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議事 審議3
白石課長
もとは「ローマ字調査審議会」が別にあった。それと国語審議会がいっしょになったため,人数がふえたのである。両方とも同じ性質の審議会であるからというわけでいっしょになった際,70人以内となったもので,実際上の運営から言えば,50人でもたいへんなことである。50人ないし45人ぐらいで来ている。人数が70人となっていることについて,以上のように,審議会の統合の事情に基づくものであることを申し上げる。
大塚(嘉)委員
推薦委員の人数は,推薦すべき委員の実際の人数をめやすに考るべきであろうというので質問したのである。なるべく協議会の委員の人数を多くしたいという意向もあるが,50人の委員を選ぶのに15人の推薦委員というのは多すぎるようである。第3期と現在の第5期の場合と同じく,7人ぐらいではどうか。もし,中をとるとすれば,10人ないし11人で,主張としては7人であるが,いくら多くしたとしてもせいぜい10人ぐらいというところが常識的であろうと考える。
西本委員
10人とすることを支持する。
高津委員
その人数は,実際の推薦の方法によっても違ってくる。互選された委員が次の委員を推薦する場合に,各人が適当だと思う人をあげてそれを持ち寄って検討するのか,あるいは,すでに名簿のようなものがあって,それをもとにして推薦するのか。
土岐会長
懇談的な形である。持ち寄りの形で選考するのであるが,懇談の結果,このへんでということに落ち着くのであり,この推薦に対して適当であるとすれば,文部大臣が任命することになっている。
高津委員
推薦協議会の委員が,おのおのが持ち寄る,すなわち,おのおのの意見によって,よいという人を推薦してくるということであれば,人数は多い方がよい。そうでなくて,名簿があり,その名簿にあげられた人について,その人のよいわるいを決めるというのであれば,人数は少なくてよいと思う。人数は推薦のしかたによるのであって,実方委員の発言のように,多方面のかたということであれば,人数は多い方がよい。
土岐会長
いろいろのつごうにより,また推薦のしかたにもよると思うが,だいたい10人ぐらいでよかろうという意見のようである。互選の結果を見て12人ぐらいまでならふやしてもよいというのか,あるいは,きちんと10人なら10人,12人なら12人と決めておいたほうがいいようにも思われる。
千種委員
10人くらいでよい。
土岐会長
それでは,10人とするか。
山岸委員
12人がよい。選ばれた人がかたよっているという非難を受けないためにも,こういう人,そういう人,いろいろの方面の人が集まって,それらの意見が反映するようにしたい。国民とか世論とかの動向をよく察して推薦したということを示すためにも,かりに,報道関係者だけにかたよるというようなことがないようにしていただきたい。
土岐会長
12人というと,国語審議会の改組後の第1回のときと同じである。10人説,7人説もあるが,12人でいいか。
千種委員
10人ということに決めておいて互選をし,同点数の者があった場合に12人としてはどうか。
土岐会長
かりに,同点数のものがあって,13人になった場合,12人に減らすのか。減らすとすれば,投票によるのか。
千種委員
くじ引きでもいい。
舟橋委員
わたくしは,この前の総会のときも申し上げたが,推薦協議会のメンバーを選出するのに,今日の現在の国語審議会のこのメンバーをもとにして,その互選という方法で選ぶのでは,公正なことはできないと思うので,今までとは別の方法によって推薦協議会と作っていただきたいという主張をくり返し述べたのである。しかし,これだけ申し上げても,それはできないこととして取り上げていただけない。松坂委員は,これまでどおりの方法でやりたいと主張された。その松坂委員の主張が取り上げられ,そのとおりに選挙が行なわれようとしている。今までどおりの,いつもの形で互選が行なわれる場合には,残念ながらこの席から退場する。人数などのことを決めるよりも先に,どういう考えでやられるかということをはっきり伺いたい。それによって進退を決したい。
土岐会長
推薦協議会の互選を文部省令に従って行なうことにしようというのである。省令第16号の第1条第3項に,「協議会は,国語審議会の委員のうちから互選した7人以上15人以内の者(互選された後,国語審議会の委員として任期が満了した者を含む。)で構成する。」となっている。つまり,互選のあとで任期が終わっても,推薦協議会は存在するということであり,われわれの任期は,あすで切れるのである。このほかに,もう一つ,第2条には,こうしるされている。これはあとのことであるが,「文部大臣は,緊急を要する場合その他特別の事情ある場合には,委員および臨時委員3人以内を限り,前条の規定にかかわらず,国語審議会の会長の推薦をもって協議会の推薦にかえることができる。」とある。緊急の場合とは,どういう場合をさしているのかよくわからないが,3人だけは委員および臨時委員として,文部大臣が取り計らえるということである。しかし,それは推薦協議会に適用される規定ではないようである。他に方法に関する規定はないように思う。
