(報告)

昭和30年7月12日

  文部大臣 松村謙三殿

国語審議会会長 土岐善麿


かなの教え方について(報告)


 現在,社会では一般的にひらがな・かたかなの両方が用いられているが,現行の小学校におけるかなの学習は,ひらがなを第1学年から教え,かたかなを第2学年から教えることになっている。中央教育審議会会長からの文部大臣に対する答申によれば,この現状に対して,現場の教育者および学者,一般社会人の間にも相当異論があるというおもむきである。
 この異論に対しては,社会生活をじゅうぶんに営む必要や,文字習得の難易を問題とする立場や,正書法を確立する考えなどから検討してみる必要がある。
 国語審議会においては,慎重審議の結果,少なくとも小学校第2学年あるいは第3学年の終りまでに,かたかなをひらがなとともにじゅうぶんに習得させることが必要であると認めた。その方法としては,次のようなことが考えられるであろう。


(1) 現にかたかなの表記が,一般に認められている語については,かたかな書きで学習させる。
(2) かたかなの学習を効果的にするために,学習の過程において,かたかな書きの語,句または文をまじえる。


 このようにして,かたかなについても全部,おそくも第3学年の終りまでに習得するよう指導されることが適当であろう。
 国語審議会としては,正書法その他国語国字政策の方向についてはあらためて検討することとし,中央教育審議会の答申に関しては,上のような結論に達したことを報告する。

[参考]

 この問題について、教育課程審議会から文部大臣あて、次のような答申があった。

昭和31年5月7日

  文部大臣 清瀬一郎殿

教育課程審議会会長 木下一雄


かなの教え方について(答申)


 本審議会は,かなの教え方について,慎重に審議した結果,次の結論に到達しましたので,答申いたします。


 ひらがなをかたかなより先に教えるという現行の方針は,改訂する必要は認められない。
 ただし,かたかなの学習については,さらに徹底を期することが望ましい。

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