国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第3期国語審議会 > 国語教育におけるローマ字教育について(報告)

国語教育におけるローマ字教育について(報告)

 現在行われているローマ字教育は,昭和21年に設けられたローマ字教育協議会から提出された「ローマ字教育を行ふについての意見」を参考として決定された「国民学校におけるローマ字教育実施要綱」に基いて始められ,その後は「学習指導要領 一般編」および,「小学校学習指導要領 国語科編」,「中学校高等学校学習指導要領 国語科編」に基いて実施されている。
 ローマ字調査分科審議会は,このローマ字教育の趣旨・目的,ならびに,国語教育におけるローマ字教育の価値が教育の現場において,じゅうぶんに理解されることが必要であると認め,それについて審議した結果,今日までに次のような考えに到達している。
 国語教育の目的の一つは,的確に表現し,的確に理解する力をつけることにある。すなわち,事実を正しくつかみ,それを効果的に正しく表現し,また理解する力を養うことにあるといえよう。この表現と理解のささえをなすものの一つは,ことばのきまりやはたらきについての知識である。
 小学校の国語教育における文法的内容についての学習指導は,具体的な言語生活を通して,いわゆる文法的事実を意識させること,すなわち,まず語意識の発達に努めるべきであり,これがためには,学習活動の場において,ローマ字文を利用することが望ましい。なぜなら,ローマ字文のわかち書きは,ことばのきまりやはたらきを直接児童・生徒の目に写すからである。また,ローマ字を使うことによって,国語の法則・性質・構造などについて,児童・生徒にそれらの事実をたやすく理解させることができ,さらに発音教育にも効果があると認められるからである。
 以上の見地からみて,国語教育の一環としてのローマ字教育を,現行の時間数の範囲内で実質的に充実して行うことは,国語教育の効果をいっそう高めるのに適切なことであると認める。
 なお,これに伴い,ローマ字文のわかち書きのしかたについて再検討を加えること,学習効果を高めるために,算数・社会・理科などの方面においてもローマ字を利用すること,および,ローマ字教育の実効を上げるための教師の育成問題などを考慮する必要がある。

トップページへ

ページトップへ