舟橋委員
会長が,推薦協議会の委員を指名するということはできないものか。どうしても推薦協議会を作らなければならないものであり,規則が変えられないものとしたら,運営の面で考えることはできないのか。
土岐会長
そのような前例がないのでお答えできかねるが,高辻委員のお考えをお聞かせ願いたい。
高辻委員
国語審議会の委員としての資格でお答えする。各委員から話を承ったが,いずれも大所高所からのご意見で敬服したしだいである。それは別として,国語審議会は,言うまでもなく,国の行政機関である。したがって,その委員は,その職務と責任の範囲でやっていくよりしかたがないことである。さきほど来,国語審議会の今後のあり方について建議するというお話もあったが,舟橋委員はじめ他の委員のご意見のように,建議をするということは適当な方法である。しかし,今最終段階になってどうするかという当面の問題については,その職務と責任とを果たすために,決められた方法に従って,推薦協議会を作る方向で処理していかなければならないのは当然である。
協議会の作り方は,文部省令(昭和26年第16号)第1条第3項によるもので,そこにいう互選とは,この委員の中から選ぶのであって,選挙権者と被選挙権者とが同じ範囲にあるということである。たてまえがこのようになっているかぎり,そういう方向でやるのである。
余分なお答えになるかもしれないが,もう少しつけ加えると,今までに出たいろいろなご意見は,この国語審議会に対する意見であるから,それにはじゅうぶん敬意を表して考えるべきことであると思う。会長は,後の問題として,推薦協議会が推薦した者から,文部大臣が委員として任命するということを述べられた。そこで,舟橋委員やその他の委員の意向を反映するための道はないかというと,それが第2条の規定である。会長の推薦をもって,協議会の推薦にかえるということで,この際に,会長が適当な配慮を払う。会長がご遠慮なさるということを含めてお考えいただければよいものと考える。なお,会長は,任期が切れても会長であるのかどうか。
土岐会長
これまでは,慣例によって運営されてきた。委員としての任期が切れたあと,残務的なことを会長が受け継いでやるのかどうか,規定では明らかでない。推薦協議会だけが残るので,委員は全部任期が切れて,国語審議会には委員がいないということになる。任期が切れると,会長もなくなると考えるとどうなるか。
高辻委員
おそらく,会長の委員としての任期が切れると,会長ではなくなるように思える。そうだとすると,第2条が働かなくなる。したがって,さきほどの話のその部分は撤回しなければならない。第1条に決めたとおりの方法しかないわけである。
土岐会長
「緊急の場合」も,けっきょくは,実行できないものと思う。
高辻委員
「その他特別の事情ある場合」として考えたいとも思ったが,どうもこの条文は適用できないらしい。
西本委員
議事の進行について発言する。推薦協議会を設けることは,すでに決まっている。委員の人数を10人にするか,12人にるすか,これを早く決めていただきたい。また,流会になると困る。
土岐会長
10人にするといちおう決めておいて,投票の結果を見て,12人にしてもいいという意見もあり,10人でも12人でもなく,票の出たところでというのであれば,多少結果が浮動するので,そこをおはかりしているのである。
西本委員
ともかく決めていただきたいが,どうか。
土岐会長
もう少し,議を尽くしていただきたい。
塩田委員
わたくしの結論は,どうしても協議会の委員を推薦するということであれば,委員のことについて詳しくご存じの会長に選んでいただいて,それをわたくしどもが互選したということにしてはどうかということである。
高辻委員
会長が候補者を示し,それを全員が互選したという形にしたとしても,それは違法ということではない。そのことの当否は別である。形を整える必要はあるが,全員の賛成を得られたならばいい。
土岐会長
互選にかえて,会長が指名するという意味か。
高辻委員
そうである。全員がそのような形でいいというのであれば,形式を整えるだけでよい。
土岐会長
会長が全責任を負うことになるが,そういう不幸な会長は今までになかった。
大塚(嘉)委員
規定どおり,互選によるという従来の方法をとりたい。
土岐会長
互選といっても,出席者だけを対象として選ぶのでなはく,委員全体の中から,協議会の委員を選ぶのである。お話のような形で候補者を選ぶとすると,かえって収拾がつかないような結果になりはしないか。かりに,指名によるとすると,指名されたとおり支持されるという保証がないかぎり,とても行なえないことのように思える。
百瀬委員
会長の指名ということでは,あとに不満が残り,不満の種を残すことになる。皆で互選をし,その選挙は公平に行なうこととしたい。指名などという方法によらないで,今までどおり,互選で決めたほうがよい。
