国語施策・日本語教育

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議事 佐久間委員意見書

意 見 書

 近ごろ漢字,とくに当用漢字への数的制限がとかく問題にされる。これはさし迫った問題といわれるふしもあるが,そのために国語問題の全般の重要性がみのがされてはならない。
 取りあげるべき問題の範囲は,審議会令第一条の各項にわたるが,現下の課題として,(1)「国語の改善」については,「ゆれ」の事実の調査の続行がのぞましく,語法や表現法についての検討が待望される。(2)「国語の教育」については,表現力の養成に資する実効ある文法教授,日本語の国際的進出の要請に応じて教授方式を国策として開発したい。もちろん(3)「ローマ字」について調査も続行することが必要。
 言語生活における日常語としての国語の適格化・合理化や,公用・実務の用語の平易化・高能率化と相並んで,言語文化の面をもじゅうぶんに顧慮して,学術推進を利する科学用語の純化とともに詩文・演芸における伝統的果実の保存・護持をも国語政策の念願としなければならない。国語審議会のたちばは,部局的な一面だけに限られるべきではない。
 委員の推挙は,以上の視点に立って行なわれることがのぞましい。
 漢字の処理について「表音主義」と「表意主義」との対立を考えるような見方は,すこぶる当たらない。文字の文化史的,社会学的ならびに心理学的観察のひろく新しい視野から見なおす必要がある。
 本来,特別研究調査を要するものと思う。

昭和36.3.20

佐久間 鼎

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