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議事 庶務報告/第1部会の報告
土岐会長
これから,第41回の総会を開く。きょうは,各部会・分科会から審議報告がある。なお,庶務報告に続いて,新しい調査局長,国立国語研究所長からあいさつがある。
(白石国語課長から庶務報告。)
岩淵国語研究所長
西尾所長のあと,研究所の仕事を受け継ぐことになった。どうぞよろしくお願いします。
土岐会長
では,議事にはいる。第1部会長の報告をお願いする。
原第1部会長
第1部会では,最初の議題として,当用漢字補正案の取り扱いについて検討することとした。このことについては,前の総会で報告した。その後,しだいに委員の間の意見がまとまってきた。この5月,部会の全員の意見がまとまったところを,わたくしのメモによって述べる。それは,「当用漢字補正案は,過去5年間,新聞社などで実施した結果から見て,その内容はほぼ妥当であると認められる。しかし,当用漢字表を修正する場合には,用意を新たにし,周到な準備で慎重に検討する必要がある。」という趣旨である。これに説明を加えると,審議中に出た意見の中には,どれにも,当用漢字表について,本腰を入れて検討したいという希望がはっきり聞きとれた。そこで,「当用漢字表を補正する場合には,用意を新たにし,周到な準備で検討したうえで当用漢字を改めたい。」と述べたのである。そのことから,この補正案は,将来,当用漢字表を補正する際の重要な資料であると考えた。これは,前にもそうした性格をもつものとして認めたのであるが,再確認したわけである。補正案を実際に使用してみた結果,その内容がほぼ妥当であることがわかったのであるから,そうした性格を承知のうえで,社会一般においても,その趣旨を尊重することを希望するのである。したがって,補正案は,従来どおりの取り扱いをなおしばらく続けることに落ち着いたわけである。これで,補正案についての審議は終わったので,ありのままを総会に報告したのである。総会で承認していただければありがたい。
次に,改正刑法準備草案について,これは,千種委員から部会に参考資料として見せてもらった。それを見ると,草案は,書き表わし方について苦心のあとはわかるが,まだ昔流のところも残っている。そこで部会としては,もっとやさしくわかりやすくしてもらうよう,用例を加えて建議することを考え,原案作成のため小委員会を設けた。2回の審議の結果,先方でも字句の表現については非常な努力をしていることがわかったので,抽象的な建議をするよりは,むしろ具体例を考えて示すほうが有効であろうということになった。この小委員会の考えを,第1部会では了承して,なお小委員会を継続することとした。そのほかに,第1部会としては,この9月から,固有名詞の書き方の問題を取り上げる予定である。固有名詞については,全部かなにせよという意見もあるが,伝統があるから現行のままでいいという意見もある。できるだけみんなの意見を出し合って,根本的に検討しようということになっている。