田中局長

　次に会長・副会長の互選をお願いしたいが，便宜上，仮議長をおいて審議をしたほうがよいかと存じます。仮議長をどういう方法でお選び願いましょうか。ご意見がなければ，阿部委員にお願いしたいと思うが，いかがか。　　（拍手）

阿部委員

　ご指名によって，しばらく仮議長をつとめる。これから，会長・副会長の互選にはいる。規則によれば互選ということであるが，どういう方法をとったらよいか。

森戸委員

　互選ということであるが，はじめての総会であり，皆さんのお名まえも存じていない。だから，投票ということより，選考委員を設けて選考されてはいかがか。

阿部委員

　ただ今森戸委員から，選考委員を選び，その結果によったらどうかということであるが，いかがか。選考委員をどう選ぶか。

森戸委員

　仮議長が選んでほしい。

阿部委員

　選考委員は，仮議長が選べということだが，いかがか。（異議なし。）それでは指名させていただく。
石井庄司，久保田万太郎，古賀逸策，相良守峯，鈴木虎秋，西尾実，森戸辰男，諸井貫一，横田実以上９名選考委員をお願いする。
（別室で選考にはいる。）（休憩）
（再開）

阿部委員

　選考の結果の報告をお願いする。

森戸委員

　選考の結果をご報告する。ご指名いただいた選考委員の中から座長を選ぼうということになり，言いだしたわたしが座長になることになった。選考の原則というか，共通的なものとして，一つは新しく国語審議会にはいったかた，もう一つは，いろいろな国語運動に関係のないかたということを考えた。それに基づき，満場一致で次のとおり決定した。
　会　長　阿部真之助（日本放送協会会長）
　副会長　池田潔（慶応義塾大学教授）　　（拍手）

阿部委員

　ただ今のご報告によれば，会長には阿部真之助委員，すなわちわたくし，副会長には池田潔委員ということであるが，ご異議ありませんか。（拍手）それでは，そのように決定する。

阿部会長

　わたくしは，ご承知のように国民のひとりとして，わたしなりの意見がないわけではない。こういう審議会の会長として，はなはだ力なきを憂える。さいわいに各界の皆様のご協力を得るならば，よい結果を得ることができるであろうと思う。少なくとも皆さんの世話役として何なりのカを尽くさせていただきたい。
　だいたい，国語の問題は，どういう結果が出ようと，一部には必ず批判が出る。結果が行なわれるには，一般の国民の承認というか，理解なしには行なわれない。こういう点で，もし意識の違いがあって批判の出るようなことがあっても，それに対抗しうる有力な結論を出さないと，せっかくの会議が何の役にもたたないことになる。皆様のご協力によって，りっばな成果を収めるようにしたい。不備ではあるが，力を尽くさせていただきたいと思う。

池田副会長

　こういう仕事に慣れていない。阿部会長が突然わたしに副会長というようなことを言われ，異議はないかと言われたとき，わたしは手をあげたのだが認められなかったようである。阿部先生に毎回来ていただければ，わたしは何もしないですむ。もしご欠席になったようなときには進行係の代わりをつとめさせてもらう。皆様のお引き回しをお願いする。

（会長席，副会長席にそれぞれ着席。）