国語施策・日本語教育

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議事 質問・意見等

森戸委員

 かつて文部大臣であった経験から,当時,国語審議会が特殊な性格をもつ審議会であることに気づいていた。これは,自主性の強いこと,ローマ字が重い地位を占めていることであるが,これらは占領政策に関連する特珠な情況のもとにこの審議会が発足したからであり,世の中が安定すれば常識的な性格をもつように改められるものと考えたものである。その後,十何年後審議会自身もそう思い,政府もむちゃなことはしないと考えられるにいたって,日本にただ一つの性格をもつ審議会を常識的に改めるのはいいときではないか。特に,異をたてる必要はないと思われる。

中川委員

 形の上で,大臣の単独任命に心配するむきもあるが,推薦協議会はどうなるのか,協議会を残して,意見を聞いてという形はとれないか。

内藤次官

 推薦協議会はなくなる。現在のような形での推薦制度が国民の疑惑を招いている。会長,副会長もおられ,運営委員会もあることであるからおはかりするが,推薦協議会という形をとらず,他の政府機関並みの形をとりたいということである。森戸委員の発言にもあったように,良識的な判断であらゆる分野から公平に文部省が選ぶということでお任せいただきたい。そこに審議会がチェックをしなければ不安だというお考えもあろうが,文部省は,まちがったことをする意志は決してないのであるから信頼してほしい。なお,審議会で決定したことを実行に移す責任もあるので,意見を出しっばなしにすることなく,良識をもってあたる委員を選びたい。

中川委員

 ご趣旨はよくわかるが,審議会の意見と文部大臣の意見とが違ってくる場合もあり,そのときのことも考えておく必要があろう。御用委員会となりはしないかというのが,委員の心配でないか。

内藤次官

 文部省としては,会長,副会長,運営委員とご相談して,誤りなきを期したいのである。

千種委員

 問題は,今すぐどうこうということでなく,任期がきたときのことである。

内藤次官

 各方面の分野の意見と文部大臣の意見との調和を保って,良識をもって判断するので,決して一つの考え方のかたばかりにお願いするということではない。

千種委員

 それでは,従来のやり方では,推薦よろしきを得なかっだという結論になる。

内藤次官

 実質は今述べたことであるが,他の審議会と形を同じくしたいということである。

吉田委員

 他の審議会がそうであるから,国語審議会もそれ並みでよかろうというのではどうか。他と違って,教育は恒久性をもつものである。

森戸委員

 そうなると,別の弊害がある。主張を同じくする者だけを推薦するきらいがある。いいように見えるが,公正を失するおそれがある。

西尾委員

 選任の方法については,文部省が一方的に決めることができるかもしれないが,文部大臣が責任を負うのが適当でない場合もあろう。その場合には,民主的な審議機関を置くのが適当な場合もあるとは考えられないか。もし,文部省が遠からず改正を決めるにしても,今まで出たような心配のないような説明を受け,委員の納得の上で決めてほしい。ただ文部省を信頼せよというだけで押し切らずに,心配の点をはっきりさせておくことが,この制度を確立させるためにも必要であろう。

横田委員

 次官は,信頼せよといい,委員は,今の次官なら信頼できるが,将来はどうなるかわからないという心配があり,この両方ともにごもっともであるが,次官の説明にあった会長,副会長,運営委員に連絡協議の上,大臣が任命するということを付帯事項として付けることはできないか。

千種委員

 他の委員会と同じようにしたいからという説明であるが,文部省のはともかく,法制審議会などで中川委員は,10年以上も委員になっておられる。そのようであって,はじめて大きな法典ができるのであり,国語審議会のように2年の任期で,しかも委員の大半が改選されるようなことでは一貫性のある事がらを慎重に審議検討することはできなくなる。他と同じというのであれば,委員を任命によってどんどん替えることのないような点を,まねてほしい。

内藤次官

 委員をどんどん替えることを考えているものでなく,大いに専門的知識を活用していただきたいと考えているしだいで,承った意見や心配の点はじゅうぶん考慮して取り計らいたい。
 横田委員の発言にあったように,文部大臣が委員を任命する際には,会長,副会長,運営委員とじゅうぶんご相談することとし,それを記録にとどめるということで,この改正の案のご了承を得たい。

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