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次第 一般問題小委員会(西島委員長)
古賀副会長
会長がよんどころない事情が発生したために中座されたので,わたしが代理してあとを進めたい。では,引き続いて,一般問題小委員会の審議経過報告をお願いする。
西島一般問題小委員会委員長
一般問題小委員会は3月の総会以後,だいたい,月1回平均で,7回開催した。前回の総会では,「国語施策と教育との関連」について中間報告を行なったが,これは,第8期の最終総会で承認されたところの「当用漢字表や音訓表を一般社会に適用するにあたっては,厳格に制限的なものにせず,基準とする。」という考え方について,これを,教育,特に義務教育に対して,どう適用するかということについて報告したわけであるが,このときは,まだ審議がじゅうぶんでなかったのである。
そこで義務教育の場合には,一般社会で行なわれるもののうちから基礎的なものを基準として定め,それに基づいて指導することが適当であると考えた。この場合の「基準」は,これだけはどうしても教えるという「最低基準」とすべきであるという考え方である,ただし義務教青における漢字の「読み」と「書き」との関係をどう考えるべきか,「読み」,「書き」をともに習得させるべきか,あるいは分離させるべきかということが問題になった。そして,教育技術上からいって。少なくとも小学校の低学年における計画学習では,「読み」と「書き」とを一致させるべきだが,上級に進むに従って,「読み」と「書き」は自然に分離していくべきものであるという考え方が,多数意見のように見受けられた。
この読み書き分離論は,前総会でも論議になったが,4,5両月にわたる3回の小委員会で論議をした結果,5月31目の小委員会で,本日の「一般問題小委員会審議経過報告 説明資料」(資料5)の「国語施策と教育との関連について」にあるような確認を得たわけである。これについて説明していきたい。
1 漢字の字種について,次のとおり原則的に確認した。
(1) | まず,当用漢字別表について検討した。現在,当用漢字別表では,「義務教育の期間に,読み書きともにできるよう指導することが必要であると認めた」漢字を定めている。この表は,「義務教育の期間に指導すべき漢字の範囲」を定めたものであるが,制定当時,将来,当用漢字表の字数を漸次減らしていき,当用漢字表と当用漢字別表とを一致させたいとの考えがあった。 |
ところで,義務教育の終了までに指導すべき漢字は,中学校学習指導要領(昭和44年4月14日,文部省告示第199号)の「国語」,第3学年の「内容の取り扱い」の項で,次のように定めている。 | |
ア (中学校)第2学年までに学習した当用漢字の読みに慣れるとともに,その他の当用漢字を読むこと。 | |
イ 当用漢字別表の漢字および(小学校学習指導要領の学年別漢字配当表の)備考の漢字を主として,1,000字程度の当用漢字を使いこなすこと。なお,それ以外に,上記アで学習した当用漢字も,必要な場合,適切に用いるように努めること。 | |
(2) | 今日では,(1)で述べたような当用漢字表の字数を漸次減らしていき,当用漢字表と当用漢字別表とを一致させるという考えは適当でないと思われる。 |
漢字の字種について,一般社会において基準とされるもののすべてを,義務教育の期間中に指導することは,実際には困難であろう。そこで,施策としては,一般社会において基準とされるものの中から,基礎的なものを教育上の基準(この「基準」を,どのような形式で定めるべきかについては,なお,検討すべきであろう。)として定め,義務教育で指導することが適当である。 | |
(3) | 上記の基準として定められるものは,いわば,指導上の「最低基準」と考えるべきである。すなわち,そこに掲げてある漢字は,義務教育の期間中に,計画的に学習させるべきものであって,これを下回ってはならないものとすべきである。 |
(4) | (2)の教育上の検討にあたっては,教育関係の部局や機関と緊密な連絡を保っていくことが必要である。 |