国語施策・日本語教育

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次第 これまでの国語審議会の審議事項の説明

阿部会長

 では,これまでの国語審議会の審議事項の説明にはいる。

田中調査局長説明

 はじめ配布資料,1公用文の書き方資料集2国語審議会審議一覧(末尾)について説明する。


1 現在の国語審議会

 現在の国語審議会は,文部省設置法に基づく政令によって設置されたもので,その任務は,(1)国語の改善に関する事項(2)国語の教育の振興に関する事項(3)ローマ字に関する事項について調査審議し,必要に応じて政府に建議することになっております。委員は,前期委員の間の互選によって成立する国語審議会委員等推薦協議会によって,政治,教育,学術,文化,報道,経済等の各界における学識経験のある者について,文部大臣に推薦され,そのうちから文部大臣が任命することになっております。委員数は70名以内,任期は2年であります。
 そして,この審議会の事務を扱い,審議資料の調査,収集をすると同時に,国語政策の普及徹底をおもな仕事とする部局が調査局国語課であります。このほかに,国立国語研究所(昭和23)があって,国語国字に関する基礎的,学術的な研究を行なっております。


2 国語審議会の成果

 国語問題は,明治初年以来の長い歴史をもっております。文部省でも,早くからこの重要性を認め,明治35年以来,国語調査委員会(明治35),臨時国語調査会(大正10),国語審議会(昭和9)等の機関を設けて,国語の調査や政策の審議立案に当たってきました。
 国語審議会は,昭和24年7月,文部省設置法によって設置され,さらに昭和25年4月公布の政令によって,別に設置されていたローマ字調査審議会を統合し,今日にいたっております。
 戦後,国語審議会は,諮問事項の中で,まず漢字の制限とかなづかいの改定が急務であることを認め,これらを取り上げて審議し,昭和21年9月「現代かなづかい」を,11月「当用漢字表」を文部大臣に答申しました。これらが政府の採択するところなり,11月内閣訓令,同告示として公布されたのであります。
 ついで,22年9月「当用漢字音訓表」「当用漢字別表」を答申,23年2月内閣訓令,同告示として公布されました。
 また,23年6月には「当用漢字字体表」を答申,24年4月内閣訓令,同告示して公布されました。
 24年7月改組された国語審議会は,第1期の発足にあたって,「国語問題要領」を公表しました。
 これは,一名「国語白書」ともいわれ,国語の現状と国語問題の所在を明らかにするとともに,国語問題の審議の基準を示したものであります。
 なお,第1期(昭和24.7〜27.4)の成果としては,「人名漢字に関する建議」(昭和26.5)等があります。
 「人名漢字に関する建議」は政府によって採択され,「人名用漢字別表」として,昭和26年5月内閣訓令,同告示で公布されました。
 第2期(昭和27.4〜29.4)には,「ローマ字つづり方の単一化について」(昭和28.3)の建議等があります。
 「ローマ字のつづり方」は,昭和29年12月内閣訓令,同告示として公布されました。
 第3期(昭和29.7〜31.7)には,「正書法について」(昭和31.7)等が「報告」という形で議決されました。「正書法について」は,教育上その他において問題となっている現代かなづかいの適用上の諸点を解明したものであります。
 第4期(昭和31.12〜33.11)には,「『送りがなのつけ方』について」(昭和33.11)の建議等があります。「『送りがなのつけ方』について」は,国語表記のうえで送りがながさまざまに行なわれている現状にかんがみ,そのつけ方のよりどころを定める必要を認め,「送りがなのつけ方」を作って,これがよりどころとして,社会の各方面に用いられるよう適当な処置をとることを要望したものであります。これは,昭和34年7月内閣訓令,同告示として公布されました。
 第5期(昭和34.6〜36.3)には,総会に対して「当用漢字補正資料の取り扱いについて」(昭和35.7)「地名・人名のかな書きについて」「注令の用語・用字の改善について」「語形の『ゆれ』について」「ローマ字文のわかち書きについて」(昭和36.3)など,部会,分科会の審議の報告がありました。
 「当用漢字補正資料の取り扱いについて」は,第2期で部会から総会に報告のあった「当用漢字審議報告」(いわゆる当用漢字補正資料)(昭和29.3)の取り扱いを従来どおりしばらく続けることにするというものであります。
 「語形の『ゆれ』について」は漢字表記や発音のうえで,2様以上の書き方や言い方のある語を取り上げて審議したもので,次期における継続審議にまつことになっております。


3 国語審議会成果の実施の手続き

 以上は国語審議会―――特に戦後の国語審議会の業績のあらましであります。
 国語審議会の成果の多くは,所定の手続きを経て,法令,公文書や教育に適用され,また参考に資せられておりますし,また,新聞,放送などにも実施されております。

阿部会長

 以上で説明を終わる。

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