舟橋委員
わたくしは,前の総会から,くり返し述べていることであるが,今までどおりの互選の形ではなく,指名の形で,会長が現在の副会長・部会長など首脳部でなかった人を選び,それに野党の人も加えて示すということを希望しているのである。このような方法は規定にもないことであるが,高辻委員の発言された意味合いで,そういう方法もとれるのではないかと考える。条文では,最初から互選ということであるが,世上では,まま便宜上,または緊急の場合などで,会長と議長との指名でやり,互選にかえる,その代行をするという通念があるのである。条文には,はっきり示されているが,時と場合によっては,委員の事情をよく知っている会長・副会長あたりで公平な話し合いをするということができるのでないか。このようなことは,たとえば,総裁の公選の前の話し合いをすることなどで,世上行なわれていることではないか。このように考えてはどうか。ただいまの松坂委員の意見には,まったく反対である。発言を聞きながら,全面的に反対したいという衝動にかられた。そのような意見の人を,わたくしどもといっしょにして審議会におくということはおかしなことであり,よほど考えないと,そのどちらかの人が委員であることをやめなければならないことになりそうである。わたくしは,そのような発言を危険なものだと思う。そのような意見が取り上げられる審議会であるならば退場する事態も起こるものとみなければならない。高辻委員のご意見もあることであるから,会長に善処していただき,意見や人数の点で,つりあいをとっていただきたということを主張しているのである。発展的解消というような重大な問題を引き継がせようというのであるから,その委員を推薦する推薦協議会の委員を選ぶために,一見公平そうに見えて,その実不公平きわまりない互選の方法を用いることに強く反対するものである。話し合いによって,良識ある土岐会長が,公正な方向にもっていかれることを希望する。
土岐会長
これは決をとらないで,どちらのやり方がいいか,決めていただきたい。互選にかわるものとして,会長が候補者を出すということは,その案に対していご異存がないという条件がつけられなければできないことであるが,そのようなやっかいな条件でやるのか。決めていただきたい。
高辻委員
さきほどは,会長のお尋ねに従ってお答えした。ことの当否は別として,法律的には,会長が,あるいは,どなたかが候補者を出して,それを全員が賛成すれば,あとは互選をしたという形をつけるだけのことであって,できないことではない。舟橋委員が主張されたような意見と,互選がいいという意見とがある。このどちらかの意見をとるかということを決めて,全員がその決めた道をとることにするのが先決問題である。全員がそのどちらかの意見をとるかというと,多数の意見をとるのが当然であって,それにはいろいろの批判もあろうが,今の方式としては,全員が多数決の原理に従うというのが唯一のものである。そのへんのところを,はっきり決めていただいて,あとの会議の進行を決めるべきである。
土岐会長
数をはっきりさせないといけないのか。
高辻委員
けっきょくのところ,それでいかなけでばならないが,会長が大勢を察知されでもいい,それに全員が賛成するなら。
土岐会長
予定の時間がきたが, 審議の時間を延ばすことをご承認願いたい。
(異議なし。)
宇野委員
審議会の方向などについていろいろ批判があり,たまたま改選期であるから,新しい委員によって適当な改組をしたい。それには,何よりも委員構成を考えてもらいたいというのが,われわれの主張であるが,これに反対で,このままでいいという意見もある。そうだとすると,確かに今までと結果が同じになると考えられる。軽率であるかもしれないが,ためしに,一つの方法として,今までと別の方法をとってみてはどうか。そうすると,国語審議会としても,よく考えてみたんだということになるのではないか。従来どおりの互選の方法では,その結果も従来どおりであることは明らかである。審議会としてどう考えたかというと,たとえば,今の舟橋委員のような方法も考えていいのではないか。その方法は,会長が会議によくはかっていいことであるが,適当な別の方法について検討することも必要であろう。
土岐会長
互選以外の方法でやることが,全体の意向であれば,それに従わなければならない。
大塚(嘉)委員
いいか悪いかを決をとって決めるのか,空気を察して考えるのか。
西本委員
決をとればいい。それが民主的な原理である。この原理に基づいて,民主的な方法によって権利を行なうということを,ないがしろにすることはできない。これは一つの有力な原理で,他に有力な方法はない。
土岐会長
意見がいろいろ出ている。どうすべきか,決めていただきたい。
高辻委員
わたくしが発言したことは,舟橋委員のやり方も一つのやり方であるということである。ただ,この方法は,全員がそれに賛成した場合に限って通用することである。この点をお含みのうえ,ご検討願いたい。