国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第7期国語審議会 > 第57回総会 > 次第

次第 第2部会

古賀第2部会長

 第2部会の審議経過を報告する。
 第2部会は,ことばの基準について審議し,語句・語法,および,発音等について問題のあるものを検討し,その標準的な形を考えることを任務としている。昭和39年6月5日の第1回以来,今日までに17回の会合を開いた。まず,審議すべき事項について話し合った結課,第6期までの国語審議会の審議事項をも考え合わせて,「語形のゆれ」の問題を取り上げることにした。
 語形のゆれのなかには,(1)表記のゆれ,(2)発音のゆれ,(3)アクセントのゆれ,(4)語い(単語)のゆれ,(5)語法のゆれ,および,(6)外来語の表記・発音のゆれなど,いろいろの面がある。
 部会としては,これらの各方面にわたり,各種の資料に基づいて検討した結果,「発音のゆれ」を第一に取り上げ,いちおうの審議結果を得た。


発音のゆれについて


森戸会長

 第2部会の報告に関し,質問なり意見なりを伺いたい。

高津委員

 発音のゆれている語については,何らかの基準を求め,統一の方向に向かうようにすべきであるとのことであるが,たとえば,「テッカク」か「テキカク」かなどは人為的にどちらとも決められるものではない。もっと実情に即して検討したほうがよいのではないか。また,教育上じゅうぶんな施策を立てることが必要であるということも,たしかにそのとおりであるが,それよりもまず,小学校の先生がたの発音から改められるようにしてはどうかと思われる。

古賀第2部会長

 わたしの説明がふじゅうぶんであったかもしれないが,第2部会の意向としても,まさに指摘されたとおりであった。

村上委員

 ただいまの高津委員のご発言によると,国民のことばの乱れが小学校の先生がただけにその責任があるかのように感じられたが,ことばの乱れは,テレビやラジオ,それに芸能関係にしても,わざと大阪弁やその他の方言を用いてやるというようなことが,むしろ,好まれている社会的風潮にも責任があるということを承知してほしい。

石井委員

 過去にも国語審議会で発音の問題を審議したときに,教育上の施策を文部大臣に要望したことがあった。そしてその後,大学の教員免許状の取得には必修科目として国語表現法が取り入れられることになった。しかし,いま,教員免許状に関する審議会では,その科目を再び削ろうとしているので,再度,国語審議会がその重要性を報告するのは,まことに時宜を得たものであると思う。

吉田委員

 第2部会の「発音のゆれ」に関する報告を,そのまま「漢字の使い方のゆれ」としてあてはめても,りっぱに通用すると思われる。どうか,漢字の使い方にしても,これと同じ要望を次期審議会に申し送られることを希望する。

遼藤委員

 高津委員は発音のゆれているものを,いちいち人為的に決められるものではないといわれたが,しかし,現在ではすでに一つの方向が決まっているにもかかわらず放置されているもの,また,そのことばが一般に漢字で書かれているために,発音が固定せずにゆれているものなど多くある。たとえば,鼻濁音にしても,濁音と同じかなで書かれるために,このまま放置しておけば消えていく運命にある。わたしは,このように古くからあって,しかも現存するものは残しておきたいと思う。そして,だれもが一つの発音でよいと思うものは,できるだけその方向に統一していきたいと考える。このことは,けっして人為的に新しく一つの方向に統一しようという意味のものではない。

森戸会長

 他に意見がなければ,これで第2部会の経過報告を了承していただけたものとする。両部会の長らくのご労苦に対し,厚くお礼を申しあげる。なお,きようの報告は,総会の決議としてではないが,事務的には文部大臣に報告もするし,新聞発表も行なう。そして,この報告と同時に,きょう,皆さんがたの発表された意見を添えて,次期の国語審議会に申し送ることをご了承願いたい。

トップページへ

ページトップへ